JP4527886B2 - ヘッダー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヘッダー管ユニット間を特殊な差し込み接続構造で接続したヘッダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
管状体を接続するのに、Oリング及び抜止めリングを装着した受け口内に差し口を差し込み、Oリングの圧縮により水密性を付与し、引き抜きに対する抜止めリング先端の差し口外面への食い込みで抜け止めを行なうことが知られている。この接続構造において、抜止めリングをOリングよりも奥側に配置すると、抜止めリングが輸送液体に接して腐食され易く、耐久性を保証し難い。この腐食防止のために、樹脂製の抜止めリングを用いると、樹脂が金属に較べ強度が低いために、抜止めリングの大型化が避けられず、接続部寸法の増大が余儀なくされる。
【0003】
他方、抜止めリングをOリングよりも外側に配置すると、差し口が抜止めリング内を通過する際に表面が傷付けられ、この傷付いた差し口表面にOリングが圧接されるために、充分な水密性を保証し難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、特開平11−82848号公報には、抜止めリングをOリングよりも外側に配置しても、抜止めリングによる差し口外面の傷付きの防止を図るために、図6の(イ)に示すように、抜止めリング15’の手前に環状の楔状スペーサ17’を隣接配置し、差し口2’の差し込み中、楔状スペーサ17’の内周先端部171’を抜止めリング15’内周の爪151’の下側に潜り込ませて爪151’を差し口2’の外面に接触させないようにし、差し口2’の差し込み後、図6の(ロ)に示すように、差し口2’を引き抜く方向に引っ張り、楔状スペーサ17’の矢印方向移動により抜止めリング15’の内周の爪151’を差し口2’の表面に接触させ食い込ませることが提案されている。
【0005】
しかしながら、図6の(ロ)において、差し口2’の引き抜き方向引っ張りで楔状スペーサ17’を移動させるには、図6の(ハ)に示すように、楔状スペーサ17’の内周先端部171’が抜止めリング15’の爪151’で押し付けられた状態において、楔状スペーサ17’の内周先端部171’と差し口2’外面との間の摩擦拘束力を抜止めリング15’の内周爪部151’と楔状スペーサ17’の内周先端部171’との間の摩擦拘束力よりも低くすることが必要であるにもかかわらず、この条件を安定に確保することが困難であり、確実な抜け止め保証し難い。
【0006】
本発明の目的は、受け口内にOリングと抜止めリングとをOリングを奥側に配置して装着のうえ、差し口を差し込むようにする管状体の差し込み接続構造を、枝管用ヘッダー管ユニットの相互間、及び枝管用ヘッダー管ユニットと本管用ヘッダー管ユニットとの間の差し込み接続構造に適用しても、差し込み時での抜止めリングによる差し口外面の傷付けを排除してOリングによる満足な水密性付与を保証可能なヘッダーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
願請求項1記載の発明に係るヘッダーは、側部に枝管が接続される複数箇の枝管用ヘッダー管ユニットと、本管が接続される本管用ヘッダー管ユニットとを有し、前記枝管用ヘッダー管ユニットの相互間、及び前記枝管用ヘッダー管ユニットと前記本管用ヘッダー管ユニットとの間の差し込み接続構造が、受け口内の奥側にシールリングを装着し、そのシールリングよりも外側に抜止め部材を装着した受け口に差し口を差し込む接続構造であって前記差し口の先端から少なくとも前記シールリング圧接部位に至る前方部分の外径を、前記差し口における抜止め部材が食い込み係止される後方部分の外径よりも小さくした差し込み接続構造であることを特徴とするヘッダーである
【0008】
願請求項2記載の発明に係るヘッダーは、前記受け口内にスペーサを組み込んで、該スペーサと前記受け口内の奥側段面との間の空間をシールリング装着空間とし、前記スペーサを押え固定する袋ナットと前記スペーサとで前記抜止め部材を挾持したことを特徴とする請求項1記載のヘッダーである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る差し込み式接続構造の一実施例を示す縦断面図である。
図1において、1は一方の管状体A1の一端に一体的に形成した受け口であり、スペーサ11を組込み、このスペーサ11を押え固定するための袋ナット12を螺合してある。13は受け口内の奥側に装着したシールリング(Oリング)であり、受け口内の奥側段面14とスペーサ11との間の環状空間に収容してある。15は抜止め部材、例えば抜止めリングであり、内周部に切れ目を入れて爪状151に加工した剛性金属板リング(例えば、鋼板リング)を用いることができ、袋ナット12とスペーサ11との間に挾持することにより前記シールリング13よりも前方に配置してある。16は抜止めリング15の拡開された爪151を納めるための空間であり、スペーサ11を切欠き加工することにより形成してある。
【0010】
2は他方の管状体A2の他端に形成した差し口であり、差し口の先端211からシールリング圧接部位を越える位置pに至る前方部分21の外径を抜止めリング15の内径よりも小さくし、位置pから差し口始端20に至る後方部分22の外径を抜止めリング15の内径よりも大きくしてあり、位置pに段差23が存在している。
【0011】
図示の実施例では、スペーサ内面の中間に上記の段差23を位置させ、この段差に係止させる段差123をスペーサ11の内面に形成してある。従って、図示の実施例では、差し口の差し込み限界がスペーサ内面の段面123への差し口外面の段面23の当接により規制される。
【0012】
本発明に係る接続構造により管状体を接続するには、受け口内にシールリング及びスペーサを納め、受け口端面に抜止めリングを配置し、袋ナットを螺合して抜止めリングを押え固定しておく。 かかる準備作業を行なったうえで、差し口2内に補強用コア(図1において、符号3で示されている。通常、金属製とされる)を挿着し、ついで、図2の(イ)及び(ロ)に示すように、差し口2を受け口1内に差し込んでいく。
【0013】
この場合、図2の(イ)に示すように、差し口2の前方径小部21(すなわち、差し口先端211から段面pに至るまでの部分)を抜止めリング15に通過させる際、その差し口部21の外径が抜止めリング15の内径よりも小とされているために抜止めリング内周の爪151は拡開されず、従って、差し口の前方径小部21を抜止めリング15の爪151による引っ掻きなくシールリング13の内周に挿入圧接させ得、良好な水密性を保証できる。
【0014】
上記のように、抜止めリング15に差し口2の前方径小部21を通過させたのちは、図2の(ロ)に示すように、差し口2の後方径大部22を抜止めリング15に挿入させる。この後方径大部22は抜止めリング15の内径よりも大とされているために抜止めリング内周の爪151で引っ掻かれるが、この後方径大部22はシールリング13に到達せず水密性に関与しないから、前記の水密性付与には何らの影響も及ぼさない。
【0015】
上記において、差し口2の前方径小部21の外径は、上記したように抜止めリング15の内径よりも小とすることが安全であるが、抜止めリング内周の爪151に接触されても、シールリングによる水密性を充分に保証できる程度に前方径小部外面の傷付きを抑え得ることを条件に、差し口の前方径小部の外径を抜止めリングの内径にほぼ等しくすることも可能である。
【0016】
図1に示すように、差し口2を前記した差し込み限界で差し込んだのち、すなわち、差し口2の外面の段面23をスペーサ11の内面の段面123に当接させるまで差し込んだのち、差し口2を引き抜き方向に引っ張り、差し口2の後方径大部22に抜止めリング15の内周の爪151を食い込み係止させて耐引き抜き力を付与し、これにて接続作業を終了する。
【0017】
上記の実施例では、差し口の差し込み限界をスペーサ内面中間の段面への差し口外面中間の段面の当接により規制しているが、スペーサ11の内径を図1における寸法Dの一様内径として差し口先端211の受け口最奥段面111への当接、または差し口2の始端段面20の袋ナット12への当接により規制することもできる。
上記受け口を有する管状体、袋ナット、スペーサ及び差し口を有する管状体には、合成樹脂の射出成形品、好ましくは架橋ポリエチレン等の耐熱性オレフィン樹脂の射出成形品が使用される。上記シールリングには、通常ゴムリングが使用されるが、合成樹脂リングの使用も可能である。
上記抜止め部材は、通常金属製とされ、袋ナットとスペーサとの間で挟持され、先端に差し口外面に食い込み係止されるものであれば、適宜のものを使用できる。
【0018】
ところで、高層ビルや集合住宅等においては、給水・給湯本管をヘッダーに接続し、各ユースポイントに至る給水・給湯枝管をヘッダーに接続した配管システムが使用され、枝管数の増減に容易に対処できるように、ヘッダー管ユニットの接続によりヘッダーを組み立てることが知られている。
図3はヘッダー管ユニットA3,…を本発明に係る接続構造で接続したヘッダーの一実施例を示し、一端に前記の受け口1を有し、他端に前記の差し口2を有し、側部に枝管接続口4を有する枝管用ヘッダー管ユニットA3,A4の複数箇を本発明に係る接続構造で差し込み接続し、一端が封鎖され他端に差し口2を有するエンド枝管用ヘッダー管ユニットA5を前記接続ヘッダーの最終ヘッダー管ユニットA4に本発明に係る接続構造で差し込み接続し、一端に受け口1を有し、他端に本管接続口5を有する本管用ヘッダー管ユニットA6を前記接続ヘッダーの最初のヘッダー管ユニットA4に本発明に係る接続構造で差し込み接続してある。
【0019】
図4はヘッダー管ユニットA3’,…を本発明に係る接続構造で接続したヘッダーの別実施例を示し、一端に前記の差し口2を有し、他端に前記の受け口1を有し、側部に枝管接続口4を有する枝管用ヘッダー管ユニットA3’,A4’の複数箇を本発明に係る接続構造で差し込み接続し、一端に受け口1を有し、他端が封鎖されたエンド枝管用ヘッダー管ユニットA5’を前記接続ヘッダーの最終ヘッダー管ユニットA4’に本発明に係る接続構造で差し込み接続し、一端に差し口2を有し、他端に本管接続口5を有する本管用ヘッダー管ユニットA6’を前記接続ヘッダーの最初のヘッダー管ユニットA4’に本発明に係る接続構造で差し込み接続してある。
図3、4において、各符号は既述した各部材を示し、11はスペーサ、12は袋ナット12、13はシールリング(Oリング)、16は受け口内の奥側段面とスペーサ11との間の環状空間、15は抜止めリング、 16は抜止めリング15の拡開された爪151を納めるための空間、21は差し口の前方径小部、22は後方径大部、23は差し口外面の段差23、3は補強用コアである。
【0020】
上記ヘッダーの枝管本数としては、浴槽用、キッチン用、洗面台用の少なくとも三本が必要とされ、2個の枝管接続用口を有する枝管用ヘッダー管ユニットA3(A3’)と、1個の枝管接続用口を有する一端封鎖のエンド枝管用ヘッダー管ユニットA5(A5’)と、本管用ヘッダー管ユニットA6(A6')を接続したものを基本とし、三本以上の枝管を必要とする場合は、1個の枝管接続用口を有するヘッダー管ユニットA4(A4’)が必要個数だけ追加接続される。
【0021】
上記枝管用ヘッダー管ユニットに枝管を接続するには、枝管接続口に継手を接続し、その継手に枝管を接続する方式を使用でき、図5はその継手構造の一例を示している。
図5において、6は内側部材61と外側部材62とからなる継手を示し、内側部材61は、差し込み部611とコア部612と鍔部613とを有し、差し込み部611をパッキング631を介してヘッダー管ユニットAの枝管接続口4に差し込み、枝管接続口4の外面に嵌合した二つ割のルーズフランジ64と鍔部611とをパッキング632を介してボルト633で締結し、コア612の外面の溝にOリング634を装着してある。
外側部材62は、カバー621と袋ナット622とからなり、カバー621の先端部を内側部材61の胴部に螺結し、袋ナット622の螺合により抜止めリング635を押え固定してある。
枝管を接続するには、コアのOリング上に枝管を水密に圧入し、次いで引き抜き方向に引張って抜止めリングを枝管外面に食い込ませ、これにて枝管の接続を終了する。
【0022】
上記ヘッダーに本管からの流体が入って複数本の枝管に分流されていくから、ヘッダー管ユニット管の接続部内を流れる流体量が枝管接続部を流れる流体量よりも多量となるが、ヘッダー管ユニット間の接続部には、枝管接続部内におけるコア部(図5における612)が存在せずそれだけ流路断面積を大きくできるので、前記の多量流量によく対処できる。
【0023】
【発明の効果】
願請求項1記載の発明に係るヘッダーでは、側部に枝管が接続される複数箇の枝管用ヘッダー管ユニットと、本管が接続される本管用ヘッダー管ユニットとを有し、前記枝管用ヘッダー管ユニットの相互間、及び前記枝管用ヘッダー管ユニットと前記本管用ヘッダー管ユニットとの間の差し込み接続構造が、シールリングと抜止め部材を装着した受け口に差し口を差し込み接続する場合、シールリングを奥側に配置しても、シールリングが圧接される差し口外面部分を抜止め部材の爪で傷付けることがないから、良好な水密性を付与でき、また、抜止め部材の爪を、シールリングが圧接される差し口外面部分よりも外側の差し口外面部分に確実に食い込ませることができるから、充分な耐引き抜き性を付与できる。
更に、シールリングによる止水のために、シールリングより外側に配置された抜止めリングが流体に接触されることがなく、金属製抜止め部材を使用して腐食の畏れなく強固・安定な耐引き抜き性を保証できる。
【0024】
願請求項2記載の発明に係るヘッダーによれば、ヘッダー管ユニット間を良好な水密性及び耐引き抜き性で差し込み接続でき、水密性及び耐引き抜き強度に優れたヘッダーを容易に組み立てることができ、しかもヘッダー内の流路断面積を充分に大きくして流通抵抗を低くできるから、円滑な給水・給湯を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るヘッダーの接続構造の一実施例を示す図面である。
【図2】 本発明に係るヘッダーの接続構造の組立過程を示す図面である。
【図3】 本発明に係るヘッダーの一実施例を示す図面である。
【図4】 本発明に係るヘッダーの別実施例を示す図面である。
【図5】 本発明に係るヘッダーと枝管との接続構造の一例を示す図面である。
【図6】 従来例を示す図面である。
【符号の説明】
1 受け口
11 スペーサ
12 袋ナット
13 シールリング
2 差し口
21 差し口の前方径小部
22 差し口の後方径大部
p 段差
A3 枝管用ヘッダー管ユニット
A4 枝管用ヘッダー管ユニット
A5 枝管用ヘッダー管ユニット
A6 本管用ヘッダー管ユニット

Claims (2)

  1. 側部に枝管が接続される複数箇の枝管用ヘッダー管ユニットと、本管が接続される本管用ヘッダー管ユニットとを有し、
    前記枝管用ヘッダー管ユニットの相互間、及び前記枝管用ヘッダー管ユニットと前記本管用ヘッダー管ユニットとの間の差し込み接続構造が、
    受け口内の奥側にシールリングを装着し、そのシールリングよりも外側に抜止め部材を装着した受け口に差し口を差し込む接続構造であって
    前記差し口の先端から少なくとも前記シールリング圧接部位に至る前方部分の外径を、前記差し口における抜止め部材が食い込み係止される後方部分の外径よりも小さくした差し込み接続構造であることを特徴とするヘッダー
  2. 前記受け口内にスペーサを組み込んで、該スペーサと前記受け口内の奥側段面との間の空間をシールリング装着空間とし、
    前記スペーサを押え固定する袋ナットと前記スペーサとで前記抜止め部材を挾持したことを特徴とする請求項1記載のヘッダー
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