JP4521695B2 - リンク旅行時間推定装置、プログラム及び方法 - Google Patents
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従来、リンクの旅行時間を計測するのに、地図マッチング方式を採用した位置検出装置を車両に搭載して、その車両を走らせて、当該車両の位置検出を行い、当該車両が交差点を通過した時刻に基づいてリンクの旅行時間を求めている。
後者の方法では、路上ビーコンが設置されていない路線においては、リンクの旅行時間を計測することができない。
旅行時間が不明のリンクについては、リンクの距離を適当な速度(例えば40km/h)で走行したとして旅行時間を求めると、その旅行時間は実際の交通状況を全く反映していないものとなる。
本発明は、旅行時間が求められていないリンクの中に、渋滞度と渋滞長が求められているものが存在することに着目し、その渋滞度と渋滞長を利用して、当該リンクの旅行時間を推定する装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
前記一の渋滞度が複数の渋滞度から選択されることがある。
また、本発明のプログラムは、リンクの旅行時間と当該リンクの渋滞度と渋滞長とのデータを入力するインターフェイスを持ったコンピュータに格納されるプログラムであって、前記リンク旅行時間推定装置に含まれる各手段の機能を実行するものである。
また、本発明のリンク旅行時間推定方法は、前記リンク旅行時間推定装置と実質同一発明に係る方法である。
図1は、本発明のリンク旅行時間推定方法を実施するための旅行時間推定システム1の構成図である。
旅行時間推定システム1は、1又は複数の交通情報センター2とつながっている。
交通情報センター2は、例えば、一般道路については都道府県ごとに、高速道路については道路公団ごとに設置されている。
交通情報センター2を識別するのに、「管理者コード」という符号を用いる。表1に 管理者コードの一覧を示す。表1の番号1,2,...は、各都道府県などに対応する番号である。
旅行時間推定システム1は、コンピュータで構成され、交通情報センター2から得られる各リンクの旅行時間と渋滞度と渋滞長との情報をデータベースに記憶する。
さらに、このデータベースに記憶されたリンクの、情報取得時刻、旅行時間、渋滞部数、渋滞部1からNの渋滞度と渋滞長との情報をリンクごとに記憶した交通情報テーブルを表3に示す。
「渋滞部」とは、1本のリンクの中に渋滞度の異なる部分が存在するときに、その部分のことをいう。例えば、表3では、0時0分では、リンクの中に渋滞が発生していない。よって、渋滞部はなく、渋滞部数は0である。0時5分では、渋滞度1の渋滞部が渋滞長200mにわたって発生しているので、渋滞部数は1となる。0時10分では、渋滞度1の渋滞部が渋滞長300mにわたって発生し、渋滞度2の渋滞部が渋滞長200mにわたって発生しているので、渋滞部数は2となる。
さらに、旅行時間推定システム1は、旅行時間は求められていないが、渋滞度と渋滞長とが求められているリンクについて、渋滞長を、渋滞度に対応する前記記憶された速度で割って、当該リンクの旅行時間を推定する。この推定処理については後述する。
図2及び図3は、旅行時間推定システム1が、データベースに記憶された各リンクの旅行時間と渋滞度と渋滞長との情報に基づいて、各渋滞度に対応する速度を算出する方法を説明するためのフローチャートである。
まず、管理者コードリストテーブルから、交通情報センター2の管理者コードを取り出す(ステップS1;表1)。各渋滞度に対応する速度の関係は、交通情報センター2ごとに決っているので、まず交通情報センター2を特定する必要があるからである。
次にリンクリストテーブル(表2)から当該管理者コードに対応するリンクを1本ずつ取り出す(ステップS2)。
旅行時間の情報が含まれていれば、渋滞部数が0か(すなわち渋滞がないか)どうか判定する(ステップS5)。渋滞があれば、速度算出処理をスキップする(そのリンクは図3の渋滞時の速度算出処理の対象となる)。
すべての時刻の交通情報について、処理が終了したかどうか、判定する(ステップS7)。
そして、ステップS1で取り出した管理者コードの全リンク、全時刻の渋滞なしのリンクについて算出した速度に基づいて、指定されたパーセンタイル値(通常50パーセンタイル値)を算出し、その値を当該管理者コードにおける渋滞なしの速度とする(ステップS9)。
図3は、渋滞度1,2の場合の速度を求めるためのフローチャートである。
この処理も、定期的(例えば1ヵ月ごと)にオフラインで行う。
次に、リンクリストテーブル(表2)から、その管理者コードに該当するリンクを1本ずつ取り出す(ステップS22)。
そして、取り出したリンクに対応する交通情報テーブル(表3)から一時刻の交通情報を取り出す(ステップS23)。
旅行時間の情報が含まれていれば、渋滞部数が1以上かどうか判定する(ステップS25)。渋滞部数が1以上であれば、リンクの一箇所以上に渋滞が存在することになる。
速度の分かっていない渋滞度が1つある場合、渋滞度0に対応する速度は図2で述べたように分かっているから、以下の手順で当該渋滞度の速度を算出する(ステップS27)。
b.渋滞なしの部分の長さを、前に算出した「渋滞なしの速度」で割って、渋滞なしの部分の旅行時間を求める。
c.全旅行時間から、渋滞なしの部分の旅行時間を減じて、渋滞ありの部分の旅行時間を求める。
例えば、表3のリンクでは、0時15分の旅行時間は320秒、渋滞度2の渋滞長は200m+300m=500m、リンクの全長1200mである。リンクの全長から渋滞度2の渋滞長を引けば700mとなる。図2の処理で求められた渋滞なしの速度が36km/h=10m/秒であるから、渋滞なしの部分を通過する時間は70秒、前記渋滞のある700mを通過するのに要する時間は320秒−70秒=250秒である。渋滞度2の渋滞長500mを250秒で割ると、渋滞度2の速度が7.2km/hと求まる。
全てのリンクについて、処理が終了したかどうか、判定する(ステップS29)。
ステップS1で取り出した管理者コードの全リンク、全時刻の速度について、指定されたパーセンタイル値(通常50パーセンタイル値)を算出し、当該管理者コードにおける当該渋滞度の速度とする(ステップS30)。
以上により、管理者コードごとに、渋滞なしの速度、特定の渋滞度の速度の速度が求まる。
他の渋滞度の速度も、渋滞なしの速度、特定の渋滞度の速度の速度が分かっていれば、図3と同様の手順で求めることができる。
表4に、管理者コードごとに求められた渋滞度0,1,2に対応する3種類の速度を例示する。
表5に、ある管理者コードに属する各リンクについて、リアルタイムに取得される交通情報テーブルを示す。
以下に説明する旅行時間推定手順においては、旅行時間の情報が含まれていないリンクについて、渋滞長及び渋滞度に基づいて、当該リンクの旅行時間を推定する。
この処理はリアルタイムで行う。
まず、管理者コードリストテーブル(表1)から、管理者コードを取り出す(ステップS41)。
リンクリストテーブル(表2)からその管理者コードに該当するリンクを取り出す(ステップS42)。
取り出したリンクの情報に旅行時間があるかどうか判定する(ステップS44)。旅行時間があればスキップする。
旅行時間がなければ、以下の手順で旅行時間を推定する。
b.渋滞なしの部分の長さを、渋滞なしの速度で割って、渋滞なしの部分の旅行時間を求める。
c.渋滞部ごとに、渋滞長を、当該渋滞部の速度で割って、渋滞部の旅行時間を求める。
例えば表5のリンク番号1153のリンク(全長700m)では、リンクの旅行時間は以下のように求まる。渋滞度1の渋滞長は300mであるので、渋滞なしの部分の長さは、700mー300m=500mとなる。これを渋滞なしの速度36km/h=10m/秒で割って、渋滞なしの部分を通過するときの旅行時間40秒が求まる。次に、渋滞度1の渋滞長300mを渋滞度1の速度18km/h=5m/秒で割って、渋滞度1の渋滞長を通過するときの旅行時間60秒が求まる。リンク全体の旅行時間は、各旅行時間40秒と60秒とを総和した100秒になる。
当該管理者コードの全てのリンクについて、処理が終了したかどうか、判定する(ステップS46)。
さらにすべての管理者コードについて、処理が終了したかどうか、判定する(ステップS47)。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
2 交通情報センター
Claims (5)
- 所定領域内のリンクの旅行時間を推定するリンク旅行時間推定装置であって、
1又は複数の渋滞度と、その渋滞度における渋滞長と、旅行時間とが求められている前記所定領域内の複数のリンクについて、渋滞度と、その渋滞度における渋滞長と、旅行時間とを取得する取得手段と、
前記複数のリンクのうち渋滞度が非渋滞のみからなるリンクを複数選定し、選定した当該複数のリンクのリンク長と旅行時間とを用いて渋滞度が非渋滞の場合の車両の走行速度を算出する第一の算出手段と、
前記所定領域内の複数のリンクのうち、渋滞度が非渋滞と非渋滞以外の車両の走行速度の分かっていない1つの渋滞度(以下「一の渋滞度」という)とからなるリンクを複数選定し、選定した当該複数のリンクについて、渋滞度が非渋滞である部分の長さと、前記算出した渋滞度が非渋滞の場合の車両の走行速度とを用いて渋滞度が非渋滞である部分の旅行時間を求め、当該リンクの旅行時間から前記渋滞度が非渋滞である部分の旅行時間を減じて、渋滞度が前記一の渋滞度である部分の旅行時間を求め、当該渋滞度が前記一の渋滞度である部分の旅行時間と、渋滞度が前記一の渋滞度である部分の長さとに基づいて、渋滞度が前記一の渋滞度の場合の車両の走行速度を算出する第二の算出手段と、
旅行時間は求められていないが、渋滞度とその渋滞度における渋滞長とが求められており、かつ、渋滞度が非渋滞と前記一の渋滞度とからなる前記所定領域内のリンクについて、それぞれの渋滞度における渋滞長と、それぞれの渋滞度の場合の前記算出された車両の走行速度とに基づいてそれぞれの渋滞度における渋滞長ごとの旅行時間を算出し、それらの旅行時間に基づいて当該リンクの旅行時間を推定する推定手段とを備えることを特徴とするリンク旅行時間推定装置。 - 前記一の渋滞度は、複数の渋滞度から選択される請求項1記載のリンク旅行時間推定装置。
- 前記所定領域内は、同一交通管制システムを使用している管内である請求項1記載のリンク旅行時間推定装置。
- リンクの旅行時間と当該リンクの渋滞度と渋滞長とのデータを入力するインターフェイスを持ったコンピュータに格納されるプログラムであって、
1又は複数の渋滞度と、その渋滞度における渋滞長と、旅行時間とが求められている所定領域内の複数のリンクについて、渋滞度と、その渋滞度における渋滞長と、旅行時間とを取得するステップと、
前記複数のリンクのうち渋滞度が非渋滞のみからなるリンクを複数選定し、選定した当該複数のリンクのリンク長と旅行時間とを用いて渋滞度が非渋滞の場合の車両の走行速度を算出するステップと、
前記所定領域内の複数のリンクのうち、渋滞度が非渋滞と非渋滞以外の車両の走行速度の分かっていない1つの渋滞度(以下「一の渋滞度」という)とからなるリンクを複数選定し、選定した当該複数のリンクについて、渋滞度が非渋滞である部分の長さと、前記算出した渋滞度が非渋滞の場合の車両の走行速度とを用いて渋滞度が非渋滞である部分の旅行時間を求め、当該リンクの旅行時間から前記渋滞度が非渋滞である部分の旅行時間を減じて、渋滞度が前記一の渋滞度である部分の旅行時間を求め、当該渋滞度が前記一の渋滞度である部分の旅行時間と、渋滞度が前記一の渋滞度である部分の長さとに基づいて、渋滞度が前記一の渋滞度の場合の車両の走行速度を算出するステップと、
旅行時間は求められていないが、渋滞度とその渋滞度における渋滞長とが求められており、かつ、渋滞度が非渋滞と前記一の渋滞度とからなる前記所定領域内のリンクについて、それぞれの渋滞度における渋滞長と、それぞれの渋滞度の場合の前記算出された車両の走行速度とに基づいてそれぞれの渋滞度における渋滞長ごとの旅行時間を算出し、それらの旅行時間に基づいて当該リンクの旅行時間を推定するステップとを含む、リンク旅行時間推定方法を実行するためのプログラム。 - 次の(a)〜(d)の手順を含むことを特徴とするリンク旅行時間推定方法。
(a)1又は複数の渋滞度と、その渋滞度における渋滞長と、旅行時間とが求められている所定領域内の複数のリンクについて、渋滞度と、その渋滞度における渋滞長と、旅行時間とを取得する。
(b)前記複数のリンクのうち渋滞度が非渋滞のみからなるリンクを複数選定し、選定した当該複数のリンクのリンク長と旅行時間とを用いて渋滞度が非渋滞の場合の車両の走行速度を算出する。
(c)前記所定領域内の複数のリンクのうち、渋滞度が非渋滞と非渋滞以外の車両の走行速度の分かっていない1つの渋滞度(以下「一の渋滞度」という)とからなるリンクを複数選定し、選定した当該複数のリンクについて、渋滞度が非渋滞である部分の長さと、前記算出した渋滞度が非渋滞の場合の車両の走行速度とを用いて渋滞度が非渋滞である部分の旅行時間を求め、当該リンクの旅行時間から前記渋滞度が非渋滞である部分の旅行時間を減じて、渋滞度が前記一の渋滞度である部分の旅行時間を求め、当該渋滞度が前記一の渋滞度である部分の旅行時間と、渋滞度が前記一の渋滞度である部分の長さとに基づいて、渋滞度が前記一の渋滞度の場合の車両の走行速度を算出する。
(d)旅行時間は求められていないが、渋滞度とその渋滞度における渋滞長とが求められており、かつ、渋滞度が非渋滞と前記一の渋滞度とからなる前記所定領域内のリンクについて、それぞれの渋滞度における渋滞長と、それぞれの渋滞度の場合の前記算出された車両の走行速度とに基づいてそれぞれの渋滞度における渋滞長ごとの旅行時間を算出し、それらの旅行時間に基づいて当該リンクの旅行時間を推定する。
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