以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。図1は本発明に係る露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の少なくとも一部に(局所的に)液浸領域AR2を形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの先端部の光学素子2と基板Pの表面(露光面)との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによって、基板Pを露光する。
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向(所定方向)における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向、所定方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上にレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光が用いられる。上述したように、本実施形態における液体LQは純水であって、露光光ELがArFエキシマレーザ光であっても透過可能である。また、純水は紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTはリニアモータ等のマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上には移動鏡50が設けられている。また、移動鏡50に対向する位置にはレーザ干渉計51が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計51によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計51の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは反射素子と屈折素子とを含む反射屈折型の投影光学系であってもよいし、反射素子のみを含む反射型の投影投影光学系であってもよい。また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられている。また、先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQは光学素子2に接触する。これにより、金属からなる鏡筒PKの腐蝕等が防止されている。
光学素子2は蛍石で形成されている。蛍石は純水との親和性が高いので、光学素子2の液体接触面2aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子2の液体接触面2aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子2の液体接触面2aと液体LQとの密着性が高い。光学素子2は水との親和性が高い石英であってもよい。また光学素子2の液体接触面2aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。
また、露光装置EXはフォーカス検出系4を有している。フォーカス検出系4は、発光部4aと受光部4bとを有し、発光部4aから液体LQを介して基板P表面(露光面)に斜め方向から検出光を投射し、その反射光を受光部4bで受光する。制御装置CONTは、フォーカス検出系4の動作を制御するとともに、受光部4bの受光結果に基づいて、所定基準面に対する基板P表面のZ軸方向における位置(フォーカス位置)を検出する。また、基板P表面における複数の各点での各フォーカス位置を求めることにより、フォーカス検出系4は基板Pの傾斜方向の姿勢を求めることもできる。なお、フォーカス検出系4の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。また、フォーカス検出系4は液体を介さずに基板Pの表面に検出光を投射するものであってもよい。
基板ステージPSTは、基板Pを保持して移動可能であって、基板Pを基板ホルダPSHを介して保持するZステージ52と、Zステージ52を支持するXYステージ53とを備えている。XYステージ53はベース54上に支持されている。基板ステージPSTはリニアモータ等の基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。なお、ZステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。基板ステージPSTのXYステージ53を駆動することにより、基板PのXY方向における位置(投影光学系PLの像面と実質的に平行な方向の位置)が制御される。
基板ステージPST(Zステージ52)上には移動鏡55が設けられている。また、移動鏡55に対向する位置にはレーザ干渉計56が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計56によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計56の計測結果に基づいて、レーザ干渉計56で規定される2次元座標系内で基板ステージ駆動装置PSTDを介してXYステージ53を駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
また、制御装置CONTは基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTのZステージ52を駆動することにより、Zステージ52に保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置を制御する。すなわち、Zステージ52は、フォーカス検出系4の検出結果に基づく制御装置CONTからの指令に基づいて動作し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面(露光面)を投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に合わせ込む。
基板ステージPST(Zステージ52)上には、基板Pを囲むように補助プレート57が設けられている。補助プレート57は基板ホルダPSHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さの平面を有している。ここで、基板Pのエッジと補助プレート57との間には0.1〜2mm程度の隙間があるが、液体LQの表面張力によりその隙間に液体LQが流れ込むことはほとんどなく、基板Pの周縁近傍を露光する場合にも、補助プレート57により投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。なお、基板ホルダPSHは、基板ステージPST(Zステージ52)と別部材であってもよいし、基板ステージPST(Zステージ52)と一体的に設けることもできる。
投影光学系PLの先端近傍には、基板P上のアライメントマーク1あるいはZステージ52上に設けられた基準部材3上の基板側基準マークPFMを検出する基板アライメント系5が設けられている。また、マスクステージMSTの近傍には、マスクMと投影光学系PLとを介してZステージ52上に設けられた基準部材3上のマスク側基準マークMFMを検出するマスクアライメント系6が設けられている。なお、基板アライメント系5の構成としては、例えば特開平4−65603号公報に開示されているものを用いることができる。また基板アライメント系5の終端の光学素子(基板P、基板ステージPSTに最も近い光学素子)の周囲には液体の付着を防止するように撥液性のカバー(不図示)が設けられている。また、基板アライメント系5の終端の光学素子の表面は撥液性の材料で被膜されており、液体LQの付着が防止されているばかりでなく、終端の光学素子に液体が付着しても、オペレータが容易に拭き取れるようになっている。また、基板アライメント系5の終端の光学素子とその光学素子を保持する金物との間に液体の浸入を防止するためのVリングなどのシール部材が配置されている。また、マスクアライメント系6の構成としては、例えば特開平7−176468号公報に開示されているものや、特開昭58−7823号公報に開示されているものを用いることができる。
液体供給機構10は、液浸領域AR2を形成するために基板P上に所定の液体LQを供給するものであって、液体LQを送出可能な液体供給装置11と、液体供給装置11に供給管12を介して接続され、この液体供給装置11から送出された液体LQを基板P上に供給する供給口を有する供給ノズル13とを備えている。供給ノズル13は基板Pの表面に近接して配置されている。
液体供給装置11は、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えており、供給管12及び供給ノズル13を介して基板P上に液体LQを供給する。また、液体供給装置11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御され、制御装置CONTは液体供給装置11による基板P上に対する単位時間あたりの液体供給量を制御可能である。また、液体供給装置11は液体LQの温度調整機構を有しており、装置が収容されるチャンバ内の温度とほぼ同じ温度(例えば23℃)の液体LQを基板P上に供給するようになっている。なお、液体LQを供給するためのタンクや加圧ポンプは必ずしも露光装置EXで備えている必要はなく、露光装置EXが設置されている工場などの設備を利用することもできる。
液体回収機構20は基板P上の液体LQを回収するものであって、基板Pの表面に近接して配置された回収ノズル23と、この回収ノズル23に回収管22を介して接続された液体回収装置21とを備えている。液体回収装置21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えており、基板P上の液体LQを回収ノズル23及び回収管22を介して回収する。液体回収装置21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御され、制御装置CONTは液体回収装置21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。なお、液体LQを回収するための真空系やタンクは必ずしも露光装置EXで備えている必要はなく、露光装置EXが設置されている工場などの設備を利用することもできる。
図2は、露光装置EXの投影光学系PLの先端部、液体供給機構10、及び液体回収機構20近傍を示す正面図である。走査露光時には、投影光学系PLの先端の光学素子2の直下の投影領域AR1にマスクMの一部のパターン像が投影され、投影光学系PLに対して、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、XYステージ53を介して基板Pが+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。そして、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピングによって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で各ショット領域に対する露光処理が順次行われる。本実施形態では、基板Pの移動方向に沿って液体LQを流すように設定されている。
図3は、投影光学系PLの投影領域AR1と、液体LQをX軸方向に供給する供給ノズル13(13A〜13C)と、液体LQを回収する回収ノズル23(23A、23B)との位置関係を示す図である。図3において、投影光学系PLの投影領域AR1の形状はY軸方向に細長い矩形状となっており、その投影領域AR1をX軸方向に挟むように、+X方向側に3つの供給ノズル13A〜13Cが配置され、−X方向側に2つの回収ノズル23A、23Bが配置されている。そして、供給ノズル13A〜13Cは供給管12を介して液体供給装置11に接続され、回収ノズル23A、23Bは回収管22を介して液体回収装置21に接続されている。また、供給ノズル13A〜13Cと回収ノズル23A、23Bとをほぼ180°回転した位置関係で、供給ノズル15A〜15Cと、回収ノズル25A、25Bとが配置されている。供給ノズル13A〜13Cと回収ノズル25A、25BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル15A〜15Cと回収ノズル23A、23BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル15A〜15Cは供給管16を介して液体供給装置11に接続され、回収ノズル25A、25Bは回収管26を介して液体回収装置21に接続されている。
そして、矢印Xaで示す走査方向(−X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管12、供給ノズル13A〜13C、回収管22、及び回収ノズル23A、23Bを用いて、液体供給装置11及び液体回収装置21により液体LQの供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが−X方向に移動する際には、供給管12及び供給ノズル13(13A〜13C)を介して液体供給装置11から液体LQが基板P上に供給されるとともに、回収ノズル23(23A、23B)及び回収管22を介して液体LQが液体回収装置21に回収され、投影光学系PLと基板Pとの間を満たすように−X方向に液体LQが流れる。一方、矢印Xbで示す走査方向(+X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管16、供給ノズル15A〜15C、回収管26、及び回収ノズル25A、25Bを用いて、液体供給装置11及び液体回収装置21により液体LQの供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが+X方向に移動する際には、供給管16及び供給ノズル15(15A〜15C)を介して液体供給装置11から液体LQが基板P上に供給されるとともに、回収ノズル25(25A、25B)及び回収管26を介して液体LQが液体回収装置21に回収され、投影光学系PLと基板Pとの間を満たすように+X方向に液体LQが流れる。このように、制御装置CONTは、液体供給装置11及び液体回収装置21を用いて、基板Pの移動方向に沿って基板Pの移動方向と同一方向へ液体LQを流す。この場合、例えば液体供給装置11から供給ノズル13を介して供給される液体LQは基板Pの−X方向への移動に伴って投影光学系PLと基板Pとの間に引き込まれるようにして流れるので、液体供給装置11の供給エネルギーが小さくでも液体LQを投影光学系PLと基板Pとの間に容易に供給できる。そして、走査方向に応じて液体LQを流す方向を切り替えることにより、+X方向、又は−X方向のどちらの方向に基板Pを走査する場合にも、投影光学系PLと基板Pとの間を液体LQで満たすことができ、高い解像度及び広い焦点深度を得ることができる。
図4は、基板ステージPSTのZステージ52を上方から見た概略平面図である。矩形状のZステージ52の互いに垂直な2つの側面には移動鏡55が配置されており、Zステージ52のほぼ中央には不図示の基板ホルダPSHを介して基板Pが保持されている。基板Pの周囲には、上述したように、基板Pの表面とほぼ同じ高さの平面を有する補助プレート57が設けられている。そして、基板P上には露光対象領域である複数のショット領域S1〜S20がマトリクス状に設定されており、各ショット領域S1〜S20のそれぞれに付随してアライメントマーク1が形成されている。なお図4では、各ショット領域は互いに隣接するように図示されているが、実際には互いに離間しており、アライメントマーク1はその離間領域であるスクライブライン上に設けられている。
Zステージ52の1つのコーナーには基準部材3が設けられている。基準部材3には、基板アライメント系5で検出される基準マークPFMと、マスクアライメント系6で検出される基準マークMFMとが所定の位置関係で離れて配置されている。基準部材3の基材にはガラス板部材等の光学部材が使用されており、その基材上に例えば互いに異なる材料(光反射率の異なる材料)でパターニングすることで、基準マークPFM、MFMが形成されている。そして、基準マークPFM、MFMは無段差に形成されており、基準部材3の表面は、ほぼ平坦となっている。したがって、基準部材3の表面は、フォーカス検出系4の基準面としての役割も果たすこともできる。
図5は基準部材3を示す図であって、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のA−A矢視断面図である。基準部材3は、ガラス板部材等からなる基材33と、その基材33上にパターニングされた互いに異なる光反射率を有する第1材料31及び第2材料32とを有している。本実施形態においては、第1材料31は、光反射率の低い酸化クロム(Cr2O3)により構成され、第2材料32は、酸化クロムよりも光反射率の高いクロム(Cr)により構成されている。そして、十字状に形成された基準マークPFM、MFMは酸化クロムにより形成され、その周囲をクロムが取り囲むように配置され、更にその外側の領域に酸化クロムが配置されている。なお使用する材料としては上記材料の組み合わせに限定されず、例えば第1材料をアルミニウムにより構成し、第2材料をクロムにより構成してもよい。そして、基準マークPFM、MFMの上面は無段差に形成された無段差マークとなっている。
このような無段差マークを形成するには、例えば基材33上に酸化クロム膜を蒸着等により設けた後、エッチィング処理等により酸化クロム膜の所定領域に溝を形成する。そして、前記溝の内部にクロムを設けた後、上面をCMP処理(化学的機械的研磨処理)などによって研磨処理することにより、酸化クロム及びクロムからなる無段差マークを形成することができる。なお、基材33に溝を形成し、その溝にクロムあるいは酸化クロムを埋め込んだ後、研磨処理することによっても、無段差マークを形成することができる。あるいは基材33上に光処理(あるいは熱処理)によって変質する感光材等の材料を塗布し、形成する基準マークに応じた領域に光(あるいは熱)を当ててその領域を変質(変色など)させることによっても、無段差マークを形成することができる。あるいは、基材33のクロム膜の蒸着などによりマークを形成し、その上を、石英などの光透過性の材料でコーティングすることによって、基準部材3上面を無段差化(平坦化)することもできる。
基準部材3の上面のうち、基準マークPFM、MFMを含む少なくとも一部の領域は撥液性(撥水性)となっている。本実施形態では、基準部材3の上面全域が撥液性となっている。また、本実施形態では、基準部材3の上面は、撥液性を付与する撥液化処理を施されることによって撥液性となっている。撥液化処理としては、例えば撥液性を有する材料を使ったコーティング処理が挙げられる。撥液性を有する材料としては、例えばフッ素系化合物やシリコン化合物、あるいはアクリル系樹脂やポリエチレン等の合成樹脂が挙げられる。また、表面処理のための薄膜は単層膜であってもよいし複数の層からなる膜であってもよい。
なお、基準マークMFM、PFMを形成する上記第1、第2材料31、32として撥液性を有する材料を用いることによっても、基準部材3の上面を撥液性にすることができる。また、第1のガラス板部材上にクロム等の所定の材料により基準マークを形成し、その上に第2のガラス板部材を重ね、第1、第2のガラス板部材で上記クロム等からなる基準マークを挟むようにすることによっても、平坦な(無段差な)上面を有する基準部材を形成することができる。この場合、撥液化処理は第2のガラス板部材に対して施せばよいので、撥液化処理を円滑に行うことができる。
なおここでは、基準マークPFM、MFMは十文字状に形成されているが、その形状は十文字状に限られず、各検出系に最適なマーク形状が使用可能である。また、基準マークPFM、MFMは強調されて図示されているが、実際には数μm程度の線幅を有するものである。また、マスクアライメント系6として、特開昭58−7823号公報に開示されているようなものを用いる場合には、基準部材3には、基準マークMFMとして光透過部が形成される。この場合も、石英などの光透過性の材料を基準部材3の光透過部に埋め込んだり、光透過性の材料で基準部材3の上面をコーティングしたりして、基準部材3の上面を無段差化しておくことが望ましい。また、上述したように基準部材3の上面はフォーカス検出系4の基準面として使われるが、フォーカス検出系4の基準面を基準部材3とは別にZステージ52上に設けてもよい。また、基準部材3と補助プレート57とは一体で設けられていてもよい。
次に、上述した露光装置EXを用いてマスクMのパターンを基板Pに露光する手順の一例について図6のフローチャート図を参照しながら説明する。
Zステージ52の基板ホルダPSHに基板Pがロードされ、その基板ホルダPSHに基板Pを保持させる(図1参照)。そして、液体供給機構10から液体LQの供給を行う前に、基板P上に液体LQが無い状態で、まず計測処理が行われる。制御装置CONTは、投影光学系PLの光軸AXが図4の波線矢印Cに沿って進むようにレーザ干渉計56の出力をモニタしつつXYステージ53を移動する。その移動の途中で、基板アライメント系5は、ショット領域S1〜S20に付随して基板P上に形成されている複数のアライメントマーク1を液体LQを介さずに順次検出する(ステップSA1)。
ここで、基板アライメント系5がアライメントマークの検出を行うときはXYステージ53は停止され、基板アライメント系5がアライメントマーク1の検出を行っているときの基板ステージPSTの位置はレーザ干渉計56によって計測される。その結果、レーザ干渉計56によって規定される座標系内での各アライメントマーク1の位置情報が計測される。基板アライメント系5及びレーザ干渉計56を使って検出されたアライメントマーク1の位置情報の検出結果は、制御装置CONTに出力される。なお本実施形態の基板アライメント系5では、基板ステージPSTを静止させてマーク上にハロゲンランプからの白色光等の照明光を照射して、得られたマークの画像を撮像素子により所定の撮像視野内で撮像し、画像処理によってマークの位置を計測するFIA(フィールド・イメージ・アライメント)方式が採用されている。
また基板アライメント系5は、レーザ干渉計56によって規定される座標系内に検出基準位置を有しており、アライメントマーク1の位置情報は、その検出基準位置との偏差として検出される。
ここで、本実施形態では、例えば特開昭61−44429号公報に開示されているような、所謂EGA(エンハンスド・グローバル・アライメント)方式によりショット領域S1〜S20の位置情報が求められる。そのため、制御装置CONTは、基板P上に形成された複数のショット領域S1〜S20のうち、少なくとも三つの領域(EGAショット領域)を指定し、各ショット領域に付随したアライメントマーク1を基板アライメント系5を使って検出する。なお、基板アライメント系5は基板P上の全てのアライメントマーク1を検出してもよい。
また、そのXYステージ53の移動中に、フォーカス検出系4により基板Pの表面情報が液体LQを介さずに検出される。フォーカス検出系4は、投影光学系PLと液体LQとを介して形成されるパターン像の結像面と基板P表面とのずれを検出する。フォーカス検出系4による表面情報の検出は基板P上の全てのショット領域S1〜S20毎に行われ、検出結果は基板Pの走査方向(X軸方向)の位置を対応させて制御装置CONTに記憶される。なお、フォーカス検出系4による表面情報の検出は、一部のショット領域に対して行うだけでもよい。
次に、制御装置CONTは、アライメントマーク1の位置情報の検出結果に基づいて、基板P上の複数のショット領域S1〜S20それぞれの位置情報を演算処理(EGA処理)によって求める(ステップSA2)。
EGA方式では、ステップSA1において指定された上記EGAショット領域に付随したアライメントマーク1の位置情報(座標位置)を基板アライメント系5を使って検出した後、その検出値と設計値とに基づいて基板P上のショット領域S1〜S20の配列特性(位置情報)に関する誤差パラメータ(オフセット、スケール、回転、直交度)を最小二乗法等により統計演算して決定する。そして、この決定されたパラメータの値に基づいて、基板P上の全てのショット領域S1〜S20に対してその設計上の座標値を補正する。これにより、基板アライメント系5の検出基準位置と、基板ステージPSTに載置された基板P上の各ショット領域との位置関係が決定される。すなわち、制御装置CONTは、レーザ干渉計56の出力から基板アライメント系5の検出基準位置に対して基板P上の各ショット領域がどこに位置しているかを知ることができる。
基板Pのアライメントマーク1の検出及び基板Pの表面情報の検出が終了すると、基板アライメント系5の検出領域が基準部材3上に位置決めされるように、制御装置CONTはXYステージ53を移動する。基板アライメント系5は基準部材3上の基準マークPFMを液体無しに検出し、レーザ干渉計56によって規定される座標系内での基準マークPFMの位置情報を検出する(ステップSA3)。
基準マークPFMの位置情報を基板アライメント系5を使って検出したことにより、レーザ干渉計56によって規定される座標系内での基板アライメント系5の検出基準位置と基準マークPFMとの位置関係を検出したことになる。
基板アライメント系5を用いたアライメントマーク1の位置情報の検出とZステージ52上の基準マークPFMの位置情報の検出との両方が完了した後に、制御装置CONTは、マスクアライメント系6により基準部材3上の基準マークMFMを検出できるようにXYステージ53を移動する。マスクアライメント系6は投影光学系PLを介して基準マークMFMを観察するので、投影光学系PLの先端部と基準部材3とは対向している。ここで、制御装置CONTは液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収を開始し、投影光学系PLの先端部の光学素子2の先端面と基準部材3の上面との間を液体LQで満たして液浸領域を形成する。なお、液浸領域AR2は、基準部材3上のみに形成されるのが望ましいが、基準部材3と補助プレート57とに跨って形成されていてもよいし、基準部材3と補助部レート57と基板Pとに跨って形成されていてもよい。
次に、制御装置CONTは、マスクアライメント系6によりマスクM、投影光学系PL、及び液体LQを介して基準マークMFMの検出を行う(ステップSA4)。
これにより投影光学系PLと液体LQとを介して、XY平面内におけるマスクMのパターン像の投影位置情報が基準マークMFMを使って検出され、レーザ干渉計56で規定される座標系内でのパターン像の投影位置と基準マークMFMとの位置関係が計測される。なお本実施形態のマスクアライメント系6では、マークに対して光を照射し、CCDカメラ等で撮像したマークの画像データを画像処理してマーク位置を検出するVRA(ビジュアル・レチクル・アライメント)方式が採用されている。
制御装置CONTは、基板アライメント系5の検出基準位置とパターンの像の投影位置との間隔(位置関係)であるベースライン量を求める(ステップSA5)。
具体的には、ステップSA3で求めた基板アライメント系5の検出基準位置と基準マークPFMとの位置関係、ステップSA4で求めたパターン像の投影位置と基準マークMFMとの位置関係、及び予め定められている基準マークPFM(基準部材3a)と基準マークMFM(基準部材3b)との位置関係から、レーザ干渉計56で規定される座標系内でのパターン像の投影位置と基板アライメント系5の検出基準位置との位置関係(ベースライン量)が決定される。
以上のような計測処理が終了すると、制御装置CONTは、液体供給機構10による基準部材3上への液体LQの供給動作を停止する。一方で、制御装置CONTは液体回収機構20による基準部材3上の液体LQの回収動作を所定期間継続する。そして、前記所定期間が経過した後、制御装置CONTは、液体回収機構20による回収動作を停止する。こうすることで、基準部材3上の液体LQが回収される。なお、基準部材3と補助プレート57とが一体的に設けられ、基準部材3bと基板Pとが補助プレート57を介してほぼ同じ高さで連続している構成が好ましく、この場合には、液体供給機構10の液体供給動作を停止することなく、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持した状態で、液体LQの液浸領域を基準部材3上から基板P上に移動することができる。
次いで、制御装置CONTは、投影光学系PLと基板Pとを対向させた状態で、制御装置CONTは、液体供給機構10及び液体回収機構20を駆動し、基板P上に対する液体供給動作及び基板P上の液体回収動作を開始する。これにより、投影光学系PLと基板Pとの間に液浸領域AR2が形成される。そして、基板P上に液浸領域AR2を形成した後、基板Pの複数のショット領域のそれぞれが順次パターン像を投影されて液浸露光される(ステップSA6)。
より具体的には、ステップSA2で求めた基板アライメント系5の検出基準位置に対する各ショット領域の位置情報、及びステップSA5で求めた基板アライメント系5の検出基準位置とパターン像の投影位置との位置関係(ベースライン量)に基づいて、XYステージ53を移動し、基板P上の各ショット領域S1〜S20とパターン像とを位置合わせしながら、各ショット領域の液浸露光処理を行う。
基板P上の各ショット領域S1〜S20を走査露光する際には、前述の計測処理中に求めた各情報を使って露光処理が行われる。すなわち、ステップSA2で求めたショット領域の配列(位置情報)に基づいて、各ショット領域がパターン像の投影位置に位置合わせされて順次露光される。なお、基板P上の各ショット領域内のアライメントマーク1を基板アライメント系5で逐次検出してそのショット領域に重ね合わせ露光を行う所謂ダイ・バイ・ダイ方式を行ってもよいが、その場合、基板Pのショット領域の露光中には基板P上に液体LQを配置し、基板アライメント系5によるアライメントマーク1の検出中には基板P上には液体LQを配置しない動作を繰り返すことになるため、本実施形態のようにショット領域の配列(位置情報)を予め求め、その求めた配列によって基板Pを逐次移動する構成が好ましい。
また、各ショット領域S1〜S20に対する走査露光中は、液体LQの供給前に求めた基板Pの表面情報に基づいて、フォーカス検出系4を使うことなしに、基板P表面と液体LQを介して形成される像面との位置関係が調整される。なお、液体LQの供給前に基板Pの表面情報を求めずに、走査露光中に液体LQを介して基板P表面と像面との位置関係を検出して調整を行うようにしてもよいし、両方を行うようにしてもよい。
基板P上の各ショット領域S1〜S20の走査露光が終了すると、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給を停止する。一方、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給を停止した後、液体回収機構20の駆動を所定時間継続する。これにより、基板P上の液体LQが回収される。なお、基板P上の液体LQを回収する際には、基板ステージPSTを駆動して、基板Pと液体回収機構20の回収ノズル23とを相対的に移動しながら液体LQを回収するようにしてもよい。
基板Pの露光完了後に、別の基板P’を基板ステージPST上に保持して露光する際には、基板ステージPST上の基準マークPFM、MFMの位置情報の検出を行うことなく、基板P’のショット領域とマスクのパターン像の投影位置とを位置合わせすることができる。その場合には、別の基板P’をZステージ52上の基板ホルダPSHに保持させた後、ショット領域に付随して設けられたアライメントマーク1の位置情報を基板アライメント系5を使って検出する。これにより、先に露光された基板Pと同様に、EGA処理を用いて、基板アライメント系5の検出基準位置に対する各ショット領域の位置情報が求められる。これにより、投影光学系PLと基板P’とが対向され、基板P’上の各ショット領域とパターン像とが位置合わせされ、パターン像を基板P’の各ショット領域に露光することができる。
このように、複数の基板P(P’)を順次露光する際、ベースライン量を求めるための基準マークPFM、MFMの検出動作は、Zステージ52(基板ホルダPSH)に別の基板P’が保持された毎に行う必要はなく、Zステージ52に保持された(ロードされた)基板P’上のアライメントマーク1の位置情報を検出し、先に求めたベースライン量に基づいて基板P’を移動することで、基板P’とパターン像とを効率良く高精度に位置合わせすることができる。そして、ベースライン量を求めるための基準マークPFM、MFMの検出動作は、予め設定された基板処理枚数毎やマスクを交換したとき毎など、所定期間毎に行えばよい。
以上説明したように、Zステージ52上の基準マークPFMを基板アライメント系5で検出する際には液体LQを介さずに検出することで、液体LQの温度変化等の影響を受けることなく基準マークPFMを良好に検出することができる。また、基板アライメント系5を液浸対応に構成する必要がなく、従来の検出系をそのまま利用できる。そして、マスクアライメント系6を使ってZステージ52上の基準マークMFMを検出する際には、液浸露光時と同様、投影光学系PLの像面側に液体LQを満たして投影光学系PLと液体LQとを介して検出することにより、その検出結果に基づいてパターン像の投影位置を精確に検出することができる。そして、これら基板アライメント系5及びマスクアライメント系6の検出動作中における基板ステージPSTのそれぞれの位置情報に基づいて、基板アライメント系5の検出基準位置とパターン像の投影位置との位置関係(距離)であるベースライン量を精確に求めることができ、このベースライン量に基づいて、基板Pに対する重ね合わせ露光する際にも基板P(ショット領域S1〜S20)とマスクMのパターン像とを精確に位置合わせすることができる。
本実施形態では、基準マークMFM(基準部材3)上に液体LQを配置した状態でマスクアライメント系6によりマーク検出が行われるが、その検出動作中においてはZステージ52の基板ホルダPSHに基板Pが配置されている。これにより、仮に基準部材3上から液体LQが流出しても、基板ホルダPSH内部や基板ステージPST内部に液体LQが浸入することを防止できる。また、液浸領域AR2が補助プレート57の内側エッジをはみ出す場合にも、基板ホルダPSH内部や基板ステージPST内部に液体LQが浸入することを防止できる。したがって、浸入した液体LQに起因する基板ステージPST内部の例えば電気機器の故障や漏電、あるいは基板ステージPST内部の各部材の錆び等の不都合の発生を防止することができる。
また、上述したように、本実施形態においては、基準部材3上の基準マークPFM、MFMを検出する際に、基準部材3上に液体LQが配置されるウエット状態と配置されないドライ状態とが切り替えられることになるが、図5を参照して説明したように、基準部材3上に形成される基準マークPFM、MFMを無段差としたので、例えばドライ状態からウエット状態に切り替えた際にも、基準部材3上の液体LQ中のマーク部分に気泡が生成されにくくなる。また、ウエット状態からドライ状態に切り替えるために基準部材3上から液体LQを回収する際にも、液体LQを良好に回収できてマーク部分に液体LQを残留させることがない。特に本実施形態では、基準部材3の上面は撥液性となっているので、液体LQを更に良好に回収することができる。したがって、例えばマスクアライメント系6は気泡等の影響を受けることなく基準マークMFMの検出を精確に行うことができる。基板アライメント系5は残留した液体LQの影響を受けることなく基準マークPFMの検出を精確に行うことができる。
ところで、本実施形態では、基板アライメント系5で基準マークPFMを検出する際には基準部材3上に液体LQは配置されず、マスクアライメント系6で基準マークMFMを検出する際には基準部材3上に液体LQが配置される。そして、マスク側基準マークMFMと基板側基準マークPFMとを別々に(非同時に)検出する構成であるが、基準部材3上で基準マークPFMと基準マークMFMとが十分に離れていて、基準マークPFM部分が液体LQに曝されない場合には、基準マークPFMを無段差マークにしなくてもよい。また、マスク側基準マークMFMと基板側基準マークPFMとを別々の基準部材に形成してもよい。その場合、本実施形態のように、マスク側基準マークMFMと基板側基準マークPFMとを非同時に検出するようにすることで、基準マークPFMが形成された基準部材上には液浸領域を形成する必要がなくなる。したがって、基準マークPFMの無段差化などの液浸対応を行う必要がないばかりでなく、ウォーターマークなどの発生も防止できる。
本実施形態では、はじめに液体LQを介さずに基板P上のアライメントマーク1を基板アライメント系5で検出することによって基板P上の複数のショット領域S1〜S20の位置情報を求め(ステップSA1、SA2)、次いで液体LQを介さずに基板ステージPST上の基準マークPFMを検出し(ステップSA3)、次いで投影光学系PLの像面側に液体LQを満たして投影光学系PLと液体LQとを介してマスクアライメント系6で基準マークMFMを検出することによってパターン像の投影位置を求め(ステップSA4)、基板アライメント系5の検出基準位置とパターン像の投影位置との位置関係(距離)であるベースライン量を精確に求めた後(ステップSA5)、基板Pを液浸露光する(ステップSA6)構成である。すなわち、上記ステップSA1〜ステップSA3においては投影光学系PLの像面側には液体LQは満たされず、ステップSA4〜ステップSA6において投影光学系PLの像面側に液体LQが満たされる構成である。こうすることにより、投影光学系PLの像面側に液体LQを満たさないドライ状態と投影光学系PLの像面側に液体LQを満たすウエット状態との切り替え回数を少なくすることができ、スループットを向上することができる。例えばウエット状態からドライ状態に切り替えた場合、切り替え後において例えば基準部材3の上面等に残存している液体LQを除去する作業が必要となるが、切り替え回数が増えるとその液体除去作業の回数も多くなり処理効率を低下させる。しかしながら、切り替え回数を低減することで、スループットを向上することができる。
基板アライメント系5で基準マークPFMの検出を行った後(ステップSA3)、基板P上のアライメントマーク1の検出を行い(ステップSA1、SA2)、次いで、マスクアライメント系6で投影光学系PL及び液体LQを介して基準マークMFMの検出を行った後(ステップSA4、SA5)、基板Pを液浸露光処理する(ステップSA6)ことによっても、前述の本実施形態と同様にドライ状態とウエット状態との切り替え回数を少なくすることができる。一方、本実施形態のように、基板アライメント系5による基準マークPFMの検出動作と、マスクアライメント系6による投影光学系PL及び液体LQを介した基準マークMFMの検出動作とを連続して行うようにしたので、基板アライメント系5による基準マークPFMの検出動作時における検出状態に対して、マスクアライメント系6による基準マークMFMの検出動作時における検出状態が大きく変動して基板アライメント系5の検出基準位置とパターン像の投影位置との位置関係であるベースライン量が精確に計測できないといった不都合を回避することができる。例えば、ステージ駆動を行うリニアモータの停止時と駆動時との発熱量の違い等に起因する露光装置環境の熱的変動により、投影光学系PLとアライメント系5との位置関係の物理的な変動、アライメント系5の光学特性の変動、及び基板ステージPSTの位置計測を行うレーザ干渉計56の計測光路上の環境(温度)変動などが生じる可能性がある。その場合、基板アライメント系5による基準マークPFM
の検出動作時と、マスクアライメント系6による基準マークMFMの検出動作時との時間的間隔が大きいと、前記熱的変動によりベースライン量を精確に計測できない不都合が生じる可能性がある。しかしながら、本実施形態のように、基板アライメント系5による基準マークPFMの検出動作と、マスクアライメント系6による基準マークMFMの検出動作とを連続して行うことで上記不都合を回避することができる。
なお、図6のフローチャートで示したアライメントシーケンスにおいては、基板P上のアライメントマーク1を液体を介さずに検出して(ステップSA1)、EGA処理を行った(ステップSA2)後に、基準マークPFMの検出を液体を介さずに行い(ステップSA3)、さらにその後に、基準マークMFMの検出を投影光学系PLと液体とを介して実行している(ステップSA4)が、ステップSA2とステップSA3とを入れ替えてもよい。この場合、基準マークPFMと基準マークMFMとの検出間隔が図6のシーケンスよりも多少長くなってしまうが、図6のシーケンスと同様に少ない回数の液体の供給・回収動作が可能であるので、スループットの点で有利である。また上述の実施形態においては、基準マークPFMと基準マークMFMとを別々に設けているが、一つの基準マークを基板アライメント系5とマスクアライメント系6とで検出するようにしてもよい。さらに、基準マークPFMの液体なしでの検出と基準マークMFMの液体を介しての検出とを実行して、ベースライン量を求めた後に、基板P上のアライメントマーク1を検出するようにしてもよい。
図7は本発明の別の実施形態を示す模式図である。図7は投影光学系PLが基板P上に配置されている状態を、図8は投影光学系PLが基準部材3上に配置されている状態をそれぞれ示している。図7及び8において、Zステージ52上には、基板ホルダPSH上に基板Pを配置するための凹部60が形成されているとともに、基準部材3を配置するための凹部61が形成されている。そして、凹部60に配置された基板Pの上面と、凹部61に配置された基準部材3の上面と、Zステージ52の上面とはほぼ面一となるように設けられている。こうすることにより、基準部材3上の基準マークMFMを液体LQを介して検出するために、図7に示す状態から図8に示す状態にする場合であっても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持した状態で基板ステージPSTをXY方向に移動することができる。もちろん、図8に示す状態から図7に示す状態にする場合あっても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持した状態で基板ステージPSTをXY方向に移動することができる。また、基準部材3上の基準マークMFMを液体LQを介して検出している場合、基準部材3上に形成される液体LQの液浸領域の大きさによっては、基準マークMFMの検出動作中に基準部材3上の液浸領域の一部(端部)が基板ホルダPSHが配置されている凹部60に配置される状況が発生することが考えられるが、凹部60の基板ホルダPSHに基板Pを配置しておくことで、凹部60内部への液体LQの浸入を防止することができる。また、基板Pを配置することで凹部60を平坦にすることができ、凹部(段部)に起因する液浸領域の乱れを防止することができる。なお、基準マークが形成された基準部材3をZステージ52の凹部61に埋設する構成の他に、凹部61を設けずにZステージ52の上面に直接基準マークを形成するようにしてもよい。
なお上記実施形態では、基板P上のアライメントマーク1を検出した後に、マスクアライメント系6による基準マークMFMの検出を行うシーケンスを採用しているため、マスクアライメント系6による液体LQを介した基準マークMFMの検出動作中には、デバイスを製造するための基板Pが基板ホルダPSHに配置されている。しかしながら、ベースライン量を単独で計測する場合や、ベースライン量の計測後に、基板Pを基板ホルダPSH上にロードするシーケンスなどが採用される可能性がある。その場合には、ダミー基板DPを基板ホルダPSHに配置することももちろん可能である。ここで、ダミー基板DPはデバイス製造用の基板Pとほぼ同じ形状及び大きさを有する。またダミー基板DPは、基板Pと同じ材料、例えばシリコンで形成したものでもよいが、液体LQとの接触による汚染物の溶出などが無いものであれば各種の材料をダミー基板DPに用いることができる。その場合、基板ホルダPSHにダミー基板DPを配置した状態で、マスクアライメント系6により投影光学系PL及び液体LQを介した基準マークMFMの検出が行われる。次いで、基板アライメント系5により液体LQ無しに基準マークPFMの検出が行われ、ベースライン量が計測される。その基板アライメント系5の検出動作の前又は後に、ダミー基板DPが基板ホルダPSHからアンロードされるとともに、デバイス製造用の基板Pが基板ホルダPSHにロードされる。そして、基板P上のアライメントマーク1が基板アライメント系5により検出された後、基板P上のアライメントマーク1の位置情報とベースライン量とに基づいて、基板P上のショット領域とパターン像との位置合わせが行われ、液浸露光が行われる。
図9は、上記ダミー基板DPを保管するダミー基板用ライブラリ70Aを備えた露光装置EXの一例を模式的に示した平面図である。図9において、露光装置EXは、チャンバ装置CHの内部に設けられている。チャンバ装置CHの内部は、空調系によって所定の環境(温度、湿度)に維持されている。基板ステージPSTは、チャンバ装置CHの内部において所定の可動範囲SRで移動可能に設けられている。露光装置EXには、基板Pを搬送する搬送装置80が接続されている。搬送装置80には、基板Pに感光材を塗布する機能と露光処理済みの基板Pを現像する機能とを有するコータ・デベロッパC/Dがインターフェース部IFを介して接続されている。搬送装置80は、基板Pを保持して搬送する第1アーム部81及び第2アーム部82を備えている。第1、第2アーム部81、82のそれぞれはガイド部81A、82Aに案内されつつ移動する。第1、第2アーム部81、82及びガイド部81A、82Aは第2チャンバ装置CH2の内部に設けられている。コータ・デベロッパC/Dで感光材を塗布された露光処理前の基板Pは、第1アーム部81及び第2アーム部82によって、露光装置EXのチャンバ装置CH内部に搬送される。基板ステージPSTは、露光処理前の基板Pが第2アーム部82によってロードされるとき、基板交換位置RPに移動される。基板交換位置RPで基板Pがロードされた基板ステージPSTは、投影光学系PLの下である露光処理位置EPに移動する。また、露光処理を終えた基板Pを保持した基板ステージPSTは、基板交換位置RPに移動する。露光処理済みの基板Pは、基板交換位置RPにおいて、第2アーム部82(あるいは別のアーム部)によってアンロードされ、第1アーム部81(あるいな別のアーム部)によって、インターフェース部IFを介してコータ・デベロッパC/Dに搬送される。
そして、ダミー基板DPを基板ホルダPSHに配置するときは、制御装置CONTは、例えば第2アーム部82を使って、チャンバ装置CHの内部に設けられているダミー基板DPの待機場所であるダミー基板用ライブラリ70Aよりダミー基板DPを取り出し、基板交換位置RPにおいて、基板ステージPSTの基板ホルダPSHにロードする。そして、基板ホルダPSHにダミー基板DPを保持した状態で、制御装置CONTは、上述したような例えばマスクアライメント系6による投影光学系PL及び液体LQを介した基準マークMFMの検出を行う。
また、上記液体LQを介した検出処理が終了した後、ダミー基板DPを基板ステージPSTよりアンロードするときは、まず、制御装置CONTは液体回収機構20などを使ってダミー基板DPに付着・残留している液体LQの除去作業を行う。そして、制御装置CONTは、液体除去処理を施されたダミー基板DPを保持した基板ステージPSTを基板交換位置RPに移動する。そして、制御装置CONTは、第2アーム部82(あるいは別のアーム部)を使って基板ステージPSTよりダミー基板DPをアンロードし、ダミー基板DPの待機場所であるダミー基板用ライブラリ70Aに収納する。
なお、本実施形態においては、ダミー基板用ライブラリ70Aは、露光装置EXを収容するチャンバ装置CHの内部に設けられているが、図9中、符号70Bで示すように、ダミー基板用ライブラリを例えば搬送装置80を収容する第2チャンバ装置CH2の内部に設けてもよい。あるいは、コータ・デベロッパC/Dの内部に、ダミー基板用ライブラリを配置してもよい。
なお、ダミー基板DPは撥液性を有していることが好ましい。本実施形態においては、ダミー基板DPは撥液化処理されて撥液性を有している。撥液化処理としては、例えば撥液性を有する材料を使ったコーティング処理が挙げられる。撥液性を有する材料としては、例えばフッ素系化合物やシリコン化合物、あるいはアクリル系樹脂やポリエチレン等の合成樹脂が挙げられる。また、表面処理のための薄膜は単層膜であってもよいし複数の層からなる膜であってもよい。
また、ダミー基板DPの撥液性は経時的に劣化する。そこで、ダミー基板DPを、その撥液性の劣化に応じて交換するようにしてもよい。また、ダミー基板DPを撥液性の材料(例えば、フッ素系の材料やアクリル)で形成してもよい。
図10は別の実施形態を示す模式図である。図10に示すように、Zステージ52(基板ステージPST)に凹部60を形成し、その凹部60の内部に凹部60に応じた形状を有する基板ホルダPSHを配置するとともに、Zステージ52内部に基板ホルダPSHを昇降する昇降装置63を設けるようにしてもよい。そして、マスクアライメント系6による液体LQを介した基準マークMFMの検出動作時においては、図10(a)に示すように、昇降装置63は基板ホルダPSHを上昇して、Zステージ52の上面と基板ホルダPSHの上面とを面一にする。こうすることによっても、基準マークMFMを液体LQを介して計測するために基準部材3上に形成された液浸領域の液体LQがZステージ52(基板ステージPST)内部に浸入するなどの不都合の発生を防止することができる。そして、液浸露光するためにデバイス製造用の基板Pを基板ホルダPSHに保持させる際には、図10(b)に示すように、昇降装置63が基板ホルダPSHを下降することにより、基板Pを配置するための凹部60が設けられる。なお、基板Pを載置する際に基板ホルダPSH上に液体LQが付着している場合には、付着した液体LQを除去あるいは回収してから基板Pに載置するとよい。
なお、上述の実施形態においては、基板ステージPST上の基準マークMFMを、投影光学系PLと液体LQとを介して検出するときに、基板P、ダミー基板DPを基板ホルダPSHに保持して、Zステージ52内部に液体LQが浸入するのを防止しているが、基準マークMFMの検出に限ることなく、Zステージ52(基板ステージPST)上の各種センサの使用時など、Zステージ52(基板ステージPST)上面の周辺部に液浸領域を形成するときには、基板Pやダミー基板DPを基板ホルダPSHに保持したり、図10のような構成を用いてZステージ52(基板ステージPST)内部への液体LQの浸入を防止することが望ましい。
ところで、上述したように、ベースライン量を求めるための基準マークPFM、MFMの検出動作は、予め設定された基板処理枚数毎やマスクMを交換したとき毎など、所定期間毎に行えばよい。そして、上述した実施形態においては、基板Pを基板ホルダPSH上にロードする前においてベースライン量を単独で計測するときなどに、基板ホルダPSHにダミー基板DPを保持しておくことで、基板ホルダPSH内部や基板ステージPST内部に液体LQが浸入することを防止している。一方で、ベースライン量を計測するときには、ダミー基板DPを基板ホルダPSHに保持する代わりに、露光処理済みの基板Pを基板ホルダPSHに保持した状態で、ベースライン量を求めるための基準マークPFM、MFMの検出動作を行うことによっても、基板ホルダPSH内部や基板ステージPST内部に液体LQが浸入することを防止することができる。そして、ベースライン量の計測を終了した後、その露光処理済みの基板Pをアンロードすればよい。すなわち、基板Pの露光を終了した後、その露光処理済みの基板Pを基板ステージPSTに保持した状態で、基板アライメント系5による基板ステージPST上の基準マークPFMの位置情報の検出とマスクアライメント系6による基板ステージPST上の基準マークMFMの位置情報の検出とを行い、その基準マークPFM、MFMの位置情報の検出結果に基づいてベースライン量を求めた後、その露光処理済みの基板Pを基板ステージPSTより搬出することによって、基板ホルダPSH内部や基板ステージPST内部に液体LQが浸入することを防止できる。
なお、露光処理前の基板Pを基板ホルダPSHに保持した状態で、ベースライン量を求めるための基準マークPFM、MFMの検出動作を行う構成も考えられる。しかしながら、液体LQを介して基準マークMFMを検出するときなどに、露光処理前の基板P上のアライメントマーク1に液体LQが付着する可能性が高くなる。基板P上のアライメントマーク1を検出する基板アライメント系5は、液体LQを介さずに(ドライ状態で)検出するように構成されているので、露光処理前の基板P上のアライメントマーク1を基板アライメント系5で検出するときに、アライメントマーク1上に液体LQが付着していると、検出精度の劣化を招く。したがって、ベースライン量を求めるための基準マークPFM、MFMを検出するときに基板ホルダPSHに保持させておく基板Pは、露光処理後の基板Pであることが好ましい。
なお、Zステージ52(基板ステージPST)上に基準部材や各種の計測センサなどの計測部材が配置されていない場合であっても、Zステージ52(基板ステージPST)上に液浸領域AR2を形成する場合には、基板Pやダミー基板DPを基板ホルダPSHに保持したり、図10のような機構を用いてZステージ52(基板ステージPST)内部への液体LQの浸入を防止することが望ましい。
さらに言えば、Zステージ52(基板ステージPST)上の基準部材や各種の計測センサなどの計測部材の有無にかかわらず、Zステージ52(基板ステージPST)の凹部60が基板Pやダミー基板DPなどで覆われていない場合に、Zステージ52(基板ステージPST)上に液浸領域AR2を形成するのを禁止するのが望ましい。
例えば、Zステージ52(基板ステージPST)の凹部60が基板Pやダミー基板DPなどで覆われていない場合に、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給を禁止したり、投影光学系PLの光学素子2とZステージ52(基板ステージPST)とが対向しないように、Zステージ52(基板ステージPST)のXY平面内での移動範囲を制限することができる。
なお、制御装置CONTは、露光装置EX全体の動作を統括制御しているので、Zステージ52(基板ステージPST)の凹部60が基板Pやダミー基板DPなどで覆われているか否かを判断することができるが、後述するように、基板Pやダミー基板DPなどで覆われているか否かを検出する検出器を使うこともできる。
また、基板アライメント系5で基板P上のアライメントマーク1を検出するとき、上述したように、基板P上のアライメントマーク1に液体LQが配置されていない(付着していない)状態にすることが望ましい。基板ステージPSTにロードされた露光処理前の基板Pが、供給ノズル13の下や回収ノズル23の下、あるいは投影光学系PLの光学素子2の下を通過するときに、供給ノズル13や回収ノズル23、又は光学素子2に残留・付着している液体LQが基板P上に滴下あるいは飛散するおそれがある。そして、その滴下した液体LQが基板P上のアライメントマーク1上に配置されて(付着して)しまうと、基板アライメント系5はアライメントマーク1の計測ができず計測エラーを発生したり、計測ができたとしてもアライメントマーク1の像や波形信号が歪んで誤計測してしまい、アライメント計測精度が劣化する等の不都合が生じる。
あるいは、基板ステージPST上のうちその基板ステージPSTに保持された基板Pとは別の位置(例えば補助プレート57上やZステージ52の上面上)に液浸領域AR2を形成しつつ、基板アライメント系5が基板P上のアライメントマーク1を液体LQを介さずに計測する構成も考えられる。あるいは、基板P上の一部に(局所的に)液浸領域AR2を形成しつつ、その液浸領域AR2の外側でアライメントマーク1を基板アライメント系5で液体LQを介さずに検出する構成も考えられる。この場合においても、液浸領域AR2から液体LQが飛散したり、液体LQの回収が十分に行われないと、基板P上のアライメントマーク1上に液体LQが配置された状態で、そのアライメントマーク1が基板アライメント系5に計測される不都合が生じる。
そこで、制御装置CONTは、基板アライメント系5の検出領域に配置される前の基板P上のアライメントマーク1が、供給ノズル13や回収ノズル23、又は投影光学系PLの光学素子2の下を通過しないように、基板ステージPSTの移動軌跡を決定する。そして制御装置CONTは、決定した移動軌跡に基づいて基板ステージPSTを移動しながら、基板アライメント系5を使って、基板P上の複数のアライメントマーク1のそれぞれを順次計測する。
図11は、基板P上の複数のアライメントマーク1のそれぞれを基板アライメント系5で順次計測するときの動作を説明するための図である。図11において、投影光学系PLの光学素子2の近傍には供給ノズル13及び回収ノズル23が配置されており、それら光学素子2、供給ノズル13、及び回収ノズル23の+X側には基板アライメント系5が配置されている。このような位置関係において、基板アライメント系5を使って基板P上の複数のアライメントマーク1のそれぞれを順次計測するとき、最初に制御装置CONTは、図11(a)に示すように、基板P上の最も−X側に設けられているショット領域に付随したアライメントマーク1を基板アライメント系5の検出領域に配置し、そのアライメントマーク1を基板アライメント系5で計測する。例えば制御装置CONTは、基板P上のショット領域S10やS11(図4参照)などに付随したアライメントマーク1を基板アライメント系5の検出領域に配置する。以下の説明では、最初に計測される上記アライメントマーク1を「第1アライメントマーク」と称する。
ここで、制御装置CONTは、露光処理前の基板Pを基板交換位置RP(図9参照)において基板ステージPST上にロードした後、基板P上の第1アライメントマーク1を基板アライメント系5の検出領域に配置するときに、基板P上の複数のアライメントマーク1のうち、少なくとも基板アライメント系5の計測対象であるアライメントマーク1が、供給ノズル13や回収ノズル23、あるいは光学素子2の下を通過しないように、基板ステージPSTを移動する。これにより、第1アライメントマーク1は、供給ノズル13などの下を通過することなく、基板アライメント系5の検出領域に配置される。したがって、第1アライメントマーク1上に、供給ノズル13などから滴下した液体LQが配置された状態で、その第1アライメントマーク1が基板アライメント系5に計測される不都合を防止することができる。
第1アライメントマーク1の検出が終了した後、制御装置CONTは、基板ステージPSTを−X側に移動し、第1アライメントマーク1よりも+X側に設けられた第2アライメントマーク1(例えばショット領域S12やS9などに付随したアライメントマーク1)を基板アライメント系5の検出領域に配置する。ここで、制御装置CONTは、基板アライメント系5の検出領域に計測対象であるアライメントマーク1が、供給ノズル13などの下を通過しないように、基板ステージPSTの移動軌跡を決定しているので、基板Pが基板ステージPSTにロードされた後、その基板P上の第2アライメントマーク1が基板アライメント系5の検出領域に配置されるまでの間に、第2アライメントマーク1は供給ノズル13などの下を通過しない。したがって、第2アライメントマーク1上に、供給ノズル13などから滴下した液体LQが配置される不都合が防止されている。なお、既に基板アライメント系5に計測された第1アライメントマーク1は、供給ノズル13などの下を通過してもよい。
以下同様に、図11(b)に示すように、制御装置CONTは、第2アライメントマーク1よりも+X側に設けられた第3、第4アライメントマーク1を基板アライメント系5の検出領域に順次配置して計測する。以上の動作は、制御装置CONTが基板ステージPSTの位置をレーザ干渉計56でモニタしつつ、露光レシピに基づいて基板ステージ駆動装置PSTDを制御することで行われる。
なおここでは、制御装置CONTは基板ステージPSTを−X側に移動し、基板アライメント系5の検出領域に基板P上の−X側のアライメントマーク1から+X側のアライメントマーク1を順次配置しているが、基板アライメント系5が投影光学系PLの−X側に設けられている場合には、基板ステージPSTは+X側に移動される。また、アライメントマーク1を検出する順番も、X軸方向に沿った順番に限られない。また、上述したように、基板P上に設けられた複数のアライメントマーク1の全てを基板アライメント系5で検出する必要はない。したがって、基板アライメント系5の計測対象ではないアライメントマーク1は、供給ノズル13などの下を通過してもよい。要は、基板アライメント系5の検出領域に配置される前の計測対象であるアライメントマーク1が、供給ノズル13などの下を通過しなければよい。
以上説明したように、制御装置CONTは、基板アライメント系5の検出領域にアライメントマーク1を配置するための基板ステージPSTの移動軌跡を、基板アライメント系5と供給ノズル13(及び回収ノズル23、光学素子2)との位置関係に応じて決定しているので、基板アライメント系5で計測されるアライメントマーク1に、供給ノズル13などの下を通過したことに起因して液体LQが付着される不都合を防止することができる。したがって、基板アライメント系5が液体LQを付着された状態のアライメントマーク1を計測する不都合が防止されるので、計測エラーや誤計測を防止することができる。し
たがって、露光装置EXの稼働率が向上し、露光精度を高度に維持することができる。
なお、図11を参照して説明した実施形態の場合、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持した状態で、基板アライメント系5によるアライメントマーク1の検出を行なうようにしてもよい。この場合、基板ステージPST(Zステージ52)上面、あるいは基板ステージPST上面と基板P表面とに跨るように、あるいは基板P表面に液浸領域AR2が形成されるが、図11からも明らかなように、制御装置CONTは、基板Pのアライメントマーク1が液浸領域AR2の液体LQ(図1参照)に接触する前に基板アライメント系5で検出されるように基板ステージPSTの移動軌跡を決定しているので、基板アライメント系5が液体LQを付着された状態のアライメントマーク1を計測する不都合が防止することができる。
なおここでは、基板アライメント系5の検出領域に配置される前の基板P上のアライメントマーク1が、供給ノズル13などの下を通過しないようにしているが、基板アライメント系5の検出領域に配置される前の基準マークPFMが、供給ノズル13などの下を通過しないように、基板ステージPSTの移動軌跡が決定されてもよい。このように、アライメントマーク1や基準マークPFMに限らず、ドライ状態で計測される基板ステージPST上のマーク(計測対象)が液体LQを滴下させる可能性のある部材の下を通過しないように基板ステージPSTの移動軌跡を決定するようにすることで、液体LQを介さないマーク計測精度を向上することができる。
なお上述した実施形態においては、基板ステージPSTを基板交換位置RPから投影光学系PL近傍(露光処理位置EP)まで移動させるときや、基板P上の複数のアライメントマーク1を計測するときについての基板ステージPSTの移動軌跡について説明したが、基準部材3上の基準マークPFM、MFMを計測した後、基板P上のアライメントマーク1を計測するときなどにも、基板P上のアライメントマーク1が供給ノズル13などの下を通過しないように、基板ステージPSTの移動軌跡が決定されることが好ましい。例えば、図12において、基準部材3上の基準マークMFMをマスクアライメント系6を使って液体LQを介して計測するときは、制御装置CONTは、基準部材3上に液浸領域AR2を形成した状態で基準マークMFMを計測する。そして、基準マークMFMの液体LQを介した計測が終了した後、制御装置CONTは、基準部材3上の液体LQを液体回収機構20などを使って回収する。その後、制御装置CONTは、基板アライメント系5の検出領域に基板P上のアライメントマーク1を配置するときに、供給ノズル13などが図12の波線矢印Kに沿って進むようにレーザ干渉計56の出力をモニタしつつXYステージ53を移動する。そして、制御装置CONTは、基板アライメント系5の検出領域に第1アライメントマーク1(例えばショット領域S10に付随したアライメントマーク1)を配置する。この場合においても、基板アライメント系5で計測される前のアライメントマーク1は、供給ノズル13などの下を通過しないので、供給ノズル13などから滴下した液体LQが付着することがない。
なお、アライメントマーク1に液体が付着して検出エラーになった場合には、アライメントマーク1に異物が付着して検出エラーが生じた場合と同様に、そのアライメントマークの検出を中止し、その近傍のアライメントマークを替わりに検出するようにしてもよいし、その基板Pそのものを不良基板として扱うようにしてもよい。
また、基板アライメント系5で基板P上のアライメントマークをドライ状態で検出したときに得られるマーク像や信号波形を予め記憶しておき、実際に基板アライメント系5でアライメントマーク1を検出したときに得られたマーク像や信号波形が、記憶されているものと大きく異なる場合には、基板アライメント系5の終端の光学素子と、アライメントマークとの少なくとも一方に液体が付着していると判断して、検出エラーを出力し、オペレータなどに付着した液体の拭き取りなどを促すようにしてもよい。
同様に、基板アライメント系5で基準マークPFMをドライ状態で計測したときに得られるマーク像や信号波形を記憶しておき、ベースライン量の計測などのときに実際に基板アライメント系5で基準マークPFMの取得したマーク像や信号波形が記憶されているものと大きく異なる場合には、基板アライメント系5の終端の光学素子と、基準マークPFMとの少なくとも一方に液体が付着していると判断して、検出エラーを出力し、オペレータなどに付着した液体の拭き取りなどを促すようにしてもよい。
なお、記憶されるマーク像や信号波形は、露光装置EX内で基板アライメント系5を使って取得してもよいし、露光装置EXの外で取得するようにしてもよい。
また、図12に示す基板ステージPST上には、例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ400や、例えば特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ500が設けられている。そして、これら計測用センサ400、500上に液浸領域AR2を形成した状態で、液体LQを介して計測処理を行うことが考えられる。その場合においても、制御装置CONTは、センサ400、500による計測処理を終了した後、液体回収機構20などを使って液体回収を行う。そして、基板P上のアライメントマーク1を基板アライメント系5の検出領域に配置するときは、制御装置CONTは、基板アライメント系5の計測対象である基板P上のアライメントマーク1が供給ノズル13などの下を通過しないように、基板ステージPSTの移動軌跡を決定する。
図13は、本発明の別の実施形態を示す模式図である。図13(a)において、露光装置EXは、基板ホルダPSHに基板Pを吸着保持するための吸着保持機構90を備えている。吸着保持機構90は、基板ホルダPSHの上面の複数の位置のそれぞれに設けられた吸着孔91と、これら複数の吸着孔91のそれぞれに流路92を介して接続された真空系93とを備えている。制御装置CONTは、真空系93を駆動することで、基板ホルダPSHの上面に載置された基板Pの裏面を、吸着孔91を介して真空吸着保持する。
吸着保持機構90の流路92又は真空系93の圧力に関する情報は、圧力検出器94にモニタされるようになっている。圧力検出器94は、検出した圧力に関する情報に基づいて、基板ホルダPSH上に基板P(もしくはダミー基板DP)が保持されているか否かを検出することができる。すなわち、圧力検出器94は、吸着保持機構90による吸着動作が実行され、圧力が低下しない場合には、基板ホルダPSH上に基板Pが保持されていないと判断し、圧力が低下した場合には、基板ホルダPSH上に基板Pが保持されていると判断する。また、圧力検出器94の検出結果及び判断結果は、制御装置CONTに出力される。
液体供給機構10の供給管12の途中には、供給管12の流路を開閉するバルブ14が設けられている。バルブ14の動作は、制御装置CONTに制御される。
図13(a)に示すように、基板ホルダPSH上に基板Pが保持されているとき、上述したように、圧力検出器94は、圧力に関する情報に基づいて、基板ホルダPSH上に基板Pが保持されていることを検出することができる。そして、圧力検出器94が基板Pを検出したとき、制御装置CONTは、圧力検出器94の検出結果(判断結果)に基づいて、液体供給機構10に液体供給可能の指令を出す。
一方、図13(b)に示すように、基板ホルダPSH上に基板Pが保持されていないとき、圧力検出器94は、圧力に関する情報に基づいて、基板ホルダPSH上に基板Pが保持されていないことを検出することができる。そして、圧力検出器94が基板Pを検出しないときには、制御装置CONTは、圧力検出器94の検出結果(判断結果)に基づいて、液体供給機構10に液体供給不可の指令を出す。制御装置CONTの指令を受けた液体供給機構10は、例えばバルブ14によって供給管12の流路を閉じる。こうして、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給を停止する。
上述したように、基板ホルダPSHに基板Pもしくはダミー基板DPが保持されていない状態において、液浸領域AR2が形成されたり、液体供給機構10による液体供給が実行されると、基板ホルダPSH内部や基板ステージPST内部に液体LQが浸入する可能性があり、例えば液体LQが基板ステージPST内部に浸入すると、錆びを生じさせたり、内部に配置されている電気機器や摺動部に不具合が生じ、修復に多大な時間を要してしまう。あるいは、基板ホルダPSHの保持面に液体LQがかかると、吸着孔91を介して真空系93に液体LQが流入する不都合が生じる。また、基板ホルダPSHの保持面に液体LQが付着すると、基板Pが載置されたときに、その液体LQが潤滑膜として機能し、基板Pを所望の位置に対してずれた状態で保持する不都合も生じる。そこで、本実施形態のように、基板ホルダPSHに基板Pもしくはダミー基板DPが保持されているか否かに応じて、液体供給機構10の動作を制御することで、基板ホルダPSHの保持面に液体LQが付着したり、基板ステージPSTの内部に液体が浸入することを防止できる。そして、基板ホルダPSHに基板Pもしくはダミー基板DPが保持されていないときは、制御装置CONTが液体供給機構10による液体供給を停止することで、基板ステージPSTの内部への液体の浸入等を防止することができる。
なお本実施形態においては、圧力検出器94の検出結果に基づいて、基板ホルダPSHに基板P若しくはダミー基板DPが保持されているか否かが判断されているが、基板ステージPSTや基板ホルダPSHに、例えば接触式の基板有無センサを設け、その検出結果に基づいて、液体供給機構10の動作を制御するようにしてもよい。あるいは、前述のフォーカス検出系4を用いて、基板ホルダPSHに基板P若しくはダミー基板DPが保持されているか否かを判断し、その結果に基づいて、液体供給機構10の動作を制御するようにしてもよい。また、基板ホルダPSHに基板P(もしくはダミー基板DP)が保持されていないときに、Zステージ52(基板ステージPST)上に液浸領域AR2が形成されないように、Zステージ52(基板ステージPST)の供給ノズル13や回収ノズル23、あるいは光学素子2の下への移動を禁止するようにしてもよい。
また、制御装置CONTは、圧力検出器94の検出結果に応じて、基板ステージPSTの可動領域を変更するようにしてもよい。図13を参照して説明した実施形態のように、基板ホルダPSHに基板P(もしくはダミー基板DP)が保持されていないときに、液体供給機構10による液体供給を停止したとしても、供給ノズル13や回収ノズル23、あるいは投影光学系PLの光学素子2に残留・付着している液体LQが滴下して、基板ホルダPSH内部や基板ステージPST内部に浸入する可能性がある。その場合においても、基板ステージPST内部の電気機器の漏電を引き起こしたり、錆びを生じさせたり、吸着孔91を介して液体LQが真空系93に流入したり、あるいは基板ホルダPSHの保持面に滴下した液体LQが潤滑膜として機能して、所望位置に対してずれた状態で基板Pを保持するなどの不都合が生じる。そこで、制御装置CONTは、基板ホルダPSHに基板Pが保持されているか否かを検出する検出器94の検出結果に応じて、基板ステージPSTの可動領域を変更する。
具体的には、基板ホルダPSHに基板P(もしくはダミー基板DP)が保持されていないときは、換言すれば、圧力検出器94が基板Pを検出しないときは、制御装置CONTは、基板ステージPSTの可動領域を、供給ノズル13や回収ノズル23、あるいは光学素子2の下に基板ホルダPSHが位置しない領域とする。そして、制御装置CONTは、基板ホルダPSHに基板Pが保持されていない場合、レーザ干渉計56の出力をモニタしつつ、基板ホルダPSHが供給ノズル13などの下を通過しないように、基板ステージPSTを移動する。こうすることにより、仮に供給ノズル13などから液体LQが滴下しても、基板ホルダPSHの内部や基板ステージPSTの内部への液体LQの浸入等を防止することができる。
なお、上述の実施形態においては、基板ステージPST上に液浸領域AR2を形成するときに、供給ノズル13から液体LQの供給を開始するようにしているが、基板ステージPSTとは異なる所定の物体と投影光学系PLとの間に保持された液体を回収することなく、その所定物体上に形成されている液浸領域AR2を基板ステージPST上に移動することによって、基板ステージPST上に液浸領域AR2を形成することもできる。
なお、上述の実施形態においては、基板P上のアライメントマーク1及び基準マークPFMを液体を介さずに検出し、基準マークMFMの検出は液体を介して実行するようになっているが、基準部材3表面の撥液化、基準部材3上面の無段差化、ダミー基板DPの使用などに関する発明は、特開平4−45512号公報に開示されているような基準マークPFMと基準マークMFMとを同時に検出できるような構成を採用した場合にも適用可能であり、基板P上のアライメントマーク1及び基準マークPFMを液体を介して検出するような場合にも適用可能である。
また、基準部材3上に液浸領域と非液浸領域とを分離して形成できる場合には、特開平4−45512号公報に開示されているように、基準マークPFMの液体なしでの検出と基準マークMFMの液体ありでの検出とを同時にできるような構成を採用してもよい。その場合には、例えば図6に示したアライメントシーケンスにおいて、ステップSA3とステップSA4とを同時に行うことができるので、スループットの点で有利である。またさらに、基板アライメント系5が基板P上のアライメントマーク1や基準マークPFMを液体を介して検出する構成の場合には、特開平4−45512号公報に開示されているように基準マークPFMの検出と基準マークMFMの検出とを同時にできるような構成を採用してもよいことは言うまでもない。
また、上述の実施形態においては、基準部材上に、基準マークPFMと基準マークMFMの二つの基準マークを設けたが、単一の基準マーク(基準)を使ってステップSA3とステップSA4を行うことも可能である。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水を用いた。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nm程度に短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(ラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分)の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイボール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。
またマスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。液体LQと接触する光学素子を、レンズより安価な平行平面板とすることにより、露光装置EXの運搬、組立、調整時等において投影光学系PLの透過率、基板P上での露光光ELの照度、及び照度分布の均一性を低下させる物質(例えばシリコン系有機物等)がその平行平面板に付着しても、液体LQを供給する直前にその平行平面板を交換するだけでよく、液体LQと接触する光学素子をレンズとする場合に比べてその交換コストが低くなるという利点がある。即ち、露光光ELの照射によりレジストから発生する飛散粒子、または液体LQ中の不純物の付着などに起因して液体LQに接触する光学素子の表面が汚れるため、その光学素子を定期的に交換する必要があるが、この光学素子を安価な平行平面板とすることにより、レンズに比べて交換部品のコストが低く、且つ交換に要する時間を短くすることができ、メンテナンスコスト(ランニングコスト)の上昇やスループットの低下を抑えることができる。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの終端光学素子2の射出側の光路空間を液体(純水)で満たしてウェハ基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系PLの終端光学素子2の入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
2つのステージを備えたツインステージ型の露光装置では、基板の露光が行われる露光ステーションと基板上のショットエリアの位置合わせが行われるアライメントステーションが独立に設けられている場合がある。この場合、スループット向上のために、第1ステージ上の基板が露光ステーションで露光されているときに、第2ステージ上の基板がアライメントステーションでアライメントされる。そして、第2ステージ上の基板がアライメントされた後に、第2ステージは露光ステーションに移動して、アライメントステーションで位置合わせされた基板が露光ステーションで露光される。この際、第2ステージ上の基板はアライメントステーションにおいて、前述の実施形態で説明したような基板ステージに設けられた基準マークに対する相対位置が求められ、そして露光ステーションに第2ステージが移動されたときに、露光ステーションでも基準マークを基準として結像位置が決定される。従って、前述の実施形態で説明したような基準マークはツインステージ型の露光装置で、露光及びアライメントステーションで有効利用される。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報や特開平10−303114号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置にも適用可能である。
また、本発明は、例えば特開平11−135400号公報に開示されているように、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の基準部材や計測センサなどの計測部材を備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。この場合、上述の実施形態において基板ステージPSTに配置されている基準部材や各種計測センサの少なくとも一部を計測ステージに配置することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(US S/N 08/416,558)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図14に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…アライメントマーク、2…光学素子、3…基準部材、5…基板アライメント系(第1検出系)、6…マスクアライメント系(第2検出系)、10…液体供給機構、13…供給ノズル(ノズル部材)、20…液体回収機構、23…回収ノズル(ノズル部材)、52…Zステージ、60…凹部(基板ホルダ)、94…圧力検出器、AR1…投影領域、AR2…液浸領域、DP…ダミー基板、EX…露光装置、LQ…液体、MFM…基準マーク、P…基板、PFM…基準マーク、PL…投影光学系、PSH…基板ホルダ、PST…基板ステージ