JP4524342B2 - 大麦焼酎蒸留残液から分取した記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物 - Google Patents

大麦焼酎蒸留残液から分取した記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大麦を原料とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液から分取した記憶学習能向上作用を呈する組成物に関する。より詳細には、本発明は、前記大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して合成吸着剤吸着画分を得、該合成吸着剤吸着画分をアルカリ又はエタノールを用いて溶出することにより得られる脱着画分からなり、記憶学習能評価試験において記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年における高齢化社会の進行に伴って、痴呆症が大きな問題となっている。そうした痴呆症の主なものとしては、脳血管性痴呆症及びアルツハイマー型痴呆症を挙げることができる。脳血管性痴呆症の場合、脳梗塞や脳内出血等の脳血管障害が脳組織の破壊や血流障害を引き起こし、これにより十分な栄養や酸素が脳に行き渡らなくなって、その結果、脳細胞の機能が低下してしまうことが知られている。一方、アルツハイマー型痴呆症については、未だ十分には究明されてはいないが、アミロイドタンパク及びβタンパクの沈着による老人斑や神経原線維変化がみられ、著しい脳萎縮をきたすことが知られている。そして、こうしたいずれの痴呆症においても、記憶障害や知的能力の減退を呈することから、場合によっては日常生活及び社会生活を営むのが極めて困難になることが知られている。こうした記憶障害や減退した脳機能の改善には、記憶学習能向上の薬理作用を呈する物質が有効であるとされている。
【0003】
このような記憶学習能向上の薬理作用或いは痴呆症の予防治療作用を有する物質については、以下に述べるような提案がなされている。
即ち、特開平11-18722号公報には、エピガロカテキンガレートを有効成分とする記憶力および学習能力を増強させる効果を有する脳機能を活性化する飲食物が記載されている(以下、当該公報を特許文献1と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。そして特許文献1には、該飲食物は、安価でかつ安全性、安定性に優れ、記憶力および学習能力を増強させる効果を有する脳機能を活性化する機能を十分に発現でき、しかも日常気軽に喫食できる呈味性に優れているという効果を有する旨記載されている。
【0004】
特開2000-53575号公報には、蕎麦種子それ自体、蕎麦種子からの抽出物、または蕎麦種子抽出物を分画して得られる画分を含有する老化の予防及び/または治療用組成物が記載されている(以下、当該文献を特許文献2と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。そして特許文献2には、蕎麦種子抽出物を分画して得られる画分の主成分はポリフェノール化合物である旨記載されている。
【0005】
特開2002-249491号公報には、前記特許文献2に記載された前記組成物の生理活性成分が、カテキン及び/またはエピカテキンを構成単位とする多価フェノール重合体である旨記載されている(以下、当該文献を特許文献3と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。そして特許文献3には、該多価フェノール重合体は、脂質過酸化抑制作用、スーパーオキシドジスムターゼ活性上昇作用、及び脳機能改善作用を有することが記載されている。
【0006】
特開2000-325042号公報には、穀類の抽出物を有効成分として含有するプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤が記載されている(以下、当該文献を特許文献4と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。そして特許文献4には、該プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤は、穀類から単離精製されたケトン化合物を有効成分として含有し、脳機能障害の予防及び改善作用を有する旨記載されている。
【0007】
特開2002-80497号公報には、ワインから分離された新規ペプチドを有効成分とするプロリルエンドペプチダーゼ阻害ペプチドが記載されている(以下、当該文献を特許文献5と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。そして特許文献5には、該プロリルエンドペプチダーゼ阻害ペプチドは、天然物由来であるので安全性が高く、長期間にわたって投与することも可能であり、特に痴呆症の予防、治療に有用である旨記載されている。
【0008】
American Journal of Chinese Medicine 26(2):127-132,1998には、マウスにおいて10分間の頸動脈閉塞で誘導される脳虚血に対するイチョウ葉エキス(GbE)の効果を検討したことが記載されている(以下、当該文献を非特許文献1と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。そして、非特許文献1には、虚血48時間後の受動的回避学習法において マウスに深刻な記憶障害が確認されたが、前記10分間の閉塞を行う1時間前に、GbEを50 mg/kg及び100 mg/kg投与したところ、記憶の有意な改善が認められたことが記載されている。また、非特許文献1には、GbEより単離したフラボノイドの経口投与が、スコポラミンにより誘導される記憶障害に対しても記憶の有意な改善を示したことが記載されている。更に、非特許文献1には、これらの結果から、脳血管性疾患を伴う健忘症においてGbEの臨床使用が有益である旨記載されている。
【0009】
The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 274(2):602-608,1995には、マウスのくも膜内へのエピカテキン投与が、グルコースオキシダーゼにより誘導される記憶障害を改善し、カテキン及びエピカテキンの投与が、脳虚血により誘導される記憶障害を改善することが記載されている(以下、当該文献を非特許文献2と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。そして、非特許文献2には、これらの結果は、茶カテキンが細胞内の活性酸素を捕捉することによって、活性酸素により誘発される損傷や障害を改善することを示唆するものである旨記載されている。
【0010】
Rev. Neurol.(Paris)153(3):185-192,1997には、ボルドーのジロンド及びドルドーニュ在住の65歳以上の3777名について、飲酒量と死亡率、痴呆症、アルツハイマー症のリスクとの関係を3年間に渡り調べたことが記載されている(以下、当該文献を非特許文献3と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。そして、非特許文献3には、ワインを毎日3乃至4杯飲んでいるヒトでは、痴呆症の発症リスクが1/4に低下していることが記載されている。
【0011】
「高齢社会に向けた食品機能の総合的解析とその利用に関する研究成果報告書平成9-11年度」:124-133,2000には、袋小路が5つ以上ある迷路による記憶学習能評価法を確立した後、食品成分であるドコサヘキサエン酸(DHA)、フォスファチジルコリン(PC)又はDHA+PCを添加した飼料により若齢及び老齢マウスで4ヶ月間の飼育試験を行った結果、DHA食及びPC食に記憶学習能向上作用があり、高齢マウスではDHA+PC食でも記憶学習能向上作用があることが記載されている(以下、当該文献を非特許文献4と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。また、非特許文献4には、DHAには健康な高齢者の知能を高め、老人性の痴呆症を予防すると同時に痴呆老人の症状改善や白内障及び緑内障の高齢者の視力を改善する効果を認めた旨記載されている。
【0012】
以上とは別に、焼酎蒸留残液から分取した液体分について、以下に述べるような提案がなされている。
即ち、特開2001-145472号公報には、大麦を原料とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分にアルカリを添加してアルカリ可溶性画分を分取し、該アルカリ可溶性画分を酸で中和して中性可溶性画分を得、該中性可溶性画分にエタノールを添加することにより分取した、有機酸、タンパク質、及びヘミセルロースを含有するエタノール不溶性画分からなる脂肪肝抑制作用を有する組成物及びその製造方法が記載されている(以下、当該文献を特許文献6と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。
【0013】
特開2003-38158号公報には、大麦を原料とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して吸着画分を得、該吸着画分をアルカリ又はエタノールを用いて溶出することにより分取したオロチン酸誘発性脂肪肝及び/又はD-ガラクトサミン誘発性肝炎の発症を抑制する作用を有する精製濃縮物及びその製造方法が記載されている(以下、当該文献を特許文献7と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。
【0014】
特開2003-73294号公報には、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分に有機溶媒を添加することにより分取することを特徴とする有機溶媒不溶性画分からなる白血病細胞増殖阻害剤の製造方法及び該製造方法により得られる前記有機溶媒不溶性画分からなる白血病細胞増殖阻害剤が記載されている(以下、当該文献を特許文献8と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。
【0015】
特開2003-73295号公報には、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分に有機溶媒を添加することにより分取される有機溶媒不溶性画分からなるナチュラルキラー細胞賦活化剤、及び該有機溶媒不溶性画分を用いて賦活化したナチュラルキラー細胞を含有する賦活化ナチュラルキラー細胞含有組成物及びその製造方法が記載されている(以下、当該文献を特許文献9と呼称することとし、後述の【0016】に別途記載することとする)。
【0016】
【特許文献1】
特開平11-18722号公報
【特許文献2】
特開2000-53575号公報
【特許文献3】
特開2002-249491号公報
【特許文献4】
特開2000-325042号公報
【特許文献5】
特開2002-80497号公報
【特許文献6】
特開2001-145472号公報
【特許文献7】
特開2003-38158号公報
【特許文献8】
特開2003-73294号公報
【特許文献9】
特開2003-73295号公報
【非特許文献1】
American Journal of Chinese Medicine 26(2):127-132,1998
【非特許文献2】
The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 274(2):602-608,1995
【非特許文献3】
Rev. Neurol.(Paris)153(3):185-192,1997
【非特許文献4】
「高齢社会に向けた食品機能の総合的解析とその利用に関する研究成果報告書平成9-11年度」:124-133,2000
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
先に述べたように、焼酎蒸留残液から分取した液体分に係る特許文献6、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9のそれぞれには、以下のことが記されている。即ち、特許文献6には、大麦を原料とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分にアルカリを添加してアルカリ可溶性画分を分取し、該アルカリ可溶性画分を酸で中和して中性可溶性画分を得、該中性可溶性画分にエタノールを添加することにより分取した、有機酸、タンパク質、及びヘミセルロースを含有するエタノール不溶性画分が、脂肪肝抑制作用を有することが記載されている。特許文献7には、大麦を原料とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して吸着画分を得、該吸着画分をアルカリ又はエタノールを用いて溶出することにより得られる脱着画分が、オロチン酸誘発性脂肪肝及び/又はD-ガラクトサミン誘発性肝炎の発症を抑制する作用を有することが記載されている。特許文献8には、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分に有機溶媒を添加することにより得られる有機溶媒不溶性画分が、白血病細胞増殖阻害作用を有することが記載されている。特許文献9には、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分に有機溶媒を添加することにより分取される有機溶媒不溶性画分が、ナチュラルキラー細胞賦活化作用を有することが記載されている。しかしながら、特許文献6乃至特許文献9で得られるそれぞれの画分が有する前述した作用はいずれも、記憶学習能向上の薬理作用とは明確に異なり、該記憶学習能向上の薬理作用は、これらの特許文献に記載の作用から容易に予測できるものではない。
このように、従来技術においては、焼酎蒸留残液から記憶学習能向上の薬理作用に関与する有効成分を見出した例は全くない。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した従来技術に鑑みて、本発明者らは、大麦焼酎を製造する際に副生される大麦焼酎蒸留残液を使用して、卓越した記憶学習能向上の薬理作用を呈する物質を取得することを目指して、実験を介して検討を行った。その結果、前記大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して合成吸着剤吸着画分を得、該合成吸着剤吸着画分をアルカリ又はエタノールを用いて溶出することにより分取した脱着画分が、マウスを使用した記憶学習能評価試験において卓越した記憶学習能向上の薬理作用を発揮した。大麦焼酎蒸留残液についてのこの発見は、今までに全く例のない新事実である。本発明は、この発見に基づくものであり、大麦焼酎蒸留残液から分取した記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物を提供することを目的とする。
【0019】
前記大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して合成吸着剤吸着画分を得、該合成吸着剤吸着画分をアルカリ又はエタノールを用いて溶出することにより分取した脱着画分は特許文献7に開示されているが、特許文献7に開示されている該脱着画分の薬理作用は、オロチン酸誘発性脂肪肝及び/又はD-ガラクトサミン誘発性肝炎の発症を抑制する作用であって、マウスを使用する記憶学習能評価試験において発揮する記憶学習能向上の薬理作用とは明確に異なり、この記憶学習能向上の薬理作用は、前記オロチン酸誘発性脂肪肝及び/又はD-ガラクトサミン誘発性肝炎の発症を抑制する作用からでは容易に予測することのできないものである。このように本発明は、前記大麦焼酎蒸留残液から分取した画分について、有益な新規な用途を提供するものである。
【0020】
本発明は、【0018】に述べたように、実験を介して得られた知見に基づいて完成に至ったものである。以下に本発明者らが行った実験について詳述する。即ち本発明者らは、特許文献7に記載の「大麦を原料とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して吸着画分を得、該吸着画分をアルカリ又はエタノールを用いて溶出することにより得られる脱着画分」について、他に有益な用途があるのではと考えて、以下の実験を行った。
【0021】
以下の実験に供する目的で大麦焼酎の製造を行った。原料としては、大麦(70%精白)を用いた。
【麹の製造】
大麦を40重量%吸水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷し、大麦トンあたり1kgの種麹(白麹菌)を接種し、38℃、RH95%で24時間、32℃、RH92%で20時間保持することにより、大麦麹を製造した。
【蒸麦の製造】
大麦を40重量%吸水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷することにより、蒸麦を製造した。
【0022】
【大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造】
1次仕込みでは前述の方法で製造した大麦麹(大麦として3トン)に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎酵母の培養菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを得、得られた1次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)に付した。次いで、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を終えた1次もろみに、水11.4キロリットルと、前述の方法で製造した蒸麦(大麦として7トン)を加えて11日間の発酵(2段目の発酵)に付した。発酵温度は1次仕込み、2次仕込みとも25℃とした。上記2段目の発酵を終えた2次もろみを常法により単式蒸留に付し、大麦焼酎10キロリットルと大麦焼酎蒸留残液15キロリットルを得た。得られた大麦焼酎蒸留残液を以下の実験に用いた。
【0023】
【大麦焼酎蒸留残液液体分からの合成吸着剤吸着画分の取得】
以下の実験に供する目的で、前記大麦焼酎蒸留残液から得た液体分から次に示す方法に従って合成吸着剤吸着画分を分画した。
即ち、大麦焼酎蒸留残液を8000rpm,10minの条件で遠心分離して大麦焼酎蒸留残液の液体分(a)を得、得られた液体分(a)の一部を凍結乾燥に付すことにより、該液体分(a)の凍結乾燥物(a')を得、該凍結乾燥物(a')を以下の実験に用いた。また、得られた液体分(a)25Lと脱イオン水10Lをこの順番にオルガノ社製の合成吸着剤アンバーライトXAD-16を充填したカラム(樹脂容量10L)に接触させた後に、該カラムに1(wt/vol)%の 水酸化ナトリウム溶液10Lと脱イオン水10Lをこの順番に接触させることにより該カラムに対して吸着性を示す吸着画分を含有する溶出液(b)20Lを得た。さらに該溶出液(b)20Lをオルガノ社製強酸性陽イオン交換樹脂IR-120Bを充填したカラム(樹脂容量10L)に接触させた後に凍結乾燥に付すことにより、ナトリウムイオンを除去した吸着画分の凍結乾燥物(b')270gを得、該凍結乾燥物(b')を以下の実験に用いた。
【0024】
【記憶学習能向上の薬理作用の測定】
後述の試験例1において記載したのと同一の記憶学習能評価試験により、大麦焼酎蒸留残液の液体分(a)の凍結乾燥物(a')及び上記吸着画分(b)の凍結乾燥物(b')の記憶学習能向上の薬理作用を測定した。
【0025】
大麦焼酎蒸留残液の液体分(a)の凍結乾燥物(a')及び上記吸着画分(b)の凍結乾燥物(b')の記憶学習能向上の薬理作用の測定結果から以下の事実が判明した。即ち、上記吸着画分の凍結乾燥物(b')が有する記憶学習能向上の薬理作用は、単なる大麦焼酎蒸留残液の液体分(a)の凍結乾燥物(a')が有する記憶学習能向上の薬理作用を卓越した強力なものであることが判明した。
以上の実験結果から、大麦焼酎蒸留残液の液体分(a)に含まれる記憶学習能向上の薬理作用に寄与する成分は、該大麦焼酎蒸留残液の液体分(a)を合成吸着剤に付すことにより得られる吸着画分(b)に濃縮されて含まれていることが判明した。
【0026】
そこで、記憶学習能向上の薬理作用を呈することが判明した上記大麦焼酎蒸留残液の液体分の合成吸着剤吸着画分の成分組成を下記の方法により測定した。
【合成吸着剤吸着画分の成分組成の分析】
前記合成吸着剤吸着画分の成分組成の分析を行った。即ち、【0022】に記載した「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」の方法を複数回行って、ロットを異にする複数の大麦焼酎蒸留残液を用意した。それぞれの大麦焼酎蒸留残液を、【0023】に記載した「大麦焼酎蒸留残液液体分からの合成吸着剤吸着画分の取得」で採用した方法と同様にして遠心分離して大麦焼酎蒸留残液の液体分を得、得られた液体分25Lと脱イオン水10Lをこの順番にオルガノ社製の合成吸着剤アンバーライトXAD-16を充填したカラム(樹脂容量10L)に接触させ、該カラムに吸着した合成吸着剤吸着画分を溶出することにより合成吸着剤吸着画分からなる分析用試料を得た。この様にして、複数種の分析用試料を作製した。夫々の合成吸着剤吸着画分からなる分析用試料のタンパク質、糖組成、ポリフェノール及び有機酸組成を測定した。タンパク質はケルダール法により、糖組成は塩酸加水分解によるHPLC法により、ポリフェノールはFolin-Ciocalteu 法により、有機酸組成はHPLC法によりそれぞれ測定した。前記合成吸着剤吸着画分の成分組成(乾燥重量に基づく)の分析結果を表1に示す。表1に示した結果から明らかなように、前記合成吸着剤吸着画分は、粗タンパク40乃至60重量%、ポリフェノール7乃至12重量%、多糖類5乃至10重量%(糖組成:グルコース0乃至2重量%、キシロース3乃至5重量%、及びアラビノース2乃至5重量%)、有機酸4乃至10重量% (リンゴ酸1乃至3重量%、クエン酸2乃至4重量%、コハク酸0乃至1重量%、乳酸0乃至6重量%、及び酢酸0乃至1重量%)、及び遊離糖類0乃至2重量%(マルトース0乃至1重量%、キシロース0乃至1重量%、アラビノース0乃至1重量%、及びグルコース0乃至1重量%、)を含有することが明らかとなった。
尚、上記分析用試料の作製の手法を上記合成吸着剤アンバーライトXAD-16以外の合成吸着剤を用いて行い、上記複数種の大麦焼酎蒸留残液の液体分の夫々について合成吸着剤吸着画分からなる分析用試料を得、得られた分析用試料について上述したのと同様にして分析を行ったところ、表1に示すのと実質的に同等の結果が得られた。
【0027】
【分子量分布の測定】
更に、上記大麦焼酎蒸留残液の液体分の合成吸着剤吸着画分の分子量を明らかにするために、該合成吸着剤吸着画分が有する分子量分布を測定した。
即ち、昭和電工株式会社製のShodex standard P-82(分子量1300乃至1660000)、及びマルトトリオース(分子量504)から成る分子量標準品をそれぞれ別々に0.1mol /L硝酸ナトリウム溶液に溶解して0.05W/V%濃度の標準液を得、該標準液を高速液体クロマトグラフに注入して検量線を作成した。次に、前記実験1乃至実験7で得たそれぞれの凍結乾燥物0.02gを用意し、これに0.1mol/L硝酸ナトリウム溶液10ml を加え、室温で一晩放置した後、孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過してろ液を得、該ろ液を高速液体クロマトグラフに注入して、システムインスツルメンツ株式会社製480データステーションGPCプログラムを用いて分子量分布を求めた。高速液体クロマトグラフ分析は、昭和電工株式会社製Shodex GPC SYSTEM-21 を用い、検出器に昭和電工株式会社製示差屈折計RI-71Sを使用し、カラムは東ソー株式会社製TSKgel GMPWXL(φ7.8mm×300mm)を2本連結して使用した。カラム温度は40℃とし、移動相には0.1mol/L硝酸ナトリウム溶液を用い、流量は1.0ml/min、試料注入量は100μlとした。
【0028】
上記方法により前記合成吸着剤吸着画分の分子量分布を測定した結果、該合成吸着剤吸着画分の分子量は実質的に3,000以下であることが判明した。
【0029】
以上のことから、本発明において大麦焼酎蒸留残液の液体分、即ち大麦焼酎蒸留残液を固液分離して得られた液体分を吸着剤処理に付すことにより得られる合成吸着剤吸着画分からなる記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、粗タンパク含量が高く、さらにポリフェノール、多糖類、有機酸、及び遊離糖類を含有し、その分子量は実質的に3,000以下であることが判明した。
【0030】
ところで、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、歩留り60乃至70%に精白した大麦を原料に使用して大麦焼酎を製造する際に副成する大麦焼酎蒸留残液から得られるものであるが、該大麦焼酎蒸留残液中には、非特許文献4に記載されている記憶学習能向上の薬理作用を有する旨記載されているドコサヘキサエン酸及びフォスファチジルコリンは、全く含まれていない。よって、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、ドコサヘキサエン酸及びフォスファチジルコリンを全く含有しないことは明白である。
【0031】
特許文献4に記載されているプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤は、穀類(米、麦、トウモロコシ、大豆、マイロ、そば、あわ、ひえ、きび及びごま)から単離精製されたケトン化合物を有効成分として含有する旨記載されている。しかしながら、特許文献4においてプロリルエンドペプチダーゼ阻害活性を有する抽出物が確認されているのは、米、即ち、発芽玄米のみである。そして、米以外の上記穀類から該ケトン化合物からなるプロリルエンドペプチダーゼ阻害活性を有する抽出物を分取したことを示す具体的な記述は全くない。従って、特許文献4に記載されているプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤は、米からのみ単離精製されるケトン化合物であると解され、米以外の上記穀類から単離精製され得るものであることを示す具体的な根拠は到底認めることができない。このようなことから、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、大麦を歩留り60乃至70%に精白することにより得た精麦を原料に使用して大麦焼酎を製造する際に副成する大麦焼酎蒸留残液から得られるものである故に、特許文献4に記載のプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤を含有しているとは到底考えることができない。
【0032】
特許文献5に記載されているプロリルエンドペプチダーゼ阻害活性を有するペンタペプチドは、ぶどう(ぶどう科ぶどう属)を発酵に付すことにより得られるワインから分取されるものである。一方、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、大麦(イネ科)を歩留り60乃至70%に精白することにより得た精麦を原料に使用して大麦焼酎を製造する際に副成する大麦焼酎蒸留残液から得られるものであって、前者の出発原料とは全く異なる。よって、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、特許文献5に記載のプロリルエンドペプチダーゼ阻害ペプチドを全く含有していないことは明白である。
【0033】
ところで、大麦に含まれるポリフェノールとしては、プロシアニジンB3、プロシアニジンT4、プロデルフィニジンB3、プロデルフィニジンT1、プロデルフィニジンT2、プロデルフィニジンT3、及びカテキンが知られている。一方、ポリフェノールに属する有効成分を含有するものとしては、特許文献1に記載のエピガロカテキンガレート、特許文献3に記載の多価フェノール重合体(カテキン及び/またはエピカテキンを構成単位とした重合体)、非特許文献1に記載のイチョウ葉エキス、並びに非特許文献2に記載のカテキン及びエピカテキンがある。なお、イチョウ葉エキスには、ケンフェロール及びケルセチンからなるポリフェノールが主たる有効成分として含まれている。そしてこれらのポリフェノールのうち、特許文献3に記載の多価フェノール重合体は、蕎麦種子から抽出分離して得ることができ、カテキン及び/またはエピカテキンを構成単位とした重合体であり、しかも、こうしたカテキン-エピカテキン重合体の中でも、2量体から9量体の範囲のものに優れた生理活性作用が認められたことが記載されていることから、この多価フェノール重合体は大麦に含まれる前記プロシアニジン類又はプロデルフィニジン類に類似した構造を有しているのではないかと推察された。こうしたことから、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物に含まれるポリフェノールの中に、上述した多価フェノール重合体に類似した構造を有するポリフェノールが存在するのではないかと考えられた。
【0034】
そこで、本発明者らは、特許文献3に記載の方法に従って、蕎麦種子から新規な多価フェノール重合体を得、これを、HPLC分析に付した。同様に、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物として【0023】で述べた方法で得られた凍結乾燥物(b')をHPLC分析に付した。そして両者の分析結果を比較した。尚、HPLC分析は、紫外可視検出法(280nm)にて、カラムは昭和電工(株)製C18-5Bを使用し、カラム温度は34℃とし、溶離液には水:酢酸:メタノール=1:2:7(容量比)を使用し、グラジエント条件は、溶離液が60分間で最終20%になるように水に加え、以降30分間この組成を維持した。その際、流量は1.0ml/min、試料溶液注入量は20μlとした。その結果、上記HPLC分析において両者のHPLCピークパターンを比較したところ、両者の間には一致するピークが全くないことが判明した。このことから、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、特許文献3に記載の新規な多価フェノール重合体を全く含有しておらず、該多価フェノール重合体から明白に区別される別異のものであることが判明した。更に、上述した大麦に含まれるポリフェノールである、プロシアニジンB3、プロシアニジンT4、プロデルフィニジンB3、プロデルフィニジンT1、プロデルフィニジンT2、プロデルフィニジンT3、及びカテキン、並びに、特許文献1に記載のエピガロカテキンガレート、非特許文献2に記載のエピカテキンに由来するピークと、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物である前記凍結乾燥物(b')のHPLCピークパターンを比較したところ、両者の間には一致するピークが全くないことが判明した。このことから、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物に含まれるポリフェノールは、大麦に含まれている上述したポリフェノールとは全く別異なるものであることが判明した。更に、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、特許文献1に記載のエピガロカテキンガレート及び非特許文献2に記載のエピカテキンとは全く別異なるものであることが判明した。
【0035】
なお、非特許文献1に記載のイチョウ葉エキスに含まれるケンフェロール及びケルセチンは、大麦に含まれている上述したポリフェノールには該当しない。従って、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は上述した通りポリフェノールを含有するものの、該ポリフェノールが前記ケンフェロール及びケルセチンとは全く別異なるポリフェノールであることは明白である。
【0036】
以上述べたことから明らかなように、本発明の卓越した記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、上述した特許文献及び非特許文献に記載の物質のいずれからも明確に区別される明らかに別異のものであることが判明した。
本発明は、以上の実験を介して判明した事実に基づいて完成に至ったものである。
【0037】
【実施態様例】
以下に、本発明の好ましい態様について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は以下のようにして製造される。即ち該記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物の製造方法は、大麦を使用する大麦焼酎の製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る第1の工程、該液体分を合成吸着剤を使用する吸着処理に付して合成吸着剤吸着画分を得る第2の工程、及び該合成吸着剤吸着画分をアルカリ又はエタノールを用いて溶出することにより脱着画分を得る第3の工程からなる。
以下に、本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物を製造する際に使用する、大麦を原料とする焼酎の製造において副成する大麦焼酎蒸留残液、各工程、及び記憶学習能評価試験について詳述する。
【0038】
本発明において使用する大麦焼酎蒸留残液は、代表的には、歩留まり60乃至70%の精白大麦を原料として大麦麹及び蒸麦を製造し、得られた大麦麹及び蒸麦中に含まれるでんぷんを該大麦麹の麹により糖化し、それらを酵母によるアルコール発酵に付して焼酎熟成もろみを得、得られた焼酎熟成もろみを減圧蒸留または常圧蒸留等の単式蒸留装置を用いて蒸留する際に蒸留残渣として副生するもの、即ち、大麦焼酎の蒸留残液を意味する。
【0039】
本発明において、大麦焼酎蒸留残液を得るに際して、大麦焼酎の製造に用いる大麦麹は、通常の大麦焼酎製造において行われている製麹条件で製造すればよく、用いる麹菌株としては、一般的に大麦焼酎製造で使用する白麹菌(Aspergillus kawachii)が好ましい。或いは泡盛製造で使用する黒麹菌(Aspergillus awamori)及び清酒製造等で使用する黄麹(Aspergillus oryzae)などのAspergillus属の菌株を用いることもできる。また大麦焼酎の製造に用いる酵母は、一般的に焼酎製造の際に使用する各種の焼酎醸造用酵母を使用することができる。
【0040】
本発明において、大麦焼酎の製造における蒸留工程で得られた大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る第1の工程は、大麦焼酎蒸留残液から原料大麦、あるいは大麦麹由来の水不溶性の発酵残渣等のSS分を除去し、清澄液を得ることを目的として行うものである。この第1の工程における当該固液分離は、スクリュープレス方式やローラープレス方式の固液分離方法により行うことができる。この他、ろ過圧搾式の固液分離機を用いて予備分離を行い、次いで遠心分離機、ケイソウ土ろ過装置、セラミックろ過装置、或いはろ過圧搾機等を用いた方法により本固液分離処理を行ってもよい。
【0041】
第1の工程で得られた前記液体分を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して合成吸着剤吸着画分を得る第2の工程は、該液体分に含まれる記憶学習能向上の薬理作用を呈する成分を該合成吸着剤を用いて吸着分取することを目的として行うものである。第2の工程で使用する合成吸着剤としては、芳香族系、芳香族系修飾型、或いはメタクリル系の合成吸着剤を用いることができる。そうした、合成吸着剤の好適な具体例としては、オルガノ社製のアンバーライトXAD-16、三菱化学社製のセパビーズSP850、及び同三菱化学社製のダイヤイオンHP20等を挙げることができる。
【0042】
また、第3の工程においては、第2の工程で得られる合成吸着剤吸着画分をエタノール又はアルカリを用いて溶出することにより、記憶学習能向上の薬理作用を呈する画分を得る。特に、アルカリを用いて溶出を行う場合には、該アルカリの好適な具体例として,水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等を挙げることができる。
こうしたアルカリを用いて合成吸着剤から溶出した合成吸着剤吸着画分はナトリウムイオンやカリウムイオンなどの陽イオンを含むことから、さらにイオン交換処理に付すことができる。このようなイオン交換処理は、陽イオン交換樹脂等を用いて行うことができる。陽イオン交換樹脂として好適な具体例としては、オルガノ社製の強酸性陽イオン交換樹脂IR120や弱酸性陽イオン交換樹脂IRC50及びIRC76、さらに三菱化学社製の強酸性陽イオン交換樹脂ダイヤイオンSK1B、SK104、PK208や弱酸性陽イオン交換樹脂WK10、WK40等を挙げることができる。また、上記アルカリを用いて合成吸着剤から溶出した合成吸着剤吸着画分は、塩酸、酢酸、クエン酸などの無機酸又は有機酸等を用いて中和処理に付すこともでき、更に前記中和処理に付した後の合成吸着剤吸着画分を前記陽イオン交換樹脂を用いて脱塩処理に付すこともできる。
【0043】
更に、本発明の薬理作用を呈する組成物が示す記憶学習能向上作用は、以下に示す記憶学習能評価試験、即ち、S.Y. Lim, H. Suzuki:Effect of dietary Docosahexaenoic Acid and Phosphatidylcholine on Maze Behavior and Fatty Acid Composition of Plasma and Brain Lipids in Mice, Int. J. Vitam. Nutr. Res.,70(5),2000に準じて行った。即ち、各群から無作為に抽出した全てのマウスを24時間絶水させた後、それぞれ別々に、袋小路のない迷路の入口に入れ、出口にある水を捜させるという条件付けを行い、水を飲んだ時点で終了とした。次に、中3日間空けた4日目に、全てのマウスを再び24時間絶水させた後、それぞれ別々に上述した袋小路のない迷路の入口に入れ、出口にある水を捜させるという条件付けを行い、水を飲んだ時点で終了とした。更に、中3日間空けた4日目に、全てのマウスを再び24時間絶水させた後、それぞれ別々に上述した袋小路のない迷路の入口に入れ、出口にある水を捜させるという条件付けを行い、水を飲んだ時点で終了とし、全てのマウスが寄り道をしないで素早く出口に向かうようになった後、即ち条件付けが終了した後に、次の本実験を行った。
マウスを24時間絶水後、それぞれ別々に図1に示す袋小路が6カ所ある迷路(36cm×50cm)に入れ、出口にある水を捜させ、この様子をシャッタカメラ、画像解析装置、及びパーソナルコンピューターを用いて、マウスが入口から出口に到着するまでに袋小路に迷い込んだ回数(n)、及びマウスが入口から出口に到着するまでに要した時間(t)を記録し、水を飲んだ時点で終了とした。次に、中3日間空けた4日目に、マウスを再び24時間絶水後、それぞれ別々に図1に示す前記迷路に入れ、出口にある水を捜させ、この様子をシャッタカメラ、画像解析装置、及びパーソナルコンピューターを用いて、マウスが入口から出口に到着するまでに袋小路に迷い込んだ回数(n)、及びマウスが入口から出口に到着するまでに要した時間(t)を記録し、水を飲んだ時点で終了とした。更に、中3日間空けた4日目に、マウスを再び24時間絶水後、それぞれ別々に図1に示す前記迷路に入れ、出口にある水を捜させ、この様子をシャッタカメラ、画像解析装置、及びパーソナルコンピューターを用いて、マウスが入口から出口に到着するまでに袋小路に迷い込んだ回数(n)、及びマウスが入口から出口に到着するまでに要した時間(t)を記録し、水を飲んだ時点で終了とした。次に、得られたn及びtの値についての統計処理は以下の手順で行った。即ち、それぞれの群毎に、試行第1回目と試行第2回目、及び試行第1回目と試行第3回目の比較を、スチューデントのt検定法を用いて解析し、危険率5%以下を有意として判定した。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが,本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0045】
以下の実施例に供する目的で大麦焼酎の製造を行った。原料としては、大麦(70%精白)を用いた。
【麹の製造】
大麦を40%(w/w)吸水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷し、大麦トンあたり1kgの種麹(白麹菌)を接種し、38℃、RH95%で24時間、32℃、RH92%で20時間保持することにより、大麦麹を製造した。
【蒸麦の製造】
大麦を40%(w/w)吸水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷することにより、蒸麦を製造した。
【0046】
【大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造】
1次仕込みでは前述の方法で製造した大麦麹(大麦として3トン)に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎酵母の培養菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを得、得られた1次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)に付した。次いで、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を終えた1次もろみに、水11.4キロリットル、前述の方法で製造した蒸麦(大麦として7トン)を加えて11日間の発酵(2段目の発酵)に付した。発酵温度は1次仕込み、2次仕込みとも25℃とした。上記2段目の発酵を終えた2次もろみを常法により単式蒸留に付し、大麦焼酎10キロリットルと大麦焼酎蒸留残液15キロリットルを得た。該大麦焼酎蒸留残液を以下の実施例に用いた。
【0047】
【実施例1】
大麦焼酎製造の蒸留工程で得られた前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm,10minの条件で遠心分離して大麦焼酎蒸留残液の液体分を得、得られた液体分25Lをオルガノ社製の合成吸着剤アンバーライトXAD-16を充填したカラム(樹脂容量10L)に接触させ、当該カラムに吸着する合成吸着剤吸着画分を得、さらに前記合成吸着剤吸着画分を吸着した該カラムに脱イオン水10Lを接触させて得られた溶出液を除去後、該カラムに1(wt/vol)%の水酸化ナトリウム溶液10Lと脱イオン水10Lをこの順番に接触させることにより合成吸着剤吸着画分からなる溶出液20Lを分取した。該溶出液20Lをオルガノ社製強酸性陽イオン交換樹脂IR-120Bを充填したカラム(樹脂容量10L)に接触させた後に凍結乾燥に付し、得られた凍結乾燥物270gを粉砕したところ、褐色を呈する組成物を得た。
【0048】
【比較例1】
市販の「緑茶ポリフェノール」(ビーエイチエヌ株式会社製、ポリフェノール含有率94.6%)を購入した。
【0049】
実施例1で得た凍結乾燥物粉末及び比較例1の「緑茶ポリフェノール」を以下の試験例1に供し、それぞれの記憶学習能向上の薬理作用を評価した。
【0050】
【試験例1】
前記実施例1で得た凍結乾燥物粉末及び比較例1の「緑茶ポリフェノール」が記憶学習能向上の薬理作用を呈するものであるか否かを明らかにするために以下の試験例1において、記憶学習能評価法による記憶学習能向上の薬理作用の評価を行った。
【マウスの飼育】
即ち、16ヶ月齢ICR系雄性マウス(日本チャールス・リバー株式会社製)を1群20匹として、基本食を摂取させる基本食群、実施例1で得た凍結乾燥物粉末5.0重量%を混合した試験食を摂取させる試験食群、及び比較例1の「緑茶ポリフェノール」0.4重量%を混合した比較食群を摂取させる比較食群の3群に分け、それぞれの群に表2に示す組成の飼料を水道水と共に4ヶ月間自由摂取させて飼育した。なお、上記試験食群及び比較食群においては、試験食及び比較食中のポリフェノール濃度を等しくするために、実施例1で得た凍結乾燥物粉末の試験食への添加量を5.0重量%とし、比較例1の「緑茶ポリフェノール」の比較食への添加量を0.4重量%とした。また、前記試験食及び比較食中のタンパク質、脂質、及び食物繊維の量は、それぞれ、カゼイン、ラード、及びセルロースを用いて基本食と同含量になるように調整した。更に、前記試験食及び比較食の全体量が、基本食と同じ100重量%になるように、コーンスターチを用いて調整した。
【0051】
【記憶学習能評価試験】
前記4ヶ月の飼育期間終了後、基本食群、試験食群及び比較食群の各群からそれぞれ生存していたマウス5匹ずつを無作為に抽出し、本記憶学習能評価試験について記載されている文献、即ち、S.Y. Lim, H. Suzuki:Effect of dietary Docosahexaenoic Acid and Phosphatidylcholine on Maze Behavior and Fatty Acid Composition of Plasma and Brain Lipids in Mice, Int. J. Vitam. Nutr. Res.,70(5),2000に準じて、以下の記憶学習能評価試験を行った。即ち、各群から無作為に抽出した全てのマウスを24時間絶水させた後、それぞれ別々に、袋小路のない迷路の入口に入れ、出口にある水を捜させるという条件付けを行い、水を飲んだ時点で終了とした。次に、中3日間空けた4日目に、全てのマウスを再び24時間絶水させた後、それぞれ別々に上述した袋小路のない迷路の入口に入れ、出口にある水を捜させるという条件付けを行い、水を飲んだ時点で終了とした。更に、中3日間空けた4日目に、全てのマウスを再び24時間絶水させた後、それぞれ別々に上述した袋小路のない迷路の入口に入れ、出口にある水を捜させるという条件付けを行い、水を飲んだ時点で終了とし、全てのマウスが寄り道をしないで素早く出口に向かうようになった後、即ち条件付けが終了した後に、次の本実験を行った。
マウスを24時間絶水後、それぞれ別々に図1に示す袋小路が6カ所ある迷路(36cm×50cm)に入れ、出口にある水を捜させ、この様子をシャッタカメラ、画像解析装置、及びパーソナルコンピューターを用いて、マウスが入口から出口に到着するまでに袋小路に迷い込んだ回数(n)、及びマウスが入口から出口に到着するまでに要した時間(t)を記録し、水を飲んだ時点で終了とした。次に、中3日間空けた4日目に、マウスを再び24時間絶水後、それぞれ別々に図1に示す前記迷路に入れ、出口にある水を捜させ、この様子をシャッタカメラ、画像解析装置、及びパーソナルコンピューターを用いて、マウスが入口から出口に到着するまでに袋小路に迷い込んだ回数(n)、及びマウスが入口から出口に到着するまでに要した時間(t)を記録し、水を飲んだ時点で終了とした。更に、中3日間空けた4日目に、マウスを再び24時間絶水後、それぞれ別々に図1に示す前記迷路に入れ、出口にある水を捜させ、この様子をシャッタカメラ、画像解析装置、及びパーソナルコンピューターを用いて、マウスが入口から出口に到着するまでに袋小路に迷い込んだ回数(n)、及びマウスが入口から出口に到着するまでに要した時間(t)を記録し、水を飲んだ時点で終了とした。次に、得られたn及びtの値についての統計処理は以下の手順で行った。即ち、それぞれの群毎に、試行第1回目と試行第2回目、及び試行第1回目と試行第3回目の比較を、スチューデントのt検定法を用いて解析し、危険率5%以下を有意として判定した。
【0052】
【評価1】
試験例1の記憶学習能評価試験において、対照群、試験群、及び比較群のそれぞれのマウスが、入口から出口に到達するまでに、迷路中の袋小路に迷い込んだ回数の測定結果を図2に示す。また、試験例1の記憶学習能評価試験において、対照群、試験群、及び比較群のそれぞれのマウスが、迷路の入口から出口に到達するまでの時間の測定結果を図3に示す。図2及び図3に示す結果から以下の事実が判明した。即ち、対照群および比較群では、試行第1回目と試行第2回目及び試行第1回目と試行第3回目のそれぞれにおいて有意差が認められなかったが、試験群では、試行第1回目と試行第2回目及び試行第1回目と試行第3回目のそれぞれにおいて有意差が認められた。このことから、実施例1で得た組成物は「緑茶ポリフェノール」よりも明らかに卓越した極めて強力な記憶学習能向上の薬理作用を有していることが判明した。
【0053】
【発明の効果】
本発明の記憶学習能向上の薬理作用を呈する組成物は、従来公知である緑茶ポリフェノールを卓越した極めて優れた記憶学習能向上の薬理作用を呈するので、記憶障害の改善や痴呆症の予防に使用することができ、脳機能の維持向上に極めて好適である。
【0054】
【表1】
Figure 0004524342
【0055】
【表2】
Figure 0004524342

【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1の記憶学習能評価試験で使用した、袋小路が6ヶ所ある迷路を示す図である。
【図2】試験例1の記憶学習能評価試験において、対照群、試験群、及び比較群のそれぞれのマウスが、入口から出口に到達するまでに、迷路中の袋小路に迷い込んだ回数の平均値を示すグラフである。
【図3】試験例1の記憶学習能評価試験において、対照群、試験群、及び比較群のそれぞれのマウスが、迷路の入口から出口に到達するまでの時間の平均値を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 大麦を原料とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して吸着画分を得、該吸着画分をアルカリ又はエタノールを用いて溶出することにより得られる脱着画分からなる、記憶学習能向上組成物。
  2. 前記脱着画分は、凍結乾燥粉末形態のものである請求項1に記載の組成物。
  3. 前記脱着画分は、乾燥物重量で、粗タンパク40乃至60重量%、ポリフェノール7乃至12重量%、多糖類5乃至10重量%(糖組成:グルコース0乃至2重量%、キシロース3乃至5重量%、及びアラビノース2乃至5重量%)、有機酸4乃至10重量%
    (リンゴ酸1乃至3重量%、クエン酸2乃至4重量%、コハク酸0乃至1重量%、乳酸0乃至6重量%、及び酢酸0乃至1重量%)、及び遊離糖類0乃至2重量%(マルトース0乃至1重量%、キシロース0乃至1重量%、アラビノース0乃至1重量%、及びグルコース0乃至1重量%)の成分組成を有し、分子量が実質的に3,000以下である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 記憶学習能向上を、前記の脱着画分を飼料として老齢マウスに摂取させて4ヶ月間飼育後、袋小路のない迷路を使用して、24時間絶水した該老齢マウスに、該迷路の入口から該迷路の出口に置いた水に到達する方法を覚えこませ、一定期間経過後、別の袋小路を有する迷路を使用して、24時間絶水した前記老齢マウスを、該迷路の入口から該迷路の出口に置いた水に到達する方法を学習させ、この際、該迷路の入口から該迷路の出口に置いた水に到達するまでに要する時間及び行動様式を観察する試験で評価する、請求項1、2または3に記載の組成物
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