JP4507405B2 - 厨房排気装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厨房排気装置に関し、特に、厨房からの排気中のオイルミストを捕集する技術の改善に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば飲食店などの厨房用の排気装置では、特開平9−89332号公報などに記載されているように、一般に、排気ダクトのフード内にグリスフィルタを設置し、該グリスフィルタによって排気中のオイルミストを捕集した後の空気を外気中に放出するようにしている。
【0003】
図7には、従来の厨房排気装置(1) の一例を模式的に示している。図に示すように、厨房(2) には建物(3) の外へのびる排気ダクト(4) が設置されている。この排気ダクト(4) は、厨房(2) 内に設けられている排気フード(5) から室外側の排気ファン(6) まで連通し、排気を排気フード(5) から排気ダクト(4) を介して外気中に放出する。また、排気フード(5) 内には排気中に含まれているオイルミストを捕集するグリスフィルタ(7) が配設され、グリスフィルタ(7) の下方には廃油を受けるオイルパン(8) が配設されている。
【0004】
図示した従来の排気装置では、グリスフィルタ(7) によって排気中のオイルミストの80%から90%程度は捕捉できるものの、残りの10%から20%程度は外気中に放出されてしまう。これは、主に粒径の小さなオイルミストがグリスフィルタ(7) で捕集されずに該フィルタ(7) を通過するためである。具体的には、粒径が3ミクロン以上の大粒径のオイルミストがオイルミスト全体のほぼ80%以上を占めており、この大粒径のオイルミストがグリスフィルタ(7) で概ね捕捉されるのに対し、オイルミスト全体に約10%程度は含まれている小粒径(約1ミクロン以下)のオイルミストがほとんど捕捉されないためである。この結果、オイルミストを捕集する目的でグリスフィルタ(7) を設けているにも拘わらず、外気中にオイルミストが放出されるので、近隣の住居において臭いの問題が生じたり、洗濯物に汚れが付着する問題が生じたりしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これに対して、例えばHEPAフィルタ(超高性能微粒子フィルタ)をグリスフィルタ(7) の下流側で用いれば微細なオイルミストを捕捉することが可能になり、外気中へのオイルミストの放出を防止できると考えられるが、HEPAフィルタはオイルミストを含む厨房排気に使用するには通風抵抗が大きすぎ、すぐに目詰まりしてしまう欠点がある。
【0006】
また、HEPAフィルタの代わりに、繊維を永久帯電させた静電フィルタを用いることも可能であるが、水分の多い厨房排気では繊維が濡れやすいため、帯電が中和されて性能が早期に低下することが考えられる。そのうえ、静電フィルタは繊維が可燃性であるため、高温で油分を含む厨房排気において実用化を図るのは困難である。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、厨房用の排気装置において、不燃性のフィルタでオイルミストの捕集性能を充分に高めることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、オイルミストを帯電させてから無帯電のフィルタ(30)に通すことによって、フィルタ(30)とオイルミストとの間で電気的な吸引力を作用させ、この吸引力を利用してオイルミストをフィルタ(30)で捕集するようにしたものである。
【0009】
具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、厨房排気をグリスフィルタ(7) から空気排出通路(4) を介して外気中へ放出する厨房排気装置(1) を前提としている。そして、この厨房排気装置(1) は、空気排出通路(4) 中にイオンを供給するイオン供給手段(9) と、空気排出通路(4) 中でイオン供給手段(9) の下流側に位置する無帯電の不燃性フィルタ(30)とを備えている。
【0010】
この構成において、厨房排気は、グリスフィルタ(7) によってオイルミストの80%から90%程度が除去された後、空気排出通路(4) を外気の方へ向かって流れる。この空気排出通路(4) には、イオン供給手段(9) からイオンが供給される。したがって、厨房排気中にイオンが分散するため、グリスフィルタ(7) では除去されなかったオイルミストにイオンが結合し、該オイルミストが帯電した状態となる。
【0011】
ここで、帯電した粒子が無帯電の導体に接近すると、導体表面には帯電粒子と逆符号の電荷が誘導され、導体表面を挟んで帯電粒子と対称の位置に点電荷(影像電荷)がある場合と同様の電気的な吸引力が作用する。このことから、帯電したオイルミストが無帯電の不燃性フィルタ(30)に接近すると両者の間に吸引力が作用し、該オイルミストが不燃性フィルタ(30)に付着する。したがって、グリスフィルタ(7) では除去できなかった小粒径のオイルミストが不燃性フィルタ(30)に捕集されて、浄化された空気が外気中に放出される。このため、外気中へのオイルミストの放出は阻止される。
【0012】
また、上記第1の解決手段は、イオン供給手段(9) を、空気排出通路(4) の外部に設けられたイオン発生器(10)と、イオン発生器(10)で発生したイオンを空気排出通路(4) 中に放出して分散させるイオン放出部(20)とを備えた構成にしたものである。
【0013】
このように構成すると、空気排出通路(4) の外で発生させたイオンを空気とともに空気排出通路(4) 中に放出することによりオイルミストが帯電する。そして、帯電したオイルミストが、無電荷のフィルタ(30)の繊維の表面に誘導される電荷との間の吸引力により、該フィルタ(30)に付着する。
【0014】
また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、上記イオン発生器(10)を、放電電極(12)から対向電極(13)へ放電することにより空気中の浮遊物質を帯電させるように構成したものである。
【0015】
このように構成すると、例えば空気中の塵などの浮遊物質を帯電させてイオン化し、このイオンを含む空気を空気排出通路(4) 中に放出することでオイルミストを帯電させることができるので、上記と同様にしてオイルミストがフィルタ(30)に付着する。
【0016】
また、本発明が講じた第3の解決手段は、上記第2の解決手段において、イオン発生器(10)が、空気中に水滴を供給しながら放電電極(12)から対向電極(13)へ放電することにより、該水滴を帯電させてイオン化するように構成したものである。
【0017】
このように構成すると、放電によって生じたイオンが水滴に付着して水分子がイオン化され、このイオンがさらに空気中の浮遊物質と結合して安定したイオンに変化しながら、空気排出通路(4) に供給される。この構成では、空気中に供給する水滴の量と放電電流を調整することにより、イオンの発生量を容易に調整できるため、厨房排気中のオイルミストに対応した量のイオンを供給することが可能となる。その結果、オイルミストの帯電が確実に行われるので、オイルミストがフィルタ(30)に確実に付着する。
【0018】
【発明の効果】
上記第1の解決手段によれば、グリスフィルタ(7) で捕集できなかった厨房排気中のオイルミストを帯電させて、該オイルミストが接近するときに不燃性フィルタ(30)の表面に生じる誘導電荷との間の吸引力によって該オイルミストを不燃性フィルタ(30)に付着させるようにしている。このため、グリスフィルタ(7) を通過した小粒径のオイルミストが不燃性フィルタ(30)に捕集される。このように、小粒径のオイルミストであっても確実に捕集できるため、オイルミストの捕集性能を高めることができる。そして、外気中に放出される厨房排気にオイルミストが含まれない状態となるため、近隣の住居などでの臭いや汚れの問題を回避できる。
【0019】
また、上記構成では、空気排出通路(4) 中には不燃性フィルタ(30)を配置している。このため、該フィルタ(30)が発火の原因となることを防止できる。
【0020】
さらに、電気的な吸引力を利用してオイルミストを捕集するようにしているので、目の細かいフィルタを用いなくても充分な捕集性能を得ることができる。このため、HEPAフィルタのような高性能フィルタは不要であり、不燃性フィルタ(30)がすぐに目詰まりすることも防止できる。
【0021】
また、上記第1の解決手段によれば、空気排出通路(4) の外部にイオン発生器(10)を設けて、イオンを外部から空気排出通路(4) 中に導入するようにしているので、上記第2及び第3の解決手段のように該イオン発生器(10)として放電電極(12)から対向電極(13)への放電により空気中の浮遊物質を帯電させるものを用いる場合でも、その放電部が発火源となることはなく、装置(10)を容易に実用化できる。
【0022】
また、上記第3の解決手段によれば、空気中に水滴を供給しながらイオン化するイオン発生器(10)を用いているので、空気排出通路(4) に供給するイオンの量を調整してオイルミストを確実に帯電させることが可能となり、高い吸着性能を確実に得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る厨房排気装置(1) の構造図である。図示するように、厨房(2) には、建物(3) の外へのびる排気ダクト(空気排出通路)(4) が設置されている。この排気ダクト(4) は、厨房(2) 内の排気フード(5) から室外側の排気ファン(6) まで連通し、厨房排気を排気フード(5) から排気ダクト(4) を介して外気中に放出する。また、排気フード(5) 内には、排気中に含まれているオイルミストを捕集するための2枚のグリスフィルタ(7) が並べて配設されている。グリスフィルタ(7) は、外側よりも中央部分の高さが低くなるように傾斜していて、その中央部分には、グリスフィルタ(7) の下方で廃油を受けるオイルパン(8) が配設されている。
【0025】
この厨房排気装置(1) は、排気ダクト(4) 中にイオン(クラスターイオン)を供給するように構成されている。具体的には、厨房排気装置(1) の要部を表す部分破断斜視図である図2に示しているように、排気ダクト(4) の外部にイオン発生器(10)が設けられ、このイオン発生器(10)で発生したイオンを空気とともに排気ダクト(3) 中に放出して分散させるイオン放出部(20)が設けられている。このイオン発生器(10)とイオン放出部(20)により、イオン供給手段(9) が構成されている。
【0026】
イオン発生器(10)は、イオンの発生原理を表す図3に示しているように、ケース(11)内に放電電極(12)と対向電極(13)とが所定間隔で配設されたもので、放電電極(12)と対向電極(13)は高圧電源(14)に接続されている。放電電極(12)には針電極が用いられており、対向電極(13)には網目状の電極が設けられている。また、放電電極(12)は高圧電源(14)のプラス極に接続され、対向電極(13)はマイナス極に接続されている。
【0027】
このイオン発生器(10)には、ケース(11)内に微細な水滴を供給するスプレーノズル(15)が水滴供給手段として設けられており、ケース(11)内で空気中に水滴を供給しながら放電電極(12)から対向電極(13)へ放電させることにより、該水滴を帯電させてイオン化するようにしている。また、生成したイオンを排気ダクト(4) 内へ送るため、送風機(16)が設けられている。なお、送風機(16)は図2及び図3では省略している。
【0028】
イオン放出部(20)は、図2に示すように、イオン発生器(10)から排気ダクト(4) 内へイオンを導入する導入管(21)と、該導入管(21)から分岐した複数の放出管(22)とから構成され、放出管(22)には多数のノズル孔(23)が形成されている。各放出管(22)は、排気ダクト(4) 内を横切り、互いに平行になるように配置されている。
【0029】
排気ダクト(4) 内には、イオン放出部(20)よりも下流側の位置に、無帯電の不燃性フィルタ(30)が配置されている。この不燃性フィルタ(30)は金属繊維からなるフィルタであって、金属製の枠(31)が装着され、この枠(31)が排気ダクト(4) に固定されている。そして、この枠(31)に図示しないアース線が接続され、フィルタ繊維の電荷を逃がすことでフィルタ(30)が無帯電の状態に維持されるようにしている。この不燃性フィルタ(30)は、厨房排気に水分が多く、繊維が濡れやすいため、帯電が中和されることでも無帯電が維持されるようになっている。
【0030】
なお、この不燃性フィルタ(30)は、排気ダクト(4) の空気通路に対してほぼ直角に配置された第1フィルタ(30a) と、その下流側に配置された第2フィルタ(30b) とから構成されている。第2フィルタ(30b) は、複数枚が空気通路に対して交互に逆向きの傾きとなるようにプリーツ状に組み合わせて配置されている。
【0031】
また、排気ダクト(4) は、この不燃性フィルタ(30)の下面側が開口しており、その開口部分には不燃性フィルタ(30)で捕集した廃油を受けるオイルパン(32)が設けられている。
【0032】
−運転動作−
次に、この厨房排気装置(1) の動作中における厨房排気の浄化作用について説明する。
【0033】
厨房排気は、排気ファン(6) によって排気ダクト(4) を介して吸引され、排気フード(5) 内に導入される。排気フード(5) 内にはグリスフィルタ(7) が設けられており、厨房排気に含まれているオイルミストは、このグリスフィルタ(7) によって大半が捕集される。つまり、厨房排気中のオイルミスト全体のほぼ80%から90%程度を占める比較的大粒径のオイルミストがグリスフィルタ(7) で概ね捕捉される。そして、グリスフィルタ(7) を通過した厨房排気には、粒径が1ミクロン程度以下の微小なオイルミストが、少量ではあるものの残存した状態となる。
【0034】
一方、イオン発生器(10)では、ケース(11)内に微細な水滴を供給しながら、放電電極(12)と対向電極(13)に高電圧を印加してコロナ放電を発生させている。このとき、放電により直接に発生するのはO やN などの寿命の短いプラスイオンであるが、これらのイオンが水分子と結合すると、水滴が帯電してイオン化する。そして、イオン化した水滴はさらに空気中の様々な物質と結合して、より寿命の長い安定したイオンに変化する。
【0035】
図4に示すように、排気ダクト(4) 内には、このようにしてイオン発生器(10)で生成されたプラスイオン(i) がイオン放出部(20)の導入管(21)から放出管(22)を介して供給されている。そして、排気ダクト(4) 内に放出されたイオン(i) は該ダクト(4) 内で分散し、ダクト(4) 内を流れる厨房排気と混合される。この結果、排気に含まれているオイルミスト(p) にイオン(i) が結合し、オイルミスト(p) が帯電してイオン化することになる。
【0036】
次に、厨房排気がさらに流れていくと、帯電したオイルミスト(p) がフィルタ(30)に接近していく。ここで、図5に示すように、帯電した粒子(p) が無帯電の導体(f) に接近すると、導体(f) の表面には帯電粒子(p) と逆符号の電荷が誘導され、導体(f) の表面を挟んで帯電粒子(p) と対称の位置に点電荷(影像電荷)(e) がある場合と同様の電気的な吸引力Fが作用する。このため、図4において帯電したオイルミスト(p) が無帯電の不燃性フィルタ(30)の繊維(f) に接近すると両者の間に吸引力Fが作用し、該オイルミスト(p) が不燃性フィルタ(30)の繊維(f) に付着する。
【0037】
なお、吸引力Fは、不燃性フィルタ(30)の繊維の比誘電率をε、真空の誘電率をε、電荷をq、繊維径をd、繊維径dに対する相対距離をrとすると、
F=q(ε−1)/4ε(r−1)(ε+1)
で表される。
【0038】
このようにして、グリスフィルタ(7) では除去できなかった厨房排気中の小粒径のオイルミスト(p) は、不燃性フィルタ(30)に捕集される。このため、厨房排気はオイルミスト(p) が除去されることで浄化されてから外気中に放出されることになり、外気中へのオイルミスト(p) の放出は確実に阻止される。
【0039】
図6は、帯電させたオイルミスト(p) を無帯電の不燃性フィルタ(30)で捕集する場合の、オイルミストの荷電量による集塵率を比較したグラフである。
【0040】
比較条件は、風量を60m/min、風速を0.5m/sec、オイルミスト含有率を3mg/m、オイルミスト粒径を0.3μmとした。また、フィルタは20mmの厚さで充填率が5%のものを用いた。
【0041】
以上の条件において、オイルミストへの素電荷(1.6×10−19c)の付着個数とフィルタの繊維径を変化させた場合の集塵率を求めた。図で、<1>は付着した素電荷が1000個の場合、<2>は500個の場合、<3>は100個の場合、<4>は50個の場合、<5>は10個の場合、<6>は5個の場合、<7>は1個の場合の集塵率を示している。
【0042】
この図から、例えば繊維径を0.02mmとした場合、オイルミストに素電荷が100個付着している<3>の場合、微細なオイルミストであっても約90%が捕集できることが分かる。このように、本実施形態の厨房排気装置(10)によれば、グリスフィルタ(7) を通過した厨房排気中に残存するオイルミスト(p) の殆どを捕集することが可能となり、外気へのオイルミスト(p) の放出量を大幅に低減することが可能となる。
【0043】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、グリスフィルタ(7) で捕集できなかった厨房排気中のオイルミスト(p) を帯電させて、不燃性フィルタ(30)の表面に発生する誘導電荷との間の吸引力Fによって該オイルミスト(p) を不燃性フィルタ(30)に付着させることで、従来は外気中に放出されていた小粒径のオイルミスト(p) を不燃性フィルタ(30)で確実に捕集するようにしている。したがって、オイルミスト(p) の捕集性能を従来よりも高めることができる。また、外気中に放出される厨房排気にオイルミスト(p) が殆ど含まれない状態となるため、近隣の住居などでの臭いや汚れの問題を回避できる。
【0044】
また、この実施形態では排気ダクト(4) 中に不燃性フィルタ(30)のみを配置し、放電作用を行うイオン発生器(10)は排気ダクト(4) の外に配置している。このように、排気ダクト(4) の中に発火の原因となるものがないため、この装置(10)では排気ダクト(4) 内での発火のおそれも回避できる。
【0045】
さらに、電気的な吸引力を利用してオイルミスト(p) を捕集するようにしているので、不燃性フィルタ(30)には比較的目の粗い金属繊維のフィルタ(30)を用いることができ、HEPAフィルタのような高性能フィルタは不要である。このため、フィルタ(30)がすぐに目詰まりするようなこともない。また、金属繊維フィルタ(30)を用いれば、洗浄して繰り返し使用することもできる。
【0046】
また、イオン発生器(10)を、ケース(11)内で空気中に水滴を供給しながら放電させて水分子を帯電させるようにしているため、放電電圧や供給水量を調整することによりイオン発生量を容易に調整することができる。このため、大量のイオンをイオン発生器(10)で発生させて排気ダクト(4) 内へ供給できるので、厨房排気中のオイルミスト(p) を確実に帯電させることが可能となり、ひいてはフィルタ(30)によるオイルミスト(p) の吸着性能を飛躍的に高めることが可能となる。
【0047】
【発明のその他の実施の形態】
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0048】
例えば、上記実施形態では、イオン発生器(10)においてスプレーノズル(15)から微細な水滴を噴霧しながら水滴を帯電させてイオンを生成するようにしているが、水滴を噴霧する代わりに静電霧化の作用により水滴を帯電させたり、加湿器を用いて水蒸気を供給しながら水分子を帯電させたりしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態のイオン発生器(10)ではプラスイオンを生成するようにしているが、電源(14)の極性を逆にしてマイナスイオンを発生させるようにしてもよい。
【0050】
さらに、水滴を帯電させる代わりに、空気中に含まれる塵埃などの浮遊物を帯電させてイオン化し、これを排気ダクト(4) 内に供給するようにしてもよい。このようにしても、排気ダクト(4) 内を流れるオイルミスト(p) が充分にイオン化される限りは、フィルタ(30) による充分な吸着性能を得ることが可能である。
【0051】
また、イオン発生器(10)は、放電を利用するものに限らず、任意の方式のものを用いることができる。例えば水を微細な水滴に機械的に分裂させてその周囲にイオンを発生する方式のものなどを用いることも可能である。
【0052】
また、上記実施形態ではフィルタ(30)に金属繊維のフィルタを用いているが、無帯電の不燃性フィルタであれば繊維の素材を適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る厨房排気装置の構造図である。
【図2】 図1の厨房排気装置の要部を表す部分破断斜視図である。
【図3】 イオン発生器におけるイオンの発生原理を表す図である。
【図4】 厨房排気中のオイルミストがフィルタの繊維に付着する作用を示す説明図である。
【図5】 荷電粒子と無帯電の導体との間に作用する電気的な吸引力についての説明図である。
【図6】 オイルミストの荷電量による集塵率を比較したグラフである。
【図7】 従来の厨房排気装置の構造図である。
【符号の説明】
(1) 厨房排気装置
(4) 排気ダクト(空気排出通路)
(5) 排気フード
(6) 排気ファン
(7) グリスフィルタ
(9) イオン供給手段
(10) イオン発生器
(12) 放電電極
(13) 対向電極
(20) イオン放出部
(21) 導入管
(22) 放出管
(23) ノズル孔
(30) 不燃性フィルタ

Claims (3)

  1. 厨房排気をグリスフィルタ(7) から空気排出通路(4) を介して外気中へ放出する厨房排気装置であって、
    上記空気排出通路(4) 中にイオンを供給するイオン供給手段(9) と、空気排出通路(4) 中でイオン供給手段(9) の下流側に位置する無帯電の不燃性フィルタ(30)とを備え
    イオン供給手段(9) は、空気排出通路(4) の外部に設けられたイオン発生器(10)と、イオン発生器(10)で発生したイオンを空気排出通路(4) 中に放出して分散させるイオン放出部(20)とを備えている厨房排気装置。
  2. イオン発生器(10)は、放電電極(12)から対向電極(13)へ放電することにより空気中の浮遊物質を帯電させるように構成されている請求項1記載の厨房排気装置。
  3. イオン発生器(10)は、空気中に水滴を供給しながら放電電極(12)から対向電極(13)へ放電することにより該水滴を帯電させてイオン化するように構成されている請求項2記載の厨房排気装置。
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