JP4521809B2 - 歯周疾患の検定方法および検定用キット - Google Patents
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Description
また、非特許文献2には、マイクロタイタープレートを使ったヒアルロニダーゼ活性測定法が記載されている。ビオチン標識したヒアルロン酸を化学的脱水縮合反応により共有結合させて固相化し、ヒアルロニダーゼと反応させた後、プレートに残ったヒアルロン酸に結合しているビオチンをプローブとした測定方法であるが、ヒアルロン酸をビオチン化と固相化の2重に修飾するという煩雑な処理を必要とし、また、測定可能範囲は0.01〜0.1TRU/well と狭く、感度も良いとはいえない。
また、同文献にはヒアルロニダーゼ活性と歯周疾患の関係は記載されていない。
さらに、特許文献1には、ヒアルロニダーゼ活性と歯周疾患との関係が示唆されており、また、浸透性ゲルとヒアルロン酸基質とからなるゲル化溶液を用いて、検体中のヒアルロニダーゼを測定する方法が記載されているが、非常に感度が悪い(5〜0.04単位)。
また、ヒアルロニダーゼ活性と歯周疾患の関係を示唆する文献もあるが、これらの文献に記載されたヒアルロニダーゼ活性測定法は煩雑な方法であり、歯周疾患の診断に利用することは困難である。
(1)歯周組織に由来する液体試料を下記工程(a)〜(e)により測定することを特徴とする歯周疾患の検定方法。
(a)ヒアルロン酸を直接またはスペーサー物質を介して固着させた固相と上記液体試料とを接触させて、該試料中のヒアルロニダーゼと該固相に固着されたヒアルロン酸とを反応させる工程、
(b)固相に固着されたヒアルロン酸と標識物質で標識したヒアルロン酸結合蛋白質とを反応させて複合体を形成させる工程、
(c)工程(b)の反応後、固相と液体試料を分離する工程、
(d)工程(c)で分離した固相又は液相中の標識物質を定量する工程、
(e)工程(d)で定量した標識物質量から上記試料中のヒアルロニダーゼ活性を算出する工程
(f)工程(e)で算出したヒアルロニダーゼ活性と歯周疾患とを関連付ける工程。
(2)下記構成成分(A)及び(B)を少なくとも含む歯周疾患の検定用キット
(A)ヒアルロン酸を直接またはスペーサー物質を介して固着させた固相、および
(B)標識物質で標識したヒアルロン酸結合蛋白質
<検定方法>
本発明の検定方法に用いられる歯周組織に由来する液体試料とは、歯周疾患に罹患した、またはその可能性のある患者の口腔内から採取し、歯周組織に由来したものであればいずれのものでもよい。
例えば、洗口液、水等で口腔内を漱いで吐出した液、唾液、歯垢の抽出もしくは溶解液、歯肉溝滲出液などが挙げられる。
本発明の検定方法で用いることができるヒアルロン酸を直接またはスペーサー物質を介して固着させた固相とは、ヒアルロン酸が直接あるいはヒアルロン酸と固相との間に試料中のヒアルロニダーゼ活性を阻害しない物質であって、ヒアルロン酸と固相の両方に化学的または物理的に結合し得る物質(本発明においては「スペーサー物質」という)を介して固着させた固相をいう。例えば、ヒアルロン酸を直接またはスペーサー物質を介して共有結合、イオン結合、疎水結合もしくは物理的吸着により固着させた固相が例示される。ヒアルロン酸をスペーサー物質を介して固着させる場合、ヒアルロン酸と前記スペーサー物質とは共有結合により結合されていることが好ましく、スペーサー物質と固相とは物理的吸着または疎水結合により固着されていることが好ましい。
本発明の検定方法において、ヒアルロン酸とは、D−グルコサミンとD−グルクロン酸との二糖の繰り返し単位を基本骨格として構成される多糖であり、動物等の天然物から抽出されたもの、微生物を培養して得られたもの、化学的若しくは酵素的に合成されたもの等のいずれも使用することができる。
また、ヒアルロン酸の平均分子量は、通常、5,000〜4,000,000であり、10,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜100,000がより好ましい。
ヒアルロン酸を直接共有結合により固相に固着させる方法としては、例えば、ヒアルロン酸のカルボキシル基またはヒドロキシル基と、固相のカルボキシル基、ヒドロキシル基またはアミノ基とを縮合剤(1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドのような水溶性のカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド等)を用いて共有結合させることができる。
また、ヒアルロン酸をスペーサ物質を介して固相に固着させる場合、スペーサー物質としては、蛋白質、ポリアミノ酸または脂質が挙げられ、蛋白質として具体的には、血清アルブミン(ウシ血清アルブミン(以下、BSAともいう)、ヒト血清アルブミン等)、卵白アルブミン、カゼイン、アビジンなどが例示されが、血清アルブミンが好ましく、BSAがより好ましい。
脂質としては、動物、植物、微生物などの天然物由来、又は化学的もしくは酵素的に合成若しくは部分的に分解された複合脂質又は単純脂質を使用することができ、リン脂質等のグリセロ脂質、長鎖の脂肪酸、長鎖の脂肪族アミン、コレステロール類、スフィンゴ脂質、セラミド等いずれも使用することができる。特にホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルトレオニン、エタノールアミンプラスマロゲン、セリンプラスマロゲン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルイノシトール等のリン脂質、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール等の中性脂質等のグリセロ脂質が好ましい。これらのうち、リン脂質が特に好ましく、その中でもホスファチジルエタノールアミンが更に好ましい。
ヒアルロン酸とスペーサー物質とを共有結合させる方法は、ヒアルロン酸とスペーサー物質とを共有結合させることができる方法であれば限定されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、特開2000−97940、特開2000−65837に記載の方法等を採用することもできる。
具体的には、ヒアルロン酸とスペーサー物質である蛋白質を共有結合させる方法としては、ヒアルロン酸の還元末端を水素化ホウ素ナトリウムなどで還元した後、過ヨウ素酸酸化して遊離ホルミル基を導入し、これと蛋白質のアミノ基とを反応させてシッフ塩基を形成後、トリメチルアミンボラン等の還元剤を用いて還元し、アミノアルキル結合(-CH2-NH-)させる方法、ヒアルロン酸のカルボキシル基と蛋白質のアミノ基とをカルボジイミドなどを用いてアミド結合(-CO-NH-)させる方法などが挙げられる。
また、ヒアルロン酸とスペーサー物質である脂質とを結合させる方法は、ヒアルロン酸と脂質を共有結合させることができる方法であれば限定されず、公知の方法を適宜採用することができる(特開2000−65837)。例えば、還元末端限定酸化法、還元末端ラクトン法(特許第2997018号公報、特許第2986519号公報、特許第2986518号公報及び特開平9−30979号公報)またはヘミアセタール法(特開2003−335801)等が挙げられる。
本発明に用いられる固相の形状としては、プレート(例えば、マイクロプレートのウェル等)、チューブ、ビーズ、メンブレン、ゲル、ラテックス等が挙げられるが、その中でもプレートが好ましい。
また、固相の材質としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミド、セルロース、ガラス等が挙げられる。
上記のようにヒアルロン酸とスペーサー物質を結合させて得たヒアルロン酸−スペーサー物質結合物またはヒアルロン酸を固相に固着させる。
固相にヒアルロン酸−スペーサー物質結合物またはヒアルロン酸を固着させる方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができ、例えば、物理的吸着法、疎水結合法、イオン結合法、共有結合法、包括法等固定化酵素の調製法等として一般的な方法(固定化酵素、1975年、講談社発行、第9〜75頁参照)を応用することができる。これらの中でも物理的吸着法、疎水結合法が、操作が簡便かつ頻用されていることから好ましい。
上記の方法で得られたヒアルロン酸を直接またはスペーサー物質を介して固着させた固相に、酸性または中性条件下、歯周組織に由来する液体試料を接触させ、前記試料中のヒアルロニダーゼと該固相に固着されたヒアルロン酸とを反応させる(工程(a))。
前記固相に固着されたヒアルロン酸と試料中のヒアルロニダーゼとの反応後または反応と同時に、固相に固着されたヒアルロン酸に、標識物質で標識した標識ヒアルロン酸結合蛋白質を反応させて複合体を形成させる(工程(b))。
工程(b)における標識ヒアルロン酸結合蛋白質とは、ヒアルロン酸結合蛋白を標識物質で標識化したものであり、標識物質としては、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等)、蛍光物質(ルミノール、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)等)、化学発光物質、ビオチン、アビジン、放射性同位元素などが挙げられ、この中でも特にビオチンが好ましい。
標識方法は、標識物質に適した公知の方法、例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸架橋法、マレイミド架橋法、カルボジイミド法、活性化エステル法等(「タンパク質の化学(下)」、東京化学同人、1987年発行参照)から適宜選択することができる。
例えば、標識物質としてビオチンを使用する場合は、ビオチンのヒドラジド誘導体を用いる方法(Avidin-Biotin Chemistry : A Handbook, p57-63, PIERCE CHEMICAL COMPANY, 1994年発行参照)により標識することができる。
工程(b)において、固相に固着されたヒアルロン酸に、標識ヒアルロン酸結合蛋白質を反応させて複合体を形成さるために、約0℃〜45℃、例えば37℃において、30〜1時間程度反応させることが好ましい。
この反応により試料中のヒアルロニダーゼが固相に固着したヒアルロン酸に作用し、ヒアルロニダーゼ活性に応じてヒアルロン酸が分解される。
工程(b)反応後、傾斜、濾過、遠心分離等の手段を用いて固相と液体試料を分離し、必要に応じて洗浄することが好ましい。洗浄液としては、例えば、ツイーン(Tween)系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤を添加した緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、PBS、トリス塩酸緩衝液等)を用いることが好ましい(工程(c))。次に、工程(c)で分離した固相又は液相中、好ましくは固相中の標識物質の定量を、標識物質を定量する手段を用いて行う。この場合、標識物質を定量する手段としては、標識物質に応じた定量方法が用いられ、例えば、標識物質がビオチンである場合には、ストレプトアビジンなどを結合させた酵素(例えばペルオキシダーゼ等)を添加してビオチンとストレプトアビジンとを結合させ、次いでストレプトアビジン等を結合させた酵素の基質や発色基質等を加え、酵素反応による生成物の発色の度合いを吸光度の変化で測定する方法等を挙げることができる。また、標識物質が蛍光物質や化学発光物質である場合には、反応後の溶液の蛍光や発光を測定する方法等が挙げられる。
この結果得られた標識物質の定量値と試料中のヒアルロニダーゼ活性が相関する。例えば、固相に結合した標識物質を定量する場合、試料中にヒアルロニダーゼが含まれていると、ヒアルロニダーゼを含まない試料に比べて検出される標識物質量が少なくなる。
本発明の検定方法において、歯周組織由来の液体試料中のヒアルロニダーゼ活性は、予め既知のヒアルロニダーゼ標準液を用いてヒアルロニダーゼ活性と標識物質の検出結果(例えば吸光度)との関係において検量線を作成しておき、未知の試料についての検出結果と前記検量線とを用いることにより求めることができる。
前記の方法において算出したヒアルロニダーゼ活性が、歯周疾患に罹患していない健常人の歯周組織由来の液体試料中のヒアルロニダーゼ活性に比して高い場合には、歯周疾患である、又は歯周疾患である可能性が高いと関連付けられ、これにより当該疾患を検出することができる。
また、前記の方法において算出したヒアルロニダーゼ活性が、歯周疾患に罹患していない健常人の歯周組織由来の液体試料中のヒアルロニダーゼ活性と同等であれば、歯周疾患でない、又は歯周疾患である可能性は低いと関連付けることができる。
<検定キット>
本発明の検定用キットは、下記構成成分(A)及び(B)を少なくとも含む歯周疾患の検定用キットである。
(A)ヒアルロン酸をスペーサー物質を介してまたは直接共有結合により固着させた固相
(B)標識物質で標識したヒアルロン酸結合蛋白質
本発明のキットは、上記(A)及び(B)を少なくとも含む限りにおいては特に限定されず、さらに検量線作成のための標準となる既知のヒアルロニダーゼ標準品、標識物質の検出試薬等を構成成分として加えることができる。また、これらの構成成分の他に、ブロッキング物質、前記洗浄液、検体希釈液、酵素反応停止液等が含まれていても良い。
参考例1
BSAが共有結合したヒアルロン酸(HA−BSA)の作成
50mg/mlのヒアルロン酸(鶏冠由来、重量平均分子量約3万)溶液30mlに、2mg/mlの水素化ホウ素ナトリウム15mlを加え、室温で一晩攪拌した後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。これをリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)30mlに溶解し、0.2M過ヨウ素酸ナトリウム溶液16.5mlを添加し、遮光し氷浴中で1時間反応させた後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。これを25mMリン酸カリウム緩衝液(pH9.0)30mlに溶解し、2.5mg/mlのBSA(生化学工業株式会社販売)溶液6mlを加え、室温で1時間反応させ、更に10mg/mlのトリメチルアミンボラン溶液48mlを加え、室温で2日間反応させた後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。
なお上記ヒアルロン酸は、生化学工業社製の鶏冠由来ヒアルロン酸(重量平均分子量約100万)100gに、ヒツジ睾丸ヒアルロニダーゼ(生化学工業株式会社販売)2000ユニットを加え、40℃で20時間消化し、エタノール沈殿により分離精製して得た(重量平均分子量約3万)。
参考例2
固相化プレートの作製
参考例1で作成したHA−BSA溶液(25μl/mg)を200μl加え、4℃で一晩静置して固相化した。
その後、1%BSA溶液でブロッキングし、このプレートを洗浄液(0.05%のTween20を含むPBS)で洗浄した。
参考例3
標準ヒアルロニダーゼの測定
上記ヒアルロン酸固相化プレートの各wellを 0.05% Tween20含有生理食塩リン酸緩衝液,pH7.2(以下「PBS-T」という)300μlずつ3回洗浄し、塩酸で酸性(pH 4.1) に調製した5 mM D-glucaric acid-1,4-lacton(SIGMA S0375、別名:サッカロラクトン)(シグマ社)含有0.1M食塩水(以下「酵素希釈液1」という。また、中性(pH 7.0) の同溶液を「酵素希釈液2」とする。)で1から10-5 unitsに段階的に希釈した羊由来睾丸ヒアルロニダーゼ(ロッシュ社製, EC3.2.1.35)溶液 を wellあたり100μl 添加した。ついで、ビオチン標識ヒアルロン酸結合蛋白質(生化学工業(株)製、以下「b-HABP」という。)のPBS-T溶液(0.7μg/ml)を50μl 添加し、プレートシールで密閉して、37℃で1時間静置した。反応液を捨て、PBS-Tで200μlずつ4回洗浄した。西洋わさび由来パーオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(生化学工業(株)製、以下「HRP-a」という。)の300倍希釈液を100μl ずつ添加し、プレートシールで密閉して、37℃で1時間静置した。反応液を捨て、PBS-Tで200μl ずつ6回洗浄した後、発色液(オルトフェニレンジアミン塩酸塩(OPD) 5 mgタブレットの溶液 8mlと過酸化水素水(H2O2)2.4μl の溶液 8ml の混液)を 100μl 添加して、遮光下室温で30分間静置後、停止液(1M 塩酸)100μl添加した。プレート中の発色液をマイクロプレートリーダにより 492 nmの波長の吸光度(OD)を測定した。結果を図に示す。0.1から10ー4 units/well で直線関係を示し、広範囲で高感度、高精度のヒアルロニダーゼ活性が測定できた。
参考例4
ヒト歯肉線維芽細胞培養液中のヒアルロン酸合成分解酵素遺伝子およびヒアルロン酸分解酵素遺伝子の発現変化
ヒト歯肉線維芽細胞 GIN-1 (大日本製薬社製)の炎症性サイトカインIL-1βによる刺激後のヒアルロン酸合成分解酵素遺伝子およびヒアルロン酸分解酵素遺伝子の発現変動についても検討を行った。
実施例1と同様の方法でヒト歯肉線維芽細胞GIN-1 を培養し、12時間後IL-1βを終濃度0、0.1、 1、10、100 ng/mlとなるよう同培地に加え、0、1、3、6、12、24時間刺激した。培養後RNeasy plant Mini kit (Qiagen 社製)を使用して、全RNA を回収し、High-Capacity cDNA Archive Kit (Qiagen社製)を用いて全RNAからcDNAを合成した。それぞれのサイトカインや成長因子で刺激した時のヒアルロン酸合成酵素遺伝子および分解酵素素遺伝子の経時的発現変化を Real-Time RT-PCR 法を用いて調べた。
その結果、GIN-1細胞はヒアルロン酸合成酵素遺伝子としてHAS2を主に発現し、分解酵素遺伝子としては HYAL2およびMGEA5 を主に発現していた。
HAS2 mRNAの発現は IL-1β刺激6時間までは変化せず、12時間後に著明に増加した。FGF-2刺激には、刺激後1時間から持続的に発現が見られ、TNF-αで刺激した場合は、12時間後にその発現にわずかな増加が認められた。これに対してHYAL2のmRNA は、IL-1β刺激後1時間で一過性の発現が見られ、TNF-αやFGF-2刺激により刺激後1時間から持続的に高い発現が見られた。MGEA5はIL-1β刺激後1時間で一過性の発現が見られ、TNF-αやFGF-2刺激により刺激後1時間から持続的に高い発現が見られた。
以上の結果より、炎症性刺激における歯肉線維芽細胞のヒアルロン酸代謝に、合成酵素遺伝子としてHAS2が主に関与し、分解酵素遺伝子としてHYAL2とMGEA5が関わっていることが分かった。
また、炎症性サイトカインまたは増殖因子刺激下に、ヒアルロン酸の合成と分解が厳密に制御されていることが明らかになった。歯周組織の破壊に伴ってみられるヒアルロン酸の低分子化には、これらの分解酵素遺伝子の発現更新が深く関与しているものと考えられる。
参考例5
ヒト歯肉線維芽細胞培養液中のヒアルロン濃度の測定
実施例1と同様の方法でヒト歯肉線維芽細胞GIN-1 を培養し、刺激24時間後にGIN-1細胞培養上清中のヒアルロン酸量をヒアルロン酸結合蛋白を用いた結合阻害測定法(J. Biol. Chem., vol 278, 32710-32718. 2003)により測定した。FGF-2 (100 ng/ml) 刺激ではわずかな増加を認めるにすぎなかったが、IL-1βやTNF-α刺激では濃度依存的に培養上清中のヒアルロン酸濃度が顕著に増加した。
ヒト歯肉線維芽細胞GIN-1 (大日本製薬社製)を10% ウシ胎児血清(FCS)含有DMEM(ダルベッコ最少栄養培地)にて、5% 炭酸ガス中37℃で培養し、コンフルエントに達した後、0.5% FCS 含有DMEMに培地を変え、その12時間後にIL-1βを終濃度0、0.1、1、10、100 ng/mlとなるよう同培地に加え、24時間培養した。前記培養上清を回収して、ヒアルロニダーゼ測定用試料とした。
その結果、酸性ヒアルロニダーゼおよび中性ヒアルロニダーゼ共に添加IL-1βの用量依存的に急激に増加した。
このことから、上記方法により測定したヒアルロニダーゼ活性が、歯周疾患に罹患していない健常人の歯周組織由来の液体試料中のヒアルロニダーゼ活性に比して高い場合には、歯周疾患である、又は歯周疾患である可能性が高いと関連付けられ、これにより当該疾患を検出することができる。
Claims (2)
- 歯周組織に由来する液体試料を下記工程(a)〜(e)により測定することを特徴とする歯周疾患の検出方法;
(a)ヒアルロン酸を直接またはスペーサー物質を介して固着させた固相と上記液体試料とを接触させて、該試料中のヒアルロニダーゼと該固相に固着されたヒアルロン酸とを中性条件で反応させる工程、
(b)固相に固着されたヒアルロン酸と標識物質で標識したヒアルロン酸結合蛋白質とを反応させて複合体を形成させる工程、
(c)工程(b)の反応後、固相と液体試料を分離する工程、
(d)工程(c)で分離した固相又は液相中の標識物質を定量する工程、
(e)工程(d)で定量した標識物質量から上記試料中のヒアルロニダーゼ活性を算出する工程。 - 下記構成成分(A)、(B)及び(C)を少なくとも含む歯周疾患の検定用キット;
(A)ヒアルロン酸を直接またはスペーサー物質を介して固着させた固相、
(B)標識物質で標識したヒアルロン酸結合蛋白質、および
(C)中性の試料希釈液。
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