JP4512725B2 - 内視鏡用クリップ装置 - Google Patents

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本発明は、内視鏡の処置具案内管を経由して体内の止血処置等に用いられる内視鏡用クリップ装置に関する。
内視鏡用クリップ装置は一般に、前方に向かって開閉自在な一対のクリップアームを有するクリップが内視鏡の処置具案内管に通されるシースの先端部分に配置されて、生体組織に食い付かせるための食い付き爪が一対のクリップアームの各先端部分に内方に向かって突出形成され、一対のクリップアームに被嵌されたクリップ締付リングを前方に移動させることにより、一対のクリップアームが強制的に閉じられた状態を維持するように構成されている(例えば、特許文献1、2)。
そして、特許文献1に記載された発明では、食い付き爪が一対のクリップアームの各先端部分から内側に略直角に曲がった状態に形成され、特許文献2に記載された発明では、食い付き爪がクリップアームの各先端部分から内側に鈍角に曲がった状態に形成されている。
実公平4−26091号公報 特開2002−191609号公報
しかし、特許文献1に記載された発明のように食い付き爪が一対のクリップアームの各先端部分から内側に略直角に曲がった状態に形成されたものでは、一対のクリップアームを閉じるとその先端の食い付き爪が共に生体組織に突き刺さって、いわば生体組織を食いちぎった状態になってしまうため、クリップが安定した状態に留置されない場合がある。
また、特許文献2に記載された発明のように食い付き爪が一対のクリップアームの各先端部分から内側に鈍角に曲がった状態に形成されたものでは、一対のクリップアームを閉じるとその先端の食い付き爪が共に生体組織に対して突き刺さらずに斜め向きに押圧するだけの状態になるので、生体組織の動き等によってクリップの先端が滑って外れてしまう場合がある。
本発明はそのような問題を解決するためになされたものであり、生体組織に対してクリップを安定した状態に留置することができる内視鏡用クリップ装置を提供することを目的とする。
本発明による内視鏡用クリップ装置は、前方に向かって開閉自在な一対のクリップアームを有するクリップが内視鏡の処置具案内管に通されるシースの先端部分に配置されて、生体組織に食い付かせるための食い付き爪が一対のクリップアームの各先端部分に内方に向かって突出形成され、一対のクリップアームに被嵌されたクリップ締付リングを前方に移動させることにより、一対のクリップアームが強制的に閉じられた状態を維持するように構成された内視鏡用クリップ装置において、一対のクリップアームの各先端部分に内方に向かって突出形成された食い付き爪の中の第1の食い付き爪は、第1のクリップアームの先端部分から内側に略直角に曲がった状態に形成され、第2の食い付き爪は、第2のクリップアームの先端部分から内側に鈍角に曲がった状態に形成され、一対のクリップアームが閉じたとき、第1の食い付き爪の先端が第2の食い付き爪の途中の部分に向かって斜めに対向する状態になるように構成されていることを第1の特徴とする
また本発明は、前記第1の特徴の内視鏡用クリップ装置において、第2の食い付き爪が、第2のクリップアームの先端部分から120°±15°曲がった状態に形成されていることを第2の特徴とする。
更に本発明は、前記第1又は第2の特徴の内視鏡用クリップ装置において、第1と第2の食い付き爪の少なくとも一方の最先端部分に、平面部とその平面部から凹んだ凹溝とが形成され、前記一対のクリップアームが閉じたときに、前記凹溝は対向する食い付き爪の平面部に位置していることを第3の特徴とする。
本発明の内視鏡用クリップ装置によれば、第1の食い付き爪が第1のクリップアームの先端から内側に略直角に曲がった状態に形成されて、第2の食い付き爪が第2のクリップアームの先端から内側に鈍角に曲がった状態に形成され、一対のクリップアームが閉じたとき、第1の食い付き爪の先端が第2の食い付き爪の途中の部分に向かって斜めに対向する状態になるように構成されていることにより、第1の食い付き爪は生体組織に突き刺さるように食い込み、第2の食い付き爪は生体組織に突き刺さることなく斜め向きに押圧する状態になるので、クリップが生体組織を食いちぎったり滑って外れてしまうようなどちらの状態にもならず、クリップを生体組織に対して非常に安定した状態に留置することができる。更に本発明によれば、一対のクリップアームが閉じたときに、凹溝は対向する食い付き爪の平面部に位置しているため、生体組織を食いちぎることを防止する。
以下、図面を参照して本発明の実施例を具体的に説明する。
図3は内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図、図4は平面断面図である。
1は、止血等を行うためのクリップであり、例えばバネ用のステンレス板等のようなバネ性を有する板材をプレス加工等で曲げて形成され、後端部1bが略U状に平行に曲げ戻されて、外力が加わっていない状態の時に先寄りの一対のクリップアーム1A,1B部分が前方に向かって「ハ」の字状に拡開した状態になる形状で開閉自在に形成されている。
各クリップアーム1A,1Bの先端部分には、生体組織に食い付かせるための食い付き爪1Aa,1Baが内方に向かって突出形成され、第1の食い付き爪1Aaは、第1のクリップアーム1Aの先端部分から内側に略直角に曲がった状態に形成され、第2の食い付き爪1Baは、第2のクリップアーム1Bの先端部分から内側に例えば120°程度の鈍角に曲がった状態に形成され、図5に示されるように、一対のクリップアーム1A,1Bが閉じた状態の時に、第1の食い付き爪1Aaの先端が第2の食い付き爪1Baの途中の部分に向かって斜めに対向する状態になるようになっている。
一対のクリップアーム1A,1Bの背部には各々貫通穴1cが形成されていて、一対のクリップアーム1A,1Bの間に挟み込まれた生体組織がその貫通穴1c内にめり込むことにより、クリップの留置性が高められている。なお、貫通穴1cは一対のクリップアーム1A,1Bの一方のみに形成してもよく、省いても差し支えない。また、各食い付き爪1Aa,1Baには、その正面図である図6に示されるように、最先端面に平面部1eが設けられて生体組織に安定した状態に係合することができると同時に、その平面部1eから例えばVに凹んだ凹溝1dが形成されて生体組織への食い付きをよくしている。
図3及び図4に戻って、2は、クリップ1を閉じた状態に維持させるためのクリップ締付リングであり、クリップ1の中間部分より後寄りの部分に被さる状態に取り付けられている。クリップ締付リング2は、例えばステンレスパイプ材又は硬質プラスチック等のような剛体により短い円筒状に形成されてクリップ1に嵌着され(即ち、クリップ1がクリップ締付リング2内に通された状態になっている)、クリップ1の後端寄りの部分を囲む状態に配置されている。その状態では、クリップ1は自己の弾力性によって先端が開いた状態に拡開しており、図5等に示されるように、クリップ締付リング2をクリップ1の後方側から前方側に移動させることによりクリップ1を強制的に閉じた状態にすることができる。
再び図3及び図4に戻って、3は、先端がクリップ締付リング2の後端に当接してクリップ1を強制的に閉じた状態にするために、クリップ締付リング2をクリップ1の先端方向に押し進めるための可撓性シースであり、クリップ連結部材4Aによりクリップ1の後端部1bに係脱自在に連結されたクリップ保持ワイヤー4が、可撓性シース3内に軸方向にスライド自在に挿通されている。そして、可撓性シース3とクリップ保持ワイヤー4の各手元側端部は図示されていない操作部に達していて、操作部において相対的に進退操作される。
可撓性シース3は、例えば断面形状が偏平なステンレス線を密着巻きしたコイルパイプにより形成されている。したがって、柔軟な可撓性を有するが外力によってほとんど圧縮されない特性を有している。ただし、断面形状が円形のコイルパイプ或いは腰の強いフッ素樹脂チューブやPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等のような合成樹脂チューブ等で形成しても差し支えない。
可撓性シース3の先端には、ステンレスパイプ材又は硬質プラスチック材等のような剛体により形成された円筒状のクリップ保持口金10が可撓性シース3に対して直列の状態にロー付け又は接着等により一体に固着されて取り付けられていて、そのクリップ保持口金10の最先端部分には、クリップ締付リング2を緩く囲む状態に保持する締付リング保持孔11が形成されている。締付リング保持孔11は、クリップ締付リング2が緩く嵌挿される径の円形の断面形状に形成されており、締付リング保持孔11の一番奥の端部は径が少し狭まって、クリップ締付リング2の後端面が当接する当接面11aが前方に向いて形成された状態になっている。なお、クリップ1は自己の弾力性により拡開方向に付勢されているので、クリップ締付リング2の内面に内方から弾力的に押し付けられた状態になっている。
クリップ保持口金10には、そのような締付リング保持孔11の後側に連なってクリップ1の後端寄りの部分を保持するクリップ保持孔12が形成されている。クリップ保持孔12は、クリップ1が拡開した状態においてクリップ締付リング2内から後方に突出するクリップ1の後端部分付近を緩く囲む状態に保持している。そのように構成することにより、クリップ保持孔12に対するクリップ1の接触面積を小さくして、クリップ1が摺動する際の抵抗を小さくすることができる。
クリップ保持ワイヤー4の先端に連結環4Bによって連結されたクリップ連結部材4Aは、先端が内方に折れ曲がったピンセット状にバネ性を有する材料で形成されており、可撓性シース3(及びクリップ保持口金10)内では窄まった状態に弾性変形してクリップ1の後端部1bに係合しているが、クリップ保持口金10の先端から突出すると、後述する図1に示されるように拡開してクリップ1との係合が外れるようになっている。
図3及び図4に戻って、5は、可撓性シース3に緩く被嵌された例えばフッ素樹脂チューブ等からなる可撓性の外套管である。外套管5の先端は、通常は可撓性シース3の先端より少し後退した位置にあるが、手元側の操作部で外套管5を前方に押し進める操作をすれば、図2に示されるように、外套管5の先端部分がクリップ1に被さった状態になってクリップ1を窄んだ状態に弾性変形させることができ、外套管5が後方に退避すればクリップ1は図3に示される元の拡開した状態に戻る。
このように構成されたクリップ1を用いた内視鏡用クリップ装置を内視鏡の処置具案内管に通して経内視鏡的クリッピング操作を行う場合には、図2に示されるように、クリップ連結部材4Aにクリップ1の後端部1bを係合させて外套管5を前方に押し出し、クリップ1を窄んだ状態にして図示されていない内視鏡の処置具案内管に挿入する。そして体内で、内視鏡用クリップ装置の先端を内視鏡の先端から突出させて、図3及び図4に示されるように外套管5を後方に退避させることによりクリップ1を拡開した状態にして目標とする患部に臨ませる。
次いで、可撓性シース3の基端に連結されている図示されていない操作部からの遠隔操作によって、図5に示されるように、クリップ保持ワイヤー4に対して相対的に可撓性シース3を前方に押し出す操作をすることにより、クリップ締付リング2がクリップ1に対して後方から前方に向かって押し出されてクリップ1が強制的に閉じられた状態になり、その際に一対のクリップアーム1A,1Bの間に生体組織を位置させておくことにより生体組織をクリッピングすることができる。そして、図1に示されるように、可撓性シース3を後方に退避させてクリップ1の後端部1bからクリップ連結部材4Aを外し、クリップ締付リング2で強制的に閉じられた状態のクリップ1を体内に留置することができる。
その際、本発明においては、第1の食い付き爪1Aaが第1のクリップアーム1Aの先端部分から内側に略直角に曲がった状態に形成され、第2の食い付き爪1Baは、第2のクリップアーム1Bの先端部分から内側に鈍角に曲がった状態に形成されていることにより、第1の食い付き爪1Aaは生体組織に突き刺さるように食い込み、第2の食い付き爪1Baは生体組織に突き刺さることなく斜め向きに押圧する状態になる。その結果、クリップ1が生体組織を食いちぎったり滑って外れてしまうようなどちらの状態にもならず、生体組織に対して非常に安定した状態に留置される。なお、そのような効果を得るためには、第2のクリップアーム1Bに対する第2の食い付き爪1Baの折り曲げ角度が120°±15°程度の範囲にあるとよい。
図7は本発明の第2の実施例の内視鏡用クリップ装置の先端部分を示しており、第1の食い付き爪1Aaと第2の食い付き爪1Baとが、一対のクリップアーム1A,1Bが閉じた状態の時に噛み合わないように偏位して形成されている。この場合には、第2の食い付き爪1Baが内側に鈍角に曲がった状態に先端に形成された第2のクリップアーム1Bが、第1の食い付き爪1Aaが内側に略直角に曲がった状態に先端に形成された第1のクリップアーム1Aより前方に長く形成されていてもよい。このように形成しても第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
図8は本発明の第3の実施例のクリップアーム1A(1B)を示しており、クリップアーム1A,1Bの背部の貫通穴1cが形成された部分の周囲の幅を他の部分より広げたものである。このように構成することにより、貫通穴1cの径を大きくしてクリップ1の留置性をより向上させることができる。
本発明の第1の実施例のクリップが生体組織にクリッピングされて留置された状態の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図。 本発明の第1の実施例の外套管でクリップが閉じられた状態の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図。 本発明の第1の実施例のクリップが開いた状態の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図。 本発明の第1の実施例のクリップが開いた状態の内視鏡用クリップ装置の先端部分の平面断面図。 本発明の第1の実施例のクリップが閉じた状態の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図。 本発明の第1の実施例の内視鏡用クリップ装置の食い付き爪の正面図。 本発明の第2の実施例のクリップが閉じた状態の内視鏡用クリップ装置の先端部分の側面断面図。 本発明の第3の実施例の内視鏡用クリップ装置のクリップアームの平面図。
符号の説明
1…クリップ
1A…第1のクリップアーム
1Aa…第1の食い付き爪
1B…第2のクリップアーム
1Ba…第2の食い付き爪
1c…貫通穴
1d…凹溝
1e…平面部
2…クリップ締付リング
3…可撓性シース

Claims (3)

  1. 前方に向かって開閉自在な一対のクリップアームを有するクリップが内視鏡の処置具案内管に通されるシースの先端部分に配置されて、生体組織に食い付かせるための食い付き爪が前記一対のクリップアームの各先端部分に内方に向かって突出形成され、前記一対のクリップアームに被嵌されたクリップ締付リングを前方に移動させることにより、前記一対のクリップアームが強制的に閉じられた状態を維持するように構成された内視鏡用クリップ装置において、
    前記一対のクリップアームの各先端部分に内方に向かって突出形成された食い付き爪の中の第1の食い付き爪は、第1のクリップアームの先端部分から内側に略直角に曲がった状態に形成され、第2の食い付き爪は、第2のクリップアームの先端部分から内側に鈍角に曲がった状態に形成され、前記一対のクリップアームが閉じたとき、前記第1の食い付き爪の先端が前記第2の食い付き爪の途中の部分に向かって斜めに対向する状態になるように構成された内視鏡用クリップ装置。
  2. 請求項1に記載された内視鏡用クリップ装置において、前記第2の食い付き爪が、前記第2のクリップアームの先端部分から120°±15°曲がった状態に形成されている内視鏡用クリップ装置。
  3. 請求項1又は2に記載された内視鏡用クリップ装置において、前記第1と第2の食い付き爪の少なくとも一方の最先端部分に、平面部とその平面部から凹んだ凹溝とが形成され、前記一対のクリップアームが閉じたときに、前記凹溝は対向する食い付き爪の平面部に位置している内視鏡用クリップ装置。
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