JP4505366B2 - アモルファス炭素膜の成膜方法 - Google Patents

アモルファス炭素膜の成膜方法 Download PDF

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Description

本発明は、直流プラズマCVD法によるアモルファス炭素膜の成膜方法に関する。
現在、主として耐摩耗性を付与することを目的として、基材の表面に硬質な被膜を形成した被覆部材が、幅広い分野で利用されている。中でも、高い表面硬度が得られ、相手攻撃性が低いアモルファス炭素膜が、各種工具や機械部品の被膜として多く用いられる。そのため、特許文献1のように、一度に複数の基材に成膜できる直流プラズマCVD法によるアモルファス炭素膜の成膜方法が提案されている。特許文献1の成膜方法では、成膜炉内に、マイナス極に結線された複数の板状ワークを厚さ方向に等間隔に積層して配置し、板状ワークを1枚毎にプラズマ放電させて、アモルファス炭素膜を成膜する。
ところが、処理効率を上げるために、隣接する2個の板状ワークの対向面間の間隔を狭めて板状ワークの積載枚数を増加させると、成膜条件によっては、成膜中にスーティング(粒状化)が発生して良好なアモルファス炭素膜を得ることができないという問題があった。スーティングが生じた部分は、耐摩耗性が低いため、成膜中に発生するスーティングを抑制することは重要である。
特開2004−263292号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、直流プラズマCVD法によるアモルファス炭素膜の成膜において、スーティングの発生を抑制し、良好なアモルファス炭素膜が成膜できる成膜方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、スーティングが発生したアモルファス炭素は、膜中のSi濃度が所定の濃度以下であることに着目した。そして、成膜中のSi供給量を調整することにより、成膜中に発生するスーティングを抑制できることに想到した。
本発明のアモルファス炭素膜の成膜方法は、直流プラズマCVD法により導電性の複数のワークの表面にアモルファス炭素膜を形成するアモルファス炭素膜の成膜方法において、成膜炉内に配置されかつマイナス極に導通されたワーク固定具に複数の前記ワークを隣接する2個の該ワークの対向する表面の対向面間の間隔が5〜40mmとなるように固定し、単位成膜時間および単位成膜面積当たりのSiの供給量が0.0006mol・h−1・m−2以上となるように処理ガスを供給して、該ワークの表面に膜中Si濃度が8wt%以上のアモルファス炭素膜を形成することを特徴とする。
ここで、「隣接する2個のワークの対向する表面の対向面間の間隔」とは、たとえば、隣接する2個のワークのうち、アモルファス炭素膜が形成されるワークの表面と、アモルファス炭素膜が形成される他のワークの表面と、の最短距離に相当する。さらに、ここで言う「アモルファス炭素膜が形成されるワークの表面」は、膜質が良好なアモルファス炭素膜が必要な部分であれば足りる。
本発明のアモルファス炭素膜の成膜方法によれば、隣接する2個のワークの対向面間の間隔が狭い(5〜40mm)場合であっても、Siの供給量を単位成膜時間および単位成膜面積当たりのSiの供給量が0.0006mol・h-1・m-2以上となるように処理ガスを供給することにより、得られるアモルファス炭素膜の含有するSi濃度を所定の濃度以上にでき、スーティングの発生が抑制され、良好なアモルファス炭素膜を成膜することができる。
そのため、成膜炉内に多数のワークを配置しても、質の高いアモルファス炭素膜を成膜することができる。
本発明のアモルファス炭素膜の成膜方法は、周知の直流プラズマCVD法の原理を用いた成膜方法である。すなわち、直流電圧を印加した電位差のある二つの電極の間に電力を加えてグロー放電を生じさせ、このグロー放電を利用して、電極間に導入した処理ガス(原料となるガス)を活性化させ、マイナス電位側の電極(本発明では「ワーク」)にアモルファス炭素膜を堆積させる。すなわち、用いられる成膜炉や、成膜炉が具備する排気手段や電源装置などは、従来の構成であればよい。
ここで、図1は、直流プラズマCVD法により成膜したアモルファス炭素膜で被覆されたワーク(単に「ワーク」と略記)と、被覆されていないワーク(「相手材」と略記)と、を所定の条件のもとで互いに摺動させた場合のアモルファス炭素膜中のSi濃度(以下「膜中Si濃度」と記載)に対する(a)ワークの摩耗量(b)相手材の摩耗量を示すグラフである。なお、アモルファス炭素膜の膜厚は3μmとした。図1からわかるように、膜中Si濃度が低いと、ワークの摩耗量および相手材の摩耗量が大きく増加する。相手材の摩耗量が増加するのは、膜中Si濃度が低いほど、スーティングが発生しやすくなりアモルファス炭素膜の耐摩耗性が低下し(図1(a))、アモルファス炭素膜が摩滅することにより相手攻撃性が高くなる(図1(b))からである。したがって、スーティングの発生を抑制するためには、膜中Si濃度が8wt%以上が望ましく、さらに望ましくは10wt%以上にする必要がある。膜中Si濃度が所定の濃度以上であるとスーティングが抑制されて耐摩耗性が向上するのは、Siによりアモルファス炭素膜にsp3 結合が生じるためであると推測できる。
そこで、本発明では、単位成膜時間および単位成膜面積当たりのSiの供給量が0.0006mol・h-1・m-2以上となるように処理ガスを供給してワークの表面にアモルファス炭素膜を形成する。なお、「成膜時間」は、ワーク表面へのアモルファス炭素膜の成膜開始から終了までの時間である。また、「成膜面積」は、マイナス極に導通されグロー放電が生じる陰極(すなわち、シースに覆われる面)の総面積であり、ワークの表面積の和(アモルファス炭素膜が形成されるワークの表面の総面積)に加え、ワークを保持するワーク固定具や導通する電極の表面積も含む。
Siの供給量を0.0006mol・h-1・m-2以上とすることにより、膜中Si濃度を8wt%以上とし、スーティングの発生を抑制することができる。また、Siの供給量は、好ましくは0.001mol・h-1・m-2以上、さらに好ましくは0.005mol・h-1・m-2以上である。0.001mol・h-1・m-2以上であれば、膜中Si濃度を10wt%以上とすることができる。なお、Siの供給量は、好ましくは0.02mol・h-1・m-2以下である。0.02mol・h-1・m-2を超えると、形成されるアモルファス炭素膜に含まれる炭素量が少なくなり、耐摩耗性が低下するためである。
また、処理ガスは、少なくともSiを含む有機金属含有ガスおよびハロゲン化合物のうちのいずれか1種以上ならびに炭化水素ガスのうちのいずれか1種以上を含む混合ガスであるのが好ましい。有機金属含有ガスとしては、テトラメチルシラン(TMS:Si(CH3 )4 )やシラン等が挙げられる。ハロゲン化合物としては、四塩化シリコン(SiCl4 )等が挙げられる。また、炭化水素ガスとしては、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン等が使用可能である。
表面にアモルファス炭素膜が形成される複数のワークは、成膜炉内に配置され、かつ、マイナス極に導通されたワーク固定具に固定される。この際、ワークは、マイナス極に導通されたワーク固定具に、ワークの少なくとも一部が接触するようにして固定される。これにより、良好な導通が確保される。なお、ワーク固定具は、導電性材料からなれば、その形状に特に限定はない。そのため、ワークを載置できる平板状のほか、ワークの少なくとも一部を保持できる保持具を有する形状でもよい。たとえば、複数のワークを挟持したり、ワーク固定具とワークとが互いに嵌合・係合できる、段差部や突出部を有するのがよい。
本発明のアモルファス炭素膜の成膜方法では、複数のワークのうち、隣接する2個のワークの対向する表面の対向面間の間隔を5〜40mmとする。対向面間の間隔が40mm以下であれば、成膜炉内に配置される単位容積当たりのワークの個数が多くなるため、一度の成膜で多数のワークに効率よく成膜をすることができる。また、対向面間の間隔が5mm以上であれば、ワークの外面に沿って均一にグロー放電が形成され、均一なアモルファス炭素膜を成膜することができる。この際、Siの供給量を上記の範囲として成膜を行うため、対向面の間隔を5〜40mmとした場合でも、スーティングを抑制して、アモルファス炭素膜を良好に成膜することができる。
また、ワークは、導電性をもつ導電性材料からなれば特に限定はない。たとえば、体積抵抗率が108 Ω・cm以下であるのが望ましい。また、ワークの形状にも特に限定はないため、各種部材に成膜が可能である。具体的には、自動変速機に用いられる各種クラッチやブレーキの部品であるクラッチ板、車両の駆動力伝達材などである。
ワークが板状の板状ワークであれば、板状ワークは厚さ方向に積層されるのが望ましい。具体的には、厚さ方向に間を隔てた積層状態で、複数枚の板状ワークをワーク固定具に固定するとよい。この際、各板状ワークは、互いに平行となるように保持されるのが望ましい。板状ワークを厚さ方向に平行かつ積層状態で配置すると、複数枚の板状ワークを成膜炉内に配置できるため、一度の成膜処理で多数のワークに成膜が可能となる。また、各板状ワークは、ワーク固定具に等間隔に保持されるのが好ましい。なお、この場合、隣接する2枚の板状ワークの対向面間の間隔(たとえば図4のLに相当)が5〜40mmとなるように保持する。
ワークが、上下方向に積層されてワーク固定具に固定されている場合には、ワークの積層方向に対して平行に延びるノズルから、処理ガスを供給するとよい。具体的には、成膜炉は円筒状の炉室をもち、ワーク固定具は炉室と同軸的に等間隔でリング状に配置され、処理ガスを供給する複数の筒状のノズルが炉室と同軸的にワーク固定具の遠心方向側で等間隔にリング状に配置されるとともに炉室の中心部に配置され、これらの複数のノズルは互いに平行であるのが好ましい。
ガス噴出口の形状や大きさに特に限定はない。また、ワークの積層枚数が多く、積層方向に長く固定されている場合には、ガス噴出口が長さ方向に等間隔に複数個設けられているノズルを用いるとよい。
なお、本発明のアモルファス炭素膜の成膜方法は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、ワークを加熱する工程や、ワークの形状を矯正する工程等を、成膜前後に必要に応じて行ってもよい。
以下に、本発明のアモルファス炭素膜の成膜方法の実施例を図2〜図9を用いて説明する。なお、図2は本実施例に用いられるアモルファス炭素膜の成膜装置の概略説明図であり、図3は図2の成膜装置のX−X’断面図、図4は図3のY−Y’断面の一部を示す断面図である。また、図5は、本実施例において用いられるクラッチ板およびクラッチ板固定具のX−X’断面図である。
アモルファス炭素膜の成膜装置は、炭素工具鋼からなるクラッチ板22(図5参照)の表裏面および外周面にアモルファス炭素膜を成膜する装置である。成膜炉には、円筒形の炉室をもつステンレス製のチャンバー11を用い、チャンバー11は、排気通路12によりチャンバー11と連通する排気系13を有する。排気系13は、油回転ポンプ、メカニカルブースターポンプ、油拡散ポンプからなり、排気通路12に配した排気調整バルブ15を開閉することによりチャンバー11内の処理圧力を調整する。また、チャンバー11には、側面より炉外へ突出する透光窓18を設け、透光窓18を介して赤外線放射温度計(図示せず)によりクラッチ板22の表面温度を測定する。
チャンバー11内には、プラズマ電源16のマイナス極に通電されたクラッチ板固定手段20と、ガス供給手段30と、が配設される。
クラッチ板固定手段20は、プラズマ電源16のマイナス極に配線された支持台21と、支持台21上に載置された5つのクラッチ板固定具23と、からなり、それぞれのクラッチ板固定具23にはクラッチ板22が固定される。この際、全てのクラッチ板固定具23とクラッチ板22は、プラズマ電源16のマイナス極と同電位となる。なお、クラッチ板22は、厚さ0.9mmの炭素工具鋼からなる。クラッチ板22は図5に示すリング状の円板で、その内周面に内歯221を有する。
板状の支持台21は、円板形状で、チャンバー11と同軸的に炉室の底部に、チャンバー11とは電気的に絶縁して固定される。5つのクラッチ板固定具23は炭素鋼製で、円筒状のチャンバー11と同軸的になるよう支持台21上に等間隔にリング状に配置される。クラッチ板固定具23は、その中心がチャンバー11の中心より直径40cmの円周上に等間隔をもってリング状に配置される。
また、クラッチ板固定具23は、支持台21上で支持され鉛直方向に延びる円筒状の固定柱231と、複数のクラッチ板22を等間隔で平行かつ積層状態に固定するための複数個の治具232と、からなる(図4および図5)。治具232は円筒形で、クラッチ板22は、2つの治具232の両端面で厚さ方向に挟持される。
クラッチ板22をクラッチ板固定具23に固定するには、まず、固定柱231の上方に底具251を差し込み、底具251を固定柱231に沿って下方へ移動させて、支持台21上に底具251をスペーサーとして設置する。次に、底具251と同様にして、上述の方法により治具232を底具251上に設置する。さらに、クラッチ板22を治具232上に設置する。この後、治具232とクラッチ板22とを交互に設置することにより、クラッチ板22は治具232に挟持される。この際、治具232は、隣接する治具232と接触せず、クラッチ板22と固定柱231とのみ接触する。これにより、固定柱231とクラッチ板22とが確実に導通する。また、クラッチ板22は固定柱231に内周面が接触する。クラッチ板22が所望の枚数となるまで同様の手順を繰り返し、クラッチ板22が所望の枚数となったら、最上部に頭具252を設置する。
この際、上下方向に隣接する2枚のクラッチ板22の対向面間の間隔は、9mmとした。ここで、隣接する2枚のクラッチ板22の対向面間の間隔とは、図4のLで示される距離である。その結果、1つのクラッチ板固定具23には、100枚のクラッチ板22が固定でき、装置内には合計500枚のクラッチ板22が固定されていることになる。以上の条件は、5つのクラッチ板固定具23において同様である。
ガス供給手段30は、7本のガスノズル31より原料ガスと希釈ガスとの混合ガスを規定の流量比でチャンバー11に供給する。混合ガスは、マスフローコントローラ(MFC)33により流量を調整後、ガス供給バルブ34を経てガス供給管35によりチャンバー11の内部に供給される。ガス供給管35は、チャンバー11内で、中央部の1本の内側ガスノズル33と、周辺部の6本の外側ガスノズル32とに分岐する。内側ガスノズル33は、リング状に配置されたクラッチ板固定具23から見てチャンバー11の中心側で、チャンバー11と同軸的に設置される。また、6本の外側ガスノズル32は、リング状に配置された5つのクラッチ板固定具23の外側で等間隔にリング状に配置される。7本のガスノズル31のそれぞれには、その長さ方向に等間隔に複数のガス噴出口39が開口している。上記混合ガスは、ガス噴出口39からチャンバー11内に供給される。
プラズマ電源16のプラス極は、チャンバー11に配線され、チャンバー11の内面が接地電極(陽極10)となる。すなわち、本実施例において、クラッチ板固定手段20およびそれに保持されたクラッチ板22を陰極20、チャンバー11を陽極10、として直流グロー放電を発生させて成膜が行われる。
[アモルファス炭素膜の成膜]
以上のような構成の成膜装置を作動させて、珪素を含有するアモルファス炭素膜(DLC−Si膜)を成膜した。まず、排気系13によりチャンバー11内を到達真空度が6.7×10-3Paまで排気した。
つぎに、チャンバー11内に所定の流量比の水素、アルゴンからなる希釈ガスを導入し、所定の処理圧が確保されてから、プラズマ電源16によりクラッチ板固定手段20に12kWを供給した。電圧を印加すると、クラッチ板固定具23およびクラッチ板22の周辺部にグロー放電が生じ、このグロー放電によりにより、クラッチ板22を530℃に加熱した。
続いて、ガス供給バルブ34を開け、原料ガスであるメタンガス、テトラメチルシラン(TMS)ガスと希釈ガスである水素ガス、アルゴンガスの流量をMFC33で調整してチャンバー11に供給した。その後、排気調整バルブ15の開度を調整し、チャンバー11内の処理圧を466Paとし、クラッチ板22の表面にDLC−Si膜を成長させた。この際、TMSの流量は、Siの供給量が0.0063mol・h-1・m-2となるように調整した。上記手順により表面にDLC−Si膜を形成したクラッチ板を「試料No.4」とする。
また、成膜条件のうち、対向面間の間隔(L)およびSiの供給量を変更して、同様の手順により、試料No.1〜3,5〜10のクラッチ板を作製した。表1に、No.1〜10のクラッチ板の成膜条件をまとめて示す。
Figure 0004505366
[評価]
[DLC−Si膜の評価]
No.1〜10の各試料に対して、DLC−Si膜中のSi濃度(膜中Si濃度)を測定した。膜中Si濃度は、EPMA(electron probe microanalyzer)により測定した。測定結果を表1および図6に示す。
また、No.1〜10の各試料に対して、DLC−Si膜の表面観察を行った。表面観察には走査電子顕微鏡(SEM)を用い、スーティングの発生の有無を確認した。観察結果を表1および図7、図8に示す。
Siの供給量が0.0006mol・h−1・m−2以上であるNo.1〜5および7の試料では、表面観察においてスーティングが確認されず、良好なアモルファス炭素膜が得られた。一方、Siの供給量が0.0006mol・h−1・m−2より少ないNo.8〜10の試料では、表面観察により粒状のスーティングが確認された(図8)。また、Siの供給量が0.005mol・h−1・m−2以上であれば、膜中Si濃度が20〜30wt%のアモルファス炭素膜が安定して得られる。
[処理ガスの評価]
試料No.4のクラッチ板を作製後、5つのクラッチ板固定具23のうちの1つからクラッチ板22を取り出し、膜中Si濃度を測定した。結果を図9に示す。なお、図9において、縦軸はクラッチ板22の炉内における高さ方向の固定位置を示し、縦軸の上下方向と、クラッチ板固定具23の上下方向と、が対応する。横軸は膜中Si濃度を示し、軸の右側ほどSi濃度が高い。
また、比較例として、7本のガスノズル31のうち、3本の外側ガスノズル32を互いに等間隔となるように用いた他は上記成膜装置と同様な装置を準備した。すなわち、他の4本のガスノズルには、ガスが流れないようにした。この装置を用い、上記手順と同様にして、クラッチ板22にDLC−Si膜を成膜した。そして、得られたDLC−Si膜の膜中Si濃度を測定した。測定結果を図9に併せて示す。
No.4のクラッチ板では、固定位置によってDLC−Si膜の膜中Si濃度に差違はほとんど無かった。一方、比較例として作製したクラッチ板では、クラッチ板固定具23の下端側で成膜されたクラッチ板の膜中Si濃度が、上端側で成膜されたクラッチ板の膜中Si濃度よりも極端に低下した。なお、図9において、直線Zは、これより左側にあるとスーティングが発生したことを示す。すなわち、比較例では、成膜炉内の処理ガスのSi供給量が不均一であった。
直流プラズマCVD法により成膜したアモルファス炭素膜で被覆されたワークと、被覆されていないワーク(相手材)と、を所定の条件のもとで互いに摺動させた場合のアモルファス炭素膜のSi濃度に対する(a)アモルファス炭素膜で被覆されたワークの摩耗量(b)相手材の摩耗量を示すグラフである。 実施例で用いるアモルファス炭素膜成膜装置の概略説明図である。 図2のX−X’における断面図であって、クラッチ板固定手段およびガス供給手段の配置を示す図である。 図3のY−Y’断面の一部を示す拡大図である。 実施例で用いたクラッチ板およびクラッチ板固定具のX−X’断面の一部を示す拡大図である。 単位処理時間・単位処理面積当たりのSiの供給量に対するアモルファス炭素膜の膜中Si濃度を示すグラフである。 試料No.4のクラッチ板について、アモルファス炭素膜の表面のSEM像である。 試料No.9のクラッチ板について、アモルファス炭素膜の表面のSEM像である。 同一の成膜炉内の、同一のクラッチ板固定具について、クラッチ板の固定位置に対する膜中Si濃度を示すグラフである。
符号の説明
11:チャンバー(成膜炉)
13:排気系
16:プラズマ電源
20:クラッチ板固定手段
22:クラッチ板(ワーク)
23:クラッチ板固定具(ワーク固定具)
30:ガス供給手段
31:ガスノズル
32:外側ガスノズル
33:内側ガスノズル

Claims (9)

  1. 直流プラズマCVD法により導電性の複数のワークの表面にアモルファス炭素膜を形成するアモルファス炭素膜の成膜方法において、
    成膜炉内に配置されかつマイナス極に導通されたワーク固定具に複数の前記ワークを隣接する2個の該ワークの対向する表面の対向面間の間隔が5〜40mmとなるように固定し、単位成膜時間および単位成膜面積当たりのSi供給量が0.0006mol・h−1・m−2以上となるように処理ガスを供給して、該ワークの表面に膜中Si濃度が8wt%以上のアモルファス炭素膜を形成することを特徴とするアモルファス炭素膜の成膜方法。
  2. 前記ワークは板状ワークであって、該板状ワークは厚さ方向に積層されている請求項1記載のアモルファス炭素膜の成膜方法。
  3. 前記板状ワークはクラッチ板である請求項記載のアモルファス炭素膜の成膜方法。
  4. 前記ワークは、上下方向に積層されて前記ワーク固定具に固定されている請求項1〜3のいずれかに記載のアモルファス炭素膜の成膜方法。
  5. 前記成膜炉は円筒状の炉室をもち、前記ワーク固定具は該炉室と同軸的に等間隔でリング状に配置され、前記処理ガスを供給する複数の筒状のノズルが該炉室と同軸的に該ワーク固定具の遠心方向側で等間隔にリング状に配置されるとともに該炉室の中心部に配置され、該複数のノズルは互いに平行である請求項4記載のアモルファス炭素膜の成膜方法。
  6. 前記処理ガスは、少なくともSiを含む有機金属含有ガスおよびハロゲン化合物のうちのいずれか1種以上ならびに炭化水素ガスのうちのいずれか1種以上を含む混合ガスである請求項1〜5のいずれかに記載のアモルファス炭素膜の成膜方法。
  7. 前記有機金属含有ガスは、テトラメチルシランおよびシランである請求項6記載のアモルファス炭素膜の成膜方法。
  8. 前記ハロゲン化合物は、四塩化シリコンである請求項6記載のアモルファス炭素膜の成膜方法。
  9. 前記炭化水素ガスは、メタン、エチレン、アセチレンおよびベンゼンである請求項6記載のアモルファス炭素膜の成膜方法。
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