JP4515547B2 - 粉末状洗顔料 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗顔時の感触に優れた粉末状洗顔料に関する。
さらに詳しくは、天然成分であり、かつ細胞保護効果に優れたラフィノースと場合により酵素を配合することで、さっぱりとした感触を有しながら肌に自然な潤いを与え、かつ粉末にすることで肌を滑らかにする顕著な効果を有するとともに製剤の安定性に優れた粉末状洗顔料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の粉末状洗顔料は、界面活性剤の結合剤などを用いて造粒したものであり、使用時に水を加えた場合に容易に石鹸水が形成され、固形石鹸や洗顔フォームと比べて泡立てるまでの手間が少ないことが特徴である。一方、特開平6−239733号公報には、酵素内包ゼラチンカプセルを配合した洗顔料に関する技術開示があり、酵素を洗顔料に用いる技術が広く行われていることが判る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
粉末洗顔料は、保存により粉末が固まる場合があり安定性に劣り、また添加する成分の性質で商品特徴が決まる場合が多く、特徴ある添加成分の開発が必要とされていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明人らは、従来の洗顔パウダーの性質を高めるため、保湿機能を有し、吸湿した場合でも保存安定性に優れ、かつ感触的につっぱり感を示さずにさっぱりした特性を有する基剤の検討を実施した。そして、天然成分であり、かつ細胞保護効果に優れたラフィノースが、吸湿時でも粘着性を示さず、かつ粉末のスクラブ剤としても特異な効果を有することを見出し、ラフィノースを粉末状洗顔料に配合したところ、感触的にはさっぱりとした感触を有しながら肌に自然な潤いを与え、かつ肌を滑らかにする効果があること、そして製剤的には、粉末化粧料を湿度のある浴室などに保管した場合でも、粉末同士の固着に伴う製品の変質が抑制されることが判った。また、ラフィノースに酵素を併用することによって更に効果が高まることが判った。
【0006】
発明は、ラフィノースを1〜85重量%と、酵素とを含有する粉末状洗顔料にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるラフィノースとは、三糖類の一種で、O−α−D−ガラクトピラノシル−(1,6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1,2)−β−D−フラクトフラノシドの構造を持つ物質である。ラフィノースはユーカリのマンナ、サトウダイコンの糖蜜、ワタの実などから得られるが、サトウダイコンの糖蜜由来のものが安定的に供給されることから最も好ましい。また、ラフィノースは蔗糖と組み合わせて用いられることもあるが、本発明では、製剤の安定性を向上させるため、純度が99%以上のラフィノースを用いることが好ましい。さらに、ラフィノースは無水物でも5水和物でも構わないが、洗顔時の溶解性に優れ、原料の供給が安定しているラフィノース・5水和物を使用することが好ましい。
【0008】
本発明の粉末状洗顔料へのラフィノースの配合割合は、粉末状洗顔料の総量に対して1〜85重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜60重量%である。この範囲であれば感触の改善と効果の両立が容易にできる。ラフィノースが1重量%未満では、ラフィノースの効果が発揮しにくく、85重量%を超えると洗浄力、起泡力などが低下してしまう問題がある。また、ラフィノースは単体として配合しても、後述するように他の成分と共に造粒しても、また、ラフィノース自体を造粒したものを用いても構わない。
【0009】
本発明で用いる酵素としては、パパインなどのプロテアーゼやリパーゼなどが好ましい。さらに、酵素は固定化、修飾、高分子への埋包など安定性向上のための操作が行われていることが好ましい。たとえば、高分子や高分子ゲル中に固定化したりする方法が挙げられる。 本発明で用いる酵素の配合量は、最低限酵素の活性が確認できる量が配合されていることが好ましい。配合量は酵素の活性に依存するため一概には言えないが、粉末状洗顔料の総量に対して、酵素重量換算で0.01重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%以上である。
【0010】
本発明では、上記の各成分と界面活性剤以外に、通常粉末状洗顔料に用いられる油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、塩類、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤などの成分を適宜配合することができる。
【0011】
本発明で用いる界面活性剤は、通常洗顔料に使用される界面活性剤の1種以上を用いることが好ましい。界面活性剤としては、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩などのアニオン界面活性剤、カルボン酸塩などの両性界面活性剤、多価アルコール脂肪族エステル、多価アルコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンエーテル、エーテルエステル、含窒素誘導体などの非イオン界面活性剤、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン系界面活性剤、ポリペプチド誘導体、糖系界面活性剤などの天然系界面活性剤などが挙げられる。この内、特にアニオン界面活性剤の1種であるアルキルスルホコハク酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシル乳酸塩の1種以上から界面活性剤が選ばれることが好ましい。これらの界面活性剤は、好ましい添加成分であるボリアクリル酸、ポリメタクリル酸、それらの塩等からなる高吸水性高分子の吸水をあまり阻害せず、なめらかなゲルを形成しながら、起泡力にも優れ、かつ皮膚刺激が少ない特徴がある。
【0012】
本発明で用いる界面活性剤は何らかの形で造粒してあることが好ましい。これは界面活性剤の凝集を防ぎ、かつ界面活性剤の粉末の飛散による吸入刺激を抑制するためである。造粒の方法としては、スプレードライヤーを用いる方法、送風流動造粒装置を用いる方法、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサーを造粒装置として用いる方法などが挙げられる。結合剤としては、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、ヒドロキシアパタイトなど既知の水溶性ポリマーや多価アルコール類、糖類などが好ましい。また、造粒する場合には、界面活性剤と同時にタルクやアルミン酸ケイ酸ナトリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカなどの粉体など第3の成分と共に造粒することが好ましい。この際に、ラフィノースを同時に造粒することも可能である。尚、造粒時に揮発性溶媒、例えば精製水や低級アルコールなどの成分を用いて造粒し溶媒を除去することも可能である。
【0013】
前記の粉体の例としては、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号などの色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキなどのレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末などの高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青などの有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム、板状酸化亜鉛、合成マイカなどの体質顔料、雲母チタンなどのパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムなどの金属塩、シリカ、アルミナなどの無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛などが挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状など)大きさに特に制限はない。本発明では特にタルクやセリサイト、合成マイカなどの板状粉末やシリカなどを配合してあると、感触の調整および吸湿時の粒子の固着防止に好ましい効果がある。また、球状の樹脂ビーズも感触調整やスクラブ効果があるので好ましい。さらに、高吸水性高分子を利用することも感触改善効果が高いので好ましい。
【0014】
本発明でさらに併用することが好ましい成分である生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤などが挙げられる。その中でも、天然系の植物抽出エキス、海藻抽出成分、生薬成分が特に好ましい。本発明では、これらの生理活性成分を1種または2種以上配合することが好ましい。
【0015】
これらの成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキスなどを挙げることができる。
【0016】
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、ザルコシン、N−メチル−L−セリンなどのアミノ酸誘導体、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン(トリメチルグリシン)、ホエイなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤、ビタミンA,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステルなどのビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸などの活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニンなどの抗酸化剤、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体などの創傷治癒剤、カンゾウ抽出物、ヒノキチオール、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、カンフル、l−メントール、γ−アミノ酪酸などが挙げられる。
【0017】
本発明の粉末状洗顔料は、上記の各成分を混合し、容器に充填するが、容器としては、小型のブリスター容器などに充填した一回分を使い切りにするタイプや、100g程度をまとめてボトル容器に充填する形態のものを用いても良い。
【0018】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を詳細に説明する。
また、実施例及び比較例の粉末状洗顔料の各種特性に対する評価方法を以下に示す。
【0019】
[製剤の安定性]
実施例及び比較例の粉末状洗顔料をポリエチレン製ボトル容器に100g充填した製品を浴室の洗面台に30日間放置しながら使用した時に粉末状洗顔料が容器底面で固結する現象が発生するか否かを確認した。
【0020】
[有用性評価]
専門パネラーを各評価品目ごとに10名ずつ用意し(但し、品目によりパネラーが重複する場合もある)、下記に示す評価基準に従って評価を行い、全パネラーの合計点数を以て評価結果とした。従って、点数が高いほど評価項目に対する有用性が高いことを示す。(満点:50点)
【0021】
Figure 0004515547
【0022】
実施例1
下記の処方と製造方法に従って洗顔パウダーを製造した。
【0023】
Figure 0004515547
【0024】
製造方法
ヘンシェルミキサー中に成分Aを入れ、攪拌しながら成分Bを順次加えていき、得られた造粒粉末をメッシュに通して整粒した後、容器に充填して製品とした。
【0025】
参考例1
実施例1の酵素(パパイン)の代わりにトリメチルグリシンを用いた他は全て実施例1と同様にして洗顔パウダーを得た。
【0026】
比較例1
実施例1のラフィノースのかわりに乳糖粉末を用いた他は全て実施例1と同様にして洗顔パウダーを得た。
【0027】
実施例、参考例及び比較例の評価結果を下記に示す。
【0028】
製剤の安定性 さっぱり感 保湿効果
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例1 固着無し 48 41
参考例1 固着無し 47 37
比較例1 固着あり 10 14
【0029】
上記の結果より、本発明の各実施例は比較例と比べて、製剤の安定性に優れ、さっぱり感を有しながら保湿効果(肌の潤い感)に優れていることが判った。一方、比較例は各実施例と比べて、べたつくばかりでなく、感触にも問題が大きく、洗顔した実感が得られないものであった。また、比較例は時間的に早い段階で容器内で固まってしまった。
【0030】
【発明の効果】
以上のことから、本発明は、天然成分であり、かつ細胞保護効果に優れたラフィノース酵素を配合することで、さっぱりとした感触を有しながら肌に自然な潤いを与え、かつ肌を滑らかにする効果を有し、製剤の安定性にも優れた粉末状洗顔料を提供できることは明らかである。

Claims (1)

  1. ラフィノースを1〜85重量%と、酵素とを含有することを特徴とする粉末状洗顔料。
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