〔第1の実施形態〕
以下、図1〜図3を用いて本発明の第1の実施形態に係るスキャナ装置1(本発明の画像読取装置の一例)の全体構成について説明する。ここに、図1及び図2は、スキャナ装置1の外観構成を示す斜視図であり、図1は原稿カバー5が閉じられた状態を示し、図2は原稿カバー5が開けられた状態を示す。また、図3はスキャナ装置1の縦断面構造の模式図である。なお、本実施形態では、本発明の画像読取装置の一例として、原稿の画像を読み取るスキャナ機能を唯一有するスキャナ装置1を例示して説明するが、例えば、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などの複数の機能を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)の一部として用いられるスキャナ装置にも本発明は適用可能である。
本スキャナ装置1はフラットベッド型のスキャナ装置(Flatbed Scanner:FBS)として構成されており、装置本体3(原稿載置台に相当)と、装置本体3の背面側の蝶番7(図2)を介して開閉可能に取り付けられた原稿カバー5(カバー部材の一例)と、装置本体3の上面の前方に配置された操作パネル4とを備えて大略構成されている。
操作パネル4は、各種操作キー13や液晶ディスプレイ(LCD)14などを備えて構成されている。操作キー13としては、例えば、読取開始指示を入力するためのスタートボタン、読み取りを中断させるストップボタン、テンキー、十字キーのほか、画像読取り用の光源として用いられる冷陰極管22(本発明の光源の一例)を強制消灯させる消灯信号を入力するための消灯スイッチ(消灯SW)などが配列されている。スキャナ装置1では、操作パネル4から入力された種々の指令に従って、後述するCPU51によって所定の処理が実行される。なお、上記消灯信号の入力方法は、上記消灯スイッチの操作に限られない。例えば、テンキーから所定文字数の数列が入力されたことをもってCPU51に消灯信号の入力を判定させてもかまわない。もちろん、上記消灯スイッチの配設位置は操作パネル4上に限定されない。
装置本体3の上面には、図2に示すように、外部に露出するように配置されたプラテンガラス10,11と、位置決め部材12とが配設されている。装置本体3に対して原稿カバー5が開けられることにより、プラテンガラス10,11が露出される。また、原稿カバー5が閉じられることにより、プラテンガラス10,11を含む装置本体3の上面全体が覆われる。図1に示すように原稿カバー5が閉じられた状態、すなわち、プラテンガラス10,11が原稿カバー5によって覆われた状態で、原稿カバー5がスキャナ装置1の上部外装の一部をなす。
プラテンガラス11(図2参照)は、スキャナ装置1がFBSとして機能する場合に画像が読み取られる原稿を載置するためのものであり、例えば無色透明なガラス板からなる。プラテンガラス11の下方には、スキャナ装置1の奥行き方向を主走査方向とするCCDユニット20(本発明の画像読取手段の一例、図3参照)がスキャナ装置1の奥行き方向と直交する方向(以下「副走査方向」と称す)へ移動可能に設けられている。CCDユニット20がプラテンガラス11上の原稿に対して副走査方向へ移動して露光しながら走査することにより、原稿の画像読取が行われる。
プラテンガラス10は、装置本体3の正面から見て左端部に設けられている。このプラテンガラス10は、原稿カバー5に設けられたADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送機構)6によって原稿を副走査方向へ搬送させながら原稿の画像を読み取る際の原稿読取面を構成するものであり、例えば透明なガラス板からなる。プラテンガラス10は、CCDユニット20の主走査方向の長さに対応して、スキャナ装置1の奥行き方向に延設されている。ADF6を用いて原稿画像が読み取られる場合は、CCDユニット20はプラテンガラス10の鉛直下方へ移動され、その位置に静止された状態で画像読取が行われる。
プラテンガラス10とプラテンガラス11との間には、位置決め部材12が介設されている。位置決め部材12は、プラテンガラス10と同様にスキャナ装置1の奥行き方向に延設された長尺の平板状の部材である。位置決め部材12は、FBSにおける原稿載置面であるプラテンガラス11上に原稿が載置される際に、原稿の位置決め基準として用いられる。そのため、位置決め部材12の上面には、中央位置やA4サイズ、B5サイズ等の各種原稿サイズの両端位置を示す表示が記されている。また、位置決め部材12の上面には、ADF6によりプラテンガラス10上を通過する原稿をすくい上げてADF6に戻すガイド面が形成されている。
また、図2に示すように、装置本体3の上面の左端部の奥側には開口9が穿設されている。装置本体3の内部であって、開口9の下方には図示しないリミットスイッチなどのカバー検出スイッチ57(図5参照)が配設されている。このカバー検出スイッチ57は原稿カバー5の開閉を検出するためのものである。原稿カバー5の開閉基端部には検出子8が装置本体3の上面に向けて突設されており、原稿カバー5が閉じられた場合に、検出子8が開口9に挿入されるようになっている。開口9に検出子8が挿入されると、カバー検出スイッチ57の接点アームが検出子8の先端によって押圧され、これにより、カバー検出スイッチ57の接点が接触して、カバー検出スイッチ57の接点がオフからオンに代わる。本実施形態では、カバー検出スイッチ57の接点として有電圧接点が用いられる。従って、カバー検出スイッチ57の接点がオフからオンに変わることにより、カバー検出スイッチ57から出力されるスイッチ信号の信号レベルがLOWからHIGHに変わる。ここに、上記検出子8とカバー検出スイッチ57とにより構成されるスイッチ機構が本発明のカバー開検出手段に相当する。なお、このような機械式のスイッチ機構に限られず、例えばフォトインタラプタなどを用いた光学式のセンサを用いた検出機構によりカバー開検出手段を構成してもよい。
プラテンガラス11の下側には、図3に示すように、複数のフォトインタラプタ72が配設されている。フォトインタラプタ72は発光部と受光部を一体化した反射型のフォトカプラなどの光学センサであって、プラテンガラス11へ向けて照射した光の反射光を受光することにより、プラテンガラス11に載置された原稿の有無を検知するものである。フォトインタラプタ72は、装置本体の内部においてCCDユニット20による読取動作の邪魔にならない位置に設けられている。なお、本実施形態では、プラテンガラス11上に載置された原稿を検知する手段としてフォトインタラプタ72を例示するが、例えば、プラテンガラス11に載置された原稿に対して位置決め部材12から所定幅だけ読取動作を実行させ、その読取画像に基づいてプラテンガラス上の原稿の有無を検知するものであってもよい。
図3に示すように、装置本体3の内部には、装置本体3の幅方向、即ち、図3において紙面の左右方向に渡ってガイドシャフト19が架設されている。ガイドシャフト19はプラテンガラス11に対して平行に架設されている。ガイドシャフト19は、CCDユニット20の内部を貫通している。CCDユニット20は図示しないブッシュを介してガイドシャフト19に摺動可能に支持されている。これにより、CCDユニット20はガイドシャフト19に沿ってスライド移動可能となっている。
CCDユニット20は、原稿へ光を照射し、該原稿からの反射光を電気信号に変換して画像読み取りを行う読取デバイスであり、図3及び図4に示すように、略直方体状の筐体21、冷陰極管22、反射ミラー23、集光レンズ24、CCDイメージセンサ25、とを一体に備えてなる。なお、本実施形態では、後述するベルト駆動機構30により上記CCDユニット20を移動させる所謂キャリッジ一体方式のFBSを例示するが、もちろん、集光レンズ24とCCDイメージセンサ25を装置本体3に固定し、原稿面からCCDイメージセンサ25までの光路が副走査に伴い変化しないように冷陰極管22や反射ミラー23などが相互に移動する所謂ミラー移動式のFBSや、同様に上記光路が変化しないように集光レンズ24を移動させるレンズ移動方式のFBSにも本発明は適用可能である。また、CCDイメージセンサ25に代えてCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)などを用いたリニアイメージセンサなどを適用することも可能である。
図4に示すように、筐体21の上面には冷陰極管22がスキャナ装置1の奥行き方向(図4の紙面に垂直な方向)に渡って設けられている。冷陰極管22は、ガラス管(ガラスバルブ)の内側に蛍光体を塗布した低圧水銀ランプであり、電極に高電圧をかけることによってガラス管内の電子を高速移動させることで放電させる方式が採用されている点において、熱電子放射方式の熱陰極管とは区別される。なお、本実施形態では、光源の一例として冷陰極管22を例示して説明するが、冷陰極管22と同等なものであれば光源として用いることは可能である。もちろん、冷陰極管22と同等な光源に対しても本発明は適用され得る。
図4に示すように、筐体21内には、反射ミラー23、集光レンズ24及びCCDイメージセンサ25が配設されている。筐体21には冷陰極管22に沿って開口18が穿設されており、開口18から原稿の反射光が筐体21内に進入するようになっている。図4に反射光の光路を破線で示す。筐体21内に進入した反射光は、適宜配設された反射ミラー23により順次反射されて集光レンズ24へ導かれる。このような反射ミラー23の配置はCCDイメージセンサ25に反射光を結像するために必要な光路長により適宜設定される。集光レンズ24に導かれた反射光はCCDイメージセンサ25に結像されて、CCDイメージセンサ25により電気信号に変換される。この変換された電気信号は後述する画像処理部58(図5参照)によって所定の画像処理がなされることによりイメージデータに変換される。上記イメージデータは所定の記憶媒体に記憶される。なお、スキャナ装置1にコンピュータ等の外部情報機器が接続されている場合は、該外部接続機器にイメージデータを転送するようにしてもよい。
また、装置本体3の内部には、CCDユニット20に動力を与えて該CCDユニット20をスライド移動させるベルト駆動機構30が配設されている。ベルト駆動機構30は、装置本体3の副走査方向の一端にモータ軸を装置の奥行き方向(図3の紙面に垂直な方向)にして配置されるDCモータ31と、上記モータ軸に取り付けられるプーリ32と、装置本体3の副走査方向の一端であってDCモータ31の配置位置とは反対側に配置されたプーリ33と、これらのプーリ32,33間に懸架された無端ベルト34とを備えて構成される。無端ベルト34の上側ベルト34aはCCDユニット20の内部を貫通しており、CCDユニット20内において上側ベルト34aが図示しない把持部によって把持されている。従って、DCモータ31が駆動され、無端ベルト34が一方向に移動すると、CCDユニット20もその移動方向に向かってガイドシャフト19に沿って移動される。なお、DCモータ31の回転方向が制御されることにより、CCDユニット20が副走査方向に往復移動される。
図1及び図3に示すように、原稿カバー5には、ADF6が搭載されている。ADF6は、原稿の読取面を上にして載置する原稿トレイ37と、原稿トレイ37の下方に配置され、読取り終了後の原稿を読取面を下にして積載する原稿排紙トレイ38と、これら原稿トレイ37と原稿排紙トレイ38との間にUターン状に形成される搬送路39とを備えている。
搬送路39には、原稿を搬送するための搬送手段が配設されている。この搬送手段は、図3に示すように、吸入ローラ40、分離ローラ41、搬送ローラ42、及び排紙ローラ43と、吸入ローラ40及び分離ローラ41に圧接する吸入ガイド44と、搬送ローラ42に圧接するピンチローラ45,46と、排紙ローラに圧接するピンチローラ47とによって構成されている。
原稿トレイ37には、原稿が載置される面に光学式の原稿センサ48が設けられている。原稿センサ48は、原稿トレイ37に原稿が載置されたかどうかを検出するためのものであり、例えば、LEDなどの発光部とフォトトランジスタなどの受光部とが一体化された反射型のフォトインタラプタなどが該当する。
原稿トレイ37に積載された原稿は、吸入ローラ40により繰り出され、分離ローラ41によって一枚ずつ分離されることにより、搬送路39の下流側へ送給される。搬送路39に送給された原稿は分離ローラ41より下流側に配置された搬送ローラ42によって最下位置の画像読取領域であるプラテンガラス10へ搬送される。そして、搬送された原稿がプラテンガラス10の下方に待機されたCCDユニット20により順次読み取られる。読み取られた原稿は排紙ローラ43によって読み取られた面を下にして原稿排紙トレイ38に排出される。
なお、本実施形態では、スキャナ装置1が、FBSとして画像を読み取ることができ、且つ、ADF6による画像読取が可能なものとして説明するが、本発明は読み取り方式に特に限定されない。少なくともCCDユニット20によって画像が読み取られる装置であれば本発明は適用可能である。
次に、図5のブロック図を用いて、本スキャナ装置1の動作を制御する制御部50について説明する。制御部50は、図示するように、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)54を主構成要素とするマイクロコンピュータが実装された制御基板として構成されている。詳細には、制御部50は、CPU51、ROM52、RAM53、第1タイマ55(第1計時手段の一例)、第2タイマ56(第2計時手段の一例)、画像処理部58、モータドライバ59、パネルゲートアレイ(パネルGA)60、液晶コントローラ61、駆動回路62、遮断回路63等の制御デバイスから構成されており、それぞれがバス64を介して電気的に接続されている。なお、バス64にはアドレスバス、データバス、制御信号線が含まれる。
ROM52には、スキャナ装置1の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。一方、RAM53は、CPU51が上記プログラムを実行する際に用いる各種データやCCDユニット20により読み取られた画像データを一時的に記憶する記憶領域又はCPU51の作業領域として用いられる。
CPU51は、制御部50を構成する制御デバイスや、制御部50によって制御される被制御機器などを統括的に制御するものである。CPU51に一体的に実装されている汎用レジスタ(以下「レジスタ」と称する)には、第1タイマ55や第2タイマ56でカウントされるタイマ設定値等の各種設定値が記憶されている。本実施形態では、CPU51によって、ROM52、RAM53、EEPROM54に格納されたデータやプログラムが読み出され、上記プログラムに従った演算処理が行われることにより、後述する図8および図9または図11のフローチャートに示す手順で冷陰極管22を点灯あるいは消灯させる制御処理が実行される。このような制御処理を実行するCPU51が、第1点灯制御手段、消灯制御手段、点灯制限手段、制限解除手段、第2点灯制御手段を構成するデバイスの一例である。
画像処理部58は、CCDユニット20によって読み取られた画像データに対して種々の画像処理を実行するものである。例えば、圧縮・伸長処理、平滑・強調処理、RGBデータを印刷可能なCMYKデータに変換する処理の他、黒補正や白補正、ガンマ補正等の補正処理が画像処理部58で行われる。各種画像処理が行われた画像データはCPU51によってRAM53に転送され、該RAM53に一時的に記憶される。
モータドライバ59は、ベルト駆動機構30のDCモータ31を駆動させるものである。モータドライバ59は、CPU51からの出力信号を受けて、DCモータ31を回転させるための電気信号を生成する。電気信号を受けたDCモータ31が回転すると、その回転力がプーリ32,33および無端ベルト34を介してCCDユニット20のプーリ26に伝達される。これによりCCDユニット20が移動される。
パネルゲートアレイ(パネルGA)60は、スキャナ装置1の操作パネル4に配設されたスタートボタンやストップボタンなどの各種の操作キー13からの入力を受け付けるためのインターフェースとして機能すると共に、操作キー13を制御するものである。パネルゲートアレイ60は、操作キー13の押下を検出して、所定のコード信号を出力する。それぞれの操作キー13にはキーコードが割り当てられている。CPU51は、パネルゲートアレイ60から出力された所定のキーコードを示すコード信号を受信すると、所定のキー処理テーブルに従って実行すべき制御処理を行う。キー処理テーブルは、キーコードと制御処理とを対応させてテーブル化したものであり、例えば、ROM52に記憶されている。
液晶コントローラ61は液晶ディスプレイ14と接続されている。液晶コントローラ61は液晶ディスプレイ14の画面表示を制御するものである。液晶コントローラ61は、CPU51の指令に基づいて、液晶ディスプレイ14にスキャナ装置1の動作情報や設定情報、エラー情報、案内情報などを画面表示させる。
第1タイマ55及び第2タイマ56は、CPU51から出力された指令を受けて時間のカウントを開始する計時装置である。第1タイマ55は、冷陰極管22が消灯されてからの経過時間を計時するために用いられる。一方、第2タイマ56は、カバー検出スイッチ57により原稿カバー5が開けられたことが検出されてからの経過時間を計時するために用いられる。これらのタイマ55,56により計時された時間は各タイマ55,56の内部メモリに記録される。CPU51は、レジスタに記憶されたタイマの設定値と上記内部メモリ内の時間とを比較することにより、所定の時間が経過したかどうかを判断する。なお、CPU51から各タイマ55,56にリセット信号が出力されると、タイマ55,56の内部メモリが初期化(リセット)される。
駆動回路62は、CPU51から出力される制御信号の信号レベルに応じて冷陰極管22に駆動電圧を供給する電源回路である。駆動回路62は、図6に示すように、AC/DCコンバータ(以下「AC/DC」と略称する)65、NPN型トランジスタ(以下「NPN」と略称する)66、電解コンデンサ67、外部端子S、T、Tb1、Tb2、Tb3等を備えてなる。外部端子S,Tは商用電源AC100V(50/60Hz)と接続されており、外部端子Tb2,Tb3は冷陰極管22と接続されている。また、外部端子Tb1にはCPU51から出力される制御信号が入力されるものであり、NPN66のベースと接続されている。
外部端子S,Tから入力された商用電源はAC/DC65によってDC24Vの制御電圧に変換される。変換された制御電圧は電解コンデンサ67によってその交流成分が更に平滑化される。これにより、安定した制御電圧がNPN66及び冷陰極管22に供給される。
冷陰極管22を点灯させるためのHIGHレベルの制御信号(点灯信号)がCPU51から駆動回路62の外部端子Tb1に入力されると、当該信号がNPN66のベースに入力されるため、NPN66のコレクタとエミッタが導通する。これにより、AC/DC65から出力された制御電圧が冷陰極管22に供給され、該冷陰極管22が点灯する。一方、外部端子Tb1に入力される制御信号がHIGHレベルからLOWレベルに変化されると、NPN66のコレクタ及びエミッタ間が遮断される。これにより、冷陰極管22への上記制御電圧の供給が遮断され、冷陰極管22が消灯する。なお、上記LOWレベルの制御信号が本発明の所定の消灯信号に相当する。
遮断回路63は、カバー検出スイッチ57とバス64との間に設けられている。この遮断回路63は、CPU51から出力される後述する制限信号の信号レベルに応じてカバー検出スイッチ57からバス64へ出力されるスイッチ信号を実質的に遮断する回路である。遮断回路63は、図7に示すように、PNP型トランジスタ(以下「PNP」と略称する)69と、NPN70と、外部端子Ta1、Ta2、Ta3等を備えてなる。外部端子Ta1はカバー検出スイッチ57からのスイッチ信号が入力される端子であり、この外部端子Ta1はPNP69のエミッタに接続されている。外部端子Ta2はCPU51から出力される制限信号が入力される端子であり、この外部端子Ta2はNPN70のベースに接続されている。また、PNP69のコレクタは外部端子Ta3に接続されており、この外部端子Ta3はバス64に接続されている。一方、PNP69のベースはNPN70のコレクタと接続されており、NPN70のエミッタは接地されている。本実施形態では、遮断回路63は上記スイッチ信号が有電圧信号である場合に適用可能である。上記スイッチ信号が無電圧信号である場合は、スイッチ信号が入力されたときにリレーが作動して所定の電圧が印加されたリレー接点信号を外部端子Ta1に出力するように構成されたリレー回路を遮断回路63の一次側に設ければよい。
遮断回路63において、HIGHレベルの制限信号が外部端子Ta2に入力されると、NPN70のコレクタとエミッタとが導通する。該エミッタは接地されているため、上記コレクタの電圧(コレクタ電圧)が接地電圧まで下降する。これと同時に、NPN70と接続されたPNP69のベース電圧も下降する。このとき、外部端子Ta1にHIGHレベルのスイッチ信号が入力されている場合は、PNP69のエミッタ電圧がベース電圧より高くなるため、PNP69のエミッタからコレクタに向けて電流が流れ、即ち、スイッチ信号が外部端子Ta3からバス64へ出力される。一方、LOWレベルの制限信号が外部端子Ta2に入力されると、NPN70のコレクタとエミッタとが遮断される。これにより、NPN70のコレクタ電圧及びPNP69のベース電圧が基に戻り、PNP69のベース電圧が同エミッタ電圧と等電位となる。従って、PNP69のエミッタからコレクタに向けて流れていた電流が遮断され、即ち、外部端子Ta3からのスイッチ信号の出力が遮断される。
ここで、図8及び図9のフローチャートを用いて、図10のタイミングチャートを参照しながら、制御部50のCPU51によって実行される冷陰極管22の点灯制御処理の手順の一例について説明する。図中のS1、S2、…は処理手順(ステップ)の番号を示す。処理はステップS1から開始される。以下の説明では、便宜上、スキャナ装置1の原稿カバー5が閉じられた状態から処理が開始されるものとする。ここに、図10のタイミングチャートは、(a)が主電源のオン/オフ状態、(b)が読取スタート信号のオン/オフ状態、(c)が制御信号の信号レベル、(d)が読取動作中か否か、(e)が消灯スイッチのオン/オフ状態、(f)が第1タイマ55の作動状態、(g)が制限信号の信号レベル、(h)が原稿カバーの開閉状態を示す。
ステップS1においてスキャナ装置1の主電源が投入されると(図10の(a)、時刻T00)、ステップS2では、CPU51によってHIGHレベルの制限信号が遮断回路63(図7参照)の外部端子Ta2に出力される(図10の(g)、時刻T00)。これにより、上述したように、カバー検出スイッチ57のスイッチ信号が外部端子Ta3を経てバス64へ出力可能な状態となる。
続いて、ステップS3では、カバー検出スイッチ57の出力信号であるスイッチ信号のレベルを監視することにより、原稿カバー5が開けられたかどうかが判定される。本実施形態では、原稿カバー5が開けられるとスイッチ信号の信号レベルがHIGHとなり、原稿カバー5が閉じられるとスイッチ信号の信号レベルがLOWとなる。従って、当該ステップS3における上記判定処理は、スイッチ信号の信号レベルがLOWからHIGHに変わったかどうかにより行われる。より詳細には、信号レベルがLOWからHIGHに変わったときの立ち上がりの有無により原稿カバー5が開けられたかどうかが判定される(図10の(h)、時刻T10)。ここで、原稿カバー5が開けられたと判定されると(S3のYes側)、処理はステップS4に進む。
本実施形態では、説明を簡単にするため、当該ステップS3で原稿カバー5の開状態が判定されるまで次順のステップへ処理が移行しない例を示すが、例えば、原稿カバー5が開けられなかった場合でも、原稿センサ48(図3参照)からオン信号が出力された場合、或いは強制的に冷陰極管22を点灯させるための図示しない強制点灯信号が入力された場合は、次順のステップS4の処理を実行するように構成してもよい。
ステップS4では、CPU51によって、駆動回路62の外部端子Tb1へHIGHレベルの制御信号が出力される(図10の(c)、時刻T10)。即ち、LOWレベルの制御信号がHIGHレベルに変化される。これにより、駆動回路62のNPN66のコレクタおよびエミッタ間が導通し、冷陰極管22へ電源電力が供給され、冷陰極管22が点灯する。なお、本発明の第1点灯制御手段は、原稿カバー5が開けられたことによりCPU51が駆動回路62にHIGHレベルの制御信号を出力することにより具現化される。
続いてステップS5では、読取スタート信号が入力されたかどうかが判定される。具体的には、操作パネル4に設けられたスタートボタンが押下されたかどうかによって判定される。ここで読取スタート信号が入力されたと判定されると(S5のYes側)、初期設定が完了したと判定されたことを条件に(S6のYes側)、ステップS7のスキャナ処理が開始される(図10の(d)、時刻T20)。ここに、上記初期設定とは、例えば、入力された解像度やカラー設定などの読取条件のレジスタへの設定、冷陰極管22が所定の輝度で発光するまでにかかる時間Δt(図10参照)が経過したことなどが挙げられる。なお、読取スタート信号入力時に既に初期設定が完了している場合は、直ちにスキャナ処理が実行される。
ステップS8では、スキャナ処理の終了後(図10の(d)、時刻T30)に操作パネル4に配設された消灯スイッチがオン入力されたかどうかどうかがCPU51によって判定される。具体的には、消灯スイッチがオン入力されたことにより発生するスイッチ信号が入力されたかどうかにより判定される。ここで消灯スイッチがオン入力されたと判定されると、処理は図9に示すステップS81へ進む。
一方、消灯スイッチがオン入力されず(S8のNo側)、例えばスキャナ装置1の不使用状態が8時間が経過したと判定された場合は(S9のYes側)、ステップS10において駆動回路62にLOWレベルの制御信号が出力される。これにより、冷陰極管22への電力供給が遮断され、冷陰極管22が消灯される。なお、ステップS9およびS10の処理に関連するタイミングチャートは図10では示されていない。
ステップS8において消灯スイッチがオン入力されたと判定されると(S8のYes側)、図9に示すステップS81では、上記ステップS10と同様に、駆動回路62にLOWレベルの制御信号が出力されて(図10の(c)、時刻T40)、冷陰極管22が消灯される。なお、本発明の消灯制御手段は、消灯スイッチが入力された場合に、CPU51が駆動回路62にLOWレベルの制御信号を出力することにより具現化される。
続いて、ステップS82において、遮断回路63(図7参照)の外部端子Ta2にLOWレベルの制限信号が出力される(図10の(g)、時刻T40)。即ち、外部端子Ta2に出力されていたHIGHレベルの制限信号がLOWレベルに変化される。これにより、外部端子Ta1のスイッチ信号の信号レベルに関係なく、外部端子Ta3の信号レベルが常時LOWとなる。従って、LOWレベルの制限信号が出力されている場合は、CPU51は原稿カバー5が開けられたことを認識することができなくなるため、仮に原稿カバー5が利用者によって開けられたとしても、原稿カバー5が開けられたことにより冷陰極管22を点灯させる制御(ステップS3,S4参照)は実行されない(図10の時刻T50参照)。即ち、上記制御が制限される。これにより、利用者が消灯スイッチをオン入力して冷陰極管22を消灯させた後に、原稿カバー5を開けて冷陰極管22の消灯状態を目視により確認することができる。
一方、ステップS83では、第1タイマ55を始動させて冷陰極管22が消灯されてからの経過時間t1(本発明の第1時間に相当)をカウントする処理が実行される(図10の(f))。詳細には、当該ステップS83において、消灯スイッチがオンされてからの経過時間t1がカウントされる。その後、ステップS84で時間t1が経過したと判定されると、ステップS85において再びHIGHレベルの制限信号が遮断回路63に出力される(図10の(g)、時刻T60)。これにより、再び、カバー検出スイッチ57のスイッチ信号が外部端子Ta3を経てバス64へ出力可能な状態となる。従って、時間t1が経過した後は、原稿カバー5が開けられたことにより冷陰極管22を点灯させる制御の制限は解除される(図10の時刻T70)。このように、ステップS3及びS4の点灯制御を時間t1が経過するまで制限する処理がCPU51により実行されることにより本発明の点灯制限手段が具現化される。
ここで、上記時間t1は、冷陰極管22の消灯状態を確認するために要する時間以上に設定される。具体的には、消灯スイッチをオン入力して原稿カバー5を開けて確認し、再び閉じるまでに要する時間と考えられるため、例えば、数秒から数分程度、より好ましくは、数秒から数十秒に設定される。
ステップS10及びステップS85の出力処理がなされた後は、ステップS11において主電源が遮断されるまでステップS3以降の処理が繰り返し実行される。
〔第2の実施形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。ここでは、上述の第1の実施形態と異なる点、即ち、ステップS84以降の処理手順について説明し、第1の実施形態と同じ構成要素および同じ処理手順については説明を省略する。以下、図12のタイミングチャートを参照しながら、図11のフローチャートを用いてステップS84以降の処理手順について説明する。
第1の実施形態では、ステップS84において時間t1が経過したと判定されるとステップS85において直ちにHIGHレベルの制限信号を出力していた。しかしながら、この実施形態では、ステップS84において時間t1が未だ経過していない場合、即ち、時間t1のカウント中に、ステップS841において原稿カバー5が開けられたと判定されると(図12の(h)、時刻T50)、ステップS842では、第2タイマ56を始動させて原稿カバー5が開けられてからの経過時間t2(本発明の第2時間に相当)をカウントする処理が実行される(図12の(i))。詳細には、当該ステップS842において、カバー検出スイッチ57のスイッチ信号がCPU51により検出されてからの経過時間t2がカウントされる。なお、ステップS841で原稿カバー5が開けられたと判定されなければ、ステップS84で時間t1が経過したと判定されたことを条件に、処理はステップS85に進む。
ここで、上記時間t2は、利用者の使い勝手や上記時間t1の設定時間などによって適宜さだめられるが、利用者が読取処理を実行するために原稿カバー5を開けて原稿をセットし、再び原稿カバー5を閉じる作業に要する時間以上の時間に概ね設定されている。
続いて、ステップS843では、時間t2が経過したかどうかが判定される。ここで時間t2が経過したと判定されると、処理はステップS85に進み、時間t1の経過を待たずしてHIGHレベルの制限信号がCPU51によって遮断回路63に出力される。即ち、時間t1の計時中に原稿カバー5が時間t2以上開放されている場合は、利用者により読取処理がなされると判断され、この場合は、時間t1が経過するのを待たずに冷陰極管22の点灯制御の制限が解除される。これにより、読取準備が整うまでの利用者の待ち時間が短縮される。このように、CPU51が、上記時間t2が経過したことによりHIGHレベルの制限信号を遮断回路63に出力することによって、本発明の制限解除手段が実現される。なお、ステップS843において時間t2が経過するまでに原稿カバー5が閉じられた場合は(S844のYes側)、ステップS84以降の処理が繰り返される。
なお、ステップS85においてHIGHレベルの制限信号が遮断回路63に出力されると、その後の処理は、図8に示すステップS11を経てステップS3に移行する。従って、原稿カバー5が開けられた現状では、処理はステップS4に進み、当該ステップS4においてHIGHレベルの制御信号が駆動回路62に出力される。このとき出力されるHIGHレベルの制御信号が本発明の読取指示に相当する。これにより、時間t1が経過するまでもなく、冷陰極管22が点灯されるため、画像読取が円滑に実行され得る。なお、このようにCPU51によってHIGHレベルの制御信号が駆動回路62に出力されることにより本発明の第2点灯制御手段が具現化される。
〔第3の実施形態〕
上述の第2の実施形態では、時間t1の計時中に原稿カバー5が時間t2以上開放されている場合は、時間t1が経過するのを待たずに冷陰極管22の点灯制御の制限を解除するようにしていたが、図13のフローチャートに示すように、時間t2が経過していない場合でも、ステップS8431において前記したフォトインタラプタ72などの原稿検出手段によってプラテンガラス11上に原稿が載置されたことが検知された場合は(S8431のYes側)、HIGHレベルの制限信号を遮断回路63に出力して(S85)、冷陰極管22の点灯制御の制限を解除させてもよい。これにより、冷陰極管22の早期点灯が可能となる。なお、言うまでもないが、ステップS8431の判断処理を上記第1の実施形態に適用させることも可能である。
なお、上述した第1から第3の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更することができる。例えば、上述した遮断回路63により達成される機能をプログラムで実現する構成も本発明の技術的範囲に属する。