JP4511782B2 - 全フッ素化芳香族基を有する複素環式化合物、および該化合物を用いた電子写真感光体、電子写真装置、有機電界発光素子 - Google Patents

全フッ素化芳香族基を有する複素環式化合物、および該化合物を用いた電子写真感光体、電子写真装置、有機電界発光素子 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な複素環式化合物および、該化合物を用いた電子写真感光体、有機電界発光素子に関する。さらに詳しくは、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に用いられる電子写真感光体、ならびに該化合物を備えた電子写真装置に関し、また全固体型発光装置として用いられる有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機電子写真感光体(OPC)は、近年、無公害、低コスト、材料選択の自由度から感光体特性を様々に設計できるなどの観点から、広く実用化されている。OPCの感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを積層させた積層型の感光体、いわゆる機能分離型の感光体や、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一の感光層中に分散させた、いわゆる単層型の感光体などが提案されている。
これらの感光体に使用される電荷輸送剤にはキャリヤ移動度が高いことが要求されているが、キャリヤ移動度が高い電荷輸送剤のほとんどが正孔輸送性であるため、実用に供されているOPCは、機械的強度の観点から、最外層に電荷輸送層が設けられた負帯電プロセスの積層型感光体に限られている。しかし、負帯電プロセスのOPCは負極性コロナ放電を利用するため、正極性のそれに比べて不安定であり、かつオゾンの発生量が多いので感光体を劣化させる原因となり、また使用環境への悪影響などが問題となっている。
そこで、このような問題点を解決するためには正帯電プロセスで使用できるOPCが有効である。そのためには、電荷輸送剤として電子輸送剤を使用することが必要であり、例えば特開平1−206349号公報には、ジフェノキノン構造またはベンゾキノン構造を有する化合物を電子写真感光体用の電子輸送剤として使用することが提案されている。また、特開平5−142812号公報には、ベンゼンテトラカルボン酸ジイミド化合物を電子写真感光体用の電子輸送剤として使用することが提案されている。
【0003】
有機電界発光素子は、完全な固体素子であるために耐衝撃性に優れ、しかも自己発光性を有するため視認性が高いという特徴を有しており、現在フラットパネル型ディスプレイとして盛んに研究されている。この有機電界発光素子は、透明ガラス基板上に、ホール注入電極、有機層、電子注入電極を順次積層した構造を有している。ホール注入電極としては、Au(金)やITO(インジウム−スズ酸化物)のような仕事関数の大きな電極材料を用い、電子注入電極としては、Mgのような仕事関数の小さな電極材料を用いている。また、前記ホール注入・輸送層としてはp型半導体の性質を有する有機材料が用いられ、電子注入・輸送層としてはn型半導体の性質を有する有機材料が用いられている。
有機電界発光素子の発光原理は、ホール注入電極から注入されたホールと電子注入電極から注入された電子とが、発光層とホール(又は電子)輸送層の界面、および発光層内で再結合して励起子を生成し、その励起子が発光層を構成する発光材料の分子を励起することにより発光すると考えられている。
ところで、電界発光材料には、有機系のものと無機系のものが挙げられ、有機系のものとしては、古くから青色発光を示す単結晶のアントラセンが知られており、無機系の電界発光材料としては化合物半導体が良く知られている。
しかしながら、アントラセン単結晶は、数10μm〜数mmと厚いため、この単結晶を発光させるためには数百Vの駆動電圧が必要であった。また、アントラセン単結晶は単一組成の有機材料であるため、このような単結晶にホールと電子の両電荷を注入するため電荷の注入効率が低いという問題点があった。
なお、このようなアントラセン単結晶を薄膜化することにより該結晶の発光に必要な駆動電圧を低減させることはできるが、電荷の注入効率を改善することは困難であった。
【0004】
1987年に、コダック社のTangとVanslykeらにより、ホール輸送層と電子輸送性発光層の二層を備えた素子が従来の単層構造の有機電界発光素子に比べて、約10Vという低電圧で効率良く緑色発光することが報告された(非特許文献1)。
このような積層構造により従来と比較して発光効率が向上した原因は、電極から注入するホールと電子のバランスを取ることができたからである。上記素子では、ホール輸送層が、陽極から電子輸送性発光層へホールを注入する働きをすると共に、陰極から注入された電子がホールと再結合することなく陽極へ逃げることを防ぎ、電子輸送性発光層内へ電子を閉じ込める役割をも果たしている。このため、このホール輸送層による電子を閉じ込める効果により、従来の単層素子に比べて、より効率良くホールと電子の再結合が起こり、駆動電圧の大幅な低下が可能となる。
【0005】
さらに、再結合により生成した励起子が金属電極表面で無輻射失活するのを防止する機能も有する。このような観点で、ホール阻止材料の開発が行なわれている。ホール阻止層は発光層と電子注入・輸送層との位置し、発光層内に電荷(ホールまたは電子)または励起子を閉じ込める効果がある。これまでに、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bathocuproin)などが報告されている。これまで、オキサジアゾール誘導体であるPBDが広く用いられてきたが、結晶化しやすいという問題点がある。他の化合物を用いても、駆動電圧が上昇するなどの問題点が指摘されている。
【非特許文献1】
Appl. Phys. Lett., Vol.51 No.12(1987) p.913-915
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
有機電子写真感光体に用いられるジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ベンゼンテトラカルボン酸ジイミド化合物などの従来の電子輸送剤は、結着樹脂との相溶性が低いため、析出する等の問題がある。また、感光層中に分散できる量が制限されてしまうために、ホッピング距離が長くなり、低電界での電子移動が生じ難い。従って、従来の電子輸送剤を含有する感光体は、電子輸送能に優れた感光体とすることが困難であった。
そこで本発明の目的は、上記した技術的課題を解決し、有機電子写真感光体における電子輸送剤として好適な新規化合物と、それを用いた、従来よりも高感度の電子写真感光体とを提供することである。また、 本発明の目的は、有機電界発光素子の発光特性を向上できる有機膜を提するとともに、これら有機膜を電子注入・輸送層あるいはホール阻止層に用いて性能を向上した有機電界発光素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決する手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造(全フッ素化芳香族基)を有する複素環式化合物が薄膜形成性や電子輸送性に優れており、電子写真感光体における電子輸送剤として使用することにより、高感度で高性能な素子が作製可能であることを、あるいは有機電界発光素子におけるホール阻止層や電子注入・輸送層として使用することにより、長寿命で高性能な素子が作製可能であることを見いだし本発明に至った。
すなわち本発明は、一般式(1)(化3)で表される複素環式化合物および該化合物を用いた電子写真感光体、電子写真装置、有機電界発光素子に関する。
【0008】
【化3】
Figure 0004511782
【0009】
[式中、Aは置換基を有していても良い硫黄原子または酸素原子を少なくとも一つ含有する全フッ素化複素環式芳香環を表す。また、BjおよびCは、それぞれ置換基を有していても良い全フッ素化芳香族基を表す。nは0〜6の整数を表し、mは1〜6の整数を表し、n+mはAの骨格に結合し得る数を超えない。なお、jは1〜mの整数を表し、kは0〜nの整数を表す。]
【0010】
より具体的には、
▲1▼上記式(1)で表される複素環式化合物
▲2▼全フッ素化複素環式芳香環Aがチオフェン骨格あるいはフラン骨格を含有する▲1▼記載の化合物
▲3▼全フッ素化複素環式芳香環Aが下記骨格群(化4)のいずれかである▲2▼記載の化合物
【0011】
【化4】
Figure 0004511782
【0012】
▲4▼全フッ素化芳香族基Bjが炭素環式芳香族基である▲1▼〜▲3▼記載の化合物
▲5▼導電性基体上に設けられた感光層に▲1▼〜▲4▼記載の化合物を含むことを特徴とする電子写真感光体
▲6▼▲5▼記載の電子写真感光体を備えた電子写真装置。
▲7▼少なくとも一方の電極が透明である一対の電極間に設けられた少なくとも1層の有機化合物層に▲1▼〜▲4▼記載の化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明の上記式(1)で表される複素環式化合物において、Aは置換基を有していても良い硫黄原子または酸素原子を少なくとも一つ含有する全フッ素化複素環式芳香環を表す。
【0014】
また、BおよびCは、それぞれ置換基を有していても良い全フッ素化芳香族基を表す。nは0〜6の整数、mは1〜6の整数を表し、(n+m)はAの骨格に結合し得る数を超えない。例えばAがチオフェンである場合には、(m+n)は、チオフェン骨格に結合し得る数、すなわち4を超える数(5以上)にはならないことを表す。
なお、jは1〜mの整数を表し、kは0〜nの整数を表す。なお、n=0の場合(C0)は、Cで表される置換基を有しないことを表す。
【0015】
なお、本願明細書において「全フッ素化」とは、水素原子がすべてフッ素に置換されていることを意味する。「置換基を有していても良い全フッ素化複素環式芳香環」を例にとると、複素環式芳香環に直接結合する水素のみならず、環式芳香環に結合している置換基内の水素もすべてフッ素に置換されていることを表す。従って、本願発明の式(1)で表される化合物において、A、B、Cはいずれも「全フッ素化」された基であることは、すなわち該化合物には水素原子は含まれていない(フッ素に置換されている)ことを表す。
【0016】
Aは置換基を有していても良い(n+m)価の硫黄原子または酸素原子を少なくとも一つ含有する全フッ素化複素環式芳香環を表す。
複素環式芳香族環は、単数もしくは複数の五員環あるいは六員環から構成され、好ましくは1〜4個の芳香族環が連結もしくは縮合して構成されており、より好ましくは1〜3個の芳香族環が縮合して構成されている。
複素環式芳香族環に含有される炭素数は、好ましくは4〜14個であり、より好ましくは4〜11個である。
さらに好ましい複素環式芳香族環の骨格の具体例について、以下説明する。
【0017】
まず、一般式(2)に示すヘテロ原子1個を含む五員環が挙げられる。一般式(2)(化5)において、Z=Oのフラン環であり、Z=Sのチオフェン環が挙げられる。これらの中で好ましくはチオフェン環である。
【0018】
【化5】
Figure 0004511782
【0019】
また、一般式(2)にベンゼン環が縮合した一般式(3)(化6)が挙げられる。一般式(3)において、Z=Oのベンゾフラン環であり、Z=Sのベンゾチオフェン環が挙げられる。
【0020】
【化6】
Figure 0004511782
【0021】
また、一般式(2)のZ=Sのチオフェン環に芳香環が縮合した一般式(4)(化7)で表される骨格群が挙げられる。これらの中で好ましくは、イソチアナフテン環、チエノチアジアゾール環、チエノ[3,2−b]チオフェン環であり、より好ましくはチエノチアジアゾール環、チエノ[3,2−b]チオフェン環である。
【0022】
【化7】
Figure 0004511782
【0023】
次に、一般式(5)に示すヘテロ原子2個を含む五員環が挙げられる。一般式(5)(化8)において、Z1=Oのオキサゾール環であり、Z1=Sのチアゾール環が挙げられる。また、Z2=Oのイソオキサゾール環であり、Z2=Sのイソチアゾール環が挙げられる。これらの中で好ましくはオキサゾール環、チアゾール環であり、より好ましくはチアゾール環である。
【0024】
【化8】
Figure 0004511782
【0025】
また、一般式(5)の五員環にベンゼン環が縮合した一般式(6)が挙げられる。一般式(6)(化9)において、Z1=Oのベンゾオキサゾール環であり、Z1=Sのベンゾチアゾール環が挙げられる。また、一般式(6)において、Z2=Oのベンゾイソオキサゾール環であり、Z2=Sのベンゾイソチアゾール環が挙げられる。
【0026】
【化9】
Figure 0004511782
【0027】
また、一般式(1)におけるAは多環系であっても良い。一例を挙げると、一般式(7)(化10)のように、複数の環系が単結合1本ずつで一次元的に連結された多環系である。ここで、Zは酸素原子または硫黄原子を表す。また、αは0〜2の整数を表す。これらの中で好ましくは、Zが硫黄原子である。また、αの好ましい範囲は0または1であり、より好ましい範囲は0である。
【0028】
【化10】
Figure 0004511782
【0029】
さらに、一般式(1)におけるAは一般式(8)(化11)で示すような構造であっても良い。具体的例示としては、Z6=Oのジベンゾフラン環、Z6=Sのジベンゾチオフェン環、Z6=COのフルオレノン環、Z6=SO2のジベンゾチオフェンスルフォン環が挙げられる。これらの中で、好ましくはジベンゾチオフェン環、フルオレノン環、ジベンゾチオフェンスルフォン環であり、より好ましくはジベンゾチオフェン環、フルオレノン環である。
【0030】
【化11】
Figure 0004511782
【0031】
Aで示される複素環式芳香族環として特に好ましい骨格構造は、下記の構造式群(9)(化12)である。
【0032】
【化12】
Figure 0004511782
【0033】
一般式(1)におけるAで示される複素環式芳香族環は置換基を有していても良い。置換基としては、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、ペルフルオロアルキルチオ基、フッ素原子、などの全フッ素化置換基が挙げられる。
【0034】
ペルフルオロアルキル基としては、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基が好ましい。より具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ペルフルオロプロピル基、n−ペルフルオロブチル基の直鎖状のものと、i―ペルフルオロプロピル基、s−ペルフルオロブチル基、t−ペルフルオロブチル基の分岐状のものが好ましい。
ペルフルオロアルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。より具体的には、トリフルイオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ペルフルオロプロポキシ基、ペルフルオロイソプロポキシ基が好ましい。
ペルフルオロアルキルチオ基としては、炭素数1〜3のアルキルチオ基が好ましい。より具体的には、トリフルオロメチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基、ペルフルオロプロピルチオ基、ペルフルオロイソプロピルチオ基が好ましい。
【0036】
これらの置換基は、融点やポリマーへの相溶性等を考慮して決められる。ポリマーへの相溶性が悪い場合には、嵩高いt−ブチル骨格等を導入するのが効果的である。
【0037】
次に、一般式(1)におけるB1〜Bについて説明する。B1〜Bは、それぞれ独立に、置換基を有していても良い、全フッ素化芳香族基を表す。ここで芳香族基とは、複素環式芳香族基または炭素環式芳香族基を表す。
【0038】
複素環式芳香族基は、2種またはそれ以上の元素の原子から芳香族環が構成されている。2種以上の元素の原子としては炭素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、窒素原子などが挙げられる。好ましくは2〜5種の元素の原子で構成されており、より好ましくは2〜4種の元素の原子で構成されている。なお、炭素原子以外の原子をヘテロ原子と記載する。
複素環式芳香族基は、五員環あるいは六員環から構成される。好ましくは1〜4個の芳香族環が縮合して構成されており、より好ましくは1〜3個の芳香族環が縮合して構成されている。
複素環式芳香族基に含有される炭素数は、好ましくは4〜14個であり、より好ましくは4〜11個である。
【0039】
このような複素環式芳香族基の骨格の具体的例示としては、まず、一般式(10)(化13)に示すヘテロ原子1個を含む五員環を挙げられる。一般式(10)において、Z=Oのフリル基であり、Z=Sのチエニル基であり、Z=NHのピロリル基が挙げられる。これらの中で好ましくはチエニル基、フリル基であり、より好ましくはチエニル基である。
【0040】
【化13】
Figure 0004511782
【0041】
また、一般式(10)にベンゼン環が縮合した一般式(11)(化14)が挙げられる。一般式(11)において、Z=NHのインドリル基であり、Z=Oのベンゾフリル基であり、Z=Sのベンゾチエニル基が挙げられる。これらの中で好ましくはベンゾチエニル基、ベンゾフリル基であり、より好ましくはベンゾチエニル基である。
【0042】
【化14】
Figure 0004511782
【0043】
次に、一般式(12)(化15)に示すヘテロ原子2個を含む五員環が挙げられる。一般式(12)において、Z1=Oのオキサゾリル基であり、Z1=Sのチアゾリル基であり、Z1=NHのイミダゾリル基が挙げられる。また、Z2=Oのイソオキサゾリル基であり、Z2=Sのイソチアゾリル基であり、Z2=NHのピラゾリル基が挙げられる。これらの中で好ましくはオキサゾリル基、チアゾリル基であり、より好ましくはチアゾリル基である。
【0044】
【化15】
Figure 0004511782
【0045】
また、一般式(12)に示す五員環にベンゼン環が縮合した一般式(13)(化16)が挙げられる。一般式(13)において、Z1=Oのベンゾオキサゾリル基であり、Z1=Sのベンゾチアゾリル基であり、Z1=NHのベンゾイミダゾリル基が挙げられる。また、一般式(13)において、Z2=Oのベンゾイソオキサゾリル基であり、Z2=Sのベンゾイソチアゾリル基であり、Z2=NHのベンゾピラゾリル基が挙げられる。これらの中で好ましくはベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基であり、より好ましくはベンゾチアゾリル基である。
【0046】
【化16】
Figure 0004511782
【0047】
ヘテロ原子3個以上含有する五員環として、n−トリアジル基、s−トリアジル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,3,5−オキサジアゾリル基、1,2,5−オキサジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,5−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、テトラゾリル基が挙げられる。これらの中で好ましいのは、1,3,5−オキサジアゾリル基、1,3,5−チアジアゾリル基であり、より好ましいのは1,3,5−チアジアゾリル基である。
ヘテロ原子1個含有する六員環として、ピリジル基が挙げられる。また、ピリジル基にベンゼン環が縮合したキノリン環、イソキノリン環が挙げられる。好ましいのはピリジン環である。
【0048】
次に、ヘテロ原子2個含有する六員環として、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基が挙げられる。また、これらの六員環にベンゼン環が縮合したベンゾ[d]ピリダジル基、ベンゾ[c]ピリダジル基、キナゾリル基、キノキサリニル基が挙げられる。
【0049】
さらに、ヘテロ原子3個含有する六員環として、トリアジル基が挙げられる。
【0050】
一般式(1)におけるB1〜Bの炭素環式芳香族基とは、芳香族環を構成する原子が全て炭素原子である環式化合物であることを表す。炭素環式芳香族環は、単数もしくは複数の五員環あるいは六員環から構成される。好ましくは1〜5個の芳香族環が連結もしくは縮合して構成されており、より好ましくは1〜4個の芳香族環が縮合して構成されている。
炭素環式芳香族環に含有される炭素数は、好ましくは5〜22個であり、より好ましくは5〜18個である。
【0051】
このような炭素環式芳香族基の具体的例示として、縮合多環式芳香族基が挙げられる。ペンタレニル基、フェナレニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基、インデニル基、アズレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ピセニル基などが挙げられる。その中でもアセン形芳香族基が好ましい。具体的な例示としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ナフタセニル基、ペンタセニル基などが挙げられる。これらの中で好ましくはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基であり、より好ましくは、フェニル基、ナフチル基である。
【0052】
一般式(1)におけるB1〜Bの特に好ましい骨格構造は、下記の構造式群(14)(化17)である。ここで、βは1〜3の整数を表し、好ましくはβは1〜2の整数である。
【0053】
【化17】
Figure 0004511782
【0054】
一般式(1)においてB〜Bは、全て同じであっても良いし、全て異なっていても良い。一般式(1)におけるB〜Bで示される全フッ素化芳香族環は置換基を有していても良い。置換基としては、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、ペルフルオロアルキルチオ基、フッ素原子、などの全フッ素化置換基が挙げられる。
【0055】
ペルフルオロアルキル基としては、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基が好ましい。より具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ペルフルオロプロピル基、n−ペルフルオロブチル基の直鎖状のものと、i―ペルフルオロプロピル基、s−ペルフルオロブチル基、t−ペルフルオロブチル基の分岐状のものが好ましい。
ペルフルオロアルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。より具体的には、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ペルフルオロプロポキシ基、ペルフルオロイソプロポキシ基が好ましい。
ペルフルオロアルキルチオ基としては、炭素数1〜3のアルキルチオ基が好ましい。より具体的には、トリフルオロメチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基、ペルフルオロプロピルチオ基、ペルフルオロイソプロピルチオ基が好ましい。
【0057】
これらの置換基は、融点やポリマーへの相溶性等を考慮して決められる。ポリマーへの相溶性が悪い場合には、嵩高いt−ブチル骨格等を導入するのが効果的である。
【0058】
次に、一般式(1)におけるC〜Cについて説明する。C1〜Cは、それぞれ独立に、置換基を有していても良い、フッ素化芳香族基を表す。ここで芳香族基とは、炭素環式芳香族基または複素環式芳香族基を表す。なお、n=0の場合(C0)は、Cで表される置換基を有しないことを表す。
【0059】
複素環式芳香族基は、2種またはそれ以上の元素の原子から構成される芳香族環を表し、2種以上の元素の原子としては炭素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、窒素原子などが挙げられる。好ましくは2〜5種の元素の原子で構成されており、より好ましくは2〜4種の元素の原子で構成されている。なお、炭素原子以外の原子を本願明細書においてヘテロ原子と記載する。
複素環式芳香族基は、単数もしくは複数の五員環あるいは六員環から構成される。好ましくは1〜4個の芳香族環が連結もしくは縮合して構成されており、より好ましくは1〜3個の芳香族環が縮合して構成されている。
複素環式芳香族基に含有される炭素数は、好ましくは4〜14個であり、より好ましくは4〜11個である。
【0060】
このような複素環式芳香族基の骨格の具体的例示としては、まず、一般式(15)(化18)に示すヘテロ原子1個を含む五員環を挙げられる。一般式(15)において、Z=Oのフリル基であり、Z=Sのチエニル基であり、Z=NHのピロリル基が挙げられる。これらの中で好ましくはチエニル基、フリル基であり、より好ましくはチエニル基である。
【0061】
【化18】
Figure 0004511782
【0062】
また、一般式(15)にベンゼン環が縮合した一般式(16)(化19)が挙げられる。一般式(16)において、Z=NHのインドリル基であり、Z=Oのベンゾフリル基であり、Z=Sのベンゾチエニル基が挙げられる。これらの中で好ましくはベンゾチエニル基、ベンゾフリル基であり、より好ましくはベンゾチエニル基である。
【0063】
【化19】
Figure 0004511782
【0064】
次に、一般式(17)(化20)に示すヘテロ原子2個を含む五員環が挙げられる。一般式(17)において、Z1=Oのオキサゾリル基であり、Z1=Sのチアゾリル基であり、Z1=NHのイミダゾリル基が挙げられる。また、Z2=Oのイソオキサゾリル基であり、Z2=Sのイソチアゾリル基であり、Z2=NHのピラゾリル基が挙げられる。これらの中で好ましくはオキサゾリル基、チアゾリル基であり、より好ましくはチアゾリル基である。
【0065】
【化20】
Figure 0004511782
【0066】
また、一般式(17)に示す五員環にベンゼン環が縮合した一般式(18)(化21)が挙げられる。一般式(18)において、Z1=Oのベンゾオキサゾリル基であり、Z1=Sのベンゾチアゾリル基であり、Z1=NHのベンゾイミダゾリル基が挙げられる。また、一般式(13)において、Z2=Oのベンゾイソオキサゾリル基であり、Z2=Sのベンゾイソチアゾリル基であり、Z2=NHのベンゾピラゾリル基が挙げられる。これらの中で好ましくはベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基であり、より好ましくはベンゾチアゾリル基である。
【0067】
【化21】
Figure 0004511782
【0068】
ヘテロ原子3個以上含有する五員環として、n−トリアジル基、s−トリアジル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,3,5−オキサジアゾリル基、1,2,5−オキサジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,5−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、テトラゾリル基が挙げられる。これらの中で好ましいのは、1,3,5−オキサジアゾリル基、1,3,5−チアジアゾリル基であり、より好ましいのは1,3,5−チアジアゾリル基である。
【0069】
ヘテロ原子1個含有する六員環として、ピリジル基が挙げられる。また、ピリジル基にベンゼン環が縮合したキノリン環、イソキノリン環が挙げられる。好ましいのはピリジン環である。
【0070】
次に、ヘテロ原子2個含有する六員環として、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基が挙げられる。また、これらの六員環にベンゼン環が縮合したベンゾ[d]ピリダジル基、ベンゾ[c]ピリダジル基、キナゾリル基、キノキサリニル基が挙げられる。
【0071】
さらに、ヘテロ原子3個含有する六員環として、トリアジル基が挙げられる。
【0072】
一般式(1)におけるC〜Cの炭素環式芳香族基は、芳香族環を構成する原子骨格の全てが炭素原子の環式化合物である。炭素環式芳香族環は、単数もしくは複数の五員環あるいは六員環から構成される。好ましくは1〜5個の芳香族環が連結もしくは縮合して構成されており、より好ましくは1〜4個の芳香族環が縮合して構成されている。
炭素環式芳香族環に含有される炭素数は、好ましくは5〜22個であり、より好ましくは5〜18個である。
【0073】
このような炭素環式芳香族基の具体的例示として、縮合多環式芳香族基が挙げられる。ペンタレニル基、フェナレニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基、インデニル基、アズレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ピセニル基などが挙げられる。その中でもアセン形芳香族基が好ましい。具体的な例示としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ナフタセニル基、ペンタセニル基などが挙げられる。これらの中で好ましくはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基であり、より好ましくは、フェニル基、ナフチル基である。
【0074】
一般式(1)におけるC1〜Cの好ましい骨格構造は、下記の構造式群(化22)である。ここで、γは1〜3の整数を表し、好ましくはγは1〜2の整数である。
【0075】
【化22】
Figure 0004511782
【0076】
一般式(1)においてC〜Cは、全て同じであっても良いし、全て異なっていても良い。一般式(1)におけるC〜Cで示されるフッ素化された芳香族環は置換基を有していても良い。置換基としては、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、ペルフルオロアルキルチオ基、フッ素原子、などが挙げられる。
【0077】
ペルフルオロアルキル基としては、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基が好ましい。より具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ペルフルオロプロピル基、n−ペルフルオロブチル基の直鎖状のものと、i―ペルフルオロプロピル基、s−ペルフルオロブチル基、t−ペルフルオロブチル基の分岐状のものが好ましい。
ペルフルオロアルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。より具体的には、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ペルフルオロプロポキシ基、ペルフルオロイソプロポキシ基が好ましい。
ペルフルオロアルキルチオ基としては、炭素数1〜3のアルキルチオ基が好ましい。より具体的には、トリフルオロメチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基、ペルフルオロプロピルチオ基、ペルフルオロイソプロピルチオ基が好ましい。
【0079】
これらの置換基は、融点やポリマーへの相溶性等を考慮して決められる。ポリマーへの相溶性が悪い場合には、嵩高いt−ブチル骨格等を導入するのが効果的である。
【0080】
本発明の複素環式化合物は、公知の合成方法により合成される。例えば、J.Chem.Soc.,1965,3372−3379(1965)に記載の方法により製造することができ、一例として、後述の第1表 例示化合物 No.1の合成ルートは下記(化23)に示したとおりである。
【0081】
【化23】
Figure 0004511782
【0082】
ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)は、例えば、J.Amer.Chem.Soc.,81,4927−4931(1959)に記載の方法で製造することができる。具体的には、ペンタフルオロチオフェノールと酸化銅(I)をメタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒中で還流させることにより得ることができる。
ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)の使用量は、芳香族ハロゲン体に対して1〜3当量、好ましくは1.1〜2.5当量である。
反応温度は、100〜200℃の範囲であり、好ましくは130〜180℃の範囲である。反応温度が180℃を超えると副生成物が増加し、目的とする化合物の収率が低下する。また、反応温度が100℃よりも低いと反応速度が遅く実用的でない。
反応溶媒は極性有機溶媒を用いることが好ましい。極性有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
【0083】
前記一般式(1)で示される複素環式化合物の具体例を、第1表(表1〜表16)に示すが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0084】
【表1】
Figure 0004511782
【0085】
【表2】
Figure 0004511782
【0086】
【表3】
Figure 0004511782
【0087】
【表4】
Figure 0004511782
【0088】
【表5】
Figure 0004511782
【0089】
【表6】
Figure 0004511782
【0090】
【表7】
Figure 0004511782
【0091】
【表8】
Figure 0004511782
【0092】
【表9】
Figure 0004511782
【0093】
【表10】
Figure 0004511782
【0094】
【表11】
Figure 0004511782
【0095】
【表12】
Figure 0004511782
【0096】
【表13】
Figure 0004511782
【0097】
【表14】
Figure 0004511782
【0098】
【表15】
Figure 0004511782
【0099】
【表16】
Figure 0004511782
【0100】
また、非対称な置換基が導入された場合の具体的例示として、以下の構造(化24)を挙げることができる。
【0101】
【化24】
Figure 0004511782
【0102】
本発明の有機電子写真感光体の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の感光体の一実施例を示す概念図である。1は導電性基体、2は下引き層、3は感光層、4は保護層であり、下引き層2と保護層4は必要に応じて設けられる。感光層3は、電荷発生機能と電荷輸送機能を併せ持ち、一つの層で両方の機能を有する単層型や、電荷発生層と電荷輸送層とに分離した積層型がある。
導電性基体1は、感光体の電極としての機能と同時に他の各層の支持体となっており、円筒状、板状、フィルム状のいずれでもよく、材質的にはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属、あるいはガラス、樹脂などの上に導電処理を施したものでも良い。
下引き層2は、必要に応じて設けることができ、樹脂を主成分とする層やアルマイト等の酸化皮膜などからなり、導電性基体から感光層への不要な電荷注入を阻止、基体表面の欠陥被覆、感光層の接着性向上等の目的で必要に応じて設けられる。下引き層用の樹脂バインダーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。また、樹脂バインダー中には、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、硫化バリウム、硫化カルシウム等の金属硫化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、金属酸化物微粒子等を含有してもよい。
樹脂を主成分とする下引き層の場合、電子輸送性の付与、電荷トラップの低減等を目的として、本発明の新規フッ素化合物を含有させることができる。含有量は、下引き層の固形分に対して、0.1〜60重量%であり、好ましくは、5〜40重量%である。
下引き層の膜厚は、下引き層の配合組成にも依存するが、繰り返し連続使用したときに残留電位が増大するなどの悪影響が出ない範囲で任意に設定できる。
感光層3は、機能分離型の場合は、電荷発生層と電荷輸送層の主として2層からなり、単層型の場合は1層からなる。電荷発生層は、有機光導電性物質を真空蒸着または有機光導電性物質の粒子を樹脂バインダー中に分散させた材料を塗布して形成され、光を受容して電荷を発生する。また、その電荷発生効率が高いことと同時に発生した電荷の電荷輸送層への注入性が重要であり、電場依存性が少なく低電場でも注入の良いことが望ましい。
電荷発生層は、電荷発生機能を有すればよいので、その膜厚は、電荷発生物質の光吸収係数より決まり、一般的には5μm以下であり、好適には1μm以下である。
【0103】
電荷発生層は、電荷発生物質を主体としてこれに電荷輸送物質などを添加して使用することも可能である。電荷発生物質として、フタロシアニン系顔料、アゾ顔料、アントアントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、スクアリリウム顔料、チアピリリウム顔料、キナクリドン顔料等を用いることができ、またこれらの顔料を組み合わせて用いてもよい。特にアゾ顔料としては、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン顔料としては、N,N’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−3,4:9,10−ペリレンビス(カルボキシイミド)、フタロシアニン系顔料としては、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンが好ましく、更には、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、アモルファスチタニルフタロシアニン、特開平8−209023号公報に記載のCuKα:X線回折スペクトルにてブラック角2θが9.6°を最大ピークとするチタニルフタロシアニンが好ましい。
電荷発生層用の樹脂バインダーとしては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。
電荷輸送層は樹脂バインダー中に電荷輸送物質を分散させた材料からなる塗膜であり、暗所では絶縁体層として感光体の電荷を保持し、光受容時には電荷発生層から注入される電荷を輸送する機能を発揮する。
電荷輸送物質としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、ピラゾロン化合物、オキサジアゾール化合物、オキサゾール化合物、アリールアミン化合物、ベンジジン化合物、スチルベン化合物、スチリル化合物、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の正孔輸送物質または、本発明の新規な複素環式化合物、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水コハク酸、無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、クロラニル、ブロマニル、o−ニトロ安息香酸、トリニトロフルオレノン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン、スチルベンキノン等の電子輸送物質を使用することが可能である。
電荷輸送層用の樹脂バインダーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。
【0104】
電荷輸送層の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するためには、3〜50μmの範囲が好ましく、より好適には10〜40μmである。
単層型の感光層の場合は、主成分として、上記電荷発生層と電荷輸送層に用いられる電荷発生物質と電荷輸送物質および樹脂バインダーが用いられるものと、電荷発生物質と樹脂バインダーを用いるものがある。
単層型感光層の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するためには、3〜50μmの範囲が好ましく、より好適には10〜40μmである。
これらの感光層中には、耐環境性や有害な光に対する安定性を向上させる目的で、酸化防止剤や光安定剤などの劣化防止剤を含有させることもできる。このような目的に用いられる化合物としては、トコフェロールなどのクロマノール誘導体およびエーテル化化合物、エステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハイドロキノン誘導体、ジエーテル化化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオエーテル化合物、フェニレンジアミン誘導体、ホスホン酸エステル、亜リン酸エステル、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
さらに、感光層中には、電子輸送性の付与、電荷トラップの低減等を目的として、電子受容物質、電子輸送物質である本発明の新規キノン系化合物を含有させることができる。含有量は、感光層の各層の固形分に対して、0.1〜90重量%であり、好ましくは5〜60重量%である。
さらにまた、必要に応じ他の電子受容物質を併用することができる。これらの電子受容物質としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水コハク酸、無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、クロラニル、ブロマニル、o−ニトロ安息香酸、トリニトロフルオレノン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン、スチルベンキノンなどの化合物を挙げることができる。
保護層4は、耐刷性を向上させること等を目的とし、必要に応じ設けることができ、樹脂バインダーを主成分とする層や、アモルファスカーボン等の無機薄膜からなる。また樹脂バインダー中には、導電性の向上や、摩擦係数の低減、潤滑性の付与等を目的として、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の金属硫化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、金属酸化物微粒子、または4フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂粒子、フッ素系クシ型グラフト重合樹脂等を含有してもよい。また、電荷輸送性を付与する目的で、上記感光層に用いられる電荷輸送物質、電子受容物質や、本発明の新規な複素環式化合物を含有させることもできる。
【0105】
次に、本発明の有機電界発光素子の実施形態について説明する。
有機電界発光素子は、通常、一対の電極間に一層または多層の有機薄膜で構成されている。一層型素子の場合、一対の電極間に発光層を設けている。発光層は、少なくとも一種の発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入したホールまたは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるためにホール注入・輸送材料または電子注入・輸送材料を含有しても良い。多層型素子は、(A)陽極/ホール注入・輸送層/発光層/陰極、(B)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極、(C)陽極/ホール注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極の多層構成で積層した有機電界発光素子がある。さらには、発光層と電子注入・輸送層の間にホール阻止層を積層した構成である(D)陽極/ホール注入・輸送層/発光層/ホール阻止層/電子注入・輸送層/陰極とすることもできる。
【0106】
本発明の有機電界発光素子においては、これらの素子構成に限るものではなく、それぞれの型の素子において、ホール注入・輸送層、発光層、電子注入・輸送層を複数層設けることができる。また、それぞれの型の素子において、ホール注入・輸送層と発光層との間に、ホール注入・輸送材料と発光材料の混合層および/または発光層と電子注入・輸送層との間に、発光材料と電子注入・輸送材料の混合層を設けることもできる。
【0107】
一般式(1)の化合物は、どの素子構成においても使用することが出来る。一般式(1)の化合物は、電子注入・輸送層もしくはホール阻止層のいずれの層においても、電子注入・輸送材料として使用できる。本発明の電子注入・輸送材料は、陰極から有機層への電子注入機能、および注入した電子を輸送し発光層に注入する機能を有しているので、電子注入・輸送層が二層以上の場合でも、いずれの電子注入・輸送層に使用することができる。
【0108】
一般式(1)の化合物により形成される薄膜は非晶質性があるので、薄膜にした場合の長期間の保存や素子を駆動させた場合の発光寿命等においても有利である。また、一般式(1)の化合物は、金属電極に対する密着性も良好であり、薄膜の電子親和力も低いことから、陰極からの電子注入に有利であるので、電子注入・輸送層を二層以上にした場合、一般式(1)の化合物を金属電極(陰極)側の電子注入・輸送層に使用した方がさらに有利である。
ここで、ホール注入・輸送層、発光層、または電子注入・輸送層は、それぞれ二層以上で形成されても良い。
【0109】
ホール注入・輸送材料としては、陽極からのホールを注入する機能を持ち、発光層または発光材料に対してホールを注入する機能を有し、発光層で生成した励起子の電子注入・輸送層または電子注入・輸送材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能の優れた化合物が挙げられる。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、およびポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ホール注入・輸送材料は単独で使用してもよく、あるいは複数併用すてもよい。
【0110】
本発明の有機電界発光素子において使用できるホール注入・輸送材料の中で、さらに効果的なホール注入・輸送材料は、芳香族三級アミン誘導体またはフタロシアニン誘導体である。具体的には、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4‘−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、またはこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーまたはポリマー等があるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
フタロシアニン(Pc)誘導体としては、H2Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体およびナフタロシアニン誘導体等があるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
本発明に係る化合物をホール阻止層に用いた場合、使用できる電子注入・輸送材料としては、陰極からの電子を注入する機能を持ち、発光層または発光材料に対して電子を注入する機能を有し、発光層で生成した励起子のホール注入・輸送層またはホール注入・輸送材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能の優れた化合物が挙げられる。本発明に係る化合物および/または他の電子注入・輸送材料(例えば、キノリン金属錯体、オキサジアゾール、ベンゾチアゾール金属錯体、ベンゾオキサゾール金属錯体、ベンゾイミダゾール金属錯体、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体)を少なくとも一種用いて形成することができる。
【0113】
本発明に係る化合物と他の電子注入・輸送材料とを併用する場合、電子注入・輸送層に占める本発明に係る化合物の割合は、好ましくは、0.1〜40重量%程度に調整する。
【0114】
本発明の有機電界発光素子において、さらに効果的な電子注入・輸送材料は、金属錯体化合物または含窒素五員環誘導体である。中でも、例えば、一般式(a)〜一般式(c)で示される有機アルミニウム錯体は好適である。
(Q)3−Al (a)
(式中、Qは置換または未置換の8−キノリノラート配位子を表す)
(Q)2 −Al−O−L (b)
(式中、Qは置換8−キノリノラート配位子を表し、O−Lはフェノラート配位子であり、Lはフェニル部分を含む炭素数6〜24の炭化水素基を表す)
(Q)2 −Al−O−Al−(Q)2 (c)
(式中、Qは置換8−キノリノラート配位子を表す)
【0115】
有機金属錯体の具体例としては、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウムなどを挙げることができる。もちろん、これらの有機金属錯体は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0116】
また、含窒素五員誘導体としては、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールまたはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等があるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
本発明の有機電界発光素子に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、トリフェニルアミン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミンピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン等およびそれらの誘導体があるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
有機電界発光素子の陽極に使用される導電性材料は、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等およびそれらの合金、ITO基板、NESA基板と称される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性ポリマーが用いられる。これらの導電性材料は、単独で使用しても良く、あるいは複数併用してもよい。
陽極のシート電気抵抗は、好ましくは、数百Ω/□以下、より好ましくは、5〜50Ω/□程度に設定する。
陰極に使用される導電性材料は、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、フッ化リチウム、ルテニウム、マンガン等およびそれらの合金が用いられる。合金としては、リチウム/インジウム、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金の比率は、加熱の温度、雰囲気、真空度により制御され適切な比率が選択される。これらの導電性材料は、単独で使用しても良く、あるいは複数併用してもよい。
陰極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。
陰極のシート電気抵抗は、数百Ω/□以下に設定することが好ましい。
陰極の厚みは、使用する導電性材料にもよるが、一般的には、5〜1000nm程度、より好ましくは10〜500nm程度に設定する。
【0119】
有機電界発光素子では、効率良く発光させるために、少なくとも一方は素子の発光波長領域において充分透明であることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。透明電極は、上記の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性を確保するように設定する。発光面の電極は、光透過率を50%以上、好ましくは70%以上にすることが望ましい。基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば限定されるものではないが、例示すると、ガラス基板、ポリエチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン等の透明性ポリマーがあげられる。
【0120】
有機電界発光素子は、多層構造にすることにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下を防ぐことができる。また、必要があれば、発光材料、ドーピング材料、キャリア注入を行うホール注入・輸送材料や電子注入・輸送材料を二種類以上組み合わせて使用することも出来る。また、ホール注入・輸送層、発光層、電子注入・輸送層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良く、ホールまたは電子が効率よく電極から注入され、層中で輸送される素子構造が選択される。
【0121】
本発明の有機電界発光素子においては、その少なくとも一層中に、一重項酸素クエンチャーが含有されていてもよい。一重項酸素クエンチャーとしては、特に限定するものではなく、例えば、ルブレン、ニッケル錯体、ジフェニルイソベンゾフラン等が挙げられ、特に好ましくは、ルブレンである。
【0122】
一重項酸素クエンチャーが含有される層としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、ホール注入・輸送層または発光層であり、より好ましくは、ホール注入・輸送層である。なお、例えば、ホール注入・輸送層に一重項酸素クエンチャーを含有させる場合、ホール注入・輸送層中に均一に含有させてもよく、ホール注入・輸送層と隣接する層(例えば、発光層、発光機能を有する電子注入・輸送層)の近傍に含有させてもよい。
一重項酸素クエンチャーの含有量としては、含有される層(例えば、ホール注入・輸送層)を構成する全体量の0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0123】
本発明に係わる有機電界発光素子の各層(ホール注入・輸送層、発光層、電子注入・輸送層)の形成方法は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオン化蒸着、イオンプレーティング、クラスターイオンビーム等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング、キャスト、バーコート、インクジェット等の溶液塗布法のいずれかの方法を適用することができる。膜厚は特に限定されるものではないが、各層は適切な膜厚に設定する必要がある。膜厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になり効率が悪くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝度が得られない。一般には、好ましくは1nm〜1μm程度であり、より好ましくは10nm〜0.2μm程度に設定する。
【0124】
真空蒸着法により各層を形成する場合、真空蒸着の条件は特に限定するものではないが、10-5Torr程度の真空下で、50〜600程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.005〜50nm/sec程度の蒸着速度で実施することが好ましい。
真空蒸着法によりホール注入・輸送層、発光層、電子注入・輸送層の各層を複数の化合物を用いて形成する場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着することが好ましい。
この場合、ホール注入・輸送層、発光層、電子注入・輸送層の各層を、真空下で連続して形成することにより、諸特性に優れた有機電界発光素子を製造することができる。
【0125】
溶液塗布法を用いて各層を形成する場合、各層を形成する材料あるいはその材料とバインダー樹脂を溶媒に溶解させるか、あるいは分散させて塗布液とする。ホール注入・輸送層、発光層、電子注入・輸送層の各層に使用しうるバインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性ポリマー、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性ポリマーを挙げることができる。バインダー樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0126】
溶液塗布法を用いて各層を形成する場合、各層を形成する材料あるいはその材料とバインダー樹脂を適当な有機溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレンなどの炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルー2−ピロリドン、1−メチルー2−イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイドなどの極性溶媒)および/または水に溶解、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。
なお、分散させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、ホモジナイザー等を用いて微粒子状に分散することができる。
【0127】
塗布液の濃度に関しては特に限定するものではなく、実施する塗布法により所望の厚みを形成するに適した濃度範囲に設定することができる。一般には、0.1〜50重量%程度、好ましくは1〜30重量%程度の溶液濃度である。なお、バインダー樹脂を使用する場合、その使用量に関しては特に制限するものではないが、一般には、各層を形成する材料に対して(一層型素子を形成する場合には、各成分の総量に対して)5〜99.9重量%程度、好ましくは10〜99.9重量%程度、より好ましくは15〜90重量%程度に設定する。
【0128】
作製した素子に対して、酸素や水分との接触を防止する目的で、保護層(封止層)を設けたり、また、素子を、例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油などの不活性物質中に封入して保護することができる。
【0129】
保護層に使用する材料として、例えば、有機高分子材料(例えば、フッ素化樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド)、無機材料(例えば、ダイヤモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属硫化物)、さらには光硬化性樹脂などを挙げることができる。また、保護層に使用する材料は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。保護層は、一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。
【0130】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。。
【実施例1】
第1表 例示化合物No.1の合成
第一ステップ ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)の合成
ペンタフルオロチオフェノール5.00g(0.025mol)、酸化銅(I)2.68g(0.0188mol)、エタノール100mlを装入した反応器を3hr還流させた。冷却後、濾過を行ない、固体を乾燥させて金属光沢のある桃色の固体を得た。収量:7.33g。
第二ステップ テトラキス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
テトラブロモチオフェン5.00g(0.0125mol)、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)14.94g、DMF100mlを装入したした反応器を150℃で12hr加熱・撹拌した。これを5%HCl水溶液で1回洗浄し、水洗3回行なった後、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体10.52gを得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーを行ない、濃縮して淡黄色の固体4.60gを得た。得られた固体を再結晶精製を行ない、白色固体を得た。収量:3.46g。収率:31.2%。
融点を測定したところ、102.7℃であった。なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=876のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0131】
【実施例2】
2,5−ビス(ペンタフルオロフェニル)−3,4−ビス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
第1ステップ 3,4−ビス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成3,4−ジブロモチオフェン15.0g(0.0620mol)、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)5.0g、DMF100mlを装入した反応器を130℃で3.0hr加熱した。反応が進行していることを確認して、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)33.8gを追加して130℃で18hr加熱した。冷却後、濾過を行い、濾液を5%HCl水溶液100mlで洗浄し、水洗3回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。Na2SO4を濾別して、濾液を濃縮し褐色の液体33.13gを得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行ない、淡黄色の液体(その後、固体)を得た。
収量:12.79g
HPLC純度:92.4%(AN 80/H2O 20、1.0ml/min、UV254nm)
純度換算収率:39.7%
第2ステップ (2,5−ジブロモ−3,4−ビス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成)
上記化合物12.79g(92.4%/0.0246mol)、NBS15.0g(0.0843mol)、酢酸100mlを装入した反応器を還流下で2.5hr加熱した。さらに、NBS5.0g(0.0281mol)を追加して還流下で3hr加熱した。冷却後トルエンを加え、水洗4回行い(pH〜5)、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、赤褐色の固体17.83gを得た。得られた固体を、ヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行ない、淡黄色の固体15.01gを得た。得られた固体をIPAで再結晶を行ない、白色の結晶を得た。
収量:10.29g
HPLC純度:98.9%(AN 90/H2O 10、1.0ml/min、UV254nm)
純度換算収率:64.8%
第3ステップ 2,5−ビス(ペンタフルオロフェニル)−3,4−ビス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
乾燥させた500mlの4口フラスコに窒素雰囲気下でマグネシウム0.97g(0.04mol)を装入した。脱水THF40mlを加えて撹拌させながら、ブロモペンタフルオロベンゼン8.89g(0.036mol)を30min掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)10.33g(0.mol)を装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン18mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
上記ジブロモ体5.77gを脱水トルエン100mlと共に反応器に装入し、90℃にて20hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液100mlで洗浄して、水洗を2回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、淡茶色の固体9.37gを得た。
得られた固体を、ヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行ない、濃縮して3.44gの白色の固体を得た。IPAから再結晶を行ない、白色の固体を得た。
収量:3.10g
HPLC純度:98.5%(AN 95/H2O 5、1.0ml/min、UV254nm)
純度換算収率:41.8%
融点を測定したところ、171.9℃であった。なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=812のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0132】
【実施例3】
3−(ペンタフルオロフェニルチオ)−2,4,5−トリス(ペンタフルオロフェニル)チオフェンの合成
第1ステップ 3−(ペンタフルオロフェニル)−4−ブロモチオフェンの合成乾燥させた500mlの4口フラスコに窒素雰囲気下でマグネシウム4.13g(0.170mol)を装入した。脱水THF170mlを加えて撹拌させながら、ブロモペンタフルオロベンゼン40.8g(0.1652mol)を2hr掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)47.40g(0.3304mol)を装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン60mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
3,4−ジブロモチオフェン10.0g(0.0413mol)を脱水トルエン250mlと共に反応器に装入し、80〜95℃にて41hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液100mlで洗浄して、水洗を3回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体24.28gを得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行ない、濃縮して淡黄色の固体を得た。
収量:7.85g
HPLC純度:76.9%(AN 80/H2O 20、1.0ml/min、UV254nm)
第2ステップ 3−(ペンタフルオロフェニル)−4−(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
上記化合物7.85g(76.9%/0.0183mol)、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)3.0g、DMF100mlを装入した反応器を130℃で2hr加熱した。さらに、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I) 6.0gを追加して130℃で21.5hr加熱した。冷却後、濾過を行い、濾液を5%HCl水溶液100mlで洗浄し、水洗3回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体9.97gを得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行ない、淡黄色の液体を得た。
収量:4.57g
HPLC純度:79.8%(AN 80/H2O 20、1.0ml/min、UV254nm)
純度換算収率:44.5%
第3ステップ 2,5−ジブロモ−3−(ペンタフルオロフェニル)−4−(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
上記化合物 4.57g(79.8%/0.00813mol)、NBS10.0g(0.0562mol)、酢酸50mlを装入した反応器を105℃で3hr加熱した。さらに、NBS 50.0g(0.281mol)を追加して90〜100℃で21hr加熱した。冷却後、トルエンを加え、水洗4回行い(pH〜5)、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体6.36gを得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行ない、淡黄色の液体を得た。
収量:4.22g
HPLC純度:60.2%(AN 90/H2O 10、1.0ml/min、UV254nm)
純度換算収率:51.6%
第4ステップ 3−(ペンタフルオロフェニルチオ)−2,4,5−トリス(ペンタフルオロフェニル) チオフェンの合成
乾燥させた500mlの4口フラスコに窒素雰囲気下でマグネシウム0.97g(0.040mol)を装入した。脱水THF40mlを加えて撹拌させながら、ブロモペンタフルオロベンゼン8.89g(0.036mol)を30min掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)10.33g(0.0720mol)を装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン18mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
3−(ペンタフルオロフェニルチオ)−4−(ペンタフルオロフェニル)−2,5−ジブロモチオフェン4.22g(60.2%/0.0042mol)を脱水トルエン100mlと共に反応器に装入し、90℃にて15hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液100mlで洗浄して、水洗を2回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体8.13gを得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行ない、濃縮して淡黄色の固体3.22gを得た。得られた固体をIPAから再結晶を行なって白色の固体を得た。
収量:2.20g
HPLC純度:95.9%(AN 90/H2O 10、1.0ml/min、UV254nm)
純度換算収率:64.4%
融点を測定したところ、147.9℃であった。なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=780のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0133】
【実施例4】
2,5−ビス(4‘−トリフルオロメチル−2’、3‘、5’、6‘−テトラフルオロフェニル)−3,4−ビス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
第1ステップ 3,4−ビス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
実施例2の第1ステップと同様の方法で合成した。
第2ステップ 2,5−ジブロモ−3,4−ビス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
実施例2の第2ステップと同様の方法で合成した。
第3ステップ 2,5−ビス(4‘−トリフルオロメチル−2’、3‘、5’、6‘−テトラフルオロフ ェニル)−3,4−ビス(ペンタフルオロフェニルチオ)チオフェンの合成
乾燥させた500mlの4口フラスコに窒素雰囲気下でマグネシウム0.972g(0.040mol)を装入した。脱水THF40mlを加えて撹拌させながら、4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロブロモベンゼン10.0g(0.0337mol)を1hr掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)9.67g(0.0674mol)を装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン18mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
上記ジブロモ体5.00g(98.9%/0.00775mol)を脱水トルエン100mlと共に反応器に装入し、90℃にて9.5hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液100mlで洗浄して、水洗を2回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、濃黄色の固体8.89gを得た。
得られた固体を、ヘキサンを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行ない、濃縮して褐色の固体7.89gを得た。
得られた固体をIPAで再結晶を行ない、白色の固体を得た。
収量:4.65g
HPLC純度:78.2%(AN 90/H2O 10、1.0ml/min、UV254nm)
再度、得られた固体をIPAで再結晶を行ない、白色の固体を得た。
収量:3.29g
HPLC純度:99.3%(AN 90/H2O 10、1.0ml/min、UV254nm)
純度換算収率:46.2%
融点を測定したところ、173.1℃であった。なお、質量分析(FD−MS)において、M/z=912のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0134】
【実施例5】
有機電子写真感光体の評価
α型TiO2フタロシアニン2g、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学:BH−3)2gをテトラヒドロフラン96gと共にボールミルで2時間分散した。この分散液をアルミニウム基板上に塗工、乾燥して、膜厚0.3μmの電荷発生層を作製した。次に例示化合物(1)10g、ポリカーボネート樹脂(帝人化成:パンライトL−1250)10gをジクロロメタン80gに溶解した。この塗液を電荷発生層上に塗工、乾燥して、膜厚20μmの電子輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を作製した。
電子写真感光体の電子写真特性は以下の方法で測定した。静電複写紙試験装置(川口電機製作所:EPA−8100)により、暗所にて表面電位+600Vになるように帯電させ、ハロゲンランプ光をフィルターにて780(nm)に分光した1.0(μW/cm2)の単色光を照射して、初期表面電位(V0 )、V0 と2秒間暗所に放置した時の表面電位(V2 )の比(暗減衰率:DDR 2=V2 /V0 )、光露光後に帯電量が初期の1/2まで減少する時間から半減露光量感度(E1/2 )を算出し、光露光5秒後の表面電位から残留電位(VR3 )を算出した。
【0135】
【比較例1】
有機電子写真感光体の評価
実施例5で使用した電子輸送材料(第1表 例示化合物 No.1)を下記ジフェノキノン化合物(東京化成工業製)(化25)に代えた以外は実施例2と同様に感光体を作製した。評価は下記の通りであった。(表17)
【0136】
【化25】
Figure 0004511782
【0137】
【表17】
Figure 0004511782
【0138】
【実施例6】
電子注入・輸送層として本発明の化合物を用いた有機電界発光素子の作製
[素子作製]
基板として、陽極となるITO(1000Å)がパターニングされたガラス基板(HOYA社製)を用いた。この基板を、アセトン、脱イオン水、基板洗浄剤(セミコクリーンELグレード、フルウチ化学製)、脱イオン水、イソプロピルアルコール(IPA)の順に超音波洗浄した後、沸騰したIPAより引き上げ、乾燥した。さらにITO表面の有機汚染物質を除去するためにUVオゾン処理を行なった。
このように乾燥された基板を、真空蒸着装置中の温度制御可能な基板ホルダーに取り付けた。その後、真空中で有機化合物層用のマスクを装着し、カーボンるつぼ加熱により有機化合物層として、まずホール輸送層(TPD)を600Å、発光層(キノリノールアルミ錯体、Al(Q)3)を400Å、電子注入・輸送層(例示化合物1)を200Åの順で積層成膜した。
次に、真空中でマスクを陰極電極用に変更し、マグネシウムと銀をモル比がMg/Ag=10/1となるように共蒸着して陰極を成膜した。その上に銀を単独蒸着した。それぞれの膜厚は2000Å、1000Åであった。素子を構成する各膜は、5×10-7Torr以下の真空度で成膜した。
[特性評価]
上記の方法で作製した有機電界発光素子について、十分に窒素置換したチャンバー内において、印加電圧と発光輝度、注入電流密度と発光輝度の関係を測定した。
駆動電圧10V、電流密度100mA/cm2という条件下で、700cd/m2の輝度が認められた。
【0139】
【比較例2】
比較例として、実施例6における電子注入・輸送層として、Al(Q)3を200Å成膜した積層構造の素子を作製した。
十分に窒素置換したチャンバー内において、印加電圧と発光輝度、注入電流密度と発光輝度の関係を測定したところ、電流密度100mA/cm2という条件下で、550cd/m2の輝度が認められた。
【0140】
【実施例7】
ホール阻止層として本発明の化合物を用いた有機電界発光素子の作製
[素子作製]
基板として、陽極となるITO(1000Å)がパターニングされたガラス基板(HOYA社製)を用いた。この基板を、アセトン、脱イオン水、基板洗浄剤(セミコクリーンELグレード、フルウチ化学製)、脱イオン水、イソプロピルアルコール(IPA)の順に超音波洗浄した後、沸騰したIPAより引き上げ、乾燥した。さらにITO表面の有機汚染物質を除去するためにUVオゾン処理を行なった。
このように乾燥された基板を、真空蒸着装置中の温度制御可能な基板ホルダーに取り付けた。その後、真空中で有機化合物層用のマスクを装着し、カーボンるつぼ加熱により有機化合物層として、まずホール輸送層(TPD)を600Å、発光層(キノリノールアルミ錯体、Al(Q)3)を200Å、ホール阻止層(例示化合物175)を50Å、電子注入・輸送層(Al(Q)3)を350Åの順で積層成膜した。
次に、真空中でマスクを陰極電極用に変更し、マグネシウムと銀をモル比がMg/Ag=10/1となるように共蒸着して陰極を成膜した。その上に銀を単独蒸着した。それぞれの膜厚は2000Å、1000Åであった。素子を構成する各膜は、5×10-7Torr以下の真空度で成膜した。
[特性評価]
上記の方法で作製した有機電界発光素子について、十分に窒素置換したチャンバー内において、印加電圧と発光輝度、注入電流密度と発光輝度の関係を測定し、発光効率についても算出した。
電流密度100mA/cm2という条件下で、630cd/m2の輝度が認められた。
【0141】
【比較例3】
比較例として、実施例7におけるホール阻止層として、Bathocuproin(化26)を50Å成膜した積層構造の素子を作製した。
十分に窒素置換したチャンバー内において、印加電圧と発光輝度、注入電流密度と発光輝度の関係を測定したところ、電流密度100mA/cm2という条件下で、580cd/m2の輝度が認められた。
【0142】
【化26】
Figure 0004511782
【0143】
【本発明の効果】
本発明の特定の構造を有する複素環式化合物は、薄膜形成性や電子輸送性に優れており、有機電界発光素子におけるホール阻止層や電子注入・輸送層として使用することにより、長寿命で高性能な素子が作製可能となる。
また、該化合物を電子写真感光体に用いた場合には電気特性や繰り返し安定性に優れた高耐久性の電子写真感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子写真感光体の模式的な側面図である。
【符号の説明】
1 導電性基体
2 下引き層
3 感光層
4 保護層
【図2】本発明の実施例6の形態に係る有機電界発光素子を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 透明ガラス基板
2 ホール注入電極(陽極)
3 ホール注入・輸送層
4 発光層
5 電子注入・輸送層
6 Mg/Ag電極
7 Ag電極
【図3】本発明の実施例7の形態に係る有機電界発光素子を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 透明ガラス基板
2 ホール注入電極(陽極)
3 ホール注入・輸送層
4 発光層
5 電子注入・輸送層
6 Mg/Ag電極
7 Ag電極
8 ホール阻止層

Claims (4)

  1. 下記式(α)で表される複素環式化合物。
    Figure 0004511782
    式(α)において、
    〜X は、それぞれ独立して、硫黄原子または単結合を示すが、X 〜X のうち少なくとも一つは硫黄原子であり、
    〜Y 20 は、それぞれ独立して、フッ素原子、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜3のペルフルオロアルコキシ基または炭素数1〜3のペルフルオロアルキルチオ基を示す。
  2. 導電性基体上に設けられた感光層に、請求項1に記載の化合物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  3. 請求項2に記載の電子写真感光体を備えた電子写真装置。
  4. 少なくとも一方の電極が透明である一対の電極間に設けられた少なくとも1層の有機化合物層に請求項1に記載の化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
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