JP4518704B2 - 位相シフトマスク検査装置及び位相シフトマスク検査方法 - Google Patents

位相シフトマスク検査装置及び位相シフトマスク検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体集積回路(IC)等の半導体装置を製造する際に、フォトリソグラフィー処理の露光工程で多く用いられるフォトマスクの一種である位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検出する位相シフトマスク検査装置及び位相シフトマスク検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路はフォトリソグラフィー技術を用いて製造されているが、その性能の高度化や容量の大規模化に伴い、解決すべき問題が頻出している。フォトリソグラフィーは、まずフォトマスクと呼ばれる原版を写真術によって作成し、それを更に写真術を用いて大量に転写コピーする技術である。
マルチメディアやIT(Information Technology)技術の支えとなる次世代のメモリとして、GB(ギガバイト)以上の大容量メモリが待ち望まれている。そして、この大容量メモリにおいて要求されるルール(線幅)は、0.13μm以下である。しかし、現状のフォトリソグラフィの技術のみでは、このように極微細な半導体を作ることは難しい。高度な解像力を持つArFレーザステッパを用い、開口数(NA)が0.6の高開口数を持つ転写光学系を用いたとしても、通常の構成のフォトマスクを用いた転写像は、そのコントラストが0.6に達しない。そこで、フォトマスクを透過する光の「波」としての性質を利用して「波」の強度だけでなくその位相を制御することで結像解像力を増加させる位相シフトマスク(PSM/Phase Shift Mask)が近年開発されている。
【0003】
ここで、その位相シフトマスクについて、図17乃至図22を用いて説明する。
図17は通常のフォトマスクを用いて転写を行った場合の像の光強度分布の計算値を示す図、図18は図17の場合と同じパターンを位相シフトマスクを用いて転写した場合の像の光強度分布の計算値を示す図、図19は通常のフォトマスクの構成例を模式的に示す断面図、図20は位相シフトマスクの構成例を模式的に示す断面図、図21は位相シフトマスクの別の構成例を模式的に示す断面図、図22は従来の方法で位相シフトマスクを検査する場合の1回の検査範囲の例を示した図である。
【0004】
図17には、NAが0.6のArFレーザステッパを用いて、線幅0.13μmのL&S(ラインアンドスペース)パターンを通常のフォトマスクを用いて転写した場合の転写像の光強度分布の計算値を示している。ここで、折れ線201がパターンの幅を、曲線202が転写像の光強度分布を示している。また、Imin,Imaxは、それぞれ各ピークの最小光量,最大光量を示している。半導体回路の安定な製作のためには0.7以上のコントラストが望ましいが、図17に示すように、通常のフォトマスクでは0.6に満たないコントラストしか得ることができない。
これに対して、図18には上記と全く同じ装置構成で位相シフトマスクを用いて転写を行った場合の転写像の強度分布の計算値を示している。ここで、折れ線203がパターンの幅を、曲線204が転写像の光強度分布を示している。この図18から明らかなように、位相シフトマスクを用いれば、上記と同じレーザステッパによって0.9以上のコントラストを得ることが可能である。
【0005】
通常のフォトマスクは、図19に示すように、ガラス基板211の上に光を遮断する金属(クロム)212を配置したもので、金属部分は光を遮断し、金属212の無い部分は光を透過する。これに対して位相シフトマスクは、図20に示すように、光を透過する部分に適宜に(レベンソンタイプなら交互に)位相シフタ213として透明物質を配置して透過光の位相を変化させて解像力を増加させるものである。
通常、レベンソンタイプの位相シフトマスクは、隣接する透過部分でそれぞれ180度ずつ位相がずれるように構成されている。この結果、隣接する透過部分を透過する透過光が不透過部分で重なり合うと、干渉によって打ち消し合い、結果的に解像度が向上する。これが、位相シフトマスクの原理である。また図21に示すように、位相シフタ213を設ける代わりにガラス基板を腐食により削りこんで位相シフト部214を設けることによって位相差を得るように構成することもできる。
【0006】
位相シフトマスクがその性能を発揮するためには、隣接する透過部分を透過する透過光の位相差が180度でなければならない。従って、位相シフタ213の厚さが変動したり、位相シフト部214の腐食深さが変動したりして位相差が180度からずれると、その部分の転写像には欠陥が生じることになる。これを以後ローカル位相欠陥と呼ぶ。
このようなローカル位相欠陥は半導体集積回路の製造工程にとって致命的であるが、マスクの検査工程でこのローカル位相欠陥を速やかに発見することは困難である。このことが、位相シフトマスクの採用を躊躇させる一因であり、メモリ容量の増加を妨げている原因でもある。
【0007】
ローカル位相欠陥は、位相シフトマスクの製造工程での管理限界以下のサイズであり、製造工程中での発見は非常に困難であるため、最終検査工程で検査される。位相欠陥検査の従来の方法は、位相シフトマスク上の位相シフタの厚みやガラス基板の腐食深さを、膜厚計や深度計を用いて測定し、設計値と等しいかどうかを検査するものである。厚さや深さ方向の、いわゆる寸法計測を行うのは極微細な部分であるため、従来の寸法検査装置では膨大な検査時間を必要とし、実用に適さなかった。
ここで、例として100mmの位相シフトマスク全体を検査する場合を考える。半導体の回路寸法が仮に0.2μmであれば、これに対応する位相シフトマスクは通常、その4倍の大きさで描かれるので、対応する位相シフトマスクには0.8μmの大きさの回路パターンが描かれる。これをステッパなどの転写露光装置でウエハ上の感光剤に縮小露光し、現像して半導体の回路パターンを形成している。
【0008】
このようなサイズの個々の位相シフタ213の厚さを計測する為には、1回の検査エリアが、図22に矢印Xで示す示すように5μm程度になるように倍率を設定して拡大しなければならない。そうすると、位相シフトマスクの全面の検査に必要な検査回数は4億回(一辺100mm/5μm=20000、故に検査回数は20000回)となる。一回の検査に要する時間が仮に0.001秒としても、検査時間は四十万秒、すなわち約5日弱となる。しかし、位相シフトマスクの検査は数十分から数時間以内に完了しなければ実用的ではない。つまり、従来の方法や装置で位相欠陥を検査することは困難である。
さらに、分解能の高い寸法検査装置を作成するためには高価な機材を用いなければならないため、検査装置のコストアップにつながるという問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ローカル位相欠陥は検査することが難しい位相シフトマスクの瑕疵である。半導体の回路パターンが更に微細化してゆくとローカル位相欠陥自体の寸法も小さくなり、この問題は未解決の大問題として残ることになる。さらに、前述したように、従来の「寸法計測」という方法では、この問題を解決することは困難である。
この発明は、このような問題を解決し、ローカル位相欠陥のようなごく微細な欠陥も短時間で発見可能な位相シフトマスク検査装置及び検査方法を提供し、かつ装置の大幅なコストダウンを図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、この発明の位相シフトマスク検査装置は、検査対象の位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明する照明手段と、上記位相シフトマスクを観察するための対物レンズと、上記対物レンズによる上記位相シフトマスクの像を読み取る撮像手段と、その手段によって読み取った像の画像解析を行う画像解析手段とを備え、上記照明手段と上記対物レンズと上記撮像手段とによって構成される光学系のレーリーの解像限界は、上記位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しない値であり、上記画像解析手段は、上記撮像手段によって読み取った像の光強度分布を解析することによって上記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査する手段であることを特徴とする。
【0011】
このような位相シフトマスク検査装置において、上記画像解析手段は、上記撮像手段によって読み取った像の検査対象以外の部分に対してマスク処理を行い、検査対象部分のみを取り出すマスク処理手段を有し、上記検査対象部分のみについてローカル位相欠陥の検査を行う手段であるとよい。
さらに、上記画像解析手段が、上記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に、その欠陥部の光強度とその周囲の光強度を比較することにより上記ローカル位相欠陥の寸法を算出する手段を備えているとよい。
【0012】
あるいは、同一のパターンを複数形成した位相シフトマスクの検査を行う位相シフトマスク検査装置の場合には、上記位相シフトマスクを少なくとも上記対物レンズによる観察方向と垂直な平面上で移動させるための移動手段をさらに設け、上記画像解析手段を、上記撮像手段によって読み取った上記位相シフトマスク上の2つのパターンの対応する部分の像における光強度分布の差を解析することによって上記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査する手段にするとよい。
さらにまた、上記位相シフトマスク上に形成されるパターンの設計値と、上記照明手段と上記対物レンズと上記撮像手段とによって構成される光学系の特性値とから上記撮像手段によって読み取られる像の光強度分布を算出する光強度分布算出手段を設け、上記画像解析手段を、上記撮像手段によって読み取った像の光強度分布と上記光強度分布算出手段によって算出した光強度分布との差を解析することによって上記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査する手段にしてもよい。
【0013】
これらの位相シフトマスク検査装置において、上記画像解析手段が、上記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に、その欠陥部における光強度差とその周囲における光強度差を比較することにより上記ローカル位相欠陥の寸法を算出する手段を備えるようにするとよい。
また、上記照明手段をリング状落射照明による照明手段にするとよい。
さらに、上記画像解析手段が上記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合にそのローカル位相欠陥の位置情報を外部機器に出力する手段を設けるとよい。
【0014】
また、この発明による位相シフトマスク検査方法は、前述の目的を達成するため、検査対象の位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明し、上記位相シフトマスクの像を、その位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しないようなレーリーの解像限界を持つ光学系によって撮像し、その像の光強度分布を解析することによって上記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査することを特徴とする。
このような位相シフトマスク検査方法において、上記光学系によって撮像した像の検査対象以外の部分に対してマスク処理を行って検査対象部分のみを取り出し、上記検査対象部分のみについてローカル位相欠陥の検査を行うようにするとよい。
【0015】
さらに、上記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に、その欠陥部の光強度とその周囲の光強度とを比較することにより上記ローカル位相欠陥の寸法を算出するようにするとよい。
この発明による位相シフトマスク検査方法はまた、検査対象が同一パターンを複数形成した位相シフトマスクである場合、その検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明し、上記位相シフトマスクの像を、その位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しないようなレーリーの解像限界を持つ光学系によって上記同一パターンのうち2つのパターンについて対応する位置で撮像し、その2つの像の光強度分布の差を解析することによって上記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査する。
【0016】
あるいは、検査対象の位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明し、上記位相シフトマスクの像を、その位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しないようなレーリーの解像限界を持つ光学系によって撮像し、その像の光強度分布と、上記位相シフトマスク上に形成されるパターンの設計値と上記光学系の特性値とから算出される像の光強度分布との差を解析することによって上記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査するようにしてもよい。
これらの位相シフトマスク検査方法において、上記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に、その欠陥部における光強度の差とその周囲における光強度の差とを比較することにより上記ローカル位相欠陥の寸法を算出するようにするとよい。
また、上記照明をリング状落射照明によって行うようにするとよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
〔検査原理:図7乃至図12〕
この発明による位相シフトマスク検査装置及び検査方法は、従来のように位相シフトマスク上の位相シフタの厚みやガラス基板の腐食深さを計測するのではなく、その位相シフトマスクが作り出す光分布を、低開口数で且つ低倍率の結像系を照明光の波長との関係がレーリーの解像限界に対応する解像力よりも小さくなるように設定し、且つ均一に照明することのできる照明光学系と組み合わせて撮像し、位相シフトマスク透過後の光量分布を計測演算することにより、位相シフトマスク上のローカル位相欠陥の検査を行うものである。
【0018】
そこでまず、この検査原理について図7乃至図12を用いて説明する。
図7は、この発明の位相シフトマスク検査装置及び検査方法によって発見しようとするローカル位相欠陥の例を示す図、図8は無欠陥のL&Sパターンを観察した場合の光強度分布の計算値を示す図、図9はローカル位相欠陥のあるL&Sパターンを観察した場合の光強度分布の計算値を示す図、図10は無欠陥のL&Sパターンを透過する光の光量分布について説明するための図、図11はローカル位相欠陥のあるL&Sパターンを透過する光の光量分布について説明するための図、図12は落射照明によってローカル位相欠陥のあるL&Sパターンを撮像した場合の光量分布について説明するための図である。
【0019】
半導体メモリ作成用位相シフトマスクのローカル位相欠陥の典型的な例として、図7に示すものが挙げられる。この例は、ガラス基板の腐食によって設けた位相シフト部214の一部の深さが、製造工程上の不具合や誤差、または「ゆらぎ」によって変動してローカル位相欠陥部215になっているものである。
ここで、ローカル位相欠陥部215の寸法誤差をDnmとし、パターン自体の線幅は透過部がLμm、不透過部がSμmであるとすると、ウエハ上にスポットを転写してしまうローカル位相欠陥の実例としては、例えばL&S=1μm、D=60nmのものがある。このサイズの欠陥は、通常の光学顕微鏡では、解像力が不足するために見ることができない。また、このサイズの欠陥を従来の欠陥検査装置で発見するのは至難である。なぜなら、従来の欠陥検査装置は寸法計測を行うものであり、従来の技術の項で説明したように、寸法計測精度が不充分であったり、精度はあっても計測時間が膨大であったりするからである。以下、主に上記の典型的なローカル位相欠陥の例を用いて説明する。
【0020】
この発明は、位相シフトマスク上のローカル位相欠陥が転写されるものであれば、その光分布に変動が内包されているのであるから、位相シフトマスクが作り出す光分布を詳細に分析することにより、転写され得るローカル位相欠陥を発見しようとするものである。
そのために、低開口数かつ低倍率の光学系を用い、照明波長を光学系の解像力がレーリーの解像限界よりも小さくなるように設定する。そうすると、位相欠陥のないL&Sパターンの形成された位相シフトマスクの対物レンズによる像は、図8の直線122に示すような一定の均一な光量分布となる。ここで、折れ線121はL&Sパターンの幅を示している。
【0021】
この一定値は、位相差やコヒーレンス度に応じて変化する。ここでの例は位相差が180度の場合で、この場合の一定な像面光量は、L&Sパターンの寸法やコヒーレンス比に応じて0から約0.15程度である。ただし、「1」は、パターンのないマスクの像面光量(最大透過光量)である。
これに対して、位相シフトマスクに図7に示すようなローカルな位相欠陥がある場合は、光量分布が一定値から変化する。このような位相シフトマスクの像の光量分布を計算すると、図9の曲線124に示すようになる。ただし、L,S=1μm,欠陥サイズD=60nm,NA=0.09,照明波長λ=578nm、対物レンズの倍率は5倍とした。また折れ線123は、L&Sパターンの幅を示したものである。
【0022】
図9からわかるように、低開口数の対物レンズを用い、観察対象のパターンを解像しないようなレーリーの解像限界を持つ光学系によって結像させることにより、ローカル位相欠陥の部分を拡大することができる。この場合、位相シフトマスク上での60nmの縦方向の欠陥が、像面上では、矢印Yで示すように横方向に20μmに拡大されている。なお、5倍の対物レンズを用いているので、L&Sパターンの幅は5μmである。
通常、マスク上のローカル位相欠陥自体は、高倍率の顕微鏡を用いても見ることは難しい。しかし、低倍率のルーペを用いた肉眼での観測で、ローカル位相欠陥が発見される場合がある。これは目を含む光学系が低倍率、低開口数の条件を満たして、網膜上にスポットが形成される場合である。位相シフトマスクの製造に携わる熟練者が、低倍率のルーペや実体顕微鏡でローカル位相欠陥を発見しようとするのは、このためである。
【0023】
さらに、低倍率レンズであれば、一回の検査エリアを大きくすることができる。5倍の対物レンズと2/3インチCCDカメラを用いた場合は、一回の検査エリアは1.2mmである。そうすると、100mmの位相シフトマスクの全面を検査する場合の検査回数は約7千回となる(一辺100mm/1.2mm=83、ゆえに検査回数は83回)。従って、一回の検査に要する時間が仮に0.1秒とすると、検査時間は約12分弱となる。従来技術の説明で仮定したように一回0.001秒とすれば、検査時間は10秒以下となる。
このように、この発明によれば、高分解能装置の場合には数日から数十日を要する検査を、数分から数十分という短時間で完了するような、高速の装置を構成することができる。
【0024】
この発明によれば、光強度分布の解析により、ローカル位相欠陥のサイズを計測することもできる。次に、この点について説明する。
低開口数かつ低倍率の光学系を用い、照明波長を光学系の解像力がレーリー解像限界よりも小さくなるような光学系を用いた場合には、ローカル位相欠陥の位相および欠陥のサイズDは、欠陥部分が作り出す光強度とその周辺部分が作り出す光強度を比較することで算出することができる。
欠陥部の位相差χを具体的に書き表すと、数1に示すようになり、これは照明方法によらない。
【0025】
【数1】
Figure 0004518704
【0026】
ここでφは欠陥のない場合の位相差であり、Cは欠陥部分と周辺部分のコントラストである。コントラストは、欠陥部スポットの光強度Iχと、周辺の光強度Iφとから数2で定義される、測定可能なパラメータである。
【0027】
【数2】
Figure 0004518704
【0028】
欠陥のサイズDは、透過照明の場合、スポットの光強度Iχと、周辺の光強度Iφおよび照明波長λとガラス基板の屈折率nから、数3によって求めることができ、落射(反射)照明の場合は、空気の屈折率をn、落射照明の基板に対する入射角をθとして、数4によって求めることができる。
【0029】
【数3】
Figure 0004518704
【0030】
【数4】
Figure 0004518704
【0031】
この点についてさらに詳しく説明する。まず、透過照明を用いる場合について説明する。
位相シフトマスクでは、隣り合う透過部分を透過した光の位相が約180度異なるため、像面上でこれらが重ね合わされると打ち消し合う。低開口数かつ低倍率の光学系を用い、照明波長を光学系の解像力がレーリー解像限界よりも小さくなるように設定すると、ローカル位相欠陥の無いL&Sパターンを形成した位相シフトマスクの対物レンズによる像は、一定の均一な光量分布となる。この一定値はL&Sの寸法や位相差及びコヒーレンス度に応じて変化するが、位相差が180度の場合は、0から約0.15程度である。ただし、「1」は、パターンのないマスクの像面光量に規格化している。ローカル位相欠陥があれば欠陥部の光分布はこの一定値から変化するが、その変化の大きさは欠陥のサイズDに依存している。
【0032】
図10に示すような、隣り合いかつ位相差のある光束A,A′が像面上で重ね合わされるとする。光波A,A′の振幅aは等しく、位相はφだけ違っているから、光波A,A′はそれぞれ余弦関数を用いて数5のように書き表すことができる。ここで、ωは光波の角速度、tは時間、αは初期位相である。
【0033】
【数5】
Figure 0004518704
【0034】
簡単のために、ωt+α=Ωとすると、像面上すなわちセンサ面上での光の強度A+A’は数6のようになる。
【0035】
【数6】
Figure 0004518704
【0036】
実際に計測されるのは光強度の時間平均Iφであるが、数6で時間に依存するのはcos(Ω+φ/2)のみであり、これの2乗平均は1/2であるから、数7のようになる。ここで、<>は時間平均を表わす。
【0037】
【数7】
Figure 0004518704
【0038】
従って、低開口数かつ低倍率の光学系を用い、照明波長を光学系の解像力がレーリー解像限界よりも小さくなるように設定すると、L&Sパターンを形成した位相シフトマスクの対物レンズによる像は、一定の均一な光量分布となる。
次に、図11に示すような、ローカル位相欠陥部215を透過した光波Bと光波B′がセンサ面上につくる像の光強度について考える。その光強度Iχは、光波B,B’の位相差をχとすると、数7と同様に計算して数8のようになるので、位相欠陥のない部分とは異なった明るさのスポットを形成する。
【0039】
【数8】
Figure 0004518704
【0040】
スポットのコントラストCは、数9で表される。
【0041】
【数9】
Figure 0004518704
【0042】
これをcos(χ/2)について解くと、数10のようになる。
【0043】
【数10】
Figure 0004518704
【0044】
従って、φは設計上の(欠陥がないとした場合の)位相差であるので、スポットのコントラストCを計測すれば光波BとB′の間の位相差χを求めることができる。具体的に書き表すと、数11のようになる。
【0045】
【数11】
Figure 0004518704
【0046】
欠陥のサイズDは、光路長nDに2π/λを掛けたものが位相差であり、数12が成り立つので、数13によって求めることができる。ここで、nはガラス基板の屈折率、λは照明波長である。
【0047】
【数12】
Figure 0004518704
【0048】
【数13】
Figure 0004518704
【0049】
あるいは、数5において入射光の振幅を「1」に規格化しておけば、a=1であり、数13の代わりにスポットの光強度Iχと、周辺の光強度Iφとから、数14によって求めることもできる。
【0050】
【数14】
Figure 0004518704
【0051】
次に、落射照明を用いる場合について説明する。
図12に示すような、ローカル位相欠陥部215で反射した光波Bと光波B′とがセンサ面上につくる像の光強度について考える。入射光がガラス基板の法線となす角をθとすると、位相欠陥がない部分と、位相欠陥がある部分との位相差Ψは、空気の屈折率をnとすると、
Ψ=4nDπ/(λcosθ)
であり、位相差Ψは
Ψ=χ−φ
であるから、欠陥のサイズDは数15によって求めることができる。入射振幅が「1」に規格化されているときは、数16によって求めることもできる。
【0052】
【数15】
Figure 0004518704
【0053】
【数16】
Figure 0004518704
【0054】
以上の例は、ガラス基板を削り込んで位相差を持たせたタイプの位相シフトマスクについて説明したが、位相シフタを基板の上に設けるタイプのものについても全く同様な式が成立する。基本的な式は、透過照明に対する数14であり、屈折率nは光が通過する媒質のものであるとすれば良い。落射照明では、これに因子cosθ/2が掛かる。従って、落射照明の場合には透過照明と同程度の光強度差の観察でcosθ/2(<1)倍程度のサイズの欠陥まで発見することができる。これは、光路差が往復の長さになると共に斜めになるので、位相差が光路差の増加分である2/cosθ倍に拡大されるためである。従って、この発明を実施するにあたっては、落射照明を用いることが好ましい。また、入射角θを大きくすると、cosθ/2が減少してより小さなサイズの欠陥まで発見できるようになると共に、ガラス基板表面での反射率が増加し、観察可能な光量が増加してより微細な光強度差を観察できるようになるので、落射照明の場合に入射角θを大きくすると、効果的である。
【0055】
ここで、数値的な実例を挙げる。例えば、光強度を8ビットのデジタル信号化するものとし、最大強度を255、最小強度を0とし、照明波長λ=0.548μm、ガラス基板の屈折率を1.68であるとし、測定されたIχとIφをそれぞれ50,100であるとするならば、
χ=50/255=0.196
φ=100/255=0.392
であるから、D=22.6nmとなる。この時の位相差は約30度である。
このようにして、本発明によればローカル位相欠陥を高速に検知すると共に、その光強度分布から欠陥のサイズを計算することが可能である。
【0056】
〔実施形態:図1乃至図3〕
次に、この発明の位相シフトマスク検査装置の実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。図1はこの発明の実施形態である位相シフトマスク検査装置の概略構成を示す正面図、図2はその光学系の構成を示す図、図3はその光学系の別の構成例を示す図である。
【0057】
図1に示すように、この実施形態の位相シフトマスク検査装置は、検査機本体1,ローダ2,画像処理装置3からなる。
検査機本体1はCCDカメラ4,XYZテーブル5,マスクホルダ6,結像光学系8,架台13,照明系20によって構成される。
CCDカメラ4は、撮像手段であり、結像光学系8によって形成される像を画像データに変換する装置である。このCCDカメラ4は画像処理装置3に接続されていて、取得した画像データは画像処理装置3に転送されて解析される。
【0058】
XYZテーブル5は、移動手段であり、検査対象である位相シフトマスク7を固定するマスクホルダ6を保持し、結像光学系8の対物レンズとの位置を調整するためのテーブルである。このXYZテーブル5は、水平方向の位置を調整して検査領域に合わせるための電動XYテーブルと、対物レンズと位相シフトマスク7との間隔を調節してフォーカスを合わせるための電動Zテーブルとで構成されている。
【0059】
マスクホルダ6は、検査対象である位相シフトマスク7を固定するためのホルダであり、XYZテーブル5を構成する電動XYテーブルに固定されている。位相シフトマスク7のマスクホルダ6へのセットは、人の手によって行っても、ローダと呼ばれる自動装着装置によって行ってもよい。マスクホルダ6からの取り外しも、人の手によって行っても、アンローダと呼ばれる自動脱却装置によって行ってもよい。この実施形態においては、上述のローダとアンローダの機能を併せ持つローダ2によって行うこととしている。
【0060】
結像光学系8は、透過照明された位相シフトマスク7の像をCCDカメラ4の受光面上に結像させるための光学系であり、照明系20はその透過照明を行うための光学系である照明手段であるが、これらについては後に詳述する。
架台13は、検査機本体1の全体を強固に保持するためのもので、ゆれや振動を防止する構造を持つものである。
【0061】
ローダ2は架台14上に載置され、マスクホルダ6に位相シフトマスク7の着脱を行うための装置であるが、この発明に必須の構成ではない。
画像処理装置3は、架台15上に載置された画像解析手段であり、CPU,ROM,RAM等によって構成されるコンピュータ本体10と、表示装置(モニタ)11によって構成され、通常のパーソナルコンピュータ等を用いることができる。CCDカメラ4が取得した画像データは、この画像処理装置3に転送してマスク処理やフィルタ処理等の後述する解析処理を行い、位相シフトマスク7におけるローカル位相欠陥の有無を判定する。またこの画像処理装置3は、この位相シフトマスク検査装置全体を統括制御する制御手段でもある。
【0062】
このような位相シフトマスク検査装置によってローカル位相欠陥の検査を行う場合、位相シフトマスク7に欠陥があるときは、CCDカメラ4の画像に、図9に示したような、周辺よりも明るいかまたは暗い光量変動が発生するので、画像処理装置3が、解析処理によってその光量変動を発見した場合には、その位置にローカル位相欠陥があったものとしてその位置を記憶する。欠陥の詳細を出力する場合には、記録した欠陥の部分の画像データを前述した方法で処理し、欠陥サイズ等の必要なデータを計算して表示する。
【0063】
既に述べたように、この発明の位相シフトマスク検査装置は、ローカル位相欠陥が作り出す光強度分布変動を検知することによりその存在とサイズを検出・測定する。そして、検査原理の項で説明した数値例から明らかなように、数nmのローカル位相欠陥を検出するためには数%の光量差を検出しなければならない。従って、照明系20と結像光学系8による像面照度の変動は、ローカル位相欠陥が作り出す光強度分布変動に比べて十分に小さくしなければならない。そうしなければローカル位相欠陥が作り出す光強度分布変動は光学系による変動に覆い隠されてしまうからである。
【0064】
この実施形態の位相シフトマスク検査装置においては、光学系における光強度分布変動を低減し、均一な照明を行うために、図2に示す光学系を採用している。次に、この光学系について説明する。
この光学系においては、ランプ21から放射された光はカイルプリズム22で放射状に拡散される。これは、ランプ21の中心光量が周辺に比較して強いので、中心部の光量を周辺部に分散させて光の強さを平均化させるためである。
カイルプリズム22を通過した光は第1のカレイドスコープ23に入射する。カレイドスコープは万華鏡セルであり、ランプの虚像を多数個作り、光を多重化することで照明光量の均一化を行うための光学素子である。
【0065】
第1のカレイドスコープ23を通過した光は、ランプハウスと光学系を遠くに離して熱による変動を防ぐ為に光ファイバ24を通し、さらに第2のカレイドスコープ25を通過させる。
その後、照明光を単波長化して対物レンズをレーリー解像力以下にするための干渉フィルター26及び、平行光線で照明するケーラー照明を行うためのコンデンサ27を通して位相シフトマスク7を照明する。ここで、図2ではXYZテーブル5とマスクホルダ6は図示を省略しており、図1に示した照明系20は光ファイバ24からコンデンサ27までの構成である。
【0066】
位相シフトマスク7を透過した光は、対物レンズ28によって集光され、リレーレンズ29を介してCCDカメラ4の受光面に結像される。リレーレンズ29は、倍率を僅かに変更することでモアレの発生を抑止するための光学素子である。位相シフトマスクの像パターンとCCDカメラの画素ピッチが整数比の関係にあると、モアレパターンが像面上に発生することがあるため、これを防ぐために、例えば0.8倍乃至1.2倍程度のリレーレンズ29を用いて、像の倍率を変更してモアレの発生を防止するのである。
【0067】
ところで、前述のように、この発明の位相シフトマスク検査装置に落射照明を適用することは効果的である。そこで、次にこの落射照明の例について説明する。この落射照明の照明系については図3に示しているが、図3では光源部の構成は簡略化して示しており、図示はしていないが、図2のランプ21から干渉フィルタ26までの構成を備えている。また、リレーレンズは図示を省略している。
【0068】
図2に示した光源であるランプ21から出射され、干渉フィルタ26までの構成によって均一な単波長光になった光は、コンデンサ27によって平行光線になり、リングスリット31でリング状に整形される。このリングスリット31のスリット部にはハエの目レンズ等を配置して照明光量の均一化を行うようにしてもよい。スリットを出た光は、リング状の穴明きミラー32によって反射され、リング状コンデンサ33によって集光されて位相シフトマスク7を照明する。位相シフトマスク7の表面からの反射光は、リング状コンデンサ33の内部に配置された対物レンズ34によって集光され、図示しないリレーレンズを介してCCDカメラ4の受光面に結像される。このような照明系は、リング状落射照明と呼ばれる。
【0069】
前述のように、落射照明の入射角θを大きくするほどローカル位相欠陥の検知感度が上昇するので、θは大きいほうが望ましいが、そうするためにはリングスリット31,穴明きミラー32,リング状コンデンサ33の直径を大きくしなければならないので、配置スペースや加工性の問題が生じる。従って、これらの兼ね合いで適切なθを選択するとよい。
【0070】
〔動作例1:図4乃至図6,図13,図14〕
次に、この実施形態の位相シフトマスク検査装置の動作例として、実際の検査方法について、図4乃至図6及び図13,図14を用いて説明する。図4は位相シフトマスクの検査領域について説明するための図、図5及び図6はこの実施形態の位相シフトマスク検査装置におけるデータ処理について説明するための図、図13はその位相シフトマスク検査装置における位相シフトマスク検査の処理を示すフローチャート、図14はその位相シフトマスク検査装置における検査結果の表示例を示す図である。
【0071】
以下に説明する動作例は、透過照明を用いた場合にも落射照明を用いた場合にも同様に当てはまるものであるが、ここでは透過照明を前提にして説明する。また、ここではまずメモリ回路作成用の位相シフトマスク(以下「メモリマスク」と略称する)を検査する場合の例について説明する。
前述したように、対物光学系としては低倍率低開口数のものを採用する。この実施形態では、5倍の対物レンズを用い、CCDカメラとして2/3インチのものを用いている。この場合には、一回に取りこまれる検査領域の画像のサイズは約1.2mmである。
【0072】
取り込まれた位相シフトマスク(メモリマスク)の画像には、その特性から、図4に示すように、配線パターン等を形成する部分に対応する粗パターン領域111と、メモリパターン等を形成する部分に対応する微細パターン領域112とがある。このうち、粗パターン領域111では位相シフトは行わないのでローカル位相欠陥は発生しない。従って、検査対象となるのは、ローカル位相欠陥が発生する可能性のある微細パターン領域112である。
そこで、画像の濃度分布(透過光強度分布)を検査し、微細パターンに対応する適切な濃度部分を切り出す処理を行う。換言すれば、粗パターン領域111を遮蔽するマスクを作成し、全画像に対してマスク処理を行う。微細パターン部分の標準的な濃度は、前述したようにパターンのサイズ及び位相差とコヒーレンス度から求められるので、この濃度から大幅にずれた部分が長く連続した領域をマスクするようにすればよい。またこのマスクは、検査対象の位相シフトマスクの設計パターンを基に作成することもできる。なお、ここで「濃度」とは画像の白レベルのことである。従って、「濃度が高い」場合には画像が白く、マスクの透過率が大きいことになる。
【0073】
この実施形態の位相シフトマスク検査装置は、前述のように、低開口数の対物レンズを用いることにより、位相シフトマスク上の微細なパターンの大きさがレーリー解像限界以下となるようにしているため、微細パターン領域112は解像されず、図8を用いて説明したようにその濃度は一定になる。
もしローカル位相欠陥があれば、その部分の拡大されたエリアは図9を用いて説明したように異なった濃度値を取る。この実施形態の位相シフトマスク検査装置は、この濃度値の異なる部分を検出することによってローカル位相欠陥を検出するが、そのためにある種の絶対値微分フィルタを用いて画像処理を行い、濃度値変化を増幅する。ただし、ここで用いるフィルタはソーベルフィルタのように平均レベルが0になるものではなく、平均レベルは変化させないものが望ましい。
【0074】
このフィルタ処理を行うことで、変化部分を強調すると同時に、欠陥部分の濃度が最大値を持つようにすることができる。また、像面上に照明系の照度不均一性等に起因する誤差があった場合でも、一般にその誤差による変化よりも急峻な、欠陥部分の濃度変化を強調することができる。
従って、ローカル位相欠陥がある場合、その場所を特定するには、フィルタ後の濃度値が最大となる場所を求めれば良い。欠陥が無い場合は、理論上は濃度は一定値を取るが、実際に計測された濃度は、照明系の照度不均一性やCCDカメラの暗電流ノイズの影響である幅を持つので、この幅をΔとする。
【0075】
濃度の最大値からΔだけ下のレベルで検査画像を2値化すると、欠陥が無い場合は図5の曲線105に示すように、検査エリアのほとんど全ての部分が「1」となる。ここで「1」は閾値より濃度の高い白レベルを表わす。一方ローカル位相欠陥がある場合は、図6の曲線106に示すように、最大値からΔだけ下のレベルで2値化しても欠陥部分だけが安定して「1」である。ここで、曲線105及び106は、図8の直線122及び図9の曲線124の示す画像データに上述の画像処理を施したものであり、パターンの幅を示すために図5及び図6には折れ線101及び103もそれぞれ示している。
このような処理を行い、2値化により「0」レベルの中に安定した「1」レベルの場所ができるならば、その場所にローカル位相欠陥が存在し、全体的に「1」レベルになるならば無欠陥であると判断する。
【0076】
次に、この実施形態の位相シフトマスク検査装置を用いた実際の検査手順について説明する。
ユーザは、まず図1に示した位相シフトマスク検査装置のマスクホルダ6に、検査対象である位相シフトマスク7を手動又はローダ2を用いて自動でセットし、画像処理装置3の図示を省略したキーボードやマウスを用いて、検査する全エリア、照明光量、フォーカスなどを適切に設定する。そして、検査の開始を指示すると、この装置は図13のフローチャートに示す処理を開始する。
【0077】
まず、ステップS1でXYZテーブル5によって検査対象の位相シフトマスク7を検査開始点に移動し、ステップS2でその検査エリアにおける像をCCDカメラ4によって画像データとして取り込み、画像処理装置3に転送する。
そしてステップS3で、その画像データに前述したマスク処理を行い、検査対象となる微細パターン領域のデータのみを取り出す。
その後、ステップS4で検査対象エリアに対して変化点を強調するフィルタ処理を施す。このフィルタ処理には、一種の絶対値微分フィルタを用いる。従って、濃度(明るさ)の変化点が強調される。ローカル位相欠陥は、周辺に比較して明るくなるように変換される。欠陥がなければ、このフィルタ処理により検査エリアはほぼ同一の濃度になる。
【0078】
そしてステップS5でフィルタ処理後の画像データについて、濃度の最大値を求め、その最大値よりΔだけ小さい濃度を閾値としてその画像データを2値化した2値化データを作成する。ここでΔとは、濃度は照明系の照度不均一性やCCDカメラの暗電流ノイズの影響である幅を持つので、フィルタ処理後に残るこれらのノイズの大きさをΔとし、最大濃度からΔだけ下のレベルを閾値として二値化処理を行うものである。
【0079】
前述したように、この時ほとんど全画面が「1」であればローカル位相欠陥は存在せず、ローカル位相欠陥があれば、その点だけが「1」で、残りのエリアは「0」となるので、ステップS6では2値化後のデータがほとんど「1」かどうか判断し、NoであればステップS7に進んで欠陥ありと判断する。ここで、「1」は最大の明るさ、「0」は最小の明るさ(濃度)のことである。また「ほとんど」の基準は、データが「1」であるドットの数として、検査エリアにそれだけの数の欠陥があるとはとても考えられないような数、例えば「50」などを適宜設定するとよい。
【0080】
そして、ステップS7からステップS8に進んで、そのデータが「1」であった位置を欠陥の位置として記録する。データが「1」の領域がある程度広い場合には、その中心の位置を記録するとよい。さらにステップS9で、フィルタ処理前の画像の濃度変化の大きさから前述の方法で欠陥のサイズを算出して位置と共に記録してステップS10に進む。
ステップS10では、Δをわずかに増加させて、再度フィルタ処理後の画像データについてその最大値よりΔだけ小さい濃度を閾値としてその画像データを2値化した2値化データを作成する。そして、ステップS6に戻って処理を繰り返す。
【0081】
1度目のステップS6の判断では、ローカル位相欠陥が複数あった場合でもそのうち画像での濃度変化が最大になるものしか検出できないが、ローカル位相欠陥が発見された場合にこのように閾値を下げて再度判定を行うことにより、画像での濃度変化がより小さいローカル位相欠陥も検出できるようになる。なお、ある検査位置においてステップS8及びステップS9を2度以上実行する場合には、新たに発見されたローカル位相欠陥のみのデータを記録するようにしてもよい。
ここで、ローカル位相欠陥が検出された場合にステップS10でΔを増加させていくと、次第に検出されるローカル位相欠陥の数(すなわちデータが「1」のドットの数)が増してくるが、その数が実際には検査エリアに存在し得ないと考えられる数になった場合には、新たにローカル位相欠陥として検出されるものはノイズであると考えられる。
【0082】
従って、ステップS6で判断基準の例として示した「50」は、数としては「ほとんど」全画面とは言えないような僅かなドット数であるが、このようなノイズが検出された場合にそれ以上ローカル位相欠陥はないと判断するためには好適な基準である。なお、ローカル位相欠陥がない場合又はΔを増加させた結果閾値がローカル位相欠陥のない領域の濃度よりも下がった場合には直ちにぼぼ全域に亘ってデータが「1」になるが、この場合にはデータが「1」のドット数はもちろん50以上であり、データはほとんど「1」であると判断される。
【0083】
ステップS6でYesであれば、ステップS11でステップS6の判断が現在の検査位置において初回かどうか判断する。
初回であればステップS12に進んで現在の検査位置にはローカル位相欠陥はないと判断し、ステップS14に進む。初回でなければ、ステップS13に進んで現在の検査位置にはこれまでに検出した以上のローカル位相欠陥はないと判断し、ステップS14に進む。
ステップS14では、現在位置が検査の最終位置であるかどうか判断し、最終位置であれば終了する。最終位置でなければ、ステップS15に進んでXYZテーブルによって位相シフトマスク7を次の検査エリアを検査する位置に移動し、ステップS2に進んで処理を繰り返す。
【0084】
このような処理によって、位相シフトマスク上のローカル位相欠陥の位置とサイズを検出することができる。この処理において、ステップS3からS13の画像処理と、それ以外のデータ取り込み処理を順に行う例を示しているが、画像データを記憶する記憶手段の容量に余裕がある場合には、画像データの取り込みと画像処理を並列に行ってもよく、画像データを先に蓄積してしまうようにしてもよい。
このような処理によって検出した欠陥部分(あるいは欠陥がないという検査結果)の表示例を図14に示す。この表示は、図1に示した画像処理装置3の表示装置11の表示画面に表示される。
【0085】
この実施形態の位相シフトマスク検査装置では、5倍の対物レンズと2/3インチCCDカメラを用いているので、1回に検査できる検査エリアは1.2mmである。図14の左側の画像表示領域131はその1.2mmの検査エリアの画像を表示しており、四角で囲んだ部分に計3ヶのローカル位相欠陥が検出されたことを表示している。ただし、欠陥部分は強調して表示されている。また、クロスハッチングで示した部分は検査対象外の領域である。またこの実施形態では、1.2mmの検査エリアは左下の端を原点としX,Y方向ともに512の格子点に分割されている。
【0086】
右側のPhase Error Information枠には、このローカル位相欠陥の詳細を表示している。この例では、1番目の欠陥の位置は座標系でX=93,Y=75であり、欠陥部とその周辺との光量差は11.861%、この数値から計算したこの欠陥の深さ変動は68.2nmであること等を表示している。
Inspection Conditions枠はローカル位相欠陥検査の条件を表示している。Mask Typeは位相シフトマスクの種類を、Sensitivityは検査感度の設定を表示している。Critical DimensionのLineとSpaceは、それぞれL&Sパターンの不透過部と透過部の寸法を示している。
その他の表示については詳細にわたるので個々の説明は割愛するが、ユーザはInspection Condition枠に表示された設定を適宜変更することにより、より適切な検査を行うことができる。
【0087】
なお、この実施形態においては対物レンズとして倍率が5倍のものを用いたが、対物レンズの倍率はこれに限られるものではないことは言うまでもない。しかし、倍率が低すぎるとローカル位相欠陥による光量変動をCCDカメラで解析するに十分な程拡大できず、倍率が高すぎると1回に検査できる検査エリアが小さくなってしまうので、ローカル位相欠陥による光量変動スポットをCCDカメラの2画素分程度の大きさに拡大できるような倍率にするとよい。
また、発見した欠陥の位置情報を、電子顕微鏡等の、検査範囲は狭くともより詳細な解析を行うことができる外部の装置に転送する手段を設けてもよい。このようにすれば、高解像度の検査装置を有効に活用して欠陥の詳細を知ることができる。
【0088】
〔動作例2:図15,図16〕
次に、図15及び図16を用いて、一般的な論理回路を形成するための位相シフトマスク(以下「ロジックマスク」とも呼ぶ)を検査する場合の動作例について説明する。図15はこの動作例の検査モードにおけるデータ処理について説明するための図、図16はこの動作例の検査モードにおける位相シフトマスク検査の処理を示すフローチャートである。
メモリマスクの場合は一定なパターンが繰り返すため、ローカル位相欠陥部の光量変動を周辺の光量と比較したが、ロジックマスクでは同一パターンの繰り返しはほとんど無く、周辺の光量もそれに従っていろいろな値を取っている。従ってこの場合、メモリマスクと同様な検出を行うことはできない。
【0089】
ところで、通常、位相シフトマスクを含むフォトマスクでは、同じ回路パターンが別の場所に複数個作られる。また、ローカル位相欠陥は位相シフトマスク製作工程のゆらぎによって発生するため、別の場所に作られた同一パターンの同じ場所に欠陥が発生する確率は極端に小さく、ゼロであるとみなして良い。
そこで、ロジックマスクの場合には、位相シフトマスク上の2つのパターンにおける光分布を比較することにより、ローカル位相欠陥の検出を行うことができる。両方とも正常なパターンであれば、光分布の差は0となり、一方に欠陥がある場合には、光分布の差が検出される。
【0090】
この検出例を図15に示す。正常なパターンとローカル位相欠陥のあるパターンの光強度分布をそれぞれ測定して差を求めると、図15に示すような光分布の変動が得られる。縦軸は2つのパターンにおける光強度の差を示し、横軸は位置を示す。この例の場合は中央付近に欠陥があるため、光強度の差が大きくなっているが、欠陥のない周辺部では差は0である。また、ローカル位相欠陥が無い場合は、光強度の差は全体的に0となる。
ただし、このような解析を行うためには、2つの光強度分布の位置を正確に合わせて差を求めなければならない。位置合わせの精度が不足する場合には、欠陥によらないパターンの光強度分布自体に依存する差が見えてしまう。従って、その差がローカル位相欠陥による光量の変動よりも十分に小さくなるように位置合わせをしなければならない。
【0091】
次に、この実施形態の位相シフトマスク検査装置におけるロジックマスクの検査手順について図16を用いて説明する。この検査手順は、動作例1において説明したメモリマスクの検査手順と同様な点が多いため、図16のフローチャートにおいて図13のフローチャートの処理と対応する部分には同一のステップ番号を付し、その説明は省略するか簡単にする。また、この例では1つのロジックマスク上に2つの同じパターンが形成されているものとする。
【0092】
ユーザは、まず図1に示した位相シフトマスク検査装置のマスクホルダ6に、検査対象である位相シフトマスク7を手動又はローダ2を用いて自動でセットし、画像処理装置3の図示を省略したキーボードやマウスを用いて、検査する全エリア、照明光量、フォーカスなどを適切に設定する。そして、検査の開始を指示すると、この装置は図16のフローチャートに示す処理を開始する。
まず、ステップS1で検査対象の位相シフトマスク7を検査開始点に移動し、ステップS21で1番目のパターンの検査エリアにおける像をCCDカメラ4によって画像データとして取り込み、画像処理装置3に転送する。
【0093】
そして、ステップS22で位相シフトマスク7を2番目のパターンにおける対応する検査位置に移動し、2番目のパターンの検査エリアにおける像を同様にCCDカメラ4によって画像データとして取り込み、画像処理装置3に転送する。
そしてステップS23で、取り込んだ2つの画像データの差の絶対値を求めて検査対象の画像データとする。
そして、この画像データに対してステップS4以降の処理を図13を用いて説明したメモリマスクの検査の場合とほぼ同様に行う。ただし、画像データの濃度が欠陥がない場合にはほぼ0である点が、メモリマスクの検査の場合と異なる。
【0094】
このような処理によって、位相シフトマスク上の欠陥の位置とサイズを検出することができる。ただし、2つのパターンの画像データの差の絶対値に対して処理を行っているため、2つのパターンのどちらに実際に欠陥があるかを決定することはできない。
なお、図9のフローチャートにおいては、検査位置1エリア毎に2つのパターンの画像データを取りこむ例を示しているが、画像データを記憶する記憶手段の容量に余裕がある場合には、まず1番目のパターンについて1ライン或いは全ての画像データを取り込んでから2番目のパターンについて対応する領域の画像データを取り込み、画像処理を行うようにしてもよい。
【0095】
このようにすれば、位相シフトマスクを移動させる距離が減少し、検査時間を短縮することができる。また、画像データの取り込みと画像処理を並列して行うようにしてもよいのは、メモリマスクの検査の場合と同様である。
1つの位相シフトマスク上に3つ以上の同一のパターンが形成されている場合には、2つずつのパターンを選択して上述の検査手順を繰り返すか、1番目のパターンについて画像データを全て記憶しておき、他のパターンを順次そのパターンと比較するようにするとよい。
【0096】
また、複数同一の回路パターンを形成しない位相シフトマスクを検査する場合には、その設計パターンが検査用の対物レンズを通して作り出すであろう光分布と、位相シフトマスクを実際に結像させた像の光分布の差を分析するようにしてもよい。
位相シフトマスク上の位置を指定すれば、その位置の設計上のパターン形状と寸法を求めることができる。光学系の開口数、収差、照明波長およびコヒーレンスレシオは既知であるので、H.H.Hopkinsの部分コヒーレント結像理論を用いて、そのパターンによる像の光強度分布が計算できる。この計算を行う光強度分布算出手段としては、画像処理装置3を用いることもできるし、外部のコンピュータ等を用いて計算したデータを画像処理装置3に入力するようにしてもよい。この計算による値と実際にCCDカメラで測定した光量分布の差を求めても、上述の場合と同様にローカル位相欠陥を検出することができる。
【0097】
このような位相シフトマスク検査装置によれば、任意の位相シフトマスクについて位相シフトマスク上のローカル位相欠陥を高速に検知すると共に、その光量分布を計測演算して欠陥のサイズを計算することが可能となる。もちろん、検査対象は半導体回路形成用の位相シフトマスクに限られるものではない。
また、上述の実施形態及び動作例においては、ローカル位相欠陥の検査に用いる例について説明したが、ごみや傷等による欠陥の場合でも光量分布の変動は当然起こるため、これらの検出に用いることもできることは言うまでもない。
【0098】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明の位相シフトマスク検査装置及び検査方法によれば、従来の検査装置では発見が極めて困難であった欠陥であるローカル位相欠陥を高速、高精度で発見することができ、位相シフトマスクの検査効率を飛躍的に改善することができるため、半導体業界に多大な貢献をするものである。
さらに、ローカル位相欠陥による光量変動から、部分コヒーレント結像理論計算により、欠陥における線幅の変動を求めて表示するようにすれば、従来の寸法計測の精度不足を補い、数十乃至数nmの微細寸法変動をインラインで検査、表示することもできる。
また、欠陥のある場所やサイズのデータを電子顕微鏡その他の検査装置に転送するようにすれば、ローカル位相欠陥について効率的に観察を行うことができ、ローカル位相欠陥発生のプロセス解明や、欠陥修正を行う可能性を与えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である位相シフトマスク検査装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】その光学系の構成を示す図である。
【図3】その光学系の別の構成例を示す図である。
【図4】位相シフトマスクの検査領域について説明するための図である。
【図5】この発明の実施形態である位相シフトマスク検査装置におけるデータ処理について説明するための図である。
【図6】この発明の実施形態である位相シフトマスク検査装置におけるデータ処理について説明するための別の図である。
【図7】この発明の位相シフトマスク検査装置及び検査方法によって発見しようとするローカル位相欠陥の例を示す図である。
【図8】無欠陥のL&Sパターンを観察した場合の光強度分布の計算値を示す図である。
【図9】ローカル位相欠陥のあるL&Sパターンを観察した場合の光強度分布の計算値を示す図である。
【図10】無欠陥のL&Sパターンを透過する光の光量分布について説明するための図である。
【図11】ローカル位相欠陥のあるL&Sパターンを透過する光の光量分布について説明するための図である。
【図12】落射照明によってローカル位相欠陥のあるL&Sパターンを撮像した場合の光量分布について説明するための図である。
【図13】この発明の実施形態である位相シフトマスク検査装置における位相シフトマスク検査の処理を示すフローチャートである。
【図14】その位相シフトマスク検査装置における検査結果の表示例を示す図である。
【図15】その別の検査モードにおけるデータ処理について説明するための図である。
【図16】その検査モードにおける位相シフトマスク検査の処理を示すフローチャートである。
【図17】通常のフォトマスクを用いて転写を行った場合の像の光強度分布の計算値を示す図である。
【図18】図17の場合と同じパターンを位相シフトマスクを用いて転写した場合の像の光強度分布の計算値を示す図である。
【図19】通常のフォトマスクの構成例を模式的に示す断面図である。
【図20】位相シフトマスクの構成例を模式的に示す断面図である。
【図21】位相シフトマスクの別の構成例を模式的に示す断面図である。
【図22】従来の方法で位相シフトマスクを検査する場合の1回の検査範囲の例を示した図である。
【符号の説明】
1:検査機本体 2:ローダ
3:画像処理装置 4:CCDカメラ
5:XYZテーブル 6:マスクホルダ
7:位相シフトマスク 8:結像光学系
10:コンピュータ本体 11:表示装置
13,14,15;架台 20:照明系
21:ランプ 22:カイルプリズム
23:第1のカレイドスコープ
24:光ファイバー 25:第2のカレイドスコープ
26:干渉フィルター 27:コンデンサ
28,34:対物レンズ 29:リレーレンズ
31:リングスリット 32:穴明きミラー
33:リング状コンデンサ

Claims (15)

  1. 検査対象の位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明する照明手段と、前記位相シフトマスクを観察するための対物レンズと、前記対物レンズによる前記位相シフトマスクの像を読み取る撮像手段と、該手段によって読み取った像の画像解析を行う画像解析手段とを備え、
    前記照明手段と前記対物レンズと前記撮像手段とによって構成される光学系のレーリーの解像限界は、前記位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しない値であり、
    前記画像解析手段は、前記撮像手段によって読み取った像の光強度分布を解析することによって前記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査する手段であることを特徴とする位相シフトマスク検査装置。
  2. 請求項1記載の位相シフトマスク検査装置において、
    前記画像解析手段は、前記撮像手段によって読み取った像の検査対象以外の部分に対してマスク処理を行い、検査対象部分のみを取り出すマスク処理手段を有し、前記検査対象部分のみについてローカル位相欠陥の検査を行う手段であることを特徴とする位相シフトマスク検査装置。
  3. 請求項1又は2記載の位相シフトマスク検査装置において、前記画像解析手段が、前記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に、該欠陥部の光強度とその周囲の光強度を比較することにより前記ローカル位相欠陥の寸法を算出する手段を備えていることを特徴とする位相シフトマスク検査装置。
  4. 同一のパターンを複数形成した位相シフトマスクの検査を行う位相シフトマスク検査装置であって、
    検査対象の位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明する照明手段と、前記位相シフトマスクを観察するための対物レンズと、前記対物レンズによる前記位相シフトマスクの像を読み取る撮像手段と、前記位相シフトマスクを少なくとも前記対物レンズによる観察方向と垂直な平面上で移動させるための移動手段と、前記撮像手段によって読み取った像の画像解析を行う画像解析手段とを備え、
    前記照明手段と前記対物レンズと前記撮像手段とによって構成される光学系のレーリーの解像限界は、前記位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しない値であって、
    前記画像解析手段は、前記撮像手段によって読み取った前記位相シフトマスク上の2つのパターンの対応する部分の像における光強度分布の差を解析することによって前記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査する手段であることを特徴とする位相シフトマスク検査装置。
  5. 検査対象の位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明する照明手段と、前記位相シフトマスクを観察するための対物レンズと、前記対物レンズによる前記位相シフトマスクの像を読み取る撮像手段と、該手段によって読み取った像の画像解析を行う画像解析手段と、
    前記位相シフトマスク上に形成されるパターンの設計値と、前記照明手段と前記対物レンズと前記撮像手段とによって構成される光学系の特性値とから前記撮像手段によって読み取られる像の光強度分布を算出する光強度分布算出手段とを備え、
    前記光学系のレーリーの解像限界は、前記位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しない値であり、
    前記画像解析手段は、前記撮像手段によって読み取った像の光強度分布と前記光強度分布算出手段によって算出した光強度分布との差を解析することによって前記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査する手段であることを特徴とする位相シフトマスク検査装置。
  6. 請求項4又は5記載の位相シフトマスク検査装置において、前記画像解析手段が、前記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に、該欠陥部における光強度差とその周囲における光強度差を比較することにより前記ローカル位相欠陥の寸法を算出する手段を備えていることを特徴とする位相シフトマスク検査装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の位相シフトマスク検査装置において、前記照明手段はリング状落射照明による照明手段であることを特徴とする位相シフトマスク検査装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の位相シフトマスク検査装置において、前記画像解析手段が前記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に該ローカル位相欠陥の位置情報を外部機器に出力する手段を設けたことを特徴とする位相シフトマスク検査装置。
  9. 検査対象の位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明し、
    前記位相シフトマスクの像を、該位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しないようなレーリーの解像限界を持つ光学系によって撮像し、
    その像の光強度分布を解析することによって前記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査することを特徴とする位相シフトマスク検査方法。
  10. 請求項9記載の位相シフトマスク検査方法において、
    前記光学系によって撮像した像の検査対象以外の部分に対してマスク処理を行って検査対象部分のみを取り出し、前記検査対象部分のみについてローカル位相欠陥の検査を行うことを特徴とする位相シフトマスク検査方法。
  11. 請求項9又は10記載の位相シフトマスク検査方法において、
    前記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に、該欠陥部の光強度とその周囲の光強度とを比較することにより前記ローカル位相欠陥の寸法を算出することを特徴とする位相シフトマスク検査方法。
  12. 検査対象の、同一パターンを複数形成した位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明し、
    前記位相シフトマスクの像を、該位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しないようなレーリーの解像限界を持つ光学系によって前記同一パターンのうち2つのパターンについて対応する位置で撮像し、
    その2つの像の光強度分布の差を解析することによって前記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査することを特徴とする位相シフトマスク検査方法。
  13. 検査対象の位相シフトマスクを検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明し、
    前記位相シフトマスクの像を、該位相シフトマスク上の検査対象のパターンを解像しないようなレーリーの解像限界を持つ光学系によって撮像し、
    その像の光強度分布と、前記位相シフトマスク上に形成されるパターンの設計値と前記光学系の特性値とから算出される像の光強度分布との差を解析することによって前記位相シフトマスクのローカル位相欠陥を検査することを特徴とする位相シフトマスク検査方法。
  14. 請求項12又は13記載の位相シフトマスク検査方法において、
    前記位相シフトマスク上にローカル位相欠陥を発見した場合に、該欠陥部における光強度の差とその周囲における光強度の差とを比較することにより前記ローカル位相欠陥の寸法を算出することを特徴とする位相シフトマスク検査方法。
  15. 請求項9乃至14のいずれか一項に記載の位相シフトマスク検査方法において、
    前記照明をリング状落射照明によって行うことを特徴とする位相シフトマスク検査方法。
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