JP4514275B2 - 電気二重層コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充放電可能な電源用として有用な電気二重層コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来技術】
電気二重層コンデンサは、電極と電解液との界面においてイオンの分極によりできる電気二重層を利用したコンデンサであり、コンデンサと電池の両方の機能を兼ね備えたものであり、従来のコンデンサと比較して大容量の静電容量を充電できるとともに、急速充放電が可能であることから、小型のメモリーバックアップ電源や自動車の駆動源等、大容量モータなどの補助電源として注目されている。
【0003】
電気二重層コンデンサの一般的な例としては、一対の板状の分極性電極間に板状のセパレータを介在させるとともに、前記分極性電極の他方の表面それぞれに集電体を積層し、かつ該積層体の外周部に非導電性ガスケットを配置した構成からなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ガスケットを用いる方法では、ガスケットを別途形成することによって電気二重層コンデンサの容積がかさみ大型化してしまうとともに、コスト高となるという問題があった。
【0005】
また、上記電気二重層コンデンサには、小型化および低コスト化のために、板状の分極性電極、セパレータ、集電体の積層体を袋状のアルミラミネート等によって封着することが知られているが、分極性電極、セパレータ、集電体の位置ずれが生じやすく、静電容量が低下したり、場合によっては正および負極をなす分極性電極間が接触してショートしてしまう恐れがあった。
【0006】
そこで、袋状のセパレータ内に分極性電極および集電体を封入して、正および負極をなす分極性電極間が接触することを防止する方法が知られているが、かかる方法においても分極性電極間の位置ずれを防止することができず、静電容量が低下してしまうという問題があった。
また、充放電を長時間行うと前記積層体の分極性電極およびセパレータの側面から電解液が揮発してしまい、分極性電極内の電解液量が減少してしまう、いわゆる液枯れ現象が発生し、静電容量の低下を引き起こしてきた。 本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、電気二重層コンデンサの小型化および低コスト化が可能であり、かつ分極性電極間およびセパレータの位置ずれを防止できるとともに、長期にわたり安定した静電容量を維持できる電気二重層コンデンサを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、小型化および低コスト化が可能であり、かつ分極性電極間およびセパレータの位置ずれを防止できる方法について検討した結果、セパレータの両表面に凹部を形成し、該凹部内に前記一対の分極性電極を収納することによって上記課題を解決できるとともに、分極性電極から電解液が揮発して電解液が不足することなく長期にわたり安定した静電容量を維持できることを知見した。
【0008】
すなわち、本発明の電気二重層コンデンサは、一対の分極性電極と、該一対の分極性電極間に介在するセパレータと、前記一対の分極性電極の前記セパレータ側と反対の表面にそれぞれ積層された集電体とを具備するものであって、前記セパレータが両表面に凹部を有し、該凹部内に前記一対の分極性電極を収納するとともに、前記セパレータの凹部の周縁部に切り欠き部が設けられ、前記集電体に形成された端子部が前記切り欠き部から突出していることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、前記集電体を前記分極性電極とともに、前記セパレータの凹部内に収納することが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電気二重層コンデンサの一例についての概略断面図を図1に、またその分解斜視図を図2に示す。
図1、2によれば、電気二重層コンデンサ1は、正極および負極をなす分極性電極2、2間にセパレータ3が配設、介在しており、また、分極性電極2、2のセパレータ接着面の反対面には正極および負極をなす集電体4、4がそれぞれ積層、接着されている。
【0012】
また、図1、2によれば、分極性電極2、2、セパレータ3、集電体4、4の積層体が外装材5によって密閉、封止されている。
【0013】
分極性電極2を構成する活性炭質構造体は、高い比表面積を有する活性炭粒子と、前記活性炭粒子を結合するための結合剤とを配合したものを主成分とするものであり、これを炭化処理したものであってもよい。
【0014】
また、コンデンサの高静電容量を維持し、構造体として必要な強度を得るためには、前記活性炭の比表面積が1000〜1800m2/gであることが望ましい。
【0015】
なお、前記結合剤として添加される炭素成分は、前記活性炭粒子間に存在するが、前記炭化処理を施す場合には、前記活性炭質構造体に占める割合が5〜50重量%であることが好ましく、これにより前記活性炭粒子間の焼結性及び結合性を高めることができる。
【0016】
さらに分極性電極2は板状であることが好ましく、キャパシタ製造時の取り扱いや使用時の振動、衝撃等に耐えうる機械的強度という信頼性の点でJISR1601に準じた室温における3点曲げ強度が30kPa以上、特に60kPa以上であることが好ましい。また、分極性電極2の厚みは、内部抵抗の低減の観点から1.5mm以下、特に0.6mm以下であることが好ましい。
【0017】
また、セパレータ3は、パルプやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフロライド(PVdF)等の有機フィルムまたはガラス繊維不織布及びセラミックスなどを用いることができ、分極性電極2間を絶縁するために形成されるものであるが、分極性電極2内に含有される電解液中のイオンを透過させることができる多孔質体により形成される。
【0018】
本発明によれば、上記セパレータ3が両面に凹部6を有するとともに、凹部6内に分極性電極2を収納したことが大きな特徴であり、これによって、小型化および低コスト化が可能であり、かつ分極性電極2、2間およびセパレータ3の位置ずれを防止できるとともに、長期にわたり安定した静電容量を維持できる。
【0019】
なお、セパレータ3における凹部6の周縁部7の幅は、分極性電極2の体積比率を高めて静電容量を向上するため、また、セパレータ3の形状を維持するため、さらには、電気二重層コンデンサの長期使用に伴う電解液の分極性電極2からの揮発により分極性電極2内の電解液量が不足して静電容量が低下することを防止する上で、1〜4mm、特に2〜3mmであることが望ましい。さらに、凹部6に位置するセパレータ3の厚みは、ショート等を防止し、内部抵抗を低減するために0.02〜0.15mmの厚みが好ましい。なお、セパレータ3の凹部6の深さは、分極性電極2の厚みまたは分極性電極2と集電体4の合計厚みとなることが内部抵抗を低減するために望ましい。
【0020】
また、集電体4は、導電性を有するアルミニウム、チタン、タンタル、白金、金等の金属箔、ステンレス鋼などにより形成され、分極性電極2、2間で電荷をやり取りするが、特に分解電圧の高い非水系電解液に対する耐食性の点でアルミニウムを主体とする金属箔からなることが望ましい。耐電解液性の各種金属を使用することが好ましい。また、集電体4の厚みは内部抵抗を低減するためには薄いものが好ましいが組立時の取り扱いなどによる破損を考慮すると0.02〜0.10mm程度が望ましく、電気二重層コンデンサ1の組立の容易性の点で集電体4の外周部には端子部7が形成されることが望ましい。
【0021】
本発明によれば、集電体4は図1に示すように分極性電極2およびセパレータ3の周縁部7と接触する構成であってもよいが、本発明によればこれに限られるものではなく、図3の概略断面図および図4の分解斜視図に示すように集電体8が分極性電極2とともにセパレータ10の凹部11内に収納されることが望ましく、これによって集電体8の位置ずれをも防止することができる。
【0022】
また、上記集電体8の外周部に端子部9を設けてこれをセパレータ10の周縁部12の一部に設けた切り欠き部13からセパレータ10外部に突出させることにより、セパレータ10の位置ずれを防止できるとともに、端子部9にかかるダメージを低減できる。
【0023】
さらに、本発明によれば、図5に示すように、凹部11を片面のみに、かつ該凹部11の2つが、例えば、2〜10mm、特に4〜6mm幅の共有する周縁部15を隔てて連結する形状にセパレータ14を形成し、また、所望により、共有する周縁部15以外の周縁部であって、共有する周縁部15で折り返したときに同じ側面に位置するとともに、互いが重ならない位置に端子部の切り欠き部13をそれぞれ設ける。
【0024】
そして、上記セパレータ14を共有する周縁部15にて折り返して、それぞれの凹部11内に分極性電極2と集電体8とを収納する構成にて形成されてもよく、これによれば、製造時の組立が容易となる。
【0025】
一方、分極性電極2と、セパレータ3、10、14に含浸される電解液としては硫酸や硝酸などの水溶液や、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、γ―ブチロラクトン(γ―BL)、N,N−ジメチルホルムアミド、スルホラン、3−メチルスルホラン等の非水溶媒と4級アンモニウム塩、4級スルホニウム塩、4級ホスホニウム塩等の電解質を組み合わせた非水系電解液が使用可能であるが、本発明においては分解電圧の高い非水系電解液を用いることが望ましい。なお、前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5mol/l〜2.0mol/lとすることが安定し、かつ高い静電容量を得る点で好ましい。
【0026】
また、外装材5は袋状体からなり、分極性電極2、セパレータ3、10、14、集電体4、8の積層体を端子部7、9の一部を除いて封入するものであり、外気や水分に対してバリア機能を有するものである。
【0027】
外装材5としては、例えば、少なくとも封止部に熱融着性を示す樹脂が配され、かつ、内部にアルミニウムのような金属箔を介在させたラミネートフィルム等を挙げることができる。具体的には、封止部側から外面に向かって積層した酸変性ポリプロピレン(PP)/ポリエチレンテレフタレート(PET)/Al箔/PETのラミネートフィルム、酸変性ポリエチレン(PE)/ナイロン/Al箔/PETのラミネートフィルム、アイオノマー/Ni箔/PE/PETのラミネートフィルム、エチレンビニルアセテート(EVA)/PE/Al箔/PETのラミネートフィルム、アイオノマー/PET/Al箔/PETのラミネートフィルム等を用いることができる。ここで、封止側の酸変性ポリエチレン(PE)、酸変性ポリプロピレン(PP)、アイオノマー、エチレンビニルアセテート(EVA)は防湿性、耐通気性、耐薬品性を有するものである。
【0028】
【実施例】
(実施例1)
BET値が2000m2/gの活性炭粉末試料100重量部に対して、ポリビニルブチラール(PVB)を50重量部混合して高速混合攪拌機にて攪拌し、得られた粉体を40メッシュでメッシュパスを行った後、ロール成形によってシート状成形体を作製した。前記シートから所定の形状にカットして固形状活性炭電極を形成するための成形体を作製した後、真空中、900℃で熱処理を行い、50mm×50mm、厚み0.5mmの活性炭質構造体を作製した。
【0029】
一方、ポリビニリデンフロライド(PVdF)をアセトン中で70℃で攪拌混合しペーストを調整し、得られたペーストを55×55mmの内部底面が凸型になった金型に流し込み、乾燥することにより、両面に凹部が存在するセパレータがを得た。なお、セパレータの形状は、55mm×55mm×厚み0.10mm、凹部50mm×50mm×深さ0.80mm、周縁部の幅2.5mmとした。
【0030】
また、電解質としてテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(Et4NBF4)を非水溶媒である炭酸プロピレン(PC)に溶解させて濃度1.0mol/lになるように調製した。
【0031】
そして、上記活性炭質構造体2枚を上記セパレータの凹部内に収納し、さらに、前記活性炭質構造体およびセパレータの凹部の周縁部に接するように厚み0.05mmからなるアルミニウム箔を両面に積層し、この積層体を最外層からポリエチレンテレフタレート(PET)、Al箔、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱融着性樹脂フィルムの順に積層されたラミネートフィルムからなる袋状の外装体内に挿入し、該袋状体内に電解液を所定量添加した後、袋状体の開口部に正および負極の集電体の端子部を挟んだ状態で封止することにより、静電容量が30Fの電気二重層コンデンサを作製した。
【0032】
得られた電気二重層コンデンサについて、所定量の充放電を施すことにより活性化を行ったところ、充電によっても電圧が上がらない、すなわちショートしたコンデンサの数は2個/20個であり、このショートしたコンデンサについては、ラミネートフィルムを剥がして内部の積層状態を観察した結果、集電体の端子部間の接触によるものであることが確認できた。
また、3mA/cm2で電圧(V)3.0Vまで充電し、さらに2時間の定電圧充電を行い、電流(I)3mA/cm2で0Vまで放電したときに要する時間tを測定し、静電容量(C)=電流(I)×電圧(V)/時間(t)にて静電容量を測定したところ、23.3F/gであった。また、上記充放電サイクルを1サイクルとして1000サイクル充放電を繰り返した後、静電容量の初期値に対する減少率を測定した結果、減少率は7%であった。
【0033】
(実施例2)
実施例1のセパレータに対して、両面に形成する凹部の深さをそれぞれ0.10mmとし、また、該凹部の周縁部の一端に、幅10mm×厚み0.05mmの集電体の端子部を収納するための切り欠き部を有する形状とする以外は、実施例1と同様の形状のセパレータを作製し、かつ、該セパレータの凹部内に活性炭質構造体および集電体を順に収納する以外は、実施例1と同様に電気二重層コンデンサを作製した。
【0034】
実施例1と同様に評価した結果、ショートしたコンデンサの個数は0個/20個、静電容量23.8F/g、静電容量の低下率5%であった。
【0035】
(実施例3)
実施例2のセパレータ形状の片面のみ実施例2の形状の凹部を、該凹部間の周縁部の幅が2.5mm、周縁部の厚みが6mmとなるように形成する以外は、実施例2と同様にセパレータを作製した。なお、それぞれの凹部の切り欠き部は、前記共有する周縁部以外の周縁部であって、前記共有する周縁部で折り返したときに同じ側面に位置するとともに互いに重ならないように形成した。
【0036】
得られたセパレータを前記共有する周縁部にて折り返した後、セパレータの凹部内に実施例2と同様に活性炭質構造体および集電体を収納する以外は実施例2と同様に電気二重層コンデンサを作製し、評価した結果、ショートしたコンデンサの個数は0個/20個、静電容量23.8F/g、静電容量の低下率5%であった。
【0037】
(比較例)
実施例1のセパレータを55mm角×0.10mm厚みの平板形状とする以外は実施例1と同様に電気二重層コンデンサを作製し、評価した結果、ショートしたコンデンサの個数は6個/20個、静電容量22.5F/g、静電容量の低下率10%であり、このショートしたコンデンサについては、ラミネートフィルムを剥がして内部の積層状態を観察した結果、集電体の端子部間の接触によるものに加えて分極性電極間およびセパレータの位置ずれによるものであることが確認できた。
【0038】
すなわち、セパレータが平板形状である上記電気二重層コンデンサは、上述の本発明に従って凹部内に分極性電極を収納した電気二重層コンデンサに比較して分極性電極間およびセパレータの位置ずれする頻度が高く、また長期使用により分極性電極に液枯れ現象が生じて静電容量の低下率が大きくなることがわかった。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、セパレータの表面に凹部を設けて分極性電極を該凹部内に収納することによって、分極性電極間およびセパレータの位置ずれによるショートを防止することができるとともに、長期使用によっても分極性電極の電解液の保液性を高めることができる結果、静電容量の変化率を小さくして、電気二重層コンデンサの長寿命化を図ることができる。また、集電体の外周部に端子部を設けてこれをセパレータの凹部の周縁部の一部に設けた切り欠き部からセパレータ外部に突出させた構成とすることにより、セパレータの位置ずれを防止できるとともに、端子部にかかるダメージを低減できる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気二重層コンデンサの一例についての概略断面図である。
【図2】図1の電気二重層コンデンサの分解斜視図である。
【図3】本発明の電気二重層コンデンサの他の一例についての概略断面図である。
【図4】図3の電気二重層コンデンサの分解斜視図である。
【図5】本発明の電気二重層コンデンサのさらに他の一例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 電気二重層コンデンサ
2 分極性電極
3、10、14 セパレータ
4、8 集電体
5 外装材
6、11 凹部
7、9 端子部
12、15 周縁部
13 切り欠き部
Claims (2)
- 一対の分極性電極と、該一対の分極性電極間に介在するセパレータと、前記一対の分極性電極の前記セパレータ側と反対の表面にそれぞれ積層された集電体とを具備する電気二重層コンデンサにおいて、前記セパレータが両表面に凹部を有し、該凹部内に前記一対の分極性電極を収納するとともに、前記セパレータの凹部の周縁部に切り欠き部が設けられ、前記集電体に形成された端子部が前記切り欠き部から突出していることを特徴とする電気二重層コンデンサ。
- 前記集電体を前記分極性電極とともに、前記セパレータの凹部内に収納することを特徴とする請求項1に記載の電気二重層コンデンサ。
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