以下に添付図面を参照して、この発明にかかる音声操作支援装置、電子機器、画像形成装置およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図11に基づいて説明する。本実施の形態は電子機器及び画像形成装置としてMFP(デジタル複合機:Multi-Function Peripherals)を適用した例である。なお、本発明の電子機器及び画像形成装置は、MFPに限ったものではなく、多様化した機能を有する装置(例えば、コピー機、電話機、PDA、カーナビゲーションなど)であれば、同様の効果が期待できる。
図1は、本発明の実施の一形態にかかるMFP100の構成を示すブロック図である。図1において、MFP100は、ホスト(図示せず)とMFP100を接続するためのホスト接続装置101、FAX回線に接続するためのFAX回線用接続装置102、LAN(Local Area Network)等のネットワークへ接続するためのネットワーク接続装置103、MFP100の各種設定操作を行うための操作部104、原稿台から画像をスキャンし画像データを作成するスキャナ装置105、作像装置や給排紙装置を備えたプリンタエンジン106、MFP全体の制御、プリンタ言語処理、ファクシミリ制御、スキャナ制御、利用者認識処理、音声出力制御、画像データ編集処理およびMFP操作に対する制御等を行う制御コントローラ107、ファクシミリ受信した画像データ、交信記録や各機能で使用した画像データを保存する記憶装置108、利用者の操作結果に応じて音および音声を出力するスピーカ、ヘッドフォン等の音出力装置109、利用者が発する操作指示の音声を入力する音声入力装置110とからなる。
図2は、操作部104を示す正面図である。操作部104の中央には、LCD(Liquid Crystal Display)上にタッチパネルを積層させた液晶表示部201が設けられている。この液晶表示部201には、MFP100に組み込まれている機能(FAX、コピー、プリンタ等)に対する設定項目の表示が行われ、利用者はこの表示された設定項目に値を設定することによってMFP100の操作を行う。機能の切り替えは、液晶表示部201の左側に設けられている機能キー206によって行われる。また、液晶表示部201の右側には、各機能で共通に使用する各種テンキー202、クリア/ストップキー203、スタートキー204、利用者が設定情報を確認したいときに用いる「設定確認」キー205等の各種キーが配置されている。
加えて、操作部104には、本実施の形態のMFP100が備えるMFP100の操作方法や基本的な機能などを解説するチュートリアル機能(詳細は後述する。)を実行する際に用いる再生/停止キー207、スキップ宣言受付手段として機能する操作キーである早送りキー208、スキップ宣言受付手段として機能する操作キーである巻戻しキー209が配置されている。これらの再生/停止キー207、早送りキー208、巻戻しキー209は、チュートリアル機能の実行の際の音声データの再生/停止、早送り(後方にスキップする処理)、巻戻し(前方にスキップする処理)を宣言するためのものであり、テープレコーダなどのボタン配置に類似している。したがって、普段使い慣れた機器を使用する場合と同じ感覚で操作が可能になり、利用者にとって扱いやすいものとなっている。
図3は、制御コントローラ107の構成を示すブロック図である。制御コントローラ107は、コンピュータを主体に構成されており、情報処理を行うCPU(Central Processing Unit)1と、BIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)2と、情報を処理中に一時的に格納するRAM(Random Access Memory)3と、アプリケーションプログラムや処理結果等を保存する記憶部であるHDD(Hard Disk Drive)4と、情報を外部に保管又は配布し若しくは情報(アプリケーションプログラム等)を外部から入手するための記憶媒体であるリムーバブルメディア6のドライブ5とから構成され、これらの間のデータ通信をバスコントローラ7が調停して動作している。
なお、リムーバブルメディア6としては、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等のような磁気的な記憶媒体、MOのような光磁気的な記憶媒体、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等のような光学的な記憶媒体、半導体メモリ等、各種の記憶媒体が適用できる。
一般的には、利用者がMFP100の電源を投入すると、CPU1はROM2内のBIOSに含まれるローダーというプログラムを起動させ、HDD4からオペレーティングシステム(OS)をRAM3に読み込む。OSは起動すると、利用者の操作に応じてアプリケーションプログラムの起動、情報の読み込み、保存等をサポートする。代表的なOSとしては、Windows(Microsoft Corporationの登録商標)、UNIX(X/Open, Inc.の登録商標)等が知られている。これらのOS上で走るプログラムをアプリケーションプログラムと呼んでいる。なお、アプリケーションプログラムは、所定のOS上で動作するものに限らず、後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
また、一般的には、HDD4にインストールされるアプリケーションプログラムは、リムーバブルメディア6に記録され、このリムーバブルメディア6に記録されたアプリケーションプログラムがHDD4にインストールされる。このため、リムーバブルメディア6も、アプリケーションプログラムを記憶する記憶媒体となり得る。さらには、アプリケーションプログラムは、例えばネットワーク接続装置103を介して外部から取り込まれ、HDD4にインストールされても良い。
このような制御コントローラ107は、OS上で動作するアプリケーションプログラムが起動すると、CPU1がこのアプリケーションプログラムに従うことにより、MFP全体の制御、プリンタ言語処理、ファクシミリ制御、スキャナ制御、利用者認識処理、音声出力制御、画像データ編集処理およびMFP操作に対する制御等を行う。
ここで、CPU1がこのアプリケーションプログラムに従って各部を制御することにより実行されるMFP100の基本的な処理動作について簡単に説明する。
プリンタ機能を利用する場合には、制御コントローラ107は、ホスト接続装置101を介してホストから送信された印刷データ、または、ネットワーク接続装置103を介して接続されたコンピュータから送信された印刷データを制御コントローラ107の受信バッファに一時蓄えた後、プリンタ言語処理に従い画像データに展開し、プリンタエンジン106に送ることにより印刷を実行する。また、コピー機能を利用する場合には、制御コントローラ107は、スキャナ装置105から読み取られた画像データをプリンタエンジン106に送って印刷を実行する。
また、制御コントローラ107は、操作部104の液晶表示部201に絵情報をさせ、この絵情報に従って利用者がコピーの指示を与えた場合、スキャナ装置105で読み取られた画像データを一旦記憶装置108へ格納しておく。そして、制御コントローラ107は、自身が有している画像データ編集処理により、画像データの編集、複数画像の重ね合わせ等を実行したあと、その画像データをプリンタエンジン106によって印刷したり、FAX回線用接続装置102によってFAX送信したりすることができる。
また、制御コントローラ107は、スキャナ装置105で読み取られた画像データ、FAX回線用接続装置102を介して得たファクシミリ画像データやネットワーク接続装置103を介して得た画像データをホスト接続装置101やネットワーク接続装置103を介して外部のコンピュータへ送信し、そのコンピュータのアプリケーションで受信した画像データを再加工するようにも使うことができる。さらに、制御コントローラ107は、ネットワーク接続装置103を介してインターネットに接続した画像データサーバから画像データを取り寄せて、プリンタエンジン106によって印刷することもできる。
次に、CPU1がアプリケーションプログラムに従って各部を制御することにより実行される本実施の形態のMFP100の特徴的な処理動作について説明する。
本実施の形態のMFP100の利用者は、次の2種類に分類される。
(1)MFP100を自由に操作できない人
これに分類される人は、視覚障害者、肢体不自由者、弱視者、老眼・近眼の人(以下、視覚障害者等と呼ぶ)のように操作部104の液晶表示部201の画面やタッチパネルを見て操作できない人である。または、健常者であっても、音声や音での操作を選択した人もこの分類に含まれる。この分類に属する人がMFP100を操作するときは、音声および音によって操作のガイダンスが行われることになる。MFP100のこの処理形態を「非視覚モード」と呼ぶことにする。
(2)MFP100を自由に操作できる人
これに分類される人は、上記の(1)に含まれない人であって、晴眼者の健常者である。この分類に属する人がMFP100を操作するときは、操作部104の液晶表示部201のタッチパネルや各種キーによって操作が行われるが、MFP100のこの処理形態を「視覚モード」と呼ぶことにする。
そこで、本実施の形態のMFP100は、特徴的な機能として、音声および音によって操作のガイダンスを行う「非視覚モード」と通常の「視覚モード」との何れかを選択的に実行することができるようになっている。
ここで、図4はCPU1がアプリケーションプログラムに従うことにより実現される制御コントローラ107における特徴的な機能を示す機能ブロック図である。図4に示すように、制御コントローラ107は、操作制御部301、操作入力部302、機能制御部303、視覚表示部304、視覚制御部305、メニュー制御部306、メニューデータベース(DB)307、音声出力部308、機能実行部309、音声入力部310、音声認識部311、案内メッセージ記憶部312を備えていて音声操作支援装置としても機能する。
機能制御部303は、「視覚モード」または「非視覚モード」のいずれを使用するかを決定し、利用者にコピー機能やファクシミリ機能等のいずれの機能を使うかを指示させ、それに対する操作のための初期設定と全体の制御を行う。より詳細には、機能制御部303は、通常は「視覚モード」であり、利用者により操作部104の上のモード切り替えキー(例えば、テンキー202の「*キー」)が押下されたことを検知した場合、「非視覚モード」の制御を行う。なお、利用者がヘッドフォンとマイクを備えたヘッドセットを挿入したことを検知したり、個人識別用、またはこれまでの操作記録などの情報を記憶した非接触型のICカードを認識したりすることで、視覚に障害があることを判断するようにしてもよい。
操作入力部302は、操作部104上の各種キーからのキー入力信号を受け付けて、そのキー入力信号に応じたキー操作内容を操作制御部301に対して出力する。
操作制御部301は、操作入力部302から受け取った各種の入力操作やその処理結果を操作部104に表示する等の操作に対する制御を行う。例えば、「非視覚モード」の時には、テンキー202は後述する階層メニューの階層構造を移動させる方向移動キーとして機能させ、「視覚モード」の時には、数字を入力するテンキーとして機能させる。「非視覚モード」の場合、その入力されたテンキー202の種別に従った機能をメニュー制御部306へ引き渡す。また、操作制御部301は、操作入力部302から受け取ったキー入力を音声出力部308に伝え、機能実行に対応するキー入力を受け取った場合には機能実行部309にも伝える。
視覚表示部304は、操作部104の液晶表示部201のLCDに対し、「視覚モード」では、各種の機能や各種の設定項目を選択するための画面表示を行う。「非視覚モード」では、操作部104の液晶表示部201のLCDに対し、利用者が後述する階層メニューから選択し確定した設定項目を画面へ表示する。なお、「非視覚モード」の場合、「非視覚モード」から一時的に「視覚モード」へ切り替えて、設定項目を選択することができる。
視覚制御部305は、「視覚モード」では、操作部104の液晶表示部201に設置されたタッチパネルからの入力信号を受け付けて、その入力信号に応じた操作内容を操作制御部301に対して出力する。
メニュー制御部306は、後述する階層メニューを保持するメニューデータベース(DB)307を管理している。操作入力部302から渡された入力キーの種別がメニュー上の移動を伴う場合には、入力機能番号がメニューDB307に存在するかどうかを検索し、存在すれば現在の機能番号を入力機能番号に置き換え、この置き換えられた機能番号に対応した設定項目が示す位置に移動し、その処理が行われる。また、移動を伴わないときには、そのキーに対する処理を行う。
また、メニュー制御部306は、案内メッセージ記憶部312を管理している。案内メッセージ記憶部312は、利用者に対して出力する音声等の案内メッセージデータを記憶している部分である。これは、キー毎の名称や機能を記憶している。
音声出力部308は、「非視覚モード」において、メニュー制御部306や操作制御部301の指示で、テンキー202による各種の操作および機能実行の成否を表す動作音、音声ガイダンス、BGM等を音出力装置109に対して出力する。すなわち、音声出力部308は、案内メッセージを、操作制御部301からの入力により音声出力等で利用者に提供することができる。案内メッセージは、案内メッセージ記憶部312から取り出され、提供される。
音声入力部310は、操作入力部302から起動され、音声入力装置110からの利用者が発声した操作項目名、機能番号、操作項目に含まれる単語を入力し、音声認識部311を介して入力された音声を音声認識し、その結果に応じてそれぞれ機能番号へ変換し、操作入力部302へ戻す。具体的には、音声認識結果をメニューDB307を検索して操作項目名から機能番号へ変換する。また、操作項目名に含まれる単語が入力された場合には、その単語を含む操作項目をメニューDB307の中から検索し、その結果が1つの操作項目であれば、その検索された操作項目に対応する機能番号へ変換する。検索結果が複数の時には、検索結果を読み上げてその中から利用者が選択する。
音声認識部311は、音声入力部310によって呼び出され、現在利用者が操作している機能(コピー機能やファクシミリ機能)に対する音声認識用辞書(例えば、コピー用の辞書)を用いて、利用者が発声した音声(階層メニューの操作項目名、キーワード、操作指令等)を音声認識した結果を音声入力部310へ戻す。
機能実行部309は、操作制御部301から渡される各種の設定項目に対する設定値を機能(例えば、コピー機能やファクシミリ機能等)に応じて定められたMFP100の制御コントローラ107内のHDD4に形成されたテーブルへ記憶させる。また、機能実行部309は、操作制御部301からの指示でMFP100の制御コントローラ107内のHDD4に形成されたテーブルに記憶された設定値によって、機能を実行させる。
以下、制御コントローラ107による処理動作について説明する。なお、ここでは、MFP100の操作概要を「原稿を複写するときの操作」を用いて説明するが、MFP100の利用者は、上述したいずれの利用者であっても、MFP100の電源やテンキー202がどの辺にあるかは分かっており、また、MFP100の基本的な機能や操作方法を一通り勉強済みであることを前提とする。
まず、MFP100の電源を入れた状態では、「視覚モード」で動作するように設定されているので、健常者の利用者では、そのまま操作部104の液晶表示部201の画面表示とタッチパネルとによって各種の指示を与え、MFP100を操作することができる。「非視覚モード」に「モード」の切り替えを行う場合には、モード切り替えキー(例えば、テンキー202の「*キー」)を一定時間(3秒)以上押し続けることによって切り替える。なお、一旦、「非視覚モード」が設定されると液晶表示部201のタッチパネルからの指示はロックされることになるが、「モード」の切り替え指示を行うことによって、随時切り替えることができる。
一方、「非視覚モード」でMFP100を動作させたい人は、モード切り替えキー(例えば、テンキー202の「*キー」)を押下して、「視覚モード」から「非視覚モード」へ切り替えることによって、「非視覚モードに入りました」と音声で通知される。なお、ヘッドフォンとマイクを備えたヘッドセットをMFP100へ接続することによって,モードを切り替えるようにしてもよい。また、ヘッドセットとMFP100との接続は、無線通信やBluetoothを使って交信するようにしてもよい。
その後、利用者が操作部104の機能キー206「Copy」(図2参照)を操作し、制御コントローラ107が機能キー206「Copy」(図2参照)が押されたことを認識すると、ヘッドフォンから「コピーの操作ができるようになりました」と音声で利用者へ知らせる。また、MFP100においては、FAXやコピー等の機能ごとに、あらかじめ操作可能なすべての操作項目を機能別に分類し、その分類をさらに細分化していくというように多階層を持った単一のメニューを作成しておく。例えば、「Copy」機能は、図5−1及び図5−2(この機能分類は一部分を示したに過ぎない)に示すような階層に分類される。
ここで、メニューDB307に記憶される階層メニューの構造について説明する。MFP100で扱うFAX機能、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、NetFile機能等の機能ごとに、操作可能なすべての操作項目を機能別に分類し、その分類をさらに細分化していくというように多階層の木構造を持った単一のメニューを作成し、メニューDB307へ記憶しておく。例えば、「変倍」、「両面」のように、より詳細な設定項目がある場合には、「変倍」や「両面」を1つの階層名とし、それらの階層の下にさらに「等倍」、「拡大」、「縮小」等選択すべき階層名を配置し、その階層名が「115%」、「93%」といった最終的な設定項目になるまで細分化する。
このような階層メニュー上の設定項目の種類としては、次に挙げるようなものがある。
・同階層中にひとつだけ選択できる選択項目
例えば、「拡大」の階層の下の「115%」か「122%」等
・機能のON/OFFをトグルことができるトグル項目
例えば、「フィニッシャー」の階層の下をソートするか否か等
・数値を設定できる数値項目
例えば、コピーする部数等の場合には、その設定項目を選択後テンキー202で数値を入力
・何らかの動作を始動する動作項目
例えば、FAX機能で登録されている宛先リストの作成等
例えば、コピー機能の場合、先ず、図5−1および図5−2に示すように、第一階層の階層名を(部数、原稿、用紙、変倍、両面・集約・分割、フィニッシャー等)とし、それぞれ第二階層、第三階層等に細分化しておく。また、図5−1および図5−2に示すように、各階層の階層名および設定項目にはそれぞれ数字が対応しており、この数字を指定することによって、各階層をたどらなくても直接その設定項目を選択することができる。以下、この数字のことを「機能番号」という。
利用者は、操作部104に設置された方向移動キーあるいはこの方向移動キーの代用可能なキー(以下、まとめて方向移動キーという)を用いて、この階層メニューの階層をたどって所望の操作項目に移動し、これを選択または値を設定するという操作を繰り返して所望の設定を完了した後に、スタートキー204を押下することによって、機能キー206「Copy」が押されている場合には原稿の複写が作成される。
上述したような階層メニューの操作方法について説明する。上述した階層メニュー上に配置された階層名や設定項目を移動・選択操作するには、方向移動キーあるいはそれに代用可能なキーを用いるが、本実施の形態においてはテンキー202を代用して用いることにする。図6は、キーごとに割り当てられた機能を示している。
即ち、階層の上下方向への移動をテンキー202中の垂直方向に配置されたキーの押下によって行い、同階層の隣接項目をテンキー202中の水平方向に配置されたキーにより行う。図6では、「上方移動(「2」)」キーを押下することによって階層を上にたどり、「下方移動(「8」)」キーを押下することによって階層を下にたどる。また、「左方移動(「4」)」キーを押下することによって同階層を左にたどり、「右方移動(「6」)」キーを押下することによって同階層を右にたどる。尚、上記した方向移動キーを逆に割り当てるようにしてもかまわない。
利用者が階層メニューの下層へ移動するように指示したときに、下層の設定項目が複数ある場合、下に列挙したうちのいずれか予め定めた方法によって、次の設定項目へ移動する。
・下層の最初の項目に移動する。どれが既定値というわけでもない場合、例えば、原稿の種類を選択するときに使用する。
・下層の既に選択されている項目に移動する。例えば、その下層の設定項目に、既に設定がなされた項目があれば、その項目以降の設定の続きかまたはその項目の内容を修正するために、その既に設定がなされた項目へ移動する。
・下層の既定値を持つ項目に移動する。例えば、濃度設定の場合には、「薄い、普通、濃い」の選択項目があるが、一般に、既定値として「普通」を設定しているので、その既定値「普通」の設定項目へ移動する。
また、利用者が水平方向の移動キーを操作して、同階層を移動する時には、その階層の端へ達した場合には、その階層の反対の端へ移動し、循環的な移動を行う。常に一定方向へ移動することによって、利用者の選択したい項目を見つけることができる。この場合、利用者は、この階層の項目数がどの程度の数なのかを把握することができず、メニュー上で迷子になってしまう可能性が高い。または、この循環移動を行わず、端にきたときそれ以上は移動しないようにしてもよい。この場合には、所望の項目を行き過ぎてしまった場合、反対方向に移動キーを押さなくてはならないが、その階層にある項目がどの程度の数であるかを把握することはできる。
さらに、図6では、利用者が設定の途中でどの階層にいるか分からなくなった場合や、最初から選択し直したい場合には、例えば、「トップへ戻る(「1」)」キーを押下することによって、どの階層からでもトップの階層(図5−1の例では、第一階層の「部数」)へ戻れる。この場合、それまでに選択または設定された設定項目は、MFP100に記憶しておき、移動キーや設定確認キーによって、それまでに設定・選択された項目内容の確認や修正を行うことができる。
また、図6において、「直接ジャンプ(「0」)」キーを押下することによって、利用者が設定したい階層や項目へ直接移動することができる。例えば、「直接ジャンプ」キーを押下し、さらにテンキー202から「機能番号」を入力することで、その「機能番号」に対応した階層名または項目へ移動することができる。例えば、「直接ジャンプ」キーの押下に続いて、「435」をテンキー202によって数値入力すると、MFP100は、「変倍」→「縮小」→「71%」の順で項目が選択されたものと判断する(図5−1、図5−2参照)。
また、上記のような「直接ジャンプ」キーによって直接設定したい項目の「機能番号」を入力するのではなく、「音声認識(「3」)」キーを押下して、利用者が「機能番号」や「設定項目名」を発声し、それをMFP100が認識し、その認識された項目へ直接移動することもできる。
また、図6において、「部分クリア(「7」)」キーを押すことによって、階層メニュー上で現在いる階層から下層にある設定項目のうち、既定値を変更した設定項目の値を既定値へ戻すことができる。設定値へ戻す際、設定項目ごとに問い合わせて、戻してよいものだけを既定値へ戻すようにしてもよいし、または、既定値を変更した設定項目すべてについて戻してよいかを問い合わせるようにしてもよい。例えば、現在、階層メニューの「フィニッシャー」階層にいる場合は、その階層以下の「ソート/スタック」、「ステープル」、「パンチ」の設定項目で既定値を変更した場合には、その設定値をクリアして既定値へ戻すようにする。
また、図6において、「現在位置の説明(「9」)」キーを押下することにより、現在、階層メニュー上のどの階層名または設定項目にいるのかを音声によりフィードバックする。フィードバック情報としては、例えば、階層名または設定項目名、機能番号および設定された値(部数)等がある。例えば、用紙をA4横に移動した後、「現在位置の説明」キーを押下すると、「用紙をA4横に設定します」と音声でフィードバックされる。
さらに、図6において、上述した各キーによって階層メニューを操作し、所望の設定項目の設定(選択または数値入力の終了)が終了したとき、その設定項目を確定するために「確定(「#」)」キーを押下する。これにより、MFP100は、確定された設定項目の内容を操作部104の液晶表示部201の画面へ表示する。
また、図6において、「モード切り替え(「*」)」キーを押下すると、現在のモードを切り替える。現在のモードが「非視覚モード」であれば、「視覚モード」へ切り替える。
上述したようにテンキー202を用いて階層メニュー上に配置された階層名や設定項目の移動・選択操作を行う際に、音声によってヘッドフォンなどから出力することにより、その入力および操作結果が確実になされたかを利用者が認識することができ、不安を低減することができる。このときの音声は、状況に応じて音声の属性(音の高さ、声種、音質、調子、音色、話速、音場感)を変化させてフィードバックすることにより、利用者が置かれた状況を直感的に把握させることができる。
まず、移動操作によって階層メニューをたどって、階層名や設定項目へ達したときに、その階層名や設定項目を所定の内容の音声フィードバックを行う。例えば、「拡大」や「114%」等の設定項目へ移動したときには、その項目名を読み上げる。これにより、利用者がどの設定項目に移動したかを認識できる。
この項目名を読み上げる際、既に選択されている項目をまだ選択されていない項目よりも高い声で読み上げる。これによって利用者に対して活性度の高いイメージを与え、その項目が現在選択されていることを、言語表現によるよりも素早く直感的に伝えることができる。
例えば、図5−1および図5−2の階層メニューにおいて、「変倍」の下階層の「等倍」や「拡大」はそれらのうちのどれかひとつが選択されるべきものであるが、現在どれが選択されているかを利用者が知ることができれば「等倍」が選ばれているのにさらに「等倍」を選択するという無駄が省ける。また、例えば「原稿サイズ混載」等のような選択によってON/OFFを切り替える項目では、現在選択されているか(即ちONであるか)、選択されていないか(即ちOFFであるか)を知らなければ自分の所望の状態にセットすることができない。
また、項目名を読み上げる際、無効な項目は有効な項目よりも低い音声によって読み上げる。これによって利用者に対して活性度の低いイメージを与え、その項目が現在無効であることを、言語表現によるよりも素早く直感的に伝えることができる。これは、ある項目を選択したことにより他の項目に影響を与え、その結果として他の項目を選択できないという状況で用いる。例えば、「両面・集約・分割」→「コピー」→「両面」が選ばれているときは、「用紙」→「手差し」を選択できないため、「手差し」に移動したときは、通常よりも低い音声で読み上げる。
以上のような読み上げの際、音声の音高の上下は通常の高さと識別可能な変化量が必要であって、かつ発声内容を明瞭に聞き取れる範囲に抑える必要がある。例えば、通常の自然発話における音域と音声合成で明瞭性を確保できる音域を考慮し、半オクターブ程度の変化量を与えるようにする。
また、項目名を読み上げる際、下の階層の項目をもつ項目名には残響を付加して出力する。これによって利用者に対して余韻のあるイメージを与え、その項目の後にさらに細分類された項目群があることを、言語表現によるよりも素早く直感的に伝えることができる。例えば、階層メニュー上の項目には、「等倍」のようにそれ以下の階層を持たないものと、「拡大」のようにさらに下の階層の細分類項目を持つものがある。この違いを実際に下の階層へ移動せずにわかることは、利用者による階層メニューの移動作業を見通しよくすることになる。
この残響付加は、例えば、合成音声の出力を遅延器および減衰器に通した後、その合成音声に加算することで実現できる。この場合、制御パラメータは遅延器の遅延時間と減衰器の減衰量となるが、通常の音声との識別性を向上すること、および音声の明瞭性を確保することを考慮し実験的に決定する。
また、「部分クリア(「7」)」キーが押されたときには、階層メニュー上の現在位置から下層にある設定項目に対してなされた設定変更を読み上げて既定値へ戻してよいかを音声で問い合わせる。このとき、いちいち設定された設定値を既定値へ戻すかどうかを問い合わせるのではなく、すべての下層にある設定項目について既定値へ戻してよいかを問い合わせ、OKであれば一度に既定値へ戻すようにしてもよい。
現在、階層メニュー上のどの設定項目にいるのかを、「現在位置の説明(「9」)」キーを押下することにより、その設定項目に対する設定項目名や設定値等の情報提供を所定の内容の音声によりフィードバックする。例えば、「用紙」を「A4横」に移動した後、「現在位置の説明」キーを押下すると、「用紙をA4横に設定します」と音声フィードバックされる。
現在位置の項目に対して「確定(「#」)」キーにて確定操作が行われたときに、その確定された内容を所定の内容の音声によりフィードバックを行う。例えば、「拡大」で「200%」を確定したときは、「変倍は拡大200%に設定されました」という内容の音声によるフィードバックがある。
また、設定確認キーが押下されたとき、現在の階層メニュー上の設定項目(中間階層を含めて)より下にあり、利用者が既定値から設定を変更した設定項目をまとめて音声で読み上げる。このとき、一度にすべての設定項目を音声フィードバックするのではなく、1つの設定項目につき音声フィードバックし、その設定項目に誤りがあれば修正し、移動キーを操作させて次の変更されている設定項目に移動し、最後は確定キーを押下して最終確定とするようにしてもよい。また、今までに既定値から変更した設定項目をすべて知りたいときには、一旦「トップへ戻る(「1」)」キーで階層メニューのトップへ移動してから、この設定確認キーを押すことにより一括して確認することができる。
各設定項目に設定が完了し、スタートキーを押下することによって、MFPの動作が終了したときに、その成否を知らせる所定の内容の音声フィードバックを行う。例えば、「122%の変倍でコピーが終了しました」、「紙詰まりでコピーができませんでした」等の結果を音声にてフィードバックする。
また、操作中や動作中にMFP100の状態を上述した設定項目の操作時の音声とは異なる話者の音声によって、動作音の後に続けて、例えば、「用紙がなくなりました」、「トナーが残り少なくなりました」、「紙詰まりが発生しました」、「フロントカバーが開いています」等と利用者へ通知する。
上述した音声フィードバックによる音声の属性(音の高さ、声種、音質、調子、音色、話速、音場感)を変化させるつまみを用意することによって、利用者に聞き取りやすい音声出力とすることができる。また、音声フィードバックの終了を待たずに、次のキー操作がなされた場合には話速を自動的に早くすることによって、利用者のイライラ感を減らすことができる。
すなわち、本実施の形態のMFP100における「非視覚モード」とは、設定項目を階層メニュー上に位置づけて、上下左右に方向を表すテンキー202の押下によって項目を移動し項目を選択することによって設定を行うモードであり、このとき、項目を移動するたびに移動先の項目名を音声で利用者にフィードバックすることにより、視覚障害者等にもすべての設定項目へのアクセスを保障する設定方式である。
ここで、図7を用いて、原稿の画像が薄いためにコピー結果が濃くなるように操作するときの例を説明する。操作開始のときは、現在の階層名「部数」が利用者に音声にて知らされるので、「右方移動(「6」)」キーにより階層名「原稿」へ進む。このとき音声で「原稿」の位置にいることが知らされる。次に、この「原稿」の細分類である「濃度」を選択するために、「下方移動(「8」)」キーを用いて、階層メニューを1つ下の階層へ降りる。このとき音声で「種類」の位置にいることが知らされる。
さらに、「原稿」の細分類の1つである階層名「濃度」へ進むために、「右方移動(「6」)」キーを押す。このとき音声で「濃度」の位置にいることが知らされる。同様に、この「濃度」の細分類である「濃く」を選択するために、「下方移動(「8」)」キーを用いて、階層メニューを1つ下の階層へ降りる。このとき音声で「自動」の位置にいることが知らされる。さらに、「濃度」の細分類の1つである階層名「濃く」へ進むために「右方移動(「6」)」キー押す。このとき音声で「濃度」の位置にいることが知らされる。その後、「確定(#)」キーを押すことにより、利用者の要求する「原稿を濃くコピーする」設定を達成できる。
加えて、本実施の形態のMFP100においては、MFP100の操作方法や基本的な機能などを解説するチュートリアル機能を備えている。このチュートリアル機能によれば、指示に従って操作を進めていくだけでMFP100の操作方法や基本的な機能を学ぶことが可能となっている。以下において、この点について説明する。
案内メッセージ記憶部312には、前述した案内メッセージの1つとして、図8に示すようなMFP100の操作方法や基本的な機能などを解説する操作説明情報であるチュートリアル機能用の音声データ(以下、チュートリアルデータという)を格納したチュートリアルデータファイルが記憶されている。チュートリアルデータファイルには、図8に示すように、チュートリアルデータがN個の説明項目に分けられて記録されている。より詳細には、チュートリアルデータは、チュートリアルの内容全体を章分けし、内容の指標となる章番号(1,…,n,…,N)や章題を付与して記録されている。例えば、利用者がチュートリアルデータを番号1から順番に再生すると、「1 操作支援の聞き方 …」,「2 画像形成装置の仕組み …」,「3 設定できること …」などのように音声出力される。
操作制御部301は、「非視覚モード」の時に、操作部104上の再生/停止キー207と早送りキー208と巻戻しキー209の何れかのキー入力による信号を操作入力部302から受け付けると、操作入力部302から受け付けた利用者の指示に応じた処理を行い、音声出力部308に指示する。ここで、再生/停止キー207のキー入力に応じた処理は、チュートリアルデータの再生位置からの出力処理であり、早送りキー208や巻戻しキー209のキー入力に応じた処理は、チュートリアルデータの再生位置のスキップ処理である。このような操作制御部301は、図9に示すような参照表を備えている。図9に示すように、参照表は、チュートリアルデータの章番号に対してスキップバイト数及び再生バイト数を対応付けている。スキップバイト数は、チュートリアルデータ1の先頭からどれだけスキップすれば、各チュートリアルデータの先頭に移動できるかを示すものである。例えば、nが11であった場合、チュートリアルデータの先頭から960000バイトスキップする指示を出せば、番号11のチュートリアルデータの先頭に移動できる。また、各チュートリアルデータの再生時間を再生バイト数で指定する。なお、この再生時間は、図9に示すようにチュートリアルデータ番号ごとに変化させることができる。
次いで、CPU1がアプリケーションプログラムに従うことにより操作制御部301において実行されるチュートリアルスキップ処理について説明する。図10は、チュートリアルスキップ処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図10においては、現在位置より後方のチュートリアルデータにスキップする処理例を示す。なお、チュートリアルスキップ処理は、「非視覚モード」に設定されており、再生/停止キー207の押下によってチュートリアルデータが再生中であることが前提である。
図10に示すように、ステップS1では、操作部104の早送りキー208に対するキー押下時間が所定時間持続しているか否かを判断する。ここでは、例えば1秒間キー押下が持続しているか否かを判断する。
早送りキー208に対するキー押下時間が所定時間持続していると判断すると(ステップS1のYes)、ステップS2に進み、カウンタtを“0”にセットするとともに、現時点において音声出力部308で再生の対象となっているチュートリアルデータの章番号nを取得する。
続くステップS3では、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nからオフセットm(m=(n−1)/S)を求める。本実施の形態においては、スキップするデータ数の単位を10とするので、スキップ単位Sは10となる。オフセットmは整数演算で求めるため、具体的には、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nが“5”の場合には、オフセットmは“0”である。
続くステップS4では、カウンタtに“1”を加えるとともに、スキップ後に再生の対象となるチュートリアルデータ番号nを求めなおす(n=(m+t)*S+1)。具体的には、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nが“5”の場合には、スキップ後に再生の対象となるチュートリアルデータ番号nは、
n=(0+1)*10+1=11
となる。
その後、ステップS4で求めたチュートリアルデータの章番号nが最終のチュートリアルデータの章番号Nを超えたか否かを判断する(ステップS5)。
ステップS4で求めたチュートリアルデータの章番号nが最終のチュートリアルデータの章番号Nを超えた場合には(ステップS5のNo)、処理を終了する。一方、ステップS4で求めたチュートリアルデータの章番号nが最終のチュートリアルデータの章番号N以下の場合には(ステップS5のYes)、ステップS6に進む。
ステップS6では、ステップS4で求めた章番号nのチュートリアルデータの先頭へ再生位置を移動する。ここで、ステップS4で求めた章番号nのチュートリアルデータに移動するためには、図9に示す参照表を利用して章番号nに対応するスキップバイト数を参照すればよい。ここに、情報スキップ手段の機能が実行される。
次いで、ステップS4で求めた章番号nのチュートリアルデータの所定時間再生を音声出力部308に指示する(ステップS7:音声出力手段)。ここで、ステップS4で求めた章番号nのチュートリアルデータを所定時間再生するためには、図9に示す参照表を利用して章番号nに対応する再生バイト数を参照すればよい。例えば、章番号11に対する再生バイト数は16000であるので、音声形式が標本化周波数8000Hz,モノラル,1バイト単位,PCM直線符号であれば、音声出力部308は2秒分データを再生する。
以上のようなステップS4〜S7の処理は、早送りキー208に対するキー押下が終了したと判断されるまで(ステップS8のYes)、繰り返される。
早送りキー208に対するキー押下が終了したと判断された場合には(ステップS8のYes)、スキップ処理が終了され、再生/停止キー207が再度押下されるまで、チュートリアルデータが再生される。
例として、章番号1のチュートリアルデータを再生中であり、スキップ単位Sが10である場合を考える。この時、利用者が早送りキー208の押下を持続すると、章番号11の先頭から16000バイト(2秒間)音声が再生され、早送りキー208の押下中は21,31,41,…とデータをスキップしながら再生が行われる。
また、本装置は非常に短時間だけ早送りキー208を押下することにより、1つ先のデータ番号の先頭に移動するという、よく知られた機能と組み合わせることができるので、上述のスキップ処理と組み合わせて使用することにより、利用者の所望する章に素早く移動することができる。すなわち、チュートリアルデータの先頭には章番号が音声で記録されているので、利用者が移動したい章番号を知っていることを条件として、上述した処理によって所望のデータ番号に素早く近づくことができる。このように、利用者が所望する内容を素早く探し当てて聞くことができるので、音声操作支援装置の操作性を向上させることができる。
さらに、スキップ処理中に再生する時間を可変にしたことにより、チュートリアルデータの先頭に記録しておく内容を数字以外の他の内容にも拡張することができる。例えば、数字ではなく、章題をチュートリアルデータの先頭に記録して現在位置の確認を行わせることを考える。この場合、章題は各チュートリアルデータの説明項目により、短いものから長いものまでさまざまになることが予想される。この題名の音声時間長に合わせて各チュートリアルデータの再生バイト数を設定しておけば、スキップ時の再生時間を過不足なく調整できるので、利用者への了解性をさらに向上させることができる。
なお、図10においては、現在位置より後方のチュートリアルデータにスキップする処理例を示したが、現在位置より前方のチュートリアルデータにスキップすることができるのは言うまでもない。図11は、チュートリアルスキップ処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、ステップS11では、操作部104の巻戻しキー209に対するキー押下時間が所定時間持続しているか否かを判断する。ここでは、例えば1秒間キー押下が持続しているか否かを判断する。
巻戻しキー209に対するキー押下時間が所定時間持続していると判断すると(ステップS11のYes)、ステップS12に進み、カウンタtを“0”にセットするとともに、現時点において音声出力部308で再生の対象となっているチュートリアルデータの章番号nを取得する。
続くステップS13では、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nからオフセットm(m=(n−1)/S)を求める。本実施の形態においては、スキップするデータ数の単位を10とするので、スキップ単位Sは10となる。具体的には、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nが“33”の場合には、オフセットmは“3”である。
続くステップS14では、スキップ後に再生の対象となるチュートリアルデータ番号nを求めなおす(n=(m−t)*S+1)。その後、カウンタtに“1”を加える。具体的には、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nが“33”の場合には、スキップ後に再生の対象となるチュートリアルデータ番号nは、
n=(3−0)*10+1=31
となる。
その後、ステップS14で求めたチュートリアルデータの章番号nが“0”より大きいか否かを判断する(ステップS15)。
ステップS14で求めたチュートリアルデータの章番号nが“0”以下である場合には(ステップS15のNo)、処理を終了する。一方、ステップS14で求めたチュートリアルデータの章番号nが“0”より大きい場合には(ステップS15のYes)、ステップS16に進む。
ステップS16では、ステップS14で求めた章番号nのチュートリアルデータの先頭へ再生位置を移動する。ここで、ステップS14で求めた章番号nのチュートリアルデータに移動するためには、図9に示す参照表を利用して章番号nに対応するスキップバイト数を参照すればよい。ここに、情報スキップ手段の機能が実行される。
次いで、ステップS14で求めた章番号nのチュートリアルデータの所定時間再生を音声出力部308に指示する(ステップS17:音声出力手段)。ここで、ステップS14で求めた章番号nのチュートリアルデータを所定時間再生するためには、図9に示す参照表を利用して章番号nに対応する再生バイト数を参照すればよい。
以上のようなステップS14〜S17の処理は、巻戻しキー209に対するキー押下が終了したと判断されるまで(ステップS18のYes)、繰り返される。
巻戻しキー209に対するキー押下が終了したと判断された場合には(ステップS18のYes)、スキップ処理が終了され、再生/停止キー207が再度押下されるまで、チュートリアルデータが再生される。
例として、章番号41のチュートリアルデータを再生中であり、スキップ単位Sが10である場合を考える。この時、利用者が巻戻しキー209の押下を持続すると、章番号31の先頭から8000バイト(1秒間)音声が再生され、巻戻しキー209の押下中はは21,11,…とデータをスキップしながら再生が行われる。
なお、以上に述べた処理では、10個のデータごとにスキップしているが、本発明の構成によれば、スキップデータ単位Sを任意に設定できることはいうまでもない。
このように本実施の形態によれば、チュートリアルデータを音声で提供している際に、チュートリアルデータの早送り又は巻戻しであるスキップの宣言を受け付けた場合に、現在提供中のチュートリアルデータから後方又は前方に位置するチュートリアルデータの提供を指示し、音出力装置109に対して音声出力することにより、所望する操作説明を容易に探し出して聞くことができるようになるので、視覚障害者等の利用者に負担をかけることなく操作を習得させることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を図12ないし図14に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第1の実施の形態では、全てのチュートリアルデータが1つのファイルとして扱われていたが、本実施の形態は、スキップ時に再生する音声データを格納するファイルを、図8に示すファイルとは別の複数のファイルで構成して、第1の実施の形態と同様の処理を実現するようにしたものである。
ここで、図12は複数の再生指示ファイルの構成例を示す説明図である。図12に示すように、再生指示ファイル番号は、第1の実施の形態のチュートリアルデータの章番号と対応し、スキップ時に利用者が確認するためのチュートリアルデータの章番号あるいは章題などを音声データとしてファイルにしておく。
図13は、チュートリアルスキップ処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図13においては、現在位置より後方のチュートリアルデータにスキップする処理例を示す。なお、第1の実施の形態と同様にチュートリアルスキップ処理は、「非視覚モード」に設定されており、再生/停止キー207の押下によってチュートリアルデータが再生中であることが前提である。
図13に示すように、ステップS21では、操作部104の早送りキー208に対するキー押下時間が所定時間持続しているか否かを判断する。ここでは、例えば1秒間キー押下が持続しているか否かを判断する。
早送りキー208に対するキー押下時間が所定時間持続していると判断すると(ステップS21のYes)、ステップS22に進み、カウンタtを“0”にセットするとともに、現時点において音声出力部308で再生の対象となっているチュートリアルデータの章番号nを取得する。
続くステップS23では、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nからオフセットm(m=(n−1)/S)を求める。本実施の形態においては、スキップするデータ数の単位を10とするので、スキップ単位Sは10となる。オフセットmは整数演算で求めるため、具体的には、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nが“5”の場合には、オフセットmは“0”である。
続くステップS24では、カウンタtに“1”を加えるとともに、スキップ後に再生の対象となるチュートリアルデータ番号nを求めなおす(n=(m+t)*S+1)。具体的には、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nが“5”の場合には、スキップ後に再生の対象となるチュートリアルデータ番号nは、
n=(0+1)*10+1=11
となる。
その後、ステップS24で求めたチュートリアルデータの章番号nが最終のチュートリアルデータの章番号Nを超えたか否かを判断する(ステップS25)。
ステップS24で求めたチュートリアルデータの章番号nが最終のチュートリアルデータの章番号Nを超えた場合には(ステップS25のNo)、処理を終了する。一方、ステップS4で求めたチュートリアルデータの章番号nが最終のチュートリアルデータの章番号N以下の場合には(ステップS25のYes)、ステップS26に進む。
ステップS26では、ステップS4で求めた章番号nのチュートリアルデータに対応する再生指示ファイルnの全データの再生を音声出力部308に指示する。ここに、情報スキップ手段及び音声出力手段の機能が実行される。
以上のようなステップS24〜S26の処理は、早送りキー208に対するキー押下が終了したと判断されるまで(ステップS27のYes)、繰り返される。
早送りキー208に対するキー押下が終了したと判断された場合には(ステップS27のYes)、スキップ処理が終了され、再生/停止キー207が再度押下されるまで、チュートリアルデータが再生される。
また、本装置は非常に短時間だけ早送りキー208を押下することにより、1つ先のデータ番号の先頭に移動するという、よく知られた機能と組み合わせることができるので、上述のスキップ処理と組み合わせて使用することにより、利用者の所望する章に素早く移動することができる。すなわち、再生指示ファイルnには利用者が確認するためのチュートリアルデータの章番号あるいは章題などが音声で記録されているので、利用者が移動したい章番号を知っていることを条件として、上述した処理によって所望のデータ番号に素早く近づくことができる。このように、利用者が所望する内容を素早く探し当てて聞くことができるので、音声操作支援装置の操作性を向上させることができる。
なお、図13においては、現在位置より後方のチュートリアルデータにスキップする処理例を示したが、現在位置より前方のチュートリアルデータにスキップすることができるのは言うまでもない。図14は、チュートリアルスキップ処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。図14に示すように、ステップS31では、操作部104の巻戻しキー209に対するキー押下時間が所定時間持続しているか否かを判断する。ここでは、例えば1秒間キー押下が持続しているか否かを判断する。
巻戻しキー209に対するキー押下時間が所定時間持続していると判断すると(ステップS31のYes)、ステップS32に進み、カウンタtを“0”にセットするとともに、現時点において音声出力部308で再生の対象となっているチュートリアルデータの章番号nを取得する。
続くステップS33では、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nからオフセットm(m=(n−1)/S)を求める。本実施の形態においては、スキップするデータ数の単位を10とするので、スキップ単位Sは10となる。具体的には、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nが“33”の場合には、オフセットmは“3”である。
続くステップS34では、スキップ後に再生の対象となるチュートリアルデータ番号nを求めなおす(n=(m−t)*S+1)。その後,カウンタtに“1”を加える。具体的には、現時点におけるチュートリアルデータの章番号nが“33”の場合には、スキップ後に再生の対象となるチュートリアルデータ番号nは、
n=(3−0)*10+1=31
となる。
その後、ステップS34で求めたチュートリアルデータの章番号nが“0”より大きいか否かを判断する(ステップS35)。
ステップS34で求めたチュートリアルデータの章番号nが“0”以下である場合には(ステップS35のNo)、処理を終了する。一方、ステップS34で求めたチュートリアルデータの章番号nが“0”より大きい場合には(ステップS35のYes)、ステップS36に進む。
ステップS36では、ステップS34で求めた章番号nのチュートリアルデータに対応する再生指示ファイルnの全データの再生を音声出力部308に指示する。ここに、情報スキップ手段及び音声出力手段の機能が実行される。
以上のようなステップS34〜S36の処理は、巻戻しキー209に対するキー押下が終了したと判断されるまで(ステップS37のYes)、繰り返される。
巻戻しキー209に対するキー押下が終了したと判断された場合には(ステップS37のYes)、スキップ処理が終了され、再生/停止キー207が再度押下されるまで、チュートリアルデータが再生される。
なお、音声出力部308は操作制御部301の指示に従って録音されている音声データを再生するが、テキスト音声合成の機能をさらに備えることにより、装置に音声データを保存することなく、上記の機能を実現することもできる。この場合、図12に示す再生指示ファイルを音声データではなく録音の発声内容(例えば「操作支援の聞き方」)をテキストで保存しておく。そして、上記のステップS26又はS36の処理において、再生指示ファイルの再生が指示されると、音声出力部308は再生指示ファイルのテキストの内容を解析し、音素や音節単位に変換する(例えば「そーさしえんのききかた」)。その後、変換された単位の音声素片データを用いて音声波形を合成し、音声として出力する。以上のようにテキスト音声合成の機能を有していれば、録音作業が不要になるため、製作コストを抑えることができる。また、再生指示ファイルの内容を後日変更する場合でも、テキストの書き換えだけで済み、新たに録音することもないので、保守性もよい。
さらに、再生指示ファイルだけでなく、全てのチュートリアルデータに関わるファイルをテキストで保存し、全ての音声をテキスト音声合成により出力することも可能である。この方法によれば、上記利点に加えて、さらに格段に記憶容量を節約できる装置を実現できる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を図15に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態または第2の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
図15は、チュートリアルスキップ処理に対するキー割り当ての別の例を示す平面図である。図15は、前述した図2に比べてチュートリアルスキップ処理に割り当てるキーの数を増やしたものである。このキー割り当てによれば、前方/後方にスキップ処理できるだけでなく、スキップ単位Sを変更する機能も割り当てることができる。例えば、早送りキー208,第2早送りキー210を押下したとき、スキップ単位SをそれぞれS=10,S=20に設定することにより、第2早送りキー210を押した時は、早送りキー208を押下した時より、速く後方へスキップできる。同様に巻戻しキー209、第2巻戻しキー211を押下したとき、スキップ単位SをS=10,S=20に設定することにより、第2巻戻しキー211を押した時は、巻戻しキー209を押下した時より、速く前方へスキップできる。
なお、図15に示すようにチュートリアルスキップ処理に割り当てるキーの数を増やすのではなく、図2に示すキーを組み合わせて押下することにより、スキップ単位を変更するようにしても良い。例えば、後方スキップの処理を行う場合、早送りキー208と再生/停止キー207とが同時に押下されている場合には、スキップ単位をS=20として処理することにより、スキップ幅を切り替える。同様に前方へスキップする場合は、巻戻しキー209と再生/停止キー207とが同時に押下されている場合にも、スキップ単位をS=20として処理することにより、スキップ幅を切り替える。
これにより、早送りキー208や巻戻しキー209を押下して、スキップ処理を行っている時に、さらに再生/停止キー207を押下することにより、さらに速く後方あるいは前方へスキップできるようになる。上記実施例では、キーの同時押下により、より速くスキップする例を述べたが、より遅いスキップ処理が可能であることは、以上に述べた処理により明らかである。
また、キー押下の持続時間を判定することにより、スキップ単位を可変にすることも可能である。例えば、早送りキー208や巻戻しキー209の押下の持続時間が1秒経過したら、スキップ単位S=5としてスキップ処理を行う。その後、経過時間を5秒おきに監視し、持続時間が5秒増えるたびにスキップ単位もS=10,S=20,…というように増やす。この処理によれば、利用者が早送りキー208や巻戻しキー209を長い間押しつづけることにより、後方/前方にスキップする速さを加速できる。
なお、以上の処理は、徐々にスキップを速くする例であったが、徐々に遅くする処理が実現できることは、上記の処理でスキップ単位の数値を変更できることから明らかである。
このように本実施の形態によれば、スキップ宣言受付手段として機能する早送りキー208や巻戻しキー209毎にスキップ単位を割り当てることによりスキップ単位を決定するようにしたことにより、スキップ幅を容易に切り替えることができる。
また、スキップ宣言受付手段として機能する早送りキー208や巻戻しキー209と再生/停止キー207の組み合わせに応じてスキップ単位を決定するようにしたことにより、スキップ幅を容易に切り替えることができる。
また、スキップ宣言受付手段として機能する早送りキー208や巻戻しキー209に対する連続操作時間に応じてスキップ単位を決定するようにしたことにより、スキップ幅を容易に切り替えることができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態を図16に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第1の実施の形態ないし第3の実施の形態においては、早送りキー208や巻戻しキー209の押下によりスキップ処理とスキップ単位とを制御するようにしたが、接触式の入力デバイスである操作部104のタッチパネル104aをスキップ宣言受付手段として用いることもできる。
図16は、操作部104のタッチパネル104aの接触エリアに割り当てられるスキップ処理およびスキップ単位を示す説明図である。本実施の形態のタッチパネル104aは、利用者の指などが接触している領域(座標)を検知してその領域に応じてスキップ処理およびスキップ単位を切り替える。図16に示される基準位置から左右の方向にある領域をそれぞれ、前方と後方のスキップエリアに割り当てる。前方/後方スキップエリアの接触時間が所定の時間だけ持続していれば、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態で述べた方法により前方/後方のスキップの処理を開始する。各スキップエリアは、さらに1〜3までのエリアに細分化されており、それぞれのスキップ単位を例えばS=5,10,20のように割り当てておく。もし、接触を持続したまま、後方エリア1の領域を検知していれば、スキップ単位5で後方スキップ処理を行う。さらに接触を持続したまま、後方エリア3の領域に接触点を移動すれば、スキップ単位はS=20となり、以前よりも速くスキップ処理を行う。以上の方法では、スキップする方向やスキップ幅をタッチパネル104aの接触点の移動により、切り替えることができる。
このように本実施の形態によれば、スキップ宣言受付手段として機能するタッチパネル104aの接触エリアの領域に応じてスキップ単位を決定するようにしたことにより、スキップ幅を容易に切り替えることができる。