JP4514175B2 - 無線ネットワーク機能のために使用する周波数間測定値を推定するシステムと方法 - Google Patents

無線ネットワーク機能のために使用する周波数間測定値を推定するシステムと方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明はセルラー無線通信システムに関し、より具体的にはシステム容量の増大に関連するものである。システム容量は、2つ以上のバンド幅の負荷バランスをとって維持することを助けるハンドオーバーメカニズムによって増大する。ここで、それぞれの周波数バンドの干渉は大きな性能の低下をきたさない程度に維持される。
【0002】
電気通信の継続的な発展はセルラーシステムの容量増大の圧力を常に加えている。セルラー通信のために使用することができる周波数スペクトルが制限されているために、セルラーシステムのネットワーク容量の増大と種々の通信トラヒック状態に対する適用性がますます要求されている。セルラーシステムにデジタル変調を導入することでシステムの容量が増大したが、これによる増大だけでは、さらに加わった容量の増大に対する要求と無線利用範囲の増大の要求にこたえるには不十分である。さらに増大する需要を満たすためには、都市領域でのセルサイズの縮小のような、容量増大のためにさらに別の手段が必要になる可能性もある。
【0003】
容量を増大させる別の方法は、拡散スペクトル変調と符号分割多元接続(CDMA)技術の利用である。典型的な直接シーケンスCDMAシステムでは、送信される情報データストリームに対して、拡散シーケンスと呼ばれる、はるかにシンボルレートが大きいデータストリームを重ね合わせる。拡散シーケンスの各シンボルは一般にチップと呼ばれる。各情報信号に対して固有の拡散コードが割り当てられ、周期的に繰り返して拡散シーケンスが作成される。情報信号と拡散シーケンスは典型的な場合には、符号化又は情報信号の拡散と呼ばれる処理によって掛け合わされる。複数の拡散された情報信号が無線周波数搬送波によって送信され、それらがまとめて複合信号として受信機に受信される。それぞれの拡散信号と、それ以外の全ての符号化信号と、ノイズ関連信号とは、周波数と時刻の両領域で重なりあっている。複合信号と複数の拡散シーケンスのうちの固有の1つとの間の相関を求めることによって、対応する信号を分離して復号することができる。CDMAシステムの信号は、時間と周波数に関して、互いに重なり合っているので、しばしば自己干渉性を有するといわれる。
【0004】
移動体通信システムがカバーする領域は、システムによってはセルに再分割されている。セルとは、1つの基地局によってカバーされる領域と定義することができる。基地局は基本的にセルの中心に位置する。それぞれのセルは360度の範囲を1つでカバーするオムニセルである場合もあり、あるいは、別離セクタと呼ばれる、例えば、それぞれが120度の範囲をカバーする3つのセクタからなる場合もある。
【0005】
基地局は移動局(MS)と固定ネットワークとのインターフェースとして機能する。セルにおいては、MSは1つ以上の周波数バンドの論理セクタを介して1つ又は複数の基地局(BTSs)に接続される。MSがBTSとの通信に使用する論理セクタはアクティブセットと呼ばれる。
【0006】
移動体通信システムでは、BTSとMSとの間でデータを送信するために、下り線(DL)と上り線(UL)が使用される。BTSはMSに対してDLを介してデータを送信し、MSからBTSへはULを介してデータを送信する。ULとDLはいずれも2つの周波数バンドを使用する。移動体通信システムではしばしば、ULまたはDLの2つの周波数バンドのうちの1つが他の周波数バンドよりも頻繁に使用される。したがって、2つの利用可能な周波数バンドと対応する設備の利用の程度はアンバランスである。例えば、ほとんどの情報は1つの周波数バンドで送信され、他の周波数バンドで送信される負荷は小さい。つまり、システムは容量を無駄にしている。
【0007】
したがって、アンバランスな周波数バンドとシステムリソースの使用を回避する必要がある。したがって、全システムの送信負荷を2つの利用可能な周波数バンドに均等に配分するように、それぞれのMSが1つの周波数バンドから別のバンドにハンドオーバを実行できるのが望ましい。
【0008】
図1は典型的なセル10を示すものである。セル10は3つの物理セクタ12,14,16に分割されている。物理セクタ12は論理セクタ18と20に割り当てられている。論理セクタ18は周波数バンドfが割り当てられている。論理セクタ20には周波数バンドfが割り当てられている。同様に、物理セクタ14は論理セクタ22と24に割り当てられている。論理セクタ22と24に対しては、周波数バンドfと周波数バンドfがそれぞれ割り当てられている。物理セクタ16は論理セクタ26と28が割り当てられており、それらに対しては周波数バンドfと周波数バンドfがそれぞれ割り当てられている。
【0009】
送信は、各物理セクタ12,14と16において、論理セクタ18,20,22,24,26と28を経由して周波数バンドfとfで行われる。同じ物理セクタ内に位置する複数の論理セクタはシブリングと称する。例えば、論理セクタ18と20はシブリングである。当業者は、場合によっては物理セクタの1つの論理セクタが単一の周波数でトラヒックチャネルをサポートすることがあることが理解しているはずである。したがって、この場合は、論理セクタは測定のサポートにのみ使用される信号を送信する。これはしばしばビーコンと称する。
【0010】
当業者はさらに、セル10はどれだけの数の物理セクタに分割されていてもよく、物理セクタはいくつの論理セクタといくつの周波数バンドを有していても良いことを理解している。
【0011】
従来のハンドオーバ処理には欠点がある。例えば、MSのハードウエアの制限のために、MSは同時には2つ以上の周波数バンドのうちの1つについてのみしか測定を行うことができない。したがって、どの物理セクタに対しても、MSは2つの論理セクタのうちの1つについて品質測定を行うことができるが、そのシブリングに対しては測定を行うことができない。さらに、論理セクタのカバーする領域とそのシブリングのものとは異なっている。
【0012】
したがって、現在知られているように一時には単一の周波数についてのみ送信品質測定を行うMSではなく、同時に複数の周波数バンドについて送信品質測定をすることができるMSが望ましい。いずれの物理セクタに対しても、MSはシブリングを含む複数の論理セクタに関して送信品質測定を行うことができなければならない。さらに、論理セクタとそのシブリングのカバーする領域が異なるときにもこの測定を行えることが望ましい。さらに、MSが周波数間のハンドオーバを実行することができるように、異なる周波数バンドに関する送信品質情報を取得することができるのが望ましい。
【0013】
発明の要旨
本発明によってセルラー通信に関する種々の問題が解決される。本発明による方法では、ハンドオーバあるいはより正確にはセルラーシステムでハンドオーバを行う決定は以下の過程を含む。
第1の周波数バンドで送信品質を測定する過程と、
品質のオフセットを決定する過程と、
品質オフセットと測定された品質に基づいて、第2の周波数バンドの送信品質を推定する仮定と、
ハンドオーバ処理において、推定された品質を評価する過程である。
【0014】
例えば、移動局は周波数バンドfの送信品質QF1を測定して、測定された品質QF1に対してオフセットQF1,2を適用して周波数バンドfの品質QF2を推定する。推定された送信品質QF2が品質閾値を越えると、周波数バンドfから周波数バンドfへの周波数間ハンドオーバが行われる。品質閾値はシステムオペレータ又はその他の手段によって決定される。
【0015】
移動局は、論理セクタに対して実際に測定を行う代わりに、論理セクタの品質を推定するために品質オフセットを使用する。さらに、品質オフセットを使用することによって、移動局は、移動極が1つの周波数バンドについてしか送信品質測定を行うことができなかったとしても周波数間ハンドオーバを行うことができる。さらに、1つの物理セクタ内で接続されている移動加入者の数にしたがって、システムが使用する2つの周波数バンドの負荷をバランス改善することができるので、システム容量は顕著に増加する。
【0016】
本発明の好ましい実施例に拠れば、第2の周波数バンドにおける送信品質推定過程は、第1の周波数バンドの送信品質に品質オフセットを加える過程を含む。好ましくは、選択された周波数バンドの送信品質があらかじめ定められた閾値を越えるとハンドオーバが行われる。
【0017】
この方法は、送信の周波数バンドを変更する再同期ハードハンドオーバに適用するのに適している。ハードハンドオーバでは、移動局は第2の送信源からの情報を受信開始する前に、第2の送信元からの情報の受信を終了する。
【0018】
オフセットは、当該周波数バンドでの送信、例えば、基地局の送信機、のパワーレベルに依存するのが好ましい。
【0019】
セルラーシステムの品質推定手段は、第1の周波数バンド状の第1の送信品質を測定する測定手段と、品質オフセットを決定する手段とを有しているのが好ましい。処理手段は第2の周波数バンド上の第2の送信品質を、第1の送信品質に品質オフセットを加えることで推定する。当該手段は、通信システムのノード内の処理システムで実行されるソフトウエアプログラムとして実施することができる。
【0020】
制御手段は、上述の品質推定手段と品質閾値の決定手段を有するのが好ましい。第1の周波数バンドから第2の周波数バンドへのハンドオーバは、品質オフセットが正であれば、第2の送信品質が品質閾値を越えたときに制御手段によって開始される。制御手段は、セルラーシステムのスイッチ、例えば、MSC(移動切り替えセンター)、BSC(基地局制御装置)、RNC(無線ネットワーク制御装置)、あるいは例えばGSMやUMTS仕様に記載されている別の切り替えノードに設けることもできる。制御手段はまたセルラーシステムの移動局に設けられても良い。
【0021】
本発明に基づく好ましいセルラーシステムは、少なくとも1つの基地無線局と互いに第1の周波数バンドで信号を送信する移動局とを具備する。セルラーシステムは第1の周波数バンドで送信品質を測定して品質オフセットを決定する。システムは、第1の周波数バンドの送信品質に品質オフセットを加えて第2の周波数バンドの送信品質を推定する。セルラーシステムは、論理セクタのうちの1つに第1の周波数バンドを割り当て、他の論理セクタには第2の周波数バンドを割り当てることができるように、少なくとも2つの論理セクタを有するセルを少なくとも1つ有している。
【0022】
添付の図面を参照しながら本発明について説明する。
【0023】
発明の詳細な説明
以下の記載においては、本発明の完全に理解のために、限定する目的でなく説明のために、特定の回路、回路コンポーネント、技術等のような特定の技術について説明する。しかし、当業者にとっては、本発明を具体的な詳細を述べたものとは異なる実施態様によって実現することができることは自明である。また、本発明の説明を不明瞭なものにしないように、周知の方法、装置および回路に関する詳細な説明は割愛する。
【0024】
本発明の議論を単純化するために、周波数バンドfの最大幅は、セルのカバーする領域、セル境界、又は単純にセルと称することにする。さらに、当業者は、周波数バンドの最大レンジ、つまり、基地無線局の当該周波数バンドの最大レンジとは、移動局が所定の閾値以上の強度又は品質で信号を受信することができる最大距離であることを理解するであろう。
【0025】
以下に移動局で行う測定と演算について記載するが、当業者であれば、測定と演算はセルラーネットワークで実施することもできることを理解するはずである。さらに、以下においては基地無線局で行う演算について記載するが、当業者は、これらの演算はセルラーネットワークの一部、例えば、無線ネットワーク制御装置で行うことができることを理解するはずである。
【0026】
例えば、ここでは詳細に述べることはしないが、本発明はどのような種類の接続方法、例えば、周波数分割多元接続(FDMA)、時間分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、ワイドバンド符号分割多元接続(WCDMA)あるいはこれらのハイブリッド方法であっても適用することができる。
【0027】
本発明に基づくハンドオフ処理について説明する前に、以下に従来のハンドオフ処理について説明する。従来型のCDMAシステムのあるものでは、制御情報は制御チャネルやパイロットチャネルを介して移動局に送信され、これは当該技術分野においては、UMTS仕様に例示されているようにパーチチャネル又はプライマリ共通制御物理チャネル(PCCPCH)と呼ばれている。説明を簡単にするために、制御チャネルはパーチチャネルと呼ぶことにする。論理ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)は例えば、パーチチャネルの情報シンボルにマッピングされる。BCCHは、セルに固有の情報、例えば、セル識別子とセクタ識別子、システム関連情報、例えば、送信出力、上り線干渉出力、セル固有の隣接セル情報、例えば、近隣セルが使用しているロング符号、移動局が測定を行わなければならない近隣セル等を送信する。移動局がハンドオフを行うべき他の基地無線局を識別することができるように、移動局は、上述のように供給されるロング符号を使用して周囲の基地無線局のパーチチャネルを識別する。ロング符号を使用して、移動局は隣接セルに対応したパーチチャネルの連続測定を行い、ハンドオフをするベース無線局の候補を識別する。
【0028】
従来のCDMAシステムでは、スピーチのような実時間サービスを使用して通信を行っているときは、移動局は連続的に送受信を行っている。したがって、典型的なCDMAシステムでは、移動局は2つ目の受信機を有しない限り他の周波数の測定を行うことはできない。しかし、2つ目の受信機は、移動局の重量と複雑性を増大させることになる。移動局が別の周波数の測定を行うことができる別の解決方法は、いわゆる「圧縮モード」で作動することができるように、デューティサイクルを変化させることである。圧縮モードでは、トラヒックチャネルの情報は時間的に圧縮されて、通常よりも短い1つ以上のバーストとして送信される。トラヒックチャネル上の情報が短い時間で受信されるので、移動局は余った時間を利用して他の周波数の測定を行うことができる。しかし、同じ量の情報のためにより短い時間を使用することは、送信レートを高くしなければならないことを意味する。送信レートを高くすることは、使用されるパワーの増大を意味し、結果として、干渉の増大を招く。したがって、追加の受信機や圧縮モードを使用せずに他の周波数で送信されるパーチチャネルの測定を行うことができるのが望ましい。
【0029】
本発明に基づいて、特定の移動局と基地無線局との間の接続のために第2の周波数バンドfが許容可能な信号品質を有している否かを決定する方法は、オフセット方法と称する。この方法によって、移動局、あるいはハンドオフ決定がそこで行われるなら基地無線局、に周波数バンドfで送信されるパーチチャネル1と周波数帯バンドf上のパーチチャネル2との間のパワーレベルオフセットが知らされる。移動局は既に周波数バンドf上のパーチチャネル1を測定しているので、周波数バンドfが許容可能な信号品質を提供するか否かの決定には、このパワーレベルオフセットを考慮することができる。例えば、ハンドオフ決定は、受信したパーチチャネルパワーをパーチチャネルが基地無線局から送信されたときのパワーから引き算することによって求めた基地無線局への伝送路損失に基づくことができる。当業者であれば、ハンドオフ決定は同様に、信号ノイズ比、受信信号強度識別子(RSSI)、遅延、ビット誤り率(BER)。フレーム誤り率(FER)あるいはこれらのパラメータの任意の組み合わせに基づくことができることを理解できるはずである。
【0030】
図2は、一例として、セルA,BとCを有するセルラーシステムを示すものである。セルA、BとCとは、周波数バンドfを使用する。セルA,BとCとは第1の周波数バンドf上に通信信号を拡散する。セルは、斜線を引いた領域210と220で相互に重複し、ハンドオーバの際に継続している接続の中断を最小限にする。したがって、セルAにおいて周波数バンドfで基地無線局と通信している移動局200がセルAに完全に含まれる領域から、斜線の領域210に入ってくると、移動局200とセルAとの間の接続は、セルBに対してハンドオフが行われるまで、セルBにあって同様に周波数バンドfで通信している接続に対して干渉を生じさせる。移動局200はパーチチャネル1の受信パワーを測定する。移動局200が周波数バンドfでセルBにおいてパーチチャネル1の測定を行っているときは、パーチチャネルは移動局200に対して周波数バンドfで送信したパワーとセルB内の周波数fと周波数fの周波数オフセットについて知らせることができる。移動局200は周波数バンドfの伝送路損失を計算することができる。移動局200はセルBにおいて移動局200が周波数バンドfに関して決定した伝送路損失にオフセットの値を加えて、周波数バンドfの伝送路損失を推定することができる。周波数バンドfの送信パワーの周波数バンドfの送信パワーとの関係によって、オフセットの値は正にも負にもなり得る。
【0031】
移動局は、パーチチャネル1の品質測定が所定の閾値を下回ったときに周波数バンドfから周波数バンドfへのハンドオフを行うこともできる。同様に、移動局は周波数バンドfから周波数バンドfへのハンドオフを、周波数バンドfで送信されるパーチチャネル2で測定された品質が所定の閾値よりも高くなったときに行うこともできる。当業者であれば、ハンドオフの決定がRSSIまたはSIRに基づくものであれば又同様の閾値を設けることができることを理解できるはずである。
【0032】
1つの物理セクタに収容される複数の移動局が2つの周波数バンドの内の1つで送信を行うことが時々起きる、例えば、ほとんどが周波数バンドfで送信し、周波数バンド(f)ではほとんど送信がされていない。この場合には、システム挙動はバランスが取れていない、つまり、利用が多いために周波数バンドfでは性能が低下するにもかかわらず、周波数バンドfにはほとんどシステム負荷がない。したがって、両方の周波数バンド上の総合的なシステム性能を向上させるために、両方の周波数バンドにユーザを均等に配分するのが望ましい。上述の例の場合には、移動局は同一または異なる物理セクタにおいて、1つの周波数帯から別の周波数帯に、周波数間ハンドオーバを実行することができなければならない。このような周波数間ハンドオーバは、移動局が複数の論理セクタの送信品質を測定し、測定された品質をあらかじめ設定されている閾値と比較することによって行うことができる。当業者は、比較のために使用する送信品質として何種類かのものを使用することができることを理解するはずである。例えば、WCDMAシステムでは、チップごとの受信エネルギーを同じ周波数バンドのノイズのパワー密度で割ったもの(Ec/No)を使用することができる。さらに、信号干渉比(SIR)と呼ばれる受信信号符号パワーを干渉信号符号パワーで割ったものを使用することもできる。SIRは受信信号符号パワー(RSCP)を干渉信号符号パワー(ISCP)で割ったものと定義される。さらに、伝送路損失を使用することもできる(例えば、受信信号符号パワーから送信パワー)。
【0033】
品質測定値は所定の長さのフィルタによってフィルタ処理されることに注意する必要がある。その理由は、ハンドオーバの目的はチャネルの、(急激にフェードする)短期的な特性ではなく、(緩やかにフェードする)長期特性を知ることにあるからである。2つの周波数特性fとfの長期チャネル特性は相関を有するために、周波数バンドfだけの送信品質を測定して、これに適切なオフセット値を加えることによって周波数バンドfの送信品質特性を推定することができる。例えば、伝送路損失に関しては、緩やかなフェ−ジングと伝送路損失に関するチャネルの動的特性は急速なフェ−ジングのものよりもはるかに大きい、例えば、動的特性(緩やかなフェ−ジング+伝送路損失)/動的特性(急速なフェ−ジング)≫1である。
【0034】
本発明に基づけば、移動局は両方の周波数バンド(fとf)でDL送信品質を測定することはできないが、移動局は第1の周波数バンドfの送信品質を測定し、この第1の周波数バンドfの送信品質に適切なオフセットを加算することで第2の周波数の送信品質を推定することができる。オフセットは周波数バンドfでのDL送信パワーと周波数帯域fでのDL送信パワーの比の関数であっても良い。例えば、周波数バンドfにおけるDL送信パワーの周波数バンドfにおける送信パワーに対する比を用いてオフセットを計算する直接的な方法は、デシベル単位で以下のように与えられる。
オフセット=10log(DLパワー(周波数バンドf)/DLパワー(周波数バンドf))
したがって、例えば、周波数バンドfで送信されるDLパワーが周波数バンドfで送信されるパワーの2倍であれば、オフセットの値は+3dBである。反対に、周波数バンドfのDLパワーが周波数バンドfのDLパワーの半分であれば、オフセットの値は−3dBである。
【0035】
このようなセクタごとのオフセットを適用することで、移動局のプロセッサは品質測定を行うことができない周波数バンドの品質を推定することができる。この方法によって移動局は、1つの物理セクタ内で、周波数バンドfから周波数バンドfへのハンドオーバを行うことができる。
【0036】
図3は本発明に基づく周波数間のハンドオーバを例示したものである。移動局(図示しない)は、周波数バンドfの送信品質QF1を測定して、測定された送信品質QF1にオフセットQF1,2を加えることによって、周波数バンドfの送信品質QF2を推定する。このような方法によってシブリングセクタの品質を推定すれば、結果的に、周波数バンド間の品質の差は一定になる。この決定に従って品質のよりすぐれた別の周波数バンドにハンドオーバを行うために(例えば、オフセットQF1,2が正であれば推定された周波数バンドfから測定されたバンドにハンドオーバを行い、オフセットが負であれば測定された周波数バンドfから推定された周波数バンドにハンドオーバを行う)、品質の絶対閾値を定義する。推定された送信品質QF2が絶対品質閾値(この場合には例えば、伝送路損失)を超えると、周波数fから周波数fへの周波数間ハンドオーバが実行される。品質閾値はシステムオペレータまたはその他の手段によって決定される。
【0037】
本発明によれば、移動局が測定を行うことができない論理セクタの品質を推定するために品質オフセットを使用する。さらに、品質オフセットを適用することによって、移動局は1つの周波数バンドについてしか品質測定を行うことができないときにも周波数間のハンドオーバを実行することができる。さらに、1つの物理セクタ内の接続中の移動加入者の数にしたがって、システムが使用する2つの周波数バンドの負荷をよりバランスの取れたものにすることによってシステムの容量を顕著に増大させることができる。
【0038】
本発明によれば、セクタごとのオフセットを使用することによって、MSは測定を行わない周波数バンド上の論理セクタの品質推定を行うことができる。この特性によって、周波数バンドが異なる論理セクタ間のハンドオーバが可能になる。さらに、情報送信に使用される2つの周波数バンド上のトラヒックがよりバランスの取れたものになる。したがって、システムのリソースを有効に使うことができる。MSが一時には1つの周波数バンドについてしか品質測定を行うことができないために複数の周波数間のハンドオーバを行えないシステムに比較して、システム容量を改善することができると考えられる。
【0039】
本発明を説明するために実施例を説明したが、発明はこれに限定されるわけではない。特許請求の範囲によって規定される本発明の技術的範囲と技術思想の範囲において当業者は変更や改良を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 それぞれの物理セクタが2つの論理セクタと2つの周波数バンドを有する3つの物理セクタに分割されたセルラーシステムを示す。
【図2】 3つのセルを有する典型的なセルラーシステムを示す。
【図3】 本発明に基づく周波数間のハンドオーバを示す。

Claims (9)

  1. セルラーシステムにおいてハンドオーバを実行するための方法であって、
    セルは物理セクタ(12,14,16)に分割され、
    各物理セクタは論理セクタ(LS18,LS20;LS22,LS24;LS26,LS28)に分割され、論理セクタの1つ(LS18)は第1の周波数バンド(f )に割り当てられ、他の論理セクタの1つ(LS20)は第2の周波数バンド(f )に割り当てられ、各物理セクタ(12,14,16)はこの物理セクタに特有の送信品質のオフセット(Q F1,2 )を有し、
    当該方法は、
    第1の周波数バンド(f)の送信品質(QF1)を測定するステップと、
    第2の周波数バンド(f)の送信品質(QF2を、第1及び第2の周波数バンドを含んだ該物理セクタ特有の該品質オフセット(Q F1,2 )と第1周波数バンド(f )の送信品質(Q F1 )とに基づいて推定するステップと、
    第2の周波数バンド(f )の該推定された送信品質(Q F2 )にしたがって第1の周波数バンド(f )から第2の周波数バンド(f )へのハンドオーバを開始するステップとを有する、方法。
  2. 第2の周波数バンド(f)の送信品質(QF2)を推定するステップは、第1の周波数バンド(f)の送信品質(QF1)に品質オフセット(QF1,2)を加えるステップさらに有する請求項1に記載の方法。
  3. 品質しきい値を決定するステップをさらに有する請求項2に記載の方法。
  4. 前記品質オフセット(Q F1,2 )の値が正であれば、第2の周波数バンド(f )の送信品質(Q F2 )が前記品質しきい値を超えるとハンドオーバが生じる、請求項3に記載の方法。
  5. セルラーシステムの品質決定手段であって、
    セルは物理セクタ(12,14,16)に分割され、
    各物理セクタは論理セクタ(LS18,LS20;LS22,LS24;LS26,LS28)に分割され、論理セクタの1つ(LS18)は第1の周波数バンド(f )に割り当てられ、他の論理セクタの1つ(LS20)は第2の周波数バンド(f )に割り当てられ、各物理セクタ(12,14,16)はこの物理セクタに特有の送信品質のオフセット(Q F1,2 )を有し、
    該手段は、
    第1の周波数バンドの第1の送信品質(QF1)を測定する測定手段と、
    品質オフセット(QF1,2)を第1の送信品質に加算することによって第2の周波数バンド(f)の第2の送信品質(QF2)を推定する処理手段とを具備する品質決定手段。
  6. 請求項5に記載の品質決定手段を有する制御手段であって、さらに品質しきい値決定制御手段を有し、
    前記品質オフセット(Q F1,2 )の値が正であれば、第2の送信品質(Q F2 )が該品質しきい値を超えると第1の周波数バンド(f )から第2の周波数バンド(f )へのハンドオーバが開始される、制御手段。
  7. 制御手段がセルラーシステムの交換器に設けられた請求項に記載の制御手段。
  8. 制御手段がセルラーシステムの移動局(200)に設けられた請求項に記載の制御手段。
  9. 第1の周波数バンド(f)で交互に信号を送信しあう基地無線局と移動局とを収容したセルラーシステムであって、
    セルは物理セクタ(12,14,16)に分割され、
    各物理セクタは論理セクタ(LS18,LS20;LS22,LS24;LS26,LS28)に分割され、
    各物理セクタ(12,14,16)はこの物理セクタに特有の送信品質のオフセット(Q F1,2 )を有し、
    セルラーシステムは第1の周波数バンド(f)の送信品質(QF1)を測定し、品質オフセット(QF1,2)を第1の周波数バンド(f)の送信品質(QF1)に加えることで第2の周波数バンド(f)の送信品質(QF2)を推定し、
    セルラーシステムは少なくとも2つの論理セクタ(LS18,LS20)を有する少なくとも1つのセル(10)を有し、該論理セクタの1つ(LS18)が第1の周波数バンド(f )に割り当てられ、他の論理セクタ(LS20)が第2の周波数バンド(f )に割り当てられる、セルラーシステム。
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