JP2013244054A - 医療用把持具 - Google Patents
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Abstract
【課題】傷口をしっかりと結紮でき、操作性に優れた医療用把持具を提供する。
【解決手段】この医療用把持具は、固定クリップ41と、固定クリップ41の両側面に基端部が固定されて、固定クリップ41の先端方向に向けて固定クリップ41に対して開く方向に延出され、先端に把持爪423,433を有する一対の可動クリップ42,43と、固定クリップ41の基端側から先端側に向けて、一対の可動クリップ42,43の外側を押さえるように摺動可能に装着されたリング部材44とを備え、リング部材44を固定クリップ41の先端側に摺動させた際、一対の可動クリップ42,43が、タイミングをずらしてそれぞれ固定クリップ側に閉じるように構成されており、固定クリップ41はステンレス鋼で形成され、可動クリップ42,43はNi−Ti系合金で形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】この医療用把持具は、固定クリップ41と、固定クリップ41の両側面に基端部が固定されて、固定クリップ41の先端方向に向けて固定クリップ41に対して開く方向に延出され、先端に把持爪423,433を有する一対の可動クリップ42,43と、固定クリップ41の基端側から先端側に向けて、一対の可動クリップ42,43の外側を押さえるように摺動可能に装着されたリング部材44とを備え、リング部材44を固定クリップ41の先端側に摺動させた際、一対の可動クリップ42,43が、タイミングをずらしてそれぞれ固定クリップ側に閉じるように構成されており、固定クリップ41はステンレス鋼で形成され、可動クリップ42,43はNi−Ti系合金で形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、シース等のチューブに収容し、該チューブの手元側から遠隔操作により傷口を結紮する医療用把持具に関する。
胃や腸等の体内において、比較的小さな癌やポリープは、内視鏡手術により切除することがある。その際に生じた傷口は、医療用把持具を遠隔操作で開閉させて傷口周縁の切片を把持し、傷口の縫縮や止血等を行っている。
この種の医療用把持具として、特許文献1には、固定クリップと、この固定クリップに相対向して設けられ、下端が前記固定クリップに固定され、他端が開放状態にある弾力性材料で構成された一対の可動クリップと、一方の可動クリップと前記固定クリップとの間で被把持物を把持するタイミングと他方の可動クリップと前記固定クリップとの間に被把持物を把持するタイミングをずらすことができる制御機構とを備えた医療用把持具が開示されている。
この医療用把持具は、固定クリップに対して一対の可動クリップを、タイミングをずらせて当接させることができるので、体内組織の大きな裂け目等を閉じることができるとされている。
しかしながら、特許文献1の医療用把持具の可動クリップは、段落番号0025に記載されるように、チタンやステンレスなど構成されているので、医療用把持具をチューブ内に長時間収容していると、可動クリップが塑性変形してしまい、チューブから医療用把持具を挿出しても、可動クリップが十分に拡張しないことがあった。このため、可動クリップと固定クリップとで傷口の切片を保持する際における操作性や、把持力が低下する傾向にあり、傷口をしっかりと結紮できないことがあった。特に、傷口が大口径になるほど、操作性や把持力が低下する傾向にあった。
よって、本発明の目的は、傷口をしっかりと結紮でき、操作性に優れた医療用把持具を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の医療用把持具は、細長い板状をなす固定クリップと、前記固定クリップに基端部が固定されて、該固定クリップの先端方向に向けて該固定クリップに対して開く方向に延出され、先端に該固定クリップに向けて突出する把持爪を有する一対の可動クリップと、前記固定クリップの基端側から先端側に向けて、前記一対の可動クリップの外側を押さえるように摺動可能に装着されたリング部材とを備え、前記リング部材を前記固定クリップの先端側に摺動させた際、前記一対の可動クリップが、両側からタイミングをずらしてそれぞれ固定クリップ側に閉じるように構成されており、前記固定クリップはステンレス鋼で形成され、前記可動クリップはNi−Ti系合金で形成されていることを特徴とする。
本発明の医療用把持具を使用する際には、シース等のチューブ内に収容し、該チューブを介して、胃や腸等において癌やポリープ等を除去した際に生じた傷口まで搬送する。次に、チューブから医療用把持具を挿出し、傷口の一方の切片に可動クリップの先端部を当接させて、リング部材を固定クリップの先端側に移動させることにより、一方の可動クリップを閉じさせて、該可動クリップと固定クリップとの間で、上記傷口の一方の切片を把持させる。次に、この把持状態を維持しながら医療用把持具を移動させ、他方の可動クリップの先端部を、前記傷口の他方の切片に当接させ、その状態でリング部材を固定クリップの更に先端側に移動させることにより、他方の可動クリップを閉じさせて、該可動クリップと固定クリップとの間で、上記傷口の他方の切片を把持させる。その結果、傷口の一方の切片と他方の切片とが、クリップによって把持されて傷口が結紮され、傷口を縫縮したり止血することができる。
そして、本発明の医療用把持具においては、固定クリップがステンレス鋼で形成されるので、強度があり、固定クリップを傷口に押し当てても、固定クリップが折れ曲がり難く、位置決めをしっかり行うことができる。
また、可動クリップがNi−Ti系合金で形成されるので、医療用把持具をチューブ内で閉じた状態で長期に亘って収容しても塑性変形し難く、チューブから医療用把持具を挿出した際に可動クリップが固定クリップから大きく拡張し、傷口が大口径であっても傷口をしっかりと結紮できる。また、可動クリップが柔軟で曲がり易く、操作時において体内組織に損傷を与え難くできると共に、傷口周縁に密着させやすい。また、リング部材をスムーズに摺動させやすく、可動クリップの閉じ込みの微調整が可能であり、更には、リング部材を一気に押し込んで可動クリップが一気に閉じてしまうといったトラブルの発生を抑制でき、操作性に優れる。
また、可動クリップがNi−Ti系合金で形成されるので、医療用把持具をチューブ内で閉じた状態で長期に亘って収容しても塑性変形し難く、チューブから医療用把持具を挿出した際に可動クリップが固定クリップから大きく拡張し、傷口が大口径であっても傷口をしっかりと結紮できる。また、可動クリップが柔軟で曲がり易く、操作時において体内組織に損傷を与え難くできると共に、傷口周縁に密着させやすい。また、リング部材をスムーズに摺動させやすく、可動クリップの閉じ込みの微調整が可能であり、更には、リング部材を一気に押し込んで可動クリップが一気に閉じてしまうといったトラブルの発生を抑制でき、操作性に優れる。
本発明の医療用把持具において、前記固定クリップの先端部には、該固定クリップの板厚よりも幅広となるように、前記可動クリップに向かって軸方向に直交する方向に延出する板状部が設けられていることが好ましい。この態様によれば、固定クリップの板厚よりも幅広な板状部を押し当てることによって、位置決めが安定する。また、固定クリップと可動クリップとの間で傷口の切片を把持する際、固定クリップの板状部の先端が切片に当接するので、傷口の切片をより確実に把持することができる。
本発明の医療用把持具において、固定クリップの板状部には、前記可動クリップに向けて突出する把持部が形成されていることが好ましい。この態様によれば、固定クリップに設けた把持部が傷口の切片に食い込んでしっかりと把持することができる。
本発明の医療用把持具において、リング部材により各可動クリップが閉じたとき、各可動クリップの把持爪と、固定クリップの把持部とが、軸方向にずれた位置となるように構成されていることが好ましい。この態様によれば、傷口の切片が、軸方向にずれた固定クリップと可動クリップの間に挟み込まれるので、両クリップ間に挟まれる該切片の量が増え、その把持力を高めることができる。
本発明の医療用把持具において、前記一対の可動クリップは、37℃で超弾性を発揮するように構成されていることが好ましい。この態様によれば、可動クリップが体内で超弾性を発揮するので、チューブから医療用把持具を挿出した際に可動クリップが固定クリップからよりしっかりと拡張して開くと共に、リング部材を摺動させて、可動クリップを固定クリップに対して閉じた際に、傷口の切片をよりしっかりと把持できる。
本発明の医療用把持具によれば、固定クリップがステンレス鋼で構成されるので、強度があり、固定クリップを傷口に押し当てても、固定クリップが折れ曲がり難く、位置決めをしっかり行うことができる。
また、可動クリップがNi−Ti系合金で構成されるので、医療用把持具をチューブ内で閉じた状態で長期に亘って収容しても、可動クリップが塑性変形し難く、チューブから医療用把持具を挿出した際に可動クリップが固定クリップから大きく拡張し、傷口が大口径であっても、傷口をしっかりと結紮できる。また、可動クリップは、柔軟で曲がり易く、操作時において体内組織に損傷を与え難くできると共に、傷口周縁に密着させやすい。更には、可動クリップは柔軟性があるのでリング部材をスムーズにスライドさせやすく、微調整が可能であり、操作性に優れる。
また、可動クリップがNi−Ti系合金で構成されるので、医療用把持具をチューブ内で閉じた状態で長期に亘って収容しても、可動クリップが塑性変形し難く、チューブから医療用把持具を挿出した際に可動クリップが固定クリップから大きく拡張し、傷口が大口径であっても、傷口をしっかりと結紮できる。また、可動クリップは、柔軟で曲がり易く、操作時において体内組織に損傷を与え難くできると共に、傷口周縁に密着させやすい。更には、可動クリップは柔軟性があるのでリング部材をスムーズにスライドさせやすく、微調整が可能であり、操作性に優れる。
以下、図1,2を参照して、本発明に係る医療用把持具の第1の実施形態について説明する。
図1,2における図番10は、外筒チューブであって、柔軟性を有する樹脂材料などで形成されている。
外筒チューブ10の樹脂材料としては、特に限定は無く、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタート、ポリブチレンテレフタート、ポリブダジエン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
外筒チューブ10の両端は開口しており、手元側の開口部の周縁には、硬い樹脂材料などで形成された継手11が固着されている。継手11は筒状をなし、基端部がフランジ状に拡径されている。継手11の樹脂材料としては、特に限定は無く、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等が挙げられる。
外筒チューブ10内には、柔軟性を有する樹脂材料で形成された内筒チューブ20が、外筒チューブ10内を挿通可能に配置されている。内筒チューブ20の樹脂材料としては、特に限定は無く、外筒チューブ10と同様のものが挙げられる。
内筒チューブ20の両端は開口しており、手元側の開口部の周縁には、硬い樹脂材料などで形成された手元操作子21が固着されている。手元操作子21には、後述する操作ワイヤ30が挿通する貫通穴22が形成されている。手元操作子21の樹脂材料としては、特に限定は無く、上述した継手11と同様のものが挙げられる。また、先端側の開口部には、後述する医療用把持具40のリング部材44が、着脱可能に取り付けられている。
内筒チューブ20内には、操作ワイヤ30が、内筒チューブ20を挿通可能に配置されている。操作ワイヤ30は、柔軟性を有するものであればよく、特に限定は無い。例えば、Fe、ステンレス鋼、ピアノ線、Ni−Ti系合金等が挙げられる。Ni−Ti系合金としては、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Fe合金、Ni−Ti−Cu合金、Ni−Ti−V合金、Ni−Ti−Co合金等が挙げられる。
操作ワイヤ30の手元側は、上述した手元操作子21の貫通穴22を挿通して手元操作子21から出ており、その先端には、操作リング31が取り付けられている。
操作ワイヤ30の先端側には、連結具32が取り付けられている。連結具32の先端側には、スリット33が設けられており、該スリット33に後述する医療用把持具40の固定クリップ41の球状凸部412が挿入され、医療用把持具40が連結具32に着脱可能に取り付けられる。連結具32の材質は特に限定は無く、ステンレス鋼、Fe、Pt−Ir、Au、Ag、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等が挙げられる。
医療用把持具40は、固定クリップ41と、固定クリップ41の両側面に基端部421,431が固定された一対の可動クリップ42,43と、リング部材44とで主に構成されている。
固定クリップ41は、細長い板状をなして伸びる軸部411と、軸部411の基端側の先端に設けられた球状凸部412と、軸部411の先端側に設けられた板状部413とで構成され、全体がステンレス鋼で形成されている。
固定クリップ41の軸部411は、厚さが0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.2〜1.0mmがより好ましい。0.1mm未満であると、強度的に不足し、固定クリップ41を傷口に押し当てて位置決めする際に、軸部411が折れ曲がる恐れがある。2.0mmを超えると、内視鏡内部での形状追従性に劣って内視鏡先端から出し難くなったり、体内の管状器官への追従性が劣って目的とする器官まで持っていくことが困難となる可能性がある。また、幅寸法は、0.2〜4.0mmであることが好ましく、0.5〜2.0mmがより好ましい。0.2mm未満であると、強度的に不足する傾向にある。4.0mmを超えると、内視鏡内部での形状追従性に劣って内視鏡先端から出し難くなったり、体内の管状器官への追従性が劣って目的とする器官まで持っていくことが困難となる可能性がある。
固定クリップ41の板状部413は、固定クリップ41の軸部411の板厚よりも幅広であって、可動クリップ42、43に向かって軸方向に直交する方向に延出している。また、板状部413の可動クリップ42,43に向かう両端部には、幅方向両側から突出する把持部414,414がそれぞれ形成されている(合計で4つ)。把持部414,414の内側415は、板状部413の幅方向中央に向かって次第に高さが低くなるV字状をなしている。
なお、板状部413の形状は、図1に示す形状に限定されない。例えば、図9(a)に示される板状部413aのように、幅方向中央部を平坦部414aとし、幅方向両端部に、各可動クリップに向けて突出した把持部414b,414bを設けた形状としてもよい。また、図9(b)に示される板状部413bのように、板状部413bの幅方向両端部に、各可動クリップに向けて突出した把持部414c,414cを設け、板状部413bの幅方向中央部に、前記把持部414cよりも突出量が小さい把持部414dを複数(この実施形態では、それぞれの可動クリップ側に4個ずつ)設けた形状としてもよい。更に、図9(c)に示される板状部413cのように、固定クリップ41の直交方向両側から、各可動クリップに向けて、山型の把持部414e,414eをそれぞれ突出した形状としてもよい。また、図示しないが、板状部413は、把持部を有さない形状であってもよい。
図1及び図2に示すように、各可動クリップ42,43は、細長い板材を折り曲げて形成されており、その基端部421,431が、固定クリップ41の両側面に、溶接、接着剤などの手段により、固定クリップ41に対して互いに軸方向にずれた位置で固定されている。この実施形態では、可動クリップ42の基端部421が、可動クリップ43の基端部431よりも、手元寄りで固定クリップ41に固定されている。
また、各可動クリップ42,43は、基端部421,431側から、固定クリップ41の先端方向に向けて、固定クリップ41に対して開く方向に延出した形状をなしている。具体的には各可動クリップ42,43は、基端部421,431から固定クリップ41に対して所定の開き角度で延出した基部側傾斜部422,432と、その先端の曲げ部422a,432aを介して、前記基部側傾斜部422,432よりも固定クリップ41に対する開き角度が小さくなるように延出した先端側傾斜部424,434とを有している。
また、各可動クリップ42,43は、その曲げ部422a,432aが、固定クリップ41に対し軸方向にずれるように固定されている(図2参照)。更に、各可動クリップ42,43の、先端側傾斜部424,434からは、固定クリップ41に向けて把持爪423,433が突出されている。把持爪423,433は、図2、8に示すように、可動クリップ42,43を閉じたときに、固定クリップ41の板状部413の側面に当接するように構成されている。
上記の各可動クリップ42,43は、Ni−Ti系合金で形成されており、更に、上述した形状を保持するように形状記憶処理が施されている。Ni−Ti系合金としては、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Fe合金、Ni−Ti−Cu合金、Ni−Ti−V合金、Ni−Ti−Co合金等が挙げられる。可動クリップをNi−Ti系合金で形成することで、医療用把持具40を外筒チューブ10内に長期に亘って収容しても塑性変形し難くなり、外筒チューブ10から医療用把持具40を挿出した際に、可動クリップ42,43を大きく拡張させることができる。また、可動クリップ42,43が柔軟で曲がり易くなり、操作時において体内組織に損傷を与え難くできると共に、医療用把持具40を傷口周縁に密着させやすい。更には、リング部材44をスムーズに摺動させやすく、可動クリップ42,43の閉じ込みの微調整が可能であり、更には、リング部材44を一気に押し込んで可動クリップが閉じてしまうといったトラブルの発生を抑制でき、操作性に優れる。
本発明において、可動クリップ42,43のNi−Ti系合金は、37℃で超弾性を発揮するように構成されていることが好ましい。これによれば、可動クリップ42,43が体内で超弾性を発揮するので、外筒チューブ10から医療用把持具40を挿出した際に可動クリップ42,43が、固定クリップ41から大きく拡張して開くことができる。また、リング部材44をスライドさせて可動クリップ42,43を閉じた際に、傷口の切片をよりしっかりと把持できる。なお、本発明において、超弾性とは、弾性係数が20〜30GPa、形状回復温度が40℃以下のことである。
また、本発明において、可動クリップ42,43のNi−Ti系合金は、形状回復温度が20℃〜40℃が好ましく、21〜30℃がより好ましい。形状回復温度が20℃未満であると、シース内で可動クリップが自身の拡張力でへたり易くなり、40℃を超えるとシースから出した際に可動クリップが展開し難くなる。
図1及び図2に示すように、リング部材44は略筒状をなしており、縮径部442と、該縮径部442の先端外周から環状に突設した拡径部441とを有し、その拡径部441側をクリップ先端側に向けて、固定クリップ41及び可動クリップ42,43の外周にリング部材44が装着されている。リング部材44の形状は特に限定は無く、楕円形であってもよく、矩形であってもよい。また、リング部材44は、その縮径部442が内筒チューブ20の先端側の開口に挿入され、環状の拡径部441が、内筒チューブ20の開口周縁部に着脱可能に係合するようになっている。そして、操作ワイヤ30の位置を固定した状態で、内筒チューブ20を先端方向に移動させることで、リング部材44が、固定クリップ41の基端側から先端側に向けて、可動クリップ42,43の外側を押さえるように摺動する。
次に、この医療用把持具の操作について、図3〜8を参照しながら説明する。
まず、手元操作子21を手に持ち、手元操作子21を継手11側に引き寄せ、連結具32のスリット33に、医療用把持具40の固定クリップ41の球状凸部412を挿入して、医療用把持具40を取り付ける。そして、手元操作子21を継手11から離れるように移動させ、図2に示すように、外筒チューブ10内に、医療用把持具40を収容する。この状態が使用前の保管状態である。
使用に際しては、医療用把持具40を外筒チューブ10内に収容した状態(保管状態)にて、口腔などから内視鏡のルーメン等を介して体内に挿入し、操作リング31により操作して、図3に示すように、ポリーブや癌を内視鏡手術により切除した際に生じた傷口50まで移動させる。
次に、手元操作子21を継手11側に引き寄せ、外筒チューブ10の先端から医療用把持具40を挿出する。可動クリップ42,43の先端側は、固定クリップ41に対して開く方向に延出されているので、図4に示すように、可動クリップ42,43が開く。
次に、図5に示すように、固定クリップ41の先端の板状部413を、傷口51の所定位置に押し当てながら位置決めして、傷口の一方の切片51の周縁に可動クリップ42の把持爪423を当接させる。そして、その状態で、操作リング31を固定し、手元操作子21を継手11側に押し込む。すると、図6に示すように、医療用把持具40のリング部材44が先端側に移動して、リング部材44の内周が可動クリップ42の外周に当接し、可動クリップ42と固定クリップ41との間隔が狭くなる。更に押し込むと、傷口の切片51が、可動クリップ42の把持爪423と、固定クリップ41の板状部413とで把持される。
次に、この把持状態を維持しながら医療用把持具40を移動させ、図7に示すように、可動クリップ43の把持爪433を傷口の他方の切片52に当接させる。そして、その状態で、操作リング31を固定し、手元操作子21を継手11側に押し込む。すると、医療用把持具40のリング部材44が更に先端側に移動して、リング部材44の内周が可動クリップ43の外周に当接し、可動クリップ43と固定クリップ41との間隔が狭くなって、傷口の他方の切片52が可動クリップ43と固定クリップ41とで把持される。その結果、傷口50の一方の切片51と他方の切片52とが、クリップによって把持されて傷口50が結紮される。
この状態で、操作リング31を手元側に引き抜くと、医療用把持具40が連結具32から抜け、図8に示すように、傷口50を結紮した状態で医療用把持具40のみが体内に留置され、他の部材は体外に引出される。
本発明の医療用把持具は、固定クリップ41がステンレス鋼で形成されるので、強度があり、固定クリップ41を傷口50に押し当てても、固定クリップ41が折れ曲がり難く、位置決めをしっかり行うことができる。
また、可動クリップ42,43がNi−Ti系合金で形成されるので、図2に示すような保管状態が長くても塑性変形し難く、外筒チューブ10から医療用把持具40を挿出した際に、可動クリップ42,43が固定クリップ41から大きく拡張する。このため、傷口51が大口径であってもしっかりと結紮できる。また、保管状態のまま流通することもでき、使用直前になって、医療用把持具40を連結具32に取付けて外筒チューブ10内に収容するといった手間を省くことができ、取り扱い性に優れる。
また、可動クリップ42,43がNi−Ti系合金で形成されるので、可動クリップ42,43が柔軟で曲がり易く、操作時において体内組織に損傷を与え難くできる。また、傷口周縁に可動クリップ42,43を密着させて、傷口の切片をしっかりと把持できる。また、リング部材44をスムーズに摺動させやすく、可動クリップ42,43の閉じ込みの微調整が可能であり、更には、リング部材44を一気に押し込んで可動クリップ42,43が一気に閉じてしまうといったトラブルの発生を抑制でき、操作性に優れる。
また、固定クリップ41の先端の板状部413には、可動クリップ42,43に向けて突出する把持部414が形成されているので、各可動クリップ42,43の把持爪423,433と、固定クリップの把持部414とが傷口の切片に食い込んでしっかりと把持される。このため、一方の傷口の切片を把持した状態で、他方の傷口の切片を把持する際に、クリップが傷口の切片から脱落して把持状態が解除されるといったトラブルの発生を低減できる。
次に、本発明の医療用把持具の第2の実施形態について、図10を用いて説明する。
この実施形態の医療用把持具40aは、基本的な構成は、上述した第1の実施形態と同じであるが、可動クリップ42,43を閉じたときに、可動クリップ43の把持爪433と、固定クリップ41の板状部413とが、軸方向にずれた位置となるように構成されている点が、上記第1の実施形態と相違する。
すなわち、この医療用把持具40aは、可動クリップ42,43を閉じたときに、可動クリップ42の把持爪423が、固定クリップ41の板状部413の側面に当接するが、可動クリップ43の把持爪433が、固定クリップ41の板状部413よりも、チューブ先端側に配置されるようになっている。
この実施形態によれば、傷口の切片52が、軸方向にずれた固定クリップ41と可動クリップ43の間に挟み込まれるので、その把持力を高めることができ、傷口をしっかりと結紮できる。
次に、本発明の医療用把持具の第3の実施形態について、図11を用いて説明する。
この実施形態の医療用把持具40aは、基本的な構成は、上述した第1の実施形態と同じであるが、可動クリップ42,43を閉じたときに、可動クリップ42,43の把持爪423,433と、固定クリップ41の板状部413とが、それぞれ軸方向にずれた位置となるように構成されている点が、上記第1の実施形態と相違する。
すなわち、この医療用把持具40bは、可動クリップ42,43を閉じたときに、各可動クリップ42の把持爪423,433が、固定クリップ41の板状部413よりも、チューブ先端側に配置されるようになっている。
この実施形態によれば、傷口の切片51,52が、軸方向にずれた固定クリップ41と可動クリップ42,43の間に挟み込まれるので、その把持力を高めることができ、傷口をよりしっかりと結紮できる。
次に、本発明の医療用把持具の第4の実施形態について、図12を用いて説明する。
この実施形態においても、医療用把持具40cの基本的な構成は、上述した第1の実施形態と同じであるが、可動クリップ42,43を閉じたときに、各可動クリップ42の把持爪423,433が、固定クリップ41の板状部413よりも、チューブ手元側に配置されるように構成されている点で相違する。
この実施形態によれば、傷口の切片51,52が、軸方向にずれた固定クリップ41と可動クリップ42,43の間に挟み込まれるので、その把持力を高めることができ、傷口をよりしっかりと結紮できる。
次に、本発明の医療用把持具の第5の実施形態について、図13を用いて説明する。
この実施形態の医療用把持具40dは、基本的な構成は上述した第1の実施形態と同様であるが、以下の点で相違する。
すなわち、図13(b)に示すように、各可動クリップ42,43は同一形状で折り曲げ形成されており、その基端部421,431が、固定クリップ41に対し、軸方向ほぼ同じ位置に固定されていると共に、折り曲げ部422a,432aも、固定クリップ41に対し、軸方向ほぼ同じ位置となるように配置されている。
そして、リング部材44aには、拡径部441の周方向一部に、可動クリップ42,43を受け入れ可能な幅のスリット443が形成されている。
この実施形態によれば、リング部材44aを固定クリップ41の基端側から先端側に向けて移動させると、スリット443によって、リング部材44aの内周と、各可動クリップ42,43とが接触するタイミングがずれ、図13(b)の仮想線に示されるように、可動クリップ42と固定クリップ41との間隔のみが、まず狭くなる。そして、リング部材44aを更に先端側に移動させると、可動クリップ43がリング部材44aの内周に当接して、可動クリップ43と固定クリップ41との間隔も狭くなる。このため、この医療用把持具40dにおいても、上述した第1の実施形態と同様の操作で、傷口を結紮できる。
なお、この実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様、各可動クリップの基端部421,431を、固定クリップに対し、軸方向にずれて固定してもよい。また、各可動クリップ42,43の曲げ部422a,432aを、固定クリップに対し、軸方向にずれて形成してもよい。また、上述した第2〜第4の実施形態のように、リング部材44により各可動クリップ42,43が閉じたとき、各可動クリップ42,43の把持爪423,433と、固定クリップ41の板状部413とが、軸方向にずれた位置となるように構成されていてもよい。
10:外筒チューブ
20:内筒チューブ
21:手元操作子
30:操作ワイヤ
31:操作リング
32:連結具
40,40a,40b,40c,40d:医療用把持具
41:固定クリップ
413,413a,413b,413c:板状部
414,414b,414c,414d:把持部
423,433:把持爪
42,43:可動クリップ
44,44a:リング部材
20:内筒チューブ
21:手元操作子
30:操作ワイヤ
31:操作リング
32:連結具
40,40a,40b,40c,40d:医療用把持具
41:固定クリップ
413,413a,413b,413c:板状部
414,414b,414c,414d:把持部
423,433:把持爪
42,43:可動クリップ
44,44a:リング部材
Claims (5)
- 細長い板状をなす固定クリップと、
前記固定クリップに基端部が固定されて、該固定クリップの先端方向に向けて該固定クリップに対して開く方向に延出され、先端に該固定クリップに向けて突出する把持爪を有する一対の可動クリップと、
前記固定クリップの基端側から先端側に向けて、前記一対の可動クリップの外側を押さえるように摺動可能に装着されたリング部材とを備え、
前記リング部材を前記固定クリップの先端側に摺動させた際、前記一対の可動クリップが、両側からタイミングをずらしてそれぞれ固定クリップ側に閉じるように構成されており、
前記固定クリップはステンレス鋼で形成され、前記可動クリップはNi−Ti系合金で形成されていることを特徴とする医療用把持具。 - 前記固定クリップの先端部には、該固定クリップの板厚よりも幅広となるように、前記可動クリップに向かって軸方向に直交する方向に延出する板状部が設けられている請求項1記載の医療用把持具。
- 前記固定クリップの板状部には、前記可動クリップに向けて突出する把持部が形成されている請求項2記載の医療用把持具。
- 前記リング部材により各可動クリップが閉じたとき、各可動クリップの把持爪と、前記固定クリップの把持部とが、軸方向にずれた位置となるように構成されている請求項2又は3に記載の医療用把持具。
- 前記一対の可動クリップは、37℃で超弾性を発揮するように構成されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の医療用把持具。
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-
2012
- 2012-05-23 JP JP2012117931A patent/JP2013244054A/ja active Pending
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