JP4525327B2 - 光記録再生方法 - Google Patents
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Description
上記非特許文献1及び2に開示の方法では、フェムト秒レーザのような多光子吸収を誘起できるような超短パルスレーザを用いる際、記録しきい値が非常に高くなってしまい、フェムト秒レーザの他にその出力を増幅する再生増幅器を併用し、1パルス当たりの記録パルスエネルギーを増幅しなければ、適切な記録ができなかった。
このため、記録再生装置としての光学系は、より複雑で、最適化が難しい状況にあっただけでなく、より高いコストを必要とするという問題があった。
λrec≠λrd1≠λrd2≠λpl≠λfs
λrec≒λfs/n・・・(1)
λrd1≠λrd2≒λfs/m・・・(2)
(但し、nは2以上の整数、mは1以上の整数、n>m)
とし、光源をパルス周期が1ps未満のパルスレーザより構成して、前記記録媒体の記録時及び再生時に多光子吸収過程により光励起を行うことを特徴とする。
λrec≠λrd≠λpl1≠λpl2≠λfs
λrec≒λfs/n
λrd≒λfs/m
(但し、nは2以上の整数、mは1以上の整数、n>m)
とし、光源をパルス周期が1ps未満のパルスレーザより構成して、記録媒体の記録時及び再生時に多光子吸収過程により光励起を行うことを特徴とする。
なお、ここで記録時又は再生時の光励起中心波長とは、記録材料中の少なくとも一部の材料がこの波長を略中心波長とする波長帯域に吸収波長を有し、その光を吸収することによって状態の変化が誘起される波長を示す。すなわち、この光励起中心波長を中心波長とする光を照射することによって、この光を照射しない領域とは異なる状態に変化することによって、記録又は再生がなされる。そして、記録時に励起された領域が記録マークとなり、再生時にはこの記録マークに再生用励起光を照射すると、発光強度の変化、または発光スペクトルの変化が生じ、この変化を検出することによって、情報の記録再生を行うことができる。
すなわち、2光子以上の多光子吸収過程による記録と、1光子または2光子以上の多光子吸収過程による再生とを適宜実現できる波長関係とすることによって、簡易な装置構成で多層記録媒体に対する記録再生を実現できる。
特に、記録及び再生を2光子以上の多光子吸収過程により行う構成とすることにより、光源を1つとすることができて、より簡易な装置構成を実現し、多層記録媒体に対する実用的な光記録再生方法及び光記録再生装置を提供することができる。
また、本発明の光記録再生方式において記録時及び再生時の光励起波長λrec及びλrdを、光源の発振波長λfsに対し、それぞれ上記式(1)及び式(2)の関係とすることによって、少なくとも記録時において多光子吸収過程を利用した効率の良い光記録再生方法を提供することができる。
更に、本発明の光記録再生方法において、再生時の光励起波長が、記録時の光励起によって、その中心波長が変化することによって、再生時において記録情報の再生をより確実に行えると共に、記録及び再生を多光子吸収過程により行う場合において、記録時に再生用の多光子吸収過程をも誘起することを回避できるという利点を有する。
λfs/2<λpl<λfs
とすることによって、再生励起光と混同することなく、精度良く再生光を検出することができる。
更に、本発明の光記録再生装置において、パルスレーザ光を発振する光源とは別に、再生用光源を設け、この再生用光源を、記録媒体の再生時の光励起波長λrdに対応する発振波長を有する構成とすることによって、記録媒体の記録材料の選択の自由度を高め、比較的簡易な構成で多層記録媒体への安定した記録及び再生が可能な光記録再生装置を提供することができる。
更に、本発明の光記録再生装置において、再生用光源からのレーザ光を記録媒体に照射する共焦点光学系を設けることによって、同様に記録媒体記録材料の選択の自由度を高め、より簡易な構成で多層記録媒体への安定した記録及び再生が可能な光記録再生装置を提供することができる。
本発明は、記録媒体に対しレーザ光を照射して情報の記録及び/又は再生を行う光記録再生方式及び光記録再生装置に適用するもので、特に多層構造媒体に適用して好適な例を示す。
本発明の光記録再生方式においては、光源の発振波長λfs、記録媒体の記録材料における記録時の光励起波長λrec、再生時の光励起波長λrd、再生時の発光波長λplを、
λrec≠λrd≠λpl≠λfs
としてそれぞれ重なり合うことなく構成する。更に、それらの各波長が励起光源波長との兼ね合いにおいて、1光子吸収過程または多光子吸収過程となる波長関係とする。
再生時には、中心波長λrdの光を照射すると、記録時に記録材料の一部が励起された位置において記録材料の少なくとも一部の材料が励起されて例えば矢印a1で示すように吸収スペクトルが変化して光が吸収される。このとき、例えば発光スペクトルが矢印a2で示すように発光強度が変化し、記録された領域で局部的に発光強度が大となることによって、発光を検出するができ、記録の再生がなされる。
λrec≒λfs/n
(ただし、n≧2)
とする。なお、λrecとしては、必ずしもλfsのn分の1でなくても、記録材料が励起される範囲であれば、中心波長がλfs/nの周辺であってもよい。
このとき、光源としてパルスレーザを用い、そのパルス幅を3光子以上の多光子吸収が生ずる程度、1ps以下の例えば500fs、150fs等とすることによって、多光子吸収過程、例えば3光子過程により記録材料を励起することができる。
λrd≒λfs/m
(ただし、m≧1、n>m)
とする。この場合もλrdは、再生時の励起が生じる範囲であればよく、中心波長がλfs/mの周辺であってもよい。
再生時においても、光源としてパルスレーザを用い、そのパルス幅を2光子以上の多光子吸収過程が生ずる程度、1ps以下の500fs、150fs程度とすることによって、例えば2光子吸収過程により再生時の励起を行うことができる。
このようにすることによって、記録時と再生時において同一の光源からの光を利用して多層記録媒体への記録又は再生を良好に行うことが可能となる。
λfs/2<λpl<λfs
に存在するものとする。
これにより、再生時に励起する波長λrdの光と混同することなく、精度良く再生光の検出を行うことができる。
このように、記録時に励起するとその再生時の吸収スペクトルの中心波長が変化する記録材料を用いることによって、上述の図1において説明した例と同様に、記録及び再生を共に多光子吸収過程により行う場合に、記録時に複数の多光子吸収過程、例えば3光子吸収過程及び2光子吸収過程を誘起してしまうことを回避することができる。すなわちこの場合は、記録と再生の励起を適切に分離して行うことができるという利点を有する。
なお、このような波長関係は、例えば後述する光酸発生剤及び酸敏感性蛍光材料を記録材料とする場合に構成し得る。
この場合は、再生時にλpl1又はλpl2のどちらかの発光を検出して再生信号を得るようにすればよく、より精度よく再生信号を検出することができる。
これら図2〜図4において説明した各例において、上述の図1において説明した多光子吸収過程を誘起する波長関係とすることによって、同一の光源を用いて良好に記録及び再生を行うことができることはいうまでもない。
多光子吸収過程を利用した記録再生を行うことによって、多層記録媒体に対し良好に記録再生を行うことが可能となり、高記録密度記録媒体に対する実用的な記録再生が可能となる。
この場合においても、信号の検出は蛍光の発光を用いてこれを行い、かつその発光中心波長λplが、
λfs/2<λpl<λfs
に存在するものとする。
このように再生用の光源を用いる場合において、特にパルスレーザを用いるときは、そのパルス幅は、2以上の多光子吸収過程が生じない程度、例えば1ps以上とする。
この例では、例えばパルス幅1ps以下のパルスレーザを発振する光源1が設けられ、この光源1から出射されたパルスレーザは、光軸C1に沿って光量調節用のNDフィルター等より成るフィルター2を介してビームスプリッター3に入射される。ビームスプリッター3により反射されたパルスレーザ光は、光軸Cに沿って例えばコンピュータ制御された3次元ステージより成り層間移動及び収差補正がなされる光学系4に入射され、ここにおいてフォーカス方向及びトラッキング方向に制御され、また収差補正されて、油浸レンズや固浸レンズ等の高開口数の対物レンズ5を介して例えば記録部が多層構成とされた記録媒体30の所望の記録層に合焦されて照射される。
このように、再生用の光源6を設ける構成とする場合は、記録媒体の記録材料における記録及び再生時の光励起波長を共に多光子吸収過程が生じる波長関係に限定されることがなく、記録材料の選択の自由度を高めることができる。
また、上述したように共焦点光学系を構成する場合は、比較的簡易な構成で確実に多層記録媒体に対する安定した記録再生が可能となる。
上述の図5において説明した光記録再生装置において、光源1の発振波長λfsが800nm前後の超短パルスレーザ、いわゆるフェムト秒レーザを使用して、3光子以上の多光子吸収による光励起を利用し、一方、再生に際しては、同様に波長λfsが800nm前後の超短パルスレーザを光源1として使用し、2光子吸収により再生する構成とする。
なお、波長400nm前後の例えば波長405nmの青色半導体レーザを再生用の光源6として用いてもよく、ピンホール10と組み合わせることも可能である。
記録媒体へ照射する際の集光光学系は、例えば油浸対物レンズを用いて開口数1.35とする。対物レンズとしては、その他前述の図7に示す固浸レンズを用いるなど各種の集光光学系が適用可能である。
ホスト材料はPMMA(ポリメチルメタクリレート)等の各種材料が利用可能である。光酸発生剤は、特定の波長の光照射に対し、酸を発生するものであり、例えばトリフェニルスルフォニウム・トリフルオロメタンスルフォネート(Triphenylsulfoniumtrifluoromethanesulfonate)等が適している。同材料の光吸収の波長範囲は200nm前後を中心とした範囲となるため、記録時の光励起波長λrecを200nmに設定し、上述のフェムト秒レーザ・オシレータを光源として用いる場合は、4フォトンでの励起により、酸を発生させる。
また、酸敏感性蛍光材料は特に限定されないが、その特徴としては、以下の性質を持つものが望ましい。すなわち、酸の有無によってその光吸収特性、蛍光の発光特性が変化する色素材料であり、酸のない場合、その光吸収波長が350nm前後、酸がある場合、400nm前後になる材料が望ましい。これにより、再生時の励起波長を400〜500nm付近とすることができる。すなわち、非記録状態の再生時の励起波長λrd1を350nm程度、記録状態の再生時の励起波長λrd2を400〜500nmに設定することができる。
また、蛍光の発光特性は、酸のない場合は400nm付近の励起に対して非発光、酸がある場合に500〜750nmの範囲でその発光中心があるものが適している。すなわち、発光波長λplを500〜750nmの間に設定する。
あるいはまた、500〜750nmの範囲で、酸の有無に対して50nm以上の波長シフトが実現できるものでもよい。この場合、前述の図3に示す波長構成の例に相当する。また、同蛍光材料は、酸の有無によって可逆的、非可逆的にその光吸収、発光特性が変化するものであれば、書き換え可能な記録再生を行うことができる。
また、光源を一つとすることができるため、より簡素な光源系で記録再生を行うことができる。
更に、これらの結果、より低コストで、かつ、信頼性の高い記録再生方式を提供できる。
また、光源を記録、再生でそれぞれ用意する場合でも、特に再生時に半導体レーザを用いることが可能なため、比較的安価に光源系を構成することが可能となる。
Claims (7)
- 記録媒体の記録材料が、少なくとも光酸発生剤及び酸敏感性蛍光材料を含み、
光源をパルス周期が1ps未満のパルスレーザより構成して、前記記録媒体の記録時に多光子吸収過程により光励起を行って局所的に集光させて酸を発生させ、前記酸敏感性蛍光材料の光吸収スペクトルを局所的に変化させることにより記録を行い、
再生時には、前記光源からのパルスレーザを照射して1光子吸収又は多光子吸収過程により光励起を行って蛍光の検出を行って、
前記光源の発振波長をλfs、前記記録材料の記録時の光励起中心波長をλrec、前記記録材料の未記録領域における再生時の光励起中心波長をλrd1、記録領域における再生時の光励起中心波長をλrd2、前記記録材料の再生時の蛍光の発光中心波長をλplとすると、
λrec≠λrd1≠λrd2≠λpl≠λfs
λrec≒λfs/n
λrd1≠λrd2≒λfs/m
(但し、nは2以上の整数、mは1以上の整数、n>m)
とする
光記録再生方法。 - 前記未記録領域及び記録領域における再生時の光励起中心波長λrd1及びλrd2の差が50nm以上である請求項1に記載の光記録再生方法。
- 前記記録材料の再生時の蛍光の発光中心波長λplを、
λfs/2<λpl<λfs
とする請求項1又は2に記載の光記録再生方法。 - 前記記録材料の再生時の蛍光の発光中心波長が、未記録領域においてλpl1、記録領域においてλpl2となり、その差が50nm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の光記録再生方法。
- 記録媒体の記録材料に、少なくとも光酸発生剤及び酸敏感性蛍光材料を含み、
光源をパルス周期が1ps未満のパルスレーザより構成して、前記記録媒体の記録時に多光子吸収過程により光励起を行って局所的に集光させて酸を発生させ、前記酸敏感性蛍光材料の発光スペクトルを局所的に変化させることにより記録を行い、
再生時には、前記光源からのパルスレーザを照射して1光子吸収又は多光子吸収過程により光励起を行って蛍光の検出を行って、
前記光源の発振波長をλfs、前記記録材料の記録時の光励起中心波長をλrec、前記記録材料の再生時の光励起中心波長をλrd、前記記録材料の再生時の未記録領域における蛍光の発光中心波長をλpl1、記録領域における蛍光の発光中心波長をλpl2とすると、
λrec≠λrd≠λpl1≠λpl2≠λfs
λrec≒λfs/n
λrd≒λfs/m
(但し、nは2以上の整数、mは1以上の整数、n>m)
とする
光記録再生方法。 - 前記未記録領域及び記録領域における蛍光の発光中心波長λpl1及びλpl2の差が50nm以上である請求項5に記載の光記録再生方法。
- 前記未記録領域及び記録領域における再生時の蛍光の発光中心波長λpl1及びλpl2を、それぞれ
λfs/2<λpl1<λfs
λfs/2<λpl2<λfs
とする請求項5又は6に記載の光記録再生方法。
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