JP4519625B2 - 堆積膜形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマCVD法によって各種堆積膜を成膜する堆積膜形成装置に関する。
基材の表面に各種堆積膜を成膜する方法の一つとして、化学蒸着法(CVD法: chemical vapor deposition method)がある。CVD法は、堆積膜の原料となる原料ガスを含む混合気体を加熱した基板上に流し、加水分解や自己分解、光分解、酸化還元、置換などによる反応生成物を基板表面に蒸着させる方法である。
CVD法としては、特許文献1に開示のように、向かい合う2つの電極間に高周波電力を加えることによって生じるグロー放電を利用して反応生成物の蒸着を行う平行平板型プラズマCVD法が一般的である。また、特許文献2では、図6および図7(図6のX−X’断面図)に示すように、板状ワーク22を上下方向に複数枚保持したワーク固定具23(陰極)が成膜炉11(陽極)内にリング状に配置された状態でプラズマ電源を操作して、板状ワーク22を1枚毎にグロー放電させて成膜を行うプラズマCVD法が開示されている。なお、成膜炉11の中心部には、ガスノズル31が位置する。
特許文献2に記載の方法によれば、一回の処理で複数の板状ワークに成膜することができる。ところが、図7に示されている配置で板状ワーク22が固定されていると、1枚の板状ワークにおいて、成膜炉の中心部に近い部分と炉壁に近い部分とでは、陽極(炉壁)からの距離が異なる。その結果、成膜条件によっては、1枚の板状ワークで、成膜炉の中心部に近い部分と炉壁に近い部分とで堆積膜の膜厚に不均一が生じる場合があった。堆積膜の膜厚が目的の膜厚よりも厚い部分では、膜の剥離が生じやすくなる。また、目的の膜厚よりも薄い部分では、膜としての機能を十分に果たすことができない。したがって、膜厚が均一な堆積膜を成膜することは、極めて重要な課題である。
特開平6−256957号公報 特開2004−263292号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、堆積膜の膜厚の不均一を緩和することができる新規な堆積膜形成装置を提供することを目的とする。
本発明の堆積膜形成装置は、直流プラズマCVD法によって導電性のワークの表面に堆積膜を形成する堆積膜形成装置であって、成膜炉と、該成膜炉内に位置し該成膜炉と等電位の陽極部材と、前記ワークを該陽極部材の周りに周方向に保持し、かつ、マイナス極に結線されたワーク保持手段と、処理ガスを供給するガスノズルと、少なくとも前記ワーク保持手段に結線されたプラズマ電源と、を具備することを特徴とする。
前記成膜炉は、円筒形状部を有し、前記陽極部材は、該成膜炉と同軸的に配置された円柱形状の陽極柱であるのが好ましい。
前記ワーク保持手段は、前記ワークの表面から該ワークの表面と対向する前記成膜炉の内面までの距離に対する該ワークの表面と対向する前記陽極部材の外面までの距離の割合が0.55〜1.1となるように配置されるのが好ましい。
なお、「前記ワークの表面から該ワークの表面と対向する前記成膜炉の内面までの距離」とは、堆積膜が形成されるワークの表面と成膜炉の内面との最短距離に相当する。また、「(ワークの表面から)該ワークの表面と対向する前記陽極部材の外面までの距離」とは、堆積膜が形成されるワークの表面と陽極部材の外面との最短距離に相当する。たとえば、ワークが円板状の板状ワークであれば、板状ワークの外周面からその外周面と対向する成膜炉の内面および陽極部材の外面までの最短距離に相当する。
また、前記ワークは、板状の板状ワークであるのが好ましい。この際、前記ワーク保持手段は、厚さ方向に間を隔てた積層状態で複数枚の前記板状ワークを固定する複数個のワーク固定具からなり、複数個の該ワーク固定具は、リング状に配置されているのが好ましい。前記ワーク固定具は、上下方向または左右方向に等間隔に積層された複数枚の前記板状ワークを固定するのが好ましい。
本発明の堆積膜形成装置では、成膜炉内に成膜炉と等電位の陽極部材(陽極)を配置することにより、成膜炉内での陰極の位置の違いによって生じる陰極から陽極までの距離(以下「陰極−陽極間距離」と記載)の差が低減される。すなわち、1つのワークの表面での位置の違いによる陰極−陽極間距離の差も低減され、1つのワークで見られる膜厚の不均一が緩和される。この際、成膜炉は円筒形状部を有し、陽極部材が成膜炉と同軸的に配置された円柱形状の陽極柱であれば、ワークを周方向にバランスよく保持することができ、陰極−陽極間距離の差が良好に低減される。
なお、ワークが板状ワークであれば、ワーク保持手段として、厚さ方向に間を隔てた積層状態で複数枚の板状ワークを固定する複数個のワーク固定具を用い、一度の成膜でさらに複数の板状ワークに堆積膜を成膜することが可能となる。
そして、ワークの表面と対向する成膜炉の内面までの距離に対するワークの表面と対向する陽極部材の外面までの距離の割合を0.55〜1.1とすれば、1つのワークで見られる膜厚の不均一が良好に緩和される。
以下に、本発明の堆積膜形成装置の実施の形態を説明する。
本発明の堆積膜形成装置は、プラズマCVD法(より具体的には、直流プラズマCVD法、高周波プラズマCVD法など)によって導電性のワークの表面に堆積膜を形成する堆積膜形成装置である。
プラズマCVD法では、二つの電極の間に電力を与えることによって、グロー放電が生じる。このグロー放電を利用して、電極間に導入した処理ガスを分離し、マイナス電位側の電極(ワーク)に堆積膜を成膜する。この際、処理ガスは、堆積膜の種類に応じて適宜選択すればよく、アモルファス炭素(Diamond Like Carbon :DLC)膜を成膜するのであれば、水素、アルゴン等のうちの少なくとも1種からなる希釈ガスと、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素ガスのうちいずれか1種以上、および、テトラメチルシラン(TMS:Si(CH3)4)、シラン、SiCl4 等のSi含有ガスのうちのいずれか1種以上からなる原料ガスとの混合ガスであるのが望ましい。なお、本発明の堆積膜形成装置で成膜される堆積膜は、DLC膜の他、TiN等のセラミックス系薄膜であってもよい。
本発明の堆積膜形成装置は、主として、成膜炉と、陽極部材と、ワーク保持手段と、ガスノズルと、プラズマ電源と、を具備する。以下に、それぞれについて詳説する。
成膜炉は、一般に各種成膜装置に用いられる成膜炉であれば、形状や材質に特に限定はない。たとえば、円筒形状部を有する成膜炉のほか、断面方形状の成膜炉であってもよい。円筒形状部を有する成膜炉は、複数のワークを成膜炉の上下方向に積載するのに適し、断面方形状の成膜炉は複数のワークを成膜炉の左右方向に積載するのに適する。
陽極部材は、成膜炉内に位置し、成膜炉と等電位とする。そのため、陽極部材は、成膜炉と別部材からなり等電位となるように各々を接続させたものの他、成膜炉と一体的に形成されたものでもよい。また、陽極部材の形状に限定はないが、特に、円筒形状部を有する成膜炉であれば、陽極部材は、成膜炉と同軸的に配置された円柱形状の陽極柱であるのが好ましい。
ワーク保持手段は、ワークを陽極部材の周りに周方向に保持し、かつ、マイナス極に結線される。すなわち、本発明の堆積膜形成装置は、成膜炉および陽極部材が陽極、ワーク保持手段(およびワーク)が陰極となって、陰極の周囲にグロー放電が形成される。以下に、陽極部材が、その周りに周方向に保持されたワークに及ぼす効果を説明する。
図5は、円筒形状部をもつ成膜炉50を用いた堆積膜形成装置の一例を示す径方向断面図であって、それぞれ、従来の装置(装置I)と本発明の堆積膜形成装置(装置II)を示す。図5のP50およびP51は、成膜炉50内の或る二点であって、成膜炉内の周辺側に位置する点をP50、中心側に位置する点をP51とする。装置Iでは、P50から陽極までの最短距離はD50で、P51から陽極までの最短距離はD51’で示される。一方、装置IIには、陽極部材51が成膜炉50の中心部に配置されている。そのため、装置IIでは、P50から陽極までの最短距離は装置Iと同じくD50であるが、P51から陽極までの最短距離はD51で示される。ここで、P50またはP51に陰極を配置すると、D50,D51,D51’が陰極−陽極間距離に相当する。装置Iでは陰極の位置により陰極−陽極間距離に(D51’−D50)に相当する大きな差が生じるが、装置IIでは、陰極−陽極間距離の差が(D51−D50)となり、陽極部材51を用いたことにより陰極−陽極間距離の差が低減される。
ここで、プラズマCVD法では、堆積膜の膜厚はグロー放電の状態に依存する。そして、陰極−陽極間距離により、陰極に引き込まれるプラズマ中の活性種(陽イオン)の数や移動距離などが変化するため、放電状態にも差が生じる。放電状態に差が生じると、陰極に供給される原料(陽イオン)も増減する。つまり、陰極−陽極間距離の差が低減されれば、原料供給の差も緩和され、ひいては膜厚の差も緩和される。
すなわち、陽極部材51を用いることにより、膜厚の差が緩和される。この効果は、1つのワークの表面であっても同じである。仮に、P50およびP51を同一の表面上にもつ板状ワークを配置したとする(図5の一点鎖線で表示)。装置Iにおいて、位置P50での陰極−陽極間距離はD50、位置P51での陰極−陽極間距離はD51’となるため、陰極−陽極間距離の差は大きい。一方、装置IIでは、位置P50での陰極−陽極間距離はD50、位置P51での陰極−陽極間距離はD51となる。したがって、装置IIでは、陽極部材51を配置したことによって、1枚の板状ワークの表面の位置による陰極−陽極間距離の差が低減され、膜厚の不均一が緩和される。
さらに、後に詳述する図1〜図3に示す実施例のように、ワークを縦方向(上下方向)に積載して成膜する場合には、陽極部材がないと、陽極(成膜炉)からワークまでの距離が縦方向のワークの位置により異なるため、成膜炉の中心部に配置されたワークの堆積膜の膜厚が最も薄くなる。陽極部材を用いれば、縦方向に生じる陰極−陽極間距離の差も低減され、縦方向に生じる堆積膜の膜厚の不均一をも緩和することができる。
ここで、ワークの素材は、導電性があれば特に限定はない。ワークの形状にも特に限定はなく、たとえば、円板状やシャフト状、また、自動車などの部品として用いられるクラッチ板であってもよい。
ワーク保持手段は、ワークを陽極部材の周りに周方向に保持できれば、その構成に特に限定はない。たとえば、ワークが板状であれば複数のワークを陽極部材の周りに厚さ方向を周方向に並べて放射状に保持してもよいし、ワークのいずれか一面が同一平面上に位置するように保持してもよい。また、ワーク保持手段は、各ワークの少なくとも一部と接触し、ワークが成膜中に落下等することなく保持できる形状であれば、その形状に特に限定はない。たとえば、複数のワークを挟持したり、ワーク保持手段とワークとが互いに嵌合・係合できる、段差部や突出部を有するのがよい。
また、ワークが板状の板状ワークであれば、ワーク保持手段は、板状ワークを厚さ方向に間隔をもたせて複数枚積層させた状態で保持してもよい。具体的には、厚さ方向に間を隔てた積層状態で複数枚の板状ワークを固定する複数個のワーク固定具からなるワーク保持手段を用いることができる。この際、各板状ワークは、互いに平行となるように保持するのがよい。また、各板状ワークは、等間隔に保持されるのが好ましい。堆積膜がDLC膜であれば、隣接する2枚の板状ワークの対向面間の間隔(たとえば図3のLに相当)が2〜30mmとなるように保持するのが望ましい。
ワーク固定具の形状は、各板状ワークの少なくとも一部と接触し、各板状ワークを厚さ方向に間を隔てて積層状態で固定できれば、特に限定はない。したがって、ワーク固定具は、板状ワークを成膜炉の上下方向に固定して積載する形式でも、左右方向に固定して積載する形式でも、いずれの形式でもよい。
なお、陽極部材は、板状ワークの積層方向と平行に配置されるのが好ましい。また、陽極部材の寸法は、板状ワークの積層範囲(積層方向が上下方向であれば積層高さ)よりも長いのが好ましい。そして、陽極部材の数にも限定はなく、複数本配置してもよい。
また、ワーク固定具に板状ワークを固定する方法としては、板状ワークが円板状であれば板状ワークの外周部をワーク固定具に固定する、さらに、板状ワークがリング状であればリングの内周部および/または外周部をワーク固定具に固定する、などの方法が挙げられる。たとえば、円柱状のワーク固定具に、リング状の板状ワークの内周部分が全体的に接するように板状ワークを固定する(図4参照)と、グロー放電の放電面積が少なくなり、投入電力が少なくて済む。また、複数本の棒状の保持具からなるワーク固定具に、板状ワークを部分的に保持するように固定してもよく、処理ガスの流れが良好となり、均一な組成の堆積膜が得られる。また、左右に延びる棒状のワーク固定具を、リング状の板状ワークの内周面の一部と当接するように挿通させて、複数の板状ワークをワーク固定具に吊した状態としてもよい。
そして、複数個のワーク固定具は、周方向にリング状に配置されているのが好ましい。このとき、陽極部材を中心とする円周上に複数個のワーク固定具を配置すれば、ワーク固定具ごとに生じる膜厚の差も緩和される。さらに、隣り合うワーク固定具が等間隔となるようにリング状に配置されていれば、板状ワークを周方向にバランスよく保持することができ、陰極−陽極間距離の差が良好に低減される。
また、ワークは、板状でなくても、複数のワークを積層させた状態で成膜炉内に積載することができる。この際、全てのワークが同じ向きに並ぶようにしてワーク固定手段に固定し、成膜炉の上下方向または左右方向に積載すればよい。この際、対向面間の間隔や陽極部材の寸法などは、上記の板状ワークにおける条件と同様に用いればよい。
上述のように、本発明の堆積膜形成装置では、成膜炉内に陽極部材を配置するだけで、陰極−陽極間距離の差が低減されるので、膜厚の不均一の緩和に大きな効果が期待できるが、ワーク保持手段は、ワークの表面からワークの表面と対向する成膜炉の内面までの距離に対するワークの表面と対向する陽極部材の外面までの距離の割合が0.55〜1.1となるように配置されるのが好ましい。さらに好ましくは、0.65〜0.90である。また、実験で確認された最適値は0.77である。すなわち、ワークの表面からワークの表面と対向する陽極部材の外面までの距離が、ワークの表面から成膜炉の内面までの距離よりも短い方が、膜厚の不均一さを緩和する上で望ましい。これは、陽極部材の表面積は成膜炉の内面よりも小さいためである。
したがって、上記の好ましい距離にワークを保持するには、ワーク保持手段は、陽極部材の外面と成膜炉の内面との対向面間の中央部に位置するように配置されるのがよい。この際、ワークが円板状の板状ワークであれば、ワーク固定具は、陽極部材の外面と成膜炉の内面との対向面間の中央部に位置するように配置されるのがよく、板状ワークがワーク固定具と同軸的に保持されているのがよい。
処理ガスを供給するガスノズルは、その構成に特に限定はないが、周方向に保持されたワークよりも遠心方向側および/または軸心方向側でリング状に配置された複数個で構成されるのが好ましい。ガスノズルは、通常の成膜装置に用いられるものでよく、特に限定はない。たとえば、ワーク固定具の上方に設置された複数の下向きのガス供給孔をもつリングガスノズルや、図1等に示す管状のガスノズル、特に、側面に複数の孔をもちガスを放射状に供給することができる管状ノズルなどが好ましい。なお、成膜中の成膜炉内のガス圧力は、堆積膜がDLC膜であれば、13〜1330Paであるのが望ましい。
プラズマ電源は、通常のプラズマCVD法に用いられるプラズマ電源であれば、特に限定はない。プラズマ電源は、少なくともワーク保持手段に結線され、ワーク固定具をマイナス極に通電する。ワーク保持手段には、導電性のワークの一部が接触するようにして固定されているので、ワークもマイナス極に結線される。そして、ワーク保持手段およびワークは、プラズマ電源から電圧を印加すると、ワークに沿って放電するので、ワーク1つ毎にグロー放電し、ワークの全面に堆積膜を成膜することができる。
本発明の堆積膜形成装置は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、他の構成を追加してもよく、熱電対、赤外線放射温度計などの温度測定手段や膜厚測定手段などを適宜具備してもよい。
以下に、本発明の堆積膜形成装置の実施例を図1〜図4を用いて説明する。なお、図1は本実施例の堆積膜形成装置の概略説明図であり、図2は図1の成膜装置のZ−Z’断面図、図3は図2のY−Y’断面図である。
本実施例の堆積膜形成装置は、炭素工具鋼からなるクラッチ板22の表裏面および外周面にアモルファス炭素膜(DLC膜)を成膜する装置である。成膜炉には、円筒形状部をもつステンレス製のチャンバー11を用い、チャンバー11は、排気通路12によりチャンバー11と連通する排気系13を有する。排気系13は、油回転ポンプ、メカニカルブースターポンプ、油拡散ポンプからなり、排気通路12に配した排気調整バルブ15を開閉することによりチャンバー11内の処理圧力を調整する。また、チャンバー11には、側面より炉外へ突出する透光窓18を設け、透光窓18を介して赤外線放射温度計(図示せず)によりクラッチ板22の表面温度を測定する。
チャンバー11内には、陽極柱1と、プラズマ電源16のマイナス極に通電されたクラッチ板保持手段20と、ガス供給手段30と、が配設される。
陽極柱1は、ステンレス製の円柱であって、チャンバー11と同軸的となるようにチャンバー11の底面に一体的に固定されている。そのため、陽極柱1は、チャンバー11と等電位となる。
クラッチ板保持手段20は、プラズマ電源16のマイナス極に連結された支持台21と、支持台21上に載置された5つのクラッチ板固定具23と、からなり、それぞれのクラッチ板固定具23にはクラッチ板22が固定される。なお、クラッチ板22は、厚さ0.9mmの炭素工具鋼からなる。クラッチ板22は図4に示すリング状の円板で、その内周面に内歯221を有する。
板状の支持台21は、炭素鋼製で中央に穴部をもつリング状板である。支持台21は、チャンバー11および陽極柱1と同軸的に、チャンバー11の底部に固定される。この際、支持台21の穴部には、陽極柱1が非接触に挿通されている。
5つのクラッチ板固定具23は炭素鋼製で、円筒状のチャンバー11と同軸的になるよう支持台21上に等間隔に周方向に配置される。クラッチ板固定具23は、その中心がチャンバー11の中心より直径40cmの円周上に等間隔をもってリング状に配置される。なお、クラッチ板固定具23と上記陽極柱1とは、その軸方向が互いに平行となる。
また、クラッチ板固定具23は、支持台21上で支持され垂直に延びる円筒状の固定柱231と、複数のクラッチ板22を等間隔で平行かつ積層状態に固定するための複数個の治具232と、からなる(図3および図4)。治具232は円筒形で、外周面の一端には、段差部233を有する。段差部233は断面L字形でクラッチ板22の厚さと等しい段差を有し、クラッチ板22の内歯221は段差部233に同軸的に嵌め込むことができる。
クラッチ板22をクラッチ板固定具23に固定するには、まず、固定柱231の上方を底具251の筒内へ差し込み、底具251を固定柱231に沿って下方へ移動させて、支持台21上に底具251をスペーサーとして設置する。次に、底具251と同様にして、上述の方法によりクラッチ板22が嵌め込まれた治具232を、底具251上に設置する。この後、同様の手順を繰り返すことによりクラッチ板22が所望の枚数となるまで治具232を積層する。クラッチ板22が所望の枚数となったら、最上部に頭具252を設置する。
そして、クラッチ板固定具23に固定されたクラッチ板22の外周面から外周面と対向する陽極柱1の外面までの距離(図3のD1 に相当)と、外周面と対向するチャンバー11の内面までの距離(図3のD2 に相当)は、それぞれ、D1 =115.5mm,D2 =150mmである(D1 /D2 =0.77)。また、上下方向に隣接する2枚のクラッチ板22の対向面間の間隔は、30mmとした。ここで、隣接する2枚のクラッチ板22の対向面間の間隔とは、図3のLで示される距離である。1つのクラッチ板固定具23は、35枚のクラッチ板22が固定でき、装置内には合計175枚のクラッチ板22が固定されていることになる。この際、最も上のクラッチ板22が、陽極柱1の長さを超えないように固定した。以上の条件は、5つのクラッチ板固定具23において同様である。
ガス供給手段30は、原料ガスと希釈ガスとの混合ガスを規定の流量比でチャンバー11に供給する。混合ガスは、マスフローコントローラ(MFC)33により流量を調整後、ガス供給バルブ34を経てガス供給管35によりチャンバー11の内部に供給される。ガス供給管35は、チャンバー11内で、中央部の3本のガスノズル33と、周辺部の6本のガスノズル32とに分岐する。ガスノズル33は、チャンバー11の中心側で陽極柱1の周囲に等間隔にリング状に位置するように設置される。また、6本のガスノズル32は、周方向に配置された5つのクラッチ板固定具23の外側で等間隔にリング状に配置される。それぞれのガスノズル32,33には、その長さ方向に等間隔に複数の孔が開いている(図示せず)。ガスは、孔から各クラッチ板固定具23に向けて供給される。
プラズマ電源16のプラス極は、チャンバー11および陽極柱1に通電される。プラス極はアースされ、チャンバー11の内面および陽極柱1の外面が接地電極(陽極10)となる。すなわち、本実施例において、クラッチ板保持手段20およびそれに保持されたクラッチ板22が陰極20であり、チャンバー11および陽極柱1が陽極10である。
[DLC膜の成膜]
以上のような構成の堆積膜形成装置を作動させて、DLC膜を成膜した。まず、排気系13によりチャンバー11内を到達真空度が5×10-3Paまで排気した。つぎに、ガス供給バルブ34を開け、原料ガスであるメタンガス、TMSガスと希釈ガスである水素ガス、アルゴンガスの流量をMFC33で調整してチャンバー11に供給した。その後、排気調整バルブ15の開度を調整し、チャンバー11内の処理圧を133Paとした。
チャンバー11内に所定の流量比の水素、アルゴンからなる希釈ガスが導入され、所定の処理圧が確保されたら、プラズマ電源16によりクラッチ板保持手段20に9.5kWを供給した。電圧を印加すると、クラッチ板固定具23およびクラッチ板22の周辺部にグロー放電が生じ、このグロー放電によりにより、クラッチ板22を500℃に加熱した。続いて原料ガスであるメタンガスとTMSガスを所定の流量で供給し、クラッチ板22の表面にDLC膜を成長させた。
[評価]
DLC膜を成膜後、5つのクラッチ板固定具23のうちのひとつから5枚のクラッチ板22を取り出し、膜厚を測定した。膜厚の測定は、クラッチ板22の表面のうちチャンバー11の中心側に位置するP1 、チャンバー11の周辺側に位置するP2 (図2参照)について行った。結果を図8(左図)に示す。なお、図8において、横軸はDLC膜の膜厚を示し、縦軸はクラッチ板22の高さ方向の位置を支持台21の上面からの距離により示す。
また、比較例として、陽極柱1を用いない他は上記実施例と同様な装置を準備した。この装置を用い、上記手順と同様にして、クラッチ板22にDLC膜を成膜した。そして、得られたDLC膜の膜厚を測定した。測定結果を図8(右図)に併せて示す。
比較例の装置を用いた場合には、チャンバー11の中心側(位置P1 )の膜厚が薄く、1枚のクラッチ板22においてチャンバー11の中心側(位置P2 )と周辺側(位置P2 )で、膜厚に1μm程度の差が生じた。一方、実施例の装置を用いた場合には、膜厚に差は生じなかった。さらに、高さ方向に生じる膜厚の差も緩和された。
実施例の堆積膜形成装置の概略説明図である。 図1のZ−Z’における断面図であって、クラッチ板保持手段およびガス供給手段の配置を示す図である。 図2のY−Y’断面図である。 実施例で用いたクラッチ板およびクラッチ板固定具の径方向断面図である。 本発明の堆積膜形成装置を説明する説明図である。 従来の堆積膜形成装置の概略説明図である。 図6のX−X’における断面図であって、ワーク保持具の配置を示す図である。 実施例(右図)および比較例(左図)の堆積膜形成装置により成膜されたDLC膜の膜厚の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1:陽極柱(陽極部材)
11:チャンバー(成膜炉)
16:プラズマ電源
20:クラッチ板保持手段(ワーク保持手段)
22:クラッチ板(ワーク)
23:クラッチ板固定具(ワーク固定具)
30:ガス供給手段
31,32,33:ガスノズル

Claims (8)

  1. 直流プラズマCVD法によって導電性のワークの表面に堆積膜を形成する堆積膜形成装置であって、
    成膜炉と、
    該成膜炉内に位置し該成膜炉と等電位の陽極部材と、
    前記ワークを該陽極部材の周りに周方向に保持し、かつ、マイナス極に結線されたワーク保持手段と、
    処理ガスを供給するガスノズルと、
    少なくとも前記ワーク保持手段に結線されたプラズマ電源と、
    を具備することを特徴とする堆積膜形成装置。
  2. 前記ワーク保持手段は、前記ワークの表面から該ワークの表面と対向する前記陽極部材の外面までの距離が該ワークの表面から該ワークの表面と対向する前記成膜炉の内面までの距離よりも短くなるように配置される請求項1記載の堆積膜形成装置。
  3. 前記成膜炉は、円筒形状部を有し、
    前記陽極部材は、該成膜炉と同軸的に配置された円柱形状の陽極柱である請求項1または2記載の堆積膜形成装置。
  4. 前記ワークは板状の板状ワークである請求項1〜3のいずれかに記載の堆積膜形成装置。
  5. 前記板状ワークはリング状である請求項4記載の堆積膜形成装置。
  6. 前記ワーク保持手段は、厚さ方向に間を隔てた積層状態で複数枚の前記板状ワークを固定する複数個のワーク固定具からなり、
    複数個の該ワーク固定具は、リング状に配置されている請求項4または5記載の堆積膜形成装置。
  7. 前記ワーク固定具は、上下方向または左右方向に等間隔に積層された複数枚の前記板状ワークを固定する請求項4〜6のいずれかに記載の堆積膜形成装置。
  8. 前記ガスノズルは、周方向に保持された前記ワークよりも遠心方向側および/または軸心方向側でリング状に配置された複数個で構成される請求項1〜7のいずれかに記載の堆積膜形成装置。
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