JP4520006B2 - 釣り糸長計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り糸長計測装置に関し、詳しくは、釣り用リールから繰り出され又は巻き取られる道糸の長さを計測するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に海釣りでは、釣りたい魚の生息水深(タナという)に仕掛けを投入することが重要とされているが、適当に道糸を繰り出しても正確にタナを狙うことができないため、今日においては、水深表示機能付きのリールや、マーキングされた道糸(後述)が用いられるようになってきた。
【0003】
水深表示機能付きの釣り用リールとしては、たとえば、特開平2−107908号公報に記載のものなど様々知られているが、いずれの公知技術も、要するに、道糸を巻き取るスプールの直径をSとし、道糸の繰り出し(又は巻き取り;以下特に断りのない限り「繰り出し」で説明する。)の際のスプール回転数をNとしたときに、繰り出し量Xを、概算であるが、次式(1)で求めることができるという原理に基づくものである。
【0004】
X=S・N・π ‥‥(1)
ただし、πは円周率(約3.14)である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、糸長計測機能を備えた従来の釣り用リールにあっては、いずれも、スプールの回転数に基づいて糸長を間接的に計測するものであり、たとえば、スプールの実際の糸巻き厚みや道糸に作用する張力などを検出して補正を行わない限り、その計測値は、だいたいの糸長を示す概算値にすぎないものであるから、上記補正のための各種検出機構及び補正回路が不可欠であって、釣り用リールの大型化、複雑化を招くという問題点があった。
【0006】
たとえば、図9において、(a)はスプール1から道糸2をすべて繰り出したときの空巻き状態であり、この空巻き状態では上式(1)が成立するものの、スプール1上に道糸2が残っている状態、たとえば、同図(b)に示すようにMaなる糸巻き厚みが残っている中巻き状態や、同図(c)に示すように、さらに大きいMbなる糸巻き厚みが残っている満巻き状態では、上式(1)は成立せず、それぞれについて、MaやMbを加味し、次式(2)のように補正しなければならない。
【0007】
X=(S+2M*)・N・π ‥‥(2)
ただし、M*はそのときの糸巻き厚み(たとえば、MaやMb)である。
【0008】
上記公報記載のものにおいては、このM*を検出するために、スプールを回転自在に保持するリールボディに糸巻き厚み計測器を取り付けている。この糸巻き厚み計測器は、スプールの外周面に所要の力(道糸の繰り出しや巻き取りに支障のない程度の力)で押しつけられるローラを備え、且つ、このローラを先端に保持するアームの支点をリールボディに揺動可能に取り付けた構造を有しており、この糸巻き厚み計測器は、スプールの糸巻き厚みの変化に応じてアームの揺動角が変化するので、その揺動角を検出することにより、上記M*を計測することができるものであるが、糸巻き厚み計測器それ自体を釣り用リールに一体的に取り付けなければならないから、釣り用リールの大型化、複雑化を免れない。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、長さ方向に所定の周期パターンをもってマーキングされた道糸を用いる場合にはそのマーキングの周期パターンから道糸の繰り出し量又はスプールへの道糸の巻き取り量を検出できることに着目し、スプール回転数の検出手段や糸巻き厚みの計測手段等を具備することなく糸長計測を可能にした計測装置を提供し、以て釣り用リールの大型化、複雑化の解消を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、長さ方向に所定の周期パターンでマーキングされた道糸の繰り出し経路又は巻き取り経路上に配置され、該道糸のマーキングの周期パターンを道糸の長さ方向に所定距離離隔した二つの地点でそれぞれ検出する検出手段と、前記検出手段によって検出されたマーキングの周期パターンの繰り返し数を長さの単位に変換する変換手段と、前記二つの地点における検出値の時間的な前後関係から前記変換手段の出力値が繰り出し量であるか巻き取り量であるかを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を加味しながら前記変換手段の出力を船縁停止位置からの相対長で表示する表示手段と、を備え、前記検出手段は、道糸の長さ方向に所定距離離隔した二つの地点の撮像信号を生成するライン型カラー撮像デバイスと、該ライン型カラー撮像デバイスの読み取り面に対向配置された背景板とを備え、前記背景板は、前記道糸の色と異なる背景色を持ち、且つ、その背景色の一部を前記撮像信号の色補正のための基準色としてあることを特徴とする。
また、請求項1に従属する請求項2記載の発明は、前記ライン型カラー撮像デバイスの撮影方向を照明する光源を有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0012】
図1は、本発明に係る釣り糸長計測装置の使用状態図であり、釣り竿10に取り付けられた釣り用リール11から繰り出される道糸12は、長さ方向に所定の周期パターンをもってマーキング(たとえば、1〔m〕ごとのマーキングなど)されたものである。この道糸12は、釣りを行う際に、釣り竿10の軸上に任意間隔で取り付けられた複数のガイド13に案内されて釣り竿10の先端(先端にもガイドがあるが図では省略している。)から海面14に下ろされる。
【0013】
道糸12には接続金具15を介して魚種に応じた仕掛け16が取り付けられており、この仕掛け16は、仕掛け16の錘17の自重によって海中に没し、道糸12の繰り出し量を調節することによって、目標とする魚の生息水深(タナ)に位置するようになっている。
【0014】
ここで、錘17を海面14に位置させたときのことを「船縁(べり)位置」ということにすると、タナは、船縁位置からの相対的な水深で与えられる。たとえば、海面下X〔m〕のタナを狙う場合は、道糸12をリール11に巻き取った状態から道糸12を繰り出していき、錘17が海面14に着水したとき(船縁位置になったとき)の水深を基準(0〔m〕)とし、その船縁位置からの道糸12の繰り出し量がX〔m〕になったときをもって、目標とするタナ位置へ到達したとする。また、海底を基準としたタナを狙う場合は、一端、錘17を海底に着底させて、その着底位置からの道糸12の巻き取り量を計測することにより、たとえば、海底よりもY〔m〕上に位置するタナを狙うこともできる。
【0015】
本実施の形態においては、さらに、釣り竿10に釣り糸長計測装置18が取り付けられており、この釣り糸長計測装置18は、長さ方向に所定の周期パターンをもってマーキングされた道糸を用いる場合にはそのマーキングの周期パターンから道糸の繰り出し量又はスプールへの道糸の巻き取り量を検出できることに着目して構成された特有の仕組みを有しており、本発明のポイントとなる構成要素である。
【0016】
すなわち、釣り糸長計測装置18は、具体的な説明は後述するが、道糸12のマーキングの周期パターンから道糸の繰り出し量又はスプールへの道糸の巻き取り量を計測する手段や、その計測値を釣り人に表示する手段などを備えており、釣り竿10における釣り糸長計測装置18の取り付け位置は、道糸12のマーキングを検出でき、且つ、道糸12の移動を阻害しない(余計な張力や抵抗などを与えない。)適当な位置であればよく、たとえば、図示のようにリール11の前方(釣り竿10の先端側を前とする。)に位置させてもよい。
【0017】
図2は、本実施の形態における釣り糸長計測装置18の取り付け位置図(a)、上面図(b)及び側面図(c)であり、釣り糸長計測装置18は、上記のとおりの適当な位置、すなわち、道糸12の移動経路上であって、且つ、道糸12の移動を阻害しないリール11の前方に取り付けられている。
【0018】
釣り糸長計測装置18は、金具24a、24bによって釣り竿10に固定されたケース24の内部に電子回路25を実装するとともに、そのケース24の表面に平板状(図では便宜的に矩形平板状)の背景板21を取り付け、さらに、背景板21との間に、所定の隙間を開けて一対のライン型カラー撮像デバイス22、23(検出手段)を取り付けて構成されている。この電子回路25には、信号ケーブル26を介して船縁位置設定スイッチ27や道糸送出量表示装置28(表示手段)などが接続されており、これらの船縁位置設定スイッチ27や道糸送出量表示装置28の取り付け位置は、操作性や可読性を考慮した適切な位置、たとえば、釣り竿10の軸上やリール11のボディ上などである。
【0019】
背景板21は、その一辺(図では長辺)方向を釣り竿10の軸方向に平行して取り付けられており、背景板21とライン型カラー撮像デバイス22、23との間隙に非接触で道糸12が通されるようになっている。ライン型カラー撮像デバイス22、23は、たとえば、カラーCCD(Charge Coupled Device)を用いたラインセンサであり、各々を第1CCD22、第2CCD23と称することにすると、第1及び第2CCD22、23は、共に、道糸12と直交し、且つ、互いに所定距離L隔てて平行に配置されており、背景板21の他辺(図では短辺)方向のカラー画像を撮像してその撮像信号(スキャン信号ともいう。)を出力するものである。
【0020】
背景板21の板面(第1及び第2CCD22、23との対向面)は、光の反射を阻止する適当な色(無彩色、望ましくは無光沢の黒色)に塗られている(塗布に限らず、当該色のシール貼付あるいは背景板21の素材色であってもよい。)が、当該板面の一部(道糸12の通過部分に該当しない一部)については、第1及び第2CCD22、23の色補正や露光補正を行うための基準色パターン(たとえば、光の三原色に相当する赤色パターン21a、青色パターン21b、緑色パターン21c)が着色ないしはシール張り付け等の手法により設けられている。
【0021】
図3は、釣り糸長計測装置18の電気的なブロック構成図である。電子回路25は、第1及び第2CCD22、23のうちの一方(図では第1CCD22。)を駆動する第1CCDドライバ31、第1CCD22からの画像信号を波形整形して出力する第1波形整形回路32、第1波形整形回路32からの信号をディジタル信号に変換する第1A/D(アナログ/ディジタル変換器)33を備えるとともに、第1及び第2CCD22、23のうちの他方(図では第2CCD23。)を駆動する第2CCDドライバ34、第2CCD23からの画像信号を波形整形して出力する第2波形整形回路35、第2波形整形回路35からの信号をディジタル信号に変換する第2A/D36などを備え、さらに、第1A/D33および第2A/D36の出力信号や船縁停止位置設定スイッチ27などからの設定信号に基づいて、道糸12の繰り出し量又は巻き取り量を計測し、その計測結果を道糸送出量表示装置28に出力したり、所要の警報信号をブザー38に出力したりする制御部37(検出手段、変換手段、判定手段)を備える。
【0022】
制御部37は、たとえば、図4に示すように、CPU41を備え、このCPU41にバス42を介してプログラムメモリ43やワークメモリ44、データメモリ45及び入出力部46などを接続して構成されており、プログラムメモリ43にあらかじめ格納された制御プログラムをワークメモリ44にロードしてCPU41で実行することによって所要の制御機能を実現する、いわゆるプログラム制御型の制御ブロックである。
【0023】
本実施の形態における制御機能は、長さ方向に所定の周期パターンをもってマーキングされた道糸12を用いる場合には、そのマーキングの周期パターンから道糸12の繰り出し量又はスプール11への道糸12の巻き取り量を検出できることに着目し、スプール回転数の検出手段や糸巻き厚みの計測手段等を具備することなく糸長計測を可能にした計測方法及び計測装置を提供するために、第1A/D33および第2A/D36の出力信号や船縁停止位置設定スイッチ27などからの信号に基づく道糸12の繰り出し量又は巻き取り量の計測処理や、その計測結果の道糸送出量表示装置28への出力処理、並びにその他の付加処理等を行うというものであり、以下、その制御機能の詳細について説明する。
【0024】
まず、本実施の形態では、道糸12について、その長さ方向に所定の周期パターンをもってマーキングされたものが不可欠であるため、この道糸12について説明する。
【0025】
図5は、道糸12を示す一例の全体図であり、ここでは、特に着色マーキングが施されたもの(図では便宜的にn色染めと呼ばれる道糸)を例示するが、これに限定されない。図5において、道糸12は、第1色区間から第n色区間までの異なる色区間を一つのセットにして、そのセットを道糸12の全長にわたって繰り返している。ここで、区間長をK〔m〕とすると、一つのセット長はK×n〔m〕となり、5色染めの場合はn=5となるから、たとえば、K=10〔m〕とし、道糸12の全長を500〔m〕とすると、道糸12の全体では、第1色区間から第5色区間までのセットが500÷K×n=500÷50=10、すなわち、10回繰り返されることとなる。ただし、この回数は、道糸10の途中切断や他の道糸との繋ぎ合わせがある場合に適用されないことはもちろんである。
【0026】
図6は、道糸12の要部詳細図であり、上記の第1色区間から第5色区間までのセット部分の詳細図である。以下、説明の便宜上、区間長(K)を10〔m〕とすることにする。図において、各区間の色は、たとえば、「橙色」、「青色」、「緑色」、「茶色」及び「紫色」であり、この区間色(着色マーキング)は10〔m〕ごとの周期パターンを持っており、また、上述のとおり、第1色区間から第5色区間までの繰り返しは50〔m〕ごとの周期パターンを持っている。さらに、道糸12は、各区間内で所定間隔(一般に1〔m〕)ごとに設けられた微少な無染色(道糸12の素材色;白色)のマーキングMを有しており、当該マーキングMの間隔(1〔m〕)ごとの周期パターンも持っている。また、図示の道糸12は、各区間内の中間位置(K=10〔m〕の場合は5〔m〕の位置)ごとに上記マーキングMを他と異ならせた(図では無染色部分を二重にしている)特異マーキングMzを有しており、この特異マーキングMz(5〔m〕)ごとの周期パターンも持っている。
【0027】
以上のことを整理すると、図示の道糸12は、1〔m〕(マーキングM)、5〔m〕(特異マーキングMz)、10〔m〕(着色マーキング)及び50〔m〕(着色マーキング)ごとにそれぞれ繰り返される周期パターンを、その長さ方向に持っているものである。
【0028】
本実施の形態における釣り糸長計測装置18は、道糸12のかかるマーキングの周期パターンを光学的に検出すると共に、その検出結果に基づいて、(イ)道糸12の移動量を計測し、(ロ)その移動方向(リール11からの道糸12の繰り出し又はリール11への道糸12の巻き取り)を判定し、(ハ)船縁位置設定に応答して上記移動量計測値をリセットし、(ニ)上記移動方向と船縁位置設定を加味して上記移動量計測値を補正し、(ホ)補正後の計測値を表示して釣り人に提示する、という本実施の形態にとって欠くことのできない基本的な糸長計測処理を実行するほか、後述するように、(ヘ)道糸12の移動速度を計測して釣り人に提示したり、(ト)好ましくない道糸の結び目を検出した場合にその旨を釣り人に警告したりする等の付加的処理を実行する。
【0029】
以下、各処理機能について説明する。
<基本処理機能>
(イ)道糸の移動量計測
道糸の移動量計測は、上記のとおり、道糸12のマーキングの周期パターンを利用して行うことができるが、その計測はいくつかの手法に分けることができる。まず、第一は、道糸12のマーキングMや特異マーキングMzの周期性に着目する計測手法である。この手法では、道糸12のマーキングMや特異マーキングMzを検出してカウントし、そのカウント値に基づいて道糸12の移動量を計測するというものであり、カウント値とマーキングMや特異マーキングMzの繰り返し周期長(上記例示では1〔m〕、5〔m〕)との乗算値を移動量計測値とするものである。
【0030】
この方法によれば、道糸12のマーキングMや特異マーキングMzの繰り返し周期長(上記例示では1〔m〕、5〔m〕)単位の移動量計測結果を得ることができる。なお、この第一の方法では、道糸12のマーキングMや特異マーキングMz(すなわち、無染色部分)を検出すればよく、各色区間の色情報を必要としないため、第一の方法に着目する限りにおいては、第1CCD22や第2CCD23はカラー撮像デバイスに限定されず、モノクロのライン型撮像デバイスであっても構わないが、以下の第二の方法を併用する場合や、後述の付加的処理を行う場合には、第1CCD22や第2CCD23はカラー撮像デバイスでなければならない。
【0031】
次に、第二の方法は、各色区間の色情報を必要とする方法であり、道糸12の着色マーキングの周期性に着目する計測手法である。この手法では、道糸12の色情報の変化部分(色区間の移り変わり部分)を検出してカウントし、そのカウント値に基づいて道糸12の移動量を計測するというものであり、カウント値と区間長K(上記例示では10〔m〕)との乗算値を移動量計測値とすることができるものである。この方法によれば、道糸12の区間長K(上記例示では10〔m〕)単位の移動量計測結果を得ることができる。また、この第二の方法では、道糸12の着色マーキングの1セット(第1色区間〜台n色区間の1セット)の周期パターンを検出することにより、道糸12のセット長(上記例示では50〔m〕)単位の移動量計測結果も得ることができる。
【0032】
したがって、以上の第一の方法と第二の方法を併用することにより、道糸12の移動量を1〔m〕単位で計測できると共に、5〔m〕、10〔m〕及び50〔m〕単位でも計測することができる。
【0033】
(ロ)道糸の移動方向判定
次に、道糸12の移動の方向は、以下のようにして判定することができる。本実施の形態における釣り糸長計測装置18は、道糸12の長さ方向に所定距離Lだけ離隔した二つのライン型カラー撮像デバイス(第1CCD22及び第2CCD23)を備える。今、一方の撮像デバイスによって道糸12のマーキングMや特異マーキングMzが検出され、その直後に他方の撮像デバイスによっても同一のものが検出された場合を想定する。たとえば、一方の撮像デバイスを第1CCD22、他方の撮像デバイスを第2CCD23とすると、リール11から見て、第1CCD22は遠くに位置し、第2CCD23は近くに位置しているから、この場合、道糸12はリール11に向かって移動していることとなり、リール11への巻き取りであることが判定できる。その逆に、一方の撮像デバイスを第2CCD23、他方の撮像デバイスを第1CCD22とすると、この場合、道糸12はリール11から遠ざかる方向へ移動していることとなり、リール11からの繰り出しであることが判定できる。
【0034】
(ハ)船縁位置設定
冒頭で説明したとおり、船縁停止位置とは、錘17を海面14に位置させたときのことであり、その位置を基準(0〔m〕)として水深を表示するものであるから、釣り人は、道糸12を繰り出し(又は巻き取り)、錘17を海面14に位置させたときに、船縁停止位置設定スイッチ27を操作することになる。この操作信号は、釣り糸長計測装置18の制御部37に取り込まれ、制御部37において、上記(イ)で計測した道糸の移動量積算値のリセットに用いられる。すなわち、船縁停止位置設定スイッチ27を操作すると、上記(イ)で計測した道糸の移動量積算値が基準値(0〔m〕)にリセットされ、以降、道糸12の繰り出しや巻き戻しに伴って、その移動量が計測積算されていくことになる。
【0035】
(ニ)糸長計測
この糸長計測処理では、上記の道糸移動量の積算処理や、船縁停止位置設定スイッチ27の操作に伴う積算値リセット処理などを行うと共に、その積算値から所定のフォーマットの水深表示用文字列を生成することを行う。
【0036】
(ホ)糸長計測値の表示
上記の水深表示用文字列を道糸送出量表示装置28に出力し、釣り人に対して水深情報を視覚化して表示する。なお、水深表示用文字列は、現在の糸長(船縁設定位置からの水深)情報だけでなく、その他の有益情報を含めてもよい。たとえば、以下に述べる道糸の移動速度情報や、巻き取り完了予測時間、道糸の結び目検出情報などを含めてもよい。
【0037】
<付加処理機能>
(ヘ)道糸の移動速度計測と提示
釣り人に提示する情報は現在の糸長(船縁停止位置からの水深)だけでなく、その他の情報、たとえば、道糸の移動速度情報や巻き取り完了残り時間も提示できることが望ましい。道糸の移動速度および巻き取り完了残り時間は、以下のようにして計測することができる。
【0038】
今、第1CCD22によって時点Taで道糸12のマーキングMや特異マーキングMzが検出され、このマーキングの隣に位置するマーキングが第1CCD22により時点Tbにおいて検出されたと想定する。マーキングや特異マーキングMzの間隔は1〔m〕であるから、TaとTbの時間差をΔT〔秒〕とすると、この場合の道糸12の移動速度Fは、
F=1/ΔT〔m/秒〕 ‥‥(3)
で与えられ、毎分あたりの速度に直すと、60Fとなる。この速度計測値を、上記(ホ)の糸長計測値の表示処理に渡し、道糸の糸長に付加して表示すればよい。また、現在の糸長が X〔m〕で、巻き取り方向だった場合、巻き取り完了残り時間Zは、
Z=X/F〔秒〕 ‥‥(4)
で予測することができる。これらのFやZは、マーキングMや特異マーキングMzが通過する毎に更新される。
【0039】
(ト)道糸の結び目検出と警告
一般に船釣りなどのように釣り人が密集する場合、しばしば隣の人と道糸の絡みが発生する。このような場合、絡みを解きほぐす努力をするものの、解除が困難なときは道糸の絡み部分を切断して破棄し、残った部分を繋ぎ合わせる処置を講じる。このような繋ぎ合わせ処置は、道糸12における前述の周期パターンを崩す要因となり、とりわけ、目視で道糸12の色の変化を見ながら水深を判断する場合の判断ミスを引き起こす原因となる。
【0040】
これは、本実施の形態における釣り糸長計測装置18は、少なくとも、道糸12のマーキングMの間隔に相当する1〔m〕単位の正確さで糸長の計測を行うことができ、その計測値を表示できるものであるが、多くの釣り人は海面などを凝視し、せっかくの計測表示に注意を払わないために、たとえば、ある色区間をY〔m〕切断してその両端を繋ぎ合わせたとすると、目視のみでは当該色区間がY〔m〕短くなったことに気がつかず、Y〔m〕の誤差のままタナを狙うことになるからである。
【0041】
このような場合、何らかの警告を発して、釣り人に計測値を強制的に視認させるようにすればよい。本実施の形態における釣り糸長計測装置18は、不適当な結び目を検出できるようにすると共に、その検出時に釣り人に対して警告を発して計測値を強制的に視認させるようにするために、道糸12の着色マーキングの周期パターンを履歴として記憶する記憶手段を備える。この記憶手段には、切断される前の道糸12の着色マーキングの色並び情報(第1色区間〜第n色区間の色並びの情報)が記憶されるようになっており、この記憶情報とその後に検出された着色マーキングの色並び情報とを比較対照し、不一致が認められた場合に、上述の不適当な結び合わせ処置が講じられた道糸12であると判断して、たとえば、ブザー38を鼓動して釣り人に警告を発するようにしてある。
【0042】
釣り人は、この警告を聞き、目視に頼った水深判断をやめ、道糸送出量表示装置28の表示値を信頼して道糸12の送出量調整を行うようにする。本実施の形態における釣り糸長計測装置18は、前述の第一の計測方法により、道糸12のマーキングMの間隔に相当する1〔m〕単位の正確さで糸長の計測を行うことができ、その計測値を表示できるものであるので、仮に不適当な結び合わせ処置に伴って、Y〔m〕短くなった色区間が存在していたとしても、その色区間の短縮にかかわらず正確に道糸の糸長表示を行うことができるから、釣り人は、この糸長表示に従うことにより、意図したタナを正確に狙うことができるのである。
【0043】
なお、不適当な結び合わせ処置が講じられた道糸12であると判断した場合、道糸送出量表示装置28は、色区間の短縮を無視し、道糸12のマーキングMや特異マーキングMzなどのカウント値に基づく糸長表示のみを行うようにしてもよいが、このようにした場合、道糸12の着色マーキングの周期パターンの実際の見え方と表示値とが対応せず、釣り人に誤解(釣り糸長計測装置18が誤作動していると勘違いする。)を生じさせる恐れを否めないので、道糸送出量表示装置28に、道糸12の着色マーキングの周期パターンに基づく実際の表示値と誤差値とを併記表示、たとえば、道糸12の着色マーキングの周期パターンに基づく実際の表示値を90〔m〕、誤差値を−2〔m〕とすると、“90m(誤差マイナス2m)”などと表示することが好ましい。実際の表示値(90〔m〕)は道糸12の着色マーキングの周期パターンの見え方に一致し、且つ、色区間の短縮量は誤差(−2〔m〕)で表示されるので、上記誤解を生じさせる恐れはなく、直感的な操作が可能になるというメリットがある。
【0044】
図7は、本実施の形態における制御プログラムを説明するためのデータフローダイアグラム図である。この図において、ステップS1及びステップS3では、各々第1CCD22及び第2CCD23からの画像信号(3原色スキャン信号)51、57を取り込み、その信号51、57に基づいて、道糸12の色を判定する。このとき、画像信号51、57に含まれる補正用三原色信号(図2の赤色パターン21a、青色パターン21b及び緑色パターン21cの撮像信号)に基づいて、画像信号51、57に対する色補正(ホワイトバランス補正など)や露光補正を行う。
【0045】
次に、ステップS2及びステップS4では、第1CCD道糸色判定信号52及び第2CCD道糸色判定信号58を取り込み、その信号52、58に基づいて道糸12のマーキングMや特異マーキングMz及び着色マーキングを検出し、第1CCD道糸色変化検出信号53、第2CCD道糸色変化検出信号54を生成すると共に、その道糸色変化検出信号53、54をそれぞれ第1CCD道糸色履歴、第2CCD道糸色履歴として、データメモリ45に記憶する。
【0046】
次に、ステップS5では、第1CCD道糸色変化検出信号61及び第2CCD道糸色変化検出信号62に基づいて、道糸12の移動方向と移動速度を求め、ステップS6では、前述の二つの計測方法により、道糸12の送出量を求める。すなわち、第1CCD道糸色変化検出信号54又は第2CCD道糸変化検出信号60に含まれるマーキングMや特異マーキングMzをカウントし、そのカウント数に、当該マーキングMや特異マーキングMzの繰り返し周期長(前記例示によれば1〔m〕、5〔m〕)を乗じた値を道糸送出量とすると共に、船縁停止位置設定スイッチ27からの設定信号55に応答して、その道糸送出量をリセット可能にする(第一の計測方法に対応)。また、第1CCD道糸色変化検出信号54又は第2CCD道糸色変化検出信号60に含まれる着色マーキング情報に基づいて前記道糸送出量を補正し(第二の計測方法に対応)、さらに、この補正後の道糸送出量に道糸移動方向や移動速度などの情報を付加し、また、道糸結び目の警告情報ないしは誤差情報などを付加して、道糸送出量表示装置28に出力する。
【0047】
次に、ステップS7では、データメモリ45に記憶された第1CCD道糸色履歴又は第2CCD道糸色履歴66を読み出し、実際の道糸色情報64と比較対照して、不一致の場合に、不本意な結び目が検出されたことを示す警告68を結び目検出警報装置(ブザー38)に出力すると共に、不本意な結びが行われた色区間の短縮長情報67を道糸送出量積算ステップ(ステップS6)に出力する。
【0048】
したがって、このデータフローダイアグラムによれば、ステップS2及びステップS4で、道糸12のマーキング周期パターンを検出することができ、ステップS5で、道糸12の移動方向及び移動速度を計測できると共に、ステップS6で、これらの検出情報及び計測情報に基づき、道糸12のリール11からの繰り出し量又は巻き取り量を計測し、道糸送出量表示装置28に出力して表示させることができる。また、ステップS7で、道糸12の結び目を検出して警告等を行うことができる。
【0049】
以上、説明したとおりであるから、本実施の形態では、長さ方向に所定の周期パターンをもってマーキングされた道糸12を用いる場合に、そのマーキングの周期パターンから道糸12の繰り出し量又はスプール11への道糸12の巻き取り量を計測することができ、リール11にスプール回転数検出手段や糸巻き厚みの計測手段等を具備することなく、糸長計測を可能にした計測方法及び計測装置を提供することができる。その結果、リール11の大型化、複雑化を解消できるという冒頭で示した本発明の課題を達成することができる。
【0050】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、その意図する範囲において、様々な変形を含むことはもちろんであり、たとえば、以下のようにしてもよい。
【0051】
上記実施の形態においては、二つのライン型カラー撮像デバイス(第1CCD22及び第2CCD23)を備えているが、これを1個にすることも可能である。
図8はその変形例を示す図であり、この変形例では、道糸12に対して斜めに配置された1個のライン型カラー撮像デバイス22a(検出手段)を備えている。道糸12は、斜めに配置されたライン型カラー撮像デバイス22aのいくつかの画素(図では便宜的にハッチングを付した3個の画素G1〜G3)の下を通るため、道糸12のマーキングをこれらの画素G1〜G3により時間差をもって検出することができるから、前記実施の形態のように、二つのライン型カラー撮像デバイス(第1CCD22及び第2CCD23)を備えた場合と同様に、道糸12の移動方向の判定や移動速度の計測を支障なく行うことができるうえ、ライン型カラー撮像デバイスを1個に減らしてコストダウンを図ることができるという格別なメリットが得られる。
【0052】
また、前記実施の形態における二つのライン型カラー撮像デバイス(第1CCD22及び第2CCD23)や、上記変形例におけるライン型カラー撮像デバイス22aの近くに光源を配置し、夜間等において道糸12を照明するようにすれば、夜釣り対策になるから好ましい。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、スプール回転数の検出手段や糸巻き厚みの計測手段等を具備することなく糸長計測を可能にし、釣り用リールの大型化、複雑化の解消を図りつつ、ライン型カラー撮像デバイスの撮像信号に含まれる基準色部分を用いて、当該撮像信号の色補正等を行うことができ、特に着色マーキングが施された道糸を用いて糸長計測を行う場合の計測精度向上を図ることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、ライン型カラー撮像デバイスの撮影方向を照明する光源を有するので、特に夜釣りの利便性を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る釣り糸長計測装置の使用状態図である。
【図2】本実施の形態における釣り糸長計測装置18の取り付け位置図、上面図及び側面図である。
【図3】釣り糸長計測装置18の電気的なブロック構成図である。
【図4】制御部37の電気的なブロック構成図である。
【図5】道糸12を示す一例の全体図である。
【図6】道糸12の要部詳細図である。
【図7】本実施の形態における制御プログラムを説明するためのデータフローダイアグラム図である。
【図8】実施の形態の変形例を示す図である。
【図9】リールの直径Sとリール上の糸巻き厚みM*との関係を示す図である。
【符号の説明】
M マーキング
Mz 特異マーキング(マーキング)
18 糸長計測装置
21 背景板
22 第1CCD(検出手段)
22a ライン型カラー撮像デバイス(検出手段)
23 第2CCD(検出手段)
28 道糸送出量表示装置(表示手段)
37 制御部(検出手段、変換手段、判定手段)

Claims (2)

  1. 長さ方向に所定の周期パターンでマーキングされた道糸の繰り出し経路又は巻き取り経路上に配置され、該道糸のマーキングの周期パターンを道糸の長さ方向に所定距離離隔した二つの地点でそれぞれ検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出されたマーキングの周期パターンの繰り返し数を長さの単位に変換する変換手段と、
    前記二つの地点における検出値の時間的な前後関係から前記変換手段の出力値が繰り出し量であるか巻き取り量であるかを判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果を加味しながら前記変換手段の出力を船縁停止位置からの相対長で表示する表示手段と、を備え、
    前記検出手段は、
    道糸の長さ方向に所定距離離隔した二つの地点の撮像信号を生成するライン型カラー撮像デバイスと、
    該ライン型カラー撮像デバイスの読み取り面に対向配置された背景板とを備え、
    前記背景板は、
    前記道糸の色と異なる背景色を持ち、
    且つ、その背景色の一部を前記撮像信号の色補正のための基準色としてあることを特徴とする釣り糸長計測装置。
  2. 前記ライン型カラー撮像デバイスの撮影方向を照明する光源を有することを特徴とする請求項1記載の釣り糸長計測装置。
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