JP4526240B2 - 磁性物回収装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄粉等の種々の磁性物を回収するのに適した磁性物回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の磁性物回収装置においては、例えば、下記特許文献1に開示された着磁鉄系異物の除去装置がある。この除去装置は、非磁性材料からなるシリンダと、このシリンダの軸方向一側端部に固定した磁性材料からなる除去リングと、この除去リングを通してシリンダ内に摺動可能に嵌装したバーマグネットチューブとを備えている。
【0003】
当該バーマグネットチューブは、非磁性材料からなるチューブを備えており、このチューブ内には、複数のドーナツ状マグネット要素及び磁性材料からなる複数のリング状スペーサが固定軸により同軸的に嵌装支持されている。ここで、各スペーサは、当該複数のマグネット要素のうち互いに隣り合う各両マグネット要素の間にそれぞれ介装されている。また、複数のマグネット要素のうち互いに隣り合う各両マグネット要素は、互いに対向する各軸方向端部にて同一極性の磁極を有するように着磁されている。
【0004】
しかして、当該除去装置では、各両マグネット要素において互いに対向する同一極性の各磁極に流入或いは当該各磁極から流出する磁束は、当該各磁極による磁気的反発作用のもと当該各磁極間のスペーサを通りその半径方向に流れる。このため、各スペーサは、その外周端部にて、磁極を形成するように磁化される。従って、シリンダから押し出されるバーマグネットチューブにより例えば鉄粉を吸着する場合、この鉄粉はチューブの周壁を介し各スペーサの外周端部により吸着されて当該チューブの外周面に分散して付着する。
【0005】
また、このような付着後、バーマグネットチューブをシリンダ内に引き込むと、互いに隣り合う両マグネット要素の各対向磁極及びその間のスペーサが除去リングを通過する過程において、当該各対向磁極に流入或いは当該各対向磁極から流出する磁束は、これら各対向磁極間のスペーサから外れるように除去リングに短絡されて当該除去リングに直接流れる。
【0006】
このため、当該スペーサが非磁化状態になるとともに除去リングが磁化されて、チューブの外周面に分散して付着した鉄粉のうち除去リングに最も近い鉄粉が、当該除去リングの上記スペーサ側の端面に移動して吸着される。このようにして、チューブの外周面に分散付着した残りの鉄粉も順次除去リングに移動して吸着される。然る後、全てのマグネット要素が除去リングを通過してしまうと、当該除去リングが非磁化状態となり、この除去リングに吸着済みの鉄粉が当該除去リングから脱落し回収される。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−195212号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記除去装置では、上述のように鉄粉をスペーサにより吸着した上で除去リングにより回収するため、スペーサ及び除去リングが必須となる。従って、除去装置の構成が複雑になるという不具合がある。
【0009】
また、スペーサがマグネット要素の他に必須となるため、バーマグネットチューブの軸長がコンパクトにならないという不具合もある。また、スペーサは両マグネット要素に対する介在物としての役割をもつから、当該スペーサの幅は通常狭い。従って、スペーサの外周端部による鉄粉の吸着量も少ない。よって、吸着量を増大しようとすると、スペーサの数が増大し、バーマグネットチューブの軸長がさらに増大するという不具合を招く。
【0010】
また、上述のように鉄粉の回収は除去リングのスペーサ側端面で行うが、この端面による鉄粉の回収量を多くしようとすると、除去リングの外径を大きくしなければならない。その結果、除去装置の外形寸法がバーマグネットチューブの径方向において増大するという不具合も生ずる。
【0011】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するために、余分な構成部材を採用することなく、コンパクトな構成にて、一度にできる限り多くの磁性物を回収するようにした磁性物回収装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る磁性物回収装置は、請求項1の記載によれば、筒状ケーシング(C)と、このケーシング内にその基端側開口部から軸動可能に嵌装してなる吸引軸部材(SH)とを備える。
【0013】
ここで、ケーシングは、非磁性材料からなる先端側筒部材(10a)と、この先端側筒部材の先端開口部を閉塞してなる非磁性材料からなる先端側蓋体(20)と、先端側筒部材にその基端側開口部にて同軸的に連結した磁性材料からなる基端側筒部材(10b)と、この基端側筒部材の基端側開口部を閉塞する基端側蓋体(34)とを備える。
【0014】
また、吸引軸部材は、ケーシング内に軸動可能に嵌装したマグネット保持軸(40)と、このマグネット保持軸の基端部から当該マグネット保持軸と同軸的に基端側蓋体を通り軸動可能に延出する連結軸(60)と、マグネット保持軸の外周面にその周方向に沿い等角度間隔にて保持された偶数のマグネット(50a、50b)とを備える。また、当該偶数のマグネットは、互いに隣り合う両マグネット毎に互いに極性を異にしてケーシングの周壁に対向するようにマグネット保持軸の外周面からその半径方向に沿い突出する対向磁極をそれぞれ有する。
【0017】
これによれば、各マグネットが先端側筒部材内に位置するように吸引軸部材が連結軸によりケーシング内に押し込まれたとき上記互いに隣り合う両マグネット毎に当該両マグネットは、その各対向磁極にて、先端側筒部材の周壁を介して磁性物を吸引して当該周壁の外周面に付着させるようにマグネット保持軸と共に先端側筒部材の周壁の外側にて周方向に通る先端側閉磁路(R1、R2)を形成し、
各マグネットが基端側筒部材内に位置するように吸引軸部材が連結軸によりケーシングから引き出されたとき上記互いに隣り合う両マグネット毎に当該両マグネットは、その各対向磁極にて、上記付着磁性物を先端側筒部材の外周面から脱落させて回収するようにマグネット保持軸と共に基端側筒部材の周壁中を周方向に通る基端側閉磁路(R3、R4)を形成する。
従って、磁性物の回収にあたり、上述のように各マグネットが先端側筒部材内に位置するとき、先端側筒部材をその周壁にて磁性粉等の磁性物に近づけると、この磁性物は、マグネットの先端側閉磁路に沿う磁気作用のもと、各マグネットによりその対向磁極にて先端側筒部材の周壁を介し吸引される。このとき、上述のように先端側閉磁路が先端側筒部材の周壁の外側へ出るように形成されているため、磁性物は、先端側閉磁路のうち先端側筒部材の周壁の外側に出る各磁路部分に沿って集中するように吸引されて当該先端側筒部材の外周面上に付着する。
然る後、上述のように、各マグネットを基端側筒部材内に位置させれば、基端側筒部材は磁性材料からなるため、基端側閉磁路が、基端側筒部材の周壁中をその周方向に通るように形成される。このため、基端側閉磁路は基端側筒部材の外側へは出ないため、各マグネットの磁気作用は基端側筒部材の外側へは及ばず当該筒部材の外周面よりも内側でしか発揮されない。
従って、各マグネットの吸引により先端側筒部材の外周面に付着していた磁性物には、各マグネットの磁気作用が及ばなくなる。その結果、当該磁性物は、各マグネットの磁気作用から解放されて非磁化状態となりその自重により先端側筒部材の外周面から脱落して回収されていく。
【0018】
ここで、マグネットの数は偶数であり、かつ各マグネットは、共に、上述のようにマグネット保持軸の外周面に等角度間隔にて保持されている。しかも、各マグネットのうち互いに隣り合う両マグネット毎に互いに異なる極性の対向磁極を有する。従って、各閉磁路が、全てのマグネットにより、両隣接マグネット毎にマグネット保持軸の軸芯周りに対称的にバランスよく形成される。その結果、上述した先端側筒部材の外周面に対する磁性物の付着は、全てのマグネットの磁気作用のもとになされ、マグネットのいずれかが磁性物の吸引に有効に作用しないという事態が発生することはない。
【0019】
また、先端側閉磁路は、先端側筒部材の周壁の外側にて、マグネットの軸方向長さに相当する幅でもって、両隣接マグネットの各対向磁極の半径方向外端面を通り先端側筒部材の周方向に面状に形成される。従って、上述のように先端側閉磁路のうち先端側筒部材の周壁の外側に出る各磁路部分に沿って集中するように吸引される磁性物の量、即ち、当該先端側筒部材の外周面上に付着する磁性物の量は大幅に増大する。
【0020】
しかも、マグネット保持軸は磁性材料で形成されているため、先端側閉磁路によりマグネットの外端部に形成される磁束量は増大する。従って、当該マグネットの吸引量、即ち先端側筒部材の外周面上の鉄粉の付着量がさらに増大する。
【0023】
た、各マグネットが先端側及び基端側の両筒部材内に亘って位置するとき先端側閉磁路の軸方向幅は各マグネットのうち先端側筒部材内に位置する部分の軸方向長さで特定されるとともに基端側閉磁路の軸方向幅は各マグネットのうち前記基端側筒部材内に位置する部分の軸方向長さで特定される。
【0024】
従って、各マグネットが先端側筒部材の内部から基端側筒部材の内部に移動するにつれて、先端側閉磁路の軸方向幅は順次減少し、基端側閉磁路の軸方向幅は順次増大する。これに伴い、先端側筒部材の外周面に付着済みの磁性物は各マグネットの磁気作用から順次解放されて当該先端側筒部材の外周面上から順次連続的に脱落して回収される。
【0025】
以上のように先端側及び基端側の各筒部材及びマグネットを有効に活用してマグネットの各筒部材内の位置に応じて先端側及び基端側の各閉磁路を形成することで、余分な構成部材を採用することなく、コンパクトな構成にて、一度にできる限り多くの磁性物を連続的にきれいに吸引回収するようにした磁性物回収装置を提供し得る。
【0026】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の磁性物回収装置において、先端側蓋体とマグネット保持軸及び上記偶数のマグネットの少なくとも一方との間に位置するように先端側蓋体の内面に設けられた緩衝部材(80)を備えることを特徴とする。
【0027】
これにより、請求項1に記載の発明の作用効果を達成し得るのは勿論のこと、マグネット保持軸に保持した各マグネットが、その先端部にて、緩衝リングに当たっても、この緩衝リングは、その緩衝作用により、各マグネットの先端側蓋体への衝撃力を吸収して緩和する。従って、マグネットが上記衝撃力でもって破損したりすることはない。
【0028】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1或いは2に記載の磁性物回収装置において、偶数のマグネットは、それぞれ、マグネット保持軸の外周面にその周方向には等角度間隔に当該マグネット保持軸の軸方向には互いに平行に保持された一側の柱状マグネットであり、
他側の偶数の柱状マグネット(50a、50b)が、上記偶数の一側の柱状マグネットとマグネット保持軸の軸方向において隣り合うように当該マグネット保持軸の外周面にその周方向には上記一側の偶数の柱状マグネットとは角度位置をずらせて等角度間隔に当該マグネット保持軸の軸方向には互いに平行に保持されていることを特徴とする。
【0029】
これによれば、他側の偶数の柱状マグネットは、両隣接柱状マグネット毎に、各筒部材内の位置に応じて、一側の偶数の柱状マグネットと同様に、閉磁路を形成する。従って、当該他側の偶数の柱状マグネットの磁気作用によっても、一側の偶数のマグネットの磁気作用のもとに磁性物を吸引回収するのと同様に、磁性物の吸引回収を行える。よって、請求項1或いは2に記載の発明に比べて磁性物の吸引回収量を倍増できる。
【0030】
ここで、各マグネットは柱状であり、上述のごとく他側のマグネットの角度位置は一側のマグネットに対しずれているから、当該他側及び一側の各マグネットの磁気作用によるバランスのよい吸引により、先端側筒部材の外周面にその広い範囲で磁性物が付着する。よって、磁性物の吸引付着がより一層効率よく行われる。その結果、請求項1或いは2に記載の発明の作用効果をより一層向上できる。
【0031】
なお、請求項1〜3のいずれか一つの記載において、偶数のマグネットは、2個、4個、6個のいずれかであってもよく、請求項3の記載において他側の偶数の柱状マグネットも、2個、4個、6個のいずれかであってもよい。
【0040】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、本発明に係る磁性物回収装置の一例を示しており、この磁性物回収装置は、円筒状ケーシングCと、案内部材Gと、吸引軸部材SHとを備えている。ケーシングCは、ケーシング本体10を備えており、このケーシング本体10は、図1〜図3にて示すごとく、先端側円筒部材10aと、基端側円筒部材10bとにより構成されている。
【0042】
円筒部材10aは、図5で図示右端部に形成した環状の小径ボス部11にて、円筒部材10bの図6で図示左端部に形成した大径孔部12に嵌着されて、当該円筒部材10bに同軸的に連結されている。両円筒部材10a、10bの嵌着による連結は、溶着によりなされているが、これに限ることなく、当該連結は、接着剤による接着やねじによる締着でもって行ってもよい。本実施形態では、円筒部材10aは、非磁性ステンレス鋼、アルミニウムや銅等の非磁性金属材料や合成樹脂材料等の非磁性材料により形成され、一方、円筒部材10bは、軟質磁性金属材料や強磁性金属材料(例えば、鉄)等の磁性材料により形成されている。
【0043】
また、ケーシングCは、図1〜図3にて示すごとく、蓋体20を備えており、この蓋体20は、図7にて示すごとく、円板状蓋部21の内面からボス部22を突出させて形成されている。この蓋体20は、図2及び図3にて示すごとく、蓋部21の外周部にて円筒部材10aの先端側開口部13の端面に同軸的に当接するようにボス部22を当該先端側開口部13内に同軸的に嵌合してこの先端側開口部13に取り付けられ、円筒部材10aをその先端側開口部13にて閉塞している。
【0044】
なお、蓋体20の先端側開口部13に対する取り付けは溶接によりなされているが、当該取り付けは、溶接に限ることなく、接着剤による接着やねじによる締着等でもって行ってもよい。また、蓋体20は、アルミニウム、銅や非磁性ステンレス鋼等の非磁性金属材料や合成樹脂材料等の非磁性材料でもって形成されている。
【0045】
案内部材Gは、図2にて示すごとく、円筒部材10b内にその基端側から同軸的に嵌装されているもので、当該案内部材Gは、図8(a)にて拡大して示すごとく、円筒状連結筒30aと、環状の両ボス30b、30cとを備えている。環状ボス30bは、連結筒30aの先端側開口部31に同軸的に固着されており、このボス30bの中央孔部32は、連結筒30aの内径よりも小さな内径を有している(図8(a)(b)参照)。また、当該ボス30bの外径は、このボス30bを円筒部材10b内に同軸的に嵌装支持できるように設定されている。
【0046】
環状ボス30cは、図2及び図8(a)にて示すごとく、小径部33及び大径部34を同軸的に一体に備えており、このボス30cは、小径部33にて、連結筒30aの基端側開口部35に同軸的に固着されている。これにより、ボス30cは連結筒30aによりボス30bと同軸的に連結されている。
【0047】
しかして、案内部材Gは、ボス30bから円筒部材10b内に嵌装されて、ボス30cの大径部34にて、当該円筒部材10bの基端側開口部14の端面に同軸的に当接し円筒部材10bを基端側開口部14にて閉塞している。また、ボス30cは、小径部33にて、円筒部材10bの基端側開口部14を通しボルト15(図1及び図2参照)により締着されて、当該円筒部材10bに固定されている。これにより、案内部材Gは、円筒部材10b内に取り外し可能に同軸的に嵌装支持されている。ここで、小径部33及び大径部34に共通な中央孔部36は、ボス30bの中央孔部32の内径と同一の内径を有する。また、小径部33は、ボス30bの外径と同一の外径を有し、大径部34は、円筒部材10bの外径と同一の外径を有する。
【0048】
吸引軸部材SHは、図2にて示すごとく、案内部材Gを介しケーシングC内に同軸的にかつ摺動可能に嵌装されている。この吸引軸部材SHは、図1〜図4から分かるように、マグネット保持軸40と、このマグネット保持軸40により保持した複数の先端側マグネット50a及び複数の基端側マグネット50bと、マグネット保持軸40に同軸的に連結した連結軸60と、把持具70とを備えている。
【0049】
マグネット保持軸40は、図2及び図3から分かるように、ケーシングCのケーシング本体10内に案内部材Gよりも先端側にて摺動可能に嵌装されている。このマグネット保持軸40は、図9(a)(b)にて示すごとく、偶数のコ字状溝41を有しており、これら各溝41は、マグネット保持軸40の外周面にて、その軸方向には互いに平行にかつ当該外周面の周方向には等角度間隔に形成されている。本実施形態では、溝41の数は8個である。また、マグネット保持軸40は、円柱状強磁性金属材料(鉄、コバルト、ニッケル等)により形成されている。
【0050】
各マグネット50a、50bは、永久磁石材料(例えば、希土類系磁石材料やアルニコ、フェライト等の磁石材料)により、図2〜図4から分かるごとく、共に、長手状の直方体形状にて同一の外形寸法を有するように形成されている。マグネット50a、50bの各全長は、マグネット保持軸40の全長の半分よりも幾分(例えば、1mm程度)短くしてある。本実施形態では、マグネット50a、50bの外径寸法は、例えば、幅5mm×高さ5mm×長さ50mmである。これに合わせて、マグネット保持軸40の全長は102mmであり、溝41の幅は5mmである。
【0051】
しかして、各マグネット50aは、その内端部にて、マグネット保持軸40の8個の溝41のうち一つおきの溝41の各先端側部位内に各溝41の先端を基準として接着剤(例えば、瞬間接着剤)による接着でもって嵌着されている(図2、図3及び図4参照)。一方、各マグネット50bは、その内端部にて、残りの溝41の各基端側部位内に各溝41の基端を基準として接着剤(例えば、瞬間接着剤)による接着でもって嵌着されている(図2、図3及び図4参照)。これにより、各マグネット50aの基端側端面と各マグネット50bの先端側端面との間には、マグネット保持軸40の軸方向に沿い2mm程度の間隔(図3にて符号g参照)が付与されている。
【0052】
ここで、4個のマグネット50aのうち、マグネット保持軸40の軸心に対し互いに対称的に位置する2個のマグネット50aは、その各外端部側にて、N極に着磁されており、残りの2個のマグネット50aは、その各外端部側にて、S極に着磁されている(図2、図3及び図4参照)。従って、各マグネット50aの内端部側は、対応の各マグネット50aの外端部側とは異極性となるように着磁されている。
【0053】
また、4個のマグネット50bのうち、マグネット保持軸40の軸心に対し互いに対称的に位置する2個のマグネット50bは、その各外端部側にて、N極に着磁されており、残りの2個のマグネット50bは、その各外端部側にて、S極に着磁されている(図2、図3及び図4参照)。従って、各マグネット50bの内端部側は、対応の各マグネット50bの外端部側とは異極性となるように着磁されている。なお、マグネット50a、50bはその外端部にてケーシング本体10の内周面に半径方向に対向しているので、マグネット50a、50bの外端部側の磁極(N極またはS極)を、以下、対向磁極ともいう。
【0054】
連結軸60は、図2にて示すごとく、案内部材Gのボス30cの中央孔部36、連結筒30a及びボス30bの中央孔部32を通して同軸的に摺動可能に嵌装されてマグネット保持軸40側へ延出している。ここで、中央孔部36及び中央孔部32は、連結軸60に対する軸受け孔部としての役割も有する。
【0055】
また、当該連結軸60は、その先端部61(図2及び図3参照)にて、マグネット保持軸40の基端側に形成した連結孔部42(図9(a)(b)参照)内に同軸的に嵌着されて、当該マグネット保持軸40に連結されている。なお、連結軸60は、磁性金属材料、非磁性金属材料や合成樹脂材料等のどのような材料から形成されていてもよい。
【0056】
把持具70は、図1及び図2にて示すごとく、案内部材Gのボス30cから外方へ延出する連結軸60の基端部62に同軸的に取り付けられている。この取り付けは、連結軸60の基端部62に形成したねじ穴部62a(図2参照)内に把持具70のボルト穴部71を通してボルト72を締着することで、なされている。
【0057】
また、当該磁性物回収装置は、図2及び図3にて示すごとく、両緩衝リング80、90を備えている。緩衝リング80は、円筒部材10aの基端側開口部13内にて蓋体20のボス22の内面に同軸的に固着されており、当該緩衝リング80は、各マグネット50aの蓋体20に対する衝撃力を吸収して緩和する役割を果たす。なお、緩衝リング80の外径は、マグネット保持軸40に保持した各マグネット50aの外端とマグネット保持軸40の軸芯との間の半径方向間隔以下の値となっている。
【0058】
また、緩衝リング90は、連結軸60の先端部61にてマグネット保持軸40の基端面に沿うように同軸的に嵌装されているもので、この緩衝リング90は、マグネット保持軸40の案内部材Gに対する衝撃力を吸収して緩和する役割を果たす。なお、緩衝リング90は、緩衝リング80と共に、ニトルゴム等のゴムからなるOリングにより構成されている。また、本実施形態では、マグネット保持軸40が緩衝リング90を介し案内部材Gと当接したとき(後述する最終ストローク位置へのマグネット50aの到達時)、マグネット保持軸40の先端側端面は、円筒部材10aのボス11の端面よりも所定距離(例えば、10mm)程度円筒部材10b側に位置するようになっている。
【0059】
このように構成した本実施形態において、当該磁性物回収装置による磁性粉の回収にあたっては、吸引軸部材SHがケーシングC内にて図2及び図3にて示す位置(以下、初期ストローク位置ともいう)に位置するように、ケーシングCを把持して吸引軸部材SHを把持具70により当該ケーシングC内に押し込む。このとき、マグネット保持軸40に保持した各マグネット50aが、その先端部にて、緩衝リング80に当たるが、この緩衝リング80は、その緩衝作用により、各マグネット50aの蓋体20への衝撃力を吸収して緩和する。従って、マグネット50aが上記衝撃力でもって破損したりすることはない。
【0060】
上述のように、吸引軸部材SH、即ち各マグネット50a、50bがケーシングC内にて上記初期ストローク位置に位置するとき、当該各マグネット50a、50bは共にケーシングCの円筒部材10a内に維持されるが、当該円筒部材10aは非磁性材料で形成されている。
【0061】
このため、4個のマグネット50aのうち互いに隣り合う各両マグネット50aでは、一方のマグネット50aの対向磁極(N極)から出る磁束は円筒部材10aの周壁を通りその外側へ流れ出て当該円筒部材10aの周壁を通りその内側へ入り込み他方のマグネット50aの対向磁極(S極)に入ってマグネット保持軸40を通り閉磁路(図4及び図10(a)にて符号R1参照)を形成する。
【0062】
また、4個のマグネット50bのうち互いに隣り合う各両マグネット50bにおいては、一方のマグネット50bの対向磁極(N極)から出る磁束は円筒部材10aの周壁を通り外側へ流れ出て当該円筒部材10aの周壁を通りその内側へ入り込み他方のマグネット50bの対向磁極(S極)に入ってマグネット保持軸40を通り閉磁路(図4及び図10(b)にて符号R2参照)を形成する。
【0063】
ここで、マグネット50bはマグネット50aに対し45°の角度ずれでもってマグネット保持軸40の外周面に位置するため、閉磁路R2は閉磁路R1に対し45°の位相のずれを有するように形成される。
【0064】
このような状態でケーシングCを把持したまま円筒部材10aをその周壁にて磁性粉に近づけると、磁性粉は、マグネット50aの閉磁路R1に沿う磁気作用及びマグネット50bの閉磁路R2に沿う磁気作用のもと、当該各マグネット50a、50bにより、その対向磁極にて、円筒部材10aの周壁を介し吸引される。このとき、上述のように閉磁路R1、R2が円筒部材10aの周壁の外側へ出るように形成されているため、磁性粉は、各閉磁路R1、R2のうち円筒部材10aの周壁の外側に出る各磁路部分に沿って集中するように吸引されて当該円筒部材10aの外周面上に付着する。
【0065】
ここで、マグネット50aの数及びマグネット50bの数は、共に、偶数(4個)であり、かつ各マグネット50a、50bは、共に、上述のようにマグネット保持軸40の外周面に等角度間隔にて保持されている。しかも、各マグネット50aのうち互いに隣り合う両マグネット50a毎に互いに異なる極性の対向磁極を有し、同様に、各マグネット50bのうち互いに隣り合う両マグネット50b毎に互いに異なる極性の対向磁極を有する。
【0066】
従って、全ての閉磁路R1が、全てのマグネット50aにより、両隣接マグネット50a毎にマグネット保持軸40の軸芯周りに対称的にバランスよく形成され、また、全ての閉磁路R2が、全てのマグネット50bにより、両隣接マグネット50b毎にマグネット保持軸40の軸芯周りに対称的にバランスよく形成される。その結果、円筒部材10aの外周面に対する磁性粉の付着は、全てのマグネット50a、50bの磁気作用のもとになされ、マグネット50aや50bのいずれかが磁性粉の吸引に有効に作用しないという事態が発生することはない。
【0067】
また、閉磁路R1は、円筒部材10aの周壁の外側にて、マグネット50aの全長に相当する幅でもって、両隣接マグネット50aの各対向磁極の半径方向外端面を通り円筒部材10aの周方向に円弧面状に形成されるとともに、閉磁路R2は、円筒部材10aの周壁の外側にて、マグネット50bの全長に相当する幅でもって、両隣接マグネット50bの各対向磁極の半径方向外端面を通り円筒部材10aの周方向に円弧面状に形成される。ここで、各閉磁路R1、R2は、上述のような45°の位相のずれにより円筒部材10aの外周面の広い範囲に亘り形成される。
【0068】
従って、上述のように各閉磁路R1、R2のうち円筒部材10aの周壁の外側に出る各磁路部分に沿って集中するように吸引される磁性粉の量、即ち、当該円筒部材10aの外周面上に付着する磁性粉の量は大幅に増大する。
【0069】
しかも、マグネット保持軸40は強磁性金属材料で形成されているため、閉磁路R1、R2によりマグネット50a、50bの外端部に形成される磁束量は大幅に増大する。従って、当該マグネット50a、50bの吸引量、即ち円筒部材10aの外周面上の鉄粉の付着量がさらに増大する。
【0070】
以上のように円筒部材10a及びマグネット50a、50bを有効に活用して閉磁路R1、R2を形成することで、余分な構成部材を採用することなく、コンパクトな構成にて、一度に多量の磁性粉を吸引して円筒部材10aの外周面に付着させ得る。
【0071】
然る後、ケーシングCを把持した状態で、把持具70により吸引軸部材SHを当該ケーシングCから図11(a)にて示す位置(以下、中間ストローク位置ともいう)まで引っ張り出すと、各マグネット50aは、円筒部材10a内に維持されたまま、各マグネット50bが円筒部材10b内に移動する。
【0072】
このとき、各マグネット50aは、各マグネット50bが上記初期ストローク位置にて円筒部材10a内に位置していた位置に移動する。従って、各マグネット50aにより形成する閉磁路R1は、図10(a)にて示すごとく、各マグネット50aの上記移動位置までそのまま移動する。但し、このように移動した閉磁路R1は、各マグネット50aが円筒部材10a内にて上記初期ストローク位置にあったときに当該各マグネット50aの吸引のもと円筒部材10aの外周面に付着していた磁性粉には及ばない。なお、円筒部材10aのボス11の端面が各マグネット50aの基端側端面と各マグネット50bの先端側端面との間に位置する。
【0073】
一方、円筒部材10bは強磁性材料からなるため、閉磁路R3が、閉磁路R2に代えて、図11(b)にて示すごとく、円筒部材10bの周壁中をその周方向に通るように形成される。具体的には、4個のマグネット50bのうち互いに隣り合う各両マグネット50bにおいては、一方のマグネット50bの対向磁極(N極)から出る磁束は円筒部材10bの周壁中をその周方向に通り流れて当該円筒部材10bの周壁から外側に出ることなく内側に出て他方のマグネット50bの対向磁極(S極)に入りマグネット保持軸40を通り閉磁路R3として形成される。
【0074】
このように、閉磁路R3は上述のごとく円筒部材10bの外側へは出ないため、各マグネット50bの磁気作用は円筒部材10bの外側へは及ばず当該円筒部材10bの外周面よりも内側でしか発揮されない。従って、上述のように閉磁路R2が閉磁路R3に変化することで、各マグネット50bの吸引により円筒部材10aの外周面に付着していた磁性粉は、円筒部材10bの外周面の先端側端部に達したときに、当該磁性粉には各マグネット50bの磁気作用が及ばなくなる。
【0075】
その結果、上述のように各マグネット50bの吸引のもと円筒部材10aの外周面に付着していた磁性粉は、そのままの位置にて、当該各マグネット50bに代わって、各マグネット50aにより吸引されて当該円筒部材10aの外周面上に付着して留まる。
【0076】
よって、各マグネット50aが円筒部材10a内にて上記初期ストローク位置にあったときに当該各マグネット50aの吸引のもと円筒部材10aの外周面に付着していた磁性粉は、円筒部材10b側へは移動できず、上述のように中間ストローク位置に移動した各マグネット50aの閉磁路R1からも解放されて、非磁化状態となり、その自重により円筒部材10aの外周面からきれいに脱落して回収される。
【0077】
ここで、上述のように各マグネット50aと各マグネット50bとが、間隔gでもって、互いに離れているため、各閉磁路R1は各閉磁路R2とは独立的に形成されている。従って、閉磁路R2が閉磁路R3に変わっても、この閉磁路R3も、各閉磁路R1により何ら影響されることなく、同様に、閉磁路R1とは独立的に形成される。よって、各マグネット50bの各マグネット50aとの境界領域においても、各マグネット50bにより吸引されていた磁性粉は、各マグネット50aのみにより確実に吸引される。
【0078】
ケーシングCを把持した状態で、さらに、把持具70により吸引軸部材SHを当該ケーシングCから図12(a)にて示す位置(以下、終了ストローク位置ともいう)まで引っ張り出すと、各マグネット50aが各マグネット50bと同様に円筒部材10b内に移動する。このとき、マグネット保持部材40が案内部材Gに当たるが、緩衝リング90が、当該マグネット保持部材40と案内部材Gとの間に介在して緩衝作用を発揮するため、マグネット保持部材40の衝撃力が緩衝リング90により吸収されて緩和される。従って、マグネット50bが上記衝撃力でもって破損したりすることはない。
【0079】
上述のように各マグネット50aが、各マグネット50bと共にケーシングC内にて上記終了ストローク位置に達すると、各マグネット50aは、各マグネット50bと共にケーシングCの円筒部材10b内に位置するが、当該円筒部材10bが上述のように強磁性材料で形成されているため、閉磁路R4が、閉磁路R1に代えて、図12(b)にて示すごとく、円筒部材10bの周壁中を周方向に通るように形成される。
【0080】
具体的には、4個のマグネット50aのうち互いに隣り合う各両マグネット50aにおいては一方のマグネット50aの対向磁極(N極)から出る磁束は円筒部材10bの周壁中を通り周方向に流れて当該円筒部材10bの周壁から外側に出ることなく内側に出て他方のマグネット50aの対向磁極(S極)に入りマグネット保持軸40を通り閉磁路R4として形成される。
【0081】
従って、閉磁路R4は上述のごとく円筒部材10bの外側へは出ないため、各マグネット50aの磁気作用は円筒部材10bの外側へは及ばず、当該円筒部材10bの外周面の内側に制限される。なお、このとき、各マグネット50bは、図11(b)にて示すように閉磁路R3を形成したままである。
【0082】
しかして、上述のように閉磁路R1が閉磁路R4に変化することで、各マグネット50aの上記中間ストローク位置における吸引により円筒部材10aの外周面に付着していた磁性粉は、各マグネット50aの磁気作用から解放されて非磁化状態となり円筒部材10aの外周面からきれいに脱落して回収される。
【0083】
以上のように円筒部材10b及びマグネット50a、50bを有効に活用して閉磁路R3、R4を形成することで、余分な構成部材を採用することなく、コンパクトな構成にて、上述のように円筒部材10aの外周面に付着した多量の磁性粉をきれいにケーシング本体10の外周面から脱落させて回収できる。
【0084】
ここで、上述のように各マグネット50aが終了ストローク位置に達したとき、マグネット保持軸40の先端側端面、つまり、各マグネット50aの先端側端面は、円筒部材10aのボス11の端面よりも上記所定距離程度円筒部材10b側に位置している。このため、各マグネット50aの磁束が当該各マグネット50aの先端面から出る或いは当該先端面に入るようなことがあるとしても、このような磁束が円筒部材10a側に作用することはない。従って、各マグネット50aが円筒部材10b内に移動したにもかかわらず、当該マグネット50aがその先端面にて円筒部材10aの周壁を介し外へ出るような磁路を形成することはない。このことは、円筒部材10aの外周面に付着していた磁性粉の当該外周面からの脱落がきれいに確実に達成されることを意味する。
【0085】
また、閉磁路R3、R4が、閉磁路R1、R2と同様にマグネット保持軸40の軸芯周りに対称的にバランスよく形成されるので、吸引軸部材SHが上記中間ストローク位置や終了ストローク位置にあるときに磁性粉の脱落はきれいに行われる。
【0086】
また、案内部材Gがそのボス30cにて円筒部材10bの基端側開口部14を連結軸60を介し閉塞しているので、円筒部材10b内に連結軸60の外周面に沿い異物が入り込むことがない。
【0087】
また、以上の説明においては、吸着軸部材SHが、上記初期ストローク位置から上記終了ストローク位置に達するまでに上記中間ストローク位置に達するときを例にとり説明したが、当該吸着軸部材SHのケーシング本体10内での摺動位置が、上記初期ストローク位置と上記終了ストローク位置との間において、上記中間ストローク位置以外の位置にあるときには、各閉磁路は以下のように形成される。
【0088】
即ち、各マグネット50bが、上記中間ストローク位置に達する前に、ケーシング本体10内にて両円筒部材10a、10bの双方に亘って位置するときは、閉磁路R2の軸方向幅は、各マグネット50bのうち円筒部材10a内に位置する部分の軸方向長さに相当する幅に狭まるとともに閉磁路R3の軸方向幅は、各マグネット50bのうち円筒部材10b内に位置する部分の軸方向長さに相当する幅で形成される。
【0089】
このとき、上記初期ストローク位置にて各マグネット50aで形成済みの閉磁路R1はそのまま維持されるが、この閉磁路R1による各マグネット50aの磁気作用は、円筒部材10aの外周面のうち各マグネット50aの先端よりも先端側部分に付着していた磁性粉には及ばず、この磁性粉は、各マグネット50aの磁気作用から解放されてきれいに脱落して回収される。
【0090】
然る後、吸着軸部材SHがさらに上記中間ストローク位置側へ移動するにつれて、閉磁路R2の軸方向幅が減少するとともに閉磁路R3の軸方向幅が増大していく。このため、円筒部材10aの外周面に付着済みの残りの磁性粉が、各マグネット50aの上記中間ストローク位置への移動に伴い順次連続的に各マグネット50aの磁気作用から解放されてきれいに脱落して回収されていく。
【0091】
また、各マグネット50bが上記中間ストローク位置と上記終了ストローク位置との間に位置するときは各マグネット50aがケーシング本体10内にて両円筒部材10a、10bの双方に亘って位置する。このため、閉磁路R1の軸方向幅は、各マグネット50aのうち円筒部材10a内に位置する部分の軸方向長さに相当する幅に狭まるとともに閉磁路R4の軸方向幅は、各マグネット50aのうち円筒部材10b内に位置する部分の軸方向長さに相当する幅で形成される。なお、このとき、各マグネット50bが上記中間ストローク位置に達したときに形成済みの閉磁路R3はそのまま維持される。
【0092】
然る後、吸着軸部材SHがさらに上記終了ストローク位置側へ移動するにつれて、閉磁路R1の軸方向幅が減少するとともに閉磁路R4の軸方向幅が増大していく。このため、円筒部材10aの外周面に付着済みの残りの磁性粉が、各マグネット50aの上記終了ストローク位置への移動に伴い順次連続的に各マグネット50aの磁気作用から解放されてきれいに脱落して回収されていく。
【0093】
以上のことから分かるように、本実施形態によれば、円筒部材10aの外周面に付着した磁性粉は、吸着軸部材SHの上記初期ストローク位置から上記終了ストローク位置への移動につれて順次連続的に各マグネット50aの磁気作用から解放されて円筒部材10aの外周面からきれいに脱落して回収される。
【0094】
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態に限ることなく次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)ケーシングCは、円筒状に限ることなく、四角筒状等の多角筒状であってもよく、また、一般的には、筒状であればよい。
(2)蓋体20は、一体成型等により、円筒部材10aと一体に形成してもよい。この場合には、蓋体20及び円筒部材10aの形成材料としては同一のものが採用される。
(3)案内部材Gは、環状ボス30b及び連結筒30aを廃止してもよい。この場合には、ボス30cは円筒部材10bの基端側開口部に対する蓋体としての役割及び連結軸60に対する軸受けとしての役割を果たす。
(4)マグネット50a、50bの外端面は、例えば、半径方向に向け外方へ凸な円弧面等の湾曲面であってもよく、また、当該マグネット50a、50bは、例えば、円柱状であってもよい。
【0095】
また、マグネット50a、50bは、平板状或いは外方に向け凸な円弧板状、湾曲状等の同一板形状のマグネットであってもよい。この場合には、板形状マグネットの外面がマグネット50a、50bの外端面よりもかなり広くなる。従って、板形状マグネットの数をマグネット50aや50bの数より減らしてもよい。
(5)緩衝リング80は、ゴム製Oリングに限ることなく、例えばリング状非磁性ばね部材(例えば、非磁性ステンレス鋼性ばね部材)であってもよく、また、板状の非磁性ゴム部材や非磁性板ばね部材であってもよい。また、緩衝リング90は、ゴム製Oリングに限ることなく、例えば、リング状ばね部材であってもよい。
(6)緩衝リング80は、マグネット保持軸40の先端側端面の外径以下の外径を有するものであってもよい。
(7)マグネット50a、50bのマグネット保持軸40の外周面からの突出長さは、当該マグネット50a、50bの磁束がマグネット保持軸40と短絡して流れることのないように設定されていればよい。
(8)円筒部材10aの小径ボス部11及び円筒部材10bの大径孔部12を廃止して、両円筒部材10a、10bを、その対向端面にて、直接、同軸的に溶接等により接合してしてもよい。
(9)マグネット保持軸40は、強磁性金属材料に限ることなく、磁性金属材料であればよく、また、円柱状に限ることなく、断面正方形等の断面多角形を有する柱状であってもよい。
(10)マグネット保持軸40の各溝41は、当該マグネット保持軸40の全長に亘り形成することなく、マグネット50a、50bの全長に合わせて形成してもよい。
(11)連結軸60は、同一材料で、把持金具70と一体に形成してもよい。また、マグネット保持軸40、連結軸60及び把持金具70を、強磁性金属材料で一体に形成してもよい。
(12)マグネット50a、50bは、マグネット保持軸40の外周面に、例えば瞬間接着剤により、接着することで、溝41の形成は廃止してもよい。
(13)案内部材Gの環状ボス30cの内周面と連結軸60の外周面との間をOリングによりシールすれば、連結軸60の外周面に沿う異物の侵入がより一層確実に防止できる。
(14)マグネット50a、50bの各数は、4個に限ることなく、2個、6個等偶数であればよい。
(15)上記実施形態にて述べたように4つずつのマグネット50a、50bは、それぞれ、等角度間隔にてマグネット保持軸40の外周面に保持されていれば、マグネット50aとマグネット50bとの間のマグネット保持軸40の周方向の角度ずれは、45°に限ることなく、30°、60°等の適宜な角度のずれであってもよく、また、当該周方向の角度ずれはなくてもよい。また、マグネット50a、50bがそれぞれ等角度間隔にてマグネット保持軸40の外周面に保持されていれば、各マグネット50a、50bのうち隣り合うマグネット50a、50bの各対向磁極は同極性であっても異極性であってもよい。
(16)マグネット保持軸40の軸方向に保持するマグネットの数は、2個に限ることなく、例えば、3個であってもよい。
(17)吸引軸部材SHを例えばリニアアクチュエータによりケーシングC内にて自動的に軸動させるようにすれば、磁性粉の吸引回収を自動的に行える。
(18)吸引軸部材SHにより吸引する物は、磁性粉に限ることなく、磁性片、磁性屑等の磁性物であってもよい。
(19)マグネット50aとマグネット50bは、互いに異なる外形形状を有していてもよい。
(20)マグネット50bを廃止するとともにマグネット50aを環状マグネットとし、マグネット保持軸40の各溝41を廃止して当該マグネット保持軸40の外周面にその軸方向に同軸的に等間隔にて環状マグネットを偶数嵌着してもよい。この場合、各環状マグネットが、マグネット保持軸の軸方向に沿い交互に異なる極性となる対向磁極(マグネット50aの対向磁極に対応)を有するようにしておく。
【0096】
これによれば、各環状マグネットが円筒部材10a内に位置するときには、各環状マグネットのうち互いに隣り合う各両環状マグネットが、その各対向磁極にて、マグネット保持軸40とともに、円筒部材10aの周壁の外側へ出て軸方向に通る先端側閉磁路を円筒面状に形成する。また、全環状マグネットが円筒部材10b内に移動して位置すると、全環状マグネットのうち互いに隣り合う各両環状マグネットが、その各対向磁極にて、マグネット保持軸40とともに、円筒部材10aの周壁から外側へ出ることなく当該周壁中を円筒面状に軸方向に通る基端側閉磁路を形成する。ここで、各環状マグネットが先端側及び基端側の両筒部材内に亘って位置するとき先端側閉磁路は各環状マグネットのうち先端側筒部材内に位置するマグネットで形成されるとともに基端側閉磁路は各環状マグネットのうち基端側筒部材内に位置するマグネットで形成される。
【0097】
従って、このような上記各両環状マグネット毎の先端側及び基端側の両閉磁路の形成により、余分な構成部材を採用することなく、各環状マグネットの吸引のもと円筒部材10aの外周面に付着する磁性粉が、各環状マグネットの円筒部材10a内から円筒部材10b内への移動に伴い、先端側閉磁路を形成する環状マグネットの磁気作用から順次解放されて円筒部材10aの外周面から順次脱落して回収される。ここで、上述のように両環状マグネット毎の両閉磁路は円筒部材10aの周壁の外側にて円筒面状となるので、磁性粉は、当該円筒部材10aの外周面にその全周に亘り付着する。よって、磁性粉の付着量をさらに増大することができ、その結果、上記実施形態にて述べたと実質的に同様に磁性粉を回収し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁性物回収装置の一実施形態を示す部分破断側面図である。
【図2】当該磁性物回収装置を側面からみた部分破断半断面図である。
【図3】当該磁性物回収装置の部分破断拡大断面図である。
【図4】図3にて4−4線に沿う断面図である。
【図5】先端側円筒部材の拡大側面図である。
【図6】基端側円筒部材の拡大側面図である。
【図7】蓋体の拡大側面図である。
【図8】(a)は案内部材の拡大側面図であり、(b)は当該案内部材を先端側からみた正面図である。
【図9】(a)は、マグネット保持軸の拡大側面図であり、(b)は当該マグネット保持軸を先端側からみた正面図である。
【図10】(a)は、図2にて10a−10a線に沿う断面図であり、(b)は、図2にて10b−10b線に沿う断面図である。
【図11】(a)は、基端側マグネットが基端側円筒部材内に位置するように吸引軸部材を摺動させた状態を示す磁性物回収装置の断面図であり、(b)は、図11(a)にて11b−11b線に沿う断面図である。
【図12】(a)は、先端側マグネットが基端側円筒部材内に位置するように吸引軸部材を摺動させた状態を示す磁性物回収装置の断面図であり、(b)は、図12(a)にて12b−12b線に沿う断面図である。
【符号の説明】
10…ケーシング本体、10a…先端側円筒部材、10b…基端側円筒部材、20…蓋体、34…環状ボス、40…マグネット保持軸、
50a…先端側マグネット、50b…基端側マグネット、60…連結軸、
80…緩衝リング、C…ケーシング、R1〜R4…閉磁路、SH…吸引軸部材。

Claims (3)

  1. 筒状ケーシングと、このケーシング内にその基端側開口部から軸動可能に嵌装してなる吸引軸部材とを備えて、
    前記ケーシングは、非磁性材料からなる先端側筒部材と、この先端側筒部材の先端開口部を閉塞してなる非磁性材料からなる先端側蓋体と、前記先端側筒部材にその基端側開口部にて同軸的に連結した磁性材料からなる基端側筒部材と、この基端側筒部材の基端側開口部を閉塞する基端側蓋体とを備え、
    前記吸引軸部材は、前記ケーシング内に軸動可能に嵌装したマグネット保持軸と、このマグネット保持軸の基端部から当該マグネット保持軸と同軸的に前記基端側蓋体を通り軸動可能に延出する連結軸と、前記マグネット保持軸の外周面にその周方向に沿い等角度間隔にて保持された偶数のマグネットとを備え、
    当該偶数のマグネットは、互いに隣り合う両マグネット毎に互いに極性を異にして前記ケーシングの周壁に対向するように前記マグネット保持軸の外周面からその半径方向に沿い突出する対向磁極をそれぞれ有するようにした磁性物回収装置。
  2. 前記先端側蓋体と前記マグネット保持軸及び偶数のマグネットの少なくとも一方との間に位置するように前記先端側蓋体の内面に設けられた緩衝部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の磁性物回収装置。
  3. 前記偶数のマグネットは、それぞれ、前記マグネット保持軸の外周面にその周方向には等角度間隔に当該マグネット保持軸の軸方向には互いに平行に保持された一側の柱状マグネットであり、
    他側の偶数の柱状マグネットが、前記偶数の一側の柱状マグネットと前記マグネット保持軸の軸方向において隣り合うように当該マグネット保持軸の外周面にその周方向には前記一側の偶数の柱状マグネットとは角度位置をずらせて等角度間隔に当該マグネット保持軸の軸方向には互いに平行に保持されていることを特徴とする請求項1或いは2に記載の磁性物回収装置。
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