JP4532767B2 - メディアパックおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

メディアパックおよびインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メディアパックおよびインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタルカメラの普及に伴い、PC(パーソナルコンピュータ)の介在なしに、撮影画像をプリントしたいという要求が高まってきている。カメラとプリンタを一体的に構成した機器としては、従来より、ポラロイド式のカメラが知られている。ディジタル方式のカメラにおいて、このようなポラロイド式のカメラと同様の機能を実現するためには、画像を撮影するディジタルカメラと、撮影した画像をプリントするプリンタとを一体して、プリンタ一体型カメラを構成することが考えられる。このようなプリンタ一体型カメラは、撮影した画像を他の機器を用いることなく、好きなときにプリントできることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなディジタル式のカメラに一体化されるプリンタなどのように、その小型軽量化が要求されるプリンタを具えるインクジェット記録装置においては、プリンタの消耗材としてのプリント媒体やインクなどを収容するプリンタ用消耗材収納容器を用いられるが、該プリンタ用消耗材収納容器(メディアパック)を常時取り付けた状態では大型化の要因となると考えられ、その容器を必要に応じてプリンタに装着することが望ましい。このような容器を用いた場合には、プリント動作時以外のときは容器を外して、プリンタを扱いやすくすることができる。
【0004】
本発明の目的は、インクを用いるプリンタ用として好適なメディアパックおよびこれを具えたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明は、インクを貯留したインクパックと、該インクパックに付設されプリンタのインク供給針と接続するジョイントと、記録に用いられなかったインクを吸収する廃インク吸収体と、スライドシートと、プリント媒体と、該プリント媒体を前記スライドシートに付勢するばね部材と、を筐体内に備えたメディアパックにおいて、
前記ジョイントは前記インクパックと連通する一端部と、インク供給針と接続するポートを備えた他端部と、前記一端部と前記他端部を繋ぐインク流路を有した中央部を備えて構成されており、
前記インクパックは前記筐体の一面に配置され、かつ前記ジョイントはその他端部が前記筐体の一側面に臨むように配置されるとともに、前記廃インク吸収体は前記インクパックに付設された前記ジョイントの前記中央部が前記廃インク吸収体上を横断するように前記インクパックと並列に前記筐体の一面に配置され、
前記ジョイントを含む前記インクパックと前記廃インク吸収体とが覆われるように前記スライドシートが積層されるとともに、前記スライドシートの上に前記プリント媒体および前記ばね部材がこの順に積層されており、
前記筐体は前記インクパック及び前記廃インク吸収体が配された一面であって、前記ジョイントおよび前記廃インク吸収体が配されていない領域に開口部を有しており、該開口部と対面した個所は前記スライドシートが介在しないで前記プリント媒体が臨んでいることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、インクを貯留したインクパックと、該インクパックに付設されプリンタのインク供給針と接続するジョイントと、記録に用いられなかったインクを吸収する廃インク吸収体と、スライドシートと、プリント媒体と、該プリント媒体をスライドシートに付勢するばね部材と、を筐体内に備えたメディアパックと、
記録ヘッドと、該記録ヘッドにインクを供給するために前記インクパックの前記ジョイントと接続するインク前記供給針と、前記プリント媒体と接触して前記プリント媒体を給送するピックアップローラと、を備えたプリンタと、
を具えたインクジェット記録装置において、
前記メディアパックの前記ジョイントは前記インクパックと連通する一端部と、インク供給針と接続するポートを備えた他端部と、前記一端部と前記他端部を繋ぐインク流路を有した中央部を備えて構成されており、前記メディアパックの前記インクパックは前記ジョイントの他端部が前記筐体の一側面に臨んで配されるように前記筐体の一面に配置されるとともに、前記廃インク吸収体は前記インクパックに付設された前記ジョイントの前記中央部が前記廃インク吸収体上を横断するように前記インクパックと並列に前記筐体の一面に配置され、前記ジョイントを含む前記インクパックと前記廃インク吸収体とが覆われるように前記スライドシートが積層されるとともに、前記スライドシートの上に前記プリント媒体および前記ばね部材がこの順に積層されており、かつ前記メディアパックの前記筐体は前記インクパック及び前記廃インク吸収体が配された一面であって、前記ジョイントおよび前記廃インク吸収体が配されていない領域の前記一側面の側に開口部を有しており、該開口部と対面した個所は前記スライドシートが介在しないで前記プリント媒体が臨んでおり、
前記メディアパックが前記プリンタに装着されることで、前記プリンタの前記ピックアップローラが前記メディアパックの前記開口部を介して前記メディアパックの内部に入り込んで前記プリント媒体と接触し、前記ピックアップローラの回転によって前記プリント媒体が給送されることを特徴とする。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0061】
本明細書において、「プリント」(「記録」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合、またはプリント媒体の加工を行う場合を言うものとする。
【0062】
また、「プリント媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「用紙」または単に「紙」ともいうものとする。
【0063】
また、本明細書において、「カメラ」とは光学的に撮像し、光学像を電気信号に変換する機器やデバイスを示すものであり、以下の説明において「撮像部」とも称する。
【0064】
さらに、「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「プリント」の定義と同様広く解釈されるべきものであり、プリント媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、プリント媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、プリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供される液体を言うものとする。
【0065】
なお、本発明が適用される記録ヘッドは、電気熱変換体が発生する熱エネルギーを利用して液体に膜沸騰を生じさせ気泡を形成する形態、電気機械変換体によって液体を吐出させる形態、静電気あるいは気流を利用して液滴を形成吐出する形態などのインクジェット記録で提案される各種形態が挙げられるが、特に小型化の観点からは電気熱変換体を利用したものが好適に用いられる。
【0066】
「装置全体の概略構成」
まず、図1から図4に基づいて、本例装置の全体的な概略構成について説明する。本例において説明する装置は、光学的に撮像して電気信号に変換する撮像部(以下、「カメラ部」とも称する)と、撮像して得られた電気信号に基づいて画像の記録を行う画像記録部(以下、「プリンタ部」とも称する)とを備えた情報処理機器として構成されている。以下、本例で説明する情報処理機器を「プリンタ内蔵カメラ」と称して説明する。
【0067】
装置本体A001においては、カメラ部A100の背面側にプリンタ部(記録装置部)B100が一体的に組み込まれている。プリンタ部B100は、メディアパック(プリンタ用消耗材収納容器)C100から供給されるインクとプリント媒体を用いて画像を記録する。本構成では、装置本体A001から外装を外して背面側から見た図4から明らかなように、装置本体A001の同図中右手側にメディアパックC100が挿入され、装置本体A001の同図中左手側にプリンタ部B100が配置される。プリンタ部B100によって記録を行う場合には、カメラ部A100における後述の液晶表示部A105を上側、レンズA101を下側にするように、装置本体A001を置いた姿勢とすることができる。この記録姿勢において、プリンタ部B100における後述の記録ヘッドB305は、インクを下向きに吐出する姿勢となる。記録姿勢は、カメラ部A100による撮影状態の姿勢と同様の姿勢とすることも可能であり、上記の記録姿勢に限られることはない。記録動作の安定性の面からは、上記のインクを下向きに吐出する記録姿勢が好ましい。
【0068】
以下においては、本例の装置の機械的な基本構成を1「カメラ部」、2「メディアパック」、3「プリンタ部」とに分けて説明し、また、信号処理系を含む制御系の基本構成および動作は4「制御系」として説明する。
【0069】
1「カメラ部」
カメラ部A100は、基本的には、一般的なディジタルカメラを構成するものであり、後述するプリンタ部B100と共に装置本体A001に一体的に組み合わせられることによって、図1から図3のような外観のプリンタ内蔵のディジタルカメラを構成する。図1から図3において、A101はレンズ、A102はファインダー、A102aはファインダー窓、A103はストロボ、A104はレリーズボタン、A105は液晶表示部(外部表示部)である。カメラ部A100は、後述するように、CCDを用いて撮像したデータの処理、コンパクトフラッシュメモリカード(CFカード)A107への画像の記憶、画像の表示、プリンタ部B100との間の各種データの授受等をする。A109は、撮影された画像を後述のプリント媒体C104に記録した場合に、画像が記録されたプリント媒体C104が排出される排出部である。図4に示されるA108は、カメラ部A100およびプリンタ部B100の電源としての電池である。
【0070】
2「メディアパック」
メディアパックC100は、装置本体A001に対して着脱可能であり、本例の場合は、矢印F1方向から装置本体A001の挿入部A002(図3参照)内に差し込まれることによって、図1のように装置本体A001に装着される。挿入部A002は、メディアパックC100が装着されたときに開かれ、それが矢印F2方向に引き出されたときには図3のように閉じられる。メディアパックC100は、パック本体C101とカバーC102との間に、インク収容部、プリント媒体収容部、および廃インク収容部などが構成されている。図5は、カバーC102側(表面側)から見たメディアパックC100の斜視図、図6は、パック本体C101側(裏面側)から見たメディアパックC100斜視図、図7はメディアパックC100の分解斜視図、図8はパック本体C101の平面図である。
【0071】
以下、メディアパックC100については、2−1「インク収容部」、2−2「廃インク収容部」、2−3「プリント媒体収容部」、2−4「開口部の配置構成」、2−5「その他の構成」、2−6「組み立て方法」、2−7「リサイクル性」、および2−8「その他」に分けて説明する。
【0072】
2−1「インク収容部」
パック本体C101の内部には、インクパックC130を収容するインクパック収容部S1が形成されている。本例の場合、インクパックC130は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、およびC(シアン)のインクを個別に収容する計3つのインクパックC130−Y,C130−M,C130−Cを収容するように、リブC101A,C101Bによって仕切られた3つのインクパック収容部S1−Y,S1−M,S1−Cが形成されている。インクパックC130−Y,C130−M,C130−Cは一体的に形成されていてもよく、その場合は後述する仕切りは不要である。また、それらのインクパックC130−Y,C130−M,C130−Cを別体に形成する場合には、それらが互いにずれないように、リブC101A,C101Bによってインクパック収容部S1−Y,S1−M,S1−C内に位置決めする。
【0073】
インクパックC130(インクパックC130−Y,C130−M,C130−C)は、インクパックホルダC131に保持されている。本例の場合、インクパックC130は、図10(a),(b)のように、その内部にインクを封止すべく微小穴に対する復元力を有するフィルムによって袋状に形成されており、図9(a),(b)のように、その折り返し部分C130Aの外面がホルダC131の湾曲面C131Aに接着または溶着される。この湾曲面C131Aは、インクパックC130の折り返し部分C130Aが潰れないように規制して、その湾曲状態を維持する。インクパックC130は、シート体が折り返し部分130Aにて折り曲げられて、3方が接着または溶着によりシールされた袋状とされており、その折り返し部分130Aは、接着または溶着によるシールはなされていない。また、ホルダC131には、インクパックC130の折り返し部分C130Aを図10(a),(b)中の左方に露出させる開口部C131Bが形成されている。さらに、ホルダC131には、後述するインクパックジョイントC132と結合可能な結合爪C131C,C131Cが形成されている。結合爪C131C,C131Cの形成位置は、図7および図10のように、ホルダC131の中央寄りの左右の位置、あるいは図9(a),(b)のようにホルダC131の端部寄りの左右の位置のいずれであってもよい。このように、インクパックC130を保持したホルダC131は、パック本体C101内の収容部S2(図7参照)内に位置決めされる。
【0074】
C132は平面略T字状のインクパックジョイントであり、パック本体C101内に、矢印F2方向に沿ってスライド可能に収容される。すなわち、パック本体C101の収容部S3,S4内に、ジョイントC132の一端部C132−1と他端部C132−2のそれぞれが矢印F1,F2方向に沿ってスライド可能に収容される。また、パック本体C101内において、ジョイントC132の中央部C132−3の下方には、後述する廃インク吸収体を収容するための収容部S5が形成される。一端部C132−1には、ホルダC131の計3つの開口部C131Bと対向する計3つの中空の針C133が設けられており、これらの針C133は、インク流路L1,L2,L3を通して、他端部C132−2のインク供給ポートP1,P2,P3に連通される。また、他端部C132−2に形成された廃インク導入ポートP4は、インク流路L4を通して、中央部C132−3の側部に形成された廃インク排出ポートP5に連通される。ポートP1,P2,P3,P4のそれぞれにはゴム栓C134がはめ付けられており、後述する装置本体A001側の針B502C,B502M,B502Y,B503が抜き差し可能となっている。それらの針B502C,B502M,B502Y,B503は、メディアパックC100を装置本体A001に装着したときに、パック本体C101に形成された開口部C101Hからパック本体C101の内部に進入する。ゴム栓C134は、針B502C,B502M,B502Y,B503が引き抜かれたときに、その針B502C,B502M,B502Y,B503によって貫かれた孔を弾性復元力により自動的に閉じる。また、ジョイントC132を図7中の上下方向に位置する複数の構成部材の結合構造とすることにより、その下側の構成部材に、図11のようにインク流路L1,L2,L3,L4に沿う溝を形成して、その上に上側の構成部材を結合させることにより、インク流路L1,L2,L3,L4をジョイントC132の内部に形成することができる。
【0075】
ホルダC131の結合爪C131C,C131Cは、後述するように、ジョイントC132が矢印F2方向に移動してホルダC131に接近したときに、ジョイントC132と結合する。図7および図10のように、ホルダC131の中央寄りの位置に結合爪C131C,C131Cが形成されている場合には,ジョイントC132の開口部C132Aの縁部に結合し、また図9(a),(b)のようにホルダC131の端部寄りの位置に結合爪C131C,C131Cが形成されている場合には,ジョイントC132の両端部に結合する。
【0076】
このような構成のインク収容部を備えたメディアパックC100は、それが1度も装置本体A001に装着されていない未使用のときは、図9(a)のように、ジョイントC132がホルダC131から離れた非結合状態にあり、また図10(a)のように、ジョイントC132側の針C133がインクパックC130から離れている。このようなメディアパックC100の装着前ときは、図10(a)のように、結合爪C131C,C131Cの先端がジョイントC132に当接して、ジョイントC132とホルダC131との結合を規制する。したがって、結合爪C131C,C131Cは、メディアパックC100の装着前において、ジョイントC132とインクパックC130との連結を規制する規制部材として機能する。
【0077】
このような未使用のメディアパックC100を矢印F1方向から装置本体A001に装着したときは、装置本体A001側の針B502C,B502M,B502Y,B503がポートP1,P2,P3,P4のゴム栓C134に差し込まれつつ、ジョイントC132を相対的に矢印F2方向に移動させて、そのジョイントC132側の針C133をインクパックC130の折り返し部分C130Aに差し込む。そして、図9(b)のように、メディアパックC100が完全に装着されたときは、ジョイントC132が結合爪C131CによってホルダC131に結合して、装置本体A001側の針B502C,B502M,B502Y,B503がポートP1,P2,P3,P4のゴム栓C134を貫通してインク流路L1,L2,L3,L4に連通し、かつ図10(b)のように、ジョイントC132側の針C133がインクパックC130の内部に連通する。結合爪C131C,C131Cは、このようなメディアパックC100の装着後においては、ジョイントC132とインクパックC130との連結を解除させないように係合する係合部材として機能する。
【0078】
これらの結果、インクパックC130−Y,C130−M,C130−Cは、インク流路L1,L2,L3を通して装置本体A001内の後述するインク供給路に接続されて、インクの供給が可能となる。なお、インクパックは、微小穴に対する復元力を有したフィルムで構成されるため、針が刺されてもそこからインクが漏れることはない。また、廃インク排出ポートP5は、インク流路L4を通して装置本体A001内の後述する廃インク排出路に接続されて、その廃インク排出路から排出される廃インクを後述する廃インク吸収体C141上に排出する。その廃インク排出路から排出される廃インクは、後述するように、記録ヘッドの吸引回復動作や予備吐出動作などによってキャップ内に排出された比較的多量の廃インクであり、ポンプによって排出される。
【0079】
次に、このように装着されたメディアパックC100を装置本体A001から矢印F2方向に抜き出したときは、装置本体A001側の針B502C,B502M,B502Y,B503がポートP1,P2,P3,P4のゴム栓C134から抜け出る。このとき、ゴム栓C134は、その弾性復元力により自動的にポートP1,P2,P3,P4を閉じる。また、このとき、結合爪C131Cは、ホルダC131とジョイントC132との結合状態を維持し、ジョイントC132側の針C133はインクパックC130の内部に差し込まれたままとなる。つまり、結合爪C131Cは、ホルダC131とジョイントC132とを1度結合した後は、その結合状態を維持する。
【0080】
このように、メディアパックC100を最初に装置本体A001に装着することによって初めて、ジョイントC132側の針C133がインクパックC130の内部に差し込まれ、それ以降において、その差し込み状態が維持される。メディアパックC100が1度も装置本体A001に装着されていない未使用のものであるときは、ジョイントC132側の針C133がインクパックC130の内部に差し込まれておらず、インクパックC130は、それのみによってインクを完全に封止している。このことは、メディアパックC100の流通およびインクパックC130の製造上において有利である。
【0081】
すなわち、未使用のメディアパックC100の流通時においては、インクパックC130に針C133が差し込まれないため、流通時の温度などの環境温度の影響を受けることなく、インクパックC130のみによってインクを確実に封止することができる。また、このようなメディアパックC100の流通時に、インク流路L1,L2,L3内にインクが回り込んでいないため、それらのインク流路L1,L2,L3を合成樹脂材料によって形成した場合に生じるおそれがある問題、つまり構成樹脂材料を通してインクの成分が蒸発するという問題を根本的になくすことができる。また、インクパックC130のみによってインクを封止することができるため、インクパックC130の素材を袋状に成形しつつ、その内部にインクを充填して、インクパックC130を簡単かつ安価に製造することができる。また、ホルダC131に固定されたインクパックC130の折り曲げ部C130Aから、インクパックC130の長手方向に針C133を突き刺すため、その針C133をインクパックC130内に充分に差し込むことができる。ちなみに、インクパック130の図10中上側の面または下側の面に、同図中の上下方向から針C133を突き刺すようにした場合には、インクパックC130の上下方向の厚みが小さいために、針C133の差し込み量を充分に確保することが難しくなる。
【0082】
また、インクパックC130の成形素材としては、図10(b)のように針C133が差し込まれたときに、その針C133の周面に密着して、充分なシール作用を発揮する多層構造の素材を採用する。その素材の具体例としては、27μmの特殊ナイロンと、3μmのPVDC(ポリ塩化ビニデン)と、50μmの特殊ポリエチレンと、20μmのノーマルポリエチレンと、の4層構造体を挙げることができる。また、他の具体例としては、27μmの特殊ナイロンと、7μmのアルミ箔と、50μmの特殊ポリエチレンと、20μmのノーマルポリエチレンと、の4層構造体を挙げることができる。また、他の具体例としては、大和(ダイワ)グラビヤ株式会社から、ディスペンサーを直接差し込むことができる「カートリッジパック」(商品名)として販売されているものと同じ材質の素材を用いることができる。なお、上記アルミ箔層は、内蔵されるインクの蒸発を防止する観点で用いられるものであるが、このような特性を発揮する層としてはアルミ箔の層に限られず、アルミ蒸着層あるいはシリカコート層などインクの蒸発防止効果を発揮する各種の層が利用され得る。
【0083】
2−2「廃インク収容部」
収容部S5内には、廃インク吸収体C141が収容される。本例の場合は、上下2枚の廃インク吸収体C141−1、C141−2が重なって収容される。吸収体C141(吸収体C141−1、C141−2)には、パック本体C101に形成された位置決め用の突起C101C,C101D,C101Eがはまり込むスリットC141Aが形成されている。また、吸収体C141には、パック本体C101に形成された壁部C101Fがはまり込む溝部C141Bが形成されている。パック本体C101の周壁C101Xと壁部C101Fとの間には、図11のように隙間C101Gが形成されており、その隙間C101Gを介して、収容部S5が大収容部S5−1と小収容部S5−2とに分けられている。したがって、吸収体C141は、隙間C101Gに対応する小幅部分C141Cを介して、大収容部S5−1側に位置して廃インクの吸収量が比較的大きい第1吸収領域C141−Lと、小収容部S5−2側に位置して廃インクの吸収量が比較的小さい第2吸収領域C141−Sとに分けられる。
【0084】
廃インク排出ポートP5は、図11のように大収容部S5−1に向かって開口する。したがって、廃インク排出ポートP5から排出される比較的多量の廃インクは、吸収体C141の第1吸収領域C141−Lによって確実に吸収保持される。廃インク排出ポートP5は、結合爪C131CによってホルダC131とジョイントC132とが結合されたときに、図11のように大収容部S5−1のほぼ中央、つまり吸収体C141の第1吸収領域C141−Lのほぼ中央に位置する。これにより、その第1吸収領域C141−Lは、比較的多量の廃インクを効率よく確実に吸収保持する。
【0085】
また、小収容部S5−2は、パック本体C101に形成された開口部C101Hに連通されている。メディアパックC100を矢印F1方向から装置本体A001に差し込んだときに、後述する装置本体A001側のインク吸収体B506は、穴部C101Hから小収容部S5−2内に入り込み、そして吸収体C141の第2吸収領域C141−Sに差し込まれる。図12から図15は、主として、インク吸収体B506と吸収体C141との位置関係を説明するための図である。これらの図においては、パック本体C101内のジョイントC132を省略し、さらに図15においてはパック本体C101をも省略している。メディアパックC100を装置本体A001に差し込んだときに、図15のように、インク吸収体B506が吸収体C141の第2吸収領域C141−Sに差し込まれる。
【0086】
装置本体A001側のインク吸収体B506には、後述するように、プリント媒体C150から外れた位置に吐出された記録ヘッドのインク滴が毛細管現象により導かれる。プリント媒体C150から外れた位置に吐出されるインクは比較的少量であり、その比較的少量のインクは廃インクとしてインク吸収体B506に導かれる。そのインク吸収体B506に導かれた廃インクは、そのインク吸収体B506がメディアパックC100側の吸収体C141の第2吸収領域C141−Sに差し込まれたときに、毛細管現象により第2吸収領域C141−Sに吸収保持される。このようにして、インク吸収体B506に導かれた比較的少量の廃インクは、吸収体C141の第2吸収領域C141−Sに吸収保持される。
【0087】
インク吸収体B506は比較的硬質の多孔質材料によって形成され、また吸収体C141は比較的軟質の多孔質材料によって形成されている。したがって、それらが接触したときは、消耗品としてのメディアパックC100側の吸収体C141における当接部分のみが大きく変形し、装置本体A001側のインク吸収体B506の劣化が小さく抑えられる。この結果、装置本体Aに対して、消耗品としてのメディアパックC100を多数回繰り返し装着したときに、インク吸収体B506と吸収体C141との良好な接続状態を常に確保することができる。また、そのような吸収体C141の当接部分が圧縮変形する結果、適切な毛管力が発生し、インク吸収体B506からのインク滲出を良好にすることができる。
【0088】
また、壁部C141Bによって、吸収体C141が第1吸収領域C141−Lと第2吸収領域C141−Sとに分けられていることは、開口部C101Jから外部への廃インクの漏れを防止する上において効果的である。すなわち、吸収体C141の全体から開口部C101Jに向かって集中的に廃インクが移動しようとした場合には、その廃インクの移動が壁部C101Fによって阻止されて、その壁部C101Fを迂回しなければならない。このように廃インクが壁部C101Fを迂回することにより、吸収体C141の全体から開口部C101Jに向かって集中的に廃インクが移動する事態を回避して、開口部C101Jから外部への廃インクの漏れを防止することができる。本例の場合は、第1吸収領域C141−Lに比較的多量の廃インクが吸収保持されるため、その比較的多量の廃インクが開口部C101Jに向かって集中的に移動することを効果的に防止することができる。また、第2吸収領域C141−Sは、装置本体A001側のインク吸収体B506から毛管力により導入した比較的少量の廃インクを吸収保持するだけであるため、開口部C101Jの近傍において、廃インクの外部への漏れを生じることなく、それを確実に保持することができる。
【0089】
2−3「プリント媒体収容部」
パック本体C101内には、図7のように、収容部S1,S2,S3,S4,S5の上方を被うメディアスライドシートC151がはめ込まれて位置決めされる。このスライドシートC151上に、プリント媒体C170が収容される。すなわち、スライドシートC151上にシート状のプリント媒体C150が複数枚(例えば、20枚)載置され、さらに、その上にメディアプレスシートC152が載置される。そのプレスシートC152には、比較的硬質のメディアプレスプレートC153が取り付けられている。そして、プレスシートC152とカバーC102との間に、メディア位置決めばねC154が弾性的に介在される。このばねC154は、その両端部C154A,C154Bがパック本体C101の周壁部C101Xの内面定位置に弾性的に係合することにより、パック本体C101に取り付けられる。ばねC154の脚部C154C,C154D,C154E,C154Fは、プレスシートC154を図7中の下方に付勢する。カバーC102の一端部C102−1側には、パック本体C101の周壁部C101Xの孔部C101Kと弾性的に係合可能な爪部C102Aが形成されている。カバーC102の他端部C102−2は、図5および図6のように、シール103によってパック本体C101に取り付けられる。
【0090】
パック本体C101の周壁部C101Xには、スライドシートC151上に収容されたプリント媒体C150を矢印A方向(図5参照)に1枚ずつ搬出するための開口部101Lが形成されている。プリント媒体C150は、後述するように、装置本体A001側のピックアップローラB201と押圧板202とによって排出される。そのピックアップローラB201は、メディアパックC100が装置本体A001に装着されたときに、パック本体C101に形成された開口部C101Mからパック本体C101内に入り込み、スライドシートC151の切り欠き部C151Aから、そのスライドシートC151上に集積された最下位のプリント媒体C150に圧接可能である。開口部C101Mには、図5、図6、および図7のように、シャッタC155が矢印F1,F2方向に開閉自在に取り付けられており、そのシャッタC155は、シャッタばねC156によって矢印F1の閉じ方向に常に付勢されている。このシャッタC155は、通常、図6のように開口部C101Mを閉じており、メディアパックC100が装置本体A001に装着されたときに、矢印F2方向に開かれてピックアップローラB201の進入を許容する。一方、押圧板202は、メディアパックC100が装置本体A001に装着されたときに、パック本体C101およびカバーC102に形成された切り欠き部C101NおよびC102Bから、パック本体C101内に入り込み、プレスシートC152のプレスプレートC153に圧接可能である。
【0091】
このように、メディアパックC100を装置本体A001に装着することにより、メディアパックC100内のプリント媒体C150がピックアップローラB201と押圧板202との間に挟持可能な待機位置に設定される。この状態で後述のASFトリガを解除することにより、両者間にプリント媒体が挟み込まれ、ピックアップローラB201の所定の搬出方向への回転によって、スライドシートC151上における最下位のプリント媒体C150が開口部C101Lから矢印A方向に搬出される。その際、最下位のプリント媒体C150がスライドシートC151を滑って搬出されるため、そのスライドシートC151の上面をプリント媒体C150が滑りやすくすることにより、プリント媒体C150をスムーズに搬出することができる。スライドシートC151は、上述のようにプリント媒体C150を良好に搬送することが可能なようにする特性を具えることが好ましく、摩擦係数が低い材料を利用してシートを形成してもよく、あるいはプリント媒体C150との接触面の摩擦係数を低くするような加工を施すことで対応してもよい。その加工の例としては、フッ素加工をしたり、微小な凹凸を設けたりすることで対応可能である。さらに、搬送性の改善という点では、スライドシートC151とプリント媒体C150との間で発生する可能性のある静電気に対処することも効果的である。
【0092】
また、切り欠き部101N,C102Bによって成る開口部と、開口部C101Mとが互いに対向する位置に形成されているが故に、ピックアップローラB201と押圧板202とによるプリント媒体C150の挟み込みが実現できる。プリント媒体C150をピックアップローラB201と押圧板202との間に挟むことにより、ピックアップローラB201からプリント媒体C150に最適な搬送力を付与して、そのプリント媒体C150を確実に搬出することができる。また、本例の場合は、後述するようにピックアップローラB201に対して押圧板202を小さくしているため、開口部C101Mに対して、切り欠き部101N,C102Bによって成る開口部が小さく形成されている。このように、切り欠き部101N,C102Bによって成る開口部を小さくする分、メディアパックC100の剛性を高めることができる。また、本例の場合においては、比較的大きな開口部C101Mに対してシャッタC155を備えて、メディアパックC100が装置本体A001に装着されていないときは、常に、開口部C101Mを閉じるため、その比較的大きな開口部C101Mからの異物の進入を防止することができる。
【0093】
また、ばねC154は、プレスシートC152を介してプリント媒体C150を付勢するため、プリント媒体C150を全域に渡ってスライドシートC151上に適確に押し付けることができる。また、押圧板202は、比較的硬質のプレスプレートC153に圧接することにより、開口部C101L寄りに位置するプリント媒体C150の前端部分をより強く押し付けて、プリント媒体C150の搬出動作をより確実なものとすることができる。また、比較的大きく形成されたばねC154の脚部154Cは、その比較的大きな付勢力により、押圧板202によって押圧されるプレスシートC152の反対側の部位をより強く押圧する。これにより、開口部C101L寄りに位置するプリント媒体C150の前端部分をより均一に押し付けて、プリント媒体C150の搬出動作をより確実なものとすることができる。このように、プリント媒体C150は、スライドシートC151とプレスシートC152との間に挟まれて、その最下位のものから1枚ずつ搬出される。
【0094】
また、スライドシートC151は、メディアパックC100内において、収容部S1,S2,S3,S4,S5の上方を覆うため、インクとプリント媒体C150との接触の危険性を回避することができる。特に、収容部S5を覆うことによって、その内部の廃インクとプリント媒体C150との接触を回避することができる。仮に、収容部S5から漏れ出た廃インクがプリント媒体C150に接触しようとした場合は、その廃インクがスライドシートC151の外周縁にまで回り込まなければなければならないため、結果的に、廃インクとプリント媒体C150との接触が回避できる。また、収容部S5から発生した廃インクの揮発成分は、スライドシートC151の外周縁から、パック本体C101とカバーC102との合わせ面などを通って外部に逃げる。このように、スライドシートC151は、プリント媒体C150のスライド性を確保する機能と共に、廃インクの収容部S5のカバーとしての機能を兼有する。
【0095】
2−4「開口部の配置構成」
2つの開口部C101H、C101JがメディアパックC100に形成されているが故に、前述したように、装置本体A001の2系統の廃インク路からの廃インクをメディアパックC100内に効率よく回収することができる。すなわち、記録ヘッドの吸引回復処理や予備吐出処理によって排出された比較的多量の廃インクは、装置本体A001内のポンプにより、開口部C101H内に入り込む針B502C,B502M,B502Y,B503とジョイントC132を介して、吸収体C141における比較的大容量の第1吸収領域C141−Lに排出され、その第1吸収領域C141−Lにて確実に吸収保持される。一方、プリント媒体C150から外れた位置に吐出される比較的少量の廃インクは、毛細管現象により、開口部C101J内に入り込む吸収体B506から、吸収体C141における比較的小容量の第2吸収領域C141−Sに吸収保持される。
【0096】
また、これらの開口部C101H、C101Jは、メディアパックC100の前端部に形成されているため、メディアパックC100を矢印F1方向から装置本体A001に差し込むだけで、装置本体A001側の2系統の廃インク路をメディアパックC100側に接続することができる。
【0097】
また、ピックアップローラB201が入り込む開口部C101Mと、廃インク回収用の開口部C101Jは、開口部C101Hを挟んで離れた位置に形成されている。そのため、開口部C101Jから開口部C101Mへの廃インクの回り込みを防止して、開口部C101Mの近傍に位置するプリント媒体C150の廃インクによる汚染を防止することができる。
【0098】
また、開口部C101Hの内側に位置するジョイントC132には、インク供給ポートP1,P2,P3と廃インク導入ポートP4と共に、それらに連通するインク流路L1,L2,L3,L4が形成されているため、1つのジョイントC132によって、4つのインク流路L1,L2,L3,L4のそれぞれを装置本体A001側に確実に接続することができる。また、開口部C101Hの内部において、ポートP1,P2,P3,P4は、その順序にしたがって開口部C101Mから遠ざかる方向に並ぶように位置する。つまり、廃インク導入ポートP4は、他のインク供給ポートP1,P2,P3よりも開口部C101Mから最も離れている。したがって、廃インク導入ポートP4に仮に廃インクが付着した場合には、開口部C101Mへの廃インクの回り込みを防止して、開口部C101Mの近傍に位置するプリント媒体C150の廃インクによる汚染を防止することができる。
【0099】
2−5「その他の構成」
メディアパックC100には後述するEEPROM(識別IC)が備えられており、そのEEPROMには、メディアパックC100が収容しているインクとプリント媒体C150の種類や残量などの識別データが記憶される。本例の場合、そのEEPROMは、収納部S5−2の底部に位置するパック本体C101の内部に備えられている。また、そのEEPROM用のコネクタC161は、図6のように、廃インク回収用の開口部C101Jの近傍に位置するパック本体C101の底部に備えられている。このコネクタC161は、メディアパックC100が装置本体A001に装着されたときに、装置本体A001側の不図示のコネクタに接続される。
【0100】
コネクタC161は、廃インク回収用の開口部C101Jの近傍に位置するため、廃インクの漏れ検知に用いることができる。すなわち、仮に、開口部C101Jから漏れ出た廃インクがコネクタC161の位置に回り込んだために、そのコネクタC161と装置本体A001側のコネクタとの間に接続不良が生じた場合には、その接続不良を検知することによって、廃インクの漏れを検知することができる。例えば、コネクタC161と装置本体A001側のコネクタとの接点同士間に廃インクが介在することによる接触不良、コネクタC161における複数の接点同士間に廃インクが付着することによる電気的な短絡、または装置本体A001側のコネクタにおける複数の接点同士間に廃インクが付着することによる電気的な短絡などを検知して、その検知結果に基づいて廃インクの漏れを検知することができる。
【0101】
また、プリント媒体搬出用の開口部C101Lには、プリント媒体C150の2枚以上の通過を阻止して、それの1枚ずつの通過を許容するゲート部C162を設けることができる。そのゲート部C162は、開口部C101の幅をプリント媒体C150の1枚分の厚さに相当する大きさに規制する。このようなゲート部C162は、開口部C101Lの長さ方向の全域に渡って設ける他、その長さ方向における中央部位、あるいは両側部位などのように部分的に設けることができる。本例においては、開口部C101Lをもつパック本体C101を樹脂材料により射出成形するため、その樹脂材料の歪などを考慮して、開口部C101Lの幅を正確に規制することが強く望ましい。
【0102】
図16(a),(b)は、このように樹脂材料により射出成形されるパック本体C101において、開口部C101Lの幅を正確に規制するための構成例の説明図である。これらの図においては、パック本体C101の前端部のみを概略的に現している。
【0103】
これらの図において、C162は、開口部C101Lの中央の上縁部に一体成形されたゲート部であり、開口部C101Lの幅Wをプリント媒体C150が1枚通る大きさに規制する。本例の場合、ゲート部C162は、図16(a)中の左側に形成される不図示のプリント媒体搬出用の開口部C101L寄りに位置するように、開口部C101Lの中央よりも若干左方にずれて形成されている。パック本体C101には、ガイド孔C163A,C163BとスリットC164が形成されている。そして、メディアパックC100が装置本体A001に矢印F1方向から装着されたときに、図16(b)のように、装置本体A001側に位置決めされているガイドピンGP1,GP2がガイド孔C163A,C163B内に相対的に入り込む。したがって、ガイド孔C163A,C163Bの間隔は、パック本体C100の弾性変形を伴なって、ガイドピンGP1,GP2の間隔に矯正される。この結果、ゲート部C162は、開口部C101Lの幅Wをプリント媒体C150が1枚通る大きさに正確に規制する。また、スリットC164は、パック本体C100を変形しやすくして、その変形分を吸収する。また、パック本体C100において、少なくとも開口部C101Lが形成される部分は、樹脂材料により射出成形されたパネルとしてもよい。
【0104】
図17(a),(b)は、開口部C101Lの幅を正確に規制するための他の構成例の説明図である。これらの図においては、パック本体C101の前端部のみを概略的に現している。
【0105】
本例の場合、ゲート部C162は、メディアパックC100が装置本体A001に装着されていないときに、図17(a),(b)のように開口部C101Lを閉じて、プリント媒体C150の通過を阻止する。そして、メディアパックC100が装置本体A001に矢印F1方向から装着されたときに、装置本体A001側に位置決めされているガイドピンGP1,GP2がガイド孔C163A,C163B内に相対的に入り込む。したがって、ガイド孔C163A,C163Bの間隔は、パック本体C100の弾性変形を伴なって、ガイドピンGP1,GP2の間隔に矯正される。この結果、ゲート部C162は、開口部C101Lの幅をプリント媒体C150が1枚通る大きさに正確に規制する。また、スリットC164は、パック本体C100を変形しやすくして、その変形分を吸収する。
【0106】
このように、本例のゲート部C162は、開口部C101Lの幅をプリント媒体C150が1枚通る大きさに規制するゲート機能と共に、メディアパックC100内からプリント媒体C150が不用意に出てしまうことを防止するストッパとしての機能を兼有する。後者のストッパとしての機能は、ゲート部C162とは別のゲート部によって果たすようにしてもよい。その場合、そのゲート部は、メディアパックC100が装置本体A001に装着されていないときに開口部C101Lを閉じ、そしてメディアパックC100が装置本体A001に装着されたときに、装置本体A001側のガイドピンにより変位されて、開口部C101Lの幅をプリント媒体C150が1枚通る大きさ以上に広げるものであってもよい。
【0107】
なお、図16および図17の例では、装置本体側にガイドピンとしての凸部を設ける一方、メディアパック側には凹部としてのガイド孔を設けたが、係合に応じて開口部C101Lの間隙を拡張可能なものであれば、それら係合部材の構成はどのようなものであってもよい。例えば、装置本体側に凹部を設けるとともに、メディアパック側にはその凹部にガイドされて変位する凸部を設けてもよい。
【0108】
2−6「組み立て方法」
メディアパックC100を組み立てる際には、まず、パック本体C101内に、吸収体C141とジョイントC132を順次上方から収容する。そのジョイントC132は、図9(a)のように、ホルダC131と結合しない位置に収容する。そして、これらの収容と前後して、パック本体C101内に、インクパックC13とホルダC131との結合体(図7参照)を上方から収容する。その後、パック本体C101内に、スライドシートC151、所定量のプリント媒体C150、プレスシートC152、および位置決めばねC154を順次上方から収容する。その後、カバーC102をパック本体C101の上方開口部にはめ合わせて、爪部C102Aを孔部C101Kに係合させる。爪部C102Aは、カバーC102を下方に押圧することにより一時的に弾性変形し、そして孔部C101Kとの対向位置にて弾性復帰することにより、その孔部C101K内に係合する。その後、カバーC102とパック本体C101との間にシールC103を貼り付ける。このように、パック本体C101内の収容物は、順次上方からパック本体C101内に作業性よく収容することができ、同様に、カバーC102も上方から簡単に取り付けることができる。
【0109】
シャッターC155、ばねC156、コネクタC161、およびEEPROMなどの部品は、少なくともカバーC102を取り付ける前に、パック本体C101に取り付けられる。
【0110】
2−7「リサイクル性」
メディアパックC100が使用に供されて、その内部の消耗材としてのプリント媒体C150またはインクがなくなったときは、その使用済みのメディアパックC100を回収してリサイクルすることができる。
【0111】
まず、回収した使用済みのメディアパックC100から、カバーC102を外す。そのカバーC102は、パック本体C101に直接的に溶着または接着されていないため、シールC103を剥がして、爪部C102Aと孔部C101Kとの係合を解くことにより、パック本体C101から上方に簡単に外すことができる。その後は、前述したメディアパックC100の組み立て順序とは逆に、パック本体C101内の内容物を順次上方に取り外すことができる。その際、ホルダC131とジョイントC132は、図9(b)のように結合したまま上方に取り出してから、それらの結合を解くことができる。
【0112】
そして、必要に応じて、吸収体C141やインクパックC130を新規なものと交換したり、プリント媒体C150を補充したり、あるいはホルダC131やジョイントC132などの部品を新規なものと交換してから、前述したような順序にしたがってメディアパックC100を組み立てる。その際、シールC103を新規なものと貼り替えることにより、カバーC102の取り付け強度を充分に確保することができる。
【0113】
また、パック本体C101内の内容物がパック本体C101に対して溶着されていないことは、メディアパックの組み立て作業性およびリサイクル性を高める上において有利であると共に、吸収体C141に吸収されたインクを蒸発しやすくして、その吸収体C141の廃インクの吸収機能を維持する上においても有利となる。廃インクの揮発成分は、前述したように、スライドシートC151によってパック本体C101の周壁部C101Xの方向に導かれて放出されるため、プリント媒体C150に対する悪影響は回避できる。
【0114】
2−8「その他」
メディアパックC100が使用に供されて、その内部の消耗材としてのインクがなくなったとき、あるいはなくなりかけたときは、メディアパックC100を分解することなく、インクを補充することも可能である。すなわち、内部に封入されたインクを注入針の先端から放出可能な注射器形態のインク補充容器を用意し、その注入針の先端をメディアパックC100の開口部C101Kからインク供給用のポートP1,P2,P3のゴム栓134に突き刺して、インク補充容器からインク流路L1、L2,L3を介してインクパックC130−C,120−M,130−Y内にインクを圧入する。インク補充容器として、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)のインクを個別に封入したものを用意することにより、必要に応じて、インクパックC130−C,120−M,130−Y内に選択的にインクを補充するこが可能である。
【0115】
また、メディアパックC100を分解してから、上記のようなインク補充容器の注入針の先端をインクパックC130−C,120−M,130−Yに突き刺すことにより、それらのインクパックC130−C,120−M,130−Yに直接インクを補充することも可能である。その場合、注入針の突き刺しにより形成されたインクパックC130−C,120−M,130−Yの孔は、注入針を引き抜いた後に閉じる必要がある。そのための対策としては、例えば、インクパックC130−C,120−M,130−Yの成形素材として、そのような孔を自動的に閉じる性質のものを採用する方法、あるいは、そのような孔をシールや弁などを用いて塞ぐ方法などが考えられる。
【0116】
3「プリンタ部」
本実施形態のプリンタ部(もしくはプリンタ本体)B100は、インクジェット方式の記録ヘッドを用い、この記録ヘッドをプリンタ媒体に対して走査するとともにその走査方向とほぼ直交する方向にプリント媒体を所定量づつ搬送することを繰り返すことによってプリント媒体上に撮像画像等をプリントして行く、いわゆるシリアル方式を採用したものである。
【0117】
また、本実施形態のプリンタ本体では、装着されたメディアパックC100内のインクパックからキャリッジに搭載された記録ヘッドへのインク供給は、少なくとも記録時にはインク供給経路と記録ヘッドとの連結が分離された状態にあり、適時にインク供給経路と記録ヘッドとを連結してインク供給可能状態としインク供給を行う方式(以下では、便宜的にピットイン方式と表現する。)によって行なう。すなわち、キャリッジには、極わずかな量を貯留するサブタンクのみが搭載されている。そして、キャリッジがその移動によってインク供給用ポジションに到達したときこのサブタンクとメディアパックC100内のインクパックとの間に、上記インク供給用ポジションに配されたジョイント部を介して供給経路が形成され、これにより、サブタンク内にインクを供給するものである。そして、このサブタンクへのインク補給に際して、サブタンク内を負圧としてインクパックからインクを導入するためのポンプも設けられる。
【0118】
図18はプリンタ本体B100をメディアパックC100の装着部側から見た斜視図、図19は同本体を上記装着部側とは反対側から見た斜視図であり、構造部材をなすシャーシの上面やキャリッジおよびその移動のための機構、さらにはプリント媒体を搬送するためのローラ等を除いて示す図であり、さらに、図20は上記メディアパックの装着部を左側とした姿勢で同本体B100を側方から見た断面図である。
【0119】
これらの図に示されるように、プリンタ本体B100は、ほぼ直方体をなし、また、その縦、横の長さに比較して高さが短い薄い形状のものである。シャーシB101は、プリンタ本体B100の構造部材を形成するとともに、上記直方体の外形を形成するものである。すなわち、シャーシB101は、上記直方体を成す6面のうち、図18に示す二つの面を除いてほぼ全ての面を覆うように組み立てられる。図18に示す、上記直方体の横と高さの辺で囲まれた開口は、上述したように、メディアパックC100を装着するための開口である。また、同様に図18に示す、縦と横の辺で囲まれた比較的広い面は、その一部のみがシャーシB101によって覆われ、その覆われていない部分は、記録ヘッドを搭載したキャリッジB301の幅にほぼ相当する幅を有してキャリッジB301の移動する範囲に延在している。
【0120】
このシャーシB101によって、プリンタ本体B100を構成する要素が固定され、あるいは回動自在に軸支されることにより、本プリンタ本体の各機構が形成される。すなわち、本実施形態のプリンタ本体B100は、上記シャーシB101による直方体の内部において、大別して、給紙・搬送機構、キャリッジ移動機構、インク供給・回復機構およびパック接続機構を有している。
【0121】
給紙・搬送機構は、図20にその全体の概略構成が示されるように、まず、メディアパックC100が装着される同図中左端部に、ピックアップローラB201とこれにプリント媒体を適切な圧力で押圧するための押圧板B202が配される。ピックアップローラB201は、ローラアームB203によって回動自在に軸支されるとともに、このアームB203がASFコネクト軸B204によって回動自在に軸支されることにより、所定の角度範囲を回動できるよう構成されている。同様に、押圧板B202も回動できるよう構成され、これにより、装着されるメディアパックC100に対してこれらローラB201および押圧板B202がその内部に入り込んで直接(厳密には、押圧板はシートを介して)プリント媒体を挟み込むことを可能としている。そして、後述されるように、以下で説明されるPFローラB205やローラアームB203もしくはASFコネクト軸B204に設けられたギア列を介して伝達されるLFモータ(不図示)の駆動力によってピックアップローラB201が回転するとともに、このローラに対して、押圧板B202によりプリント媒体が適切な押圧力で押し付けられることにより、プリント媒体は、1枚づつピックアップされてプリンタ本体B100内に給紙される。
【0122】
ピックアップローラB201は、図18に示すように、その長手方向の長さは、メディアパックC100内のプリント媒体(図7参照)の幅より短く、メディアパックC100を装着するための開口の端部近傍に設けられる。また、押圧板B202は、図18には図示されないが、その幅が上記ピックアップローラB201の幅よりさらに短く、従って、その押圧時にはプリント媒体をピックアップローラB201の一部に対してのみ押圧する。このように、本プリンタの給紙機構は、給紙すべきプリント媒体の一部とのみ係合してその給紙を行なうこととなる。
【0123】
給紙・搬送機構として、さらに、図20に示すように、上記ピックアップローラB201等による給紙方向の下流側(同図中、右方)において、キャリッジB301の移動範囲(その移動方向は、同図の紙面に垂直な方向)を挟む位置にそれぞれPFローラB205およびピンチローラB206の組と、PFローラB207およびピンチローラB208の組が配される。これらのPFローラB205およびB207の回転駆動は、本プリンタ本体において、上記ピックアップローラ等の給紙機構が設けられる部位とはほぼ対角の位置に配されたLFモータや、その駆動力を伝達する、上記給紙機構が設けられた端部とは、上記開口に関して反対側の端部のシャーシ側面に配されたギア列によって行なわれる。このように、キャリッジB301の移動範囲に関してプリント媒体搬送の上流側および下流側にそれぞれ配されたPFローラB205とピンチローラB206の組およびPFローラB207とピンチローラB208の組により、キャリッジB301に搭載された記録ヘッドの走査に伴う所定量のプリント媒体搬送が行なわれる。そして、この動作が繰り返されてプリントが終了するとプリンタ本体B100の外、すなわち、カメラの装置本体A001の外に排紙される。このプリント媒体の搬送経路において、図18、図20に示されるように、キャリッジB301の移動範囲の下方には、プラテンB306が配設される。これにより、搬送されるプリント媒体は、そのプリントが行なわれる面とは反対側の面がこのプラテンB306によって摺動しつつ支持され、プリント媒体の平坦性が保証されることになる。
【0124】
なお、上流側のPFローラB205と上述の押圧板B202とは同軸で軸支されるが、押圧板B202は、後述されるように、その押圧力が適切に調整されるよう、アームばねの摩擦力を介して回転するものである。ピックアップローラB201を軸支するローラアームB203についても同様、それを軸支するASFコネクト軸(不図示)の回動に対して、ローラばね(不図示)の摩擦力を介して回動するものであり、これにより、給紙に際して、押圧板と同様、適切な押圧力をプリント媒体に付与することが可能となる。
【0125】
次に、キャリッジ移動機構は、図18や図20に示されるキャリッジB301やリードスクリューB302等、キャリッジB301を移動させるための機構である。
【0126】
リードスクリューB302は、プリンタ本体をなす上記直方体の横の辺、すなわち、長手方向に沿って全体に延在するよう設けられ、同様にキャリッジB301のガイド軸B303(図20参照)がリードスクリューB302と並行に設けられる。また、リードスクリューB302を回転させるための駆動力を発生するキャリッジモータ(CRモータ;不図示)が、図20において右側である、プリント媒体搬送の下流側に設けられる。
【0127】
キャリッジB301は、それに設けられたスクリューピン(不図示)がリードスクリューB302の外周部に形成された一条の螺旋溝に係合するとともに、リードスクリューB302がキャリッジモータの駆動力によって回転することによって、上記ガイド軸B303に沿って移動することができる。
【0128】
キャリッジB301には、サブタンクとしてのインク室B304Y、B304M、B304Cがそれぞれプリントに用いられるインクの種類イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)ごとに設けられる。各インク室は、上述したように、例えばプリント媒体1ページ分のプリントができるだけのごく少量のインクを貯留可能な容量を有したものである。このため、所定の間隔で、メディアパックC100のインクパックからのインク補給が必要となる。また、これらのインク室の下部には、上記各種類のインクごとの記録ヘッドB305Y、B305M、B305Cが設けられる。これらの記録ヘッドは、その走査方向、すなわち、図20の紙面に垂直な方向に配列するものであり、それぞれの記録ヘッドは、上記走査方向とほぼ直交する方向に複数のインク吐出口(以下、ノズルともいう。)を配設している。それぞれの記録ヘッドにおいて、それぞれのノズルに連通して液路が形成され、この液路には、電気熱変換素子およびこれに電気信号を供給するための電極配線等が設けられている。これにより、記録ヘッドは、電気熱変換素子が発生する熱エネルギーを利用して液路内のインクに気泡を生じさせ、この気泡の圧力によって対応するノズルからインクを吐出することができる。そして、このインク吐出に伴い、それぞれの液路には、主に毛細管力によって、上述のインク室から対応する記録ヘッドの共通液室を介してインクが供給される。
【0129】
以上の構成を有するキャリッジB301は、その移動が本プリンタにおける種々のモードに応じて行なわれる。すなわち、リードスクリューB302がキャリッジのホームポジションの位置を基準として、所定量の時計回りおよび反時計回りの一方または双方の回転を行なうことによって、これら各モードの動作が行なわれる。例えば、プリント動作時には、リードスクリューB302が時計回りおよび反時計回りに回転することにより、キャリッジB301は所定範囲のプリント領域を往復し、これにより、キャリッジB301に搭載された記録ヘッドB305Y、B305M、B305Cのプリント媒体に対する走査が可能となる。また、記録ヘッドの移動に伴なってそのノズルが配設された面を所定の部材で掃拭するワイピングのための移動では、キャリッジB301はホームポジション近傍の所定範囲を往復する間に、ワイパー(不図示)が記録ヘッドの上記ノズルが配設された面と係合してワイピングが行なわれる。さらに、記録ヘッドの各インク室へインクを補給する、いわゆるピットイン動作では、キャリッジB301は、リードスクリューB302の所定の回転によって、図19に示される、ホームポジション近傍に配設されたジョイント部材B401まで移動する。これにより、ジョイント部材B401の各インクごとのジョイントB402Y、B402M、B402Cに、キャリッジに設けられたインクごとのインク補給用針(不図示)が挿入され、また、同様に、その一連のキャリッジの移動動作により、キャリッジB301に設けられた空気吸引用孔(不図示)が上記ジョイント部材B401に設けられた空気吸引用キャップB403に接合される。これにより、ポンプ(不図示)の動作に伴い、キャリッジB301内の各インク室B304Y、B304M、B304Cにインクが補給される。また、このジョイント部材B401との接合位置で各記録ヘッドのノズルが配設された面は、図19に示されるキャップB405に対向する位置にあり、キャップB405が上昇することにより、上記面を覆うことができる。このキャッピングにより、本プリンタがプリント動作を行なわないときにノズルを介したインク溶剤等の蒸発を低減させることができる。また、このキャッピング状態で、各ノズルを介して液路内から粘度が上昇している可能性のあるインク等を排出する吸引回復処理を、上記ポンプを利用して行なうことができる。さらに、キャリッジB301は、リードスクリューB302の所定の回転によって、所定のタイミングでキャップB405の位置へ移動し、この位置で各記録ヘッドのノズルからキャップ内へインクを吐出する、予備吐出を行なう。
【0130】
キャリッジB301の一部には、図18に示されるように、フレキシブル基板B307の一端が固定される。これにより、本プリンタにおいて基板状の形態で構成される制御部と記録ヘッドとのプリント信号などの授受が可能となる。そして、本実施形態では、フレキシブル基板B307がキャリッジB301に取り付けられる部分の中央部において、フレキシブル基板の一部を欠くように孔が形成され、また、キャリッジのその固定する部分の裏側に発光素子および受光素子からなるエンコーダ検出素子が設けられる。一方、エンコーダ用の、等間隔の被検出マークが記されたスケールは、図18に示されるプリンタ本体B100の姿勢において上方で、シャーシB101をなすパネルの裏側において延在する。これにより、キャリッジB301の移動に伴い、上記孔を介し、エンコーダ検出素子は上記スケールの被検出マークを光学的に検出することができる。そして、記録ヘッドの走査に伴い、この検出によるエンコーダ信号に基づいたタイミングで各記録ヘッドからインク吐出を行ない、これにより、プリント媒体上の所定位置に順次インクドットを形成して行くことができる。
【0131】
次に、インク供給・回復機構は、上述のジョイント部材B401を介したキャリッジB301の各インク室へのインク補給と吸引回復のための機構であり、主に、それらのインク移送のための負圧を発生するポンプに関するものである。
【0132】
図19および図20に示されるように、ポンプB408は、プリンタ本体B100においてメディアパックC100の装着部とは反対側の端部の、ほぼ中央部に配される。ポンプB408は、図20に示されるように、その内部を摺動するピストン(不図示)は、その横断面の形状が楕円形状をなすものである。そして、これに従い、そのケース部材をなすシリンダの横断面形状も楕円形状をなす。
【0133】
ポンプB408の長手方向と並行に、キャリッジ用のリードスクリューB302とは別のリードスクリューB410が本プリンタ本体B100をほぼ縦断する範囲に延在するよう設けられる。このリードスクリューB410には、ポンプB408のシリンダおよび上述のワイパーを動作させ、また、メディアパックからプリント媒体を給紙する際のAFSトリガを動作させるための、クロス状の二条の螺旋溝B410aと、上述のキャプB405やジョイント部材B401を動作させるための一条の螺旋溝B410bとが形成されている。
【0134】
ポンプB408の構成部材として、ピストンとピストン軸を介して接続するポンプ駆動アームB409が設けられる。このポンプ駆動アームB409には、上記リードスクリューB410と並行に延在する部分があり、この部分の一部がリードスクリューB410の上記螺旋溝B410aに係合することにより、ポンプ駆動アーム、従って、ピストンのポンプ動作のための移動が可能となる。なお、この移動では、ポンプ駆動アームB409の一部と係合するガイド軸B413が、その移動を案内する。
【0135】
ポンプB410のこのポンプ動作によって、上述したピットインによるインク補給の際、キャリッジB301の各インク室からの空気の吸引を行なってそれぞれのインク室を負圧にしてこれにインクを補給する動作、また、記録ヘッドをキャッピングした状態にあるキャップB405内から空気を吸引してその内部を負圧とし、およびそれに伴って廃インクを吸引する動作を行なう。この吸引で排出された廃インクは、ピストン軸やポンプ駆動アームB409内の管を通って廃インク連結チューブB411や、インク針ホルダB501に保持される廃インク用針B503を通り、最終的には、装着されるメディアパックC100内に設けられたインク吸収体に導かれる。このポンプアームB409の螺旋溝B410aに係合した移動は、また、ワイパーの動作やメディアパックC100からのプリント媒体にかかるAFSトリガの動作を可能とするものでもある。
【0136】
リードスクリューB410の他方の螺旋溝B410bには、切替えスライダB412の一部が係合し、これにより、キャップレバーアームB414を介した、キャップB405の上下の移動が可能となる。
【0137】
最後に、パック接続機構は、上述した給紙にかかる機構以外のメディアパックとの接続にかかる機構である。具体的には、主にメディアパックC100からのインク供給と、本プリンタ本体で排出されたインクのメディアパックC100内への導入に関するものである。
【0138】
図18に示されるように、プリンタ本体B100のメディアパックC100を装着するための開口部には、メディアパックのC100の装着に伴ってその各要素と係合する要素が配置される。
【0139】
上述したプリント媒体給紙のためのピックアップローラB201および押圧板B202(図18には不図示)の他、メディアパックC100内のインク色ごとの各インクパックからキャリッジB301のそれぞれ対応するインク室へインクを導入するためのインク供給針B502C、B502M、B502Yが配設される。また、これらの供給針に隣接して記録ヘッドの吸引回復処理や予備吐出によってキャップ内に排出された廃インクをメディアパックC100内のインク吸収体に導くための廃インク用針B503が設けられる。これらの針は、前述したように、メディアパックC100の装着動作に伴い、その内部のジョイントC132における各ポートP1〜P4それぞれのゴム栓134と貫いて係合する。
【0140】
図19に示すように、インク供給用針B502C、B502M、C502Yは、これらの針を保持する針ホルダB501やこれと一体の部材に形成された溝によって構成される経路を介して上述したジョイント部材B401の対応するジョイントB402C、B402M、B402Yと連通する。同様に、廃インク用針B503は、上記ホルダB501に形成された溝による経路や上述した廃インク連結チューブB411を介してポンプB408のポンプ駆動アームB409内部の所定の経路に連通する。
【0141】
また、各針は、メディアパックの非装着時は針キャップB504によって被覆されている。すなわち、パックの非装着時は、各針に設けれた戻しばねB505によってキャップB504は針の前方に付勢され、これにより、パックの非装着時はそれぞれの針の先端はキャップB505によって覆われる。一方、パックが装着されるときは、パックの装着動作によって上記戻りばねB505の付勢力に逆らいキャップB504は各針の手前に移動して針の先端が現われ、パック内の上記ジョイントに対して挿入される。
【0142】
また、上記開口部には、コネクタB507が配設される。このコネクタB507は、メディアパックC100に設けられたEEPROMのコネクタC161と接合し、本プリンタ本体の制御部による上記EEPROMに対する書き込みおよび読取りを可能とするものである。
【0143】
さらに、上述の針とコネクタとの間には、図19に示されるように、インク吸収体B506が設けられる(図18では、この吸収体が外された状態が示されている。)。このインク吸収体B506は、プラテンB306(図20参照)の下側のほぼ全面に展開されたインク吸収体B508の一部と接続しており、一方、メディアパックC100が装着されたとき、メディアパックの開口部C101L内に入り込み、その内部のインク吸収体と当接する。これにより、プリント時に記録ヘッドから吐出されたインクの一部を吸収体B508によって吸収し、この吸収したインクを吸収体B506を介してメディアパックC100内の上記インク吸収体に導くことが可能となる。すなわち、本プリンタ本体B100において排出されるインクのうち、吸引回復処理や予備吐出によって排出されるインクは、上述のようにキャップB405によって受けられて上記廃インク用針B503を介してメディアパック内のインク吸収体に導かれる。これに対し、本実施形態では、プリントに際して長方形をなすプリント媒体の各辺に余白を持たせずに画像等のプリントを行なう。このため、インクは実質的にこれらの辺を越えてプリント媒体の外にも吐出され、これらのインクを上記インク吸収体B508によって受けとる。そして、これらの吸収されたインクは、その保持量の増加に従い、インク吸収体B506に至り、最終的にメディアパック内のインク吸収体に導かれる。
【0144】
なお、メディアパックとの接続部に配されるインク吸収体B506は、焼結多孔質体よりなるものであり、他のインク吸収体より硬い材料で形成されている。これにより、メディアパックC100の装着動作もしくはそれによるインク吸収体との当接により、インク吸収体B506が消耗することを低減することが可能となる。
【0145】
次に、以上のとおりその概略を説明した、本プリンタ本体B100の給紙・搬送機構、キャリッジ移動機構、インク供給・回復機構およびパック接続機構について、その詳細な構成等について説明する。
【0146】
3.1「給紙・搬送機構」
次に、図18ないし図28を用いてこの実施形態における給紙・搬送機構をより詳細に説明する。
この実施形態における給紙・搬送機構は、前述のメディアパックC100から1枚ずつプリント媒体をプリンタ本体B100内に導入する給紙系機構と、この給紙系機構によって導入されたプリント媒体を記録領域を経てプリンタ本体B100及び外装材などによって形成される排紙口へと送り出す搬送系機構とを備える。
【0147】
(搬送系機構)
ここで、まず、搬送系機構を説明する。この搬送系機構は、前述のようにプリント媒体の搬送方向において上流側に設けられたPFローラB205およびピンチローラB206の組と、これより下流側に設けられたPFローラB207およびピンチローラB208の組などに対する駆動伝達機構を備える。
【0148】
PFローラB205,B207は、端部に設けられた回動軸部B211、B212によりシャーシB101に突設された軸受け部に回動自在に支持される。ピンチローラB206、B208は所定の軸受け部材によって回動自在に支持され、図外のばねによって常にはPFローラB205,B207に圧接可能に付勢されている。各回動軸B211,B212の軸受け部はシャーシB101の左右両側面より内方に設けられており、各回動軸B211,B212のシャーシ外方への突出を可能な限り抑える構成を採っている。ここでは、シャーシB101の右側板B101aからの回動軸の突出を避ける構造となっており、右側板B101aの外面に平板状の外装材を固定した場合にも回動軸との干渉を避け得る構造となっており、これが装置全体の小型化に寄与している。
【0149】
また、前記PFローラB205,B207は高摩擦部材によって構成され、PFローラは円筒状に、ピンチローラ206,B208は両端に円盤状の突き当て部それぞれ形成されている。そして、PFローラB205、B207には、単一の駆動源(LFモータ)の駆動力を図25〜図27に示すような駆動力伝達機構によって伝達するようになっている。
【0150】
この駆動力伝達機構は、図25に示すように、シャーシB101の左側板B101bの背面(排出側の面)近傍に配置されたLFモータB210の回転駆動力を、シャーシB101の挿入側へ向けて順次伝達するギア列によって構成されている。この駆動力伝達機構を構成するギア列は、搬送系ギア列と後述の給紙系ギア列とからなる。ここで、搬送系ギア列は、前記モータの回動シャフトに設けられたモータギアB213から前記上流側のPFローラB205の回動軸B211に固定されたPFローラギアB218に至る合計6個のギアからなるギア列によって構成されている。
【0151】
この搬送系ギア列を構成するギアB213〜B218は、左側板B101bの外面側に軸着されており、ギアB214〜B218を支持する回動軸はプリント媒体の搬送方向と平行する直線に沿って略一列に配置されている。このため、ギアの上下方向における取り付けスペースは最小限に抑えられ、シャーシB101の厚み幅(図22における上下方向の幅)の削減に寄与している。なお、図中、ギアB214,B215は同軸に固定された中間ギア、B216は下流側PFローラB207の回動軸B212に固定された搬出ギア、B217は中間ギア、B218は上流側PFローラB205の回動軸B211に固定された給紙ギアである。
【0152】
上記のように構成された搬送系機構によれば、LFモータB210がCW方向へと回転すると、その駆動力は、モータギアB213から、略一列に配置されたギアB214,B215,B216,B217,B218へと順次伝達され、搬出ギアB216の回転によって下流側のPFローラB207が、給紙ギアB218の回転によって上流側のPFローラB205が正回転方向x1へと回転する。なお、両PFローラB205,B207の回転動作は、キャリッジの移動に応じて間欠的に行われ、後述の給紙系によって給送された1枚のプリント媒体を正規の搬送方向X1へと間欠的に搬送して行く。
【0153】
(給紙系機構)
次に、給紙系機構を説明する。
図21ないし図28に示すように、この給紙系機構は、シャーシB101の搬送方向上流側の開口の近傍に配置され、前述のように押圧板B202とピックアップローラB201とをそれぞれ旋回運動させることによって、プリンタ本体B100に装着されたメディアパックC100を挟持し、かつピックアップローラB201の回転よってプリント媒体を1枚ずつ引き出すようになっている。すなわち、この給紙系機構は、押圧板B202とその旋回機構、及びピックアップローラB201とその旋回機構及び回転機構とからなる。
【0154】
このうち、ピックアップローラB201は、シャーシB101に形成された軸受けに回動自在に支持されたASFコネクト軸204に固定されている。このASFコネクト軸204は図23に示すように、前記上流側のPFローラB205の回動軸B211より上流側に向けて斜め下方に突出した位置に支持されている。
【0155】
また、ピックアップローラB201の回動機構は次のように構成されている。
このASFコネクト軸B204には、所定の間隔を介して対向する左右一対のローラアームB203の一端部が回動自在に挿通・支持されており、さらに、両ローラアームB203の他端部には、高摩擦部材によって円筒状に形成してなるピックアップローラB201が回動軸B224によって回動自在に支持されている。
【0156】
また、前記ピックアップローラB201には、前記搬送系ギア列の給紙ギアB218に連動する給紙側ギア列を介して、給紙ギアB218の回転力、すなわちLFモータB210の回転力を伝達するようになっている。この給紙系ギア列は、図29の回動軸B211に固定されたPFローラギアB219から前記ピックアップローラB201の回動軸B215に固定されたピックアップローラギアB223に至る合計5個のギアB219,B220,B221,B222及びB223によって構成されている。ここで、B220は、ASFコネクト軸B204に固定され前記PFローラギアB219に噛合するASF大径ギア、B221はASFコネクト軸B204に固定されたASF小径ギア、B222は前記ASF小径ギアB221とピックアップローラギアB223とに噛合する中間ギアである。
【0157】
そして、上記構成を有する回動機構においては、前述のLFモータB210の回転に伴って回転する。すなわち、LFモータB210が回転することにより搬送系ギア列によって回動軸B211が回転すると、これと一体にPFローラギアB219が回転し、その回転はASF大径ギアB220,ASF小径ギアB221及び中間ギアB222を介してピックアップローラギアB223が回転し、その回転によって回動軸B224が回転し、その回動軸B224と共にピックアップローラB201が回転する。
【0158】
また、ピックアップローラB201の旋回機構は、次のように構成されている。
【0159】
この実施形態におけるピックアップローラB201の旋回機構は、前記回動機構の構成を兼用した小型かつ安価な構成となっている。このため、ここでは回動機構の構成自体の説明は省略し、その他の付加的機構及び、その付加的機構と回動機構との関連構成について説明する。
【0160】
付加的機構を構成する部材としては、まず、ASFコネクト軸B204とローラアームB203とを回動方向において連結する連結ばねB225がある。この連結ばねB225は、ASFコネクト軸B204の外周に沿って捲装した巻きばねによって構成されており、その一端部は、一方(図22において右方)のローラアームB203に係止されている。また、連結ばねB225におけるASFコネクト軸B204への捲装部B225aは、ASFコネクト軸B204が挿入されていない定常状態においてASFコネクト軸B204の外径より小径をなす螺旋状の複数の線輪からなっている。このため、捲装部B225aはASFコネクト軸B204に対して常には圧接した状態となっており、その捲装方向は、ローラアームB203を固定しASFコネクト軸B204を正回転方向(x1方向)へと回転させたときに、捲装部B225aの各線輪の径が拡大する方向、つまりASFコネクト軸B204の間に緩みを発生させるような方向となっている。
【0161】
そして、上記連結ばねB204によれば、ローラアームB203に回動自在に挿通されているASFコネクト軸B204とを所定の回転トルクをもって回動方向に連結することができるものとなっている。すなわち、ASFコネクト軸B204とこれに圧接する連結ばねB225の捲装部B225aとの間には、摩擦力が発生しているため、ローラアームB203に負荷が加えられていない場合には、前記摩擦力によってASFコネクト軸B204と共に連結ばねB225も共に回転し、同ばねの一端部が係止されているローラアームB203も同方向へと回転する。
【0162】
一方、ローラアームB203に対してその回転を阻止する方向、つまり前述のように連結ばねB225の捲装部B225aの径が拡大する方向に力が加わると(負荷が加わると)、捲装部B225aとASFコネクト軸B204との摩擦力は減少する。そして、ローラアームB203に加わる負荷が前記摩擦力を超えると、ASFコネクト軸B204と連結ばねB225の捲装部B225aは捲装部B225aに対して摺動回転する。従って、ASFコネクト軸B204が回転しつつローラアームB203の旋回が係止されている状態にあっては、常に捲装部B225aとASFコネクト軸B204との間に生じる摺動摩擦力に対応する回転力(トルク)が加わることとなり、その値は略一定となる。
【0163】
このように、この実施形態におけるピックアップローラB201にあっては、回動軸B224を中心とした回転動作を行うと共に、ローラアームB203がASFコネクト軸B204を中心として旋回運動を行うものとなっており、これらの動作はいずれも、LFモータB210を駆動源として行われる。なお、旋回運動の範囲は、プリンタ本体B100に装着されたメディアパックC100に収納されている最下位のプリント媒体から離間する初期位置(図25参照)から、最下位のプリント媒体に圧接する給紙動作位置に設定される。
【0164】
一方、前記押圧板B202の駆動の旋回機構は、次のように構成されている。
【0165】
すなわち、この押圧板B202は、上流側PFローラB205の回動軸B211に回動自在に支持された押圧板支持アームB226と、この押圧板支持アームB226と前記回動軸B211との回動方向における連結を可能とする連結ばねB227とからなる。
【0166】
押圧板支持アームB226は、コ字状に屈曲形成された枠型形状をなし、その両端部に形成される軸着部分がPFローラB205の両側方において回動自在に回動軸B211に挿通・支持されている。そして、この押圧板支持アームB226には上流側に突出する押圧板が一体形成され、これがピックアップローラB201の中央部分に対向している。また、連結ばねB227は、回動軸B211の外周に沿って捲装した巻きばねによって構成されており、その一端部は、押圧板支持アームB266の一方(図23において右方)の軸着部分に係止されている。また、連列ばねB227には回動軸B211へと捲装される捲装部B227aが形成されている。この捲装部B227aは、回動軸B211が挿入されていない定常状態においては回動軸B211の外径より小径をなす螺旋状の複数の線輪からなっている。このため、回動軸B211に捲装した捲装部B227aは、回動軸B204に対して常には圧接するようになっており、その捲装方向は、押圧板支持アームB203を固定し回動軸B204を正方向(x1方向)へと回転させたときに、捲装部B225aの各線輪の径が拡大する方向、つまり回動軸B211との間に緩みを発生させるような方向に設定されている。
【0167】
上記のように構成された旋回機構によれば、押圧板支持アームB226に回動自在に挿通されている回動軸B211と、押圧板B202を所定の回転トルクをもって回動方向に連結することができるものとなっている。すなわち、回動軸B211とこれに圧接する連結ばねB227の捲装部B227aとの間には摩擦力が発生しているため、押圧板支持アームB226に加わる負荷が加えられていない場合には、前記摩擦力によって回動軸B211と共に連結ばねB227も共に回転し、ばねの一端部が係止されている押圧板支持アームB226も同方向へと回転する。
【0168】
一方、押圧板B202に対してその回転を阻止する方向、つまり前述のように連結ばねB227の捲装部B227aの径が拡大する方向に力が加わると(負荷が加わると)、捲装部B227aと回動軸B211との摩擦力は減少する。そして、押圧板支持アームB226に加わる負荷が前記摩擦力を超えると、回動軸B211と連結ばねB227の捲装部B227aが回動軸B211に対して摺動回転する。従って、この摺動回転状態においては、押圧板支持アームB226によって負荷に加えられる回転力(トルク)は、連結ばねB227の捲装部B227aと回動軸B211との間に生じる摺動摩擦力に対応した回転力(トルク)となり、その値は押圧板支持アームB226の位置に係わりなく略一定となる。
【0169】
このように、この実施形態におけるピックアップローラB201にあっては回動軸B211を中心とした旋回動作を行うが、この旋回動作にあっても前記ピックアップローラB201の旋回動作と同様に、LFモータB210を駆動源として行われる。なお、押圧板B202の旋回運動の範囲は、後述のストッパ機構による係止動作を考慮しなければ、プリンタ本体B100に装着されたメディアパックC100に収納されている最上位のプリント媒体より所定距離間隔をィアパックC100に収納されている最上位のプリント媒体より所定距離間隔をもって離間する初期位置(図25参照)から、最下位のプリント媒体に圧接する給紙動作位置(図27参照)に至る範囲に設定されている。
【0170】
また、この実施形態においては、ピックアップローラB201及び押圧板B202による給紙動作の応答性を高めるため、すなわち、給紙動作開始時に迅速に給紙動作を開始させ得るようにするため、ピックアップローラB201を給紙を行わないときにも回転させておくと共に、前記初期位置よりもメディアパックC100に近い待機位置にて押圧板B202及びピックアップローラB201を待機させておくよう構成されている。このピックアップローラB201及びメディアパックC100の待機位置での係止動作は、以下の係止機構によって行われる。
【0171】
すなわち、この係止機構は、ピックアップローラB201を係止するローラ係止部と、押圧板B202の旋回を係止する押圧板係止部とを備える。ローラ係止部は、ローラアームB203に一体的に突設された第2係止爪B229と、この第2係止爪B229に係脱可能な後述するASFトリガB209に設けられた第1係止爪B228とで構成される。また、押圧板係止部は、押圧板支持アームB226に一体的に突設された第3係止爪B230と、この第3係止爪B230に係脱可能なASFトリガB209に形成された第4係止爪B231とで構成される。そして、前記第1、第4係止爪は、シャーシB101の底部にスライド可能に設けたASFトリガB209に一体的に突設されている。このASFトリガB209には、シャーシB101に突設されたガイドピンB101Pが挿通される2個の長孔B209aが形成されており、このASFトリガB209は長孔B209aの範囲内でa,b両方向へと移動し得るようになっている。また、このASFトリガB209は、付勢ばねB103bの付勢力によって常時b方向へと付勢されており、最もb方向へと移動した初期位置(図22参照)において、このASFトリガB209に突設された第1係止爪B228と第2係止爪B229、第3係止爪B230と第4係止爪B231がそれぞれ係合し得る位置となっている。
【0172】
そして、第1の係止爪B228と第2の係止爪B229とが係止状態にあるとき、ローラアームB203は、前述の初期位置と給紙位置との間の係止位置(図26参照)に係止されそれ以上の給紙位置側への移動は阻止されている。また、第3の係止爪B230と第4の係止爪B231とが係止状態にあるとき、押圧板B202は前述の初期位置から給紙位置の間の係止位置に係止され、それ以上の給紙位置への移動は阻止されるようになっている。
【0173】
次に、上記構成を有するこの実施形態における給紙・搬送機構の動作を説明する。
【0174】
メディアパックC100がプリンタ本体B100に装着されると、そのシャッタ部がプリンタ本体B100との係合によって開口された状態となり、メディアパックC100内に収容されたプリント媒体の最下位のプリント媒体が露出する。このメディアパックC100の装着状態において、記録動作が行われない初期段階では、ASFトリガB209は付勢ばねBB209bの付勢力によって矢印b側に付勢され最も右側に位置した状態に保持されている。またこの初期段階では、押圧板B202はメディアパックの最上位にあるプリント媒体から最も離間した状態(図25参照)に保持され、ピックアップローラB201はメディアパックの最下位にあるプリント媒体から最も離間した状態(図25参照)に保持されている。ここで、供給・回復系機構に設けられる切換リードスクリューB410が回転し、その回転に従って後述のポンプスライダーB441がa方向に所定距離移動すると、そのポンプスライダーB441がASFトリガB209に当接する。その後さらにポンプスライダーB441がa方向への移動を継続すると、ASFトリガB209はポンプスライダーB441に押圧され、図21に示すように、付勢ばねB209bの付勢力に抗してa方向へと移動する。
【0175】
また、これと同時にLFモータB210がCCW方向に駆動されるため、回動軸B211は上流側のPFローラB205と共にx1方向(プリント媒体の搬入方向)へと回転する一方、ASFコネクト軸B204もPFローラギアB219及びASF大径ギアB220を介して回転する。その結果、押圧板B202連結ばねB227を介して回動軸B211と共に旋回し、ローラアームB203も連結ばねB225を介してASFコネクト軸B204と共に旋回する。但し、LFモータB210の駆動開始直後は、ASFトリガB209が初期位置にあるため、この状態では第1係止爪B228が第2係止爪B229に、第3係止爪B230が第4係止爪B231にそれぞれ係止され、押圧板B202は待機位置に、ピックアップローラB201は初期位置にそれぞれ保持されている(図26参照)。このように、各係止爪が互いに係止された状態において、連結ばねB227の捲装部B227aと回動軸B211との間の摩擦力、および連結ばねB225の捲装部B225aとASFコネクト軸B204との間の摩擦力はいずれも減少し、回動軸B211およびASFコネクト軸B204はそれぞれ摺動回転する。従って、ピックアップローラB201は給紙系ギア列によって回動軸B224と共に回転している。
【0176】
ここで、ASFトリガB209がポンプスライダーB441の移動に伴ってa方向へと移動すると、まず、第3係止爪B230と第4係止爪B231との係合が解除され、連結ばねB227と回動軸B211との摺動摩擦力によって押圧板支持アームB226は回動軸B211を中心とした旋回移動を行う。これにより、押圧板B202はメディアパックC100に形成した押圧部用開口部に挿入され、収納されている最上位のプリント媒体を押圧する。これにより、最下位のプリント媒体はメディアパックC100内の底部に適度な圧接力を持って圧接し、浮上を阻止される(図28(b)参照)。
【0177】
また、ASFトリガB209がさらにa方向へと移動すると、第1係止爪B228と第2係止爪B229との係合も解除され、ローラアームB203がASFコネクト軸B204を中心として旋回移動を行う。これによりピックアップローラB201がメディアパックC100の開口部から最下位のメディアパックC100内のプリント媒体の裏面に当接する。この際、押圧板B202によってプリント媒体に加えられる押圧力F1は、ピックアップローラB201によって加えられる押圧力F2よりも大きく設定されているため(図28(b)参照)、ピックアップローラB201がプリント媒体に圧接した際、プリント媒体が上方へと押し上げられるという不都合が発生することもない。また、この実施形態では、押圧板B202またはピックアップローラB201によってプリント媒体に加えられる力は、連結ばねB225とASFコネクト軸B204との間に発生する摩擦力、および連結ばねB227と回動軸B211との間に発生する摩擦力によって発生させるようにしたため、メディアパックC100等に収容されたプリント媒体の枚数(厚さ)などに係わりなく、常に安定した圧力をプリント媒体に加えることができ、確実にプリント媒体の給送を行うことができる。
【0178】
メディアパックC100から給送されたプリント媒体の先端位置は、不図示の紙端検知センサ(PEセンサ)によって検知することができ、その先端がピックアップローラB201の位置から下流側へと所定量突出したところでLFモータB210の回転を停止する。次いで、LFモータB210をCW方向に回転すると、これに連動して押圧板B202およびピックアップローラB201は共にメディアパックC100から離間する初期位置へと復帰する。なお、この初期位置への復帰は、押圧板支持アームB226およびローラアームB203を所定の初期位置設定用のストッパに係止させるまでLFモータB210を矢印x2に示すように逆回転させることによって行うことができ、初期位置に復帰した時点でそのLFモータB107の回転は停止させる。
【0179】
この初期位置への復帰動作におけるLFモータB210の逆回転によってメディアパックC100から給送されたプリント媒体は、逆送り(x2方向への送り)されることとなるが、逆送りされてもなおPFローラB205とピンチローラB206との間にプリント媒体が存在するよう、予め給紙時のプリント媒体の給送量を設定しておく。
【0180】
これは、この給送量が少ない場合には、前記の逆転動作によってPFローラB205とピンチローラB206との間からプリント媒体が外れ、その後の搬送動作が実行不能となるためである。
【0181】
次に、ポンプモータB104をさらに回転して行き、ポンプスライダーB441が切換リードスクリューB410の端部まで移動すると、この切換リードスクリューB410はクロスタイプのリード溝となっているため、ポンプスライダーB441は移動方向を転換し、初期位置へと移動して行く。その結果、ASFトリガB209は、付勢ばねB209bの付勢力によって図21に示すb方向へと移動し、各係止爪B228とB229、B230とB231が互いに係合し得る初期位置まで復帰する。そして、その後はキャリッジB301の走査に伴って記録動作を行う。この際、ローラアームB203と押圧板支持アームB226はいずれも第1係止爪B228と第2係止爪B229との係合、第3係止爪B230と第4係止爪B231との係合によって共に旋回が規制されているため、ピックアップローラB201による給紙動作が行われることはない。
【0182】
なお、以上の説明においては、係止機構によって押圧板B202とピックアップローラB201とを待機位置に保持しておき、ASFトリガB209が駆動された時点で、押圧板B202、ピックアップローラB201の順でメディアパックC100へと圧接させるようにしたが、ピックアップローラB201とASFトリガB209とを同時に記録媒体に圧接させたり、あるいは圧接順序を逆に設定することも可能である。また、ピックアップローラB201および押圧板B202を上述の待機位置のような中間的な位置に保持させず、給紙開始指令などに応じてピックアップローラB201を所定の初期位置から圧接位置まで待機位置などで停止させることなく移動させるようにしても良く、本発明は特に上記実施形態に限定されるものではない。
【0183】
3.2「 キャリッジ移動機構」
この実施形態におけるキャリッジB301には、1頁程度の少量のインクのみを貯留可能とするインク室を搭載するものとなっているため、メディアパックC100からの高頻度のインクの補給が必要となり、この補給動作を適正に実行し得ることが記録動作を実現する上での重要な要素となっている。
【0184】
インクの補給動作においては、漏れなく確実にインクの授受を行い得るようにする構造として、図29ないし図35に示すような連結機構が用いられている。
【0185】
ここに示す連結機構は、キャリッジB310のホームポジション近傍に設けられたジョイント部材B401と、キャリッジB301の各インク室B304Y,B304M,B304Cの側面に突設された中空のインク補給用針B301Y,B301M,B301C(図30、図31、および図36参照)および空気吸引用孔B301H(図36および図38参照)を設けたものとなっている。そして、ジョイント部材B401の側面には、キャリッジB301のインク補給用針B301Y,B301M,B301Cを密閉状態を保ちつつ挿通させ得るジョイントB402Y,402M,402Cが各インク補給用針B301Y,B301M,B301Cに対応して形成されている。このジョイントB402Y,402M,402Cは、プリンタ本体B100に装着されたメディアパックC100のインクパックC130に連通する連通経路の一端部を形成するものとなっており、ここにインク補給用針B301Y,B301M,B301Cを挿入し、かつ空気吸引用孔B301Hを密閉した状態で、後述の回復系機構の動作によって記録ヘッド305Y,305M,305Cの吐出面をキャップB405を上昇させて覆い、その後ポンプモータB104を吸引方向に作動させて、空気吸引用孔B301Hに負圧を発生させて、キャリッジB301のインク室内を多孔質膜を介して負圧状態にすることにより、補給動作を行うことができる。
【0186】
ここで、このジョイント部材B401に対するインク補給用針B301の接合動作および空気吸気吸引用キャップB403と空気吸引用孔B301Hの密閉動作を図29ないし図35と共に説明する。
【0187】
図29はキャリッジB301がホームポジションに復帰する前の状態を示している。この状態において、切換スライダB412は最もジョイントB402Y,402M,402Cから離間した位置にあり、このとき抜きレバーB404は回動可能な状態にある。この状態でキャリッジB301がホームポジションへ向けて移動すると、図30、図31に示すように、まず、3本のインク補給用針B301Y,B301M,B301Cが各々に対応するジョイントB402Y,B402M,B402Cに達し、その後さらに同方向(図中、左方)へと移動することにより、ジョイントB402Y,B402M,B402Cにインク補給用針B301Y,B301M,B301Cが挿入されて行く(図32参照)。このようにインク補給用針B301Y,B301M,B301Cが挿入され始めた段階では、未だ空気吸引用孔B301Hの形成面は空気吸引用キャップB403には接触しておらず、間隙が存在する。この後、インク補給用針B301Y、B301M、B301Cがさらに各ジョイントB402Y,B402M,B402Cに挿入されると、空気吸引用孔B301Hの形成面が空気吸引用キャップB403に接し、キャリッジB301のさらなる移動によって空気吸引用キャップB403は撓みながら空気吸引用孔B301Hの周囲に密接し、空気吸引用孔B402Hと空気吸引用キャップB403とは気密状態で接合された状態となる。
【0188】
このように、この実施形態においては、3本のインク補給用針B301Y,B301M,B301CとジョイントB402Y,B402M,B402Cとの接合を先に行い、次いで、空気吸引用孔B402Hと空気吸引用キャップB403との接合を行うようになっており、両接合に時間差を持たせたため、同時に両接合を行う場合に比べ、接合に要する負荷を分散することができCRモータB310に大きな駆動トルクを持たせなくとも、十分に両接合を行うことができる。しかもこの実施形態では、インク補給用針B301Y、B301M、B301CとジョイントB402Y,B402M,B402Cとの接合にはより大きな負荷が掛かるため、キャリッジB301の慣性力を十分に得られる状態においてまずインク補給用針B301Y、B301M、B301CとジョイントジョイントB402Y,402M,402Cとの接合を行い、次いで比較的小トルクで接合を完了し得る空気吸引用孔B402Hと空気吸引用キャップB403との接合を行うようになっている。但し、空気吸引用キャップB403と空気吸引孔B402Hとの接合を先に行い、その後インク補給用針B301Y,B301M,B301CとジョイントB402Y,B402M,B402Cとの接合を行うようにしても両接合を行う場合に比べて負荷の分散を図ることは可能であり、有効である。
【0189】
また、この実施形態においては、空気供給用キャップB403はゴムなどの弾性を有する部材によって構成されており、その弾性力によってキャリッジB301の移動時の慣性力を受ける緩衝部材としても機能するため、キャリッジB301の損傷を防止することができる。
【0190】
一方、キャリッジB301に搭載されているインク室へのインクの補給が完了した後、インク補給用針B301Y,B301M,B301CをジョイントB402Y,B402M,B402Cから抜脱する際には、これが抵抗となってCRモータB310に大きな負荷が加わることとなる。このCRモータB310の始動に係る負荷を軽減すべく、この実施形態では、ポンプモータB104の駆動力を用いる構成となっている。
【0191】
すなわち、キャリッジB301の始動時には、後述の回復系の駆動を行うポンプモータB104が駆動を行い、切換スライダB412をキャリッジB301のホームポジション側(図35中右方向)へと移動して行く。この切換スライダB412の移動経路中には、略中央部を軸着された抜きレバーB404(図34および図35参照)の下端部が存在しており、ここに切換スライダB412の当接部B412aが当接することにより、抜きレバーB404は中央の軸着部を中心に図中反時計方向に回転し、上端部は図35中、右側へと移動する。その結果、抜きレバーB404の上端部はキャリッジB301の端面に当接し(図35(b)参照)、さらに切換スライダB412が図中右方へと移動することのによって、抜きレバーB404がさらに反時計方向へと回転すると、同レバーB404の上端部がキャリッジB301をインク補給用針B301Y,B301M,B301CをジョイントB402Y,B402M,B402Cから抜脱させる方向(左方)へと移動させるよう押圧する。この押圧力はCRモータB310によるキャリッジB301の駆動力に加えられる。このため、キャリッジB301はスムーズに始動することができ、インク補給用針B301Y,B301M,B301CのジョイントB402Y,B402M,B402Cからの抜脱を確実に行うことができる。従って、この実施形態においては、CRモータB310を大型化する必要がなくなり、コストおよび実装スペースの増大を回避することができる。
【0192】
ところで、この実施形態においては、キャリッジB301の移動位置を検出するための検出手段として、フレキシブル基板に接続されたエンコーダ検出素子とスケールとを備えたものが用いられている。
【0193】
図36はこのキャリッジB301の位置検出手段を具体的に示す図である。
【0194】
エンコーダ検出素子B309は、発光面および受光面をそれぞれ上方に向けて並設してなる発光部B312と受光部B311とを有し、キャリッジB301の側面部に固定されている。そして、エンコーダ検出素子B309の上面部には、フレキシブル基板B307の一端部が固定されており、発光部B312および受光部B311との電気的接続がなされている。但し、フレキシブル基板B307において、エンコーダ検出素子B309の発光面および受光面との対向位置には、孔B307aが形成されており、エンコーダ検出素子B309の発光部B312から発せられた光は、前記孔B307aを介してその上方に配置されたスケールB308に照射され、スケールB308から反射された光は前記孔B307aを介して受光部B311にて受光されるようになっている。スケールB308には、断続的に光反射部と被反射部とが形成されているため、キャリッジB301と共に移動するエンコーダ検出素子B309からは断続的にパルス状の信号が送出される。従って、このパルス状の信号を制御系においてカウントすることにより、キャリッジB301の移動位置を検出することができる。なお、キャリッジB301のカウント開始位置は、種々設定可能であるが、ここでは、図36および図38に示すようにCRセンサB313を設け、このCRセンサB313によってキャリッジB301のホームポジションを検出し、そのホームポジションをキャリッジB301の1回の走査におけるカウント開始位置としている。
【0195】
また、キャリッジB301の移動に伴ってフレキシブル基板B307は、図38に示すようにU字状に撓むよう形成されており、この点は、この実施形態も通常のプリンタと同様である。但し、通常のプリンタは、U字状に撓むフレキシブル基板B307の上側部分B307Aと下側部分B307Bとの間の空間Sは、フレキシブル基板B307の屈曲部307CがキャリッジB301共に移動する空間Sとなっているため、部材を配置し得ない空間として認識されていた。つまり、このフレキシブル基板B307の上側部分B307と下側部分B307との間の空間Sはフレキシブル基板B307以外の部材のためには全く利用されていない状態にあった。これに対し、この実施形態においては、キャリッジB301及びフレキシブル基板B307の屈曲部B307Cと共に移動するエンコーダ検出素子B309を配置したため、フレキシブル基板B307の屈曲部B307Cとの干渉もない。このように、この実施形態では、これまで使用不能とされていた空間を有効に利用して比較的大型のエンコーダ検出素子B309を配置することができるため、通常の記録装置に比べ実装スペースを大幅に削減することが可能となる。
【0196】
加えて、本実施形態では、プリンタ本体B100を薄型に構成するため、キャリッジB301の上面をシャーシB101の上面よりごく僅かに下方に設定しており、シャーシB101の上面に平板状の外装材が固定された場合にも、殆どキャリッジB301との間に隙間を形成しないような構成となっている。このように、エンコーダ検出素子B309がキャリッジB301より上方に突出しないような配置構造を採ることは、薄型を図る上で極めて有効である。
【0197】
3.3「インク供給・回復機構」
かかる機構の主要な構成要素であるポンプB408は、本実施形態では、図20に示したように、ポンプのシリンダ内を摺動するピストンの横断面形状が楕円状をなすものである。そして、それに従い、ポンプB408の外部ケースとして兼用されるシリンダの横断面もほぼ楕円形状を有している。
【0198】
ポンプのピストンの横断面がこのように楕円形状を有することにより、ポンプをプリンタに配置するとき、その高さを抑制でき、これにより、プリンタ全体の高さを小さくすることに寄与することが可能となる。例えば、配置される姿勢で、同じ高さの,横断面が円であるピストンを用いる場合と比較すると、楕円の場合の方がシリンダの断面積を大きくすることができ、これにより、例えば、そのストロークをより短くすることができ、これによって、ポンプの高さおよび長手方向のサイズを小さなものとすることができる。このように、プリンタにおけるポンプの配置スペースが、楕円の長辺方向にはある程度の余裕があるような場合には、もしくは、設計上プリンタの高さを抑制することが優先される場合には、本実施形態のように、ピストンの横断面形状を楕円とし、これに従ってシリンダの断面形状も楕円とすることは有効である。
【0199】
特に、本実施形態のように、カメラに一体とされるプリンタの場合、プリンタの高さは、特にその大きさが制限されることから有効である。具体的には、図20に示したように、本プリンタ本体B100は、カメラに一体とされることなどの要請から、その断面は矩形をなすものであり、ポンプB408およびその駆動機構等は、ほぼその下側半分である、プリント媒体の搬送経路(ピンチローラB206、B208を連ねた線)の下側に配設されることが実質的に必要となる。従って、ポンプB408の高さは上記搬送経路の下側となる高さで、かつ限られたストロークで有効な吸引力を発揮するためのシリンダ内面の断面積を確保するため、本実施形態の断面形状は好ましいものである。
【0200】
また、ピストンのシリンダに対する気密性を考えるとき、この楕円形状は、例えば横断面形状に直線部分を含むものと比較して、上記シリンダの内面に均一な圧力をかける上で有利である。
【0201】
なお、以上の説明から明らかなように、ピストンの横断面の形状は、必ずしも楕円である必要はない。扁平形状で、一方の辺を高さとしてそれを抑制できる形状であれば、上述した所定の機能を発揮することは可能である。そして、好ましくは、シリンダとのシール性の点から、その形状に直線部分を含まないものである。
【0202】
ポンプB408は、後述のようにリードスクリューB410の所定の回転に応じて、キャリッジB301の各インク室B304Y、B304M、B304Cへのインク補給およびキャップB405を介したインク吸引に関する圧力の発生源となる。図39は、そのためのポンプB408の内部構造を示す図である。
【0203】
図39に示すように、ポンプB408は、主要な要素として、シリンダB431、ピストンB421およびピストン軸B422を有して構成される。そして、シリンダB431は、上述したようにポンプB408の外形をなすケースをも構成するものであり、本プリンタに対して固定されるものである。一方、ピストン軸B422には、上述したポンプ駆動アームB409が接続し、これにより、ピストンは、リードスクリューB410の回転に応じてシリンダ内を移動することができる。
【0204】
ピストンB421は、その端部に設けられたОリングを介してシリンダB431の内壁と係合する。これにより、シリンダ内部B431aの、ピストンB421によって分けられる部分を相互に非連通として気密としつつ、上記内壁に対して摺動可能とすることができる。
【0205】
ピストン軸B422は、その一端に弁B422Aが形成されており、また、その軸方向に延在する中空部B422Bを有している。弁B422Aは、ピストン軸B422の動きに応じ、ピストンB421の内部に形成された内部空間の中で自由に動くことができる。そして、その動きにより、上記弁の上部で中空部の開口を囲むよう、ゴム等の可撓性材料で形成されるシール部が、上記内部空間を形成するピストンB421の内部上面B421aに密着して、ピストン軸B422の中空部B422Bとシリンダ内部B431aとを、相互に非連通として気密にすることができる。一方、弁B422Aが上記内部空間を形成する面のうち、内部下面B421bに当接するときは、弁B422Aの下面に形成された溝(不図示)を介して、ピストン軸の中空部B422Bとシリンダ内部B431aとは連通状態となる。
【0206】
シリンダB431の上端(図中、左側)には、空気導入口B432が形成される。この導入口B432は、図19に示したジョイント部材B401の空気吸引用キャップB403と連通するものであり、これにより、キャリッジB301の各インク室に対するメディアパックC100からのインク補給に際して、空気の吸引を行なうことができる。シリンダB431の上端には、また、調圧弁機構B425が設けられる。この調圧弁は、そのばねによる押圧力を調整することが可能であり、シリンダB431とピストンB421との間のシリンダ内部B431aの負圧が、その調節された押圧力に対応した大きさとなると(対応した大きさに圧力が低下すると)弁が開き、結果として、その負圧が一定の大きさに調整される。これにより、上記空気吸引を一定の負圧で行なうことが可能となる。
【0207】
一方、シリンダB431の下端部には、シール部材B424が設けられる。このシール部材は、シリンダ内部B431aを外部に対して気密にするとともに、ピストン軸B422Bとも、同様の気密状態を保ってそれを摺動可能とするものである。シール部材B424には、インク導入口B423が設けられ、この導入口は図19に示したキャップB405に連通する。これにより、キャップB405を介して吸引した廃インクをシリンダ内部B431aに導くことができる。なお、その連通路には、逆止弁(不図示)が設けられており、これにより、キャップB405からのインクを通し、逆に、シリンダ内部B431aから排出されるインクの流れを阻止することができる。
【0208】
以上の構成において、メディアパックC100のインクパックからキャリッジB301のインク室B304Y、B304M、B304Cへインクを補給する際は、リードスクリューB410の所定の回転によって、ピストンB421は下方(図39中、矢印B方向)へ移動し、これよりシリンダ内部B431aに負圧を生じさせる。そして、この負圧により、空気吸引用キャップB403等を介してこの内部B431aに連通するキャリッジB301の各インク室から空気を吸引してその内部を負圧にすることができ、これによって、インクパックから各インク室内へインクが導入される。この際、空気のみが上述した気液分離膜を通り、インクの通過は阻止される。そして、導入されたインクが気液分離膜まで達すると、圧力の釣り合い等によってそれ以上の吸引は行なわれなくなる。
【0209】
このピストンB421がシリンダB431内を下方へ移動する際、その前の工程でキャップB405を介して吸引され、シリンダ内部B431aにあった廃インクは、弁B422Aの下面に形成された溝を介して一旦弁B422Aの上側に回り、その後、ピストン軸の中空部B422Bを通って排出される。この排出された廃インクは、上述したように、ポンプアームB409の内部経路等をとおり、最終的に、メディアパックC100のインク吸収体に至る。
【0210】
一方、吸引回復動作では、リードスクリューB410の所定の回転により、ピストンB421がシリンダ内を上方(図39中、矢印A方向)ヘ移動する。これにより、シリンダ内部B431aに負圧を生じさせ、これに連通する、記録ヘッドのノズル配設面を覆うキャップB405の内部を負圧とすることができる。そして、この負圧により、ノズルを介して排出されたインクをシリンダ内部B431aに導くことができる。このとき、上述したように、ピストン軸の弁B422Aは、ピストンの内部空間の上面B421aに密着しており、シリンダ内部B431aとピストン軸の中空部B422Bとは相互に気密状態にあり、気密性が保持される。
【0211】
このピストンB421の上方への移動の際、同時に、ピストンの上方にあった空気は、空気導入口を介して、ジョイント部材B401の空気吸引用キャップB403へ向けて排出される。その際、ジョイント部材B401はキャリッジB301との接合状態は解除されているため、排出された空気がキャリッジのインク室に至り、記録ヘッドを内部から加圧するような事態は未然に防止される。
【0212】
以上説明したポンプB408の構成によれば、ピストン軸の中空部をインク排出経路として用いたので、従来の吸引回復処理で用いていたポンプのように、シリンダに切替え弁を設ける必要がなく、その弁とピストンとの位置調整のためのピストンのストロークを考慮する必要がなく、結果として、ピストンのストローク小さくすることが可能となる。また、調圧機構は、シリンダの外部に設けられるため、ポンプを製造する上で、その組みてもしくは組み込みの工程が容易になる。
【0213】
リードスクリューB410は、以上説明してきたように、メディアパックからキャリッジのインク室へのインク補給動作やキャップを介した吸引回復動作を始めとして、本プリンタ本体B100における種々の動作の動力伝達およびタイミング設定の機能を果たすものである。リードスクリューB410は、図19に示したように、二条の螺旋溝B410aと、それと所定の間隔をおいて形成される一条の螺旋溝B410bとを有している。そして、螺旋溝B410aには、ポンプスライダーB441の一部が係合してポンプ駆動アームB409を移動させる。一方、螺旋溝B410bには切替えスライダB412の一部が係合し、これによって、切替えスライダB412を移動させることができる。
【0214】
ポンプスライダーB441の移動によって行なわれる動作は、上述したように、ASFトリガB209の動作、インク室B304Y、304M、304Cへのインク補給、吸引回復およびワイピングである。一方、切替えスライダB412の移動によって行なわれる動作は、キャップB405の記録ヘッドに対するキャッピング動作と、ジョイント部材B401とキャリッジB301との離脱動作にかかるものである。
【0215】
図40(a)は、リードスクリューB410とこれを回転させるための駆動力を発生するポンプモータB104の駆動力伝達機構やこのリードスクリューによる上記各動作との関係を説明する図である。なお、この図には、プリント媒体の給紙、搬送にかかるLFモータB210とその駆動力伝達機構も併せて示されている。また、図40(b)は、キャリッジの移動にかかるキャリッジ(CR)モータと、それによって、リードスクリューB302を介して駆動されるキャリッジB301の移動を説明する図であり、本プリンタ本体B100においては、この図に示されるCRモータB310が図40(a)に示すポンプB408の左側に配置されるように、同図(b)に示す全体の構成が、同図(a)に示す構成に対して重畳するように配される(図20参照)。
【0216】
以下、この図40(a)と図41〜図45に示されるポンプ駆動アームB409と切替えスライダB412の動作位置を参照して、リードスクリューB410による各種動作の動力伝達およびタイミング設定について、説明する。
【0217】
図41は、ワイパーおよびキャップB405が上昇した位置にあるときのポンプスライダーB441および切り替えスライダB412の位置を示している。このとき、ポンプスライダーB441はリードスクリューB410の螺旋溝B410aに対して左端に位置しており、この左端への移動により、ポンプスライダーB441のワイパー押圧部B441aは移動する。そして、このワイパー押圧部B441aは、その移動によって、図42に示すように、その一端B442aが所定部材によって支持された、板ばね形態のワイパーベースB442の受け部B442bの部分を押し上げる。これにより、ワイパーB443は、立ち上がった状態となる。同時に、ワイパー押圧部B441aの先端に接続する開放弁腕B441bは、開放レバーB444aを押し、図45(c)に示すように、このレバーおよびこのレバーに連動する開放弁プレートB444bを、キャップB405の大気開放弁B445(図44(b)、(c))を大気開放位置にする。また、この左端への移動により、上述した吸引回復処理を行なうことものできる。
【0218】
このとき、他方の切替えスライダB412は、リードスクリューB410の螺旋溝B410bに対して右端にあり、これにより、キャップレバーアームB414は、キャップB405(同図では不図示)を上昇させた状態(キャップクローズ;キャッピング状態)の位置にある。すなわち、切替えスライダB412が一部はキャップレバーアームB414と接続しており、切替えスライダB412の右方への移動によってキャップレバーアームB414を回動させることにより、その一部B414aを上方に移動させてキャップB405を上昇した位置とすることができる。
【0219】
図43は、上記図41、図42に示した、ポンプスライダーB441および切替えスライダB412のそれぞれの螺旋溝に対する位置の他の位置による状態を示す図である。同図は、ポンプスライダーB441がその螺旋溝B410aに対して右端にあり、切り替えスライダB412はその螺旋溝B410bの中間部にあるときを示している。
【0220】
このとき、ワイパー押圧部B441aはワイパーベースB442の押し上げ位置から退避した位置にあり、これにより、ワイパーB443はキャリッジB301の移動範囲から退避した位置となる。また、ジョイント部B401がキャリッジの各インク供給針と接合した状態にあるときは、この右端への移動により、上述したピットインによるインク室へのインク補給を行なうことができる。さらに、このとき、ポンプスライダーB441の開放弁腕B441bは、図45(a)に示す状態にあり、キャップB405の大気開放弁B445は、図44(c)に示すように、弁を閉じた状態にある。
【0221】
一方、切替えスライダB412が左方に移動することにより、キャップレバーアームB414を回動させ、これにより、その一部B414aを押し下げてキャップB405をオープン状態とすることができる。
【0222】
以上、図41〜図45を参照して説明した状態は、リードスクリューB410の回転に応じてポンプ駆動アームおよび切替えスライダがとる位置の基本的な一例である。すなわち、リードスクリューB410の時計回り(CW)または反時計回り(CCW)によって、螺旋溝B410aおよび螺旋溝B410bは、それらの形成される範囲もしくは長さ、また、条の密度を適切に定めることにより、それぞれの上述したような基本的動作を可能とし、それらの組合せによって、図50にて後述する、ポンプモータB104を駆動源とした各種処理が可能となる。例えば、上記の説明では、キャップB405の上昇とワイパーB443の立ち上がりが同時に行なわれるように説明したが、ワイパーのみの立ち上がりを行なうことなどもできる。
【0223】
3.4「パック接続機構」
パック接続機構におけるインク供給針B502C、502M、502Yと廃インク用針B503は、インク針ホルダB501によって一体に保持される。これにより、メディアパック装着時にそのインクパックジョイントC132との上記針の接合を一体に行なうことができる。この構成によれば、特に、上記ジョイントC132をスライドさせて接合を行うときに作用する力を、そのスライドに集中することができる。これに対し、仮に、各色の針が個々に保持されているときは、上記力は分散し上記のスライドが適切に行なえない事態も生じることにもなる。
【0224】
4「制御系」
4−1「制御系の構成」
図46は、カメラ部A100とプリンタ部B100の概略のブロック構成図である。
【0225】
カメラ部A100において、101は撮像素子としてのCCD、102は音声入力のためのマイク、103はハードウェア処理を行なうASIC、104は画像データ等を一時的に記憶する第1メモリ、105は撮像画像を記憶するCFカード(「CFカードA107」に相当)、106は撮影画像または再生画像を表示するLCD(「液晶表示部A105」に相当)、120はカメラ部A100の制御をする第1CPU、である。
【0226】
プリンタ部B100において、210は、カメラ部A100とプリンタ部B100との間のインターフェース、201は画像処理部(画像を2値化する2値化処理部を含む)、202は画像処理を行なう上で使用する第2メモリ、203はバンドメモリ制御部、204はバンドメモリ、205はマスクメモリ、206はヘッド制御部、207は記録ヘッド(「記録ヘッドB305」に相当)、208はエンコーダ(「エンコーダ検出素子B309」に相当)、209はエンコーダカウンタ、220はプリンタ部B100を制御する第2CPU、221はモータドライバ、222はモータ(「ポンプモータ,LFモータ,キャリッジモータ」に相当)、223はセンサ(「CRセンサB313」を含む)、224はメディアパックC100に内蔵されているEEPROM、230は音声エンコーダ部、250は装置全体に電源を供給する電源部(「電池A108」に相当)、である。
【0227】
図47は、カメラ部A100における信号処理の説明図である。撮影モードの時は、レンズ107を通してCCD101により撮像された画像は、ASIC103により信号処理(CCD信号処理)され、YUV輝度2色差信号に変換される。更に、所定の解像度にリサイズされ、JPEG圧縮されてCFカード105に記録される。また、音声に関しては、マイク102より入力され、ASIC103を介してCFカード105に記憶される。音声の記録に関しては、撮影時と同時、または、撮影後のアフレコとして記憶させることができる。再生モードの時には、CFカード105よりJPEG画像が読み出され、ASIC103によりJPEG伸張され、更に表示用の解像度にリサイズされてLCD106に表示される。
【0228】
図48は、プリンタ部B100における信号処理の説明図である。
【0229】
カメラ部A100側で再生された画像、即ちCFカード105より読み出された画像は、図47のように、ASIC103によってJPEG伸張され、プリントする解像度に適する解像度にリサイズされる。そして、リサイズされた画像データ(YUV)はインターフェース部210を介してプリンタ部B100へ送られる。プリンタ部B100は、図48のように、カメラ部A100より送られた画像データを画像処理部201により画像処理し、画像データのRGB信号への変換、カメラの特性に応じた入力γ補正、ルックアップテーブル(LUT)を用いての色補正および色変換、プリントするための2値化信号への変換をする。2値化処理の際には、誤差拡散(ED)処理を行うために、誤差メモリとして第2メモリ202を用いる。本例の場合、画像処理部201における2値化処理部は誤差拡散処理を行なっているが、ディザパターンを使った2値化処理等、他の処理を行うことも可能である。2値化されたプリントデータはバンドメモリ制御部203によって、一旦バンドメモリ204に記憶される。プリンタ部B100のエンコーダカウンタ209には、記録ヘッド207およびエンコーダ208を搭載したキャリッジB104が一定距離移動する毎に、エンコーダ208からのエンコーダパルスが入る。そして、このエンコーダパルスに同期して、バンドメモリ204とマスクメモリ205からプリントデータが読み出され、そのプリントデータに基づき、ヘッド制御部206が記録ヘッド207を制御して記録を行う。
【0230】
図48中のバンドメモリ制御について説明すると次のとおりである。
【0231】
記録ヘッド207における複数のノズルは、例えば、1200dpiの密度をなすように列状に形成されている。このような記録ヘッド207を用いて画像を記録すべく、キャリッジを1回走査させるときには、副走査方向(以下、「縦(Y方向)」ともいう)においてはノズル数分、主走査方向(以下、「横(X方向)ともいう」)においては記録領域分の記録データ(1走査分の記録データ)を、予め作成しておく必要がある。記録データは、画像処理部201にて作成されてから、バンドメモリ制御部203によってバンドメモリ204に一旦蓄えられる。バンドメモリ204に1走査分の記録データが蓄えられた後、キャリッジが主走査方向に走査される。その際、エンコーダ208より入力されたエンコーダパルスがエンコーダカウンタ209によってカウントされ、このエンコーダパルスにしたがってバンドメモリ204から記録データが読み出され、その画像データに基づいて記録ヘッド207からインク滴が吐出される。記録ヘッド207の往走査時および復走査時に画像を記録(往路記録および復路記録)する双方向記録方式を採用した場合には、記録ヘッド207の走査方向に応じて、バンドメモリ204から画像データが読み出される。例えば、往路記録時は、バンドメモリ204から読み出される画像データのアドレスが順次インクリメントされ、復路記録時は、バンドメモリ204から読み出される画像データのアドレスが順次デクリメントされる。
【0232】
実際には、画像処理部201により作成された画像データ(C,M,Y)がバンドメモリ204に書き込まれて、1バンド分の画像データが準備されたとき、記録ヘッド207の走査が可能となる。そして、記録ヘッド207を走査し、バンドメモリ204より画像データを読み出して、その画像データに基づいて記録ヘッド207が画像を記録する。記録動作の間に、次に記録すべき画像データが画像処理部201にて作成され、その画像データは、その記録位置に対応するバンドメモリ204の領域に書き込まれる。
【0233】
このように、バンドメモリ制御は、画像処理部201により作成された記録データ(C,M,Y)をバンドメモリ204に書込む作業と、キャリッジの走査動作に合わせて、記録データ(C,M,Y)をヘッド制御部206に送るために読み出す作業と、を切替えながら行なう。
【0234】
図48中のマスクメモリ制御について説明すると次のとおりである。
【0235】
このマスクメモリ制御は、マルチパス記録方式を採用した場合に必要となる。マルチパス記録方式の場合、記録ヘッド207のノズル列の長さに相当する幅をもつ1行分の記録画像は、記録ヘッド207の複数回の走査に分けて記録される。すなわち、副走査方向に間欠的に搬送されるプリント媒体の搬送量がノズル列の長さの1/Nとされ、例えば、N=2のときは、1行分の記録画像が2回の走査に分けて記録(2パス記録)され、N=4のときは、1行分の記録画像が4回の走査に分けて記録(4パス記録)される。同様に、N=8のときは8パス記録、N=16のときは16パス記録となる。したがって、1行分の記録画像が記録ヘッド207の複数回の走査によって完成されることになる。
【0236】
実際には、マスクメモリ205に、画像データを記録ヘッド207の複数回の走査に割り当てるためのマスクデータが格納されており、そのマスクデータと画像データとの論理積(AND)データに基づき、記録ヘッド207がインクを吐出して画像を記録する。
【0237】
また、図48において、CFカード105に記憶された音声データは、ASIC102により、画像データと同じように、インターフェース210を介してプリンタ部B100へ送られる。プリンタ部B100に送られた音声データは、音声エンコーダ230においてコード化(エンコード)されて、プリントする画像の中にコードデータとして記録される。プリント画像に音声データを入れる必要の無い時、または、音声データの無い画像をプリントする際には、当然に、コード化された音声データはプリントされず、画像のみがプリントされる。
【0238】
本実施例においては、カメラ部A100とプリンタ部B100が一体となったプリンタ内蔵カメラとして説明を行なってきた。しかし、カメラ部A100とプリンタ部B100を分離した別々の装置とし、それらをインターフェース210により接続した構成においても同様に構成して、同様の機能を実現することが可能である。
【0239】
4−2「動作のまとめ」
図49および図50を用いて、図46〜図48の制御系により行われる上記実施形態の動作を概略的に説明する。
【0240】
まず、図49は電源オン時の処理手順の一例を示し、ステップS2では、操作者が電源スイッチを操作することによって装置電源が投入されたか否かを判断する。ここで、肯定判定であればステップS3へ進み、一方否定判定であれば待機状態が継続される。
【0241】
ステップS3では、操作者によって挿入部A002にメディアパックC100が装填されたか否かを判断する。ここで、肯定判定であればステップS4へ、一方否定判定であれば装填を待機する。この際、メディアパックの装填を促す表示処理を行うようにしてもよい。
【0242】
メディアパックC100が装着されると、その装着の動作に伴って、装置本体側の針B502C,B502M,B502Y,B503がパック側のゴム栓C134内方に進入し、装置本体へのインク流路およびパックへの廃インク流路が形成される。また、装置本体側の比較的硬質の多孔質材料でなるインク吸収体B506が、パック側の比較的軟質の多孔質材料吸収体C141を圧縮変形させた状態で当接する。さらに、未使用のパックが装着された場合には、装着動作に伴ってジョイントC132が移動し、針133がインクパックC130内に突入してインク供給が初めて可能となる。
【0243】
また、装着動作に伴って、装置本体側のガイドピンGP1,GP2がパック側のガイド孔C163A,C163Bに進入し、開口部C101Lを拡幅してプリント媒体1枚の通過を許容するようにする。さらに、ピックアップローラB201と押圧板B202とによってパックが収納しているプリント媒体が挟持可能となる。
【0244】
さらに、装着動作に伴って、EEPROM224等に関連した電気的接続が行われる。そして、この電気的接続により、例えば廃インク回収用の開口部C101Jからのインク漏洩が生じたような場合、装置本体側では電気的な異常を検出することでインク漏洩の検知ないし報知の処理を行うことができる。かかる検出は、制御系のプログラムに対する割り込み処理によって適時行い、インク漏洩が生じた場合にその旨をLCD106に表示するようにしてもよいし、また制御系のプログラムとは係わりなく短絡時にランプを点灯させる等の電気回路を別途構成してもよい。
【0245】
ステップS4ではモード判定を行い、撮影モードに設定されているかプリントモードに設定されているかを判断する。撮影モードに設定されていれば、ディジタルカメラとしての動作が行われる。すなわち、露出制御値の決定、測距情報の決定、およびストロボ発光の有無等、露出動作に必要な諸条件の設定や、焦点あわせのためのレンズ駆動、シャッターの速度制御、絞りの開口量制御、必要であればストロボ発光等の一連の露光動作等を行う。なお、この手順ではメディアパックの挿入検知後に撮影モードおよびプリントモードへの分岐が可能なものであるが、メディアパックの装着を行わないまま、すなわちプリントを前提とせず本例装置を単にカメラとして使用する場合を考慮し、強制的に撮影モードに移行する処理を付加してもよい。
【0246】
一方、プリントモードに設定されていれば、次に述べるような処理を行う。ここに、プリントモードは、ユーザーが撮影モードにて撮影した画像や、CFカード105に格納されている画像の選択を行い、そのプリントを希望してプリントボタンを操作したとき等に設定されるものとすることができる。
【0247】
図50はプリントモードでの処理手順の一例を示す。
【0248】
本手順が起動されると、まずステップS10にてインク補給処理が行われる。このインク補給処理とは、インク室B304に吸引力を作用するためにポンプB408のシリンダ内の所定位置にピストンを設定する動作(ポンプイニシャライズ;ステップS11)、記録ヘッド側の針および吸引口と、装置側部のジョイント(B402Y、B402M、B402C)および吸引用キャップB403とをそれぞれ結合するに先立ってキャップレバーアームB414ないし戻しレバーB404を退避させる動作(キャップアームレバー戻し;ステップS12)、当該結合位置から離隔した所定位置にキャリッジB301を設定しておく動作(キャリッジ位置イニシャライズ;ステップS13)、当該位置から上記結合位置に向けてキャリッジB301を移動させ、キャリッジB301が十分かつ安定した速度をもった状態として記録ヘッド側の針および吸引口と装置側部のジョイントおよび吸引用キャップとをそれぞれ結合する動作(ジョイント結合;ステップS14)、および、ポンプB408を作動させてインク室B304に吸引力を作用することによりプリント媒体1枚分のインクをインク室内に導入する動作(インク補給動作;ステップS15)等を含むものである。なお、ジョイント結合にあたっては、記録ヘッド側の針とジョイントとの結合が先に開始される。
【0249】
インク補給動作が完了すると、キャリッジB301を上記ジョイント結合位置から離脱させる処理(ジョイント離脱;ステップS20)が行われる。この処理は、キャリッジモータの駆動によってキャリッジB301が結合位置からホームポジションに移動させることによって行われるが、その際にポンプB408の駆動力がキャップアームレバーを介して伝達され、戻しレバーB404がキャリッジB408をホームポジション方向へ付勢することで、当該離脱が円滑に行われるようになる。
【0250】
次に、ステップS30では回復処理を行う。この回復処理とは、キャップB405をヘッドの吐出口形成面に接合し(キャップクローズ)、ポンプを作動させてキャップ内を吸引しすることによりインクを強制排出させる動作(吸引回復;ステップS31)、キャップB405を吐出口形成面から離隔させる動作(キャップオープン;ステップS32)、および、ワイパを突出させるとともにキャリッジを移動させ、吐出口形成面をワイパにより拭わせる動作(ワイピング:ステップS33)等を含むものである。
【0251】
次に、ステップS40では給紙処理を行う。この給紙処理とは、ASFトリガB209の解除によってピックアップローラB201と押圧板202とによりパックが収納しているプリント媒体を挟持させる動作(ステップS41)、給紙ローラの回転によってプリント媒体を装置本体側に送給させる動作(ステップS42)、送給開始に伴ってASFトリガB209によりピックアップローラB201および押圧板202を再び挟持待機位置に移動させる動作(ステップS43)、および、プリント媒体先端部をプリント位置に設定する頭出し動作(ステップS44)を含むものである。
【0252】
以上のような処理の終了後、画像データに基づいてプリント処理が行われる(ステップS50)。すなわち、記録ヘッドの走査とプリント媒体の搬送とを交互に行いつつ、指定された画像の形成動作が行われ、その後プリント媒体が装置外に排出される。
【0253】
プリント処理後には、ステップS60にて終了動作が行われる。この終了処理とは、ワイパを突出させるとともにキャリッジB301を移動させ、吐出口形成面をワイパにより拭わせる動作(ワイピング:ステップS61)、その後にワイパを退避させる動作(ステップS62)、および、キャップB405をヘッドの吐出口形成面に接合させる動作(キャップクローズ;ステップS63)等を含むものである。
【0254】
以上説明した実施形態によれば、プリンタの消耗材を収容する容器に、プリンタから排出されるインクを導入するための導入部を複数備えたことにより、プリンタの種々の部位から排出されるインクを、その排出量や排出形態などに応じて適確に導入して受容することができる
【0255】
また、プリンタの消耗材を収容する容器に、プリンタから排出されるインクを導入するための導入部と、その導入部の近傍に位置するEEPROMなどの記憶手段を備えることにより、記憶手段とプリンタとの電気的な接続部に、導入部から漏れたインクが浸入することを利用して、そのインクの漏れを検知することができる。
【0256】
また、プリンタの消耗材を収容する容器に、プリンタから排出されるインクを導入するための導入部と、プリンタのプリント媒体送給手段の結合を許容する受容部と、を離隔して配置することにより、導入部から漏れたインクによるプリント媒体の汚染を防止することができる。
【0257】
また、プリンタの消耗材を収容する容器に、複数の導入部から導入したインクを吸収可能な吸収体を備えて、複数の導入部に対応する吸収体の部分の間においてインクの浸潤経路を迂回させることにより、特に回復動作によって記録ヘッドから排出された吸収体に吸収した廃インクを外部に漏れにくく保持することができる。
【0258】
また、プリンタの消耗材を収容する容器に、プリント媒体を円滑に供給するためのシート状部材を備えることにより、プリント媒体をプリンタに確実に供給することができる。
【0259】
また、プリンタの消耗材を収容する容器に、プリンタのプリント媒体送給手段の結合を受容する受容部と、プリンタのプリント媒体付勢手段の結合を受容する受容部と、を備えて、それらの受容部を容器内のプリント媒体を挟んで対向させることにより、それらの受容部に受容されるプリント媒体送給手段とプリント媒体付勢手段を用いて、プリント媒体をプリンタに確実に供給することができる。
【0260】
また、プリンタの消耗材を収容する容器に、インクを収納するインク収納部を備えると共に、容器をプリンタに装着したときに、インク収納部内に突入してインク連通を行わせるインク連通部材を備えることにより、容器をプリンタに装着する前は、インク収納部が外部から独立してインクを密閉収納することができる。この結果、容器の流通時におけるインクの漏れを防止することができると共に、インクを独立して密閉収納する袋状などのインク収納部を簡単に製造して組み付けることができる。
【0261】
また、プリンタの消耗材を収容する容器に、プリンタのプリント媒体送給手段の結合を許容する受容部と、容器内に収納された複数色のインクをプリンタに供給可能な複数のインク供給接続部と、プリンタから排出されるインクを導入するための導入部と、をその順序に並ぶように備えることにより、導入部から漏れたインクによるプリント媒体の汚染を防止することができる。さらに、複数のインク供給接続部と、プリンタから排出されるインクを導入するための導入部とを一体化することで装着を用意にする。
【0262】
また、プリンタの消耗材を収容する容器に、容器内に収容したプリント媒体をプリンタに供給するためのプリント媒体供給口を備え、容器をプリンタに装着したときに、プリント媒体供給口の間隔を規定の大きさに調整することにより、容器の製造時におけるプリント媒体供給口の間隔の寸法精度を特に高めることなく、容器をプリンタに装着したときに、そのプリント媒体供給口の間隔を最適な寸法に規制することができる。
【発明の効果】
本発明によれば、上記した「発明が解決しようとする課題」の項に記載したような、ディジタルカメラに一体化される小型軽量化が要求されるインクジェット記録装置のプリンタ用として好適なメディアパックを提供することが可能となる。すなわち、必要最小限の構成要素を具えることで小型化が実現でき、必要に応じてプリンタに装着することが可能で、プリント動作時以外のときはこれを外すことによってプリンタを扱いやすくすることができるメディアパックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能なプリンタ内蔵カメラの正面図である。
【図2】図1のカメラの斜め前方からの斜視図である。
【図3】図1のカメラの斜め後方からの斜視図である。
【図4】図1のカメラの内部における主要構成部の配置関係を示す斜視図である。
【図5】図1におけるメディアパックを表面側から見た斜視図である。
【図6】図5のメディアパックを裏面側から見た斜視図である。
【図7】図5のメディアパックの分解斜視図である。
【図8】図5のメディアパックにおけるパック本体の平面図である。
【図9】(a)は、図5のメディアパックにおけるホルダとジョイントの非結合状態を説明するための要部の平面図、(b)は、それらのホルダとジョイントの結合状態を説明するための要部の平面図である。
【図10】(a)は、図5のメディアパックにおけるホルダとインクパックの非接続状態を説明するための要部の断面図、(b)は、それらの接続状態を説明するための要部の断面図である。
【図11】図5のメディアパックの装着状態を説明するための要部の斜視図である。
【図12】図5のメディアパックが装着される前後の状態を説明するための要部の斜視図である。
【図13】図5のメディアパックが装着される前後の状態を説明するための要部の平面図である。
【図14】図5のメディアパックが装着されたときの状態を説明するための要部の平面図である。
【図15】図5のメディアパックの装着時に形成される廃インクの排出経路を説明するための要部の平面図である。
【図16】(a)は、図5のメディアパックにおけるプリント媒体搬出用の開口部の構成例を説明するための正面図、(b)は、(a)のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図17】(a)は、図5のメディアパックにおけるプリント媒体搬出用の開口部の他の構成例を説明するための正面図、(b)は、(a)のXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図18】本発明の一実施形態にかかるプリンタ本体を示す斜視図である。
【図19】上記プリンタ本体を、シャーシの一部を除いて示す斜視図である。
【図20】上記プリンタ本体の側方から見た断面図である。
【図21】上記プリンタ本体の、特にメディアパックとの接合部における給紙のための機構における上記パックの装着後の状態を示す斜視図である。
【図22】上記給紙のための機構における上記パックの装着前の状態を示す斜視図である。
【図23】上記給紙のための機構における、特にASFトリガの一動作位置を示す図である。
【図24】上記給紙のための機構における、特にASFトリガの他の動作位置を示す図である。
【図25】上記給紙のための機構におけるピックアップローラと押圧板の初期位置を示す図である。
【図26】上記給紙のための機構におけるピックアップローラと押圧板の待機位置を示す図である。
【図27】上記給紙のための機構におけるピックアップローラと押圧板によりプリント媒体を挟んだ状態を示す図である。
【図28】 (a)、(b)および(c)は、上記給紙のための機構におけるピックアップローラと押圧板によって、上記パック内に積層されるプリント媒体を一枚づつ給紙する動作を説明する図である。
【図29】上記プリンタ本体における、特に、キャリッジと接続してキャリッジ上のインク室にインク補給を行なうためのジョイント部材を示す図である。
【図30】上記ジョイント部材にキャリッジのインク供給針が挿入される前の状態を示す斜視図である。
【図31】図30に示す状態の平面図である。
【図32】図30、図31に示す状態から、さらにキャリッジが移動してキャリッジのインク供給針が挿入された状態を示す図である。
【図33】図32に示す状態から、さらにキャリッジが移動してキャリッジの空気吸引用孔がジョイント部材の空気吸引用キャップ当接した状態を示す図である。
【図34】上記キャリッジとジョイント部材の接合の後、キャリッジが接合を離れる構成示す図である。
【図35】 (a)、(b)および(c)は、上記キャリッジが接合を離れる構成における、特に抜きレバーの動作を説明する図である。
【図36】上記プリンタ本体における、特に、キャリッジと一体に取り付けられたエンコーダ検出素子に関する構成を示す斜視図である。
【図37】上記エンコーダ検出素子を構成する発光素子と受光素子を示す図である。
【図38】上記エンコーダおよびエンコーダスケールとキャリッジに接続されるフレキシブル基板との関係示す図である。
【図39】本実施形態のプリンタ本体で用いられるポンプの構造を示す縦断面図である。
【図40】 (a)および(b)は、本実施形態のプリンタ本体で用いられる二つのリードスクリューそれぞれによる動作を説明する図である。
【図41】上記二つのリードスクリューのうち、ポンプモータによって駆動されるリードスクリューにより移動するポンプ駆動アームと切替えスライダのとる位置に応じた各種動作を説明するためのプリンタ本体の斜視図である。
【図42】上記図41に示される同じ状態を、別の要素を付加して示す図である。
【図43】上記ポンプ駆動アームと切替えスライダのとる他の位置に応じた各種動作説明するためのプリンタ本体の斜視図である。
【図44】 (a)、(b)および(c)は、図41、図42および図43に示される各状態のときのキャップの大気開放弁の状態を説明する図である。
【図45】 (a)、(b)および(c)は、図41、図42および図43に示される各状態のときのキャップの大気開放弁を動作させる機構の状態を説明する図である。
【図46】図1のカメラにおけるカメラ部とプリンタ部の概略ブロック構成図である。
【図47】図46のカメラ部における信号処理の説明図である。
【図48】図46のプリンタ部における信号処理の説明図である。
【図49】図46の構成による電源オン時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図50】図46の構成によるプリントモードでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
A001 装置本体
A002 挿入部
A100 カメラ部
A101 レンズ
A102 ファインダー
A102a ファインダー窓
A103 ストロボ
A104 レリーズボタン
A105 液晶表示部(外部表示部)
A107 コンパクトフラッシュメモリカード(CFカード)
A108 電池
A109 排出部
B100 プリンタ部(記録装置部)
B101 シャーシ
B201 ピックアップローラ
B202 押圧板
B203 ローラアーム
B204 ASFコネクト軸
B205、B207 PFローラ
B206、B208 ピンチローラ
B209 ASFトリガ
B225 連結ばね
B301 キャリッジ
B301Y、B301M、B301C インク供給用針
B302 リードスクリュー
B304Y、B304M、B304C インク室
B305Y、B305M、B305C 記録ヘッド
B306 プラテン
B307 フレキシブル基板
B308 エンコーダスケール
B309 エンコーダ検出素子
B401 ジョイント部材
B402Y、B402M、B402C ジョイント
B403 空気吸引用キャップ
B404 戻しレバー(抜きレバー)
B405 キャップ
B408 ポンプ
B409 ポンプ駆動アーム
B410 リードスクリュー
B412 切替えスライダ
B414 キャップレバーアーム
B441a ワイパー押圧部
B441b 開放弁腕
B442 ワイパーベース
B443 ワイパー
B444a 開放弁レバー
B444b 開放弁プレート
B445 開放弁
B501 針ホルダ
B502Y、B502M、B502C インク供給針
B503 廃インク用針
B504 針キャップ
B506 インク吸収体
B507 コネクタ
C100 メディアパック(プリンタ用消耗材収納容器)
C101 パック本体
C101A,101B,101C リブ
C101D,C101D,C101E 突起
C101F 壁部
C101G 隙間
C101H,C101J,C101L,C101M 開口部
C101K 孔部
C101N 切り欠き部
C101X 周壁部
S1,S2,S3,S4,S5(S5−1,S5−2) 収容部
C102 カバー
C102−1
C102A 爪部
C102B 切り欠き部
C103 シール
C130(C130−C,C130−M,C130−Y) インクパック
C130A 折り返し部分
C131 インクパックジョイント
C131A 湾曲面
C131B 開口部
C131C 結合爪
C132 インクパックジョイント
C132−1 一端部
C132−2 他端部
C132−3 中央部
P1,P2,P3,P4,P5 ポート
L1,L2,L3,L4 インク流路
C133 針
C141(C141−1,C141−2) インク吸収体
C141A スリット
C141B 溝部
C141C 小幅部分
C141−L 第1吸収領域
C141−S 第2吸収領域
C150 プリント媒体
C151 スライドシート
C151A 切り欠き部
C152 プレスシート
C153 プレスプレート
C154 位置決めばね
C154A,C154B 両端部
C154C,C154D,C154E,C154F 脚部
C155 シャッター
C155 シャッターばね
101 CCD
102 マイク
103 ASIC
104 第1メモリ
105 CFカード(「CFカードA107」に相当)
106 LCD(「液晶表示部A105」に相当)
107 レンズ
120 第1CPU
201 画像処理部
202 第2メモリ
203 バンドメモリ制御部
204 バンドメモリ
205 マスクメモリ
206 ヘッド制御部
207 記録ヘッド
208 エンコーダ
209 エンコーダカウンタ
210 インターフェース
220 第2CPU
221 モータドライバ
222 モータ
223 センサ
224 EEPROM
230 音声エンコーダ部
250 電源部

Claims (6)

  1. インクを貯留したインクパックと、該インクパックに付設されプリンタのインク供給針と接続するジョイントと、記録に用いられなかったインクを吸収する廃インク吸収体と、スライドシートと、プリント媒体と、該プリント媒体を前記スライドシートに付勢するばね部材と、を筐体内に備えたメディアパックにおいて、
    前記ジョイントは前記インクパックと連通する一端部と、インク供給針と接続するポートを備えた他端部と、前記一端部と前記他端部を繋ぐインク流路を有した中央部を備えて構成されており、
    前記インクパックは前記筐体の一面に配置され、かつ前記ジョイントはその他端部が前記筐体の一側面に臨むように配置されるとともに、前記廃インク吸収体は前記インクパックに付設された前記ジョイントの前記中央部が前記廃インク吸収体上を横断するように前記インクパックと並列に前記筐体の一面に配置され、
    前記ジョイントを含む前記インクパックと前記廃インク吸収体とが覆われるように前記スライドシートが積層されるとともに、前記スライドシートの上に前記プリント媒体および前記ばね部材がこの順に積層されており、
    前記筐体は前記インクパック及び前記廃インク吸収体が配された一面であって、前記ジョイントおよび前記廃インク吸収体が配されていない領域に開口部を有しており、該開口部と対面した個所は前記スライドシートが介在しないで前記プリント媒体が臨んでいることを特徴とするメディアパック。
  2. 記ジョイントは前記一側面の中央領域に配されており、前記開口部はジョイントに向って左側の一面に設けられ、右側の一面には情報媒体が配されていることを特徴とする請求項1に記載のメディアパック。
  3. 前記メディアパックは、前記プリンタへの装着によって開くシャッタを前記開口部に備えていることを特徴とする請求項1に記載のメディアパック。
  4. 前記ジョイントは複数のインク流路を備えており、その1つはプリンタからの廃インクが流れるもので、前記ジョイントの中央部で開口しており、この開口から前記廃インク吸収体に廃インクを排出することを特徴とする請求項1に記載のメディアパック。
  5. 前記廃インク吸収体は、前記ジョイントの中央部で開口したインク流路から廃インクを受ける個所と、プリンタ側に配された廃インク吸収体と接触して廃インクを受ける個所を備えることを特徴とする請求項4に記載のメディアパック。
  6. インクを貯留したインクパックと、該インクパックに付設されプリンタのインク供給針と接続するジョイントと、記録に用いられなかったインクを吸収する廃インク吸収体と、スライドシートと、プリント媒体と、該プリント媒体をスライドシートに付勢するばね部材と、を筐体内に備えたメディアパックと、
    記録ヘッドと、該記録ヘッドにインクを供給するために前記インクパックの前記ジョイントと接続するインク前記供給針と、前記プリント媒体と接触して前記プリント媒体を給送するピックアップローラと、を備えたプリンタと、
    を具えたインクジェット記録装置において、
    前記メディアパックの前記ジョイントは前記インクパックと連通する一端部と、インク供給針と接続するポートを備えた他端部と、前記一端部と前記他端部を繋ぐインク流路を有した中央部を備えて構成されており、前記メディアパックの前記インクパックは前記ジョイントの他端部が前記筐体の一側面に臨んで配されるように前記筐体の一面に配置されるとともに、前記廃インク吸収体は前記インクパックに付設された前記ジョイントの前記中央部が前記廃インク吸収体上を横断するように前記インクパックと並列に前記筐体の一面に配置され、前記ジョイントを含む前記インクパックと前記廃インク吸収体とが覆われるように前記スライドシートが積層されるとともに、前記スライドシートの上に前記プリント媒体および前記ばね部材がこの順に積層されており、かつ前記メディアパックの前記筐体は前記インクパック及び前記廃インク吸収体が配された一面であって、前記ジョイントおよび前記廃インク吸収体が配されていない領域の前記一側面の側に開口部を有しており、該開口部と対面した個所は前記スライドシートが介在しないで前記プリント媒体が臨んでおり、
    前記メディアパックが前記プリンタに装着されることで、前記プリンタの前記ピックアップローラが前記メディアパックの前記開口部を介して前記メディアパックの内部に入り込んで前記プリント媒体と接触し、前記ピックアップローラの回転によって前記プリント媒体が給送されることを特徴とするインクジェット記録装置。
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