JP4513223B2 - 歯車の摩耗試験装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車の摩耗試験装置に係り、特にガスタービンのオイルポンプの歯車の摩耗試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯車の摩耗試験装置としては、たとえば、機械的動力循環式歯車摩耗試験装置が提案されている(特開平7−49291)。
【0003】
図3は特開平7−49291に示された機械的動力循環式歯車摩耗試験装置の油圧回路を示す図である。図において、機械的動力循環式歯車摩耗試験装置は、電動機1で駆動する油圧ポンプ2で、駆動油圧モータ3と、補助油圧モータ4で、駆動油圧モータ3と同一駆動軸上の被試験体駆動側9を回転させ、被試験体駆動側9と連動する被試験体従動側9’は、従動軸および該従動軸上の油圧ポンプ5の吐出側に得る圧力を流量制御弁6を経て、チェック弁8を閉塞し、補助油圧モータ4に負帰還し、流量制御弁6によって負帰還量を制御し、残余の油量を圧力制御弁7と流量制御弁10で油槽へ逃がす構成になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平7−49291に示された機械的動力循環式歯車摩耗試験装置は、負荷や速度などの使用条件を考慮した歯車などの摩耗試験装置であって、駆動軸の他にフィードバック用の動力抽出軸を必要とする2軸系の複雑な構成をしている。したがって、2軸の位置関係および構成により試験体の種類、形状が制限されるばかりか構造が複雑なので、温度や圧力調節用の機器などの加工がむずかしい。また、試験体は装置外部に露出しているので、装置外部に露出した対象物しか試験することができず、使用温度などの設定もできない。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するために創案されたもので、駆動軸を1軸系にすることによって摩耗試験用の駆動歯車と駆動歯車に噛合する従動歯車の駆動条件に課せられる種々の制約を少なくし、回転数、潤滑油温度、歯車負荷などの条件を種々設定して摩耗試験を行うことができる。また、摩耗試験用の歯車を箱体で囲み、箱体の外部から透視して観察しながら摩耗試験ができるので、常時、摩耗状況の定性的評価ができる歯車の摩耗試験装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明における歯車の摩耗試験装置は、底部に油槽を有する箱体と、箱体の両側面に設けられた軸受によって支持された駆動軸に装着された駆動歯車と、油槽内に浸漬したオイルポンプの回転軸に装着され、駆動歯車に噛合する従動歯車と、駆動軸を駆動する駆動モータとを有してなるものである。
【0007】
オイルポンプの吐出口にはオイル循環用配管が接続され、オイル循環用配管には負荷調節用のオリフィスまたは絞り弁が設けられ、オイル循環用配管の出口は駆動歯車と従動歯車の噛合点に向かって開口しているのが好ましい。
【0008】
次に、本発明の作用について説明する。箱体内に、両端を箱体の両側板に設けられた軸受によって支持された駆動軸を設け、駆動軸の中間に駆動歯車を装着するとともに、駆動軸の下方部にオイルポンプを設け、オイルポンプの回転軸には駆動歯車と噛合して水平方向に回転する従動歯車を装着し、オイルポンプで箱体底部の油槽に貯留するオイルを汲み上げる。オイルポンプの吐出口は、オイル循環用配管の一端に接続され、オイル循環用配管の他端は、箱体内に設けられたオイル噴射管に接続されていて駆動歯車と従動歯車に向ってオイルを噴射する。オイル循環用配管の中間にはオリフィスまたは絞り弁を設けていて負荷を調節する。また、オイル循環用配管の中間には温度調節器を配設していてオイルの温度調整を行う。さらに駆動軸をインバータ制御式駆動モータで駆動して駆動歯車と従動歯車の回転数を任意に設定する。
【0009】
このように、駆動軸を1軸系にすることによって駆動歯車と駆動歯車に噛合する従動歯車の駆動条件に課せられる種々の制約を少なくし、回転数、オイル温度、歯車負荷などの条件を種々設定して摩耗試験を行うことができる。また、駆動歯車と従動歯車を箱体で囲むとともに、箱体の上蓋を透視可能なアクリル樹脂製で形成しているので、常時、箱体の外部から透視して観察しながら摩耗試験を行うことができ、摩耗状況の定性的評価ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の歯車の摩耗試験装置の斜視図である。図2は図1の正面断面図である。図において、50は歯車の摩耗試験装置である。51は歯車の摩耗試験装置50の箱体である。箱体51は、左右の側板51a、51bと、後方板51c、前方板(図示せず)および上蓋51dで構成されている。52は箱体51の底部に設けられた油槽52である。箱体51の上蓋51dはアクリル樹脂製で透視可能に形成されている。51eは箱体51の側板51aに設けた孔である。53は箱体51の支持部である。
【0011】
54は箱体51内に設けたオイルポンプである。54bはオイルポンプ54のオイル吐出通路で、その先端の吐出口54aは取り付け板72を介して箱体51の側板51aの内側に固定されている。オイルポンプ54は、油槽52内に浸漬していて下端は油槽53の底部上面との間にわずかな隙間を設けている。オイル66は、オイルポンプ54によって汲み上げられ、オイル循環用配管64を介して循環されて油槽52に戻される。55はオイルポンプ54の回転軸54Aに装着された従動歯車で、水平方向に回転する。
【0012】
56は駆動軸である。駆動軸56は、一端をカップリング69を介してプーリ軸70と連結している。プーリ軸70は、箱体51の側板51bに設けられた転がり軸受57に支持されており、駆動軸56のプーリ軸70と反対側の端部は取り付け板72に設けられた滑り軸受57aに支持されている。取り付け板72は、外面に凹部72bを有していて箱体51の側板51aに固定されている。72aは取り付け板72の孔である(図2)。
【0013】
58は駆動軸56の中間に装着された駆動歯車で、上記オイルポンプ54に装着された従動歯車55と噛合して回転する。59はプーリ軸70に設けたプーリである。60はインバータ制御式駆動モータである。61はインバータ制御式駆動モータ60の駆動軸上に設けたプーリである。インバータ制御式駆動モータ60により駆動軸56の回転数を任意に変更することができる。62はプーリ61およびプーリ59に掛け廻したベルトである。
【0014】
63は箱体51の後方板51cの内面に設けられたオイル噴射管で、オイル循環用配管64を介して送給されたオイル66を駆動歯車58と従動歯車55との噛合点に向かって噴射する。噴射されたオイル66は降下して油槽52に貯留し、再循環する。オイル循環用配管64は、一端を箱体51の側板51aの外側に固定した取り付け板71の孔71aに接続し、他端をオイル噴射管63に接続している。オイル循環用配管64の中間にはオイル温度調節用ヒータ68を配設していてオイル66の温度を調節する。オイルポンプ54のオイル吐出通路54bと箱体51の側板51aの孔51eおよび取り付け板72の孔72a、取り付け板71の孔71aはそれぞれ連通している。
【0015】
65はオイル循環用配管64の中間に配設した負荷調整用のオリフィスである。なお、負荷の調整は、オリフィス65に替えて絞り弁で行ってもよい。67は油槽52の底部に設けた油入口アダプタである。73はオイル循環用配管64のオリフィス65の前に設けた圧力測定器で、オイル66の圧力を測定する。
【0016】
次に、本実施形態の作用について述べる。箱体51内に、両端を箱体51の両側板51a、51bに設けられた軸受57、57aによって支持された駆動軸56を設け、駆動軸56の中間には駆動歯車58を装着するとともに、駆動軸56の下方部にオイルポンプ54を設け、オイルポンプ54の回転軸54Aには駆動歯車58と噛合して水平方向に回転する従動歯車55を装着し、オイルポンプ54で箱体51底部の油槽52に貯留するオイル66を汲み上げる。オイルポンプ54のオイル吐出口54aは、オイル循環用配管64の一端に接続され、オイル循環用配管64の他端は、箱体51内に設けられたオイル噴射管63に接続されていて駆動歯車58と従動歯車55に向ってオイル66を噴射する。オイル循環用配管64の中間にはオリフィス65または図示しない絞り弁を設けていて負荷を調節する。また、オイル循環用配管64の中間には温度調節器68を配設していてオイル66の温度調整を行う。さらに駆動軸56をインバータ制御式駆動モータ60で駆動して駆動歯車58と従動歯車55の回転数を任意に設定する。
【0017】
このように、駆動軸56を1軸系にすることによって駆動歯車58と駆動歯車58に噛合する従動歯車55の駆動条件に課せられる種々の制約を少なくし、回転数、オイル温度、歯車負荷などの条件を種々設定して摩耗試験を行うことができる。また、駆動歯車58と従動歯車55を箱体51で囲むとともに、箱体51の上蓋51dを透視可能なアクリル樹脂製で形成しているので、常時、箱体51の外部から透視して観察しながら摩耗試験を行うことができ、摩耗状況の定性的評価ができる。
【0018】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更し得ることは勿論である。たとえば、上記実施形態では、歯車の摩耗試験について説明したが、駆動軸や軸受などの試験にも適用できる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、駆動軸を1軸系にしたので、歯車の駆動条件に課せられる制約が少なく、種々の条件を設定しての摩耗試験ができる。また、歯車を箱体で囲んでいるので、箱体内の温度調整を容易に行うことができるとともに、箱体の上蓋を透視可能なアクリル樹脂製で形成しているので、常時、試験体を箱体の外部から透視して観察することができ、進行する摩耗状況の定性的評価ができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯車の摩耗試験装置の斜視図である。
【図2】図1の正面断面図である。
【図3】特開平7−49291に示された機械的動力循環式歯車摩耗試験装置の油圧回路を示す図である。
【符号の説明】
50 歯車の摩耗試験装置
51 箱体
51a、51b 側板
51c 後方板
51d 上蓋
51e 孔
52 油槽
53 支持部
54 オイルポンプ
54a 油通路
55 従動歯車
56 駆動軸
57、57a 軸受
58 駆動歯車
59、61 プーリ
60 駆動モータ
62 ベルト
63 オイル噴出管
64 オイル循環用配管
65 オリフィス
66 オイル
67 油入口アダプタ
68 温度調節用ヒ−タ
69 カップリング
70 プーリ軸
73 圧力測定器

Claims (3)

  1. 底部に油槽を有する箱体と、箱体の両側面に設けられた軸受によって支持された駆動軸に装着された駆動歯車と、油槽内に浸漬したオイルポンプの回転軸に装着され、駆動歯車に噛合する従動歯車と、駆動軸を駆動する駆動モータとを有してなることを特徴とする歯車の摩耗試験装置。
  2. オイルポンプの吐出口にはオイル循環用配管が接続され、オイル循環用配管には負荷調節用のオリフィスまたは絞り弁が設けられ、オイル循環用配管の出口は駆動歯車と従動歯車の噛合点に向かって開口している請求項1記載の歯車の摩耗試験装置。
  3. 箱体の上蓋は、透視可能なアクリル樹脂製である請求項1または請求項2記載の歯車の摩耗試験装置。
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