JP4511448B2 - 緩衝材 - Google Patents

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Description

本発明は、衝撃や応力が加わると発色する緩衝材に関する。
従来、携帯型の電子機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコンなど)において、内部モジュールと、その内部モジュールを収容するケーシングとが接触する位置に感圧紙を配置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような電子機器によれば、電子機器が破損または故障した際、電子機器に衝撃や応力が加わっていれば感圧紙が発色するので、感圧紙の発色状態に基づいて、電子機器のどの部分に衝撃や応力が加わったのかを検証することができた。
特開2003−143275号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、感圧紙が平面状の形態となっているため、感圧紙が貼り付けられた部材の表面については、どの箇所に衝撃や応力が作用したのかを検証することはできるものの、感圧紙が貼り付けられた部材の内部において、どのような方向へ衝撃や応力が伝わったのかを検証するようなことはできなかった。
特に、立体的な形状を持つ部材の表面に衝撃や応力が作用した場合、その部材の内部では、応力が分散したり特定部分に応力が集中したりする可能性があるが、上記のような感圧紙を部材の表面に貼り付けただけでは、部材内部における応力の分散や集中を観察することはできなかった。
さらに、電子機器の中には、衝撃対策のために緩衝材を配置したものがあるが、小型の電子機器においては、小型化を図るために緩衝材を配置するためのスペースが既に極限まで小さく設計されていることが多い。そのため、そのような小さなスペースに感圧紙を配置しようとすると、感圧紙の厚さ分だけ緩衝材の厚さを薄くせざるを得ず、緩衝性能の低下を招くという問題があった。また、緩衝性能の低下が問題であれば、緩衝材の厚さを維持したまま感圧紙を配置できるように、感圧紙分だけ配置スペースを拡大することは不可能ではなかったが、それでは機器の大型化を招いてしまうという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、衝撃や応力を受けた部材の表面はもちろん、その部材の内部へ伝わった衝撃や応力についても検証可能、別途感圧紙等を挟み込まなくても衝撃や応力を受けたことを検出可能な緩衝材を提供することにある。
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
請求項1に記載の緩衝材は、接触に伴って発色する発色剤および顕色剤の内、少なくとも一方をマイクロカプセルに封入して、双方をマトリクスとなる樹脂組成物中に配合してなる感圧発色樹脂材料を、立体的に成形してなる成形品であり、成形状態における前記樹脂組成物が可視光透過率30〜95%の透明度を有しており、衝撃を受けた際には、その衝撃に伴う表面の発色及び内部の発色双方を外部から観察可能となっていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の緩衝材は、請求項1に記載の緩衝材において、前記衝撃に伴う内部の発色に基づいて、前記成形品内部において応力が伝わった方向及び前記成形品内部において応力が集中した部分に関する三次元的な応力の検証が可能な部材であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の緩衝材は、請求項1または請求項2に記載の緩衝材において、前記マイクロカプセルは、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、またはゼラチンからなることを特徴とする。
また、請求項4に記載の緩衝材は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の緩衝材において、前記樹脂組成物は、ゴムまたはエラストマーであることを特徴とする。
また、請求項5に記載の緩衝材は、請求項4に記載の緩衝材において、前記エラストマーは、ベースポリマーに対して液状の軟化剤を配合してなるゲル状樹脂組成物であることを特徴とする。
また、請求項6に記載の緩衝材は、請求項5に記載の緩衝材において、前記ベースポリマーは、スチレン系エラストマーであり、前記軟化剤は、パラフィン系オイルであることを特徴とする。
また、請求項7に記載の緩衝材は、請求項4〜請求項6のいずれかに記載の緩衝材において、アスカーFP硬度は、20〜95であることを特徴とする
以上のように構成される本発明の緩衝材に衝撃や応力が作用すると、マイクロカプセルの破壊を招く程度に強い衝撃や応力が作用した部分では、マイクロカプセルが破壊されて発色剤と顕色剤が接触する。一方、マイクロカプセルが破壊されない程度に弱い衝撃や応力しか作用しなかった部分では、マイクロカプセルが破壊されず、発色剤と顕色剤が接触しない。そのため、マイクロカプセルの破壊を招く程度に強い衝撃や応力が作用した部分のみで感圧発色樹脂材料が発色することになるが、この発色は感圧発色樹脂材料の表面のみで発生するものではなく、感圧発色樹脂材料の内部においても発生する。
したがって、本発明の緩衝材れば、通常の樹脂成形品の表面に感圧紙を貼り付けたものとは異なり、成形品表面のどの箇所に衝撃や応力が作用したのかを検証できるのはもちろんのこと、例えば、成形品内部においてどのような方向に応力が伝わったのか、あるいは、どのような部分に応力が集中したのかなど、従来技術では成し得なかった三次元的な応力の検証を行うことができる。
なお、本発明においては、三次元的な応力の検証を行うため、成形品内部の状態を容易に検証できる必要がある。そのため、本発明の緩衝材を構成する感圧発色樹脂材料としては、この感圧発色樹脂材料からなる成形品の内部において前記マイクロカプセルの破壊に伴って前記発色剤と前記顕色剤とが接触して発色した際に、当該発色を前記成形品の外部から観察可能な程度の光透過性を有するものが利用される
このように構成された緩衝材であれば、緩衝材を構成する成形品の内部における発色を成形品の外部から観察できるので便利である。どの程度の光透過性を有するとよいかは、発色の程度や色合いによっても変わり得るので一概には特定できないが、樹脂組成物の光透過性は、顔料やその他の添加物を加える量によって適宜調節可能なので、作業者が観察することになる光の透過方向、観察対象としたい箇所の肉厚、発色の程度や色合い等を考慮して樹脂組成物の透明度を調節するとよく、本発明の場合、成形状態における前記樹脂組成物の透明度を可視光透過率30〜95%の範囲内で調整する。
また、本発明の緩衝材において、発色剤および顕色剤としては、感圧紙等において一般的に用いられている公知の電子受容性顕色剤、および電子供与性発色剤等を利用することができる。
具体的には、発色剤としては、例えば、トリアリールメタン化合物、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロ系化合物等を利用することができる。より具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、4,4−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−p−ニトロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−3,4−ジクロルアニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトビラン、3,3−ジクロロ−スピロ−ジナフトビラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトビラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン等を用いることができる。
顕色剤としては、フェノール樹脂系化合物、サリチル酸系金属塩化物、サリチル酸樹脂系金属塩化合物、固体酸系化合物等を用いることができる。
これらの発色剤や顕色剤をマイクロカプセルに封入する場合は、発色剤または顕色剤を高沸点溶媒に溶解して、マイクロカプセルに内包するとよい。高沸点溶媒としては、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン類、1−フェニル−1−キシリルエタン等のジアルキルアルカン類、ジプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル類、アルキルベンゼン類、ベンジルナフタレン類、ジアルキルアルキレン類、マレイン酸ジオクチル等のカルボン酸エステル系化合物、トリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル化合物、ヒマシ油、大豆油、綿実油等の植物油、鉱物油のような天然物沸点留分(脂肪族炭化水素よりなる)等が挙げられる。
マイクロカプセル化は、ゼラチン、アラビアゴム系を利用したコンプレックスコアセルベーション法、ポリウレタンウレア樹脂皮膜等を界面にして形成する界面重合法、メラミン−ホルマリン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等の皮膜樹脂初期縮合物を分散媒側から添加し、樹脂化するinsitu重合法等によって行うとよく、特に、メラミン−ホルマリン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等の皮膜樹脂初期縮合物を用い、これを分散媒側から添加し、樹脂化するinsitu重合法が、高濃度のマイクロカプセルが得られ、比較的粒径を小さくすることができるので、カプセル化方法としてもっとも好ましい。また、メラミン樹脂は、強度、耐熱性、および耐薬品性に優れている点でも好ましい。
本発明の緩衝材は、マイクロカプセルの破壊に伴って発色剤と顕色剤が接触することによって発色するものなので、どの程度の衝撃や応力を受けるとどの程度発色するかは、マイクロカプセルの材質、マイクロカプセルの膜厚(=薄い程破壊されやすい)、マイクロカプセルの粒径(=大きい程破壊されやすい)、発色剤や顕色剤の充填量などによって変わる。したがって、これらマイクロカプセルの材質、膜厚、粒径、充填量等を、検出対象となる衝撃や応力の強さに応じて適宜調節し、所望の発色が起こるようにするとよい。
マトリクスとなる樹脂組成物としては、目的に応じて、比較的硬質なものから軟質なものまで任意に利用することができる。例えば、硬質なものとしては、ポリアミド樹脂(PA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、液晶ポリマー樹脂(LCP)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフェニレンオキシド樹脂(PPO)などを用いることができる。
また、軟質なものとしては、ゴムやエラストマーを樹脂組成物として用いればよく、CPE(塩素化ポリエチレン)、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンモノマー三元共重合体)、TPE(熱可塑性エラストマー)、液状シリコーン、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどを利用することができる。
特に、樹脂組成物の硬度をより低硬度にしたい場合、前記エラストマーは、ベースポリマーに対して液状の軟化剤を配合してなるゲル状樹脂組成物であると好ましい。
ベースポリマーについては、ゲル状樹脂材料を形成する上で不都合がないポリマーであれば任意であるが、代表的なものとしては、例えば、スチレン系、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種熱可塑性エラストマー、並びに、それらの水添、その他による変性物、あるいは、スチレン系、ABS系、オレフィン系、塩化ビニル系、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、カーボネート系、アセタール系、アミド系、ハロゲン化ポリエーテル系、ハロゲン化オレフィン系、セルロース系、ビニリデン系、ビニルブチラール系、アルキレンオキサイド系などの熱可塑性樹脂、およびこれらの樹脂のゴム変性物などを挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、相性のよいもの同士であれば、2種以上をブレンドして用いてもよい。
液状の軟化剤についても、最終的にゲル状樹脂材料を形成する上で不都合がない軟化剤であれば何でもよく、親水性、疎水性のいずれの軟化剤であってもよい。具体的には、軟化剤としては、鉱物油系、植物油系、合成系などの各種ゴム用または樹脂用軟化剤を使用可能である。鉱物油系としては、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系などのプロセスオイルが挙げられ、植物油系としては、ひまし油、綿実油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、パーム油、椰子油、落花生油、木蝋、パインオイル、オリーブ油などが挙げられ、合成系としてはポリαオレフィン(PAO)、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレンなどが挙げられる。これらの軟化剤は単独で用いてもよいが、互いの相溶性が良好な2種以上をブレンドして用いてもよい。
これらベースポリマーおよび軟化剤の配合比は、軟化剤の量が多いほどゲル状樹脂材料の硬度は低いものとなるので、所望の硬度となるように適宜調製すればよい。
ベースポリマーおよび軟化剤の組み合わせについて一例を挙げれば、例えば、前記ベースポリマーは、スチレン系エラストマーであり、前記軟化剤は、パラフィン系オイルであると好ましい。スチレン系エラストマーとしては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系エラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系エラストマー、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系エラストマー、スチレン−イソブチレン−スチレン系エラストマーなどを用いることができる。これらスチレン系エラストマーを配合したものであれば、緩衝材として利用するのに好適な他、制振材、パッキンなどとして利用するのに好適な低硬度のゲル状樹脂材料を得ることができる。
より具体的には、ベースポリマーの選択および配合の調整により、本発明の緩衝材の硬度を任意に調整することができるので、その硬度をアスカーFP硬度20〜95の範囲となるように調整することにより、非常に高い衝撃緩衝能力、防振特性を有する低硬度材料を得ることができる。このような材料は、緩衝材としての機能および感圧材としての機能を同時に発現する材料となるので、感圧材および緩衝材としてはもちろんのこと、制振材、パッキンなどとして利用するのにも好適なものとなる。さらに詳しくは、モーター、その他の振動源を内蔵する機器や、外部からの振動の伝達を遮断したい精密部品を内蔵する機器において利用される緩衝材として利用でき、これに加え、防振・制振材、気密性・液密性が要求される箇所に適用されるパッキンその他の封止材等を成形するための材料として利用できる。なお、アスカーFP硬度は、高分子計器株式会社製のアスカーFP硬度計により測定可能な硬度である。比較的一般的な硬度に関する規格の一つとしては「JIS K6253」のJIS A硬度が知られているが、アスカーFP硬度は、JIS A硬度では有意差のある測定値を得難いような低い硬度を測定する際に用いられている規格及び硬度の尺度である。
なお、本発明の緩衝材は、例えば、電子機器の内部等に組み込まれ、電子機器に衝撃や応力が加わったか否かを検証するために利用される。あるいは、精密機器や引越荷物等、各種物品の運搬・輸送といった物流分野において物品に衝撃が加わっていないかどうかを検証するために、この緩衝材を利用することができる。また、自動車の衝突時に自動車各部に伝わった衝撃を検出するために、この緩衝材を利用することができる。
また、本発明の緩衝材であれば、緩衝材とは別に感圧紙を配置しなくてもよいので、例えば、緩衝材と感圧紙とを重ねて配置するような構造とは異なり、同じスペースに配置する場合であれば、感圧紙が存在しない分だけ緩衝材の厚みを確保して緩衝性能を高めることができ、あるいは、緩衝材自体の厚みが同じであれば、感圧紙が存在しない分だけ小型化を図ることができる。
さらに、上記本発明の緩衝材は、市販される製品において採用してもよいし、市販されない試作品において採用してもよい。市販される製品において採用すれば、故障の修理等を行う際に、製品に衝撃が加わっていないかどうかを検証することができる。また、試作品において採用すれば、落下試験等を実施した際に、どの程度の衝撃が加わったのかを検証するために利用することができる。
なお、本発明の緩衝材には、さらに、必要に応じて各種添加剤やフィラーを加えることにより、難燃性、導電性、制振性などを付与ないし向上させてもよい。
次に、本発明の実施形態について、より具体的な例を挙げて説明する。
[実施形態1]
スチレン系エラストマー(北川工業株式会社製、YMG−80)に対してトルエンまたはヘキサン等の有機溶媒を加えて溶液状態とした。有機溶媒は、後の工程で除去される成分なので、その配合量は特に限定されないが、過剰に少ないとスチレン系エラストマーを均一な溶液状態とすることができず、一方、過剰に多くても後の工程で無駄に除去される成分が多くなる。したがって、スチレン系エラストマーを均一な溶液状態とすることができる範囲内で、極力配合量を少なめにするとよく、例えば、スチレン系エラストマー:トルエンの場合であれば、重量比1:3〜5程度にするとよい。
続いて、上記スチレン系エラストマーの有機溶媒溶液に、発色剤カプセルスラリー(平均粒径20〜30μmのメラミン樹脂製マイクロカプセルに発色剤を封入して水性分散媒に分散させたもの、ケミテック株式会社製)、顕色剤(ケミテック株式会社製)、界面活性剤(ソルビタンモノステアレート、花王株式会社製、SP−S10V)を加え、均一に攪拌した。発色剤カプセルスラリー、顕色剤、界面活性剤の配合量は、スチレン系エラストマー100重量部に対する重量比で、発色剤カプセルスラリー5重量部、顕色剤5重量部、界面活性剤10重量部とした。なお、これら発色剤カプセルスラリー、顕色剤、界面活性剤の添加順序は任意であり、どのような順序で添加してもよい。
以上のような手順にて得られた液状組成物は、塗料として用いることができ、フィルムキャスティングも可能であるが、本実施形態においては、鋳込成形によりハードディスク装置用緩衝材として利用可能な形状に成形した(詳しくは後述)。なお、鋳込成形の際には、加熱乾燥(70℃)により溶媒を除去したが、溶媒除去は、減圧法にて実施することもでき、加熱および減圧を組み合わせた方法で不要な溶媒を除去することもできる。
このようにして得られた緩衝材(成形品)は、きわめて低硬度なエラストマー材料(ゲル状樹脂材料)からなるものであった。
次に、この緩衝材(成形品)の緩衝性能および感圧発色性能を確認するため、図1(a)に示す試験構造物1を構成し、図1(b)に示す落下試験装置2を用いて試験を実施した。
図1(a)に示す試験構造物1は、上記緩衝材11をハードディスク装置13(2.5型HDD)の四隅に配設し、これらをケース15,16(ABS製)の中に収納したものである。緩衝材11は、直方体の一部に凹部を設けた形状とされており、その凹部にハードディスク装置13の隅がぴったりと嵌り込むようになっている。また、ケース15,16は、ハードディスク装置13の四隅に緩衝材11を取り付けた状態で、緩衝材11およびハードディスク装置13がぴったりと収まる寸法になっている。ハードディスク装置13の上面側には加速度計18が取り付けてあり、加速度計18からの検出信号を出力するための信号線19が、ケース15の上面側に形成された穴15aを介してケース15,16の外部へと導出されている。
また、図1(b)に示す落下試験装置2は、図示しない支柱に沿って水平を保ったまま回転することなく自由落下するように構成されたホルダ21と、このホルダ21に取り付けられた一対のエアシリンダ23,23と、衝突面を提供するコンクリートブロック25とを備えている。このように構成された落下試験装置2において、一対のエアシリンダ23,23は、互いに対向するように配置されており、これら一対のエアシリンダ23,23間に上記試験構造物1を挟持することができる。そして、一対のエアシリンダ23,23間に上記試験構造物1を挟持した状態のまま、ホルダ21を自由落下させることにより、上記試験構造物1を水平に保ったまま回転させることなく、図1(b)中に矢印で示した方向へ自由落下させることができる。ただし、ホルダ21は、コンクリートブロック25に衝突する直前に制動がかかる構造になっており、しかも、ホルダ21に制動がかかる前にエアシリンダ23,23が作動して、エアシリンダ23,23が試験構造物1から離れるようになっている。そのため、試験構造物1がコンクリートブロック25に到達する直前には、試験構造物1がエアシリンダ23,23から離れ、試験構造物1のみが水平を保ったまま単独でコンクリートブロック25に衝突する。したがって、試験構造物1には、回転を生じずにそのままの姿勢で自由落下した場合と同様の衝撃が加わることになる。なお、試験構造物1が受けた衝撃は、加速度計18によって検出され、信号線19を介してFFTアナライザーで加速度が測定される。
以上のような試験を実施した結果、緩衝材11は、衝撃を加える前は無色半透明の成形品であったが、衝撃を加えると発色し、緩衝材11に衝撃が加わったことを容易に検証することができた。
また、自由落下させる高さを変えたところ、衝撃値に応じて発色した色の濃度に違いがあった。具体的な例を交えて説明すると、例えば、衝撃値800Gの場合と衝撃値200Gの場合とでは、いずれの場合でも試料に発色が見られたが、衝撃値800Gの場合の方が衝撃値200Gの場合よりも発色した色の濃度が濃くなっており、より強い衝撃を受けたことを観察することができた。なお、衝撃値200G未満の場合や衝撃値800G超過の場合でも、衝撃値に応じた発色が現れるのはもちろんである。
さらに、ベースとなっている樹脂組成物が無色半透明であるため、緩衝材11内部の発色を観察することができた。特に、緩衝材11は立体的に成形されたものであるため、ハードディスク装置13の下面側など、衝撃による応力を強く受けた側では発色濃度が局部的に濃くなっており、一方、ハードディスク装置13の上面側など、衝撃による応力があまりかからなかった側では、発色がほとんど起こらない部分も存在していた。その他、ハードディスク装置13の側面側では衝撃による応力に応じた、中間的な発色濃度の部分なども存在していた。このように局部局部で発色濃度の濃い箇所や薄い箇所が存在することから、衝撃による応力が緩衝材11のどこに集中したのかを観察することができた。
[実施形態2]
スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、SEPS)100重量部に対する重量比で、軟化剤(パラフィン系オイル)400重量部を加え、混練機(ヘンシェルミキサーなど)に投入し、60℃で10分間予備混合した。
続いて、軟化剤がスチレン系エラストマーに充分吸着されたところで、発色剤カプセルスラリー(平均粒径20〜30μmのメラミン樹脂製マイクロカプセルに発色剤を封入して水性分散媒に分散させたもの、ケミテック株式会社製)25重量部、顕色剤(ケミテック株式会社製)25重量部、界面活性剤(ソルビタンモノステアレート、花王株式会社製、SP−S10V)50重量部を加え、加熱溶融混練した。なお、混練には、ニーダーを使用したが、2軸押出機などを用いてもよい。
続いて、得られた混練物を、射出成形によって成形し、所期の成形品を得た。なお、成形方法は、射出成形に限らず利用することができ、一般的な熱可塑性樹脂と同様の成形方法(例えばやコンプレッション成形等)を用いて所望の形状を得ることができる。
このような手順で製造された成形品も、上記実施形態1と同様に、緩衝材として利用可能なものであり、しかも、衝撃を加えると発色するものであった。
[実施形態3]
液状シリコーン100重量部に対して、発色剤カプセルスラリー(平均粒径20〜30μmのメラミン樹脂製マイクロカプセルに発色剤を封入して水性分散媒に分散させたもの、ケミテック株式会社製)5重量部、顕色剤(ケミテック株式会社製)5重量部、界面活性剤(ソルビタンモノステアレート、花王株式会社製、SP−S10V)10重量部を加え、攪拌混練した。その後、鋳込成形により所望の形状に成形した。
なお、鋳込成形の際には、加熱によって液状シリコーン架橋させ、ゴム状物を得た。また、成形方法は、鋳込成形法に限らず、例えば、フィルムキャスティングなどとしてもよい。また、液状シリコーンの他には、液状ウレタン、アクリルゴムなどを用いても、同様の手順で所期の感圧・緩衝材を得ることができる。
さらに、出発原料が固形・ゴム状のもの(シリコーン、ウレタン、合成ゴム(NBR、EPDM等)、アクリル)であってもよく、その場合は、ニーダー等の混練機を用い、ポリマー、発色剤カプセル、顕色剤、添加剤等を混合する。成形方法はコンプレッション成形やカレンダー成形(シート状)等が用いられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、発色剤をマイクロカプセルに封入する例を示したが、発色剤および顕色剤は、どちらがマイクロカプセルに封入されていてもよく、あるいは、双方がマイクロカプセルに封入されていてもよい。
緩衝性能および感圧発色性能の実験に用いた装置についての説明図。
符号の説明
1・・・試験構造物、2・・・落下試験装置、11・・・試験片、13・・・ハードディスク装置、15,16・・・ケース、15a・・・穴、18・・・加速度計、19・・・信号線、21・・・ホルダ、23・・・エアシリンダ、25・・・コンクリートブロック。

Claims (7)

  1. 接触に伴って発色する発色剤および顕色剤の内、少なくとも一方をマイクロカプセルに封入して、双方をマトリクスとなる樹脂組成物中に配合してなる感圧発色樹脂材料を、立体的に成形してなる成形品であり、成形状態における前記樹脂組成物が可視光透過率30〜95%の透明度を有しており、衝撃を受けた際には、その衝撃に伴う表面の発色及び内部の発色双方を外部から観察可能となっている
    ことを特徴とする緩衝材。
  2. 前記衝撃に伴う内部の発色に基づいて、前記成形品内部において応力が伝わった方向及び前記成形品内部において応力が集中した部分に関する三次元的な応力の検証が可能な部材である
    ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
  3. 前記マイクロカプセルは、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、またはゼラチンからなる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の緩衝材。
  4. 前記樹脂組成物は、ゴムまたはエラストマーである
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の緩衝材。
  5. 前記エラストマーは、ベースポリマーに対して液状の軟化剤を配合してなるゲル状樹脂組成物である
    ことを特徴とする請求項4に記載の緩衝材。
  6. 前記ベースポリマーは、スチレン系エラストマーであり、
    前記軟化剤は、パラフィン系オイルである
    ことを特徴とする請求項5に記載の緩衝材。
  7. アスカーFP硬度は、20〜95である
    ことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の緩衝材。
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