JP4506242B2 - 磁気検出素子 - Google Patents

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Description

本発明は、フリー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層を有する磁気検出素子に係り、特に固定磁性層自体の一軸異方性によって固定磁性層の磁化を固定する磁気検出素子に関する。
磁気記録再生装置に搭載されている磁気へッドの現在の主流は、巨大磁気抵抗(GMR)効果を応用したスピンバルブ型磁気検出素子を用いたものである。
スピンバルブ型磁気検出素子は、固定磁性層と呼ばれる強磁性膜とフリー磁性層と呼ばれる強磁性軟磁性膜が、非磁性材料層と呼ばれる非磁性膜を介して積層されたものである。
フリー磁性層の磁化は、硬磁性体からなるハードバイアス層などからの縦バイアス磁界によって一方向に揃えられる。そして記録媒体からの外部磁界に対し、フリー磁性層の磁化が感度良く変動する。一方、前記固定磁性層の磁化は、前記フリー磁性層の磁化方向と交叉する方向に固定されている。
フリー磁性層の磁化方向の変動と、固定磁性層の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化または電流変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
従来、前記固定磁性層を、PtMnなどの反強磁性材料からなる反強磁性層に重ねて形成し、前記固定磁性層と前記反強磁性層との間に一方向の交換結合磁界を発生させることによって,前記固定磁性層の磁化を固定させていた。
しかし、前記反強磁性層と前記固定磁性層の界面に充分な大きさの交換結合磁界を発生させるためには、前記反強磁性層の膜厚を200Å程度にする必要があった。
磁気検出素子を構成する積層体の中に存在する、膜厚の大きい反強磁性層は、センス電流の分流損失の主な原因となる。記録媒体の高記録密度化に対応するためには、磁気検出素子の出力を向上させることが必要であるが、上述したセンス電流の分流損失は磁気検出素子の出力向上の妨げになる。
また、磁気検出素子の上下には、検出対象の記録信号を効率的に読み取るために、軟磁性材料からなるシールド層が設けられる。記録媒体の高線記録密度化に対応するためには、上下のシールド層間距離を短くする必要がある。膜厚の大きな前記反強磁性層は、上下のシールド層間距離を短くするときの妨げにもなっていた。
そこで反強磁性層を省略し、固定磁性層自体の一軸異方性によって固定磁性層の磁化を固定する磁気検出素子が提案された。
下記に本願出願前の特許文献を示す。
特開平8−7235号公報 特開2000−113418号公報
特許文献1に記載されている磁気検出素子は、タンタル(Ta)からなるバッファ層62を下地として、その上に、ピン止め強磁性層70が積層されたものである。ピン止め強磁性層70は、第1のコバルト(Co)フィルム72と第2のコバルト(Co)フィルム74が、ルテニウム(Ru)フィルム73を介して積層されたものである。第1のコバルト(Co)フィルム72と第2のコバルト(Co)フィルム74は各々の異方性磁界によって磁化が固定されている。第1のコバルト(Co)フィルム72と第2のコバルト(Co)フィルム74は反強磁性結合しており、互いに反平行方向に磁化されている。
しかし、特許文献1に記載されている磁気検出素子のように、タンタルからなるバッファ層上にCoフィルムを積層する構成では、ピン止め強磁性層70の磁化方向を適切に固定できないことがわかった。このことは、特許文献2においても指摘されている。
特許文献2に記載の磁気検出素子は、特許文献1の問題を解決することを目的として発明されたものである。この磁気検出素子では、積層フェリ固定層の強磁性膜をCoFeまたはCoFeNiによって形成することによって誘導磁気異方性を向上させている。
自己固定式の固定磁性層の磁化を固定するために、重要な要素の一つは固定磁性層の磁気弾性エネルギーに由来する一軸異方性である。特に固定磁性層の磁歪を最適化することが重要である。
前記固定磁性層の磁歪を大きくできれば、例えば静電気放電(ESD)による過渡電流が流れたときでも、磁化反転を起こしにくい磁気検出素子を提供できる。
しかし、特許文献2には、固定磁性層の磁歪を最適化する機構に関する考察がなく、固定磁性層の磁歪を最適化するための具体的構成に関する記載はなされていない。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、自己固定式の積層フェリ固定層を有する磁気検出素子において、積層フェリ固定層の磁歪を制御する機構を明らかにし、該磁歪を適切に制御するために、前記積層フェリ固定層の非磁性材料層が形成された側と反対側に形成される非磁性膜の材質と、積層フェリ固定層を構成する強磁性層の材質を適切に選択することで、前記積層フェリ固定層の磁化を強固に固定することが出来る磁気検出素子を提供することを目的とする。
本発明は、固定磁性層とフリー磁性層が非磁性材料層を介して積層されている磁気検出素子において、
前記固定磁性層は、複数の磁性層が非磁性中間層を介して積層されたものであって、前記複数の磁性層のうち前記非磁性材料層から最も離れた位置に形成されている第1磁性層の前記非磁性材料層が設けられている側と反対側にX―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金からなる反強磁性を有さない非磁性金属層が形成され、
前記第1磁性層はCoとFeとを主体とし、さらに希土類元素あるいは貴金属元素が添加されてなり、
前記非磁性金属層の格子定数は、前記第1磁性層の格子定数よりも大きく、前記非磁性金属層内の結晶と前記第1磁性層内の結晶の少なくとも一部は、エピタキシャルまたはヘテロエピタキシャルな状態であり、前記第1磁性層の前記非磁性金属層との界面付近では結晶構造に歪みが生じて、前記第1磁性層の磁歪定数を大きくしており、前記第1磁性層は、正の磁歪定数を有しており、
前記固定磁性層の記録媒体との対向面側の端面が開放されていることを特徴とするものである。
本発明は、固定磁性層自体の一軸異方性によって固定磁性層の磁化が固定される、いわゆる自己固定式の磁気検出素子である。
従って、膜厚200Åの厚い反強磁性層を有する磁気検出素子に比べて分流損失を少なくできるので、磁気検出素子の磁界検出出力を20〜30%向上させることができる。また、磁気検出素子の上下に設けられるシールド層間の距離も短くなるので、記録媒体のさらなる高線記録密度化に対応することもできる。
強磁性体膜の磁気異方性磁界を決める要素には、結晶磁気異方性、誘導磁気異方性、及び磁気弾性効果がある。このうち、結晶磁気異方性は保磁力を大きくすることで大きくすることが出来る。一方、誘導磁気異方性は成膜時または熱処理時に一方向の磁場を与えることによって一軸性を帯び、磁気弾性効果は一軸性の応力を加えることによって一軸性を帯びる。
本発明は、固定磁性層の磁化を固定する一軸異方性を決める、誘導磁気異方性と磁気弾性効果のうち、磁気弾性効果に着目してなされたものである。
磁気弾性効果は、磁気弾性エネルギーに支配される。磁気弾性エネルギーは、固定磁性層にかかる応力と固定磁性層の磁歪定数によって規定される。
本発明では、前記固定磁性層の記録媒体との対向面側の端面が開放されているので、応力の対称性がくずれて、前記固定磁性層には、素子高さ方向(ハイト方向;前記対向面に対する法線方向)に引張り応力が働く。本発明では、固定磁性層の磁歪定数を大きくすることによって磁気弾性エネルギーを大きくし、これによって、固定磁性層の一軸異方性を大きくするものである。固定磁性層の一軸異方性が大きくなると、固定磁性層の磁化は一定の方向に強固に固定され、磁気検出素子の出力が大きくなりかつ出力の安定性や対称性も向上する。
本発明では、まず前記固定磁性層をシンセティックフェリピンド構造(以下、積層フェリ固定層と呼ぶ場合がある)にし、前記積層フェリ固定層を構成する複数の磁性層のうち、非磁性材料層から最も離れた位置に形成されている第1磁性層の前記非磁性材料層が設けられている側と反対側に、X―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金からなる非磁性金属層を形成する。
前記非磁性金属層の格子定数は、前記第1磁性層の格子定数よりも大きいが、前記非磁性金属層内の結晶と前記第1磁性層内の結晶の少なくとも一部は、エピタキシャルまたはヘテロエピタキシャルな状態で成長しているため、前記第1磁性層の界面付近では結晶構造に歪みが生じ、その結果、前記第1磁性層の磁歪定数を大きく出来る。
本発明では、上記した非磁性金属層の材質のみならず第1磁性層の材質も改良する。
前記第1磁性層として必要な要素は、正の磁歪定数を有していること、積層フェリ固定層を構成する強磁性層間に作用するRKKY相互作用が強く働くこと、磁気検出素子の結晶配向性を崩さないこと、であると考えられる。
正磁歪が必要な理由は、上記したように前記固定磁性層には、素子高さ方向(ハイト方向;前記対向面に対する法線方向)に引張り応力が働くので、磁歪を正にして前記固定磁性層の磁化方向をハイト方向に適切に向けるためである。
RKKY相互作用は、積層フェリ固定層を構成する強磁性層間の反強磁性的な結合を強めるために大きくすることが必要である。RKKY相互作用が弱まれば、外部磁界等によって前記強磁性層の磁化が容易に回転するなどしGMR特性に悪影響を及ぼす。
磁気検出素子の高結晶配向性は、GMR特性に重要な要素であり、結晶配向性が崩れると(結晶配向性が低くなると)、抵抗変化率(ΔR/R)の低下等を招くため、第1磁性層の材質を改良することで結晶配向性が崩れてしまうことは好ましくない。
本発明では、上記の条件を踏まえながら、第1磁性層の格子定数が、従来、第1磁性層として一般的に使用されているCoFe合金やCoよりも大きくなる磁性材料を選択する。
すなわち本発明では前記第1磁性層を、CoとFeとを主体とし、さらに希土類元素あるいは貴金属元素を添加した磁性材料で形成する。この磁性材料は従来、第1磁性層として一般的に使用されていたCoFe合金やCo等に比べて格子定数が大きく、この結果、前記非磁性金属層との間でエピタキシャルまたはヘテロエピタキシャル成長が促進されやすく、この結果、第1磁性層の結晶構造はより効果的に歪み、従来に比べて第1磁性層の磁歪定数λsをさらに大きくすることが出来る。
本発明では、前記希土類元素は、Tb,Sm,Pr,Y,Ce,Nd,Gd,Dy,Ho,Er,Ybの中から少なくとも1種類が選択されてなることが好ましい。
かかる場合、前記第1磁性層は、(CoFe1−x100−yで表わされる磁性材料で形成され、元素Mは、Tb,Sm,Pr,Y,Ce,Nd,Gd,Dy,Ho,Er,Ybの中から少なくとも1種類が選択されてなり、組成比yは、0.3at%以上で5at%以下であることが好ましい。
後述する実験結果によれば、前記組成比yを上記範囲内にすることで、元素Mを添加しない磁性材料に比べて、第1磁性層の磁歪定数λsを大きく出来ることがわかった。
また本発明では、前記貴金属元素は、Pt,Rh,Ir,Reの中から少なくとも1種類が選択されてなることが好ましい。
かかる場合、前記第1磁性層は、(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料で形成され、元素Nは、Pt,Rh,Ir,Reの中から少なくとも1種類が選択されてなり、組成比zは、5at%以上で20at%以下であることが好ましい。後述する実験結果によれば、前記組成比zを上記範囲内にすることで、元素Nを添加しない磁性材料に比べて、第1磁性層の磁歪定数λsを大きく出来ることがわかった。
また、原子比率xは、1あるいは0.4〜0.6の範囲内であることが好ましい。
さらに、前記第1磁性層の膜厚は、12〜19Åの範囲内であることが好ましい。
また本発明では、前記第1磁性層は少なくとも2層以上の積層構造からなり、前記非磁性金属層に最も近い位置に形成された磁性層が、CoとFeとを主体とし、さらに希土類元素あるいは貴金属元素が添加されてなる磁性材料で形成されている形態であってもよく、かかる場合、第1磁性層を構成する磁性層のうち、前記非磁性中間層に接する磁性層がCoFe合金あるいはCoで形成されることが好ましい。これにより前記第1磁性層の磁歪定数λsを従来に比べて適切に大きく出来ると共に、従来と同程度にRKKY相互作用が強く働き、積層フェリ固定層を構成する複数の磁性層を互いに反平行状態に強固に磁化固定できる。
また本発明では、前記非磁性金属層は前記第1磁性層の界面に接して形成されていることが好ましい。これによって、より効果的に、前記第1磁性層の界面付近での結晶構造に歪みを生じさせ、前記第1磁性層の磁歪定数λsを大きくすることが出来る。
また本発明では、前記非磁性金属層は、前記固定磁性層の第1磁性層側の界面付近あるいは全領域において面心立方格子(fcc)構造をとり、前記界面と平行な方向に、{111}面として表される等価な結晶面が優先配向していることが好ましい。これにより磁気検出素子の結晶配向性を良好に出来、GMR特性の向上を図ることが出来る。
また本発明では、前記非磁性金属層の膜厚は、5Å以上50Å以下であることが好ましい。
また前記X―Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上)中のX元素の含有量は、45原子%以上99原子%以下であることが好ましい。
また前記X―Mn合金(ただしXは、Ir,Rh,Ruのいずれか1種または2種以上)中のX元素の含有量は、17原子%以上99原子%以下であることが好ましい。
さらに、Ir―Mn合金中のIrの含有量は、20原子%以上99原子%以下であることが好ましい。
これにより第1磁性層の磁歪をより適切に大きくすることが出来る。
また本発明では、前記固定磁性層の第1磁性層は、前記非磁性金属層側の界面付近あるいは全領域において面心立方格子(fcc)構造又は体心立方格子(bcc)構造をとり、前記界面と平行な方向に、{111}面又は{110}面として表される等価な結晶面が優先配向していることが好ましい。これにより磁気検出素子の結晶配向性を良好に出来、GMR特性の向上を図ることが出来る。
また本発明では、下からフリー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層の順に積層されていることが好ましい。これにより、磁気検出素子の結晶配向性は従来と同様に良好になり、抵抗変化率(ΔR/R)を従来と同程度得ることが可能になる。
本発明では、自己固定式の固定磁性層を有する磁気検出素子において、固定磁性層の磁歪を制御する機構を明らかにし、前記固定磁性層に接する非磁性金属層の材質と第1磁性層の材質とを適切に選択することによって、該磁歪を適切に制御して、固定磁性層の磁化を強固に固定することのできる磁気検出素子を提供できる。
具体的には、前記固定磁性層を、複数の磁性層が非磁性中間層を介して積層されたものとし、前記複数の磁性層のうち非磁性材料層から最も離れた位置に形成されている第1の磁性層の前記非磁性材料層が設けられている側と反対側にX―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金からなる前記非磁性金属層を形成する。
さらに本発明では、前記第1磁性層をCoとFeとを主体とし、さらに希土類元素あるいは貴金属元素を添加した磁性材料で形成する。これにより第1磁性層の格子定数を、従来のように第1磁性層をCoFeやCoで形成していた場合よよりも広げることが出来る。
この結果、前記非磁性金属層と第1磁性層との積層構造では、互いの結晶どうしがエピタキシャルあるいはヘテロエピタキシャルに成長しやすく、前記非磁性金属層の界面付近での結晶構造を適切に歪ませることができ、前記第1磁性層の磁歪定数λを効果的に大きくさせることができる。前記固定磁性層の磁歪定数を大きく出来ることで磁気弾性エネルギーは大きくなり、固定磁性層の一軸異方性を大きくできる。
固定磁性層の一軸異方性が大きくなると、固定磁性層の磁化は一定の方向に強固に固定され、磁気検出素子の出力が大きくなりかつ出力の安定性や対称性も向上する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た断面図である。
図1に示される磁気検出素子では、アルミナなどの絶縁性材料からなる下部ギャップ層20上に多層膜T1が形成されている。
図1に示す実施形態では、多層膜T1は、下からシードレイヤ21、非磁性金属層22、固定磁性層23、非磁性材料層24、フリー磁性層25及び保護層26の順に積層されたものである。
シードレイヤ21は、NiFe合金、NiFeCr合金あるいはCr,Taなどで形成されている。シードレイヤ21は、例えば(Ni0.8Fe0.260at%Cr40at%の膜厚35Å〜60Åで形成される。
シードレイヤ21があると、非磁性金属層22の{111}配向が良好になる。
非磁性金属層22については、後述する。
固定磁性層23は、第1磁性層23aと第2磁性層23cが非磁性中間層23bを介して積層された人工フェリ構造を有している。固定磁性層23は、固定磁性層23自体の一軸異方性によって磁化が、ハイト方向(図示Y方向)と平行な方向に固定されている。
非磁性材料層24は、固定磁性層23とフリー磁性層25との磁気的な結合を防止する層であり、Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。非磁性材料層の膜厚は17Å〜30Åである。
フリー磁性層25は、NiFe合金やCoFe合金等の磁性材料で形成される。図1に示す実施形態では特にフリー磁性層25がNiFe合金で形成されるとき、フリー磁性層25と非磁性材料層24との間にCoやCoFeなどからなる拡散防止層(図示しない)が形成されていることが好ましい。フリー磁性層25の膜厚は20Å〜60Åである。また、フリー磁性層25は、複数の磁性層が非磁性中間層を介して積層された人工フェリ構造であってもよい。
保護層26はTaなどからなり、多層膜T1の酸化の進行を抑える。保護層26の膜厚は10Å〜50Åである。
図1に示す実施形態では、シードレイヤ21から保護層26までの多層膜T1の両側にはバイアス下地層27、ハードバイアス層28及び電極層29が形成されている。ハードバイアス層28からの縦バイアス磁界によってフリー磁性層25の磁化はトラック幅方向(図示X方向)に揃えられる。
バイアス下地層27,27はCr,W,Tiで、ハードバイアス層28,28は例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成されており、電極層29,29は、Cr,Ta,Rh,AuやW(タングステン)などで形成されている。
バイアス下地層27,27の膜厚は20Å〜100Å、ハードバイアス層28,28の膜厚は100Å〜400Å、電極層29,29の膜厚は400Å〜1500Åである。
電極層29,29、及び保護層26上には、アルミナなどの絶縁性材料からなる上部ギャップ層30が積層される。なお、図示はしないが、下部ギャップ層20の下には下部シールド層が設けられ、上部ギャップ層上には上部シールド層が設けられる。下部シールド層及び上部シールド層はNiFeなどの軟磁性材料によって形成される。上部ギャップ層及び下部ギャップ層の膜厚は50Å〜300Åである。
フリー磁性層25の磁化は、ハードバイアス層28,28からの縦バイアス磁界によってトラック幅方向(図示X方向)に揃えられる。そして記録媒体からの信号磁界(外部磁界)に対し、フリー磁性層25の磁化が感度良く変動する。一方、固定磁性層23の磁化は、ハイト方向(図示Y方向)と平行な方向に固定されている。
フリー磁性層25の磁化方向の変動と、固定磁性層23の固定磁化方向(特に第2磁性層23cの固定磁化方向)との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化または電流変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
本実施の形態の特徴部分について述べる。
図1に示される磁気検出素子の固定磁性層23は、第1磁性層23aと第2磁性層23cが非磁性中間層23bを介して積層された人工フェリ構造を有している。第1磁性層23aの磁化と第2磁性層23cの磁化は、非磁性中間層23bを介したRKKY相互作用によって互いに反平行方向に向けられている。
本発明は、前記第1磁性層23aと非磁性金属層22の材質等を適正化することで、前記第1磁性層23aの磁歪定数λsを従来よりも大きくしている。まず非磁性金属層22について説明する。
第1磁性層23aは、第2磁性層23cより非磁性材料層24から離れた位置に形成されており、非磁性金属層22に接している。
非磁性金属層22は、X―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金によって形成されている。
非磁性金属層22の膜厚は、5Å以上50Å以下であることが好ましい。
X―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)からなる非磁性金属層22の膜厚がこの範囲内であると、非磁性金属層22の結晶構造は、成膜時の状態である面心立方格子(fcc)構造を維持しつづける。なお、非磁性金属層22の膜厚が、50Åより大きくなると、250℃以上の熱が加わったときに、非磁性金属層22の結晶構造がCuAuI型の規則型の面心正方格子(fct)構造に構造変態するので好ましくない。ただし、非磁性金属層22の膜厚が、50Åより大きくても、250℃以上の熱が加わらなければ、非磁性金属層の結晶構造は、成膜時の状態である面心立方格子(fcc)構造を維持しつづける。
なおCuAuI型の規則相への変態は、その過程で、原子の再配列が起こり第1磁性層23aとの界面での整合関係が崩れるので磁歪増強の観点からは好ましくないが、一部のみが規則相へ変態するのであれば、磁歪の低下は少なく、なお且つ反強磁性による第1磁性層23aの保磁力増大効果も付加されるので、一部のみ規則化されてもよい。
X―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)からなる非磁性金属層22が面心立方格子(fcc)構造の結晶構造を有するとき、この非磁性金属層22と第1磁性層23aとの界面には交換結合磁界は発生しないか、または極めて弱く、交換結合磁界によって第1磁性層23aの磁化方向を固定することはできない。
また前記非磁性金属層22は室温以下では反強磁性となるが、その大部分が室温よりも低いブロッキング温度(T)を有しているため、室温では大部分が非磁性であるが、一部に室温よりも高いブロッキング温度を有する反強磁性相があってもよい。
図1に示す実施形態では、固定磁性層23の磁化を固定する一軸異方性を決める、誘導磁気異方性と磁気弾性効果のうち、磁気弾性効果を主に利用している。
磁気弾性効果は、磁気弾性エネルギーに支配される。磁気弾性エネルギーは、固定磁性層23にかかる応力σと固定磁性層23の磁歪定数λによって規定される。
図2は、図1に示された磁気検出素子を図示上側(図示Z方向と反対方向)からみた平面図である。磁気検出素子の多層膜T1は一対のバイアス下地層27,27、ハードバイアス層28,28及び電極層29,29の間に形成されている。なお、バイアス下地層27,27、ハードバイアス層28,28は、電極層29,29の下に設けられているので、図2には図示されていない。多層膜T1と、バイアス下地層27,27、ハードバイアス層28,28及び電極層29,29の周囲は、斜線で示される絶縁材料層31によって埋められている。
また、多層膜T1、バイアス下地層27,27、ハードバイアス層28,28、及び電極層29,29の記録媒体との対向面側の端面Fは露出しているか、またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)などからなる膜厚20Å〜50Å薄い保護層で覆われているだけであり、開放端となっている。
従って、もともと2次元的に等方的であった下部ギャップ層20及び上部ギャップ層30からの応力が端面Fで開放された結果、対称性がくずれて、多層膜T1には、ハイト方向(図示Y方向)に平行な方向に、引っ張り応力が加えられている。また、バイアス下地層27,27、ハードバイアス層28,28、及び電極層29,29の積層膜が圧縮性の内部応力を有している場合には、電極層などが面内方向に延びようとするため、多層膜T1には、トラック幅方向に(図示X方向に)平行な方向及び反平行な方向に圧縮応力を加えられている。
すなわち、記録媒体との対向面側の端面Fが開放されている固定磁性層23には、ハイト方向の引張り応力とトラック幅方向の圧縮応力が加えられる。そして、第1磁性層23aは、磁歪定数が正の値である磁性材料によって形成されているので、磁気弾性効果によって、第1磁性層23aの磁化容易軸は磁気検出素子の奥側(ハイト方向;図示Y方向)に平行方向となり、第1磁性層23aの磁化方向がハイト方向と平行方向または反平行方向に固定される。第2磁性層23cの磁化は、非磁性中間層23bを介したRKKY相互作用によって第1磁性層23aの磁化方向と反平行方向を向いた状態で固定される。
本発明では、固定磁性層23の磁歪定数を大きくすることによって磁気弾性エネルギーを大きくし、これによって、固定磁性層23の一軸異方性を大きくするものである。固定磁性層23の一軸異方性が大きくなると、固定磁性層23の磁化は一定の方向に強固に固定され、磁気検出素子の出力が大きくなりかつ出力の安定性や対称性も向上する。また例えば、静電気放電(ESD)による過渡電流が流れたときでも、磁化反転を起こしにくい磁気検出素子を提供できる。
本発明では、第1の特徴点として、固定磁性層23を構成する第1磁性層23aと接する非磁性金属層22の材質等を上記のように適正化し、第1磁性層23aの結晶構造に歪みを生じさせて第1磁性層23aの磁歪定数λを大きくさせている。
第1磁性層23aを構成する原子と非磁性金属層22を構成する原子は、互いに重なりあいやすい状態であり、非磁性金属層22内の結晶と固定磁性層23内の結晶の少なくとも一部はエピタキシャルあるいはヘテロエピタキシャルな状態になっている。
非磁性金属層22を構成する原子と第1磁性層23aの原子とを重なり合わせつつ、結晶構造に歪みを生じさせ、第1磁性層23aの磁歪を大きくするために、非磁性金属層22の材料である前記X―Mn合金中のX元素の含有量を調節することが好ましい。
例えば、前記X―Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上)中のX元素の含有量を、51原子%以上にすると、非磁性金属層22に重なる第1磁性層23aの磁歪が急激に増加する。また、前記X―Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上)中のX元素の含有量が、45原子%以上99原子%以下であると、前記第1磁性層の磁歪が大きな値をとる。さらに前記X―Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上)中のX元素の含有量が、55原子%以上99原子%以下であると、前記第1磁性層の磁歪が大きな値をとりつつ安定する。
また本発明では、前記X―Mn合金(ただしXは、Ir,Rh,Ruのいずれか1種または2種以上)中のX元素の含有量は、17原子%以上99原子%以下であることが好ましい。
さらに、Ir―Mn合金中のIrの含有量は、20原子%以上99原子%以下であることが好ましい。
これにより第1磁性層23aの磁歪をより適切に大きくすることが出来る。
本発明の第2の特徴として、前記第1磁性層23aを、CoとFeを主体とし、さらに希土類元素あるいは貴金属元素を添加した磁性材料で形成する。
前記第1磁性層23aとして使用される材質には、正磁歪であること、第2磁性層23cとの間で生じるRKKY相互作用が大きくなり第1磁性層23aと第2磁性層23cとを適切に反平行に磁化固定できること、多層膜T1の結晶配向性を良好に維持できること、が必要である。
従来から第1磁性層23aとして一般的に使用されているCoFe合金やCoは上記の要件を満たすものであるが、上記の要件を満たし、なおかつ、第1磁性層23aの磁歪定数λsを、CoFe合金やCoを使用した場合に比べて大きく出来る材質として、本発明では、CoとFeを主体とし、さらに希土類元素あるいは貴金属元素を添加した磁性材料を提供する。
本発明では、前記希土類元素は、Tb,Sm,Pr,Y,Ce,Nd,Gd,Dy,Ho,Er,Ybの中から少なくとも1種類が選択されてなることが好ましい。かかる場合、前記第1磁性層23aは、(CoFe1−x100−yで表わされる磁性材料で形成され、元素Mは、Tb,Sm,Pr,Y,Ce,Nd,Gd,Dy,Ho,Er,Ybの中から少なくとも1種類が選択されてなり、組成比yは、0.3at%以上で5at%以下であることが好ましい。
後述する実験結果によれば、前記元素Mの組成比yを0.3at%〜5at%の範囲内にすることで、前記第1磁性層23aの磁歪増強効果が適切に得られた。本発明では、前記元素Mの組成比を4at%以下にすることで、前記元素Mを添加しない場合の磁性材料の磁歪定数に比べて確実に高い値の磁歪定数を得ることが出来た。
また本発明では、前記貴金属元素は、Pt,Rh,Ir,Reの中から少なくとも1種類が選択されてなることが好ましい。またかかる場合、前記第1磁性層23aは、(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料で形成され、元素Nは、Pt,Rh,Ir,Reの中から少なくとも1種類が選択されてなり、組成比zは、5at%以上で20at%以下であることが好ましい。
後述する実験結果によれば、前記元素Nの組成比zを5at%〜20at%の範囲内にすることで、前記第1磁性層23aの磁歪増強効果が適切に得られた。本発明では、前記元素Nの組成比を16at%以下にすることで、前記元素Nを添加しない場合の磁性材料の磁歪定数に比べて確実に高い値の磁歪定数を得ることが出来た。
また、元素NのPtを選択したCoFe−PtあるいはCo−Ptでは、Ptの組成比を10at%以上にすれば第1磁性層23aの保磁力増強効果が顕著に現れた。
また元素NにIrを選択した場合には、元素Nを添加しないCoFeやCoに比べて非常に高い磁歪定数が得られ、しかも保磁力Hcも安定して高い値を得ることが出来た。
また本発明では、原子比率xは、1あるいは0.4〜0.6の範囲内であることが好ましい。これにより前記第1磁性層23aの保磁力Hcを増大させることができる。また、前記第2磁性層23cとの間で発生するRKKY相互作用も大きくでき、前記第1磁性層23aと第2磁性層23cとを適切に反平行状態に磁化固定することが出来る。また前記第1磁性層23aの結晶配向性も良好に出来る。本発明では、前記第1磁性層23aは、前記非磁性金属層側の界面付近あるいは全領域において面心立方格子(fcc)構造又は体心立方格子(bcc)構造をとり、前記界面と平行な方向に、{111}面又は{110}面として表される等価な結晶面が優先配向していることが好ましい。
また本発明では、前記第1磁性層23aの膜厚は、12〜19Åの範囲内であることが好ましい。前記第1磁性層23aの膜厚が大きすぎると、第1磁性層23aに生じる歪みが小さくなり、磁歪定数λ及び一軸異方性も小さくなってしまう。
また前記固定磁性層23を構成する第1磁性層23aと第2磁性層23cとの単位面積当たりの合成磁気モーメント(Net Mst)は、0.07(memu/cm)={0.32π(T・nm)}〜0.13(memu/cm)={0.52(T・nm)}の範囲内であることが好ましい。これにより従来、第1磁性層23aをCoあるいはCoFe合金等で形成した場合と同程度の抵抗変化率(ΔR/R)を得ることが可能である。
前記第1磁性層23aを上記した(CoFe1−x100−y、あるいは(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料で形成すると、前記第1磁性層23aの磁歪定数λsを、CoFe合金やCoの場合に比べて大きくできるのは、(CoFe1−x100−y、あるいは(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料が、CoFe合金やCoに比べて大きい格子定数を有しているからであると考えられる。
本実施の形態の磁気検出素子では、図3に模式的に示すように、非磁性金属層22を構成する原子と第1磁性層23aの原子とが重なり合いつつも、界面付近で結晶構造に歪みが生じている状態になる。
図3において符号N1は第1磁性層23aの{111}面内の最近接原子間距離を示しており、符号N2は非磁性金属層22の{111}面内の最近接原子間距離を示している。N1及びN2は、非磁性金属層22と第1磁性層23aの界面から離れた歪みの影響の少ないところで測定する。図3に示すように、第1磁性層23aの{111}面内の最近接原子間距離N1は非磁性金属層22の{111}面内の最近接原子間距離N2に比べて小さい。
上記のように、第1磁性層23aの結晶構造に歪みが生じると、第1磁性層23aの磁歪定数λを大きくすることができるので、大きな磁気弾性効果を発揮することができる。
上記したように、前記第1磁性層23aを(CoFe1−x100−y、あるいは(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料で形成すると、格子定数をCoFe合金やCoに比べて大きく出来るから、第1磁性層23aの{111}面内の最近接原子間距離N1は、第1磁性層23aをCoFe合金やCoで形成した場合に比べて広がる。
この結果、前記第1磁性層23aと非磁性金属層22との界面では、前記第1磁性層23aを構成する原子と非磁性金属層22を構成する原子どうしが重なり合いやすくなり、効果的に前記第1磁性層23aの界面付近での結晶構造に大きな歪みを生じさせることが出来、前記第1磁性層23aの磁歪定数λsを大きく出来る。
一方、第1磁性層23aをCoFe合金やCoで形成した場合には、前記第1磁性層23aと非磁性金属層22との界面での原子間の重なり合いが少なくなり、この結果、有効に前記第1磁性層23aの界面付近での結晶構造に歪みを持たせることができず、前記第1磁性層23aの磁歪定数λsは、前記第1磁性層23aを上記した(CoFe1−x100−y、あるいは(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料で形成した場合に比べて小さくなりやすい。
なお、本発明では、第1磁性層23aと非磁性金属層22の界面付近で、第1磁性層23aを構成する原子と、非磁性金属層22を構成する原子の大部分が互いに重なり合う整合状態になっていればよい。例えば、図3に模式的に示すように、一部に、第1磁性層23aを構成する原子と、非磁性金属層22を構成する原子が重なり合わない領域があってもよい。
本発明では、非磁性金属層22と第1磁性層23aのミスマッチ値は0.1以上で0.2以下であることが好ましい。ここで「ミスマッチ値」とは、非磁性金属層22の{111}面内の最近接原子間距離と、固定磁性層23の第1磁性層23aの{111}面内の最近接原子間距離との差を、第1磁性層23aの{111}面内の最近接原子間距離で割った値である。
なお上記では、前記第1磁性層23aの結晶構造が、fcc構造を有することが好ましいと説明したが、前記第1磁性層23aは体心立方格子(bcc)構造をとり、界面と平行な方向に、{110}面として表される等価な結晶面が優先配向しているものであってもよい。
上述したように、非磁性金属層22は、fcc構造をとり、界面と平行な方向に{111}面として表される等価な結晶面が優先配向しているものである。
bcc構造を有する結晶の{110}面として表される等価な結晶面の原子配列とfcc構造を有する結晶の{111}面として表される等価な結晶面の原子配列は類似しており、bcc構造を有する結晶とfcc構造を有する結晶の少なくとも一部を、各々の原子が重なり合った整合状態、いわゆるヘテロエピタキシャルな状態にすることができる。
また、第2磁性層23cの材料には、bcc構造をとるCoFe(m≧20at%,l+m=100at%)、fcc構造をとるCoまたはCoFe(o≦20at%,n+o=100at%)のどちらを用いてもよい。
第2磁性層23cの材料に、bcc構造をとるCoFe(m≧20at%,l+m=100at%)を用いると、正磁歪を大きくすることができる。bcc構造をとるCoFe(o≧20,n+o=100)は、保磁力が大きく、固定磁性層23の磁化固定を強固にすることができる。また、非磁性中間層23bを介した第1磁性層23aと第2磁性層23c間のRKKY相互作用が強くなる。
一方、第2磁性層23cは、非磁性材料層24に接しており、磁気抵抗効果に大きな影響を及ぼす層なので、fcc構造をとるCoまたはCoFe(m≦20,l+m=100)を用いて形成すると磁気抵抗効果の劣化が少ない。
図4は、固定磁性層23の他の様態を示す部分断面図である。
図4に示されるように、固定磁性層23を構成する第1磁性層23aは2層構造で形成され、非磁性金属層22側に非磁性金属層側磁性層23a1が設けられ、非磁性中間層23b側に非磁性中間層側磁性層23a2が形成されている。
この実施形態では、前記非磁性金属層側磁性層23a1は、上記した(CoFe1−x100−y、あるいは(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料で形成されていることが好ましい。これにより前記第1磁性層23aの磁歪定数λsを大きくすることが出来る。
一方、前記非磁性中間層側磁性層23a2は、CoFe合金あるいはCoで形成されることが好ましい。前記非磁性中間層側磁性層23a2をCo、あるいはCoFe100−w(ただし組成比wは40〜60at%)で形成することにより、非磁性中間層23bを介した第1磁性層23aと第2磁性層23c間のRKKY相互作用を強く出来る。この結果、GMR特性を向上させることが出来る。
なお第1磁性層23aは3層以上の積層構造であってもよいが、かかる場合でも前記非磁性金属層22に接する磁性層が、上記した(CoFe1−x100−y、あるいは(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料で形成され、さらに非磁性中間層23bに接する磁性層が、Co、あるいはCoFe100−w(ただし組成比wは40〜60at%)で形成されることが好ましい。
図5は、本発明の第2の実施の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た断面図である。
図5に示された磁気検出素子は、図1に示された磁気検出素子に類似しており、多層膜T1の代わりに、多層膜T2が形成されている点で図1に示された磁気検出素子と異なっている。多層膜T2は、下から順にシードレイヤ21、フリー磁性層25、非磁性材料層24、第2磁性層23c、非磁性中間層23b、第1磁性層23aからなる固定磁性層23、非磁性金属層22、及び保護層26が積層されたものである。すなわち、多層膜T2は、多層膜T1の各層の積層順序を逆にしたものである。
本実施の形態の磁気検出素子でも、固定磁性層23の第1磁性層23aが非磁性金属層22に接している。
本実施の形態でも、非磁性金属層22の結晶構造は、成膜時の状態である面心立方格子(fcc)構造を維持しつづける。
また前記第1磁性層23aは、上記した(CoFe1−x100−y、あるいは(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料で形成されている。
図5に示す実施形態でも図3で説明したのと同様の現象が生じている。すなわち非磁性金属層22を構成する原子と、固定磁性層23の第1磁性層23aを構成する原子とは互いに重なりつつも、前記第1磁性層23aの界面で歪みを生じながら、非磁性金属層22内の結晶と第1磁性層23a内の結晶の少なくとも一部がエピタキシャルな、あるいはヘテロエピタキシャルな状態になっている。この結果、前記第1磁性層23aの磁歪定数λsを効果的に大きくすることが出来る。
また図5に示す実施形態のように、下からフリー磁性層25、非磁性材料層24及び固定磁性層23の順に積層された構成では、前記多層膜T2の結晶配向性を良好に維持しやすい。高配向性は磁気検出素子では高い抵抗変化率(ΔR/R)を確保する上で重要な要素である。
図1の構成では、フリー磁性層25の下に多数の層が積層されており、例えばこれら全ての層は{111}面として表される等価な結晶面、あるいは{111}面と類似する結晶面(例えば{110}面)が優先配向するものであればよいが、これらの層のうちのいずれかが結晶配向性を乱す低配向性のものであると、フリー磁性層25の結晶配向性も劣化し、その結果、抵抗変化率(ΔR/R)は低下してしまう。
一方、図5の構成であると、磁気抵抗効果に寄与するフリー磁性層25及び第2磁性層23cは、多層膜T2の下方側に形成されるので、上記のような結晶配向性の劣化は、図1の形態に比べて小さくなり、その結果、図1の形態に比べて抵抗変化率(ΔR/R)を向上させやすい構造となっている。
特に本発明では第1磁性層23aに、希土類元素あるいは貴金属元素を添加するが、これら元素の添加は添加しない場合に比べて結晶配向性を劣化させやすい傾向にある。このため図5のように、第1磁性層23aよりも下側に第2磁性層23c、及びフリー磁性層25が設けられる構成であることが好ましい。
図6は、本発明の第3の実施の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た断面図である。
図6は図1と類似する多層膜T3を有しており、図1と異なって前記固定磁性層23と非磁性金属層22との間には前記固定磁性層23の保磁力Hcを増大させるための非磁性層32が形成されている。前記非磁性層32は前記固定磁性層23に接して形成されていることが好ましい。前記非磁性層32は前記固定磁性層23の保磁力Hcを増大させるために設けられた層である。前記非磁性層32と固定磁性層23とが接して形成されていることで、前記固定磁性層23の保磁力Hcをより効果的に増大させることが出来る。
前記非磁性層32は、具体的にはCuあるいは、(NiuFe1−u100−vCr(ただし、uは原子比率で0〜1、vは18〜50at%、あるいは90〜100at%である)で形成される。前記(NiFe1−u100−vCrのu及びvの組成範囲は非磁性としての性質を帯びる範囲である。
なおより好ましくは前記uは、0.7〜1の範囲内で、vは22〜45at%の範囲内である。この範囲内であると前記固定磁性層23の保磁力Hcをより効果的に増大させることが出来る。
また前記非磁性層32の膜厚は、3Å以上で10Å以下であることが好ましい。
図6の実施形態では、非磁性金属層22/非磁性層32/固定磁性層23の順に積層された構成であり、これにより、前記固定磁性層23の磁歪定数のみらず保磁力Hcをも大きく出来る。前記固定磁性層23の下に直接、非磁性金属層22が設けられていないので、図3で説明した第1磁性層23aの界面での結晶構造の歪みは小さくなり、図1の形態に比べて固定磁性層23の磁歪定数λsを大きくすることができないと予測されるが、図6の構成では、前記固定磁性層23を構成する第1磁性層23aに、上記した(CoFe1−x100−y、あるいは(CoFe1−x100−zで表わされる磁性材料を使用しているので、前記第1磁性層23aにCoやCoFe合金を使用した場合に比べて第1磁性層23aの磁歪定数を大きくできるし、さらに前記第1磁性層23aの保磁力Hcも大きくできるため、磁気検出素子の製造過程における過度なストレスや、メディア上に前記磁気検出素子が浮上している最中に、前記磁気検出素子が前記メディア上の突起等に衝突するなどして過度なストレス(メカニカルストレス)が加わっても、前記固定磁性層23の磁化反転を適切に抑制できる。
図1,図5及び図6の構成において、固定磁性層23の磁気弾性効果に基づく異方性を大きくするためには、多層膜T1,T2,T3に対して、バイアス下地層27,27、ハードバイアス層28,28、及び電極層29,29からトラック幅方向に(図示X方向)に平行な方向及び反平行な方向に加わる圧縮応力を大きくすることが好ましい。
例えば、電極層29,29がCr(クロム)、α−Ta、またはRhで形成され、しかも電極層29,29の結晶格子面の膜面平行方向の面間隔がCrの場合で0.2044nm以上(bcc構造の{110}面間隔)、α−Taの場合で0.2337nm以上(bcc構造の{110}面間隔)、Rhの場合で0.2200nm以上(fcc構造の{111}面間隔)であると、多層膜T1,T2,T3に加わる圧縮応力を大きくすることができる。このとき、図2に示される矢印方向、すなわち電極層29,29の外側方向に向けて、電極層29,29が延伸し、多層膜T1,T2,T3に対し、トラック幅方向に(図示X方向)に平行な方向及び反平行な方向に圧縮応力が加えられる。
電極層29,29の結晶格子面の膜面平行方向の面間隔は、X線回折や電子線回折によって測定することができる。なお、バルク状態のCr,α−Ta、またはRhは、結晶格子面の膜面平行方向の面間隔がCrの場合で0.2040nm(bcc構造の{110}面間隔)、α−Taの場合で0.2332nm(bcc構造の{110}面間隔)、Rhの場合で0.2196nm(fcc構造の{111}面間隔)であり、前記面間隔がこの値以上になると電極層29,29が多層膜T1,T2,T3に対し圧縮応力を与えるように作用する。
電極層29,29をCrによって形成したときと、Auのような軟い金属材料によって形成したときとでは、前記圧縮応力に以下のような違いが生じる。
例えば、下から順に、バイアス下地層:Cr(50Å)/ハードバイアス層:CoPt(200Å)/中間層:Ta(50Å)/電極層:Au(800Å)/保護層:Ta(50Å)が積層された膜が生じさせる圧縮応力は、280MPaである。
これに対し、下から順に、バイアス下地層:Cr(50Å)/ハードバイアス層:CoPt(200Å)/中間層:Ta(50Å)/電極層:Cr(1400Å)/保護層:Ta(50Å)が積層された膜が生じさせる圧縮応力は、670MPaである。
なお、中間層Ta(50Å)と保護層Ta(50Å)は図1,T5,図6には示されていないが、それぞれ、電極層の結晶配向性を整える層と酸化防止層として機能する。
なお、電極層29,29をスパッタ成膜するときには、イオンビームスパッタ法を用い、スパッタ装置内のAr,Xe,Krなどの圧力を5×10−3〜1×10−1(Pa)と小さくする。スパッタ装置内のAr,Xe,Krなどの圧力が小さいと、電極層を形成するCr,Ta,Rh原子がAr原子に衝突する確率が減少するので、Crなどの原子は高いエネルギーを保持したまま堆積していく。既に成膜されているCrなどの膜に、ターゲットから飛来したなどのCr原子が大きなエネルギーをもって衝突して埋め込まれていくと、電極層29,29が外側方向に向けて延伸する。
固定磁性層23のトラック幅方向の両端部はハードバイアス層28,28が発生する縦バイアス磁界によって磁化方向が傾きやすくなっている。しかし、固定磁性層23のトラック幅方向の両端部には大きな圧縮応力が加わる。従って、固定磁性層23のトラック幅方向の両端部は、磁気弾性効果による異方性が大きくなり、磁化方向が一方向に強く固定される。
本発明は、固定磁性層23の両側からの圧縮応力と磁歪との関係に基づく一軸異方性によって、固定磁性層23の磁化方向を固定するものであり、固定磁性層にかかる圧縮応力は固定磁性層23の光学的トラック幅方向の両端部で強く、中央部で弱い。従って、固定磁性層23の光学的トラック幅方向の幅寸法が大きいと、固定磁性層23の中央部付近の磁化方向固定力が小さくなる。従って、固定磁性層23の光学的トラック幅寸法W1は、0.15μm以下であることが好ましい。
なお、フリー磁性層25の磁歪は負磁歪にすることが好ましい。上記したように、磁気検出素子の多層膜T1,T2,T3には、両側から圧縮応力が加わっているので、負磁歪のフリー磁性層25は磁気弾性効果によって、トラック幅方向(図示X方向)に平行または反平行方向が磁化容易軸になりやすくなる。
フリー磁性層25のトラック幅方向の両端部は反磁界によって磁化が不安定になりやすい。しかし、フリー磁性層25のトラック幅方向の両端部は、ハードバイアス層28,28に近く、大きな圧縮応力が加わる。従って、フリー磁性層25のトラック幅方向の両端部は、磁気弾性効果による異方性が大きくなり、磁化方向が安定化する。
従って、ハードバイアス層28,28の膜厚を小さくして、縦バイアス磁界を小さくしてもフリー磁性層25を安定した単磁区状態にすることができる。ハードバイアス層28,28の膜厚を小さくして、縦バイアス磁界を小さくできると、固定磁性層23のハイト方向への磁化固定状態を安定化できる。
なお、フリー磁性層25の中央部付近の圧縮応力は、両端部の圧縮応力よりも小さいので、磁界検出感度の低下を抑えることができる。
フリー磁性層25の磁歪定数λは、−8×10−6≦λ≦−0.5×10−6の範囲であることが好ましい。また、ハードバイアス層28,28の膜厚tは100Å≦t≦200Åであることが好ましい。フリー磁性層25の磁歪λが小さすぎると、あるいはハードバイアス層28,28の膜厚tが厚すぎると磁気検出素子の再生感度が低下する。一方、フリー磁性層25の磁歪λが大きすぎると、あるいはハードバイアス層28,28の膜厚tが薄すぎると磁気検出素子の再生波形に乱れが生じやすい。
図1、図5,図6に示された本実施の形態の磁気検出素子は、スパッタ法又は蒸着法による薄膜形成及びレジストフォトリゾグラフィーによるパターン形成によって製造される。スパッタ法及びレジストフォトリゾグラフィーは磁気検出素子を形成するときに、通常用いられる方法を使用する。
なお本実施の形態では、多層膜T1,T2,T3の両側部にハードバイアス層28,28と電極層29,29の積層体が形成され、この積層体によって多層膜T1,T2,T3に圧縮応力が加えられている。ただし、多層膜T1,T2,T3の両側部にはハードバイアス層28,28がなくてもよい。例えば、多層膜T1,T2,T3の両側部に、軟磁性材料層と反強磁性層の積層体が設けられていてもよいし、多層膜T1,T2,T3の両側部が絶縁層であってもよい。
なお、本発明は、多層膜T1,T2,T3の膜厚垂直方向にセンス電流が流されるトンネル型磁気抵抗効果素子やCPP−GMR型磁気検出素子に用いてもよい。この場合、電極層は、多層膜T1,T2,T3の上下にそれぞれ形成されることになる。
以上本発明をその好ましい実施例に関して述べたが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変更を加えることができる。
なお、上述した実施例はあくまでも例示であり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
以下の膜構成からなる試料を形成した。
(膜構成)
シード層;(Ni0.8Fe0.260Cr40(52)/非磁性金属層;Pt50at%Mn50at%(30)/第1磁性層(50)/Ru(9.1)/Cu(65)/Ta(30)
なお括弧書きは膜厚を示し単位はÅである。
前記第1磁性層をTb−Co,Pr−Co及びSm−Coで形成した各試料を用い、Tb,Pr及びSmの組成比と前記第1磁性層の磁歪定数λsとの関係を調べた。磁歪定数λsは光てこ法によって測定した。その実験結果が図7である。
Tb−Co,Pr−Co及びSm−Coの全てにおいて、Tb,Pr及びSmの組成比が約1(at%)のとき、第1磁性層の磁歪定数λsは最大となった。前記Tb,Pr及びSmの組成比を1(at%)よりも大きくしていくと、徐々に第1磁性層の磁歪定数λsは小さくなっていき、前記Tb,Pr及びSmの組成比が5at%を越えると、第1磁性層の磁歪定数が50(ppm)を下回り、前記Tb,Pr及びSmを添加しない場合の磁性材料、すなわち第1磁性層としてCoを使用した場合の磁歪定数λsよりも小さい磁歪定数しか得られないことがわかった。第1磁性層としてCoを使用した場合の磁歪定数λsよりも確実に大きい磁歪定数を得るには、前記Tb,Pr及びSmの組成比を4at%以下にすることが好ましいこともわかった。
また前記Tb,Pr及びSmの組成比を0.3at%以上にすれば、第1磁性層としてCoを使用した場合の磁歪定数λsよりも確実に大きい磁歪定数を得られることがわかった。
次に、以下の膜構成からなる試料を形成した。
シード層;(Ni0.8Fe0.260Cr40(52)/非磁性金属層;Pt50at%Mn50at%(30)/第1磁性層/Ru(9.1)/第2磁性層;Co(20)/Cu(18)/フリー磁性層;[CoFe(10)/NiFe(28または32)]/Ta(30)
なお括弧書きは膜厚を示し単位はÅである。
Figure 0004506242
表1に示すように前記第1磁性層(pin1)をTb−Co,Pr−Co,Sm−Co及びCoで形成し膜厚を種々変えた各試料を用い、スピンフロップ磁界(Hsf)と抵抗変化率(ΔR/R)との関係を調べた。
なお各試料における第1磁性層の組成比、及びフリー磁性層の膜厚は表1,図8に記載されている通りである。
ここでスピンフロップ磁界Hsfとは前記第1磁性層と第2磁性層との反平行の磁化状態が崩れるときの磁界の大きさを意味する。このスピンフロップ磁界が大きいほど前記第1磁性層と第2磁性層は反平行の磁化状態を適切に保つ。
図8に示すように、前記第1磁性層をTb−Co,Pr−Co,Sm−Coで形成した各試料のスピンフロップ磁界(Hsf)は、前記第1磁性層をCoで形成した場合とさほど変らない値をとる。
しかし抵抗変化率(ΔR/R)は、前記第1磁性層をCoで形成した方が、前記第1磁性層をTb−Co,Pr−Co,Sm−Coで形成した場合よりも大きくなることがわかった。
ただし、前記第1磁性層をTb−Co,Pr−Co,Sm−Coで形成した各試料においてスピンフロップ磁界(Hsf)を大きくしていけば、ΔR/Rも上昇する傾向にあり、スピンフロップ磁界が2000(Oe)(=約15.8×10(A/m))以上であればΔR/Rを12%以上にでき、第1磁性層にCoを使用した試料のΔR/Rに近づけることが出来る。
図7に示す実験結果から、第1磁性層に希土類元素を添加する場合、その添加量は0.3(at%)以上で5(at%)以下であることが好ましいことを導き出した。
次に、以下の膜構成からなる試料を形成した。
シード層;(Ni0.8Fe0.260Cr40(52)/非磁性金属層;Pt50at%Mn50at%(第1磁性層がIr−Co,Rh−Coのとき10Å、Pt−Coのとき30)/第1磁性層(Ir−Co,Rh−Coのとき50Å、Pt−CoのときPtの組成比の小さい方から20Å、22.4Å、24Å)/Ru(9.1)
なお括弧書きは膜厚を示し単位はÅである。
第1磁性層をIr−Co,Rh−Co及びPt−Coで形成した各試料を用い、Ir,Rh,Ptの組成比と第1磁性層の保磁力Hcとの関係を調べた。その実験結果が図9である。
図9に示すように、第1磁性層にRh−Coを使用した場合には、第1磁性層にCoを使用した場合とさほど変らない保磁力Hcを示した。一方、第1磁性層にIr−Coを使用した場合には、第1磁性層にCoを使用した場合に比べて第1磁性層の保磁力Hcを大きくすることができた。
また前記第1磁性層にPt−Coを使用した場合には、第1磁性層にCoを使用した場合に比べて第1磁性層の保磁力Hcを大きくすることができ、特にPtの組成比を10at%以上にすると顕著に保磁力Hcの増強効果が得られた。
図10は図9の実験に使用したのと同じ試料を用い、Ir,Rhの組成比と第1磁性層の磁歪定数との関係を測定したグラフである。磁歪定数は光てこ法によって測定した。
図10に示すように、Ir及びRhの組成比を大きくしていくと6〜8(at%)程度までは第1磁性層の磁歪定数は上昇していき、Ir及びRhの組成比が約8(at%)以上に大きくなると前記第1磁性層の磁歪定数は徐々に低下していくことがわかった。
次に、以下の膜構成からなる試料を形成した。
シード層;(Ni0.8Fe0.260Cr40(52)/非磁性金属層;Pt50at%Mn50at%(30)/第1磁性層;Pt−Co(Ptが0at%のとき、20Å、Ptが10.7at%のとき22.4Å、Ptが16.7at%のとき24Å)/Ru(8.7)/第2磁性層;Co(40)/Cu(21)/Co90Fe10(14)/Ru(9)/Co90Fe10(14)/PtMn(140)/Ta(30)
なお括弧書きは膜厚を示し単位はÅである。
上記試料を用い、第1磁性層を構成するPt−CoのPtの組成比を変化させた時の、第1磁性層/Ru/第2磁性層のシンセティックフェリピンド構造からなる固定磁性層の磁歪定数λsを求めた。なお磁歪定数はベンディング法によって測定した。ベンディング法とは、上記膜構成から成る試料を湾曲させて一軸性の歪みを与え、逆磁歪効果による一軸異方性の変化から磁歪定数を測定する方法である。実験結果は図11に示されている。
図11に示すように、第1磁性層を構成するPt−CoのPtの組成比を約10at%程度まで大きくしていくと、それにつれて固定磁性層の磁歪定数λsも徐々に大きくなっていき、第1磁性層を構成するPt−CoのPtの組成比を約10at%より大きくしていくと、徐々に固定磁性層の磁歪定数λsが低下していった。
図9ないし図11に示す実験結果から、第1磁性層に貴金属元素を添加する場合、その添加量は5(at%)以上で20(at%)以下であることが好ましいことを導き出した。前記添加量を5(at%)以上にすると磁歪定数と共に保磁力Hcも大きく出来る。一方、前記添加量を20(at%)よりも大きくしていくと、Ir,Rh,Ptを添加しない場合の磁性材料、すなわちCoを第1磁性層として使用した場合に比べて、磁歪定数λsが低くなりやすいので、前記添加量の上限を20(at%)に設定した。より好ましくは前記添加量の上限を16at%以下にすれば、確実に、Ir,Rh,Ptを添加しない場合の磁性材料を第1磁性層として使用した場合に比べて、磁歪定数λsを高く出来ることがわかった。
なお図9ないし図11に示す実験結果から、第1磁性層の磁歪定数を、貴金属元素を添加しない磁性材料(CoやCoFe)に比べて非常に大きい値に設定するには第1磁性層にIr−Coを用いることが好ましく、前記磁歪定数を貴金属元素の添加量にさほど左右されずに、貴金属元素を添加しない磁性材料(CoやCoFe)に比べて磁歪定数が大きく安定したものにするには、第1磁性層にPt−Coを使用することが好ましいことがわかった。
また第1磁性層にIr−CoあるいはPt−Coを使用すれば第1磁性層の保磁力も適切に向上させることが出来ることがわかった。
次に、以下の膜構成からなる試料を形成した。
シード層;(Ni0.8Fe0.260Cr40(52)/非磁性金属層;Pt50at%Mn50at%(10)/第1磁性層/Ru(9.1)/第2磁性層;Co(20)/Cu(18)/フリー磁性層;[CoFe(10)/NiFe(32)]/Ta(30)
なお括弧書きは膜厚を示し単位はÅである。
Figure 0004506242
実験では表2に示す第1磁性層(pin1)の膜厚を変化させて第1磁性層と第2磁性層の単位面積当たりの合成磁気モーメント(net−Ms・t)を変化させていき、net−Ms・tと抵抗変化率(ΔR/R)との関係を調べた。なお各試料における第1磁性層の材質及び組成比は表2,図12に示した通りである。
図12に示すように、net−Ms・tが大きくなっていくと、それにつれてΔR/Rも大きくなっていくことがわかった。
図12に示すように、第1磁性層にRh−Coを使用した場合には、第1磁性層にCoを使用した場合に比べて、同じnet−Ms・tが得られてもΔR/Rは小さくなる傾向にあるが、第1磁性層にIr−Coを使用した場合には、第1磁性層にCoを使用した場合に比べて、同じnet−Ms・tが得られた場合に、同程度かあるいは高いΔR/Rが得られることがわかった。
このためΔR/Rの向上の観点からは第1磁性層にIr−Coを用いることが好ましいことがわかった。また第1磁性層にRh−Coを使用した場合でもnet−Ms・tが、0.07(memu/cm)(=0.28π(T・nm))以上得られれば、第1磁性層にCoを用いnet−Ms・tが、0.05(memu/cm)(=0.20π(T・nm))の時のΔR/Rと同程度のΔR/Rが得られることがわかった。
次に以下に示す膜構成からなる試料を形成した。
(膜構成)
シード層;(Ni0.8Fe0.260Cr40(52)/非磁性金属層;Pt50at%Mn50at%(30)/第1磁性層;CoFe(15〜20)/Ru(8.7)/Cu(85)/Ta(30)
なお括弧書きは膜厚を示し単位はÅである。
図13は第1磁性層を構成するCoFe合金の組成比を変化させ、その時の第1磁性層の保磁力との関係を、図14は第1磁性層を構成するCoFe合金の組成比を変化させ、その時の第1磁性層の磁歪定数との関係を測定したグラフである。なお各図において、PtMnから成る非磁性金属層を設けない比較例(図面にはPtMn下地なしと記載)もグラフ上に載せた。
図13に示すように、PtMnから成る非磁性金属層を設けた実施例では、PtMnから成る非磁性金属層を設けない比較例よりも第1磁性層の保磁力Hcが低下する傾向が見られた。
本発明では、次の図14の磁歪定数の増大を主目的としているが、第1磁性層の保磁力の大きさも磁化固定には重要なファクターであるので前記保磁力が大きくなる組成比を選ぶことが好ましい。
図13ではCoの組成比を40at%〜60at%の範囲内を選択すれば、比較的高い保磁力を得ることが可能であることがわかった。
図14に示すように、PtMnから成る非磁性金属層を設けた実施例では、PtMnから成る非磁性金属層を設けない比較例よりも第1磁性層の磁歪定数λsを大きく出来ることがわかった。
図14に示すように、Coの組成比を40at%〜60at%の範囲内を選択すれば、第1磁性層の磁歪定数を安定して高い値に設定できることがわかった。またCoの組成比を100at%にした場合には、第1磁性層の磁歪定数を非常に高い値に設定できることがわかった。
図13及び図14に示す実験結果から、第1磁性層を(CoFe1−x100−y(ただし元素Mは希土類元素)、あるいは(CoFe1−x100−z(ただし元素Nはき金属元素)で表わされる磁性材料で形成する場合、CoとFeの原子比率xを0.4〜0.6あるいは1に設定することが磁歪定数を大きくし、また安定した保磁力を得られる観点から好ましいことを導き出した。
本発明の第1実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た断面図、 図1に示された磁気検出素子の平面図、 非磁性金属層と固定磁性層が整合しつつ、歪みが生じている状態を示す模式図、 本発明の磁気検出素子の図1とは異なる固定磁性層付近の部分断面図、 本発明の第2実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た断面図、 本発明の第3実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た断面図、 第1磁性層をTb−Co,Pr−CoあるいはSm−Coで形成し、Tb,Pr,Smの組成比と第1磁性層の磁歪定数との関係を示すグラフ、 第1磁性層をTb−Co,Pr−Co,Sm−CoあるいはCoで形成した場合の、スピンフロップ磁界(Hsf)と抵抗変化率(ΔR/R)との関係を示すグラフ、 第1磁性層をIr−Co,Rh−CoあるいはPt−Coで形成し、Ir,Rh,Ptの組成比と第1磁性層の保磁力との関係を示すグラフ、 第1磁性層をIr−Co,Rh−Coで形成し、Ir,Rhの組成比と第1磁性層の磁歪定数との関係を示すグラフ、 第1磁性層をPt−Coで形成し、Ptの組成比と積層フェリピンド構造の固定磁性層の磁歪定数との関係を示すグラフ、 第1磁性層をIr−Co,Rh−Co,あるいはCoで形成した場合の、積層フェリピンド構造のnet−Ms・tと抵抗変化率(ΔR/R)との関係を示すグラフ、 第1磁性層をCoFeで形成し、PtMn下地がある場合(実施例)とPtMn下地が無い場合(比較例)における、Coの組成比と第1磁性層の保磁力Hcとの関係を示すグラフ、 第1磁性層をCoFeで形成し、PtMn下地がある場合(実施例)とPtMn下地が無い場合(比較例)における、Coの組成比と第1磁性層の磁歪定数λsとの関係を示すグラフ、
符号の説明
20 下部ギャップ層
21 シードレイヤ
22 非磁性金属層
23 固定磁性層
23a 第1磁性層
23b 非磁性中間層
23c 第2磁性層
24 非磁性材料層
25 フリー磁性層
26 保護層
27 バイアス下地層
28 ハードバイアス層
29 電極層
30 上部ギャップ層
32 非磁性層

Claims (17)

  1. 固定磁性層とフリー磁性層が非磁性材料層を介して積層されている磁気検出素子において、
    前記固定磁性層は、複数の磁性層が非磁性中間層を介して積層されたものであって、前記複数の磁性層のうち前記非磁性材料層から最も離れた位置に形成されている第1磁性層の前記非磁性材料層が設けられている側と反対側にX―Mn(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金からなる反強磁性を有さない非磁性金属層が形成され、
    前記第1磁性層はCoとFeとを主体とし、さらに希土類元素あるいは貴金属元素が添加されてなり、
    前記非磁性金属層の格子定数は、前記第1磁性層の格子定数よりも大きく、前記非磁性金属層内の結晶と前記第1磁性層内の結晶の少なくとも一部は、エピタキシャルまたはヘテロエピタキシャルな状態であり、前記第1磁性層の前記非磁性金属層との界面付近では結晶構造に歪みが生じて、前記第1磁性層の磁歪定数を大きくしており、前記第1磁性層は、正の磁歪定数を有しており、
    前記固定磁性層の記録媒体との対向面側の端面が開放されていることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記希土類元素は、Tb,Sm,Pr,Y,Ce,Nd,Gd,Dy,Ho,Er,Ybの中から少なくとも1種類が選択されてなる請求項1記載の磁気検出素子。
  3. 前記第1磁性層は、(CoxFe1-x100-yyで表わされる磁性材料で形成され、元素Mは、Tb,Sm,Pr,Y,Ce,Nd,Gd,Dy,Ho,Er,Ybの中から少なくとも1種類が選択されてなり、組成比yは、0.3at%以上で5at%以下である請求項2記載の磁気検出素子。
  4. 前記貴金属元素は、Pt,Rh,Ir,Reの中から少なくとも1種類が選択されてなる請求項1記載の磁気検出素子。
  5. 前記第1磁性層は、(CoxFe1-x100-zzで表わされる磁性材料で形成され、元素Nは、Pt,Rh,Ir,Reの中から少なくとも1種類が選択されてなり、組成比zは、5at%以上で20at%以下である請求項4記載の磁気検出素子。
  6. 原子比率xは、1あるいは0.4〜0.6の範囲内である請求項3または5に記載の磁気検出素子。
  7. 前記第1磁性層の膜厚は、12〜19Åの範囲内である請求項1ないし6のいずれかに記載の磁気検出素子。
  8. 前記第1磁性層は少なくとも2層以上の積層構造からなり、前記非磁性金属層に最も近い位置に形成された磁性層が、CoとFeとを主体とし、さらに希土類元素あるいは貴金属元素が添加されてなる磁性材料で形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  9. 第1磁性層を構成する磁性層のうち、前記非磁性中間層に接する磁性層がCoFe合金あるいはCoで形成される請求項8記載の磁気検出素子。
  10. 前記非磁性金属層は前記第1磁性層の界面に接して形成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の磁気検出素子。
  11. 前記非磁性金属層は、前記固定磁性層の第1磁性層側の界面付近あるいは全領域において面心立方格子(fcc)構造をとり、前記界面と平行な方向に、{111}面として表される等価な結晶面が優先配向している請求項1ないし10のいずれかに記載の磁気検出素子。
  12. 前記非磁性金属層の膜厚は、5Å以上50Å以下である請求項1ないし11のいずれかに記載の磁気検出素子。
  13. 前記X―Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上)中のX元素の含有量は、45原子%以上99原子%以下である請求項1ないし12のいずれかに記載の磁気検出素子。
  14. 前記X―Mn合金(ただしXは、Ir,Rh,Ruのいずれか1種または2種以上)中のX元素の含有量は、17原子%以上99原子%以下である請求項1ないし12のいずれかに記載の磁気検出素子。
  15. Ir―Mn合金中のIrの含有量は、20原子%以上99原子%以下である請求項1ないし12のいずれかに記載の磁気検出素子。
  16. 前記固定磁性層の第1磁性層は、前記非磁性金属層側の界面付近あるいは全領域において面心立方格子(fcc)構造又は体心立方格子(bcc)構造をとり、前記界面と平行な方向に、{111}面又は{110}面として表される等価な結晶面が優先配向している請求項1ないし15のいずれかに記載の磁気検出素子。
  17. 下からフリー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層の順に積層されている請求項1ないし16のいずれかに記載の磁気検出素子。
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