JP2016060307A - 二枚舵システム - Google Patents

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俊彦 有井
Toshihiko Arii
俊彦 有井
和敬 細萱
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和敬 細萱
冨田 和志
Kazuyuki Tomita
和志 冨田
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【課題】フィンの形状に着目した研究によって、舵抵抗を減じて推進効率の向上を図った二枚舵システムを提供する。【解決手段】一基の推進プロペラ100の後方に配設する一対の舵ブレード111、121と、各舵ブレード111、121の内舷側舵面から水平方向に向けて張り出した一対のフィン112、122を備え、各フィン112、122は前縁112a、122aが推進プロペラ100の軸心と直交する方向に延びた形状をなす。【選択図】図1

Description

本発明は二枚舵システムに関し、舵の推進効率の向上に資する技術に係るものである。
従来、この種の舵としては、例えば特許文献1に記載するものがある。図7から図9に示すように、一対の高揚力舵1、2を一基の推進プロペラ3の後方に推進プロペラ軸心に対して左右対称に配設してある。左右両舷側に配置した高揚力舵1、2の左舷舵ブレード4および右舷舵ブレード5は、各々の頂端部および底端部に頂端板(図示省略)と底端板6、7を有し、左右舷舵ブレード4、5のそれぞれ内舷側の面上に推進プロペラ3の軸心とほぼ同じ水準位置に左右舷フィン8、9を有している。左右舷フィン8、9は、それぞれ内舷側端面に平板状の左右舷フィン端板10、11を有している。
この構成において、舵ブレード4、5はそれぞれ外舷方向に例えば60°、内舷方向に例えば30°回転可能であり、例えば図8に示すように、左舷舵ブレード4が左舷60°、右舷舵ブレード5が左舷30°の舵角の組み合せでは、二枚の舵ブレード4、5の間における水流の干渉作用を避けて舵力を発生させ、船を最大の能力を持って左旋回させる。
また、各舵ブレード4、5をそれぞれ外舷側に転舵すれば、推進プロペラ3の後流によって各舵ブレード4、5には揚力と抗力が発生し、揚力は左右で釣り合って相殺され、残った抗力が推進プロペラ3による前進推力を減殺する。
従って、推進プロペラ3の回転を制御することなく船に制動力を与えて減速させることができる。その究極として、図9に示すように、各舵ブレード4、5をそれぞれ外舷側に最大60°転舵して両舷側に張り出した状態では、各舵ブレード4、5は、船の進行に対する制動板として制動作用を行う。
特開2003−26096
上記した構成の二枚舵システムでは、船を操縦するために各舵に舵角を与えたときは、推進プロペラの後流は舵ブレードの頂端板と底端板の間に封じ込められるようにして舵ブレードの面に流入する。このため、翼としての揚力あるいは水流の直圧力として発生する揚力が大きくなるとともに、さらに魚尾後縁部における水流の屈折の反力が揚力として加わるために、大きな揚力を発生させる。
また、フィン端板によってフィン翼端部における端面影響および自由渦の発生を少なくすることができるとともに、フィン翼面上の揚力分布を端部まで延長し、かつ自由渦の一部を前進力に変換することができる。従って、フィンの揚力変換効率が高まり、推進効率が高まる。
しかし、二枚舵システムは、その高揚力性能により操縦性能が優れているが、二枚の舵を装備することで推進性能上のハンディキャップがあり、推進馬力の増加を必要とした。
本発明は、フィンの形状に着目した研究によって、舵抵抗を減じて推進効率の向上を図った二枚舵システムを提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明の二枚舵システムは、一基の推進プロペラの後方に配設する一対の舵ブレードと、各舵ブレードの内舷側舵面から水平方向に向けて張り出した一対のフィンを備え、各フィンは前縁が推進プロペラの軸心と直交する方向に延びた形状をなすことを特徴とする。
本発明の二枚舵システムにおいて、舵ブレードは、水平断面の輪郭において前縁部と中間部と後縁部からなり、前縁部は前方へ半円形状に突出した形状をなし、前縁部に連続する中間部は最大幅部に向けて流線型状に幅が増大した後に最小幅部に向けて徐々に幅が減少した形状をなし、中間部の最小幅部に連続する後縁部は所定幅の後縁最大幅部に向けて徐々に幅が増大した魚尾形の形状をなすことを特徴とする。
上記した構成により、フィンが前縁を推進プロペラの軸心と直交する方向に延ばした形状、すなわち後退角が0°の形状をなすことで舵抵抗が減少し、推進効率の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態における二枚舵システムを示す平面図 比較対象の従来の二枚舵を示す平面図 比較対象の従来の二枚舵を示す平面図 フィンの後退角を示す模式図 本発明の二枚舵と従来の二枚舵とにおける舵抵抗を示すグラフ図 本発明の実施の形態における二枚舵システムを示す背面図 従来の二枚舵システムを示す平面図 従来の二枚舵システムにおける左旋回状態を示す平面図 従来の二枚舵システムにおける制動状態を示す平面図
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1、図6において、二枚舵システムは、一基の推進プロペラ100の後方に配設した一対の高揚力舵110、120からなるが、本発明は普通舵にも適用可能である。
高揚力舵110、120は、推進プロペラ軸心に対して左右対称に配設してあり、左舷側舵ブレード111と右舷側舵ブレード121は、弦長が推進プロペラ直径の55〜70%であり、水平断面の輪郭において前縁部と中間部と後縁部からなる。前縁部は前方へ半円形状に突出した形状をなし、前縁部に連続する中間部は最大幅部に向けて流線型状に幅が増大した後に最小幅部に向けて徐々に幅が減少した形状をなし、中間部の最小幅部に連続する後縁部は所定幅の後縁最大幅部に向けて徐々に幅が増大した魚尾形の形状をなす。
高揚力舵110、120は、双方の舵ブレード110、120の内舷側舵面から水平方向に向けて張り出した一対のフィン112、122を備えており、左舷側フィン112、右舷側フィン122は、推進プロペラ100の軸心と同水準位置に配設している。
図6に示すように、左舷側フィン112はプロペラ軸心方向に沿った断面において上方に凸状をなす翼形状をなし、右舷側フィン122は、プロペラ軸心方向に沿った断面において下方に凸状をなす翼形状をなす。
双方のフィン112、122は前縁112a、122aが推進プロペラ100の軸心と直交する方向に延びた形状をなし、後退角α=0°である。後退角は、図4に示すように、翼の前縁Aと推進プロペラ100の軸心と直交する方向Bとの間の角度である。
以下に、本発明に基づく実験結果を説明する。図2に示すものは、比較対象の従来の二枚舵を示しており、図1に示す二枚舵と同様の構成部材には同符号を付してその説明を省略する。双方のフィン212、222は、舵ブレード110、120の内舷側舵面からフィン端部までの翼幅、および舵ブレード110、120の内舷側舵面側における弦長が図1に示す本発明のフィン112、122と同じである。
そして、双方のフィン212、222は前縁212a、222aと推進プロペラ100の軸心と直交する方向Bとの間の後退角αが約30°となる翼形状を有している。
図3に示すものは、比較対象の他の二枚舵を示しており、図1に示す二枚舵と同様の構成部材には同符号を付してその説明を省略する。双方のフィン312、322は、舵ブレード110、120の内舷側舵面からフィン端部までの翼幅、および舵ブレード110、120の内舷側舵面側における弦長が図1に示す本発明のフィン112、122と同じである。
そして、双方のフィン312、322の前縁312a、322aと推進プロペラ100の軸心と直交する方向Bとの間の後退角αが約46°となる翼形状を有している。
図5は上記した各二枚舵の後退角αと舵抵抗の関係を示す実験結果である。図5において、舵0は図1の構成においてフィン112、122が存在しない場合を示しており、舵1が図1の構成の実験結果であり、舵2が図2の構成の実験結果であり、舵3が図3の構成の実験結果である。
図5の実験結果から明らかなように、本発明に係る後退角αが0°の場合には舵抵抗が約1.33であるのに対して、後退角αが約30°の場合には舵抵抗が約1.58となり、後退角αが約46°の場合には舵抵抗が約1.65となり、フィンを備えていない場合には舵抵抗が1.7となる。
このように、本発明に係る二枚舵では、フィン112、122が前縁112a、122aを推進プロペラ100の軸心と直交する方向に延ばした形状、すなわち後退角αが0°の形状をなすことで舵抵抗が減少し、推進効率の向上を図ることができる。
100 推進プロペラ
110、120 高揚力舵
111 左舷側舵ブレード
121 右舷側舵ブレード
112 左舷側フィン
122 右舷側フィン
112a、122a 前縁

Claims (2)

  1. 一基の推進プロペラの後方に配設する一対の舵ブレードと、各舵ブレードの内舷側舵面から水平方向に向けて張り出した一対のフィンを備え、各フィンは前縁が推進プロペラの軸心と直交する方向に延びた形状をなすことを特徴とする二枚舵システム。
  2. 舵ブレードは、水平断面の輪郭において前縁部と中間部と後縁部からなり、前縁部は前方へ半円形状に突出した形状をなし、前縁部に連続する中間部は最大幅部に向けて流線型状に幅が増大した後に最小幅部に向けて徐々に幅が減少した形状をなし、中間部の最小幅部に連続する後縁部は所定幅の後縁最大幅部に向けて徐々に幅が増大した魚尾形の形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の二枚舵システム。
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