JP4515471B2 - 舶用一軸二舵システムおよび一軸二舵船舶 - Google Patents
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Description
このシステムにおいて旋回流れを効率約回収するためには、この小翼の面積を大きくすれば、プロペラ後流の旋回流れのエネルギーをより効率よく回収することが出来る。
因って、従来この目的に使用される小翼は、矩形翼もしくはそれに近似した形状の小翼を用いた場合には、この二舵間における干渉によって翼の面積には限界があった。
本発明は、プロペラ軸高さを中心に、左右舷で高さ方向に段違いの位置に小翼を配置して、それぞれの翼が互いに干渉しない範囲においてそれぞれの小翼の面積を大きくとることにより、通常の配置による小翼の面積より大きな面積をもって、より大きな省エネルギー効果をもたらす舶用一軸二舵システムおよび一軸二舵船舶を提供することをその目的とする。
(1)船尾に設置される一軸のプロペラと、該プロペラの後方で該プロペラの軸心を挟んで略鉛直面内に配置される一対の舵とを有する舶用一軸二舵システムであって、
前記一対の舵のそれぞれの内側面に水平面に対して所定の角度を具備する一対の左内フィンと右内フィンを、プロペラ軸中心高さ近傍において、それぞれプロペラ軸中心高さより所定の距離をもって上下方向段違いに配置し、且つ、対の舵の可動範囲に対しお互いに干渉を避ける平面形状により形成されており、さらに前記内フィンの平面形状が、1対の舵間の間隔Aで配置された対の舵の一方の舵の可動範囲Bに対して、他方の舵に設けられた内フィンの外縁が干渉しない領域の最大円の円弧形状、または該円弧形状に内接する多角形状としたものである。
(2)上述の(1)において、前記一対の内フィンのそれぞれプロペラ軸中心高さより上下方向に段違いに配置される所定の距離を、小翼の最大翼厚さTの10%〜500%の距離としたものであり、
(3)上述の(1)または(2)において、前記内フィンの平面形状において、前記最大円の円弧形状に内接する多角形状を台形形状としたものである。
(4)上述の(1)〜(3)において、前記プロペラ軸中心に対する、左内フィンと右内フィンの段違いの上下偏倚方向および位置は、プロペラ後流の断面2次速度分布による上昇流及び下降流の小翼における揚力が略バランスする方向および位置として特定されるものであり、
(5)上述の(1)〜(4)において、前記プロペラ後流が、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の一方の舵の内側面寄りで略斜め上方向であり、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の他方の舵の内側面寄りで略斜め下方向であるとき、前記一方の舵の内側面に設置される内フィンが、対称または上向きのキャンバーを具備する非対称の翼形状であって、前記他方の舵の内側面に設置される内フィンが、対称または下向きのキャンバーを具備する非対称の翼形状であることを特徴とするものであり、
(6)上述の(1)〜(5)において、前記プロペラの軸心と略同一高さにおけるプロペラ後流が、前記一対の舵に挟まれた範囲の外側および前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の一方の舵の内側面寄りで略斜め上方向であり、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の他方の舵の内側面寄りで略斜め下方向であるとき、前記一方の舵の内側面に設置される内フィンが、前方が高くなる仰角を有し、前記他方の舵の内側面に設置される内フィンが、前方が低くなる俯角を有することを特徴とするものであり、
(7)上述の(6)において、前記仰角及び俯角を、各0〜15度で失速角を超えない範囲の角度としたものである。
(8)上述の(1)〜(7)の一軸二舵システムを備えたことを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る一軸二舵船舶は、前記舶用一軸二舵システムの作用効果によって、大きな推進力が得られるため、推進動力の消費が大幅に低減され、顕著な省エネを図ることができる。
図1は、舵上面および船体後方から見た一対の舵システムを模式的に示す図であり、
(a)は従来の内フィン無しの場合の図、(b)は従来型の内フィンを付した場合の図、(c)は本実施の形態1における内フィンを付した場合の図である。
図2は、従来型の内フィンと本実施の形態1における内フィンの上面視平面形状を比較して示す図である。
図3は、左舵側内フィンと右舵側内フィンとの相互干渉状態を示す説明図であり、
(a)は従来型の内フィンの場合の図、(b)は本実施の形態1における内フィンの場合の図である。
図において、1はプロペラ(外周軌跡のみにて表示)、2Lは一対の舵の内のPORT側舵、2Rは一対の舵の内のStarboard側舵、3Lは従来のPORT側舵に設けられた内フィン、3Rは従来のStarboard側舵に設けられた内フィン、4Lは本実施の形態1のPORT側舵に設けられた内フィン、4Rは本実施の形態1のStarboard側舵に設けられた内フィンである。
本実施の形態における台形形状の内フィンは、一般的に形状が単純で、設計、製造がし易く、且つ従来台形形状内フィンによる多くの実績を重視して選択され、さらに平面積をより大きくしたところに特徴がある。
すなわち、図2に示されるように、従来型の内フィンの上面視平面形状は略台形形状に対し 本実施の形態1においては、対の内フィンを段違いに配設し、且つ内フィンの形状を、前記舵の操舵旋回時に内フィンの先端が相対する対の舵面および内フィン縁面に干渉しない範囲において、操舵旋回の旋回中心を中心として形成される最大の半円形円弧に内接する多角形、特には台形形状に形成したものである。
段違いに配置される所定の距離Δが最大翼厚さTの10%を割ると、対の内フィン同士の接触の可能性が生じ好ましくない。
また、段違いに配置される所定の距離Δが最大翼厚さTの500%を超すと、後述するプロペラ後流れによる推力が十分に利用できない。
また、図3に舵間隔を10.2mとし、内フィンと舵との最小間隔を100mmとなるように設計した場合の従来型と本実施の形態1における、相互干渉状態を示している。これにより、大きな平面積を期待できることがわかる。
図4において、船体中心に対し流速分布は対称では無く偏心しており、また下向きの流れの流入角度は20°を超えていることがわかる。内フィンはこの流れ分布を想定して設計される。
舵内側に装着された内フィンは、上記のプロペラ後流の断面2次速度成分を回収することにより馬力低減を達成するものである。図4はAP位置での舵がない場合の流向分布であり、船尾から船首方向にみた場合を示している。したがって、左舷側では上昇流(+の角度)が、また右舷側では下降流(−の角度)が存在する。この流れをプロペラ後方の二舵の内側に装着された内フィンにより効率よく回収するものである。
図5は、前記上昇流、下降流により内フィンが受ける揚力の状態を示す説明図である。
上昇流と下降流がそれぞれの内フィンに揚力を発生させ、その前向き成分が船体を前方に押出す力、すなわちスラスト力(推力)となり、馬力低減をもたらす。
本発明にあっては、前述のごとく平面積形状を半円形状にし、一対の内フィン間の間隙Δ0 を最小にすることにより、最も大きな内フィン面積Sを確保することができる。
本発明の内フィンの断面形状は図5にても明かなように翼型で構成されている。本実施の形態1においては、各断面の前から翼弦長40%の位置において翼弦長の15%の最大厚さを持つ非対称翼形状を採用している。なお、翼断面形状は非対称翼形状でなく対称形としてもよい。
これらにより本発明の内フィン自身は大きな抵抗とならずスラスト力を出すことができ、従来型の内フィンより平面積が大きく、また、従来型の内フィンと翼断面形状が同じであれば、体積も大きいと言うことになり排除圧効果も大きくなり、よって伴流利得による馬力低減も大きくなる。
また、図7は、本実施の形態1における、台形形状の形成に対し設計的にまた製造上より構成し易い内フィンの場合についての設計手順を示す説明図である。
(a)対の舵間の間隔Aに配置された2枚の舵の一方の舵の可動範囲Bに対して干渉しないような領域の最大円Cを描く。
(b)舵前端Dと舵後端Eから円Cの内部で最大の面積を確保できるように内フィン外形状Fを描く。このとき舵の中心線と内フィンの前縁40のなす角度Gを40゜〜90゜の範囲とし、また舵の中心線と内フィンの後縁42のなす角度Hを40゜〜90゜の範囲とする。
このようにして、図2における本実施の形態1の内フィンの台形形状が求められる。
前述のごとく、舵間隔を10.2mとし、内フィンと舵との最小間隔を100mmとなるように設計した場合には、従来型に対して本実施の形態1における内フィンの平面積は約45%の増加が期待できる。
この場合、実船は船長約300mの一軸二舵船型の大型タンカー船として適用した。
また、本実施の形態1では内フィン断面は非対称形の翼形状としたが、対称形の翼形状としてもよい。この場合には、前述のプロペラ後流による揚力について十分考慮されなければならない。
1C プロペラの軸心、
2L 一対の舵の内のPORT側舵、
22L PORT側舵の外側面、
23L PORT側舵の後側面
24L PORT側舵の内側面、
2R 一対の舵の内のStarboard側舵、
22R Starboard側舵の外側面
23R Starboard側舵の後側面
24R Starboard側舵の内側面
3L 従来のPORT側舵に設けられた内フィン、
3R 従来のStarboard側舵に設けられた内フィン、
3A 従来の内フィンの平面積
4L 本実施の形態1のPORT側舵に設けられた内フィン、
4R 本実施の形態1のStarboard側舵に設けられた内フィン、
4A 本実施の形態1の内フィンの平面積
10 舶用一軸二舵システム、
30 従来の内フィンの外周ライン、
40 本実施の形態1の内フィンの前縁ライン、
41 本実施の形態1の内フィンの側縁ライン、
42 本実施の形態1の内フィンの後縁ライン。
Claims (8)
- 船尾に設置される一軸のプロペラと、該プロペラの後方で該プロペラの軸心を挟んで略鉛直面内に配置される一対の舵とを有する舶用一軸二舵システムであって、
前記一対の舵のそれぞれの内側面に水平面に対して所定の角度を具備する一対の左内フィンと右内フィンを、プロペラ軸中心高さ近傍において、それぞれプロペラ軸中心高さより所定の距離をもって上下方向段違いに配置し、且つ、対の舵の可動範囲に対しお互いに干渉を避ける平面形状により形成されており、さらに前記内フィンの平面形状が、1対の舵間の間隔Aで配置された対の舵の一方の舵の可動範囲Bに対して、他方の舵に設けられた内フィンの外縁が干渉しない領域の最大円の円弧形状、または該円弧形状に内接する多角形状であることを特徴とする舶用一軸二舵システム。 - 前記一対の内フィンのそれぞれプロペラ軸中心高さより上下方向に段違いに配置される所定の距離が、小翼の最大翼厚さTの10%〜500%の距離であることを特徴とする請求項1に記載の舶用一軸二舵システム。
- 前記内フィンの平面形状において、前記最大円の円弧形状に内接する多角形状が台形形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の舶用一軸二舵システム。
- 前記プロペラ軸中心に対する、左内フィンと右内フィンの段違いの上下偏倚方向および位置は、プロペラ後流の断面2次速度分布による上昇流及び下降流の小翼における揚力が略バランスする方向および位置として特定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の舶用一軸二舵システム。
- 前記プロペラ後流が、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の一方の舵の内側面寄りで略斜め上方向であり、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の他方の舵の内側面寄りで略斜め下方向であるとき、
前記一方の舵の内側面に設置される内フィンが、対称または上向きのキャンバーを具備する非対称の翼形状であって、
前記他方の舵の内側面に設置される内フィンが、対称または下向きのキャンバーを具備する非対称の翼形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の舶用一軸二舵システム。 - 前記プロペラの軸心と略同一高さにおけるプロペラ後流が、前記一対の舵に挟まれた範囲の外側および前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の一方の舵の内側面寄りで略斜め上方向であり、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の他方の舵の内側面寄りで略斜め下方向であるとき、
前記一方の舵の内側面に設置される内フィンが、前方が高くなる仰角を有し、
前記他方の舵の内側面に設置される内フィンが、前方が低くなる俯角を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の舶用一軸二舵システム。 - 前記仰角及び俯角が、各0〜15度で失速角を超えない範囲の角度であることを特徴とする請求項6に記載の舶用一軸二舵システム。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の舶用一軸二舵システムを備えたことを特徴とする一軸二舵船舶。
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