JP4514305B2 - 低騒音型オフセットチェーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リンクを連結ピンによって無端状に連結してなるオフセットチェーンに関するものであって、更に詳しくは、連結ピンを中心として隣合うリンクが屈曲したときに、リンク間の隙間が可及的に小さくなるように構成した低騒音型オフセットチェーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のオフセットチェーンは、特開2000−72214号公報の図2に記載されるように、同一形状の樹脂製リンク本体を連結ピンによって無端状に連結してなっている。
このような従来のオフセットチェーンでは、リンク本体の一端において連結ピンが貫通するブシュ孔が形成されるとともに、リンク本体の他端において連結ピンが嵌合する一対のピン孔が形成されている。
1つのリンクのブシュ孔と隣合うリンクのピン孔とを整列させて連結ピンをそれぞれの孔に挿通することで、リンクは無端状に連結される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、このような従来のオフセットチェーンを走行させると、隣合うリンク同士が連結ピンのピン軸方向及び/又はピン径方向に相対的に移動して騒音が発生する。
このような挙動は、隣合うリンク同士がピン軸方向の隙間やピン径方向の隙間をもって連結されているからである。
特に、曲面搬送用チェーンでは、これらのピン軸方向の隙間やピン径方向の隙間が比較的大きく、その分、衝突時の騒音が大きくなるという問題があった。
【0004】
ところで、騒音が発生するために、ピン軸方向の隙間やピン径方向の隙間は大きな要素であるが、その他に、隣合うリンク同士の自由度も大きな要素である。
図17に示されるように、一般に、オフセットチェーン510は、駆動スプロケット512と被動スプロケットに捲回され、チェーン緊張側514とチェーン弛緩側516がある。
そして、このチェーン緊張側514は、駆動スプロケット512の牽引力を受けて、隣合うリンク同士の相対移動が比較的拘束されている。
駆動スプロケット512から牽引力が働いているチェーン緊張側514では、隣合うリンク同士は、相対的に移動しづらい。
一方、チェーン弛緩側516では、チェーン緊張側514に比べて牽引力が小さく、装置や搬送物への振動も加わり、さらに、オフセットチェーン510の軌道も規制されていないことから、隣合うリンク同士は、相対的に移動しやすい。
また、アイドラローラ518によって、隣合うリンクが強制的に屈曲させられることもある。
したがって、従来のオフセットチェーン510では、チェーン弛緩側516における隣合うリンク同士の相対的な移動によって騒音が発生しやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するものであって、本発明の目的は、隣合うリンクが衝突する部位の隙間を小さくするかなくすことにより、騒音の低減を図ることである。隙間は、連結ピンのピン軸方向及びピン径方向に存在するので、これらの隙間を可及的に小さくすることにより、特に、隣合う前後のリンクの自由度の大きいチェーン弛緩側でこれらの隙間を可及的に小さくすることにより、騒音の低減を図ることである。
すなわち、本発明の目的は、隣合うリンクの自由度の大きいチェーン弛緩側で隣合うリンク本体のヒンジ部同士のピン軸方向の隙間、または、ブシュ孔と連結ピンとの間に存在するピン径方向の隙間を可及的に小さくして騒音の低減を図る低騒音型オフセットチェーンを提供することである。。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本請求項1に係る発明は、リンクを構成するリンク本体の一端のヒンジ部に連結ピンが貫通するブシュ孔が形成されるとともに、前記リンク本体の他端のヒンジ部に前記連結ピンが嵌合するピン孔が形成され、前記隣合うリンク本体のヒンジ部同士を前記連結ピンで無端状に連結した低騒音型オフセットチェーンにおいて、前記連結ピンの周囲に嵌合して隣合うリンク本体のヒンジ部同士の対向側面の一方が、前記対向側面の他方に向って突出する突起を有し、前記対向側面の他方が、前記隣合うリンク同士の屈曲時に前記突起と接触して前記対向側面同士のピン軸方向の隙間を減少させる隆起面を有していることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、リンクを構成するリンク本体の一端のヒンジ部に連結ピンが貫通するブシュ孔が形成されるとともに、前記リンク本体の他端のヒンジ部に前記連結ピンが嵌合するピン孔が形成され、前記隣合うリンク本体のヒンジ部同士を前記連結ピンで無端状に連結した低騒音型オフセットチェーンにおいて、前記連結ピンの周囲に嵌合して隣合うリンク本体のヒンジ部同士の対向側面の一方が、前記対向側面の他方に向って突出する隆起面を有し、前記対向側面の他方が、前記隣合うリンク同士の屈曲時に前記隆起面に沿って対峙して前記対向側面同士のピン軸方向の隙間を減少させる対峙面を有していることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
本請求項3に係る発明は、トッププレートとともにリンクを構成するリンク本体の一端のヒンジ部に連結ピンが貫通するブシュ孔が形成されるとともに、前記リンク本体の他端のヒンジ部に前記連結ピンが嵌合するピン孔が形成され、前記隣合うリンク本体のヒンジ部同士を前記連結ピンで無端状に連結した低騒音型オフセットチェーンにおいて、前記リンク本体のヒンジ部の一端及び/又は他端が、前記隣合うリンク同士の屈曲時に隣合うリンクのトッププレートに近付くように前記隣合うリンクのチェーンピッチ線方向に延びて前記ブシュ孔と連結ピンとのピン径方向の隙間を減少させる突起を有していることにより、前述した課題を解決するものである。
【0009】
本発明では、隣合うリンクが互いに屈曲したとき、対向側面同士のピン軸方向の隙間又はブシュ孔と連結ピンとのピン径方向の隙間が減少する。
これら対向側面同士のピン軸方向の隙間又はブシュ孔と連結ピンとのピン径方向の隙間は、実質的に0になることが好ましい。
対向側面同士のピン軸方向の隙間又はブシュ孔と連結ピンとのピン径方向の隙間を小さくすることによって、チェーン弛緩時のように隣合うリンクが拘束されない状態において、隣合うリンク同士の衝突によって生じる騒音が小さくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明による低騒音型オフセットチェーンの実施形態を説明する。
まず、図1乃至図3は、第1実施形態を示し、隣合うリンク同士の屈曲時におけるピン軸方向の隙間を漸減させた低騒音型オフセットチェーンを示している。
図1は、低騒音型オフセットチェーンを裏面側から見た斜視図であり、図2は、低騒音型オフセットチェーンを構成するリンクを裏面側から見た斜視図であり、図3は、屈曲前後における隣合うリンクの挙動を示す正面図である。
【0011】
本発明の第1実施形態である低騒音型オフセットチェーン10は、同一形状の樹脂製リンク12が連結ピン14によって無端状に連結されている。
それぞれのリンク12は、隣合うリンクを牽引するリンク本体16と、物品を載荷するトッププレート18とで構成されている。
本実施形態の低騒音型オフセットチェーン10では、リンク本体16とトッププレート18とは一体であるが、これらが別体に成形された後、リンク12として組み立てられるものであってもよい。
【0012】
リンク本体16は、一対のプレート20,20を有している。
それぞれのプレート20の一端の第1ヒンジ部22には、ブシュ孔24が形成されている。
また、それぞれのプレート20の他端の第1ヒンジ部23には、ピン孔26が形成されている。
リンク12は、他端のプレート20,20と間に、ピン孔28が形成された第2ヒンジ部30が設けられている。
整列するブシュ孔24とピン孔26,28にD形状の連結ピン14を挿通することで、リンク12は、連結ピン14を中心に屈曲自在に連結されている。
リンク12が屈曲自在であるためには、1つのリンク12と隣合うリンク12とが、連結ピン軸方向の対向面、いわゆる、対向側面においてピン軸方向の隙間を持つことが必要であり、特に、曲面搬送用チェーンでは、対向側面同士のピン軸方向の隙間が大きくなっている。
【0013】
第1ヒンジ部22と第2ヒンジ部30の対向側面は、連結ピン14のピン軸に直角な平面内で対向している。
第2ヒンジ部30の対向側面は、チェーンピッチ線上において、第1ヒンジ部22の対向側面に向って突出する半円形の突起32を有している。
一方、第1ヒンジ部22の対向側面は、チェーンピッチ線上において、連結ピン14のピン軸に直角に形成された平坦面34と、チェーンピッチ線の上下において平坦面34に連続して第2ヒンジ部30の対向側面に向う隆起面36とを有している。
【0014】
図3に示すように、牽引される等により低騒音型オフセットチェーン10が緊張しているときには、低騒音型オフセットチェーン10は直線状態にあり、図3aのように、突起32は、平坦面34に対峙している。
突起32の先端と平坦面34との間には、隣合うリンク12同士の屈曲を許したり、曲面搬送を許したりするように対向側面同士のピン軸方向の隙間が存在する。
チェーン戻り側のように低騒音型オフセットチェーン10が弛緩すると、図3bに示されるように、隣合うリンク12は、連結ピン14を中心にして相対的に回動する。
これにより、突起32は、隆起面36と対峙する位置まで移動する。
突起32と隆起面36との間では、ピン軸方向の隙間が小さくなり、隣合うリンク12同士のピン軸方向の移動量が制限される。
隆起面36は、平坦面34との放射状の境界線から高さが漸増している。
したがって、境界線を越えると、隣合うリンク12の屈曲角度が大きくなるに伴って隙間が小さくなる。
隣合うリンク12が一定の屈曲角度を越えると、突起32と隆起面36との間のピン軸方向の隙間がなくなり、突起32は、隆起面36に接する。
【0015】
本実施形態では、連結ピン14の周囲に嵌合して隣合うリンク本体16の第2ヒンジ部30の対向側面に突起32を設けるとともに、連結ピン14の周囲に嵌合して隣合うリンク本体16の第1ヒンジ部22の対向側面に隆起面36を設けている。
これにより、隣合うリンク12同士の屈曲角度を基準にして、ピン軸方向の対向側面同士の隙間を設定することができる。
例えば、低騒音型オフセットチェーン10がスプロケットに捲回するときの隣合うリンクの屈曲角度は、一義的に定まる。
その屈曲角度において、突起32が隆起面34に接するように隆起面34の形状を定めることで、低騒音型オフセットチェーン10がスプロケットに捲回するときに屈曲不良を防止することができる。
【0016】
以上の第1実施形態では、第2ヒンジ部30の両対向側面に突起32を設けているが、変形例として、他の対向側面間に突起及び隆起面を設けてもよく、突起及び隆起面を1つの対向側面だけに設けてもよい。
また、チェーンピッチ線の上下に隆起面36を設けることで、トッププレートが山形及び谷形のいずれに屈曲しても対向側面同士のピン軸方向の隙間が小さくなるが、チェーンピッチ線の上又は下の一方に隆起面36を設けることで、一方の屈曲方向においてのみ対向側面同士のピン軸方向の隙間を小さくし、他方の屈曲方向には自由に隣合うリンク12が回動できるようにしておくことができる。
例えば、低騒音型オフセットチェーン10がスプロケットに捲回して、隣合うリンク12のトッププレート18が山形に屈曲する方向には、自由に屈曲できるようにすることができ、チェーン戻り側で、アイドラローラに接してトッププレート18が谷形に屈曲する方向には、対向側面同士のピン軸方向の隙間を制限するようにすることができる。
【0017】
図4及び図5は、本発明の第2実施形態を示すものであって、隣合うリンク112同士の屈曲時におけるピン軸方向の隙間を直ちに減少させた低騒音型オフセットチェーン110を示している。
図4は、第2実施形態の低騒音型オフセットチェーン110を構成するリンク112を裏面側から見た斜視図であり、図5は、屈曲前後における隣合うリンク112の挙動を示す正面図である。
本発明の第2実施形態である低騒音型オフセットチェーン110は、平坦面と隆起面の構成を除き、第1実施形態の低騒音型オフセットチェーン10と同じである。
本第2実施形態の低騒音型オフセットチェーン110では、第1ヒンジ部122と第2ヒンジ部130の側面は、連結ピンのピン軸に直角な平面内で対向している。
第2ヒンジ部130の対向面、いわゆる、対向側面は、チェーンピッチ線上において、第1ヒンジ部122の対向側面に向って突出する半円形の突起132を有している。
一方、第1ヒンジ部122の対向側面は、チェーンピッチ線上において、連結ピンのピン軸に直角に形成された平坦面134と、チェーンピッチ線の上下において平坦面134に連続する傾斜面135と、この傾斜面135に連続し、連結ピンのピン軸に直角に形成されて第2ヒンジ部130の対向側面に平行な隆起面136とを有している。
【0018】
図5に示すように、平行面134は、突起132の大きさより僅かに大きく、隣合うリンク112が少し屈曲すれば、突起132が隆起面136に対峙する程度の幅である。
したがって、低騒音型オフセットチェーン110が緊張したり、ガイドに沿って走行しているときには、低騒音型オフセットチェーン110は、直線状態にあり、図5aのように、突起132は、平坦面134に対峙している。
この状態において、曲面搬送に用いられる低騒音型オフセットチェーン110では、水平方向への屈曲が許されている。
スプロケットへの捲回時やチェーン戻り側では、図5bに示されるように、隣合うリンク112は、連結ピンを中心にして相対的に回動する。
これにより、突起132は、隆起面136と直ちに対峙する位置まで移動する。
このとき、傾斜面135が突起132を隆起面136に案内する。
【0019】
本第2実施形態の低騒音型オフセットチェーン110では、屈曲角度の大きさとは無関係に、隣合うリンク112の対向側面同士のピン軸方向の隙間が小さくなる。
したがって、低騒音型オフセットチェーン110がスプロケットに捲回することに何の支障もない。
突起132と隆起面134との間の関係において、対向側面同士のピン軸方向の隙間を可及的に小さくすることが好ましく、この観点から、突起132と隆起面134とは、隣合うリンク112の屈曲時に隣接する関係にある。
なお、突起を設ける部位等においては、第1実施形態の低騒音型オフセットチェーン10と同じように、変形することができる。
【0020】
図6乃至図8は、第3実施形態の低騒音型オフセットチェーンを示し、第1実施形態及び第2実施形態と同じく、隣合うリンク同士の屈曲時における対向側面同士のピン軸方向の隙間を漸減させた低騒音型オフセットチェーンを示している。
図6は、低騒音型オフセットチェーンを裏面側から見た斜視図であり、図7は、低騒音型オフセットチェーンのリンクを裏面側から見た底面図であり、図8は、屈曲前後における隣合うリンクの挙動を示す底面図である。
【0021】
第3実施形態の低騒音型オフセットチェーン210は、同一形状の樹脂製リンク212が連結ピン214によって無端状に連結されている。
それぞれのリンク212は、隣合うリンクを牽引するリンク本体216と、物品を載荷するトッププレート218とで構成されている。
本実施形態のリンク本体216とトッププレート218は、一体であるが、これらが別体に成形された後、リンク212として組み立てられるものであってもよい。
【0022】
リンク本体216は、一対のプレート220,220を有している。
それぞれのプレート220の一端のヒンジ部222には、ブシュ孔224が形成されている。
また、それぞれのプレート220の他端のヒンジ部223には、ピン孔226が形成されている。
整列するブシュ孔224とピン孔226にD形状の連結ピン214を挿通することで、リンク212は、連結ピン214を中心に屈曲自在に連結される。
【0023】
ヒンジ部222は、一端に向って収斂する側面を有している。
ヒンジ部223は、他端に向って拡開する側面を有している。
低騒音型オフセットチェーン210が直線状態にあるとき、それぞれの側面は、互いに平行な側面、すなわち、対向側面でピン軸方向の隙間をもって対峙している。
なお、低騒音型オフセットチェーン210が直線状態にあるとき、それぞれの対向側面が互いに平行あればよく、それぞれの側面がトッププレートに向って収斂及び拡開していてもよい。
【0024】
図9及び図10は、第3実施形態の低騒音型オフセットチェーンにおける対向側面の形態の変形例を示し、図9では、ヒンジ部250,252の対向側面254と対向側面256とが周方向で波状に形成されている。
また、図10では、ヒンジ部260,262の対向側面264と対向側面266とが周方向でギヤ歯状に形成されている。
【0025】
低騒音型オフセットチェーン210が緊張しているときには、低騒音型オフセットチェーン210は直線状態にあり、それぞれの対向側面は、均等なピン軸方向の隙間で対峙している。
この対向側面同士のピン軸方向の隙間が、隣合うリンク212の屈曲を許したり、曲面搬送を許したりする。
隣合うリンクが連結ピン214を中心にして相対的に回動すると、対向側面が互いに近接する。
この対向側面の形態によって、対向側面同士のピン軸方向の隙間の減少量は異なるが、いずれにしても、低騒音型オフセットチェーン210が直線状態にあるときの初期隙間より、対向側面同士のピン軸方向の隙間は、小さくなる。
これによって、隣合うリンク同士の軸方向の移動量が制限される。
【0026】
図11及び図12は、隣合うリンクの一方向への屈曲時のみ対向側面同士のピン軸方向の隙間を小さくする低騒音型オフセットチェーンの実施形態について、対向面、いわゆる、対向側面の変形例を示している。
図11において、一方がブシュ孔270を備えたヒンジ部272であり、他方がピン孔274を備えたヒンジ部276である。
ヒンジ部272とヒンジ部276の対向側面には、それぞれ平坦面280,282と隆起面284,286が180°の位相で形成されている。
図12は、対向側面の展開図であり、平坦面280,282は、連結ピンのピン軸に直角であり、隆起面284,286は、境界線から対峙する対向側面に向っている。
【0027】
低騒音型オフセットチェーンが直線状態にあるとき、隆起面284,286は、所定の対向側面同士のピン軸方向の隙間で対峙している。
それぞれのヒンジ部が一方向に相対的に回転したとき、すなわち、隆起面284,286が近接する方向に移動したとき、対向側面同士のピン軸方向の隙間が小さくなる。
例えば、図12において、上方に記載したヒンジ部272が図中左側に移動すると、対向側面同士のピン軸方向の隙間が小さくなる。
この方向とは逆の方向にヒンジ部が、相対的に回転したとき、ヒンジ部は、90°まで自由に回転することができる。
自由に回転する方向と、低騒音型オフセットチェーンがスプロケットに捲回する方向とを一致させることにより、低騒音型オフセットチェーンが何の支障もなくスプロケットに捲回することができ、低騒音型オフセットチェーンが反る方向に隣合うリンクが回転するときだけ、対向側面同士のピン軸方向の隙間を小さくさせることができる。
【0028】
図13乃至図16は、連結ピンとブシュ孔との間のピン径方向の隙間によって生じる衝突音(騒音)を低減する目的で構成された第4実施形態を示している。
図13は、第4実施形態における低騒音型オフセットチェーンの裏面から見た斜視図であり、図14は,図13の隣合うリンクの屈曲挙動時の斜視図である。
【0029】
第4実施形態の低騒音型オフセットチェーン310は、同一形状の樹脂製リンク312が連結ピンによって無端状に連結されている。
それぞれのリンク312は、隣合うリンクを牽引するリンク本体316と、物品を載荷するトッププレート318とで構成されている。
本第4実施形態のリンク本体316とトッププレート318は、一体であるが、これらが別体に成形された後、リンク312として組み立てられるものであってもよい。
【0030】
リンク本体316は、プレート320を有する。
プレート320の一端のヒンジ部322には、ブシュ孔324が形成されている。
また、プレート320の他端のヒンジ部323には、ピン孔326が形成されている。
リンク312の他端には、トッププレート318と一体で、ピン孔328が形成された第2のヒンジ部330が設けられている。
整列するブシュ孔324とピン孔326,328にD形状の連結ピンを挿通することで、リンク312は、連結ピンを中心に屈曲自在に連結される。
隣合うリンク312同士が屈曲自在であるためには、ブシュ孔324と連結ピンとの間にピン径方向の隙間が必要であるが、このピン径方向の隙間が騒音発生の原因となっている。
本実施形態では、低騒音型オフセットチェーン310の屈曲時に、前述したピン径方向の隙間を小さくすることを目的としている。
【0031】
そこで、リンク本体316の他端のヒンジ部326において、チェーンピッチ線方向に延びる突起332が設けられている。
この突起332は、低騒音型オフセットチェーン310が直線状態のとき、トッププレート318には接触しない。
チェーン戻り側等において、隣合うリンク312が屈曲すると、突起332は、トッププレート318に近付く。
本第4実施形態では、隣合うトッププレート318同士が、円弧面で対峙しており、突起332は、隣合うリンクのトッププレート318の円弧面に隣接する。
これによって、隣合うリンク312は、ピン径方向の隙間、特に、チェーンピッチ線方向の隙間が小さくなり、リンク312の衝突によって生じる騒音を低減することができるようになっている。
【0032】
図15は、第4実施形態の変形例である低騒音型オフセットチェーンの表面から見た斜視図であり、図16は、図15の隣合うリンクの関係を示し斜視図である。
この低騒音型オフセットチェーン410では、リンク本体416の一端のヒンジ部422において、チェーンピッチ線方向に延びる突起432が設けられている。
この突起432は、低騒音型オフセットチェーン410が直線状態のとき、トッププレート418には接触しない。
チェーン戻り側等において、隣合うリンク412が屈曲すると、突起432は、トッププレート418の裏面に近付く。
これによって、隣合うリンク412は、ピン径方向の隙間、特に、チェーンピッチ線方向の隙間が小さくなり、リンク412の衝突によって生じる騒音を低減することができるようになっている。
【0033】
図13乃至図16の実施形態は、一端又は他端において、単独で突起332及び突起432を設けた例であるが、双方の突起をプレートに設けてもよい。
また、低騒音型オフセットチェーンがスプロケットに捲回するとき、屈曲を円滑にしなければならない。
したがって、本実施形態の低騒音型オフセットチェーンでは、捲回時の屈曲角度で突起がトッププレートに接するように構成されている。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明では、連結ピンの周囲に嵌合して隣合うリンク本体のヒンジ部同士の対向面、いわゆる、対向側面に突起及び隆起面を設けたので、隣合うリンクが相対的に回動したとき、突起と隆起面との間の隙間が小さくなり、これによって、隣合うリンク同士のピン軸方向の移動量が少なくなる。
したがって、チェーン戻り側のように低騒音型オフセットチェーンが弛緩して、隣合うリンク同士が互いに衝突するようなことがあっても、衝突時に生じる騒音を低減することができる。
また、対向側面同士のピン軸方向の隙間を小さくすることにより、隣合うリンク同士の衝突時の衝突力や距離が減少し、リンクの摩耗を低減する効果もある。
【0035】
請求項2の発明では、低騒音型オフセットチェーンが直線状態にあるとき、連結ピンの周囲に嵌合して隣合うリンク本体のヒンジ部同士の対向側面に設けた隆起面と対峙面との間に隙間を確保し、隣合うリンクが屈曲状態になったときに、隆起面と対峙面との間のピン軸方向の隙間を減少させたので、請求項1の発明と同様に、隣合うリンクのピン軸方向の移動量が少なくなり、リンク同士の衝突によって生じる騒音を低減することができる。
また、対向側面同士のピン軸方向の隙間を小さくすることにより、隣合うリンク同士の衝突時の衝突力や距離が減少し、リンクの摩耗を低減する効果もある。
【0036】
請求項3の発明では、低騒音型オフセットチェーンの屈曲時に隣合うリンクのチェーンピッチ線方向に延びる突起が隣合うリンクのトッププレートに近接するので、ブシュ孔と連結ピンとの間に存在するピン径方向の隙間の減少によって、隣合うリンクのピン径方向の移動量が少なくなり、リンク同士の衝突によって生じる騒音を低減することができる。
また、隣合うトッププレート同士の隙間を小さくすることにより、隣合うリンク同士の衝突時の衝突力や距離が減少し、リンクの摩耗を低減する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態である低騒音型オフセットチェーンの裏面の斜視図。
【図2】 図1に示すリンクの裏面の斜視図。
【図3】 図1における隣合うリンクの挙動を示す正面図。
【図4】 本発明の第2実施形態であるリンク裏面の斜視図。
【図5】 図4における隣合うリンクの挙動を示す正面図。
【図6】 本発明の第3実施形態である低騒音型オフセットチェーンの裏面の斜視図。
【図7】 図6に示す低騒音型オフセットチェーンの一部断面を含む底面図。
【図8】 図6に示す低騒音型オフセットチェーンの対向側面を示す底面図。
【図9】 第3実施形態の変形例における対向側面を示す底面図。
【図10】 第3実施形態の他の変形例における対向側面を示す底面図。
【図11】 第3実施形態の他の変形例における対向側面を示す斜視図。
【図12】 図11の対向側面を示す展開図。
【図13】 本発明の第4実施形態であるリンク裏面の斜視図。
【図14】 図13の屈曲時の隣合うリンクを示す斜視図。
【図15】 第4実施形態の変形例であるリンクの斜視図。
【図16】 図15の屈曲時の隣合うリンクを示す斜視図。
【図17】 従来のオフセットチェーンの取り付け状態を示す側面図。
【符号の説明】
10,110,210 ・・・低騒音型オフセットチェーン
12,112,212 ・・・リンク
14, 214 ・・・連結ピン
16, 216 ・・・リンク本体
18, 218 ・・・トッププレート
20, 220 ・・・プレート
22,122,222 ・・・ヒンジ部
23, 223 ・・・ヒンジ部
24, 224 ・・・ブシュ孔
26, 226 ・・・ピン孔
28 ・・・ピン孔
30,130 ・・・ヒンジ部
32,132 ・・・突起
34,134 ・・・平坦面
135 ・・・傾斜面
36,136 ・・・隆起面
250 ・・・ヒンジ部
252 ・・・ヒンジ部
254 ・・・対向側面
256 ・・・対向側面
260 ・・・ヒンジ部
262 ・・・ヒンジ部
264 ・・・対向側面
266 ・・・対向側面
270 ・・・ブシュ孔
272 ・・・ヒンジ部
274 ・・・ピン孔
276 ・・・ヒンジ部
280,282 ・・・平坦面
284,286 ・・・隆起面
310,410 ・・・低騒音型オフセットチェーン
312,412 ・・・リンク
316,416 ・・・リンク本体
318,418 ・・・トッププレート
320 ・・・プレート
322,422 ・・・ヒンジ部
323 ・・・ヒンジ部
324 ・・・ブシュ孔
326 ・・・ピン孔
328 ・・・ピン孔
330 ・・・ヒンジ部
332,432 ・・・突起
Claims (3)
- リンクを構成するリンク本体の一端のヒンジ部に連結ピンが貫通するブシュ孔が形成されるとともに、前記リンク本体の他端のヒンジ部に前記連結ピンが嵌合するピン孔が形成され、前記隣合うリンク本体のヒンジ部同士を前記連結ピンで無端状に連結した低騒音型オフセットチェーンにおいて、
前記連結ピンの周囲に嵌合して隣合うリンク本体のヒンジ部同士の対向側面の一方が、前記対向側面の他方に向って突出する突起を有し、
前記対向側面の他方が、前記前後に隣合うリンク同士の屈曲時に前記突起と接触して前記対向側面同士のピン軸方向の隙間を減少させる隆起面を有していることを特徴とする低騒音型オフセットチェーン。 - リンクを構成するリンク本体の一端のヒンジ部に連結ピンが貫通するブシュ孔が形成されるとともに、前記リンク本体の他端のヒンジ部に前記連結ピンが嵌合するピン孔が形成され、前記隣合うリンク本体のヒンジ部同士を前記連結ピンで無端状に連結した低騒音型オフセットチェーンにおいて、
前記連結ピンの周囲に嵌合して隣合うリンク本体のヒンジ部同士の対向側面の一方が、前記対向側面の他方に向って突出する隆起面を有し、
前記対向側面の他方が、前記隣合うリンク同士の屈曲時に前記隆起面に沿って対峙して前記対向側面同士のピン軸方向の隙間を減少させる対峙面を有していることを特徴とする低騒音型オフセットチェーン。 - トッププレートとともにリンクを構成するリンク本体の一端のヒンジ部に連結ピンが貫通するブシュ孔が形成されるとともに、前記リンク本体の他端のヒンジ部に前記連結ピンが嵌合するピン孔が形成され、前記隣合うリンク本体のヒンジ部同士を前記連結ピンで無端状に連結した低騒音型オフセットチェーンにおいて、
前記リンク本体のヒンジ部の一端及び/又は他端が、前記隣合うリンク同士の屈曲時に隣合うリンクのトッププレートに近付くように前記隣合うリンクのチェーンピッチ線方向に延びて前記ブシュ孔と連結ピンとのピン径方向の隙間を減少させる突起を有していることを特徴とする低騒音型オフセットチェーン。
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