JP4523620B2 - 希土類磁石合金 - Google Patents

希土類磁石合金 Download PDF

Info

Publication number
JP4523620B2
JP4523620B2 JP2007142824A JP2007142824A JP4523620B2 JP 4523620 B2 JP4523620 B2 JP 4523620B2 JP 2007142824 A JP2007142824 A JP 2007142824A JP 2007142824 A JP2007142824 A JP 2007142824A JP 4523620 B2 JP4523620 B2 JP 4523620B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
acid
magnet
magnet alloy
earth magnet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007142824A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007324597A (ja
Inventor
慎一 紺野
徹 佐川
俊彦 上山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Holdings Co Ltd
Original Assignee
Dowa Holdings Co Ltd
Dowa Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Holdings Co Ltd, Dowa Mining Co Ltd filed Critical Dowa Holdings Co Ltd
Priority to JP2007142824A priority Critical patent/JP4523620B2/ja
Publication of JP2007324597A publication Critical patent/JP2007324597A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4523620B2 publication Critical patent/JP4523620B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Description

本発明は,耐候性に優れた希土類磁石合金に関する。
耐酸化性や耐熱性に優れた希土類磁石としてSm−Co磁石が知られている。しかし,この磁石は高価である。より安価な希土類磁石として,R−Fe−(Co)−B系の希土類焼結磁石合金が知られている。Rは希土類元素の1種または2種以上を表し,(Co)はCoを含んでいてもよいことを表す。この磁石は一般的に表面が酸化し易い。このため,磁石表面に対し,めっき法,スパッタ法,蒸着法,有機物皮膜法等によって耐酸化性の被膜を施した上で使用される。
より安価で且つ耐酸化性や耐熱性を改善した希土類磁石として,例えば特許第2789364号等に提案されたR−Fe−(Co)−B−C系の希土類焼結磁石合金がある。このものは,C(炭素)を合金元素の必須成分として含有し,磁性結晶粒の周囲にC濃度の高い非磁性相が存在することによって,高い最大エネルギー積(BHmax)を保持しながら,優れた耐酸化性が得られると説明されている。
特許第2789364号公報
R−Fe−(Co)−B系の希土類焼結磁石合金の表面に耐酸化性の被膜を形成させる場合には,合金の外表面に数10μm以上の強固且つ均質な保護膜層を形成させることが必要とされるので,その操作が複雑且つ多数工程からなることを余儀なくされ,被膜の剥離性,磁石製品の寸法精度,更にはコストアップ等の問題が必然的に付随することになる。
R−Fe−(Co)−B−C系の希土類焼結磁石合金の場合には,前者よりも耐酸化性・耐候性に優れるが,表面状態が不均一な場合,腐食環境下では腐食が進行しやすくなる。
したがって本発明の課題は,従来のR−Fe−B系またはR−Fe−B−C系の希土類磁石合金(Rは希土類元素の少なくとも1種を表し,Feの一部はCoで置換されていてもよい)の耐候性を向上させることにある。
本発明によれば,R−Fe−B系またはR−Fe−B−C系の希土類磁石合金(Rは希土類元素の少なくとも1種を表し,Feの一部はCoで置換されていてもよい)の表面に対し,脂肪酸塩化合物を含む溶液と接触させることからなる希土類磁石合金の耐候性改善法を提供する。さらに本発明によれば,R−Fe−(Co)−B−(C)系の希土類磁石合金の表面に対し,酸性溶液と接触させる第一段階と,脂肪酸塩化合物を含む溶液と接触させる有機系被膜処理を行う第二段階とからなる希土類磁石合金の耐候性改善法を提供する。
本発明によると,めっきや樹脂被膜などの保護被膜を設けなくても,簡単な処理で希土類磁石合金の耐候性を向上させることができ,このため,安価にして耐候性の優れた希土類磁石合金を提供できる。また,本発明の処理を行うと磁着品同士から磁着品を切り出す抵抗が小さくなり,磁着品の部品への装着操作の負荷を低減できる。
本発明が対象とする磁石合金は,R−Fe−(Co)−B−(C)系の希土類磁石合金〔(Co)はコバルトを含んでいてもよいことを,また(C)は炭素を含んでいてもよいことを表す〕であるが,これは,希土類元素R,BおよびFeを必須の構成元素とするいわゆるR2Fe14B系化合物を主相とする希土類磁石合金を中心として,そのFeの一部をCoで置換したもの,さらにはCおよびその他の元素を含有したものを意味する。
本発明が対象とする代表的な希土類磁石合金の成分組成は,
C:15at.%以下(0at.%を含む)
B:0.5〜15at.%,
Co:40at.%以下(0at.%を含む),
R:8〜20at.%,
ただし,Rは希土類元素の少なくとも一種を表す,
残部:Feおよび不可避的不純物
で表すことができ,これに各種の機能を改善する他の合金元素を5at.%以下含有したものも含まれる。
この希土類磁石合金は,一般に溶解,鋳造,粉砕,成形,焼結という一連の工程で焼結磁石とし,この焼結された磁石合金を切断することによって所定形状の切断品を得る。切断はワイヤーソー等を用いて行われるが,このように機械に切断された切断品の表面は粗面となっているので,研磨機などを用いた表面研削が通常行われる。
切断品や表面研削品に対し,従来ではめっきや蒸着等の無機系の耐酸化性保護被膜或いは有機系保護被膜を形成することによって発錆を防止しようとしてきたが,本発明ではめっき等の保護被膜を形成するようなことは行わずに,磁石合金の露出表面そのものに直接耐候性を付与しようとするものである。
本発明に従う希土類磁石合金の耐候性改善法は,脂肪酸塩化合物を含む溶液と接触させるという簡単なものである。それに先立ち,磁石の露出表面を酸性溶液と接触させる酸処理(弱酸を用いた酸洗)を行うのが望ましい。酸洗はホウ素を含有するpH3〜6の酸性水溶液を用いるのがよく,代表的にはpH3〜6のホウ酸水溶液を用いるのがよい。ホウ酸だけでpH3〜6とすることもできるが,ホウ酸または他のホウ素化合物を溶解したうえ,硫酸等の鉱酸でpHを調節することもできる。ホウ酸以外のホウ素化合物としてはホウ砂,ペルオキソホウ酸ナトリウムなどが挙げられるが,ホウ酸が取り扱いやすい。
ついで,脂肪酸塩化合物で被覆処理するが,使用できる脂肪酸塩化合物としては,Cn2n+1COOHで表される飽和脂肪酸,例えば,エナレン酸,カプリル酸,ペラルゴン酸,カプリン酸,ウンデシル酸,ラウリン酸,トリデシル酸,ミリスチン酸,ペンタデシル酸,パルミチン酸,ヘプタデシル酸,ステアリン酸,ノナデカン酸,アラキン酸,ベヘン酸などのアルカリ塩化合物があげられる。また,Cn2n-5COOH,Cn2n-3COOH,Cn2n-1COOHで表される不飽和脂肪酸,例えばアクリル酸,クロトン酸,イソクロトン酸,ウンデシル酸,オレイン酸,エライジン酸,セトレイン酸,ブラシジン酸,エルカ酸,ソルビン酸,リノール酸,リノレン酸,アラキドン酸などのアルカリ塩があげられる。これらのうちでも,不飽和脂肪酸のアルカリ塩化合物が好ましく, 例えば,オレイン酸塩たとえばオレイン酸ナトリウムが取り扱いやすい。
希土類磁石合金をホウ素含有の弱酸性の水溶液(代表的にはホウ酸水溶液)で酸洗処理すると,それだけでも耐候性が向上するとの知見を得た。その理由については明らかとなっていないが,酸洗前後の表面を電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)により元素分析を行ったところ,磁石表面の希土類元素が濃化していることが確認されたことから,処理後の表面ではFe(Coを含む)が相対的に減少し,残存した希土類元素が表面に現れ,これが,ごく薄い酸化膜で覆われることによって,磁性結晶粒および粒界の表面が不動態化するのではないかと考えられる。この不動態膜の生成にはホウ素も酸化物として関与していると推測される。
この酸洗処理にあたっては,焼結品を切断した切断品,場合によっては表面研削した研削品を酸洗液に浸漬し,必要に応じてかき混ぜ,ついで水洗し乾燥するという簡単な処理を行えばよい。かき混ぜは,切断品または研削品をバレル内に装填後,酸洗液に浸漬し,バレルを回転させる方法が便利である。酸洗液の濃度については処理対象とする希土類磁石合金の種類や形態にもよるが,pH3〜6好ましくはpH4〜6となるホウ酸水溶液を用いるのが便利である。処理温度についても特に限定されず,0〜100℃の任意の温度が採用できるが,常温で行うのが適当である。
ついで,脂肪酸塩化合物による被覆処理を行うが,この処理も,脂肪酸塩化合物を水または有機溶媒に溶解した溶液に浸漬し,必要に応じて水洗し,乾燥するという処理を行えばよい。該溶液中の脂肪酸塩化合物の濃度については処理対象とする希土類磁石合金の種類や形態にもよるが,該化合物を0.01〜0.1wt%程度溶解した溶液を用いればよい。処理温度は特に限定されず,0〜100℃の任意の温度が採用できるが,30〜50℃の温度で行うのが望ましい。
ホウ素含有の弱酸性溶液で酸洗した後で,脂肪酸塩化合物の被覆処理を行うと,該酸洗を行わない場合よりも耐候性が一層向上し,かつ磁石と被着物との接着性を向上させる表面濡れ性も向上することが確認されている。その理由については明らかとなっていないが,該酸洗によって先に記した不動態皮膜が形成されると同時に磁石表面が適度に粗面となることによって,脂肪酸塩化合物と磁石の接着性が良好となり,脂肪酸塩化合物からなる保護皮膜が磁石表面に均一にかつ強固に形成されるためと推測される。
本発明に従う処理を行った場合の磁気特性については,耐候性が良好となるので磁気特性の劣化がそれだけ少なくなる。また本発明に従う処理を行っても,最大エネルギー積が低下するわけではない。
このようにして本発明によると,R−Fe−(Co)−B−(C)系の希土類磁石合金の表面に対し,酸性溶液と接触させる第一段階と,脂肪酸塩化合物を含む溶液と接触させる有機系被膜処理を行う第二段階とからなる希土類磁石合金の耐候性改善法が提供され,この場合,酸性溶液はホウ素を含有するpH3〜6の酸性溶液,脂肪酸塩化合物は不飽和脂肪酸化合物,例えばオレイン酸ナトリウムであることができる。また本発明によれば,脂肪酸塩化合物からなる有機系被膜で表面がコーティングされた耐候性に優れたR−Fe−(Co)−B−(C)系の希土類磁石合金が提供される。このものは,磁石表面におけるR/(Fe+Co+B)の原子比をXとし,磁石全体におけるR/(Fe+Co+B)の原子比をYとしたとき,X/Y>0.5である。このことは,本発明に従う処理品の希土類磁石合金表面には,非処理品に比べて,希土類元素の濃度が高くなっていることを示している。
以下に本発明の代表的な実施例を挙げ,その効果を比較例(未処理品)と対比して示す。
〔実施例1〕
原料として純度99.9%の電解鉄,ボロン含有量19.3%のフェロボロン合金,純度98.5%(不純物として他の希土類金属を含有する)のネオジウム金属を使用し,組成比として18Nd−76Fe−6Bになるように計量配合し,高周波誘導炉にて真空中で溶解した後,水冷銅鋳型中に鋳込み,合金塊を得た。これをジョークラッシャーで破砕し,さらにアルゴンガス中にてスタンプミルを用いて100メッシュまで粉砕したあと,振動ミルを用いて平均粒径5μmまで粉砕した。
得られた合金微粉末を1ton/cm2の圧力で10kOeの磁場中で成形し,その成形体をアルゴンガス雰囲気で1100℃に1時間保持する焼結処理に供したあと,この焼結温度から急冷し,焼結体を得た。得られた焼結体を切断して,5mm×5mm×1mmの方形の試験片を多数切り出して,これを試験片とした。
純度99%のホウ酸を純水に12.5g/Lの割合で添加したのち,希硫酸を添加してpH4.5のホウ酸水溶液に調製した。このホウ酸水溶液3000ccと前記の試験片700枚をバレル中に装填し,ホウ酸水溶液のpH4.4〜4.6で温度40℃に維持しながら,回転数5回/分でバレルを回転させた。その後,試験片を引き上げて水洗し,常温にて自然乾燥させた。
このホウ酸処理済試験片を40℃に加熱したオレイン酸ナトリウム水溶液(濃度0.01wt.%)中に1分間浸漬したあと,常温で自然乾燥させ,5分間純水に入れて余分なオレイン酸ナトリウムを除去したうえ,乾燥させた。こうして得られた磁石体を耐候性評価試験に供した。また比較のために,焼結体から切り出したままの「未処理品」(ホウ酸処理およびオレイン酸塩処理を行っていないもの)も同じ試験に供した。これらの試験の結果を,図1の写真および表1に示した。耐候性評価試験は,下記の条件で行った。
〔耐候性評価試験〕:東京理化工業株式会社製の恒温恒湿槽(KCH−1000型)中に試験片をグラスウール上で下記の結露条件下または非結露条件下で静置し,所定時間さらした後,外観を評価した。
結露条件:80℃90%RH雰囲気に直接試験片を挿入することによって表面に水滴を生じさせ,20時間さらした後,外観を目視により評価した。
非結露条件:室温条件にて試験片をセッティングした後,80℃90%RH雰囲気とし300時間さらした後に試験片を取り出し,外観を目視により評価した。
評価基準としては,次の4段階評価を行った。
ランクA:表面全体の面積に対して錆の発生面積が2%未満
ランクB:表面全体の面積に対して錆の発生面積が2%以上5%未満
ランクC:表面全体の面積に対して錆の発生面積が5%以上40%未満
ランクD:表面全体の面積に対して錆の発生面積が40%以上
図1および表1の結果から,20時間結露条件および300時間非結露条件とも,未処理品はランクDの発生を見たが,本例の処理品は20時間結露条件では発錆せず,300時間非結露条件でも殆ど発錆しなかったことがわかる。
〔実施例2〕
実施例1と同じ諸原料に純度99.5%のカーボンブラックを添加して,合金組成を18Nd−2Dy−67Fe−9Co−1.9B−2.1Cとなるように計量・配合し,実施例1と同様にして粉砕まで行ったあと,純度90%のステアリン酸を,それに含まれるC量により18Nd−2Dy−65Fe−9Co−1.9B−4.1Cとなるよう該粉体に添加し,ついで振動ミルを用いて平均粒径5μmまで粉砕した。その後の処理は実施例1を繰り返し,ホウ酸およびオレイン酸ナトリウムによる処理品を得た。得られた処理品については実施例1と同様の耐候性評価のほか,さらに下記の条件で磁気特性,磁着物同士の切りだし力の測定,磁石表面における遷移金属並びに希土類元素存在量の分析を行った。なお,比較のために,焼結体から切り出したままの「未処理品」(ホウ酸処理およびオレイン酸塩処理を行っていないもの)についても同様の試験を行った。
〔磁気特性〕:東栄工業株式会社製の振動試料型磁力計(VSM−5−19)を用いて,保磁力(iHc)と最大エネルギー積(BHmax)を測定した。
〔磁着物同士の切り出し性〕:ハイテック株式会社製のコンデンサ着脱磁器(MSD−200−3500P)によりφ30コイルで6450Aにて着磁した後,株式会社今田製作所製のプッシュプル試験器に装着し,プラスチック製冶具の上部より着磁試験片を一枚ずつ押し出す際にかかる荷重を測定し,その最大荷重をもって磁着物同士を切り離して部品に装着する場合の切り出し性の評価とした。
〔磁石組成分析〕:磁石体中のNd,Dy,Coの定量は日本ジャーレル・アッシュ株式会社製高周波誘導プラズマ発光分析装置(IRIS/AP)により行い,Bの定量はセイコー電子工業株式会社製高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(SPS−1200A)により行い,Cの分析は堀場製作所株式会社製の堀場金属中炭素分析装置(EMIA−1110)により行い,Feの定量は平沼産業株式会社製の平沼自動滴定装置 (COMTIME−980)を用いて行った。
〔磁石表面組成分析〕:磁石体表面の希土類元素および他の元素の定量は,日本電子株式会社製の電子線プローブマイクロアナライザー(JED−2100)を用い加速電圧15kVにて任意の5点の値を測定し,それらの平均値をもって磁石体表面における元素の定量分析値とした。
これらの試験のうち,耐候性評価試験結果を図2(20時間結露条件下)および図3(300時間非結露条件下)に示すと共に,表1に評価結果を併記した。なお,図2(A)は未処理品,同(B)は実施例2の処理品(ホウ酸+オレイン酸塩処理)のものであり,図3(A)は未処理品,同(B)は実施例2の処理品(ホウ酸+オレイン酸塩処理)のものである。
図2〜3および表1の結果から,本例の未処理品では20時間結露条件下および300時間非結露条件下とも,ランクCの発錆を見たが,本例の処理品では殆ど発錆しなかったことがわかる。
図4は,測定した磁気特性について,横軸に保磁力(kOe),縦軸に最大エネルギー積(MGOe)をとって,本例の処理品(実施例2)の値を,未処理品のものと対比してプロットしたものである。図4から明らかなように,本例で処理しても,保磁力および最大エネルギー積とも,未処理品のものと有意差は生じていない。
図5は,磁着物同士の切り出し力(既述の最大荷重)を未処理品と本例の処理品とを対比して示したものであるが,本例のものは切り出し力が低下し,磁着物同士を切り離す切り出し抵抗が低くなっていることがわかる。このことは,本例の磁石体を1個づつ装置内に組み込む際に,その負荷が軽減することを意味している。
さらに,本実施例2の処理品についての磁石表面組成分析によると,
R=7.67at.%,
Fe=40.3at.%,
Co=4.7at.%,
B=0.85at.%
であった。これより,磁石表面のR/(Fe+Co+B)の原子比Xは0.167と算出される。
他方,本実施例2の磁石全体の組成はICPにより,
R=14.71at.%,
Fe=70.07at.%,
Co=8.76at.%,
B=1.99at.%
であった。これより,磁石全体のR/(Fe+Co+B)の原子比Yは0.182と算出される。したがって,X/Yの比は0.918であり,0.5を超える。
これに対し,本例の未処理品についての磁石表面組成分析によると,
R=5.37at.%,
Fe=55.3at.%,
Co=6.07at.%,
B=0.31at.%
であった。これより,磁石表面のR/(Fe+Co+B)の原子比Xは0.087と算出される。
他方,磁石全体のR/(Fe+Co+B)の原子比Yは前記と同様にICPによる分析結果から0.182と算出される。よって,未処理品のX/Yの比は0.478であり,0.5 以下である。
このように,本例で処理された磁石の表面は,希土類元素の割合が相対的に増加していることがわかる。
〔実施例3〕
ホウ酸処理を実施しなかった以外は,実施例1を繰り返した。すなわち,焼結体から切り出したままの試験片に対して,ホウ酸による酸洗を行うことなく,直接,実施例2と同じ条件でのオレイン酸ナトリウムによる処理を行った。得られた処理品について,実施例2と同様に耐候性,磁気特性,磁着物同士の切り出し性,濡れ性を評価し,それらの結果を表1および図2〜図5に併記した。図2と図3において本例の処理品のものを(C)で示した。表1および図2〜3の結果から,本例の処理品は実施例2のものには至らないがほぼ同等の十分な耐候性を示していることがわかる。また,図4および図5の結果から,本例のものは,実施例2のものとほぼ同等の磁気特性および切り出し性を有することがわかる。
Figure 0004523620
耐候性試験後の希土類磁石合金の表面状態を示す写真である。 他の耐候性試験後の希土類磁石合金の表面状態を示す写真である。 他の耐候性試験後の希土類磁石合金の表面状態を示す写真である。 本発明に従う希土類磁石合金の磁気特性を比較例と対比して示した図である。 本発明に従う希土類磁石合金の磁着物同士の切り出し性試験における最大荷重(切り出し力)を比較例と対比して示した図である。

Claims (2)

  1. R−Fe−(Co)−B−(C)系(Rは希土類元素の少なくとも1種を表し、Feの一部はCoで置換されていてもよく、Bの一部はCと置換されていてもよい)のホウ素を含有するpH3〜6の酸性溶液で表面が粗面とした上に脂肪酸塩からなる被膜でコーティングされた希土類磁石合金。
  2. 磁石表面におけるR/(Fe+Co+B)の原子比をXとし、磁石全体におけるR/(Fe+Co+B)の原子比をYとしたとき、X/Y>0.5である請求項1に記載の希土類磁石合金。
JP2007142824A 2007-05-30 2007-05-30 希土類磁石合金 Expired - Fee Related JP4523620B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007142824A JP4523620B2 (ja) 2007-05-30 2007-05-30 希土類磁石合金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007142824A JP4523620B2 (ja) 2007-05-30 2007-05-30 希土類磁石合金

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002169915A Division JP4091349B2 (ja) 2002-06-11 2002-06-11 希土類磁石合金の耐候性改善法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007324597A JP2007324597A (ja) 2007-12-13
JP4523620B2 true JP4523620B2 (ja) 2010-08-11

Family

ID=38857063

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007142824A Expired - Fee Related JP4523620B2 (ja) 2007-05-30 2007-05-30 希土類磁石合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4523620B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105869815B (zh) * 2015-01-19 2018-05-29 中国钢铁股份有限公司 钕铁硼磁石及其制造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01220407A (ja) * 1988-02-29 1989-09-04 Sankyo Seiki Mfg Co Ltd 圧粉磁心
JP2001358003A (ja) * 2000-06-09 2001-12-26 Sumitomo Special Metals Co Ltd 絶縁性被膜を有する希土類系永久磁石およびその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01220407A (ja) * 1988-02-29 1989-09-04 Sankyo Seiki Mfg Co Ltd 圧粉磁心
JP2001358003A (ja) * 2000-06-09 2001-12-26 Sumitomo Special Metals Co Ltd 絶縁性被膜を有する希土類系永久磁石およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007324597A (ja) 2007-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2377681C2 (ru) Редкоземельный постоянный магнит
JP4702549B2 (ja) 希土類永久磁石
US20150187494A1 (en) Process for preparing rare earth magnets
JP2017147426A (ja) R−Fe−B系焼結磁石及びその製造方法
JP3781095B2 (ja) 耐食性希土類磁石の製造方法
JP4179973B2 (ja) 焼結磁石の製造方法
JPWO2011081170A1 (ja) 耐食性磁石およびその製造方法
JP6801801B2 (ja) R−tm−b系焼結磁石
JP4523620B2 (ja) 希土類磁石合金
Kong et al. Effect of surface etching on the magnetic properties and grain-boundary Dy-diffusion in DyH 2-dip-coated sintered Nd-Fe-B magnets
JP4091349B2 (ja) 希土類磁石合金の耐候性改善法
US9275795B2 (en) Corrosion-resistant magnet and method for producing the same
WO2006054617A1 (ja) 希土類焼結磁石
JP5573663B2 (ja) 耐食性磁石の製造方法
JPS62120002A (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石
JP3914557B2 (ja) 希土類焼結磁石
JPH0613211A (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石及びその製造方法
JP4539288B2 (ja) 希土類焼結磁石
JP2006049864A (ja) 耐食性希土類磁石及びその製造方法
JP4084954B2 (ja) 希土類磁石合金の耐食性改善法
JP5036207B2 (ja) 磁石部材
JPH0646603B2 (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石及びその製造方法
JPH0545045B2 (ja)
JPH0666173B2 (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石及びその製造方法
JP2005260210A (ja) 希土類焼結磁石及び希土類焼結磁石の機械的強度及び耐食性の改善方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090807

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091006

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100518

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100527

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees