JP4517629B2 - 耐面歪性に優れた複合組織冷延鋼板、めっき鋼板およびそれらの製造方法 - Google Patents

耐面歪性に優れた複合組織冷延鋼板、めっき鋼板およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車、家電等の分野に適したプレス成形後の外観が良好な優れた耐面歪性を有する複合組織冷延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車用鋼板に対しては、車体軽量化による燃費向上を目的とした鋼板の薄肉化および安全性向上のための高強度化が進められている。一般に鋼板の高強度化は成形性の劣化を招くため、優れた成形性が必要とされる。特に、外板部品などはプレス後の良好な外観も求められるようになってきている。成形品の外観で問題となるのは、うねりなどの面形状、すなわち面歪や、鋼板表面のストレッチャーストレイン、そしてめっき密着性や化成処理性などである。面歪の観点からは、従来より低歪み域での歪み伝播を促進する、つまり降伏強度を低く抑えることが有効であることが広く知られているが、高強度化に伴い降伏強度も上昇するという大きな問題点がある。
このような課題に対し、極低炭素鋼を対象に、降伏強度を低減させて耐面歪性を改善し、プレス成形性をr値や伸びを高めて改善する技術が、特許文献1、特許文献2等で提案されている。
また、特許文献3、特許文献4には、低炭素化し、さらにMn、CrあるいはMoやBの含有量を適正に制御し焼入れ性を確保することで、従来の複合組織鋼板より低強度を有す鋼板を得る技術が提案されている。これら技術で得られる鋼板はマルテンサイトを含む複合組織鋼板のため、高強度でありながら降伏比が低く、耐面歪性に優れる。また変態強化を活用するため、固溶強化能に依存せずに高強度化が達成できるため、めっき密着性や化成処理性に悪影響を及ぼすSi、P含有量を低くすることが可能である。
しかしながら、従来技術では極低炭素鋼をベースとするため、強化機構としては固溶強化に依存するため、表面性状の観点から、自ずとP、Siといった固溶強化元素の量が制限されてしまい、実質的な強度レベルとして、390MPa以上の鋼板を安定製造することは困難である。また、極低炭素鋼板をベースにTiを添加し、焼付硬化性を付与させているため、耐時効性に課題が残る。
特許文献3に記載の技術は、高い焼付硬化性を得るために窒素を多量に含有させるため、固溶N量の増大により延性が劣化するとともに、時効が起こりやすく、降伏点上昇に起因した座屈現象が大きな問題となる。
特許文献4に記載の技術は、マルテンサイト相粒子の単位体積中の個数を増加させることで、張出し成形性を向上させる技術であるが、多量のマルテンサイト相粒子は変形時に発生するボイドの起点を増加させ、成形性を低下させてしまう。また熱間圧延後の巻取り温度を550℃以下にし、微細な炭化物を形成させることで、焼鈍後の組織を微細にし、マルテンサイト粒子間距離を短くさせているが、フェライトの細粒化は降伏強度の上昇を招くため、耐面歪性が劣化するという問題がある。
特開平7−62209号公報 特開平5−78784号公報 特開2001−323337号公報 特開2002−322537号公報
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、340MPa以上590MPa以下の引張強度で、自動車内外板用途へ適用可能な高成形性を有した耐面歪性に優れた複合組織冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、化学成分が、mass%で、C:0.010超〜0.04%、Si:1.5%以下、Mn:3.0%以下、P:0.10%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.008%未満で、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、ミクロ組織がフェライト相およびマルテンサイト相の割合が体積率で60%以上の第2相からなる複合組織であり、かつマルテンサイト相粒子の平均粒径dが1.5μm以下で、さらに単位体積中のマルテンサイト相粒子の個数aとフェライト粒の個数bとの比a/bが0.7〜2.4であり、引張強度が340〜590MPaであることを特徴とする耐面歪性に優れた複合組織冷延鋼板を提供する。
本発明は、上記複合組織冷延鋼板において、化学成分としてさらに、mass%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、V:1.0%以下、B:0.01%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下のうち1種以上を含有することもできる。
本発明は、上記複合組織冷延鋼板に電気亜鉛系めっきあるいは溶融亜鉛系めっきを施しためっき鋼板とすることもできる。
また、本発明は、上記いずれかの化学成分を有する鋼を溶製し、次いで熱間圧延後、冷間圧延を行い、得られた鋼板をAc点以上Ac点以下の温度範囲にて焼鈍し、1次冷却として3℃/秒超10℃/秒未満の冷却速度でかつ1次冷却停止温度を450〜700℃の温度範囲に冷却した後、連続して10℃/秒以上の冷却速度でかつ冷却停止温度を450℃未満に2次冷却した後、100〜400℃の温度範囲にて過時効処理を開始し、当該過時効処理の処理時間が150秒以上であり、かつ過時効処理終了温度が350℃未満であることを特徴とする耐面歪性に優れた複合組織冷延鋼板の製造方法を提供する。
前記の複合組織冷延鋼板に、電気亜鉛系めっきあるいは溶融亜鉛系めっきを施すことで、めっき鋼板の製造方法とすることもできる。
このような構成を有する本発明は、従来技術では極めて困難であった高加工性かつ耐面歪性に優れた340〜590MPaの強度を有する鋼板を得るために、フェライト+マルテンサイト相という複合組織に着目して鋭意検討した結果なされたものである。すなわち、強化機構として、変態強化を活用し、マルテンサイト相分率をできるだけ低減させることで、IF鋼ベースでは困難であった340〜590MPaの強度範囲を有しながら優れた耐面歪性と耐時効性とを両立させ、さらに微細なマルテンサイト相粒子を一定個数フェライト地に均一分散させることで、低YR化および成形性向上が達成され、プレス成形後の面形状に優れた複合組織冷延鋼板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、マルテンサイト相の組織形態を適正に制御することにより、自動車内外板等における複合成形において優れた耐面歪性と成形性が得られ、産業上、極めて有意義である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る複合組織冷延鋼板は、ミクロ組織がフェライト相およびマルテンサイト相の割合が60%以上の第2相からなる複合組織であり、かつマルテンサイト相粒子の平均粒径dが1.5μm以下で、さらに単位体積中のマルテンサイト相粒子の個数aとフェライト粒の個数bとの比a/bが0.7〜2.4である。
(a)第2相中に占めるマルテンサイト相の割合:60%以上
マルテンサイト相は、変態時に多数の可動転位が導入されるため、歪分散能が高くなる。よって本発明においては、一定量のマルテンサイト相が必須であり、第2相中のマルテンサイト相の割合を60%以上とする。好ましくは80%以上である。マルテンサイト相以外としては、残留γ相、ベイナイト相、炭化物が含まれてもよい。なお、一定量のマルテンサイト相が必須ということは、第2相分率が0%は本発明に含まれないことは言うまでもなく、高い歪分散能を安定して得るためには第2相分率は1%以上が望ましい。第2相分率は10%以下が望ましく、8%以下がさらに望ましい。
(b)マルテンサイト相粒子の平均粒径d:1.5μm以下
成形性の観点からは、マルテンサイト相粒子を微細にすることが有効である。従って、マルテンサイト相粒子の平均粒径dを1.5μm以下に規定する。好ましくは1.2μm以下である。
(c)単位体積中のマルテンサイト相粒子の個数aとフェライト粒の個数bの比a/b:0.7〜2.4
a/bを大きくすることは、変形に対する核が増加するため、低降伏比となる。よって降伏強度を低くするにはマルテンサイト相粒子が一定個数必要であり、a/bは少なくとも0.7以上とする。図1(a)および(b)に、本発明鋼およびa/bが本発明の範囲外である比較鋼の組織写真を示す。a/bが2.4を超える場合は、マルテンサイト相が連なりかつ密集するため、マルテンサイト相が微細分散したとは言い難く、本発明が目標とする高成形性が得られない。従って、a/bを2.4以下に、成形性の観点から好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下とする。なお、マルテンサイト相が変形に対する核として十分に作用するためには、マルテンサイト相が粒界に存在するほうが好ましい。
なお、本発明鋼の組織形態は、微細なマルテンサイト相粒子が粒界に一定個数存在することが重要であるが、マルテンサイト相が密集している場合は、成形性に悪影響を及ぼすため、マルテンサイト相粒子間距離が一定間隔以上あるほうが好ましく、マルテンサイト相の平均粒子間距離が2.7μm超が望ましい。
本発明においては、以上の組織さえ形成されれば、所期の特性が得られるが、このような組織を得るためには、化学成分が、mass%で、C:0.005〜0.05%、Si:1.5%以下、Mn:3.0%以下、P:0.10%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.008%未満で、残部が実質的にFeからなるものであることが好ましい。また、さらに他の所望の特性を得るために、上記成分に加え、mass%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、V:1.0%以下、B:0.01%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下のうち1種以上を含有してもよい。
以下、これらの限定理由について説明する。
C:0.005〜0.05%
Cは本発明において極めて重要な元素の1つであり、マルテンサイト相を生成させ、高強度化を図る上で非常に有効である。しかし、C量が0.05%を超えると、加工性の著しい低下を招き、さらに溶接性も劣化させる。従って、C量を0.05%以下とする。好ましくは、0.04%以下である。一方、一定体積率のマルテンサイト相を形成させるためには、Cを一定量含有させる必要があるため、少なくとも0.005%以上、好ましくは、0.010%超とする。
Si:1.5%以下
Siは複合組織を安定して得るために有効な元素である。しかし、Si量が1.5%を超えると表面性状および化成処理性が著しく低下する。従って、Si量を1.5%以下とする。好ましくは1.0%以下である。
Mn:3.0%以下
Mnはマルテンサイト相の生成に非常に重要な元素であり、焼入性を向上させることや、鋼中のSをMnSとしてとして固定することにより、Sの粒界脆化作用に起因して発生する熱間圧延時のスラブ割れを防止する作用を有しているため、一定量、好ましくは1.0%以上、添加する必要がある。しかし、3.0%を超えてMnを添加すると、スラブコストの著しい上昇とともに、加工性の劣化を招く。従って、Mn量を3.0%以下とする。好ましくは2.5%以下である。
P:0.10%以下
Pは高強度化およびマルテンサイト相を安定させるために有効な元素である。しかし、P量が0.10%を超えると、亜鉛めっき層の合金化速度を低下させ、めっき不良や不めっきの原因となるとともに、鋼板の粒界に偏析して耐二次加工脆性を劣化させる。従って、P量を0.10%以下とする。
S:0.03%以下
Sは、熱間圧延時に粒界に偏析し、スラブ割れを発生させるため、表面疵の発生割合が高くなる。そのため、Mnを添加することで、SをMnSとして固定するが、過剰のMnSは加工時におけるボイドの起点となるために、加工性の低下を招く。従って、Sの含有量は、少ない方が望ましく、S量が0.03%を超えると、加工性が著しく劣化するため、S量を0.03%以下とする。
Al:0.01〜0.1%
Alは脱酸元素として鋼中の介在物を減少させる作用を有している。しかし、Al量が0.01%未満では上述した作用が安定して得られない。一方、Al量が0.1%を超えると、クラスター状のアルミナ系介在物が増加し、加工性を劣化させる。従って、Al量は0.01〜0.1%の範囲内とする。
N:0.008%未満
Nは、加工性および時効性の観点から、少ない方がよい。N量が0.008%以上になると、過剰な窒化物の生成により、延性および靭性が劣化する。従って、N量を0.008%未満とする。
Cr,Mo,V:添加する場合、それぞれ1.0%以下
Cr,Mo,Vは焼入性向上元素であり、マルテンサイト相を安定して生成させるために添加する。但し、1.0%を超えて過剰に添加しても、その効果は飽和するばかりか、コスト面でも不利となる。従って、Cr,Mo,Vを添加する場合は、それぞれ1.0%以下とする。
B:添加する場合、0.01%以下
Bは、焼入性向上に有効な元素であり、マルテンサイト相を安定して得るために添加する。但し、0.01%を超えて過剰に添加しても、コストに見合う効果が得られない。従って、Bを添加する場合は0.01%以下とする。
Ti,Nb:添加する場合、それぞれ0.1%以下
Ti,Nbは、炭窒化物を形成して固溶C,N量を低下させ、深絞り性を向上させるために有効な元素である。但し、いずれも0.1%を超えて過剰に添加しても、その効果は飽和し、焼鈍時の再結晶温度が高くなるため、製造性が低下する。従って、Ti,Nbを添加する場合は、それぞれ0.1%以下とする。
なお、「残部が実質的にFeからなる」とは、発明の作用・効果を損なわない限り、不可避的不純物をはじめ、他の微量元素を含有するものが本発明の範囲に含まれることを意味する。
次に製造条件について説明する。
本発明の冷延鋼板を製造するためには、上記化学成分を有する鋼を溶製し、次いで熱間圧延後、冷間圧延を行い、得られた鋼板をAc点以上Ac点以下の温度範囲にて焼鈍し、1次冷却として3℃/秒超10℃/秒未満の冷却速度でかつ1次冷却停止温度を450〜700℃の温度範囲に冷却した後、連続して10℃/秒以上の冷却速度でかつ冷却停止温度を450℃未満に2次冷却した後、100〜400℃の温度範囲にて過時効処理を開始し、当該過時効処理の処理時間が150秒以上であり、かつ過時効処理終了温度が350℃未満にして行う。
(a)焼鈍温度:Ac点以上Ac点以下
焼鈍温度は、フェライト相+第2相のミクロ組織を得るため、適切な温度に加熱する必要がある。焼鈍温度がAc点未満では、二相分離されないため、マルテンサイト相を得ることができない。一方、焼鈍温度がAc点を超えると、フェライト相が全量オーステナイト化するため、再結晶組織が初期化され、かつ二相分離も十分に進まないため、成形性等の特性が劣化する。従って、焼鈍温度をAc点以上Ac点以下とする。Ac点以上Ac点+50℃以下とすることが好ましい。
(b)1次冷却速度:3℃/秒超10℃/秒未満、1次冷却停止温度:450〜700℃
1次冷却の冷却速度は、パーライト析出を抑制し、かつオーステナイトの体積率を確保するために、適切に制御する必要がある。1次冷却速度が3℃/秒以下になると、パーライトが析出するため、成形性が劣化する。従って、1次冷却速度を3℃/秒超とする。冷却速度が10℃/秒超になると、フェライト相とオーステナイト相の2相分離が十分に進まず、マルテンサイト相が不足する場合がある。その場合、所望の特性が得られなくなるので、1次冷却の冷却速度を10℃/秒未満とする。
また、冷却停止温度が700℃より高い場合は、マルテンサイト相粒子が大きくなり、成形性の劣化を招く。加えて2次冷却停止温度までの冷却幅が大きくなるため、鋼板の形状不良を招き、生産性や品質に悪影響を及ぼす。一方、冷却停止温度が450℃より低くなるとMs点を超えてしまい、マルテンサイト相が得られなくなる場合がある。従って、1次冷却の冷却停止温度は450〜700℃の範囲内とする。好ましくは500〜600℃の範囲である。
(c)2次冷却速度:10℃/秒以上、2次冷却停止温度:450℃未満
マルテンサイト相を得るためには、変態時に適切な冷却速度で冷却することが必要である。従って、2次冷却は10℃/秒以上の冷却速度で、かつ冷却停止温度を450℃未満とする。より好ましくは400℃未満である。
(d)過時効処理開始温度:100〜400℃
本発明の目的とする鋼板に求められる諸特性として、耐面歪性以外に延性や時効特性が挙げられる。これらの特性は、過時効処理によりマルテンサイト相の硬度およびフェライト中の固溶C量を最適化することで、良好な耐面歪性を有したまま延性および時効特性を向上させることが可能となる。但し、450℃を超えて熱処理した場合は、マルテンサイト変態時に導入された可動転位が固着され、かつ炭化物が多数析出するため、YPが増加し耐面歪性を低下させる。
また、100℃未満の場合は、上述した効果が十分に得られない。従って、過時効処理開始は100〜400℃の温度範囲内とする。
(e)過時効処理の保持時間:150秒以上
保持時間が150秒未満の場合、処理時間が短く上述した効果が十分に得られないため、保持時間は150秒以上とする。好ましくは200秒以上である。但し、10分を超えて保持をしても、効果が飽和するばかりか、コスト、生産性の観点からも好ましくない。従って保持時間は10分以下が望ましい。
(f)過時効処理終了温度:350℃未満
終了温度を制御することは、開始温度を制御するのと同様に非常に重要となる。過時効処理終了温度が350℃を超える場合は、YPが増加し、耐面歪性が低下するため、過時効処理終了温度は350℃未満とする。好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。但し、終了温度が100℃未満になると、十分な効果が得られないため、終了温度は100℃以上が好ましい。
例えば、耐面歪性の低下を防ぐために、本発明範囲内において過時効処理開始温度上限である400℃で熱処理を開始した後、過時効帯にて徐冷し、350℃未満で過時効処理を終了させることで、高温域に長時間滞在することを避けることは耐面歪性の低下を防ぐ有効な手段となる。もちろん低温域から熱処理を開始し、そのまま温度を保持することも有効である。
以上の説明により得られる冷延鋼板に、電気亜鉛系めっきあるいは溶融亜鉛系めっきを施しても、目的の効果が得られることはいうまでもない。溶融亜鉛系めっき鋼板の場合、合金化処理を施してもよい。また、これらのめっき鋼板には、めっき後にさらに有機皮膜処理を施してもよい。
なお、本発明においては、スラブを熱間圧延するにあたって、加熱炉で再加熱後に圧延してもよいし、または加熱することなく直送圧延することもできる。また、熱延仕上圧延温度は、Ar変態点以上、巻取温度は550℃超で実施するのがよい。冷圧率については、通常の操業範囲内の50〜85%とすればよい。
表1に示す鋼番No.1〜No.12の鋼を溶製後、連続鋳造によりスラブとし、1200℃に加熱後、Ar点以上の温度で仕上圧延を行い、巻取り温度550℃超650℃以下で熱延鋼板を製造した。この熱延板を酸洗し、冷間圧延を行った。続いて表2に示す条件にて連続焼鈍を行い、表2のNo.1〜No.24の焼鈍板を得た。得られた焼鈍板について、以下の要領でミクロ組織を観察し、その性能を評価した。
組織観察は、試験片をナイタール腐食し、2000倍で板厚中央部を連続的に縦100μm×横200μmの視野をSEM観察し、マルテンサイト相粒子のサイズおよび個数とフェライト粒の個数を測定した。視野の端にあり、粒全体が観察できない場合は、1/2個とし、マルテンサイト相粒子が連結しているものについては、分離して各々1個として測定した。機械的特性はJIS5号引張試験片を採取し評価した。
プレス成形後の肌荒れ状況、面歪はブランク角160mmのサンプルを採取後、800mmR円筒面のポンチでプレス成形を行い、得られたカマボコパネルを砥石掛けし、目視観察にて優良なサンプル、軽微な面歪が認められ、成形条件の適正化により改善可能なサンプル、面形状不良や割れが明瞭に認められるサンプルをそれぞれ○、△、×の3段階で評価した。以上の調査結果を併せて表2に示す。
図2はプレス成形後の肌荒れ状況、面歪の評価結果をマルテンサイト相粒子の平均粒径とa/bで整理した図である。図2から明らかなように鋼板の組織形態を本発明範囲内にすることで、面形状に優れた複合組織冷延鋼板が得られることが分かる。一方、比較例は明瞭な面形状不良や割れが認められ、成形性と耐面歪性が劣っていることが分かる。
Figure 0004517629
Figure 0004517629
本発明は、家電や自動車内外板用途のみならず、高成形性や優れた耐面歪性を必要とする一般の鋼板の製造技術にも広く適用することができる。
(a)および(b)は、代表的な本発明鋼板と比較鋼板の金属組織を対照して例示した写真。 プレス後の表面形状に及ぼすマルテンサイト相粒子の平均粒径と単位体積中のマルテンサイト相粒子個数とフェライト粒個数との比の影響を示す図。

Claims (5)

  1. 化学成分が、mass%で、C:0.010超〜0.04%、Si:1.5%以下、Mn:3.0%以下、P:0.10%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.008%未満で、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、ミクロ組織がフェライト相およびマルテンサイト相の割合が体積率で60%以上の第2相からなる複合組織であり、かつマルテンサイト相粒子の平均粒径dが1.5μm以下で、さらに単位体積中のマルテンサイト相粒子の個数aとフェライト粒の個数bとの比a/bが0.7〜2.4であり、引張強度が340〜590MPaであることを特徴とする耐面歪性に優れた複合組織冷延鋼板。
  2. 化学成分としてさらに、mass%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、V:1.0%以下、B:0.01%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐面歪性に優れた複合組織冷延鋼板。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の複合組織冷延鋼板に、電気亜鉛系めっきあるいは溶融亜鉛系めっきを施したことを特徴とするめっき鋼板。
  4. 請求項1または請求項2に記載の化学成分を有する鋼を溶製し、次いで熱間圧延後、冷間圧延を行い、得られた鋼板をAc点以上Ac点以下の温度範囲にて焼鈍し、1次冷却として3℃/秒超10℃/秒未満の冷却速度でかつ1次冷却停止温度を450〜700℃の温度範囲に冷却した後、連続して10℃/秒以上の冷却速度でかつ冷却停止温度を450℃未満に2次冷却した後、100〜400℃の温度範囲にて過時効処理を開始し、当該過時効処理の処理時間が150秒以上であり、かつ過時効処理終了温度が350℃未満であることを特徴とする耐面歪性に優れた複合組織冷延鋼板の製造方法。
  5. 請求項4に記載の複合組織冷延鋼板に、電気亜鉛系めっきあるいは溶融亜鉛系めっきを施すことを特徴とするめっき鋼板の製造方法。
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