JP4516667B2 - 給水栓部品の組付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本各発明は、給水栓部品の組付構造に関し、詳しくは、基体部に対して回動自在に組み付けられる第一回動部材及び第二回動部材を備え、前記第一回動部材と前記第二回動部材とが連設状態で組み付けられる給水栓部品の組付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基体部に連設状態で組み付けられるとともに、前記基体部に対して回動自在に組み付けられる第一回動部材及び第二回動部材を備える給水栓部品の組付構造としては、例えば、図3に示す組付構造110が知られている。この組付構造110は、シングルレバー式の湯水混合水栓100の水栓本体5に、吐水管34及び分岐口52を回動自在に組み付けたものであり、詳細には、基体部にあたる水栓本体5に、吐水管34を備えた第一回動部材にあたるハブ30と、分岐口52を備えた第二回動部材にあたるハブ50とが回動自在に組み付けられている。
【0003】
設置面1下に配設された給水源・給湯源(図示省略)に各々接続された給水配管18及び給湯配管(図示省略)が、スリーブ7内を挿通して水栓本体5内の水側流路22及び湯側流路(図示省略)に接続されており、これらの水側流路22及び湯側流路は、水栓本体5上部に取り付けられた弁カートリッジ26の接続口(図示省略)に連通されている。また、弁カートリッジ26内の混合室(図示省略)に連通して設けられた弁カートリッジ26の別の接続口(図示省略)は、水栓本体5背面側(図3の右側)の水栓本体5内に設けられた排出流路28に連通されている。この排出流路28は、水栓本体5とハブ30との間に設けられた第一周回流路38に連通されており、第一周回流路38は、さらに、開口32を経て吐水管34内に連通している。そして、給水配管18及び給湯配管から流入された湯水は、弁カートリッジ26内で適宜混合され、排出流路28、第一周回流路38、吐水管34内を経て吐水管34先端に設けられた吐水具(図示省略)から排出される。
【0004】
上述した水側流路22の途中からは、分岐口52に連通する連絡流路21が設けられている。連絡流路21は、水栓本体5とハブ50との間に設けられた第二周回流路60に連通されており、開口55を経て分岐口52内に連通されている。そして、水側流路22から流入される水が、連絡流路21、第二周回流路60、分岐口52を経て、分岐口52にホースなどを介して接続される浄水器(図示省略)などに導かれる。
【0005】
上記のようにこの給水栓部品の組付構造110では、ハブ30を水栓本体5の軸回りに回動させても、吐水管34と排出流路28が常に連通するように構成されており、同様に、ハブ50を水栓本体5の軸回りに回動させても、分岐口52と連絡流路21が常に連通するように構成されている。また、ハブ30及びハブ50は、水栓本体5に対して、水栓本体5外周面に設けられた凹溝40内に収容されたOリング62を介して回動自在に外嵌されており、Oリング62がハブ30,50の円筒部31,51内周面に圧接することにより水密を図るとともに、ハブ30,50の水栓本体5に対する適度な回動抵抗を生ぜしめハブ30,50が無用に回動しないようにして、湯水混合水栓100の操作性の向上を図っている。
【0006】
また、この従来例では、ハブ30,50の間に、両ハブ30,50を離隔するための仕切り102が水栓本体5外周面から周回状に突設されている。ハブ30は、ハブ30の上方から水栓本体5に螺着されたカバー29とこの仕切り102によって保持されており、ハブ50は、ハブ50の下方から水栓本体5に螺着された抜け防止リング104と仕切り102によって保持されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、仕切り102により隔たれてはいるものの、第一回動部材であるハブ30と第二回動部材であるハブ50とが連設状態で近接して組み付けられているため、一方の回動部材を手により回動操作するに際して、他方の回動部材に手が触れて、他方の回動部材を同様に回動操作してしまう虞があり、給水栓としての操作性を損ねると言った問題を有していた。
【0008】
また、上記従来例では、ハブ30とハブ50との間に仕切り102が設けられているため、これらのハブ30,50を水栓本体5に組み付け、設置面1に湯水混合水栓100を取り付けた後には、カバー29を取り外してハブ30を水栓本体5上方から取り外すことはできても、仕切り102が設けられているためハブ50を水栓本体5上方から取り外すことはできない。このため、ハブ30,50を取り外して行う必要があるメンテナンス作業等の際には、湯水混合水栓100をいちいち設置面1から取り外し、水栓本体5下部から抜け防止リング104を取り外したうえでハブ50を取り外さなくてはならないという煩雑さが生じ、給水栓としてのメンテナンス性を損ねるといった問題も有していた。ここで、単純に、仕切り102を無くしてハブ30,50を同一方向から組み付け可能とすることも考えられるが、このようにすると、ハブ30,50が直接的に連設されることになるため、一方の回動に伴って他方も回動してしまう所謂共回りが生じ、益々、給水栓としての操作性に支障を来すこととなってしまう。
【0009】
本各発明は上記した従来の給水栓部品の組付構造の問題点を解消するものであり、第一回動部材または第二回動部材の何れか一方の回動により他方が不用意に回動することを防止して、給水栓としての操作性を向上させることを目的とする。また、給水栓のメンテナンス作業の簡易化をも図ることを目的とする。さらには、給水栓部品数の減少や給水栓のコンパクト化をも図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本各発明の採った手段を以下に説明する。請求項1に記載の給水栓部品の組付構造は、「基体部に対して回動自在に組み付けられる第一回動部材及び第二回動部材を備え、前記第一回動部材と前記第二回動部材とが連設状態で組み付けられる給水栓部品の組付構造であって、前記基体部に対する前記第一回動部材の回動抵抗と、前記基体部に対する前記第二回動部材の回動抵抗との大きさを異ならしめる異抵抗手段を備えるとともに、前記基体部に対して前記第一回動部材及び前記第二回動部材を同一方向から外嵌したことを特徴とする給水栓部品の組付構造」である。
【0011】
「基体部」とは、給水栓部品を構成する部材の広範を示すものであり、例えば、弁装置等が取り付けられる水栓本体等をいう。また、「連設状態」とは、第一回動部材と第二回動部材とが直接的に接する状態で取り付けられる場合のほか、例えばスリップ板など、それ自体が基体部に対して回動可能であると共に第一回動部材及び第二回動部材に対して摺動性に優れた部材を介して配設される状態や、仕切り等により隔たれてはいても近接する状態で連なって配置される状態を含む。さらに、「異抵抗手段」とは、回動抵抗を異ならしめるための全ての手段を含み、例えば、基体部と、第一回動部材及び第二回動部材との間にそれぞれ設けられ、第一回動部材と第二回動部材の基体部に対するそれぞれの抵抗の大きさを異ならしめる抵抗部を例示できる。そして、このような「抵抗の大きさを異ならしめる抵抗部」としては、以下のような具体例を例示できる。
【0012】
例えば、圧接力を異ならしめた弾性部材を用いることができる。このような弾性部材としては、断面形状が異なる弾性部材(具体的には、一方がOリングで他方がXパッキンなど)や、双方共Oリングであってもその断面の円形の径が異なる弾性部材、両回動部材に用いる弾性部材の数を異ならしめたもの、両回動部材に用いる弾性部材を摩擦力の異なる材質でそれぞれ形成したもの、さらには、それぞれの弾性部材を収容する溝部などの内径を異ならせてそこに収容される弾性部材の圧接力を異ならしめるものなどを例示できる。
【0013】
また、弾性部材を用いるもの以外には、例えば、各回動部材と基体部とが当接する部位の一方又は双方に突起や隆起部などの抵抗部を形成したり、各回動部材と基体部との「はめあい」の度合いを異ならせて抵抗を異ならしめるものも例示できる。
【0014】
本発明では、第一回動部材の回動抵抗と第二回動部材の回動抵抗とが異なるため、回動抵抗の小さい一方の回動部材の回動によっては、他方の回動部材が回動し難くなり、給水栓としての操作性を向上させることができる。
【0016】
そして本発明では、第一回動部材及び第二回動部材が、同一方向から連設状態で基体部に組み付けられるので、第一回動部材及び第二回動部材の同一方向からの抜脱が可能となり、両回動部材の基体部からの取り外しが容易となる。よって、給水栓のメンテナンス性を向上させることができる。
【0017】
ここで、第一回動部材及び第二回動部材を同一方向から外嵌する態様としては、第一回動部材及び第二回動部材を直接的に、或いは、第一回動部材及び第二回動部材に対して摺動性に優れたスリップ板等を介して間接的に連設する状態の他、第一回動部材及び第二回動部材の外嵌方向と同一方向から装着されて基体部に固着される仕切り等を介在させて連設する態様も含む。但し、上記のような仕切り等を介在させると、一定以上の厚さを備えざるを得ない仕切り等の分だけ全体が長くなることから給水栓全体のコンパクト化が図り難く、また、部品点数の増加も招くことから、基体部に固着される部材を介在させずに連設するのが好ましい。さらには、第一回動部材と第二回動部材との互いの摺動性を確保するために、第一回動部材と第二回動部材との間に、摺動性に優れたスリップ板を介在させるのが好ましい。尚、第一回動部材と第二回動部材とを、基体部に固着される部材を介在させずに連設しても、基体部に対するそれぞれの回動部材の回動抵抗の大きさを異ならしめることにより所謂共回りを防止でき、給水栓としての操作性は十分に確保するこができる。
【0018】
請求項2に記載の給水栓部品の組付構造は、「前記基体部と前記第一回動部材及び前記第二回動部材との間にそれぞれ流路が形成され、前記異抵抗手段が、前記基体部と前記各回動部材との間に介在されて該流路をシールするシール部材により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の給水栓部品の組付構造」である。
【0019】
例えば、基体部が水栓本体であり、第一回動部材及び第二回動部材が、各々、吐水パイプ及び分岐口が設けられて水栓本体に回動自在に組み付けられたハブである場合には、基体部と各回動部材との間に流路が形成されており、当然、各流路からの水漏れを防止するために、水栓本体と各ハブとの間には、シール部材が設けられている。ここで、このようなシール部材とは別に異抵抗手段を設けることとすると、当然、部品点数が増加する。そこで、本発明では、基体部と各回動部材との間に介在されて流路をシールするシール部材を、異抵抗手段として兼用する。これにより、部品点数を増加するさせることなく、異抵抗手段を具備できる。
【0020】
請求項3に記載の給水栓部品の組付構造は、「前記異抵抗手段が、各回動部材毎に設けられる互いに異なる態様のシール部材により構成されたことを特徴とする請求項2に記載の給水栓部品の組付構造」である。
【0021】
例えば同一な態様のシール部材によって各回動部材の回動抵抗に差を生じさせるとすると、シール部材の装着溝等の大きさを変えて、シール部材自体の潰し量に差を生じさせなければならない。ここで、シール部材の潰し量を少なくすると回動抵抗は小さくなるものの、シール性が低下してしまう。よって、十分なシール性を確保するには、少なくともある程度の潰し量を確保しなければならず、各回動部材の回動抵抗について十分に大きな差を生じさせることが困難となる。そこで、本発明では、各回動部材毎に設けられたシール部材の態様を異なるものとすることにより、基体部に対する各回動部材の回動抵抗を異ならしめる。これにより、シール部材としてのシール性を十分に確保すると共に、各回動部材の回動抵抗について十分に大きな差を生じさせることができる。尚、異なる態様としては、断面形状(形状自体や大きさ)が異なるもの、硬さや摺動性等の特性が異なる素材により形成したもの等、種々の態様が例示できる。
【0022】
請求項4に記載の給水栓部品の組付構造は、「前記基体部は水栓本体であり、前記第一回動部材は吐水管が延設された円筒状のハブであり、前記第二回動部材は分岐口を有する円筒状のハブであり、第一回動部材の回動抵抗を第二回動部材の回動抵抗よりも小さくしたことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の給水栓部品の組付構造」である。
【0023】
本発明は、水栓本体に回動自在に組み付けられた吐水管を備えたハブと、同様に分岐口を備えたハブとを有する給水栓に、上記した請求項1から請求項3までの何れかに記載の発明を適用したものである。給水栓には、吐水管を備えたハブを回動自在に水栓本体に組み付け所望の角度に吐水管の向きを変更可能とし、吐水位置を変更自在に設けるとともに、同様に、浄水器や食器洗浄器等に湯・水を導くための分岐口を備えたハブを回動自在に水栓本体に組み付け所望の方向に分岐口の向きを変更可能とし、浄水器や食器洗浄器等への接続の利便性を図るものがある。このような給水栓では、例えば、通常頻繁に向きを変えることの多い吐水管を備えたハブは容易に回動できるように構成することが望ましい一方、分岐口を備えたハブは、分岐口を所定の方向に向けて浄水器などを設置した後や、分岐口を使用していない場合などには、むしろむやみにその向きが変更されないことが望ましい。
【0024】
そこで、上記した給水栓部品の組付構造を適用することにより、吐水管を延設したハブは回動容易とする一方、分岐口を備えたハブは容易には回動しないものとして、このような給水栓の操作性、利便性を向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本各発明の請求項1から請求項4に係る給水栓部品の組付構造4の実施の形態を、図1及び図2を参考にして詳細に説明する。この組付構造4は、設置面1の取付穴に挿通されて設置面1上に固定されるシングルレバー式の湯水混合水栓3に用いられるものである。
【0026】
湯水混合水栓3は、略円筒形状の水栓本体5を設置面1に立設させて固定されている。水栓本体5の下部には雌ネジ10が設けられ、この雌ネジ10にスリーブ7が螺着されている。また、スリーブ7は水栓本体5よりも小径に設けられている。このスリーブ7の外側の水栓本体5の底面にシートパッキン9が狭着されて、設置面1上に水栓本体5が設置されている。そして、設置面1裏側から突出したスリーブ7の外側に、設置面1側から順に輪パッキン12、スリップ板14が介在されてフランジ付ナット16が螺着され、水栓本体5の底面とフランジ付ナット16とで設置面1が狭持されて、設置面1に水栓本体5が固定されている。
【0027】
設置面1下には、給水源・給湯源(図示省略)に各々接続された給水配管18及び給湯配管20が、上方に向けて配設されている。給水配管18及び給湯配管20先端寄り外周面には雄ネジが刻設されており、各々の配管が、スリーブ7内を挿通して水栓本体5内に設けられた水側流路22及び湯側流路24に螺着されている。また、給水配管18及び給湯配管20の先端外周面にはOリング25が取り付けられており、各配管18,20と各流路22,24の水密が図られている。
【0028】
上記したように、水栓本体5内には、給水配管18及び給湯配管20にそれぞれ連通する水側流路22及び湯側流路24が設けられている。両流路22,24は、水栓本体5上部に取り付けられた弁カートリッジ26の接続口(図示省略)に連通されており、それぞれの流路22,24から流入する水・湯を混合室内で適宜混合し、水栓本体5背面側(図1の右側)に設けられた排出流路28に排出する。弁カートリッジ26には、弁カートリッジ26内の弁装置(図示省略)を駆動するレバー27が設けられており、このレバー27にハンドル2が取り付けられている。このハンドル2を傾動・回動操作することにより吐水具(図示省略)からの吐止水操作及び吐水量調節・温度調節が行われる。また、水栓本体5の上部には弁カートリッジ26を被覆するカバー29が螺着されており、このカバー29により、弁カートリッジ26が水栓本体5に固定されている。
【0029】
水栓本体5には、その上端から順に第一のハブ30及び第二のハブ50が水平方向に回動自在に連設されている。ハブ30,50には、略円筒形状の円筒部31,51が備えられており、この円筒部31,51の間にはスリップ板6が介されている。また、円筒部31の上部には、カバー29との間にスリップ板6が介されている。また、円筒部51の下部には、水栓本体5の段部8との間に同様にスリップ板6が介されて取り付けられている。
【0030】
このように構成された湯水混合水栓3において、ハブ30,50を水栓本体5に取りつけるには、水栓本体5にスリップ板6を外嵌して段部8上に配置した後、順に、ハブ50、スリップ板6、ハブ30、スリップ板6を水栓本体5上方から外嵌し、さらに、水栓本体5上部に弁カートリッジ26を設置した後、水栓本体5にカバー29を螺着すればよい。そして、ハンドル2内部から止めネジ11を螺着して、弁カートリッジ26のレバー27にハンドル2を取着する。
【0031】
第一のハブ30における円筒部31の外周面には、吐水管34が延設されている。また、円筒部31の内周面には、凹部36が周設されている。そして、吐水管34と凹部36とは、円筒部31を貫通する開口32により連通されている。
【0032】
水栓本体5の外周面には、円筒部31の凹部36に対応した位置に凹状の第一周回流路38が周設されている。また、第一周回流路38は、水栓本体5内の排出流路28に連通されており、この排出流路28は、弁カートリッジ26に連通されている。また、水栓本体5外周面における第一周回流路38の上下の部位には、凹溝40がそれぞれ周設されており、この上下の凹溝40に、それぞれ、断面がX字状のシール部材であるXパッキン42が取り付けられている。このように、水栓本体5の凹溝40に収容されたXパッキン42がハブ30の円筒部31の内周面に圧接されることにより、ハブ30の円筒部31内周面と水栓本体5外周面との水密が図られるとともに、ハブ30に対して、水栓本体5の軸回りの回動抵抗が与えられている。
【0033】
このようにして、ハブ30が水栓本体5の軸回りに回動されても、排出流路28が常に第一周回流路38に連通されるように構成され、弁カートリッジ26にて混合された湯・水を吐水管34へと導くように設けられている。
【0034】
次いで、第二のハブ50について説明する。第二のハブ50は第一のハブ30と同様に、水栓本体5の外周面に外嵌されている。図2に示すように、ハブ50の円筒部51の外周面には、分岐口52が設けられている。また、円筒部51内周面には、凹部53が周設されている。そして、分岐口52と凹部53とは、円筒部51を貫通する開口55により連通されている。尚、円筒部51から突設された分岐口52には、その外周面に雄ネジが刻設されている。
【0035】
水栓本体5の外周面には、円筒部51の凹部53に対応する部位に、凹状の第二周回流路60が周設されている。そして、第二周回流路60は、水栓本体5内に設けられた湯側流路24に連絡流路21を介して連通されている。水栓本体5の外周面における第二周回流路60の上下の部位には、凹溝40がそれぞれ周設されており、この上下の凹溝40に、それぞれ、断面O字状のシール部材であるOリング62が取り付けられている。このように水栓本体5の凹溝40に収容されたOリング62がハブ50の円筒部51の内周面に圧接されることにより、ハブ50の円筒部51内周面と水栓本体5外周面との水密が図られるとともに、ハブ50に対して、水栓本体5の軸回りの回動抵抗が与えられている。
【0036】
このようにして、ハブ30と同様に、ハブ50が水栓本体5の軸回りに回動されても、湯側流路24が常に第二周回流路60に連通されて、給湯配管20からの湯を分岐口52へと導くように構成されている。
【0037】
図2に示すように、分岐口52の未使用時にはパッキン54を介在させてナット56により分岐口52が閉止されている。一方、分岐口52を使用する際には、ホースなどが、その先端に取りつけられた端末具を分岐口52に螺着して接続される。例えば、食器洗浄器を設置する位置などの事情により、分岐口52の向きを適宜変更することが望ましい場合があり、上記のように構成することにより分岐口52をハブ50ごと回動して適宜の向きに変更できる。なお、分岐口52内部には、逆止弁ユニット58が内蔵されており、分岐口52から水栓本体5内に湯水が逆流しないように構成されている。
【0038】
本実施の形態では、水栓本体5の凹溝40に取りつけられて第一のハブ30及び第二のハブ50に圧接されるシール部材を、Xパッキン42、Oリング62と異ならしめている。Xパッキン42よりもOリング62の方が圧接力が大きく、したがって、外嵌されるハブへの抵抗力もOリング62の方が大きい。よって、ハブ30への回動抵抗よりもハブ50への回動抵抗の方が大きくなり、回動させるためには、ハブ30よりもハブ50の方がより大きな力を必要とする。
【0039】
このため、ハブ30とハブ50とが上述のようにスリップ板6を介して連設されていても、ハブ30の回動によってハブ50が容易には回動せず、いわゆる「共回り」を防止できる。よって、吐水管34の向きを変えるためにハブ30を回動させるような場合にも、ハブ50が無用に回動せず、分岐口52が邪魔な向きに位置されたり、湯水混合水栓3周辺に置かれた化粧品その他のものに干渉して倒してしまうなどの問題が生じない。また、特に分岐口52未使用時には、分岐口52にホースなどが接続されていないため回動し易いが、このような場合にもハブ50の不必要な回動を防止できる。
【0040】
ついで、湯水混合水栓3を設置面1に設置した後に、ハブ30,50を取り外してメンテナンスする際の取り外し方法について説明する。まず、ハンドル2内部に取りつけられた止めネジ11を取り外しハンドル2を取り外す。次に水栓本体5に螺着されたカバー29を水栓本体5から取りはずすとともに、カバー29により固定されていた弁カートリッジ26を取り外す。このようにして、ハブ30を上方から係止していたカバー29が取り除かれ、スリップ板6とともにハブ30を水栓本体5上方に引き抜くことができる。さらに、上方のハブ30により上方から係止されていたハブ50をスリップ板6とともに水栓本体5上方に引き抜くことができる。
【0041】
このように、両ハブ30,50が水栓本体5の上方から外嵌されているので、水栓本体5下部からハブ50を取り外す作業が必要なく、したがって水栓本体5を設置面1から取り外す必要がない。よって、設置面1裏側のフランジ付ナット16を取り外したり、給水・給湯配管18,20を給水源・給湯源から取り外す必要もなく、水栓本体5を設置面1に固定したまま両ハブ30,50を容易に取り外すことが可能である。
【0042】
本実施の形態は、上記のように構成したが、本各発明はこれに限られることなく各発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、給水栓部品の一つである基体部をバーとし、第一回動部材を、上記バーに回動自在に組み付けられてシャワーヘッドを係止するフックとし、第二回動部材を、別のフック、石鹸置きやタオル掛け等として、基体部に第一回動部材及び第二回動部材を連設してもよい。また、他に、基体部を水栓本体とし、第一回動部材及び第二回胴部材を、操作ハンドルや、機能説明・商号・商標表示などの表示部を有するもの等としてもよい。
【0043】
【発明の効果】
本各発明は上記のように構成されているので以下の効果を有する。請求項1から請求項4のいずれかに記載の給水栓部品の組付構造では、第一回動部材または第二回動部材の何れか一方の回動により他方が不用意に回動することを防止して、給水栓としての操作性を向上させることができ、給水栓のメンテナンス作業の簡易化をも図ることができる。特に、請求項2及び請求項3に記載の給水栓部品の組付構造では、給水栓部品数の減少や給水栓のコンパクト化をも図ることができ、請求項4に記載の給水栓部品の組付構造では、各々回動自在な吐水パイプと分岐口とを有する給水栓の操作性、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る給水栓部品の組付構造を用いた湯水混合水栓の縦断面図である。
【図2】図1の湯水混合水栓の一部縦断面図である。
【図3】従来の給水栓部品の組付構造を用いた湯水混合水栓の一部破断面図である。
【符号の説明】
1;設置面、2;ハンドル、3;湯水混合水栓、4;組付構造、5;水栓本体、6;スリップ板、7;スリーブ、8;段部、9;シートパッキン、10;雌ネジ、11;止めネジ、12;輪パッキン、14;スリップ板、16;フランジ付ナット、18;給水配管、20;給湯配管、21;連絡流路、22;水側流路、24;湯側流路、25;Oリング、26;弁カートリッジ、27;レバー、28;排出流路、29;カバー、30;ハブ、31;円筒部、32;開口、34;吐水管、36;凹部、38;第一周回流路、40;凹溝、42;Xパッキン、50;ハブ、51;円筒部、52;分岐口、53;凹部、54;パッキン、55;開口、56;ナット、58;逆止弁ユニット、60;第二周回流路、62;Oリング、100;湯水混合水栓、102;仕切り、104;抜け防止リング、110;組付構造。

Claims (4)

  1. 基体部に対して回動自在に組み付けられる第一回動部材及び第二回動部材を備え、前記第一回動部材と前記第二回動部材とが連設状態で組み付けられる給水栓部品の組付構造であって、前記基体部に対する前記第一回動部材の回動抵抗と、前記基体部に対する前記第二回動部材の回動抵抗との大きさを異ならしめる異抵抗手段を備えるとともに、
    前記基体部に対して前記第一回動部材及び前記第二回動部材を同一方向から外嵌したことを特徴とする給水栓部品の組付構造。
  2. 前記基体部と前記第一回動部材及び前記第二回動部材との間にそれぞれ流路が形成され、前記異抵抗手段が、前記基体部と前記各回動部材との間に介在されて該流路をシールするシール部材により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の給水栓部品の組付構造。
  3. 前記異抵抗手段が、各回動部材毎に設けられる互いに異なる態様のシール部材により構成されたことを特徴とする請求項2に記載の給水栓部品の組付構造。
  4. 前記基体部は水栓本体であり、前記第一回動部材は吐水管が延設された円筒状のハブであり、前記第二回動部材は分岐口を有する円筒状のハブであり、第一回動部材の回動抵抗を第二回動部材の回動抵抗よりも小さくしたことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の給水栓部品の組付構造。
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