JP4518091B2 - 堆積物除去装置及びその使用方法 - Google Patents

堆積物除去装置及びその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は堆積物除去装置及びその使用方法に関するものである。
使用済み燃料の再処理に伴って発生する廃液は、廃液処理設備においてガラス固化処理された後、廃棄物保管施設に保管される。
図11〜図13は廃液処理設備のガラス溶融炉の一例を示すもので、このガラス溶融炉は、耐火材により形成され且つ上下方向中間部分から下方へ向かって水平開口断面が狭まる形状の溶融空間1を有する溶融炉本体2と、該溶融炉本体2を取り囲む断熱材3と、該断熱材3を介して溶融炉本体2を格納するケーシング4とを備え、溶融空間1内に溶融ガラスGを貯留する。
溶融炉本体2は、形成すべき溶融空間1の下側半分を周方向に取り囲むように配置した台形状の4つの傾斜壁5と、該傾斜壁5の上縁端面にそれぞれ載置され且つ溶融空間1の上側半分を周方向に取り囲む矩形状の4つの垂直壁6と、下面周縁部分が各垂直壁6の上縁端面に当接して溶融空間1を上方から覆う頂部壁7とで構成されている。
各傾斜壁5は、耐火レンガ8,9,10を組み合わせたもので、各傾斜壁5の左側縁部とそれに隣接する別の傾斜壁5の右側縁部には、面取り加工が施され、相互に突き合わせ接続されている。
同様に、各垂直壁6の左側縁部とそれに隣接する別の垂直壁6の右側縁部にも、面取り加工が施され、相互に突き合わせ接続されている。
溶融炉本体2の上部には、ケーシング4、断熱材3、及び頂部壁7を略垂直に貫通して溶融空間1に連通する管台11が設けられている。
管台11には、ガラス原料を送給する供給管12と廃液を送給する供給管13とを接続した原料供給器14が取り付けられている。
溶融炉本体2の上下方向中間部分には、ケーシング4、断熱材3、及び垂直壁6を略水平に貫通して溶融空間1内で先端部が向き合う一対の主電極15が設けられている。
溶融炉本体2の下部には、溶融空間1に連通し且つ溶融ガラスGを炉外へ流下させるための流下ノズル16と、該流下ノズル16を周方向に取り囲む誘導加熱コイル17と、溶融空間1の内底部に位置する底部電極18と、流下ノズル16へ冷却空気を吹き付け得る空気噴射管(図示せず)とが設けられている。
原料供給器14の頂部には覗き窓があり、この覗き窓は、通常は原料供給器14上端のフランジ29に締結した蓋30によって閉止されている。
図11〜図13に示すガラス溶融炉では、供給管12から原料供給器14を経て溶融空間1内へ送給されるガラス原料を、溶融炉本体2に付帯するヒータ(図示せず)により溶融させ、また、主電極15と底部電極18とに電力を供給して、溶融空間1内の溶融ガラスGをジュール熱で固化しないように保温する。
このとき、流下ノズル16内でガラスが固化し、溶融空間1から炉外への溶融ガラスGの流出が阻止される。
更に、原料供給器14から溶融空間1内へガラス原料を追加送給すると、当該ガラス原料が溶融ガラスGに溶融し、これに加えて、供給管13から原料供給器14を介して溶融空間1内へ、使用済み燃料の湿式再処理により発生した廃液を送給すると、当該廃液が溶融ガラスGに混ざり合う。
廃液のガラス固化処理を行うときには、流下ノズル16の直下にキャニスタ(図示せず)を配置する。
次いで、誘導加熱コイル17へ電力を供給することによって流下ノズル16を加熱し、当該流下ノズル16内で固化しているガラスを溶融させて、廃液が混入した溶融ガラスGを流下ノズル16からキャニスタ内へ流出させる。
キャニスタに入った溶融ガラスGの量が設定値に近付いたならば、前記誘導加熱コイル17による流下ノズル16の加熱を中断したうえ、空気噴射管から流下ノズル16へ空気を吹き付ける。
これにより、流下ノズル16内で再びガラスが固化し、溶融ガラスGの流下が停止する。
更に、キャニスタを自然風冷すると、その内部で溶融ガラスGが固化し、廃液が含んでいた種々の放射性核種が固化ガラスに封じ込められる。
ガラス溶融炉の運転に際しては、廃液中に含まれている諸成分のうち、溶融ガラスGに溶け込まない白金族元素が、隣接する傾斜壁5の間の空隙に堆積して、炉内で電流の短絡が生じることが懸念される。
そこで、白金族元素が堆積しにくいように改良を施したガラス溶融炉が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このガラス溶融炉にあっては、溶融炉本体を形作る耐火材の組み合わせの仕方を変えることにより、白金族元素が堆積する原因となる傾斜壁の間の空隙をなくす、という工夫を施している。
特開2003−327433号公報
しかしながら、特許文献1のように、溶融炉本体を形作る耐火材の組み合わせの仕方を変えとしても、白金族元素の堆積を完全に解消することはできず、結局は、専用の装置を使って溶融炉本体内の撹拌する必要が生じるが、ガラス溶融炉の設置個所は、放射線管理区域であって作業者が近付けないため、当該装置を天井クレーンやマニピュレータなどで容易に且つ確実に遠隔操作できるようにする必要がある。
本発明は、内底面が傾斜している貯留設備を対象とし、天井クレーンやマニピュレータなどでの遠隔操作に適した堆積物除去装置及びその使用方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、内底面が傾斜した貯留空間が形作られ、外部上方より貯留空間に連なる覗き窓と、貯留空間内に入っている貯留物を外部下方へ流し出す手段とを有する設備を対象とした堆積物除去装置であって、設備の覗き窓から貯留空間へ抜き差し可能で、しかも先端が貯留空間の内底面に当接し得る下部撹拌棒と、該下部撹拌棒の基端に二つ並んで該下部撹拌棒軸線方向へ突出するように形作った突起と、該覗き窓から貯留空間へ抜き差し可能で、しかも基端部分が揚重手段の昇降部材に係合し得る上部撹拌棒と、該上部撹拌棒の先端に該上部撹拌棒軸線方向へ突出するように形作られ且つ該下部撹拌棒基端の二つの突起で挟持される別の突起と、該上部撹拌棒及び下部撹拌棒の双方の軸線に対して直交し且つ該上部攪拌棒先端の突起を下部撹拌棒基端の二つの突起に枢着するジョイントピンと、該下部撹拌棒基端部分と上部攪拌棒先端部分がジョイントピンを介して直線的に連なっているときに、該下部撹拌棒基端の二つの突起及び上部攪拌棒基端の突起の双方に外嵌する位置と該上部攪拌棒のみに外嵌する位置との間を移動可能なジョイントコネクタとを備えたことを特徴とを備えている。
請求項2に記載の発明は、上下に貫かれた開口部に下部撹拌棒及び上部撹拌棒が抜き差しされるフランジと、フランジに取り付けられ、且つ揚重手段の昇降部材が係合し得るベールと、下部撹拌棒がフランジの開口部に差し込まれた状態で、該ジョイントピンにより下部撹拌棒に枢着されている上部撹拌棒を横倒しの姿勢としたときに該上部撹拌棒を支持し得るようにフランジに取り付けたサポートとを有し、フランジをその開口部が設備の覗き窓に連なり得るように構成している。
請求項3に記載の発明は、上部撹拌棒の先端部分近傍、もしくは下部撹拌棒の基端部分近傍が緩角度で屈折させてある。
請求項4に記載の発明は、該下部撹拌棒基端部分と上部攪拌棒先端部分がジョイントピンを介して直線的に連なっている状態で、該ジョイントコネクタを下部撹拌棒基端の二つの突起及び上部攪拌棒基端の突起の双方に外嵌させ、両撹拌棒を覗き窓から設備の貯留空間に差し込み、下部撹拌棒の先端が貯留空間の内底面に当接した状態を保つように両撹拌棒を昇降させて、下部撹拌棒の先端で内底面に付着している堆積物を撹拌する。
本発明の堆積物除去装置及びその使用方法によれば、下記のような優れた効果を奏し得る。
(1)ジョイントピン枢着部位に外嵌するジョイントコネクタにより上部撹拌棒と下部撹拌棒との屈折を阻止するので、下部撹拌棒の先端が貯留空間の内底面に当接した状態を保つように両撹拌棒全体を揚重手段によって昇降させ、前記下部撹拌棒の先端で内底面に付着している堆積物を効率良く撹拌することができ、しかも上部撹拌棒を横倒しの姿勢にすれば、建物天井と設備との間隔が狭く、揚重手段の昇降部材の巻上代があまりとれない状況にも対応できる。
(2)また、ベールとサポートを有するフランジを加えた場合は、横倒しの姿勢の上部撹拌棒と、それにジョイントピンを介して連なる起立した姿勢の下部撹拌棒とを、一体的に運ぶことができる。
(3)上部撹拌棒、もしくは下部撹拌棒を緩角度で屈折させれば、下部撹拌棒の先端が貯留空間の内底面に当接し得る範囲が広がる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜図10は本発明の堆積物除去装置の一例であり、図中、図11〜図13と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
堆積部除去装置の使用対象となるガラス溶融炉は、耐火材により形成され且つ上下方向中間部分から下方へ向かって水平開口断面が狭まる形状の溶融空間1を有する溶融炉本体20と、該溶融炉本体20を取り囲む断熱材3と、該断熱材3を介して溶融炉本体20を格納するケーシング4とを備え、溶融空間1内に溶融ガラスGを貯留する。
溶融炉本体20は、形成すべき溶融空間1の下側半分を周方向に取り囲むように配置した台形状の4つの傾斜壁21と、該傾斜壁21の上縁端面にそれぞれ載置され且つ溶融空間1の上側半分を周方向に取り囲む矩形状の4つの垂直壁6と、下面周縁部分が各垂直壁6の上縁端面に当接して溶融空間1を上方から覆う頂部壁7とで構成され、溶融空間1の下部に底部電極18を設けている。
堆積物除去装置は、溶融炉本体20に付帯する原料供給器14の頂部の覗き窓28から溶融空間1へ抜き差し可能な撹拌棒31と、前記原料供給器14の頂部にフランジ32を介して接続されるガイド33とを備えている。
覗き窓28は、通常は原料供給器14上端のフランジ29に締結した蓋(図11で符号30を付した部材)によって閉止されている。
撹拌棒31は、覗き窓28から溶融空間1へ抜き差し可能で、しかも先端が傾斜壁21に当接し得る下部撹拌棒34、及び覗き窓28から溶融空間1へ抜き差し可能で、しかも基端部分に天井クレーンのフック35(図7参照)が係合し得る上部撹拌棒36と、下部撹拌棒34が起立した姿勢である際に、上部撹拌棒36が起立した姿勢、または横倒しになった姿勢となり得るように、上部撹拌棒36の先端を下部撹拌棒34に基端に枢着するジョイントピン37と、両撹拌棒34,36が起立姿勢であるときにジョイントピン37枢着部位に外嵌でき、両撹拌棒34,36の屈折を阻止し得るジョイントコネクタ38とを、構成要素としている。
下部撹拌棒34の基端に形作ってある双突起は、上部撹拌棒36の先端に形作ってある単突起を挾持し、ジョイントピン37は水平に延びて、双突起と単突起の関節となる役割を果たしている。
上部撹拌棒36は、ジョイントピン37枢着部位よりも少し基端側(図1に示すように上部撹拌棒36が起立した姿勢である場合は上側)で緩角度で屈折させてあり、この屈性個所よりも少しジョイントピン37側の位置には、当該ジョイントピン37の軸線に直交する方向に延びるストッパピン39が前記ジョイントコネクタ38を係止するために突設させてある。
ジョイントコネクタ38の断面形状、並びに両撹拌棒34,36のジョイントピン37枢着部位の断面形状は扁平した円形としてあって、両撹拌棒34,36が起立姿勢であるときにジョイントコネクタ38は、前述したジョイントピン37枢着部位に外嵌する位置と、当該ジョイントピン37枢着部位から離れて上部撹拌棒36のみに外嵌する位置との間を移動できる。
また、ジョイントコネクタ38の扁平部位には、上部撹拌棒36に付帯のストッパピン39に係合可能な切り欠き40が形作ってある。
切り欠き40は、上部撹拌棒36先端側(図3及び図5に示すように上部撹拌棒36が起立した姿勢である場合は上側)を向いているジョイントコネクタ38端面から軸線方向中間へ進み、そこからジョイントコネクタ38周方向に屈折する形状を呈している。
図5における(A)及び(B)の左側の図示は、両撹拌棒34,36のジョイントピン37枢着部位を、当該ジョイントピン37の軸線方向に見たもの、図5における(B)の右側、(C)及び(D)の図示は、両撹拌棒34,36のジョイントピン37枢着部位を、当該ジョイントピン37の軸線方向に対して直交するように水平に見たものである。
つまり、図5(D)に示すように、両撹拌棒34,36が起立した姿勢であるときに、ジョイントピン37枢着部位に外嵌しているジョイントコネクタ38を、上部撹拌棒36に外嵌する位置へと上昇させて、ストッパピン39が切り欠き40に入り込むようにし、図5(C)に示すように、ストッパピン39を切り欠き40底端に突き当てたうえ、図5(B)の右側に示すように、切り欠き40の屈折部位にストッパピン39が入るように、ジョイントコネクタ38を水平移動させると、当該ジョイントコネクタ38が上部撹拌棒36に係止される。
よって、図5における(A)及び(B)の左側に示すように、ストッパピン39を中心に、上部撹拌棒36が起立する位置と横倒しになる位置との間を傾動できる態勢となる。
また、上部撹拌棒36を傾動可能な態勢から起立姿勢に拘束するときには、図5(B)の左側に示すように上部撹拌棒36を起立させたうえ、ジョイントコネクタ38を、図5(B)の右側に示す位置から図5(C)に示す位置へ水平移動させて、ストッパピン39が切り欠き40の屈折部位から抜け出すように、この後、ジョイントコネクタ38を下降させると、図5(D)に示すように、当該ジョイントコネクタ38がジョイントピン37枢着部位に外嵌し、両撹拌棒34,36の屈折を阻止する態勢となる。
上部撹拌棒36の基端には、前記天井クレーンのフック35が係合可能なベール41を有するブラケット42が取り付けてある。
溶融炉本体20周囲は作業者が近付けない雰囲気であるので、上部撹拌棒36の起倒、撹拌棒31全体の昇降及び水平移動は、上部撹拌棒36のベール41にフック35を係合させ、天井クレーンを遠隔操作することにより行い、ジョイントコネクタ38の昇降及び水平移動は、マニピュレータを使って行うことになる。
ジョイントコネクタ38は断面形状は扁平した円形であるので、マニピュレータにより容易に且つ確実に把持できる。
しかもジョイントコネクタ38の昇降及び水平移動で、ジョイントピン37枢着部位の拘束とその解除が可能であるので、マニピュレータの操縦に高度な技術を要さない。
ジョイントピン37枢着部分にジョイントコネクタ38が外嵌しているときに、撹拌棒31を全体的に見ると、当該撹拌棒31は長手方向略中央において緩角度で屈折した形となっている。
つまり、天井クレーンで吊り下げた撹拌棒31を覗き窓28から溶融炉本体20の溶融空間1へ差し込み、下部撹拌棒34の先端が傾斜壁21の下端付近に当接した状態を保つように撹拌棒31全体を昇降させると、傾斜壁21の下端付近を摺動する下部撹拌棒34の先端が、傾斜壁21に付着している白金族元素などの堆積物を撹拌する。
この傾斜壁21付近で撹拌された堆積物は、溶融ガラスGとともに流下ノズル16の直下に配置したキャニスタ内へ流出し、炉内での電流の短絡が回避されることになる。
傾斜壁21に付着した堆積物を下部撹拌棒34の先端で撹拌するという点については、先に述べたように上部撹拌棒36を緩角度で屈折させることに代えて、下部撹拌棒34のジョイントピン37枢着部位よりも少し先端側(図1に示すように下部撹拌棒34が起立した姿勢である場合は下側)で緩角度で屈折させても同様である。
フランジ32は、前記覗き窓28から溶融空間1へ撹拌棒31が抜き差しできるように、原料供給器14上端のフランジ29にクランプ(図示せず)によって締結される。
このフランジ32には、サポート43とベール44が付帯している。
サポート43は、フランジ32に差し込まれて起立している下部撹拌棒34に対して、横倒しの姿勢となった上部撹拌棒36を受ける役割を果たす。
ベール44は、天井クレーンのフック35が係合するためのものであるが、撹拌棒31の昇降を妨げないように、フランジ32に起倒可能に取り付けてある。
ガイド33は、フランジ32の真上に位置させた環状部45に、上向きに延びる複数の突起部46を周方向に所定間隔で設けて、環状部45径方向に相対する複数組のスリットを形作ったものであり、環状部45周方向に隣り合う突起部46の高さ寸法は相違させてある。
上部撹拌棒36の基端部分には、ガイド33のスリットと協働して撹拌棒31の向きを定める位置決め機構が組み込んである。
位置決め機構は、上部撹拌棒36の基端部分に組み込まれた筒状のハウジング47と、当該ハウジング47の内部に軸線方向に移動可能に配置したガイドシャフト48(図10参照)と、当該ガイドシャフト48に付帯するガイドピン49とを、主な構成要素としている。
ハウジング47には、軸線方向に延びる長孔50が、径方向に相対するように形作ってあり、この長孔50に沿って移動し得るように、ガイドピン49はガイドシャフト48を貫いている。
ガイドピン49の全長は、ガイド33の環状部45径方向に相対する1組のスリットの差し渡し寸法間隔に見合うように設定してあり、また、ガイドピン49の両端部分の外径は、ガイド33のスリットに出入りし得るように設定してある。
つまり、天井クレーンで吊り下げた撹拌棒31を覗き窓28から溶融炉本体20の溶融空間1へ差し込むときに、ガイドピン49の両端部分をガイド33の環状部45径方向に相対している1組のスリットに入り込ませると、撹拌棒31の周方向への動きが抑制され、溶融空間1に対して撹拌棒31が緩角度で屈折する方向が一定に保たれる。
ガイド33のスリットにガイドピン49を入り込ませるのに際しては、天井クレーンで吊り下げた撹拌棒31の向きをマニピュレータで調整する必要があるが、先に述べたように、環状部45周方向に隣り合う突起部46の高さ寸法は相違しているので、高いほうの突起部46にガイドピン49が押し付けられようにマニピュレータで撹拌棒31の向きを調整すれば、所望のスリットにガイドピン49を導くことができる。
ガイドピン49がガイド33のスリット底端に突き当たった状態で、ハウジング47の長孔50の全長に見合う範囲で撹拌棒31全体を昇降させると、撹拌棒31の周方向への動きが抑制されたままで、下部撹拌棒34の先端が傾斜壁21に付着している白金族元素などの堆積物を撹拌する。
原料供給器14に対してガイド33を着脱する作業と、溶融空間1に対して撹拌棒31を抜き差しする作業とは同時に行える。
つまり、下部撹拌棒34がガイド33に差し込まれた状態で、ジョイントコネクタ38による拘束を解放した上部撹拌棒36を横倒しにしてサポート43で受け、天井クレーンのフック35をベール44に係合させれば、ガイド33とともに撹拌棒31を同時に吊り下げることができ、更に、上部撹拌棒36が横倒しの姿勢となるので、建物天井と溶融炉本体20との間隔が狭く、フック35の巻上代があまりとれない状況にも対応できる。
上部撹拌棒36を横倒しの姿勢にした撹拌棒31をガイド33と同時に吊り下げるときには、下部撹拌棒34を中心として上部撹拌棒36とは反対側に位置するようにフランジ32に設けてあるブラケット51にウエイト52を載せ、下部撹拌棒34が傾かないように重量分布の適正化を図る。
また、撹拌棒31全体を昇降させて、下部撹拌棒34により傾斜壁21に付着している堆積物を撹拌するときには、上部撹拌棒36を中心として下部撹拌棒34の屈折方向とは反対側に位置するようにブラケット42に前記ウエイト52を載せ替え、下部撹拌棒34が傾かないように重量分布の適正化を図る。
撹拌棒31とガイド33とを備えた堆積物除去装置は、ガラス溶融炉以外にも、貯留空間内底面が傾斜した、液体用もしくは粉粒体用の設備に適用することができる。
なお、本発明の堆積物除去装置及びその使用方法は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
本発明の堆積物除去装置及びその使用方法は、貯留空間内底面が傾斜した様々な設備に適用できる。
本発明の堆積物除去装置の一例を示す概念図である。 図1に関連するジョイントピン枢着部位を示す拡大図である。 図2のIII−III矢視図である。 図3のIV−IV矢視図である。 図1に関連するジョイントピン枢着部位の作動図である。 図1に関連するガイド及び上部撹拌棒の拡大図である。 図1に関連するガイド及びジョイントピン枢着部位の拡大図である。 図1に関連するフランジ及びベールの拡大図である。 図1に関連するガイドの拡大図である。 図1に関連するガイド及びガイドピンの拡大図である。 ガラス溶融炉の一例を示す断面図である。 図11に関連する傾斜壁を上方から見た図である。 図11に関連する傾斜壁の斜視図である。
符号の説明
1 溶融空間(貯留空間)
16 流下ノズル
20 溶融炉本体(設備)
21 傾斜壁(内底面)
28 覗き窓
32 フランジ
34 下部撹拌棒
35 フック(昇降部材)
36 上部撹拌棒
37 ジョイントピン
38 ジョイントコネクタ
43 サポート
44 ベール

Claims (4)

  1. 内底面が傾斜した貯留空間が形作られ、外部上方より貯留空間に連なる覗き窓と、貯留空間内に入っている貯留物を外部下方へ流し出す手段とを有する設備を対象とした堆積物除去装置であって、設備の覗き窓から貯留空間へ抜き差し可能で、しかも先端が貯留空間の内底面に当接し得る下部撹拌棒と、該下部撹拌棒の基端に二つ並んで該下部撹拌棒軸線方向へ突出するように形作った突起と、該覗き窓から貯留空間へ抜き差し可能で、しかも基端部分が揚重手段の昇降部材に係合し得る上部撹拌棒と、該上部撹拌棒の先端に該上部撹拌棒軸線方向へ突出するように形作られ且つ該下部撹拌棒基端の二つの突起で挟持される別の突起と、該上部撹拌棒及び下部撹拌棒の双方の軸線に対して直交し且つ該上部攪拌棒先端の突起を下部撹拌棒基端の二つの突起に枢着するジョイントピンと、該下部撹拌棒基端部分と上部攪拌棒先端部分がジョイントピンを介して直線的に連なっているときに、該下部撹拌棒基端の二つの突起及び上部攪拌棒基端の突起の双方に外嵌する位置と該上部攪拌棒のみに外嵌する位置との間を移動可能なジョイントコネクタとを備えたことを特徴とする堆積物除去装置。
  2. 上下に貫かれた開口部に下部撹拌棒及び上部撹拌棒が抜き差しされるフランジと、フランジに取り付けられ、且つ揚重手段の昇降部材が係合し得るベールと、下部撹拌棒がフランジの開口部に差し込まれた状態で、該ジョイントピンにより下部撹拌棒に枢着されている上部撹拌棒を横倒しの姿勢としたときに該上部撹拌棒を支持し得るようにフランジに取り付けたサポートとを有し、フランジをその開口部が設備の覗き窓に連なり得るように構成した請求項1に記載の堆積物除去装置。
  3. 上部撹拌棒の先端部分近傍、もしくは下部撹拌棒の基端部分近傍が緩角度で屈折させてある請求項1、あるいは請求項2のいずれかに記載の堆積物除去装置。
  4. 該下部撹拌棒基端部分と上部攪拌棒先端部分がジョイントピンを介して直線的に連なっている状態で、該ジョイントコネクタを下部撹拌棒基端の二つの突起及び上部攪拌棒基端の突起の双方に外嵌させ、両撹拌棒を覗き窓から設備の貯留空間に差し込み、下部撹拌棒の先端が貯留空間の内底面に当接した状態を保つように両撹拌棒を昇降させて、下部撹拌棒の先端で内底面に付着している堆積物を撹拌することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の堆積物除去装置の使用方法。
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