JP4509180B2 - 巻きおしぼり製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、巻きおしぼり製造装置に関し、特にシート材に液体を散布する巻きおしぼり製造装置に関するものである。
シート材を所定の長さに切断し、そのシート材に水などの液体を散布してロール状に巻き込んで巻きおしぼりを製造する巻きおしぼり製造装置が知られている。
実公平5−33321号公報(特許文献1)には、シート材に水などの液体を散布する散水機構が組み込まれた巻きおしぼり製造装置が開示されている。
この巻きおしぼり製造装置では、シート材におしぼりとして必要な湿り気を付与する手段として、シート材の給送経路に近接して複数の散水孔を設けた散水パイプを備え、ポンプにより水を送出することにより、シート材に散水を行っている。
実公平5−33321号公報
しかしながら、上述したおしぼり製造装置では、散水パイプに設けられた多数の小さい散水孔が、水垢や水に含まれる塩素などにより目詰まりを起こすという問題があった。そこで、シート材をロール状に巻き込む直前に、ローラに水を散布し、このローラをシート材に接触させることによりシート材に散水することが考えられる。しかし、ローラに水を供給する給水孔が、タンクに貯留された水のレベル(水面位置)より低い位置に配置される場合には、給水のための給水ポンプが作動していない場合であってもサイホンの原理により水がローラに給水されるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、シート材に適切に散水することができる巻きおしぼり製造装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1記載の巻きおしぼり製造装置は、帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備えるものであって、前記水タンクが貯留する液体のレベルより下方に位置し、前記給水ポンプの下流であって前記散水手段に給水する給水路に形成された給水孔と、前記給水ポンプが作動していない場合は、前記給水孔を閉塞し、前記給水ポンプが作動している場合は、前記給水ポンプにより加圧される液体により前記給水孔を開口する給水弁とを備えている。
請求項2記載の巻きおしぼり製造装置は、請求項1記載の巻きおしぼり製造装置において、前記給水弁は、ばねにより付勢されて前記給水孔を閉塞し、前記給水ポンプにより加圧されることにより液体がばねによる付勢力に抗して給水孔を開口するものである。
請求項3記載の巻きおしぼり製造装置は、請求項1または2に記載の巻きおしぼり製造装置において、前記成形手段は、シート材をロール状に巻き込む搬送ベルトを有し、前記散水手段は、シート材を前記搬送ベルトとの間で巻き込むローラと、そのローラの軸を前記搬送ベルトに押圧または離反する方向において軸が移動可能なように保持するローラ保持手段と、前記ローラの軸を搬送ベルトに押圧する押圧ばねとを備えている。
請求項4記載の巻きおしぼり製造装置は、請求項1から3のいずれかに記載の巻きおしぼり製造装置において、前記給水孔と給水弁と散水手段とは、一体になって散水部を構成するとともに、その散水部は両端に支持軸を有し、その散水部を支持する支持部と、その支持部に挿入される前記散水部の支持軸が前記支持部から離脱するのを防止し、弾性体により形成されるツメ部とを有する支持部材を備え、前記散水部の支持軸は、前記支持部材のツメ部を撓ませることにより前記支持部に挿入されるものである。
請求項5記載の巻きおしぼり製造装置は、帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備えるものであって、前記成形手段は、シート材をロール状に巻き込む搬送ベルトを有し、前記散水手段は、シート材を前記搬送ベルトとの間で巻き込むローラと、そのローラの軸を前記搬送ベルトに押圧または離反する方向において軸が移動可能なように保持するローラ保持手段と、前記ローラの軸を搬送ベルトに押圧する押圧ばねとを備えている。
請求項6記載のおしぼり製造装置は、帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備えるものであって、前記散水手段は、前記給水ポンプにより給水された水をシート材に散布するローラを有するとともに、そのローラの長手方向に支持軸を有する散水部を構成し、その散水部を支持する支持部と、その支持部に挿入される前記散水部の支持軸が前記支持部から離脱するのを防止し、弾性体により形成されるツメ部とを有する支持部材を備え、前記散水部の支持軸は、前記支持部材のツメ部を撓ませることにより前記支持部に挿入されるものである。
請求項1記載の巻きおしぼり製造装置によれば、帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備えるものであって、給水孔は、水タンクが貯留する液体のレベルより下方に位置し、給水ポンプの下流であって散水手段に給水する給水路に形成され、給水弁は、給水ポンプが作動していない場合は、給水孔を閉塞し、給水ポンプが作動している場合は、給水ポンプにより加圧される液体により給水孔を開口する。
よって、給水ポンプが作動していない常態においては、水タンクに貯留されている液体が流出することを防止することができるとともに、シート材に液体を散水する必要がある場合には、その液体を給水することができる。したがってシート材に適切に散水することができるという効果がある。
請求項2記載の巻きおしぼり製造装置によれば、請求項1記載の巻きおしぼり製造装置の奏する効果に加え、給水弁は、ばねにより付勢されて給水孔を閉塞し、給水ポンプにより加圧されることにより液体がばねによる付勢力に抗して給水孔を開口するものであるので、給水ポンプが作動していない場合には、液体の流出を防止し、シート材に液体を散布する場合には、液体を給水することを特別な部品などを使用することなく、安価な部品を用いて簡単な構成で実施することができるという効果がある。
請求項3記載のおしぼり製造装置によれば、請求項1または2に記載の巻きおしぼり製造装置の奏する効果に加え、成形手段は、シート材をロール状に巻き込む搬送ベルトを有し、散水手段は、シート材を搬送ベルトとの間で巻き込むローラと、そのローラの軸を搬送ベルトに押圧または離反する方向において軸が移動可能なように保持するローラ保持手段と、ローラの軸を搬送ベルトに押圧する押圧ばねとを備えているので、シート材を巻き込む際に、シート材の先端が搬送ベルトとローラにより湾曲された際、ローラが押圧ばねの付勢力に抗して上方に持ち上げられ、シート材の湾曲を容易にすることになる。このことにより、シート材をロール状に巻き上げる核を形成しやすくなるという効果がある。
請求項4記載の巻きおしぼり製造装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の巻きおしぼり製造装置の奏する効果に加え、給水孔と給水弁と散水手段とは、一体になって散水部を構成するとともに、その散水部は両端に支持軸を有し、その散水部を支持する支持部と、その支持部に挿入される散水部の支持軸が支持部から離脱するのを防止し、弾性体により形成されるツメ部とを有する支持部材を備え、散水部の支持軸は、支持部材のツメ部を撓ませることにより支持部に挿入されるものである。
よって、散水部が水垢などによりよごれ、洗浄を行う場合には、ドライバなどによりビスなどの部品を取り外す必要が無く、簡単な作業で散水部を着脱することができるという効果がある。
請求項5記載の巻きおしぼり製造装置によれば、帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備えるものであって、成形手段は、シート材をロール状に巻き込む搬送ベルトを有し、散水手段は、シート材を前記搬送ベルトとの間で巻き込むローラと、そのローラの軸を前記搬送ベルトに押圧または離反する方向において軸が移動可能なように保持するローラ保持手段と、ローラの軸を搬送ベルトに押圧する押圧ばねとを備えているので、シート材を巻き込む際に、シート材の先端が搬送ベルトとローラにより湾曲された際、ローラが押圧ばねの付勢力に抗して上方に持ち上げられ、シート材の湾曲を容易にすることになる。このことにより、シート材をロール状に巻き上げる核を形成しやすくなるという効果がある。
請求項6記載のおしぼり製造装置は、帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備えるものであって、散水手段は、給水ポンプにより給水された水をシート材に散布するローラを有するとともに、そのローラの長手方向に支持軸を有する散水部を構成し、その散水部を支持する支持部と、その支持部に挿入される散水部の支持軸が支持部から離脱するのを防止し、弾性体により形成されるツメ部とを有する支持部材を備え、散水部の支持軸は、支持部材のツメ部を撓ませることにより支持部に挿入されるものである。
よって、散水部が水垢などによりよごれ、洗浄を行う場合には、ドライバなどの工具を使用することによりビスなどの部品を取り外す必要が無く、簡単な作業で散水部を着脱することができるという効果がある。
本発明の一実施例における巻きおしぼり製造装置の斜視図である。 巻きおしぼり製造装置の側面断面図である。 散水部の分解斜視図である。 給水孔の構成を示す分解図である。 下散水ケースに形成された散水ローラの軸受け部を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、(a)におけるC−C線断面図である。 散水部が保持される側板を示すずであり、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)のD−D線断面図である。 制御回路の電気的構成を示したブロック図である。 メイン処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 巻きおしぼり製造装置
2 本体
3 上カバー
8 側板
8b 支持部
8c ツメ部
10 ロール保持部
20 シート材送給部(送給手段)
23 駆動ローラ
24 補助ローラ
25 押さえローラ
30 切断部(切断手段)
40 散水部(散水手段)
41 給水弁
42 コイルばね
43 T字ロッド
46 コイルばね(押圧ばね)
48 散水ローラ
49d 給水孔
50b 支持軸
50e 溝(ローラ保持手段)
60 成形部
83a 給水ポンプ
M 巻きおしぼり
S シート材
T 水タンク
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例における巻きおしぼり製造装置1の外観斜視図であり、上カバー3が取り外された状態の巻きおしぼり製造装置1を図示している。まず、この図1を参照して、巻きおしぼり製造装置1の外観構成について説明する。
巻きおしぼり製造装置1は、紙、不織布、化学繊維パルプ等からなるシート材を使用して巻きおしぼりM(図2参照)を製造するための装置であり、図1に示すように、本体2と、上カバー3とを主に備えている。
本体2は、巻きおしぼり製造装置1の骨格をなす部材であり、略箱状体の外観を有して構成されている。この本体2の上方(図1上側)は、図1に示すように、開口して構成されており、この開口部は、上カバー3によって閉封することができる。
なお、上カバー3は、その一対の開閉軸3aが本体2に凹設された一対の凹溝2aに回転可能に軸支される。また、凹溝2aの一端側(図1左側)には、開口部が開口されているので、開閉軸3aを凹溝2aから抜き取ることにより、上カバー3を本体2から容易に取り外すことができる。
従って、後述するタオルロールRや水タンクTの交換作業等を行う場合には、凹溝2a及び開閉軸3aの軸支部を支点として上カバー3を回転し、本体2の上部を開放して作業を行うことができる一方、巻きおしぼり製造装置1の上方(図1上側)に上カバー3を回転して開放するためのスペースが確保できない場合には、図1に示すように、かかる上カバー3を取り外して作業を行うこともできる。
本体2の前面側(図1左方)には、ユーザーが各種操作を行うための操作パネル4が設けられている。この操作パネル4には、運転・停止ボタン4aなどの各種ボタンが設けられており、これらのボタンを押下することにより、各種の操作が行われる。また、操作パネル4には、7セグメントLED4bなどの各種表示装置が設けられており、巻きおしぼり製造装置1の設定状態や各種の操作メッセージ等が必要に応じて表示される。例えば、7セグメントLED4bには、複数本の巻きおしぼりMを製造する場合に、残りの製造本数がカウントダウン表示される。
操作パネル4の下方(図1下側)には、開口2bが形成され、開口2bには、受け皿兼用蓋5が開閉可能かつ着脱可能に配設されている。この受け皿兼用蓋5は、開放状態において、その上面側に複数本の巻きおしぼりMを載置可能に構成されており(図2参照)、製造された巻きおしぼりMは、巻きおしぼり製造装置1内から受け皿兼用蓋5上に放出され、ユーザーに提供される。
操作パネル4が配設される本体2の前面には、図示しないサブパネルが設けられ、単独モードと連続モードとを切り替え設定するスイッチや1本の巻きおしぼりを作成するシート材Sの長さを設定するロータリスイッチなどが設けられている。
本体2の内部空間内には、後述するように、複数の部材や装置などが収納されており(図2参照)、タオルロールRと、シート材送給部20と、水タンクTとは、図1に示すように、その交換等の作業性を考慮して、本体2の開口部近傍に配設されている。
タオルロールRは、巻きおしぼりMの素材となるシート材S(図2参照)の終端を中芯に接着してロール状に巻回したものであり、図1に示すように、本体2の前面側(図1左手前側)、即ち、上カバー3の軸支側(図1右奥側)とは反対側に着脱自在に保持されている。よって、上カバー3が半開とされる場合でも、本体2の前面側を大きく開放して、タオルロールRの上方に十分な作業スペースを確保することができるので、その交換作業を円滑に行うことができる。
シート材送給部20は、タオルロールRからシート材Sを引き出すための駆動装置であり、シート材Sを本体2の背面側に向かって引き出すべく(図2参照)、タオルロールRよりも本体2の背面側に配設されている。水タンクTは、巻きおしぼりMに湿り気を付与するための水を貯留する容器であり、本体2の背面側に着脱自在に配設されている。
次に、図2を参照して、巻きおしぼり製造装置1の内部構成について説明する。図2は、巻きおしぼり製造装置1の側面断面図であり、理解を容易とするために、主要な構成のみを模式的に図示している。例えば、図2では、送水ホース52の一部や各種モータなどの図示が省略されている。
巻きおしぼり製造装置1は、主に、ロール保持部10、シート材送給部20、切断部30、散水部40、成形部60とから概略構成されている。ロール保持手段10は、タオルロールRを回転自在に保持するためのものであり、収納室11と、支持溝12と、案内溝13とを主に備えている。
収納室11は、タオルロールRを収納するための部材であり、図2に示すように、側面視略U字状に形成されつつ上方(図2上方)が開放して構成されている。タオルロールRは、この収納室11内により形成された収納空間内に収納され、その収納空間の上方から覆設される上カバー3によって被覆される。
なお、収納室11は、本体2に着脱自在に装着されている。即ち、収納室11は、上方が開放された略箱状体に構成されており、かかる箱状体を上方(図2上方)へ向けて引き抜くことにより、本体2から取り外すことができる一方、その箱状体の両側面(図2紙面奥側及び手前側)に突設された後述する案内溝13の裏面側を本体2の内側面に凹設された凹部に沿って嵌め込みつつ、かかる箱状体を下方(図2下方)へ向けて押し込むことにより、本体2内に装着される(図1参照)。
したがって、この収納室11の下部に配置される巻きおしぼり成形部60などで不具合が生じた場合には、この収納室11を取り外すことにより、容易に修復できるという効果がある。
支持溝12は、タオルロールRを回転自在に保持するための部位であり、タオルロールRの両端面外側において互いに対向する収納室11の一対の側壁部(図2紙面手前側及び紙面奥側)において、図2に示すように、側面視略円弧状に凹設されている。タオルロールRは、その中芯に挿嵌される一対のロール回転ガイドRaが支持溝12に遊嵌されることにより、収納室11内において回転自在に保持される。
支持溝12からは、図2に示すように、案内溝13が上方に向かって直線状に延設されている。この案内溝部13は、タオルロールRの中芯に挿嵌されたロール回転ガイドRaを本体2の開口部から支持溝12へ案内すると共に、ロール回転ガイドRaがシート材Sの引き出し方向(図2右方向)へ移動することを規制するためのものであり、所定間隔を隔てつつ互いに対向して立設される第1及び第2側壁部材13a,13bを備えている。
よって、タオルロールRを交換する場合には、案内溝13の第1及び第2側壁部材13a,13b間に形成された案内経路によりロール回転ガイドRaを案内することができるので、支持溝12への着脱作業を容易として、タオルロールRの装着作業や取り出し作業の円滑化を図ることができる。
また、案内溝13(第1及び第2側壁部材13a,13b)は、その上端が収納室11の上端縁、即ち、本体2の開口部と略同一の高さに形成されると共に(図1参照)、図2に示すように、その上端部の案内経路幅がテーパ状に拡幅されている。よって、例えば、上カバー3を全開とすることができず、案内溝13を視認できない場合でも、かかる案内溝13へロール回転ガイドRaを容易に挿通させることができるので、案内溝13への位置合わせを容易として、タオルロールRの装着作業の円滑化を図ることができる。
更に、第2側壁部材13bの立設方向は、図2に示すように、支持溝12から上方(図2上方)へ向かって略垂直とされているので、シート材Sが終端に達した場合にかかるシート材Sがロール回転ガイドRaを引き寄せる方向(図2において支持溝12から駆動ローラ23へ向かう右斜め上方向)との間に所定の交差角を形成することができる。その結果、かかる交差角の分だけ、ロール回転ガイドRaの移動を確実に規制することができるので、タオルロールRのシート材Sが終端に達した場合には、かかる第2側壁部材13bによる規制作用によって、駆動ローラ23の回転抵抗を大きくして、送給モータ81a(図7参照)に既定値以上の電流(過電流)を確実に流させることができる。
なお、第2側壁部材13bは、図2に示すように、上方へ略垂直に延設されている必要は必ずしもなく、例えば、側面視略「く」字状(又は、逆「く」字状)に屈曲して構成されていても良い。これにより、第2側壁部材13bの傾斜部や屈曲部によりロール回転ガイドRaの移動の規制をより確実なものとすることができる。或いは、第2側壁部材13bの表面に係止突起を第1側壁部材13a方向へ向けて突設しても良い。この場合にも、ロール回転ガイドRaを係止して、その移動を確実に規制することができる。
送給部20は、上述したロール保持部10に回転自在に保持されたタオルロールRからシート材Sを引き出して、その引き出したシート材Sを後述する切断部30及び散水部40へ送給するための装置であり、図2示すように、カバー部材22、駆動ローラ23、補助ローラ24等を主に備えている。
カバー部材22は、後述する駆動ローラ23等によってタオルロールRから引き出されたシート材Sを所定の方向へ案内するための部材であり、図2に示すように、その上流側(図2左側)は略水平に形成される一方、下流側(図2右側)は駆動ローラ23の外周に沿って円弧状に湾曲して形成されている。カバー部材22と駆動ローラ23との間の空隙がシート材Sの搬送経路とされている。シート材Sは、この搬送経路を通過することにより、下方へ案内され、後述する切断部30及び散水部40に送給される。
なお、搬送経路を形成するカバー部材22の湾曲面には、送給方向に延設される複数のリブが突出して形成されている。このリブにより、シート材Sとの摩擦抵抗を低減することができるので、かかるシート材Sを安定して送給することができる。
駆動ローラ23及び補助ローラ24は、タオルロールRからシート材Sを引き出すと共に、その引き出したシート材Sを上述した搬送経路を介して後述する切断手段30及び散水部40へ送給するための部材であり、これらは、図2に示すように、シート材Sを挟持可能に配設されている。
駆動ローラ23は、上述した送給モータ81a(図7参照)により駆動される回転部材であり、その外周面にゴム製のリング状体が周設されて構成されている。なお、このリンク状体は、シート材Sの幅方向(図2紙面垂直方向)に所定間隔を隔てつつ複数本(本実施例では4本)が配設されている。一方、補助ローラ24は、ステンレス等の金属材料から1本の略棒状体として構成されると共に、その両端側がカバー部材22に回転可能に軸支されている。
ここで、カバー部材22は、本体2に軸22aにより回転可能に軸支されると共に、ねじりばね(図示せず)によって駆動ローラ23方向(図2において反時計回り)に付勢されている。よって、かかるねじりばねの付勢力により補助ローラ24を駆動ローラ23へ向けて付勢して、シート材Sを駆動ローラ23へ押圧することができるので、かかるシート材Sを滑動させることなく確実に搬送することができる。
また、タオルロールRのシート材Sが終端に達し、シート材Sの引き出し抵抗が増大した場合にも、シート材Sに対する駆動ローラ23の滑動を防止することができるので、駆動ローラ23の回転抵抗を大きくして、送給モータ81a(図7参照)に過電流を確実に発生させることができる。その結果、タオルロールRのシート材Sが終端に達したことが確実に検出されるのである。
なお、カバー部材22を駆動ローラ23へ向けて付勢するねじりばねの付勢力は、略50g〜略250g程度とすることが好ましく、本実施例では、略150gに設定されている。かかる付勢力が略50gに満たない場合には、シート材Sを駆動ローラ23に十分に圧設させることができず、駆動ローラ23がシート材Sに対して滑動するおそれがあるからである。一方、略250gを超える場合には、駆動ローラ23の回転抵抗が大きくなり、送給モータ81aに過剰な負荷が作用するため、過電流が誤検出されるおそれがあるからである。
切断部30は、上述したシート材送給部20から下方(図2下方)に垂下するシート材Sを所定寸法長で切断するための装置であり、固定刃31と回転刃32とを主に備えている。固定刃31は、シート材Sの幅方向(図2紙面垂直方向)に延設されており、この固定刃31とシート材Sを挟んで対向する位置には、回転刃32が回転可能に軸支されている。回転刃32は、連結ギヤ(図示せず)を介して、切断モータ82a(図7参照)に連結されており、この切断モータ82aが所定のタイミングで回転されることにより、回転刃32が反時計回り(図2左回り)に回転され、固定刃31との間に挟まれたシート材Sを先端部から所定寸法長の位置で切断する。
散水部40は、給水部80を構成するタンク収納室81、給水ポンプ83a、ヒータ84aから供給される水をシート材Sに散布するものである。
タンク収納室81は、水タンクTを着脱自在に収納するための部材であり、シート材送給部20よりも本体2の背面側(図2右側)に配設されている。水タンクTは、倒立状態でタンク収納室81内に収納され、その給水孔Tmがポンプ吸水管を介して給水ポンプ83aに連通される。
このように、水タンクTは、シート材送給部20および後述する散水部40よりも本体2の背面側(図2右側)に配設されているので、図2に示すように、タオルロールRから送給部20によりシート材Sが引き出されている場合でも、かかる状態のまま水タンクTを交換することができる。よって、水タンクTとタオルロールRとの交換時期が一致せず、水タンクTのみを交換する場合でも、かかる水タンクTを本体2内から取り出すためにシート材送給部20により一旦引き出されたシート材Sを巻き戻すといった煩雑な作業を不要とすることができる。
給水ポンプ83aの吐出口は、図2に示すように、送水ホース52を介して、ヒータ84a及び散水部40に接続されている。ヒータ84aは、内部の貯留室に所定量の水を保持(貯留)可能に構成されており、ヒータスイッチ(図示せず)がオンされることにより、その貯留室内の水を加熱制御して、所定の温度に維持する。ヒータ84a内で加熱された温水は、散水部40からシート材Sに散水される。
なお、ヒータ84aは、ペルチェ素子等を使用して、水を冷却可能に構成することは可能である。また、本実施例では、給水ポンプ83aをヒータ84aの上流側に配置したが、これに代えて、給水ポンプ83aをヒータ84aの下流側に配置することは可能である。即ち、給水ポンプ83aの圧送力をヒータ84aへ吸引力として作用させ、ヒータ84aから吸い上げた水を送水ホース52へ圧送するように構成するのである。
散水部40は、成形部60を構成するカバー部材62の先端側(図2において右側)であって、成形部60の搬送ベルト61の先端上部に配設される。散水部40には、散水ローラ48が備えられ、搬送ベルト61の搬送面と接触するように配設されている。搬送ベルト61が駆動され、シート材Sが搬送ベルト61上を搬送されると、そのシート材Sの搬送と共に散水ローラ48が回転され、シート材に散水する。なお、散水部40の詳細については、後述する。
散水部40により湿り気が付与されると共に切断手段30により所定寸法長で切断された一枚のシート材Sは、成形部60の搬送ベルト61上を下流側(図2左側)へ向かって搬送される。
成形部60は、シート材Sを円柱状の巻きおしぼりMに成形するための装置であり、搬送ベルト61と、カバー部材62と、反転リング63とを主に備えて構成されている。
本実施例の巻きおしぼり製造装置1は、巻きおしぼりMを搬送ベルト61の片側面(図2上側)のみで成形するように構成されている。よって、上述したように、タオルロールRを本体2の前面側に配設したことに起因して、シート材Sを本体2の背面側に向かって引き出す場合でも、そのシート材Sの成形処理経路を複雑化させることなく、巻きおしぼりMを操作パネル4が配設される本体2の前面側から排出することができ、その結果、巻きおしぼり製造装置1の小型化を図りつつ、ユーザーの使い勝手の良い巻きおしぼり製造装置1を提供することができる。
ここで、成形部60におけるシート材をロール状に成形する過程の概略について説明する。搬送ベルト61は、複数の突起を外周面全域に有するゴム製の平ベルトであり、回転可能に軸支される一対の回転ローラ61a間に架設されている。この搬送ベルト61の上側の搬送面には、カバー部材62が対向して配設されている。
カバー部材62は、上流部(図2において右側)がシート材Sを導入しやすいように斜めに形成され、軸62cを中心に揺動自在に支持されている。また、カバー部材62のほぼ中央部は、ばねにより搬送ベルト61の方向へ付勢力が働くように構成されている。
カバー部材62には、搬送ベルト61との対向面間に複数の突起62aが洗濯板状に突出して形成されている。よって、搬送ベルト61により搬送されるシート材Sに適度な摩擦力を付与してシート材Sの先端に巻き込みの核を確実に惹起させることができるとともに、惹起された核は、カバー材62により適当な圧力で搬送ベルト61に押さえられた状態で、搬送ベルト61の移動により、大きく成長させることができる。その結果、かかる核を中心として、シート材Sをロール状に確実に巻き込むことができ、成形不良の抑制を図ることができる。
カバー部材62の下流側(図2において左側)には、傾斜部材62bがシート材Sの搬送方向(図2において左方向)に上昇傾斜して延設されている。この傾斜部材62bは、ロール成形時にシート材Sを保持する部材であり、搬送ベルト61の幅方向に所定間隔を隔てつつ複数個が略櫛状に配設されている。なお、傾斜部材62bの下面側には、突起62aと同様に、洗濯板状の突起が突設されている。
これら搬送ベルト61の各隣接間には、複数本の反転リング63がそれぞれ配設されている。反転リング63は、その断面がシート材Sに接触する部分が平面に形成されたゴム製のリングであり、ケースに回転可能に軸支される一対の回転ローラ63a間に架設されると共に、搬送ベルト61と共同してシート材Sをロール状に巻き込むべく搬送ベルト61に対向して配設されている。
一対の回転ローラ63aのシート材Sの搬送方向側(図2左側)に位置する回転ローラ63aの両端は、ケースに上下に刻設された縦溝に沿って揺動可能に形成されている。
よって、シート材Sをロール状に巻き込む場合には、そのロール直径の増加と共に反転リング63を上方に移動させることができるとともに、回転ローラ63aの上昇に伴って傾斜部材62bによりその上昇が押さえられるので、シート材Sの厚みやシート長に関わらず、巻きおしぼりMの成形を円滑に、しかも確実に行うことができる。
搬送ベルト61が架設される回転ローラ61aの一端側(図2上側)には、プーリ(図示せず)が軸着されており、このプーリは、搬送モータ85a(図7参照)により駆動され、搬送モータ85aが回転されると、その回転がプーリを介して伝達され、その結果、搬送ベルト61が反時計回り(図2において左回り)に回転される。
一方、反転リング63が架設される回転ローラ63aの一端側(図2における右側)には、別のプーリ(図示せず)が軸着され、反転モータ86a(図7参照)により駆動される。反転モータ86aが回転されると、その回転がプーリを介して、ローラ63aのプーリへ伝達され、その結果、反転リング63が時計回り(図2において右回り)に、即ち、搬送ベルト61と逆方向に回転される。
その結果、シート材Sは、搬送ベルト61とカバー部材62との対向面間において、その先端に巻き込みの核が惹起されると共に、反転リング63との対向面間において、傾斜部材62bの下面側に保持されつつ、その惹起された核を中心としてロール状に巻き込まれることにより、円柱状の巻きおしぼりMに成形される。
なお、反転リング63と搬送ベルト61との対向面は、互いに反対方向へ略等しい速度で移動される。よって、シート材Sを傾斜部材62bの下面側に保持させつつロール状に巻き込むことができるので、その分、処理経路長(搬送ベルト61及び反転リング63)を短縮して、成形部60の小型化を図ることができる。また、両対向面の相対速度差が大きくなるので、シート材Sの巻き込み速度を高速化することができ、その分、巻きおしぼりMの成形時間の短縮を図ることもできる。
次に、図3〜図6を参照して、散水部40の詳細について説明する。図3は、散水部40を構成する部品を示す分解斜視図であり、図4は、給水孔を詳しく説明するための側面図および断面図であり、図5は、散水ローラ48を組み込む上散水ケース49の部分を示す図であり、図6は、散水部40を巻きおしぼり製造装置1の本体2に組み込む部分を示す図である。
散水部40は、給水孔ケース45と、パッキン44と、T字ロッド43と、コイルばね42と、給水弁41と、上散水ケース49と、ノズルケース47と、散水ローラ48と、下散水ケース50とを備えている。
給水孔ケーズ45は、給水ポンプ83aから送水ホース52を介して送水された水を受け入れるもので、送水ホース52の一端が給水孔ケース45の中央に形成された送水ホース装着パイプ45aに装着される。給水孔ケース45は、樹脂により成形されたものであり、送水ホース52は、柔軟性の高いゴムにより形成されている。
送水ホース52の内径は、送水ホース装着パイプ45aの外形より小さく、送水ホース52の一端の内径を広げて送水ホース装着パイプ45aに装着することができ、装着されると送水ホース52の柔軟性により送水ホースが送水ホース装着パイプ45aに密着し、この装着された部分から水が漏れることはない。給水孔ケース45は、略円筒形に形成され、その外形の3方に、ネジ孔45bが形成されている。
パッキン44は、給水孔ケース45と上散水ケース49の円筒部49aとの間に挟まれて組み立てられるもので、ゴムによりリング状に形成され、給水孔ケース45の外周が上散水ケース49に組み付けられた際に、これらの間から水が漏れないようにするものである。
パッキン44は、リング状のリング部44aと、そのリング部44aの外周の3方に給水孔ケース45と同様にネジ孔44bとを有する。給水孔ケース45は、パッキン44を挟み、3つのネジにより上散水ケースに組み付けられる。これらの3つのネジは、給水孔ケース45に形成されたネジ孔45bとパッキン44に形成されたネジ孔44bに挿入され、上散水ケース49に形成されたネジ孔49eにネジ止めされる。
T字ロッド43、コイルばね42、給水孔弁41は、上散水ケース49に形成された給水孔49d(図4参照)を開閉する弁を構成するものである。T字ロッド43は、略円筒形に形成され、上部にフランジ部43aを有し、このフランジ部43aは、組み立てられた際に、コイルばね42の上端に当接する。
一方、T字ロッド43の下端には、小径の溝を隔てて、フランジ部43aの径より小さい径を有するフランジ部43cが形成されている。このフランジ部43cは、組み立てられた際に、給水弁41に形成された凹部41bに固着される。
T字ロッド43は、樹脂(またはステンレス鋼)により形成され、給水弁41は、ゴム(シリコンゴム)により形成される。給水弁41の凹部41bは、入口部分の径が狭く、内部に径が広い部分が形成され、T字ロッド43の下端のフランジ部43cを内部の広い径の部分に装着し固着することができる。
上散水ケース49は、略直方体の外観を有し、その中央部に円筒部49aが形成され、上面の両端4隅には、ネジ孔49fが形成され、両端下部には、コイルばね46を係止するばね係止部49gが形成されている。
円筒部49aの上面外周には、図3に示すように3つのネジ孔49eが形成されている。この円筒部49aは、図4にその断面を示すように、さらに内部に内円筒49cを有する。この内円筒49cの内側は、貫通孔であってT字ロッド43の軸43bが挿入され、T字ロッド43は、この貫通孔の内部を上下に摺動する。
また、内円筒49cの外径は、コイルばね42の内径より小さく形成されていて、組み立てられる際には、コイルばね42の内側に挿入される。内円筒49cの下面外周は、円筒部49aと接続されており、その接続面の、円筒部49aの内周と円筒49cの外周との間に、複数の給水孔49dが形成されている。
給水孔49dが形成されている接続面の下面は、緩い傾斜のテーパ状に形成され、給水弁41の上面は、このテーパ状の部分に合致するように形成されている。
これらの、T字ロッド43、コイルばね42、給水弁41が上散水ケース49に組み付ける場合は、まずコイルばね42を上散水ケース49の内円筒49cの外周に挿入し、コイルばね42の上端をT字ロッド43のフランジ部43aに当接させて、T字ロッド43の軸部43bを円筒49cの内側に挿入する。
次にコイルばね42を圧縮しながらT字ロッド43を押し下げ、T字ロッド43の下端のフランジ部43cが円筒部49aの下面から突出させ、その状態でフランジ部43cに給水弁41の凹部41bを固着する。フランジ部43cと凹部41bとを接着剤などにより固着するようにしてもよい。
このようにして、組み付けることにより、常態において、コイルばね42がT字ロッド43を押し上げ、T字ロッド43の下端に固着された給水弁41が上散水ケーズ49に形成された給水孔49dを閉塞する。
一方、円筒部49aの内部に水が供給され、圧力が高くなるとコイルばね42の付勢力に抗して給水弁41を押し下げ、給水孔49dは、開放される。よって、図1に示すように、給水孔49dの位置が、水タンクTの水面(レベル)より低い位置に配置されていても、常時は、給水孔49dから水が送水されることはなく、給水ポンプ83aが作動して水圧が高くなった場合にのみ、給水孔49dから給水される。
上散水ケース49は、直方体の4つの角にビス孔49fを有し、同じく略直方体に形成された下散水ケース50に形成された4つのビス孔50cに組み付けられる。これらが組み付けられた場合に、上散水ケース49と下散水ケース50との間に空間が形成され、この空間に、2本のコイルばね46と、ノズルケース47と、散水ローラ48とが収納される。
ノズルケース47は、略直方体であって、外周に均一な厚さの壁47aを有し、上方が開放された容器状に形成されている。ノズルケース47は、その長手方向の中央部に上散水ケース49の円筒部49aの下端を囲む円筒部47cを有するとともに、その長手方向の底板には、複数のノズル47bが一直線上に形成されている。これらのノズル47bの直径は、水を噴射する必要がないので、従来の水を噴射するタイプのノズルの直径に比較し大きい直径を有する。
散水ローラ48は、円筒の形状を有するローラ部48aと、そのローラ部48aの両端にローラ部48aより小さい直径で、軸の中心が同一である軸部48bとを有し、ステンレス鋼により形成されている。
上散水ケース49に形成された給水孔49dから送水された水は、ノズルケース47の円筒部47cに供給され、ノズル47bから散水ローラ48に散布される。なお、ノズルケース47と散水ローラ48の長手方向寸法は、搬送ベルト61の横幅と略同等とされている。
下散水ケース50は、略直方体であって、箱状の容器部50aと、側板8(図6参照)に支持される断面が略正方形の支持軸50bとを有し、組み立てられる際に、容器部50aの内部にノズルケース47と散水ローラ48とが収容される。
次に図5を参照して、散水ローラ48を軸支する下散水ケース50の部分について説明する。図5(a)は、散水ローラ48の軸部48bが軸支される部分の平面図であり、図5(b)は、図5(a)のC−C線断面図である。これらの図が示すように、下散水ケース50の長手方向の両端には、略U字型の溝50eが形成され、両端の溝50eの間には、下散水ケース50の長手方向に沿って、開口50dが形成されている。
この溝50eの内側下端に散水ローラ48の軸部48bが挿入され、その軸部48bを下方に付勢するコイルばね46が、この溝50eの内部に垂直に配置される。コイルばね46の下端は、散水ローラ48の軸部48bに当接し、コイルばね46の上端は、上散水ケース49に形成されたばね係止部49gに係止される。
また、下散水ケース50の下部に形成された開口50aから、散水ローラ48のローラ部48aの下側の円弧が突出する。
散水部40は、散水ローラ48が、下散水ケース50内に装着され、2つのコイルばね46が散水ローラ48の両端の軸部48bに当接し、コイルばね46の上端が上散水ケース49のばね係止部49gに係止された状態で、ノズルケース47を散水ローラ48の上部に配置し、上散水ケース49と下散水ケース50とが、ビスによりネジ止めされて組み上げられる。
散水部40が、本体2に組み付けられると、散水ローラ48のローラ部48aが下散水ケース50の底面に開口形成された開口部50dから下側に突出し、搬送ベルト61に当接する。したがって、搬送ベルト61が駆動されると散水ローラ48が回転され、シート材Sを挟み込んで送出するとともに、給水孔49dから供給された水が散水ローラ48の回転によってシート材Sに散水される。
シート材Sは、その際、搬送ベルト61と散水ローラ48とに挟まれて、搬送ベルト61に沿って送出されるとともに、その先端が湾曲し、シート材がロール状に巻かれるきっかけとなる核が形成しやすくなる。特に、搬送ベルト61の上に形成された凹凸によりシート材が上下に押圧され、散水ローラ48は、コイルばね46の付勢により溝50e内を上下する。このことにより、シート材Sの端部には、凹凸が生じロール状に巻き上がる核を形成しやすくする。
次に、図6を参照して、散水部40が本体2に支持される側板8について説明する。図6(a)は、本体2の内部に形成される側板8の正面図であり、図6(b)は、図6(a)のD−D線断面図である。側板8は、本体2の内側両側面に配置されるもので、図6は、操作パネル4から見て左側に配置される側板8を示す。操作パネル4から見て右側に配置される側板8は、操作パネル4の垂直な中心線に対して線対称をなすものである。
側板8には、側板の平板8aに、下散水ケース50に形成された断面が略正方形の支持軸50bが挿入される略コの字形の支持部8bが形成されている。また、支持部8bの下方には、成形部60が挿入され、保持される成形部保持溝8dが形成されている。
成形部60は、この成形部保持溝8dに沿って挿入されており、不具合が発生した場合には、容易にこの成形部保持溝8dに沿って着脱することができるように構成されている。
側板8からは、平板8aから突出して突起部8eが形成され、その突出部8eには、支持部8bのコの字に対向する方向へ延設されるツメ部8cが形成されている。このツメ部8cの先端は、支持部8bの上部左端に位置し、ツメ部8cは、弾力性がある樹脂により形成されている。
図6(b)に二点鎖線で示すように、散水部40は、下散水ケース50の支持軸50bが、このツメ部8cを上方へ撓ませてコの字形の支持部8bに挿入され、支持軸50bが、支持部8bに挿入されると、ツメ部8cが復帰して、支持軸50bが、支持部8bから離脱するのを防止する。下散水ケース50の支持軸50bが形成されている面は、ツメ部8cの側面に当接し、散水部40の長手方向の位置が規制される。
以上のように、散水部40が、本体2の側板8に支持されるので、散水部40が水垢などによりよごれた場合には、ツメ部8cを上方へ撓ませることにより、散水部40を着脱することができる。よって、ビスなどの締結手段を外すなどの作業を行うことなく、簡単に本体2から着脱し、洗浄することができる。
次に、図7を参照して、巻きおしぼり製造装置1の電気的構成について説明する。図7は、巻きおしぼり製造装置1の電気的構成を模式的に示したブロック図である。制御回路Cには、CPU71、ROM72、RAM73、各種駆動回路81〜86、各種制御回路87,88等が備えられ、これらはバスライン74を介して相互に接続されている。これらの制御回路は、プリント配線基板に形成され、本体2の内部(図示せず)に収容されている。
CPU71は、巻きおしぼり製造装置1による巻きおしぼりMの製造を実行するべく、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラムや固定値データ等を格納した書換不能なメモリであり、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリである。
ここで、CPU71は、図7に示すように、割込端子71aを備えて構成されている。この割込端子71aには、送給モータ81aに規定値以上の電流(過電流)が流れた場合に、過電流検出回路81bから出力される検出信号93が入力されるように構成されており、過電流の検出により、過電流検出時処理(割込処理)が即座に実行される。
送給モータ駆動回路81は、CPU71からの指示に基づいて送給モータ81aを駆動制御するための回路であり、送給モータ81aは、駆動ローラ23(図2参照)に回転力を付与するためのモータである。送給モータ81aを駆動することにより、駆動ローラ23が所定回転数だけ回転され、タオルロールRからシート材Sが所定寸法長だけ引き出される。
送給モータ駆動回路81は、過電流検出回路81bを備えている。過電流検出回路81bは、送給モータ81aに過電流が流れた場合に、CPU71の割込端子71aへ検出信号93を出力するための回路である。過電流検出回路81bは、送給モータ81aに流れる電流値を監視し、この電流値が規定値以上となった場合に過電流の発生と判断して、検出信号93をCPU71へ出力するように構成されている。
なお、送給モータ81aに過電流が流れたということは、タオルロールRのシート材Sが終端に達したことを意味している。即ち、タオルロールRの中芯に挿嵌されるロール回転ガイドRaは、後述するように、シート材Sの引き出し方向への移動が案内溝13の第2側壁部材13bによって規制されている(図3参照)。よって、タオルロールRのシート材Sが終端に達した場合には、シート材Sの引き出し抵抗の増大により、駆動ローラ23の回転抵抗が大きくなる。その結果、送給モータ81aの負荷が増大することにより、送給モータ81aに規定値以上の電流(過電流)が流れる。
切断モータ駆動回路82は、CPU71からの指示に基づいて切断モータ82aを駆動制御するための回路であり、切断モータ82aは、回転刃32に回転力を供給するためのモータである。切断モータ82aを上述した送給モータ81aと連動する所定のタイミングで駆動することにより、回転刃32が回転して、タオルロールRから引き出されたシート材Sが先端部から所定寸法長の位置で切断される。
給水ポンプ駆動回路83は、CPU71からの指示に基づいて給水ポンプ83aを駆動制御するための回路であり、給水ポンプ83aは、水タンクTから吸引した水を散水部40(図2参照)へ送出するためのポンプである。給水ポンプ83aを駆動することにより、タオルロールRから引き出されたシート材Sに散水部40から水が散水され、巻きおしぼりMに湿り気が付与される。
ヒータ駆動回路84は、CPU71からの指示に基づいてヒータ84aを駆動制御するための回路であり、ヒータ84aは、貯留手段としての貯留室を備えると共に、その貯留室内に貯留される水を所定の温度に加熱して、所定の温度に維持するいわゆる電熱器である。ヒータ84a(図2参照)を駆動することにより、シート材Sに温水が散水され、暖かな巻きおしぼりMが製造される。
なお、本実施例の巻きおしぼり製造装置1は、水の加熱手段としてのヒータ84aのみを備える構成としたが、必ずしもこれに限られるわけではなく、ヒータ84aに代えて、又は、ヒータ84aに加えて、水の冷却手段を備えるように構成することは可能である。水の冷却手段としては、公知の種々の技術を適用することができ、例えば、ペルチェ素子(電子冷凍素子)を使用することができる。これにより、シート材Sに冷水を散水して、冷たい巻きおしぼりMを製造することができる。
搬送モータ駆動回路85は、CPU71からの指示に基づいて搬送モータ85aを駆動制御するための回路であり、搬送モータ85aは、搬送ベルト61に回転力を供給するためのモータである。搬送モータ85aを駆動することにより、上述した回転刃32によって所定寸法長で切断された一枚のシート材Sが搬送ベルト61によって下流側へ搬送される。
反転モータ駆動回路86は、CPU71からの指示に基づいて反転モータ86aを駆動制御するための回路であり、反転モータ86aは、反転リング63に回転力を供給するためのモータである。反転モータ86aを駆動することにより、反転リング63が駆動され、その反転リング63は、搬送ベルト61と共動して、シート材Sをロール状に巻き込んで巻きおしぼりMを製造する。
音声・表示制御回路87は、CPU71からの指示に基づいて7セグメントLED4bなどの各種表示装置による表示を制御すると共に、スピーカ88による警告音等の出力を制御するための回路である。
センサ制御回路89は、各種センサ90の検出状態を確認して、CPU71に出力するための回路であり、CPU71は、その各種センサ90の検出状態に応じて送給モータ81a等の駆動を制御する。例えば、受け皿兼用蓋5が閉じられていると後述する光センサ120によって検出された場合には、CPU71は、巻きおしぼりMが本体2内で詰まってしまうことを防止するべく、上述した運転・停止ボタン4aの押下を無効として、巻きおしぼりMの製造を禁止する。なお、各種センサ90には、後述するや光センサ120の他に、例えば、温度センサ(図示せず)が含まれており、この温度センサにより、ヒータ84aの温度異常が検出される。
他の入出力回路91には、上述した運転・停止ボタン4aを含む各種ボタン92が接続されている。例えば、運転・停止ボタン4aがユーザーによって押下された場合には、その押下がバスライン74を介してCPU71によって検知され、CPU71は、各駆動回路81〜89等を制御することにより、送給モータ81a等を駆動して、巻きおしぼりMの製造等を行う。
次に、上述のように構成された巻きおしぼり製造装置1で実行される巻きおしぼりの製造処理を図8のフローチャートを参照して説明する。
図8は、CPU71により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。この処理は、巻きおしぼり製造装置1の電源の投入により開始され、電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し実行される処理である。
CPU71は、メイン処理に関し、まず、初期設定処理(S1)を実行する。この初期設定処理では、上述したように、タオルロールR(シート材S)の有無や各駆動装置の状態等をチェックして、その結果等をLCD4bへ表示すると共に、シート材Sを初期位置(初期長さ)に設定する処理や、スタートボタン4cの押下に応じてインタラプトルーチンが起動されるように設定する処理などが行われ、巻きおしぼり製造装置1が巻きおしぼりMの製造を開始できる状態に設定される。
なお、この初期設定処理(S1)では、光センサ(図示せず)などにより、タオルロールR(シート材S)の有無が確認され、かつ、タオルロールRが存在し、シート材Sが終端に達しておらず(又は、シート材Sの終端と中芯との接着部に剥がれは生じておらず)、かつ、シート材Sの先端が適正にセットされていると判断することができるので、他の処理を実行した後、S2の処理へ移行する。
ここで、カウント値Cについて説明する。カウント値は、ユーザーにより設定されるおしぼりの製造本数である。一つのおしぼりが完成し、放出されると、このカウント値が1減じられる。
S2の処理では、レジスタに記憶されたカウント値Cが1に等しいか大きいかを確認し(S2)、カウント値Cが1より小さい場合には(S2:No)、各処理(S3)を実行する。各処理(S3)では、各種ボタンによる設定処理(例えば、巻きおしぼりMの製造本数やシート長など)やLCD4bの表示制御などが行われる。この各処理(S3)の実行後は、S2の処理へ移行する。
S2の処理において、カウント値Cの値が1に等しいか大きい(S2:Yes)、製造すべきおしぼりが予約されているということであるので、巻きおしぼりMの製造を開始するべく、S4以降の処理を実行する。
この場合、CPU71は、まず、送給モータ81aを駆動して、駆動ローラ23を回転させることにより、タオルロールRからのシート材Sの引き出し動作を開始する(S4)。これにより、シート材送給部20から散水部40に向けてシート材Sが移送される。
シート材Sの引き出し動作を開始した後は(S4)、S5の処理へ移行して、駆動ローラ23がその回転開始から所定数回転されたか否かを確認し(S5)、その回転数が所定回に達するまで待機する(S5:No)。なお、この駆動ローラ23の回転数の確認は、駆動ローラ23に設置された回転センサ(図示せず)により行われ、駆動ローラ23の軸に取り付けられた円盤の円周に等間隔に複数の突起を設け、これらの突起がフォトセンサを遮ることを検出することにより、駆動ローラ23の回転を検出するものである。
また、本実施例の巻きおしぼり製造装置1では、駆動ローラ23がl回転されることにより、シート材送給部20から垂下するシート材Sの先端が散水部40の散水ローラ48に達するように設定されている。
従って、S5の処理において、駆動ローラ23が所定回転したと判断される場合には(S5:Yes)、シート材Sの先端が散水部40の散水ローラ48に達したということであるので、給水ポンプ83aを駆動して、散水部40に給水を開始する(S6)。これにより、散水部40の移送経路を通過するシート材Sに水を無駄なく散布することができる。
シート材Sへの水の散布を開始した後は(S6)、S7の処理へ移行して、駆動ローラ23がその回転開始からm(所定数)回転されたか否かを確認し(S7)、その回転数がm回転に達するまで待機する(S7:No)。なお、本実施例の巻きおしぼり製造装置1では、駆動ローラ23がm回転されることにより、シート材送給部20から垂下するシート材Sの先端が散水部40を通過して、成形部60の搬送ベルト61上に達するように設定されている。
従って、S7の処理において、駆動ローラ23がm回転したと判断される場合には(S7:Yes)、シート材Sの先端が成形部60の搬送ベルト61上に達したということであるので、搬送モータ85aを駆動して、搬送ベルト61の回転を開始する(S7)。これにより、散水部40を通過して搬送ベルト61上に達したシート材Sを成形部60の搬送経路内に引き込むことができるので、かかるシート材Sが搬送ベルト61上で折り重なってしまい、搬送中の詰まりや成形不良の原因となることを未然に防止することができる。
シート材Sの成形部60への引き込み動作を開始した後は(S8)、S9の処理へ移行して、駆動ローラ23がその回転開始からn回転されたか否かを確認し(S9)、その回転数がn回転に達するまで待機する(S9:No)。ここで、n回転の「n」は、ユーザーによって設定されたシート材Sの長さに基づいて算出される値である。本実施例の巻きおしぼり製造装置1では、シート長を180mmから480mmまでの30mm間隔の値に設定可能に構成される一方、駆動ローラ23の外周長が上述したように略30mmとされているので、回転数「n」の値には、「6〜16」の整数値が設定される。
従って、S9の処理において、駆動ローラ23がn回転したと判断される場合には(S9:Yes)、ユーザーによって設定されたシート長の分だけのシート材Sの引き出しが完了したということであるので、送給モータ81a、給水ポンプ83a及び搬送モータ85aの駆動を停止して(S10)、タオルロールRからのシート材Sの引き出しと、シート材Sへの水の散布と、シート材S先端の成形部60への引き込みとの各作業を終了する。
これにより、シート材Sは、シート材送給部20から散水部40を通過して成形部60に達する搬送経路上で保持される。なお、S9の処理における駆動ローラ23の回転数nが小さな値(例えば「6」)であった場合には、シート材Sの先端は、成形部60の入口近傍で停止される一方、回転数nの値が大きな値(例えば「16」)であった場合には、シート材Sは、成形部60の搬送経路内(カバー部材22との対向面)へ更に引き込まれ、その先端に巻き込みの核が惹起される。
シート材Sの引き出し動作等を終了した後は(S10)、切断モータ82aを駆動して、回転刃32を回転させることにより、シート材Sを固定刃33と共に切断する(S11)。そして、切断モータ82aの駆動を停止した後(S12)、S13の処理へ移行する。
シート材Sを切断した後は(S11,S12)、搬送モータ85aの駆動を再び開始して、搬送ベルト61を回転させることにより、シート材Sを成形部60の搬送経路に沿って搬送すると共に(S13)、反転モータ86aを駆動して、反転リング63を回転させることにより、シート材Sをロール状に巻き込んで、巻きおしぼりMの成形を開始する(S14)。なお、反転リング63は、搬送ベルト61と反対方向へ移動されると共に、その反転リング63の移動速度Vr1は、搬送ベルト61の移動速度Vc1と略等しくされている(Vr1=Vc1)。
S13及びS14の処理が開始されると、シート材Sは、まず、搬送ベルト61の回転により搬送経路を下流方向へ向かって搬送され、カバー部材62との対向面間を通過することにより、(その先端に巻き込みの核が惹起され、その後、更に搬送されることにより、反転リング63との対向面間に達する。
反転リング63と搬送ベルト61との対向面は、図5(b)に示すように、互いに反対方向へ略等しい速度で移動されている。そのため、かかる対向面間に達したシート材Sは、その惹起された核を中心として、図5(b)に示すように、傾斜部材62bの下面側に保持されつつ、ロール状に巻き込まれる。その結果、従来の巻きおしぼり製造装置のように、シート材Sをロール状に巻き込むための処理経路長(ベルト長)を確保する必要がなく、反転リング63及び搬送ベルト61のベルト長を短縮することができるので、成形部60を小型化して、その分、巻きおしぼり製造装置1全体としての小型化を図ることができる。
また、このように、反転リング63と搬送ベルト61との移動速度Vr1,Vc1を略等しくすることにより、かかる対向面の相対速度差を最大とすることができるので、シート材Sの巻き込み速度を高速化して、その分、巻きおしぼりMの成形時間の短縮を図ることができる。
なお、例えば、製造時の寸法ばらつきや組み付け誤差、或いは、モータ出力特性のばらつき等に起因して、搬送ベルト61の移動速度Vc1よりも反転リング63の移動速度Vr1が高速となった場合でも(Vc1<Vr1)、傾斜部材62bがシート材Sの搬送方向(図5(b)左方向)に上昇傾斜して形成されているので、ロール成形時にシート材Sが搬送方向上流側(図5(b)右方向側)に逆流してしまうことを防止することができる。よって、搬送ベルト61及び反転リング63の移動速度を厳密に一致させる必要がないので、その分、寸法ばらつき等の管理コストを低減することができる。
シート材Sのロール成形が進行すると、シート材Sは、そのロール直径の増加に伴って、傾斜部材62bの傾斜に規制されることとなり、その傾斜部材62bの下面側において次第に搬送方向下流側に移動される。この場合、反転リング63が巻回されるローラ53aの一方は、上述したように、ロール直径の増加に伴って、上方に逃げることができる。
よって、シート材Sの厚さや長さに関わらずロール状に巻き込むことができるので、シート材Sの厚さを長さを適宜設定することにより、小径から大径までの任意のロール直径の巻きおしぼりを製造することができる。更に、シート材Sと反転リング63との接触状態を略一定とすることができるので、シート材Sの巻き込み強さを加減して、適切な(いわゆる「ふんわり」とした)巻き加減の巻きおしぼりMを成形することができる。
なお、従来の巻きおしぼり製造装置では、シート材Sが搬送方向下流側へ搬送されつつロール成形されたため、その搬送に起因して、成形上のばらつきが生じ易かった。これに対し、本実施例の巻きおしぼり製造装置1では、上述したように、シート材Sを傾斜部材62bの下面側に保持しつつ、ロール状に巻き込むことができるので、搬送に伴う成形上のばらつきを抑制して、巻きおしぼりMを安定した精度で成形することができる。
S15の処理では、S13,S14の処理が開始されてから、即ち、搬送ベルト61及び反転リング63の回転が開始され、シート材Sのロール成形開始からTn秒が経過したか否かを確認し(S15)、Tn秒が経過するまで待機する(S15:No)。なお、搬送ベルト61と反転リング63との始動タイミングが同時でない場合には、Tn秒の経過時間は、搬送ベルト61及び反転リング63のいずれか一方の始動タイミングからの経過時間とすれば良い。
ここで、「Tn」秒とは、シート材Sのロール成形に費やす時間を表す値であり、ユーザーによって設定されたシート材Sの長さに基づいて算出される。即ち、「Tn」の値は、上述した「n(S9参照)」の値に比例しており、シート材Sのシート長が長い(短い)ほど、回転数「n」の値と同様に、「Tn」の値も大きく(小さく)なり、ロール成形に費やされる時間が長く(短く)なる。
従って、S15の処理において、Tn秒の経過が確認された場合には(S15:Yes)、シート材Sのロール成形が完了し、巻きおしぼりMが成形されたということである。よって、この場合には(S15:Yes)、反転モータ86aを停止して、反転リング63の回転を停止させることにより(S16)、巻きおしぼりMを成形部60から排出する。
即ち、反転リング63と搬送ベルト61との対向面間でのロール成形が終了した場合には、搬送ベルト61の回転を継続して、その移動速度Vc2を維持しつつ(Vc2=Vc1)、S16の処理により、反転リング63の回転のみを停止して、その移動速度Vr2を「0」とするのである(Vr2=0)。これにより、ロール成形の終了したシート材S(即ち、巻きおしぼりM)を、搬送ベルト61の搬送方向下流側に向けて排出することができる。
よって、従来の巻きおしぼり製造装置のように、シート材Sをロール成形しつつ、そのシート材Sを対向面間の相対速度差(即ち、Vc1−Vr1)で搬送(排出)する必要がなく、搬送ベルト61の移動速度Vc2(=Vc1)でシート材Sを排出することができるので、その分、シート材Sの排出速度を高速化することができる。
なお、本実施例の巻きおしぼり製造装置1は、搬送ベルト61を駆動する搬送モータ85aと反転リング63を駆動する反転モータ86aとの2つのモータを備えて構成されているので、反転モータ86aの回転を停止することにより、搬送ベルト53の回転を継続しつつ、反転リング63の回転のみを停止させることができる。よって、1のモータのみで搬送ベルト61及び反転リング63との両ベルトを駆動するように構成した場合のように、反転リング63の回転のみを停止させるべく、その1のモータからの回転力の伝達を反転リング63側のみ停止させるべく、ギヤの歯合を解除する等の複雑な機構を別途設ける必要がなく、成形部60の構造を簡素化することができるので、成形部60の製造コストを低減することができる。
巻きおしぼりMの排出を終了した後は(S16)、搬送モータ85aの駆動を停止し、搬送ベルト61の回転を終了する(S17)。これにより、巻きおしぼりMを成形するための一連の処理が完了される。
S17の処理を実行した後は、光センサ検出処理(S18)を実行して、巻きおしぼりMの製造中にタオルロールRのシート材Sが終端に達し、シート材Sの終端と中芯との接着部が剥がれてしまっていないかを確認する。
光センサ検出処理(S18)により、シート材Sの存在が確認された場合には(S32:Yes)、タオルロールRが存在し、かつ、そのシート材Sの終端と中芯との接着部の剥がれは生じていないと判断することができる。よって、引き続き巻きおしぼりMを製造することが可能であるので、カウント値Cの値を1減じ(S19)S2の処理へ戻る。
なお、搬送モータ85aの駆動の停止は、S16の処理において反転モータ86aの駆動が停止された後、所定の時間が経過したタイミングで実行される。本実施例では、この所定の時間が略1秒とされている。
以上説明したように、本実施例の巻きおしぼり製造装置1によれば、シート材Sに散水する散水部40を、シート材をロール状に巻き上げる成形部60の上流に設け、その散水部40に給水する給水孔49dに給水弁41を備えている。その給水孔49dは、水タンクTに貯留されている水のレベルより低い位置に配置されるが、給水ポンプ83aが作動していない場合は、給水弁41により給水孔49dが閉塞されるので、水タンクTの水が散水部40に送水することがなく、給水ポンプ83aが作動して水の圧力が高くなった場合は、その水圧により給水弁41が開放され、シート材Sに散水が行われる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施例の巻きおしぼり製造装置では、給水弁41は、T字ロッド43の下端に固着され、T字ロッド43は、コイルばね42により上方へ付勢されることにより給水孔49dを閉塞するものとしたが、コイルばねの下端を給水弁に固着し、コイルばねが給水弁を上方へ引っ張るようにして、給水孔を閉塞するものとしてもよい。

Claims (6)

  1. 帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備える巻きおしぼり製造装置において、
    前記水タンクが貯留する液体のレベルより下方に位置し、前記給水ポンプの下流であって前記散水手段に給水する給水路に形成された給水孔と、
    前記給水ポンプが作動していない場合は、前記給水孔を閉塞し、前記給水ポンプが作動している場合は、前記給水ポンプにより加圧される液体により前記給水孔を開口する給水弁とを備えていることを特徴とする巻きおしぼり製造装置。
  2. 前記給水弁は、ばねにより付勢されて前記給水孔を閉塞し、前記給水ポンプにより加圧されることにより液体がばねによる付勢力に抗して給水孔を開口するものであることを特徴とする請求項1記載の巻きおしぼり製造装置。
  3. 前記成形手段は、シート材をロール状に巻き込む搬送ベルトを有し、
    前記散水手段は、シート材を前記搬送ベルトとの間で巻き込むローラと、
    そのローラの軸を前記搬送ベルトに押圧または離反する方向において軸が移動可能なように保持するローラ保持手段と、
    前記ローラの軸を搬送ベルトに押圧する押圧ばねとを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の巻きおしぼり製造装置。
  4. 前記給水孔と給水弁と散水手段とは、一体になって散水部を構成するとともに、その散水部は両端に支持軸を有し、
    その散水部を支持する支持部と、その支持部に挿入される前記散水部の支持軸が前記支持部から離脱するのを防止し、弾性体により形成されるツメ部とを有する支持部材を備え、
    前記散水部の支持軸は、前記支持部材のツメ部を撓ませることにより前記支持部に挿入されるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の巻きおしぼり製造装置。
  5. 帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備える巻きおしぼり製造装置において、
    前記成形手段は、シート材をロール状に巻き込む搬送ベルトを有し、
    前記散水手段は、シート材を前記搬送ベルトとの間で巻き込むローラと、
    そのローラの軸を前記搬送ベルトに押圧または離反する方向において軸が移動可能なように保持するローラ保持手段と、
    前記ローラの軸を搬送ベルトに押圧する押圧ばねとを備えていることを特徴とする巻きおしぼり製造装置。
  6. 帯状のシート材を送給する送給手段と、その送給手段により送給されたシート材を所定の長さに切断する切断手段と、液体を貯留する水タンクと、その水タンクに貯留されている液体に加圧し給水する給水ポンプと、その給水ポンプにより給水される液体を前記切断手段により切断されたシート材に散布する散水手段と、その散水手段により液体が散布されたシート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを備える巻きおしぼり製造装置において、
    前記散水手段は、前記給水ポンプにより給水された水をシート材に散布するローラを有するとともに、そのローラの長手方向に支持軸を有する散水部を構成し、
    その散水部を支持する支持部と、その支持部に挿入される前記散水部の支持軸が前記支持部から離脱するのを防止し、弾性体により形成されるツメ部とを有する支持部材を備え、前記散水部の支持軸は、前記支持部材のツメ部を撓ませることにより前記支持部に挿入されるものであることを特徴とする巻きおしぼり製造装置。
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