JP4525481B2 - 楽音波形合成装置 - Google Patents
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Description
従来、楽音波形における開始波形部分(ヘッド)、持続波形部分(ボディ)、終了波形部分(テイル)と、2つの楽音における音程の遷移部分を表現する部分とされる接続波形部分(ジョイント)との波形データパーツの複数種類を記憶手段に記憶しておき、演奏イベント情報に基づいて波形データパーツを記憶手段から読み出してつなぎ合わせることにより楽音波形を合成するようにした楽音波形合成装置が提案されている。この楽音波形合成装置では、演奏イベント情報に基づいて奏法(アーティキュレーション)を識別し、識別された奏法の特徴を示す楽音波形を合成するために、奏法に対応する開始波形部分(ヘッド)、持続波形部分(ボディ)、終了波形部分(テイル)と、2つの楽音における音程の遷移部分を表現する部分とされる接続波形部分(ジョイント)とを組み合わせて時間軸上に配置することで、楽音波形を再生時間軸に沿って合成するようにしている。
図8(a)に示す楽譜を演奏すると、時刻t1に楽音200のノートオン(Note On)イベントが発生されて楽音波形合成装置で受信される。これにより、楽音波形合成装置は時刻t1において図8(b)に示すように開始波形部分(ヘッド:Head)から楽音200の楽音波形の合成を開始する。そして、ヘッド(Head)の合成が終了してもノートオフ(Note Off)イベントが受信されないことから図8(b)に示すようにヘッド(Head)から持続波形部分(ボディ:Body)に遷移されて楽音波形が合成されていくようになる。ここで、時刻t2においてノートオフイベントが楽音波形合成装置において受信されるとボディ(Body)から終了波形部分(テイル:Tail)に遷移されて楽音波形が合成されるようになる。そして、テイル(Tail)の合成が終了すると楽音200の楽音波形の合成が終了する。このように、楽音200の楽音波形はノートオンイベントの時刻t1からヘッド(Head)−ボディ(Body)−テイル(Tail)の順に図8(b)に示すように時間軸上に配置されて合成される。
図9(a)に示す楽譜を演奏すると、時刻t1に楽音210のノートオンイベントが発生されて楽音波形合成装置で受信される。これにより、楽音波形合成装置は時刻t1において図9(b)に示すようにヘッド(Head)から楽音210の楽音波形の合成を開始する。そして、ヘッド(Head)の合成が終了してもノートオフイベントが受信されないことから図9(b)に示すように1ショット波形110であるヘッド(Head)からボディ(Body)1に遷移されて楽音波形が合成されていくようになる。そして、時刻t2になると楽音211のノートオンイベントが受信されるが、楽音210のノートオフイベントがまだ受信されていないことから楽音波形合成装置ではレガート奏法がされたと判断されて、ボディ(Body)1から楽音210から楽音211への遷移部分を表現する1ショット波形116である接続波形部分(ジョイント)に遷移されて楽音波形が合成されていく。時刻t3で楽音210のノートオフイベントが受信され、次いで、ジョイント(Joint)の合成が終了しても楽音211のノートオフイベントが受信されないことからジョイント(Joint)からボディ(Body)2に遷移されて楽音波形が合成されていくようになる。その後、時刻t4になると楽音波形211のノートオフイベントが受信されボディ(Body)2からテイル(Tail)に遷移されて楽音波形が合成されていき、1ショット波形122であるテイル(Tail)の合成が終了することにより楽音波形の合成は終了する。このように、ノートオンイベントの時刻t1からヘッド(Head)−ボディ(Body)1−ジョイント(Joint)−ボディ(Body)2−テイル(Tail)の順に図9(b)に示すように時間軸上に配置されて楽音210と楽音211の楽音波形が合成される。各波形の接続は図8の例と同様である。
図10(a)に示す楽譜を演奏すると、時刻t1に楽音220のノートオンイベントが発生され楽音波形合成装置で受信される。これにより、楽音波形合成装置は時刻t1において図10(b)に示すように楽音220の1ショット波形125であるヘッド(Head)の楽音波形の合成を開始する。そして、ヘッド(Head)の合成が終了する前の時刻t2においてノートオフイベントが発生されて楽音波形合成装置で受信されることから、ヘッド(Head)の合成が終了すると、ヘッド(Head)から1ショット波形128であるテイル(Tail)に遷移されて楽音波形が合成されていくようになる。テイル(Tail)の合成が終了すると楽音220の楽音波形の合成は終了する。このように、短く演奏された場合はノートオンイベントの時刻t1からヘッド(Head)−テイル(Tail)の順に図10(b)に示すように時間軸上に配置される楽音波形が合成される。
図1に示す楽音波形合成装置1において、CPU(Central Processing Unit)10は楽音波形合成装置1の全体の動作を制御すると共に、楽音波形合成プログラム等の動作ソフトウェアを実行している。ROM(Read Only Memory)11には、CPU10が実行する楽音波形合成プログラム等の動作ソフトウェアや楽音合成に使用する波形データパーツが格納されており、RAM(Random Access Memory)12には、CPU10のワークエリアや各種データの記憶エリアが設定されている。このROM11をフラッシュメモリ等の書き換え可能なROMとすることで、動作ソフトウェアを書き換え可能となり動作ソフトウェアのバージョンアップを容易に行うことができる。また、ROM11に格納されている波形データパーツの更新を行うことができる。
楽音波形は立ち上がりを表す開始波形と持続部分を表す持続波形と立ち下がりを表す終了波形に分割することができる。また、レガート演奏等の2つの楽音がなめらかにつながる演奏を行うと、楽音波形には2つの楽音における音程が遷移していく接続波形が存在するようになる。そこで、本発明の楽音波形合成装置1においては、開始波形部分(以下、「ヘッド(Head)」という)、持続波形部分(以下、「ボディ(Body)」という)、終了波形部分(以下、「テイル(Tail)」という)と、2つの楽音の音程の遷移部分を表現する部分とされる接続波形部分(以下、「ジョイント(Joint)」という)との波形データパーツの複数種類をROM11やHDD20に記憶しておき、これらの波形データパーツを順次つなげていくことで楽音波形を合成するようにしている。楽音波形を合成する際の波形データパーツの特定やその組み合わせは、指定された奏法あるいは確定された奏法に応じてリアルタイムで決定される。
図3に示す機能ブロック図において、鍵盤/コントローラ30は操作子13における演奏操作子であり、鍵盤/コントローラ30を操作することにより検出された演奏イベントが楽音波形合成部に供給されている。楽音波形合成部は、CPU1が楽音波形合成プログラムを実行することにより実現されており、演奏(MIDI)受信処理部31、演奏解釈処理部(プレイヤー)32、演奏合成処理部(アーティキュレータ)33、波形合成処理部34を備えている。奏法判定用パラメータ35、奏法テーブル36および波形データパーツをベクタデータで記憶しているベクタデータ記憶手段37の記憶領域はROM11あるいはHDD20に設定されている。
なお、演奏合成処理部(アーティキュレータ)33では、受信されたイベント情報により確定された奏法、あるいは、奏法指定スイッチで指定された奏法指定データの奏法により用いる波形データパーツを決定している。
図4に示す奏法決定処理は、受信されたノートオンイベントが前音のノートオフイベントが受信された後であって前音の発音と重なっていないことが検出された(S1)場合に起動する。ノートオンが前音の発音と重なっていないことは、演奏(MIDI)受信処理部31が前音のノートオフイベントを受信した後にどの音程もノートオン状態ではない期間を経て当該ノートオンイベントを受信したことで検出することができる。そして、ノートオンが前音の発音と重なっていないと検出されると、ステップS2にて現在の時刻から前回記憶されたノートオフイベントが受信された時刻(前音のノートオフ時刻)を差し引くことにより、前音のノートオフイベントから受信されたノートオンイベントの間の休符長が求められる。次いで、求められた休符長が奏法判定時間のパラメータとして記憶されている「ミスタッチ音休符判定時間」よりも長いか否かがステップS3にて判定される。ここで、休符長がミスタッチ音休符判定時間よりも短いと判定された場合は、ステップS4に進み前回記憶されたノートオフイベントが受信された時刻(前音のノートオフ時刻)からさらに前回記憶されたノートオンイベントが受信された時刻(前音のノートオン時刻)を差し引くことにより、前音の音長が求められる。次いで、求められた音長が奏法判定時間のパラメータとして記憶されている「ミスタッチ音判定時間」よりも長いか否かがステップS5にて判定される。そして、休符長がミスタッチ音休符判定時間よりも短く、かつ、前音の音長がミスタッチ音判定時間よりも短いと判定された場合に、前音はミスタッチ音と判定されてステップS6に進み前音をフェードアウトさせると共にノートオンイベントに対応してヘッド(Head)から始まる楽音波形合成を開始するフェードアウト付きヘッド(Head)系奏法に決定されて、その奏法処理が実行されるようになる。これにより、ミスタッチ音と判定された前音はフェードアウトされることからミスタッチ音が目立たないようになる。
フェードアウト付きヘッド(Head)系奏法処理が起動されるとステップS10にて演奏イベント情報を元に奏法テーブル36を検索して使用すべき波形データパーツのベクタデータを選択し、選択されたベクタデータを構成している要素データを演奏イベント情報に基づいて補正する。要素データは、調和成分の波形(Timbre)要素とピッチ(Pitch)要素と振幅(Amplitude)要素、および、調和外成分の波形(Timbre)要素と振幅(Amplitude)要素とされ、これらの要素データで構成されるベクタデータから各波形データパーツが構成されている。なお、要素データは時間の進行に伴い変化することができるデータである。
まず、ミスタッチによる短音を含む第1の例の演奏イベントが受信されて楽音波形を楽音波形合成装置1で合成する場合の楽音波形合成の例を図6に示している。
操作子13における鍵盤/コントローラ30が操作されて、図6(a)に示されるミスタッチによる短音を含むピアノロール譜の通りに演奏されると、時刻t1で前音40のノートオンイベントが発生されて楽音波形合成装置で受信される。この場合、前音40より前の演奏イベントはないため図4に示す奏法決定処理は起動されることなく、ヘッド(Head)系奏法と決定される。これにより、楽音波形合成装置は時刻t1において図6(b)に示すようにヘッド(Head)1から前音40の楽音波形の合成を開始する。そして、ヘッド(Head)1の合成が終了してもノートオフイベントが受信されないことから図6(b)に示すようにヘッド(Head)1からボディ(Body)1に遷移されて楽音波形が合成されていくようになる。そして、時刻t2において前音40のノートオフイベントが受信されるとボディ(Body)1からテイル(Tail)1に遷移されて楽音波形が合成されるようになる。テイル(Tail)1の合成が終了すると前音40の楽音波形の合成は終了する。
以上説明したように、後音42のノートオンイベントが受信された際に、図5に示すフェードアウト付きヘッド系奏法処理が実行されることから、図6(b)に示されているように、短音41の楽音波形は後音42のノートオンイベントが受信された時刻t5からフェードアウト波形g1によりフェードアウトされるようになるため、ミスタッチ音と判定された短音41が目立たないようになる。
操作子13における鍵盤/コントローラ30が操作されて、図7(a)に示されるミスタッチによる短音を含むピアノロール譜の通りに演奏されると、時刻t1で前音50のノートオンイベントが発生されて楽音波形合成装置で受信される。この場合、前音50より前の演奏イベントはないため図4に示す奏法決定処理は起動されることなく、ヘッド(Head)系奏法と決定される。これにより、楽音波形合成装置は時刻t1において図7(b)に示すようにヘッド(Head)1から前音50の楽音波形の合成を開始する。そして、ヘッド(Head)1の合成が終了してもノートオフイベントが受信されないことから図7(b)に示すようにヘッド(Head)1からボディ(Body)1に遷移されて楽音波形が合成されていくようになる。そして、時刻t2になると短音51のノートオンイベントが受信されるが、前音50のノートオフイベントがまだ受信されていないことから楽音波形合成装置では短音51が前音50に重なっていると判断される。これにより、ジョイント(Joint)を用いるジョイント(Joint)系奏法処理が実行されて、ボディ(Body)1から前音50から短音51への音程の遷移部分を表現するジョイント(Joint)1に遷移されて楽音波形が合成されていく。次いで、ジョイント(Joint)1の合成が終了する前の時刻t3で前音50のノートオフイベントが受信され、続いて短音51のノートオフイベントが時刻t4で受信されることから、ジョイント(Joint)1の合成が終了するとジョイント(Joint)1からテイル(Tail)1に遷移されて楽音波形が合成されるようになる。
以上説明したように、後音52のノートオンイベントが受信された際に、図5に示すフェードアウト付きヘッド系奏法処理が実行されることから、図7(b)に示されているように、短音51の楽音波形は後音52のノートオンイベントが受信された時刻t5からフェードアウト波形g2によりフェードアウトされるようになるため、ミスタッチ音と判定された短音51が目立たないようになる。
以上の説明では、本発明にかかる楽音波形合成装置における波形データパーツには他の波形データパーツに接続するためのループ波形が付属されていたが、波形データパーツにループ波形を付属しないようにしても良い。この場合には、波形データパーツ同士をクロスフェードで接続すればよい。
Claims (1)
- 演奏進行に応じて演奏イベント情報を取得する取得手段と、
楽音波形における開始波形部分、持続波形部分、終了波形部分と、2つの楽音における音程の遷移部分を表現する部分とされる接続波形部分との波形データパーツの複数種類を記憶手段に記憶しておき、該取得手段から取得された演奏イベントに基づいて前記波形データパーツを前記記憶手段から読み出してつなぎ合わせることにより楽音波形を合成する楽音合成手段と、
前記取得手段から取得された演奏イベント情報に基づいて、前音と重なっていないノートオンを検出する検出手段と、
該検出手段において前音と重なっていないノートオンを検出した際に、前音のノートオフと当該ノートオンとの間の休符長を求める休符長測定手段と、
前記検出手段において前音と重なっていないノートオンを検出した際に、前音の音長をその演奏イベント情報に基づいて求める音長測定手段とを備え、
前記休符長測定手段で求められた休符長が所定の休符長を超えないと判定されると共に、前記音長測定手段で求められた前音の音長が所定の音長を超えないと判定された場合は、前記楽音合成手段が前音の楽音波形の合成をフェードアウトさせて終了させると共に、当該ノートオンに対応する楽音波形の合成を開始するようにしたことを特徴とする楽音波形合成装置。
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