JP4505892B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の識別情報を変動表示しうる可変表示装置を備えたパチンコ機等の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、遊技機の一種として、複数種類の図柄等を、予め定められた配列で変動表示するための図柄表示装置を備えたパチンコ機が知られている。
【0003】
このパチンコ機では、表示装置での変動表示停止時の表示図柄(停止図柄)に応じて、リーチ状態を経た後に遊技者に有利な状態となる「特別遊技状態」、リーチ状態を経た後に特別遊技状態とはならない「外れリーチ状態」、又は、リーチ状態を経ず、かつ、特別遊技状態ともならない「外れ状態」が発生させられる。停止図柄には、特別遊技状態を発生させるための特別遊技図柄、外れリーチを発生させるための外れリーチ図柄、及び、外れ状態を発生させるための外れ図柄がある。
【0004】
前記のようなパチンコ機では、遊技者の操作に応じて変化する遊技状況が、所定の条件を満たすこと(例えば、遊技球が作動口に入賞すること等)に基づいて、表示装置において、図柄の変動表示が開始される。また、上記特別遊技図柄(大当たり図柄)、外れリーチ図柄、及び、外れ図柄の中から、遊技状況に応じた停止図柄が選択される。そして、その選択された停止図柄で前記変動表示が停止させられる。この場合、予め定められた大当たりライン上において停止させられた図柄が、予め定められた特定の図柄(大当たり図柄)であることを必要条件に、上述した特別遊技状態が発生させられる。より詳しくは、大入賞口が所定時間開放され、その開放時において、当該大入賞口に遊技球を入賞させることにより、遊技者に対し多くの景品球が払い出される。
【0005】
ところで、上記大当たり図柄、又は外れリーチ図柄にて図柄が停止する場合には、必ずリーチ状態を経ることとなる。リーチ状態とは、例えば左・中・右と3つの図柄列がある場合において、大当たりライン上に左・右図柄列の図柄がそれぞれ「7」、「7」の数字図柄で停止しており、かつ、中図柄列が未だ変動しているような状態をいう。この状態下で、もしも中図柄列の図柄が大当たりライン上において「7」の数字図柄で停止すると、上述した特別遊技状態が発生する。従って、このようなリーチ状態の間、遊技者は、図柄が大当たり図柄で停止することを願って、わくわくどきどきしながら遊技を行うこととなる。
【0006】
近年、上記のようなリーチ状態における演出効果を高めるべく、多種多様なリーチパターンが採用されるようになってきている。例えば、図柄がスクロール変動するタイプのパチンコ機にあって、「ノーマルリーチ」と称されるリーチパターンにおいては、スクロール変動中の図柄が何ら特段の変化を起こすことなくそのまま停止する。また、「スーパーリーチ」と称されるリーチパターンにおいては、表示される図柄がフラッシュしたり、コマ送り状態で変動したり、図柄が高速又は低速で変動したり、或いは種々のキャラクタが種々の動作を行う等、表示装置上において、「ノーマルリーチ」とは異なる何らかの演出が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術においては、面白味に欠けた遊技内容となってしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記例示した問題等に鑑みてなされたものであって、その目的は、パチンコ機等の遊技機において、興趣の飛躍的な向上を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するべく、本発明においては、
遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出する遊技状況検出手段と、
複数の図柄を変動表示しうる可変表示装置と、
前記遊技状況検出手段による検出結果に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるか否かの抽選を行うとともに、前記可変表示装置の表示部にて、絵図柄及び数字図柄の組み合わせからなる複数の図柄の変動表示を開始させ、所定時間後に停止表示させ、
前記抽選の結果が当たりである場合には、前記表示部において図柄を特定の停止態様で停止表示させて、前記特別遊技状態を発生させる手段を備えた遊技機であって、
前記図柄の変動表示中の少なくとも一時期において、
前記図柄を3つ以上の分断片の集合によって構成するとともに、
前記図柄の移動の契機となるキャラクタを表示し、
前記分断片のうち少なくとも1の分断片に対し、前記キャラクタが所定の応力を付与する表示を行う手段と、
前記キャラクタによる応力付与表示に基づいて、前記図柄を所定の表示領域からそれとは異なる表示領域へ移動表示するとともに、当該移動表示に際しては、前記分断片のうち前記応力付与表示の行われた少なくとも1の分断片が優先的に所定の表示領域からそれとは異なる表示領域へ移動するよう表示することで前記図柄を一時的に変形表示し、他の分断片は前記移動に追従して時差をもって所定の表示領域からそれとは異なる表示領域へ移動するよう表示する手段と、
前記移動が終了した後、前記分断片を一体化するとともに分断表示を解消して表示する手段とを具備することを特徴とする。
また、前記N個(Nは5個以上10個以下)の各分断片は、前記図柄が、互いに平行な複数本の直線で分断されることで構成され、前記移動表示に際して、前記各分断片は、前記直線に沿って互いに平行に移動表示されることとしてもよい。
また、前記キャラクタが前記所定の応力の付与を停止する表示を行う手段と、
前記応力の付与停止表示に伴い、前記図柄の移動が中断又は中止する手段とを具備することとしてもよい。
また、前記移動中の図柄のうち前記応力付与表示の行われた分断片に近い分断片ほど優先的に移動しうるようにしたこととしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
手段1.遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出する遊技状況検出手段と、前記遊技状況検出手段による検出結果に基づき、複数の識別情報を変動表示しうる可変表示装置と、前記識別情報が特定の停止態様となって最終的に停止表示されることを必要条件に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機であって、前記識別情報が所定の表示領域を移動するよう表示制御するとともに、該移動に際し、該識別情報を一時的に変形させるようにしたことを特徴とする遊技機。なお、前記移動に際しての変形は、前記識別情報の変動表示中の少なくとも一時期において行われるのが望ましい。ここで、前記識別情報の変動表示中とあるのは、全ての識別情報が停止表示されている場合以外の全ての場合が含まれる。従って、例えば識別情報列が複数ある場合において、そのうちの1つの識別情報列においてのみ識別情報が変動表示されている(他の識別情報列の識別情報は確定的に表示されている)場合において、当該変動表示中の識別情報はもちろんのこと、他の識別情報において表示されている識別情報を移動させるような場合も含まれる。
【0011】
上記手段によれば、遊技者の操作に応じて変化する遊技状況が遊技状況検出手段によって検出され、その検出結果に基づき、複数の識別情報が可変表示装置において変動表示されうる。そして、識別情報が特定の停止態様となって最終的に停止表示されることを必要条件に、特別遊技状態発生手段によって、遊技者に有利な特別遊技状態が発生させられる。さて、上記手段では、識別情報が所定の表示領域を移動するよう表示させられるとともに、該移動に際し、該識別情報が一時的に変形させられる。このため、識別情報が通常の表示態様と一時的に異なるものとなって、移動することから、遊技者はそのことに面白味を覚える。
【0012】
手段2.手段1において、前記移動の完了後においては、前記識別情報を、その種類を異ならせることなく元の形状に復帰せしめるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、元の形状に復帰したときに識別情報の種類が異ならされるものではないため、遊技者は、比較的安心して移動表示を視認することができる。
【0013】
手段3.手段1又は2において、前記変形の態様は経時的に連続変化するものであることを特徴とする遊技機。上記手段によれば、あたかも識別情報が雨後悔いて変形しているかのような印象が抱かれ、リアリティが増す。
【0014】
手段4.手段1〜3のいずれかにおいて、前記移動に際し、前記識別情報の変形の軌跡が残像となって残るような表示制御を行うようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、そのような表示制御に今までみたことのない面白味を覚える。
【0015】
手段5.遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出する遊技状況検出手段と、前記遊技状況検出手段による検出結果に基づき、複数の識別情報を変動表示しうる可変表示装置と、前記識別情報が特定の停止態様となって最終的に停止表示されることを必要条件に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機であって、前記識別情報の変動表示中の少なくとも一時期において、前記識別情報を複数の分断片に分断して表示するとともに、少なくとも1の分断片が他の分断片に対し時差をもって所定の表示領域を移動するよう表示制御を行うことを特徴とする遊技機。なお、分断片は、その個数が3個以上20個以下であることが望ましく、より望ましくは3個以上15個以下、さらに望ましくは5個以上10個以下である。
【0016】
上記手段によれば、遊技者の操作に応じて変化する遊技状況が遊技状況検出手段によって検出され、その検出結果に基づき、複数の識別情報が可変表示装置において変動表示されうる。そして、識別情報が特定の停止態様となって最終的に停止表示されることを必要条件に、特別遊技状態発生手段によって、遊技者に有利な特別遊技状態が発生させられる。さて、上記手段では、前記識別情報の変動表示中の少なくとも一時期において、識別情報が複数の分断片に分断して表示されるとともに、少なくとも1の分断片が他の分断片に対し時差をもって所定の表示領域を移動させられる。このため、遊技者は、まず、識別情報が複数の分断片に分断して表示されることに驚きを覚える。また、これとともに、少なくとも1の分断片が他の分断片に対し時差をもって移動させられることから、分断片同士が相対的にずれて表示されることとなり、かかる点で遊技者はさらに驚きを覚える。さらに、前記相対的なずれによって、遊技者は、識別情報が全体として変形したかのような印象を抱きうる。そのため、さらに面白味が増す。
【0017】
手段6.遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出する遊技状況検出手段と、前記遊技状況検出手段による検出結果に基づき、複数の識別情報を変動表示しうる可変表示装置と、前記識別情報が特定の停止態様となって最終的に停止表示されることを必要条件に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機であって、前記識別情報の変動表示中の少なくとも一時期において、前記識別情報を複数の分断片に分断して所定の表示領域を移動表示するとともに、少なくとも1の分断片の移動速度を、他の分断片の移動速度と異ならせたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、識別情報が複数の分断片に分断されて移動表示されることに、遊技者は驚きを覚える。また、少なくとも1の分断片の移動速度が、他の分断片の移動速度と異なることから、分断片同士が相対的にずれて表示される場合が生じ、かかる点で遊技者はさらに驚きを覚える。さらに、前記相対的なずれによって、遊技者は、識別情報が全体として変形したかのような印象を抱きうる。そのため、さらに面白味が増す。
【0018】
手段7.手段1〜4のいずれかにおいて、前記識別情報を複数の分断片に分断して所定の表示領域を移動するよう表示制御するとともに、少なくとも1の分断片の移動速度を、他の分断片の移動速度と異ならせることにより、識別情報を一時的に変形させるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0019】
手段8.手段7において、先に相対移動表示された分断片に追従させて、移動が遅れていた分断片を移動表示することで、識別情報全体が移動したかの如く表示するようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、追従により、結果として元の形状に復帰したかの如く、そして、識別情報全体が移動したかの如く視認されることとなる。
【0020】
手段9.手段5〜8のいずれかにおいて、前記分断片の表示態様(数や分断のされ方等)に基づき特別遊技状態の発生の期待度を可変としたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、分断片の表示態様に基づき、遊技者は一喜一憂する。
【0021】
手段10.手段5〜9のいずれかにおいて、前記各分断片は互いに平行に移動表示されるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、分断片の移動が円滑に行われうる。
【0022】
手段11.手段5〜10のいずれかにおいて、前記隣接しあう分断片同士が離間することがないようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、分断片同士が離間してしまうことにより識別情報のもつ意味が不明となってしまうという事態が回避される。
【0023】
手段12.手段1〜11のいずれかの遊技機において、前記移動は前記識別情報の切換に際し行われ、かつ、当該識別情報の移動が完了した段階で識別情報の切換が完了するよう構成したことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、識別情報の切換に違和感が生じにくく、連続的な切換をも行いやすくなる。
【0024】
手段13.手段1〜12のいずれかにおいて、前記移動の契機となる移動契機手段を併せて表示可能としたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、移動契機手段が表示されることによって、前記移動に際しての違和感が払拭される。
【0025】
手段14.手段13において、前記移動契機手段は、前記識別情報に対し、部分的に応力を付与しているかの如く表示を行うものであることを特徴とする遊技機。上記手段によれば、部分的な応力が付与されることに基づいて、分断片が移動したのだと遊技者は容易に認識しうる。
【0026】
手段15.手段14において、前記応力は引張応力又は押圧力であることを特徴とする遊技機。
【0027】
手段16.手段14又は15において、前記応力の作用する方向に前記識別情報片が移動するようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、応力の作用方向に識別情報が移動するため、移動に際しての違和感が一層生じにくい。
【0028】
手段17.手段14〜16のいずれかにおいて、前記移動契機手段は、前記応力の付与に関連する動作を行いうるキャラクタを含んでいることを特徴とする遊技機。上記手段によれば、キャラクタの演出動作とも相まって、より一層面白味が増す。
【0029】
手段18.手段14〜17のいずれかにおいて、前記移動契機手段は、前記応力の付与に密接に関連する演出表示物を含んでいることを特徴とする遊技機。上記手段によれば、演出表示物の演出とも相まって、さらに一層面白味が増す。
【0030】
手段19.手段14〜18のいずれかにおいて、前記応力の付与の停止に伴い、前記識別情報の移動が中断又は中止されるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、応力の付与の停止がいつ行われるかを、遊技者はわくわくどきどきしながら見守ることとなる。
【0031】
手段20.手段14〜19のいずれかにおいて、前記移動中の識別情報のうち前記応力の作用する部位に近い部位ほど優先的に移動しうるようにしたことをする特徴とする遊技機。上記手段によれば、識別情報を全体として視認した場合に、識別情報の形状が滑らかなものとなり、また、変形表示が応力の作用によるものであることをより一層認識しやすいものとなる。
【0032】
手段21.手段1〜20のいずれかにおいて、前記移動に際し、変動中の識別情報の表示領域がそれまでよりも拡張されるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、表示領域の拡張によって、移動表示が行われやすくなる。
【0033】
手段22.手段1〜21のいずれかにおいて、そのときどきの遊技状態に応じて、識別情報の少なくとも一部の表示態様を可変としたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、識別情報の少なくとも一部の表示態様がそれまでと変更させられ、そのことに気づいた遊技者は、何かが起こるのではないかとわくわくしながら遊技内容を堪能しうる。
【0034】
手段23.手段22において、識別情報の少なくとも一部の表示態様が変更させられた場合には、前記特別遊技状態の発生の期待度が高められるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、表示態様の変更に気づいた遊技者は、特別遊技状態の発生を心待ちにする。
【0035】
手段24.手段1〜23のいずれかにおいて、前記識別情報の移動の前後で環境が異なるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、識別情報の移動の前後で環境が異なるため、移動後、別の環境下にある識別情報を視認した遊技者は新鮮さを感じる。
【0036】
手段25.手段24において、前記環境は背景を含んでいることを特徴とする遊技機。
【0037】
手段26.手段1〜25のいずれかにおいて、前記識別情報の移動に際して、音声による演出をも併せて行うようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、音声による演出との相乗作用によって、面白味が一層増す。
【0038】
手段27.手段1〜26のいずれかにおいて、少なくとも前記識別情報が特定表示態様となって最終的に停止表示される前段階に、リーチ遊技状態を演出表示しうるよう構成するとともに、該リーチ遊技状態演出表示中に、移動中の識別情報を一時的に変形させるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、遊技者にとってもっともわくわくするときに、移動変形という特殊な変動態様を視認することができる。そのため、さらに興趣が高められる。
【0039】
以下に、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を具体化した一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0040】
なお、周知のように、パチンコ機1は、外枠と、該外枠の前部に設けられ外枠の一側部にて開閉可能に設けられた前面枠とを備えている。また、その前面枠の前面側にはガラス扉枠が開閉自在に設けられている。前面枠の後側(ガラス扉枠の奥、外枠の内側)には、遊技盤2が着脱可能に装着されている。この遊技盤2は内レール、外レール等を備え、これらのレールは、遊技球発射装置によって発射された遊技球5を、遊技盤2の上部に案内する。また、ガラス扉枠の下側において、前面枠には前飾枠が開閉可能に設けられ、前飾枠には、上受皿が設けられている。一方、前面枠の下部には、前記上受皿よりも下方位置にて下受皿が設けられているとともに、遊技球発射装置を構成するハンドルが設けられている。
【0041】
図1に示すように、パチンコ機1の遊技盤2には、作動口3及び大入賞口4が設けられている。作動口3は、遊技球5の通路を備えており、その通路入口には羽根6が開閉可能に支持されている。大入賞口4の奥には、シーソー7が設けられており、その右側にはVゾーン8が、左側には入賞通路9が設けられている(左右逆でもよい)。そして、大入賞口4に入賞した遊技球5は、シーソー7上を転がって、Vゾーン8又は入賞通路9のいずれか一方を通って図示しない入賞球処理装置の方へと導かれる。また、大入賞口4の前には、シャッタ11が設けられている。このシャッタ11は、大入賞口4の側部に設けられた大入賞口用ソレノイド12により作動させられ、大入賞口4を開閉する。詳しくは、当該ソレノイド12が励磁状態となることにより、シャッタ11が略水平に傾き、これにより大入賞口4が開かれる。また、ソレノイド12が非励磁状態となることにより、シャッタ11が略垂直状態となり、これにより大入賞口4は閉鎖される。
【0042】
前記大入賞口4の一側部には、シーソー用ソレノイド10が設けられている。シーソー用ソレノイド10は通常、非励磁状態となっており、この状態においては、遊技球5がVゾーン8を通過するようにシーソー7を傾けている。また、シーソー用ソレノイド10が励磁状態となることにより、シーソー7は、遊技球5が入賞通路9を通過するように傾動させられる。本実施の形態では、シャッタ11が開状態において、遊技球5が1つでもVゾーン8を通過した場合には、シーソー用ソレノイド10が励磁される。そして、シャッタ11が閉じられることにより、シーソー用ソレノイド10が非励磁状態となる。
【0043】
遊技盤2の中央部分には、可変表示装置としての特別図柄表示装置(以下、単に「表示装置」という)13が組込まれている。表示装置13は、液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部13aを備えており、ここに複数の図柄列が表示される。図2に示すように、本実施の形態では、これらの図柄列として左図柄列14、中図柄列15及び右図柄列16の3つの図柄列が表示されるが、それ以外の数の図柄列が表示されてもよい。
【0044】
また、図1に示すように、特別図柄表示装置13の上部には普通図柄表示装置51が併設されている。普通図柄表示装置51は、発光ダイオード(LED)よりなる4つの保留ランプ52と、普通図柄表示部たるLEDよりなる7セグ表示部53とを有している。
【0045】
さらに、前記特別図柄表示装置13の左右両側方には一対の通過ゲート54が配設されている。同通過ゲート54を遊技球5が通過すると前記普通図柄表示装置51が作動する。本実施の形態では、普通図柄表示装置51は、「0」から「9」までの数字を可変表示して7セグ表示部53にセグメント表示させ、その数字が所定値(本実施の形態では「7」)で停止した場合に、作動口3の羽根6を所定秒数開放させる。この開放により、作動口3への入賞が比較的容易なものとなる。普通図柄表示装置51は、遊技球5の通過ゲート54の通過回数を4回まで記憶することができ、保留ランプ52でその保留数を表示する。従って、4つの保留ランプ52が点灯している状態で遊技球5が通過ゲート54を通過しても保留球としてカウントされず、保留ランプ52が点灯している限り、遊技球5が通過ゲート54を通過しなくとも保留数に応じた回数だけ普通図柄表示装置51は作動するようになっている。
【0046】
さて、各図柄列14〜16は、基本的には、図2,3に示すように、複数種類(12種類)の図柄17A〜17Lによって構成されている。各図柄17A〜17Lは、基本的には魚等の絵と、「1」〜「12」の数字との組合せによって構成されており、「1」〜「12」の数字は、昇順に配列されている。より詳しくは、「1」が「シイラ」の絵と、「2」が「たいやき」の絵と、「3」が「タイ」の絵と、「4」が「地球」の絵と、「5」が「カジキ」の絵と、「6」が「オウム貝」の絵と、「7」が「金のしゃちほこ」の絵と、「8」が「タコ壺」の絵と、「9」が「トビウオ」の絵と、「10」が「へび」の絵と、「11」が「イカ」の絵と、「12」が「ヤドカリ」の絵と組み合わされている。これらの図柄17A〜17Lは、特別遊技図柄としての大当たり図柄、外れリーチ図柄及び外れ図柄のいずれかになりうる(これらについては後述する)。
【0047】
通常の変動に際しては、各々の図柄列14〜16においては、あたかも海上を、複数の(3つの)図柄17A〜17Lが、ジャンプしながら前方(手前方向)へ移動してくるような表示がなされる。なお、図柄17A〜17Lの変動表示中において、前記各図柄列14〜16には、大当たりラインに配置表示される図柄17A〜17L以外にも、大当たりラインとは無関係の複数の図柄17A〜17Lが表示されることとなっていてもよい(例えば次に大当たりラインに並びうる図柄17A〜17Lや、既に大当たりラインに並んだ後の図柄17A〜17L等)。
【0048】
図2(a)に示すように、表示装置13の表示部13aでは、各図柄列14〜16の図柄変動が、遊技球5の作動口3への入賞に基づいて開始させられる。また、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つが選択され、これが停止図柄として設定される。停止図柄とは、各図柄列14〜16が図柄変動を停止したときに表示される図柄である。本実施の形態では、図柄変動は、左図柄列14、右図柄列16、中図柄列15の順に停止させられるが、これはあくまでも1例にすぎず、別の順序で停止させられるようにしてもよい。
【0049】
図2(b)は、表示部13aにおける大当たり状態の発生を示す図である。同図に示すように、大当たり図柄は、リーチ状態を経た後、遊技者に有利な特別遊技状態としての大当たり状態を発生させるための図柄である。詳しくは、全ての図柄列14〜16の変動が停止させられたとき、表示されている図柄17A〜17Lの組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち、同一種類の図柄17A〜17Lが大当たりラインLに沿って並んでいるときの同図柄17A〜17Lの組合せ(例えば、同図に示すように、「7」、「7」、「7」の図柄17G)となる場合がある。この組合せを構成する図柄が「大当たり図柄」である。大当たりの組合せが成立すると、特別電動役物が作動し(大入賞口4が開かれ)、遊技者にとって有利な大当たり状態の到来、すなわち、より多くの賞球を獲得することが可能となる。
【0050】
また、図2(c)に示すように、リーチ状態とは、大当たり直前の状態をいう(もちろん大当たり状態に至らない場合もある)。リーチ状態には、右図柄列16の図柄変動が、大当たりライン上において左図柄列14の停止図柄と同一種類の図柄で停止する状態が含まれる。図に示す例では、大当たりラインL上で停止している左・右両図柄列14,16の図柄17A〜17Lが共に「7」の付された図柄17Gとなっている。
【0051】
前述したように、上記のリーチ状態には、中図柄列15の図柄変動が、最終的に左・右両図柄列14,16の停止図柄と同一種類の図柄(大当たり図柄)で停止して大当たり状態になるもの以外にも、異なる種類の図柄(これを「外れリーチ図柄」という)で停止して、大当たり状態とならないもの(以下、「外れリーチ状態」という)が含まれる。さらには、中図柄列15の図柄変動が一旦停止した後(一旦停止しなくてもよい)、同一種類の図柄17A〜17Lが大当たりラインに沿って並んだ状態で、再度全図柄列が変動したり(全回転リーチ)、中図柄列15の図柄変動が一旦外れリーチ図柄で停止した後、再度中図柄列15が変動したり(再変動リーチ)するものも含まれる。
【0052】
上記リーチ状態においては、種々のリーチパターンが設定されている。リーチパターンとしては、「ノーマルリーチ(図2(c)参照)」、「ジェット水上スキーリーチ」、「フィッシングリーチ(図15(a)〜(c)、図16(a),(b)、図17(a),(b)等参照)」等が設定されている。これらリーチパターンのうち、「ノーマルリーチ」以外のリーチパターンは、いわゆる「スーパーリーチ」と称されるものである。「スーパーリーチ」の動作が開始された場合には、「ノーマルリーチ」の場合に比べて、大当たり状態が発生する期待値(大当たり期待値)が高くなるようになっている。また、「スーパーリーチ」においても、各リーチパターンによって大当たり期待値が異なったものとなっている(例えば、「ジェット水上スキーリーチ」よりも「フィッシングリーチ」の方が大当たり期待値は高い)。これらのリーチパターンは、図7に示すリーチ種別決定カウンタCVに基づいて決定される。なお、上記各リーチパターンの動作状態等については後述することとする。
【0053】
遊技球5の作動口3への入賞に基づいて各図柄列14〜16の図柄変動が開始させられることはすでに説明したが、この変動表示中にさらに遊技球5が作動口3に入賞した場合には、通過ゲート54を通過した場合と同様、その分の変動表示は、現在行われている変動表示の終了後に行われる。つまり、変動表示が待機(保留)される。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められている。本実施の形態では保留最大回数が4回に設定されているが、これに限られるものではない。
【0054】
図1に示すように、特別図柄表示装置13において、表示部13aの上方には、発光ダイオード(LED)からなる保留ランプ18a,18b,18c,18dが組み込まれている。当該保留ランプ18a〜18dの数は、前述した保留最大回数と同じ(この場合4個)である。保留ランプ18a〜18dは、変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる。
【0055】
なお、このほかにも、パチンコ機1の複数箇所には、遊技効果を高めるための他の各種ランプや電飾部材が取付けられている。これらの電飾部材等は、遊技の進行に応じて点灯状態(消灯、点灯、点滅等)が変えられる。さらに、パチンコ機1には、遊技の進行に応じて効果音を発生する図示しないスピーカが設けられている。
【0056】
遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機1の遊技状態を検出するべく、本実施の形態では、遊技盤2には、スルースイッチ20、作動口用スイッチ21、Vゾーン用スイッチ22及びカウントスイッチ23等がそれぞれ取付けられている。スルースイッチ20は、遊技球の通過ゲート54の通過を検出し、作動口用スイッチ21は、遊技球5の作動口3への入賞を検出する。また、Vゾーン用スイッチ22は遊技球5の大入賞口4のうちのVゾーン8への入賞を検出し、カウントスイッチ23は、遊技球5の大入賞口4への入賞を検出する。
【0057】
本実施の形態では、各スイッチ20〜23の検出結果に基づきソレノイド10,12、特別図柄表示装置13、各保留ランプ18a〜18d、普通図柄表示装置51(7セグ表示部53及び保留ランプ52)、羽根6等をそれぞれ駆動制御するために制御装置24が設けられている。制御装置24は、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMは所定の制御プログラムや初期データを予め記憶しており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。RAMは、CPUによる演算結果を、図4に示す図柄乱数バッファ31〜36、図5に示す図柄乱数エリア41(i)〜45(i)、図6に示す停止図柄エリア46〜48等に一時的に記憶する。
【0058】
図4に示すように、図柄乱数バッファは、左・中・右の3つの外れ図柄乱数バッファ31,32,33と、左・中・右の3つの外れリーチ図柄乱数バッファ34,35,36とによって構成されている。図5に示すように、図柄乱数エリアは、5つの内部乱数エリア41(i)と、5つの外れリーチ乱数エリア42(i)と、5つの左外れ図柄乱数エリア43(i)と、5つの中外れ図柄乱数エリア44(i)と、5つの右外れ図柄乱数エリア45(i)とによって構成されている。iは、5つずつ存在する各図柄乱数エリアを区別するためのものであり、「0」、「1」、「2」、「3」、「4」の値をとる。iの各値は、保留されている変動表示の回数に対応している。また、図6に示すように、停止図柄エリアは、左・中・右の各停止図柄乱数エリア46,47,48によって構成されている。
【0059】
また、本実施の形態においては、CPU(制御装置24)による制御の1つとして、モード切換制御がある。本実施の形態では、遊技モード(遊技状態)として通常モード及び確率変動モード(=高確率モード。以下、「確変モード」と称する)が用意されている。すなわち、例えば300分の1程度の比較的低確率で大当たり遊技状態を発生させる通常モードと、その約5倍である60分の1程度の高確率で大当たり遊技状態を発生させる確変モードとがある。
【0060】
なお、一般的に、確変モードの概念としては、(1)7セグ表示部53に「7」が表示される確率を通常時に比べて高め、作動口3の羽根6を開放させる機会を増やすこと、(2)7セグ表示部53における数字の変動時間を短くすること、(3)羽根6の開放時間を長くすること(及び/又は入賞個数を多くすること)、(4)特別図柄表示装置13の表示部13aの図柄17A〜17Lの変動時間を短くすること、(5)大当たり確率が通常モードに比べて高くなること等が挙げられるが、本実施の形態における確変モードにおいては、これら(1)〜(5)のうち、(5)のみ、すなわち、大当たり確率が単に高められることのみが実行される。
【0061】
本実施の形態では、パチンコ機1の電源投入時においては、通常モードに設定される。また、その後は、大当たり遊技状態となった際に、確変モード又は通常モードのいずれかが選択される。そして、大当たり状態終了後において、当該選択されたモードが実行される。より詳しくは、本実施の形態では、大当たり遊技状態となったときの図柄17A〜17L(大当たり図柄)が奇数(「1」、「3」、「5」、「7」、「9」、「11」)の場合には、大当たり状態終了後の遊技モードが確変モードに設定され、大当たり遊技状態となったときの図柄17A〜17L(大当たり図柄)が偶数(「2」、「4」、「6」、「8」、「10」、「12」)の場合に、大当たり状態終了後の遊技モードが通常モードに設定される。従って、最終的に確定表示された図柄17A〜17Lの有する価値が、図柄17A〜17Lの種類に応じて異なっているといえる。
【0062】
次に、前記のように構成されたパチンコ機1の作用及び効果について説明する。図8〜図14のフローチャートは、制御装置24によって実行される各種ルーチンを示している。これらのルーチンの処理は、カウンタ群及び入賞判定フラグFE等に基づいて実行される。カウンタ群は、ラウンドカウンタCR、保留カウンタCH、入賞カウンタCE、内部乱数カウンタCI、外れリーチ乱数カウンタCO、大当たり図柄乱数カウンタCB、左・中・右の各図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDR、リーチ種別決定カウンタCV等よりなっている。
【0063】
なお、ラウンドカウンタCRは、ラウンド回数をカウントするためのものであり、入賞カウンタCEは大入賞口4への遊技球5の入賞個数をカウントするためのものである。また、保留カウンタCHは変動表示の保留回数をカウントするためのものであり、「0」,「1」,「2」,「3」,「4」の値を順にとる。これらの値は、前述した図柄乱数エリア41(i)〜45(i)の「(i)」に対応している。従って、CH=0は、保留されていない状態を意味する。
【0064】
図7に示すように、内部乱数カウンタCIは、表示装置13での大当たり状態を決定するためのものである。また、外れリーチ乱数カウンタCOは外れリーチ状態時の表示を行うか否かを決定するためのものであり、大当たり図柄乱数カウンタCBは大当たり図柄を決定するためのものである。これらのカウンタCI,CO,CBはそれぞれ所定時間(例えば「2ms」)毎に値を所定範囲内で更新する。各値は、所定の条件に従って乱数として読み出される。また、各カウンタCI,CO,CBは、各値がそれぞれ特定の値になった場合に、初期値に戻すようになっている。
【0065】
左・中・右の各図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDRは、停止図柄等を決定するためのものである。左図柄乱数カウンタCDLは、所定時間(例えば「2ms」)毎に値を所定範囲内で更新し、特定の値になると初期値に戻す。中図柄乱数カウンタCDCは、左図柄乱数カウンタCDLが一巡する毎に値を所定範囲内で更新し、特定の値になると初期値に戻す。右図柄乱数カウンタCDRは、中図柄乱数カウンタCDCが一巡する毎に値を所定範囲内で更新し、特定の値になると初期値に戻す。
【0066】
また、リーチ種別決定カウンタCVは、上述した複数種類のリーチパターンのうちの1つを選択するために用いられるものであり、上述したキャラクタに応じて、例えば左図柄乱数カウンタCDLが一巡する毎に値(乱数値)を更新し、特定の値になると初期値に戻す。
【0067】
併せて、入賞判定フラグFEは、Vゾーンへの入賞の有無を判定するために用いられるものである。同フラグFEは、入賞なしの場合に「0」に設定され、入賞ありの場合に「1」に設定される。
【0068】
加えて、本実施の形態では、図示しない全回転再変動実行カウンタが用意されている。本カウンタは、大当たり状態が発生するに際し、各図柄列14〜16における再変動表示(図柄の再抽選表示)を行うか否かを決定するためのものである。全回転再変動表示が行われるか否かは、図示しない決定テーブルが参酌されることによって決定される。
【0069】
さて、図8のフローチャートは、上述した各カウンタCI,CO,CB,CL,CDL,CDC,CDR,CV等の更新後に、図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDRの値(乱数)の組合せを分別し(振分け)、その振分けられた値を対応する図柄乱数バッファ31〜36に格納するための「乱数振分けルーチン」を示している。このルーチンは、パチンコ機1の電源投入後、所定時間(2ms)毎に実行される。このルーチンが開始されると、制御装置24はまずステップS1において、内部乱数カウンタCI、外れリーチ乱数カウンタCO、大当たり図柄乱数カウンタCBにそれぞれ「1」を加算する(更新する)。
【0070】
また、ステップS2において、左図柄乱数カウンタCDLに「1」を加算する。中・右図柄乱数カウンタCDC,CDRに関しては、それぞれ左・中図柄乱数カウンタCDL,CDCの値に応じて更新処理を行う。詳しくは、左図柄乱数カウンタCDLが初期値に戻されるタイミングであれば中図柄乱数カウンタCDCに「1」を加算し、それ以外のタイミングであれば同カウンタCDCの値を維持する。また、中図柄乱数カウンタCDCが初期値に戻されるタイミングであれば右図柄乱数カウンタCDRに「1」を加算し、それ以外のタイミングであれば同カウンタCDRの値を維持する。さらに、ステップS3において、制御装置24は、リーチ種別決定カウンタCVを更新する。
【0071】
次に、ステップS4において、図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDRの値の組合せが、予め定められた「外れ図柄の組合せ」であるか否かを判断する。そして、この条件が満たされていると、ステップS5において各図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDRの値を、対応する外れ図柄乱数バッファ31,32,33に格納する。ここで、対応する外れ図柄乱数バッファ31〜33とは、具体的には左図柄乱数カウンタCDLに関しては左外れ図柄乱数バッファ31を指し、中図柄乱数カウンタCDCに関しては中外れ図柄乱数バッファ32を指し、右図柄乱数カウンタCDRに関しては右外れ図柄乱数バッファ33を指すものとする(後述するステップS7に関しても同様)。そして、制御装置24は、ステップS5の処理を実行した後、その後の処理を一旦終了する。
【0072】
一方、前記ステップS4の条件が満たされていない場合には、ステップS6において、図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDRの値の組合せが、予め定められた「外れリーチ図柄の組合せ」であるか否かを判断する。そして、この条件が満たされていると、ステップS7において各図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDRの値を、対応する外れリーチ図柄乱数バッファ34,35,36に格納し、その後の処理を一旦終了する。
【0073】
なお、ステップS6の条件が満たされていない場合には、前記ステップS5,7のいずれの処理をも行うことなく、「乱数振分けルーチン」を終了する。この場合とは、各図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDRの値の組合せが、外れ図柄、外れリーチ図柄のいずれの組合せでもない場合、すなわち、大当たり図柄の組合せの場合である。
【0074】
このように、「乱数振分けルーチン」では、所定時間毎に3つの図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDRの値の組合せがチェックされる。そして、外れ図柄の組合せの場合には、外れ図柄乱数バッファ31〜33に乱数が格納され、外れリーチ図柄の場合には、外れリーチ図柄乱数バッファ34〜35に乱数が格納される。また、大当たり図柄の組合せの場合には、乱数はどの図柄乱数バッファ31〜36にも格納されない。
【0075】
次に、図9のフローチャートに示す「格納処理ルーチン」について説明する。このルーチンの主な機能は、遊技球5が作動口3に入賞する毎に、乱数カウンタCI,CO,CDL,CDC,CDRの値を図柄乱数エリア41(i)〜45(i)に格納することである。
【0076】
当該「格納処理ルーチン」が開始されると、制御装置24は、ステップS10において、作動口用スイッチ21の検出結果に基づき、遊技球5が作動口3に入賞したか否かを判定する。そして、この判定条件が満たされていない場合には、その後の処理を一旦終了し、満たされている場合には、ステップS11において、保留カウンタCHの値が最大保留回数(この場合「4」)よりも小さいか否かを判定する。
【0077】
保留カウンタCHの値が最大保留回数よりも小さい場合には、ステップS12において、保留カウンタCHに「1」を加算する。また、続くステップS13において、制御装置24は対応する保留ランプ(18aから18dのうちの1つ)を点灯させ、ステップS14へ移行する。一方、前記ステップS11の判定条件が満たされていない場合には、前述したステップS12以降の処理を行うことなくその後の処理を一旦終了する。従って、図柄変動表示は、4回までしか保留されず、それ以上の入賞があっても保留は記憶されない。
【0078】
ステップS14において、制御装置24は、内部乱数カウンタCIの値を内部乱数エリア41(i)に格納する。また、次のステップS15において、外れリーチ乱数カウンタCOの値を、外れリーチ乱数エリア42(i)に格納する。さらに、ステップS16において、制御装置24は、左・中・右の各外れ図柄乱数バッファ31〜33の値(CDL,CDC,CDR)を、対応する左・中・右の各外れ図柄乱数エリア43(i)〜45(i)に格納し、その後の処理を一旦終了する。
【0079】
このように、「格納処理ルーチン」においては、乱数カウンタCI,CO,CDL,CDC,CDRの値が各図柄乱数エリア41(i)〜45(i)に格納される。なお、ステップS14〜ステップS16では、例えばステップS12での更新後の保留カウンタCHの値が「3」であれば、内部乱数エリア41(i=3)、外れリーチ乱数エリア42(i=3)、左外れ図柄乱数エリア43(i=3)、中外れ図柄乱数エリア44(i=3)、右外れ図柄乱数エリア45(i=3)が、今回制御周期での格納場所となる。
【0080】
次に、図10、図11のフローチャートに示す「特別電動役物制御ルーチン」について説明する。このルーチンは、前述した「乱数振分けルーチン」、「格納処理ルーチン」等の演算結果を用いて特別電動役物を制御するためのものであり、パチンコ機1の電源投入後、所定時間毎に実行される。
【0081】
この「特別電動役物制御ルーチン」が開始されると、制御装置24はまずステップS20において、保留カウンタCHの値が「0」でないか否かを判定する。そして、否定判定された場合、つまり、保留カウンタCHの値が「0」の場合には、その後の処理を一旦終了する。これに対し、前記判定条件が満たされている(CH=1,2,3,4)場合には、ステップS30において、「i」を「0」に設定し、次のステップS40において保留カウンタCHが「i」と同一でないか否かを判定する。
【0082】
そして、この判定条件が満たされている場合(CH≠i)には、ステップS50において、内部乱数エリア41(i+1)、外れリーチ乱数エリア42(i+1)、外れ図柄乱数エリア43(i+1)〜45(i+1)の各データを、1つ前のエリア41(i)〜45(i)にそれぞれシフトする。次いで、ステップS60において、制御装置24は、「i」に「1」を加算し、ステップS40へ戻る。
【0083】
一方、ステップS40の判定条件が満たされない場合(CH=i)には、ステップS70へ移行し、保留ランプ18a〜18dのうち前記保留カウンタCHに対応するものを消灯させる。また、次のステップS80において保留カウンタCHから「1」を減算する。
【0084】
次に、制御装置24は、ステップS90において、図柄の変動開始処理を実行する。詳しくは、図12の「変動開始処理ルーチン」に示すように、ステップS901において、内部乱数カウンタCIの値が大当たり値であるか否かを判定する。そして、内部乱数カウンタCIの値が大当たり値の場合には、ステップS903において、大当たり値に対応する大当たり図柄を大当たり図柄乱数カウンタCBに基づいて決定するとともに、それを最終停止図柄としてメモリに記憶し、ステップS905へ処理を移行する。
【0085】
一方、ステップS901における判定条件が満たされていないと、ステップS903において、外れリーチ乱数カウンタCOの値が予め定められた外れリーチ値と同じであるか否かを判定する。そして、外れリーチ乱数カウンタCOの値が外れリーチ値と同一である場合には、ステップS905において、外れリーチ値に対応する図柄(外れリーチ図柄)を停止図柄としてメモリに記憶し、ステップS905へ移行する。
【0086】
また、ステップS903の判定条件が満たされていない場合には、ステップS906において、ステップS16での外れ図柄を停止図柄としてメモリに記憶し、ステップS907へ移行する。
【0087】
さて、ステップS902又はステップS903から移行して、ステップS905においては、リーチパターンを取得する。すなわち、リーチ種別決定カウンタCVに基づいて、上述した「ノーマルリーチ」、「ジェット水上スキーリーチ」、「フィッシングリーチ」等のうちのいずれかがリーチパターンとして取得される。 その後、ステップS905又はステップS906から移行して、ステップS907においては、前記表示装置13の図柄変動を開始させ、「変動開始処理ルーチン」を終了する。
【0088】
上記のように、ステップS90(「変動開始処理ルーチン」)の処理を実行した後、制御装置24は、図10のステップS110において、左右両図柄列14,16における図柄17A〜17Lを、前記ステップS902,S904,S906のいずれかの処理で記憶した停止図柄に差替える。また、左右両図柄列14,16での図柄変動を停止させ、差替え後の図柄17A〜17Lを左右両図柄列14,16に表示する。
【0089】
次に、ステップS120において、制御装置24は、リーチ動作処理を行う。詳しくは、図13の「リーチ動作処理ルーチン」に示すように、ステップS1201において、ステップS905で取得したリーチパターンが、「ノーマルリーチ」であるか否かを判定する。そして、肯定判定された場合(リーチパターンが「ノーマルリーチ」の場合)には、ノーマルリーチ動作処理を行い、その後の処理を一旦終了する。従って、この場合には、例えば図2(c)に示すように、通常変動時と同様の態様で、図柄17A〜17Lがゆっくりと順次切換変更表示される。
【0090】
また、ステップS1201で否定判定された場合には、ステップS1203において、ステップS905で取得したリーチパターンが、「フィッシングリーチ」であるか否かを判定する。そして、肯定判定された場合(リーチパターンが「フィッシングリーチ」の場合)には、フィッシングリーチ動作処理を行い、その後の処理を一旦終了する。
【0091】
ここで、フィッシングリーチに際しては、次のような処理が行われる。すなわち、図14の「フィッシングリーチ動作処理ルーチン」(ステップS1204)に示すように、中図柄列15の変動中の図柄を一旦停止するとともに、左・中・右の各図柄列14〜16の図柄17A〜17Lを一旦上方へ移動させる(図15(a)参照)。なお、この段階で、中図柄列15の図柄17A〜17Lの表示領域が拡張される(図柄17A〜17Lの表示される領域が表示部13aの幅方向中央の下部から上部までとなる)。
【0092】
また、これとともに、ボートBEに乗った猫キャラクタCCを表示する。このとき、あたかも猫キャラクタCCが手に釣り竿SEを持ち、釣り糸IEを垂らすことにより、魚がつれるのを待っているかの如く表示を行う。ここで、猫キャラクタCCは、移動契機手段のキャラクタに相当し、ボートBE、釣り竿SE、釣り糸IE及び後述する釣り針HEは移動契機手段の演出表示物に相当する。なお、前記釣り糸IEは、ちょうど中図柄列15に対応する位置に配置表示される。
【0093】
次に、制御装置24は、図15(b),(c)に示すように、魚がかかったときの如く、猫キャラクタCCが釣り竿SEを持ち上げる動作表示を行う。このとき、釣り竿SEが撓り、釣り糸IEが上方へ移動する表示も併せて行われる。さらに、上記釣り糸IEの上動に合わせて、次の図柄17A〜17L(図では図柄17C)を表示部13aの下方から上方へ向けて出現表示させる。このとき、次の図柄17A〜17Lは、複数の分断片P1〜P7に分断表示されるとともに、ちょうど釣り糸IEに対応する中央部分が先に上方へ移動しているかの如く表示制御が行われる。すなわち、中央の分断片P4がまず先に上動し、次いでそれに隣接する分断片P3,P5、さらに遅れてその両側の分断片P2,P6、その後、両端の分断片P1,P7の順に、時差をもって(分断片P1〜P7同士が相対的にずれて)上動するような表示制御が実行される。なお、ここで、平行に分断された分断片P1〜P7同士は、相互に平行に移動するよう表示制御が行われる。このように、分断片P1〜P7同士が相対的にずれて表示されることによって、遊技者は、図柄17A〜17Lが全体として中央部分において上方への引っ張り応力を受けて変形したかのような印象を抱きうる。なお、このときの変形の態様は、経時的に連続変化するものであり、変形の軌跡が遊技者の記憶に残像となって残るような表示制御が実行される。
【0094】
また、制御装置24は、図15(c)、図16(a)に示すように、上記分断片P1〜P7の上動に伴って、左右図柄列14,16の間に挟まれて停止表示されていた図柄17A〜17L(図では図柄17B)を、上方へ移動させる処理を行う。そして、当該図柄17A〜17Lを、表示部13aの中図柄列15から徐々に消去する。さらにこのとき、魚をつり上げたことによるリアリティを増すために、釣り糸IEの先端に釣り針HEを表示する。
【0095】
その後、図16(b)に示すように、先に相対移動表示されていた中央の分断片P4が所定位置(左右図柄列14,16の停止図柄と同じ位置)に到達した段階で、当該分断片P4の移動を停止させるとともに、当該分断片P4に追従させて、他の分断片P1〜P3,P5〜P7の移動を継続する。そして、図17(a)に示すように、次に中央の分断片P4に隣接する分断片P3,P5が分断片P4と同じ位置に達した時点で、当該分断片P3,P5の移動をも停止させる。この時点で、分断片P3〜P5は一体となり、分断表示が解消される。同様にして、その両側の分断片P2,P6、さらに両端の分断片P1,P7も追従して移動表示、停止が行われる(図17(b)参照)。
【0096】
このような、分断片の追従により、結果として図柄17A〜17Lが元の形状に復帰したかの如く、そして、結果として次の図柄17A〜17Lが上方へ移動したかの如く視認されることとなる。なお、さらに次の図柄17A〜17Lへの切換表示を可能とするべく、猫キャラクタCCによる投竿動作が並行して行われる。そして、上記のような図柄17A〜17Lの切換動作が連続して行われる。
【0097】
なお、次の図柄17A〜17Lが大当たり図柄に相当するような場合に、猫キャラクタCCの釣り上げ時の表情をそれまでとは異ならせたり、釣り竿SEの上下動を繰り返す等して、遊技者にとってのわくわく感を高める演出を適宜行うこととしてもよい。
【0098】
また、所定条件成立時(例えば大当たり時の場合等)には、釣り竿SEやボートBEの色や形状等、或いは猫キャラクタCCの表情といった表示態様をそれまでとは異ならせることにより、大当たり予告演出を行うようにしてもよい。すなわち、表示態様が変更されることで、大当たり状態発生の期待度が変更させられる(この場合には高められる)こととしてもよい。
【0099】
さて、図13の上記ステップS1203で否定判定された場合には、ステップS1205において、ステップS905で取得したリーチパターンが、その他のスーパーリーチであるか否かを判定する。そして、肯定判定された場合(リーチパターンが「ジェット水上スキーリーチ」等のその他のスーパーリーチの場合には、当該その他のスーパーリーチ動作処理を行い、その後の処理を一旦終了する。例えば、リーチパターンが「ジェット水上スキー」の場合には、ジェット水上スキーに乗った女の子のキャラクタが表示される。そして、当該キャラクタが図中右から出現し、左方向へ駆け抜けてゆくかの如く表示制御が実行され、このとき、制御装置24は、中図柄列15に表示された図柄17A〜17Lが、上記駆け抜けに伴う風によって、くるくる回るかの如く変動表示が行われる。このときの中図柄列15における図柄17A〜17Lの変動表示は、あたかも立方体に付された図柄17A〜17Lがその縦軸心を回転中心として回転するかのように行われる。
【0100】
一方、ステップS1205で否定判定された場合には、リーチパターンが取得されておらず、いずれのリーチ動作処理をも行わないものとして、当該「リーチ動作処理ルーチン」を一旦終了する。
【0101】
上記のように、ステップS120(「リーチ動作処理ルーチン」)の処理を実行した後、制御装置24は、ステップS130(図10参照)において、中図柄列15での図柄変動を停止させる。
【0102】
引き続き、制御装置24は、ステップS135において、全回転再変動処理を実行する。詳しくは、制御装置24は、今回、全回転再変動処理を実行する条件(大当たりであること等)が成立しているか否かを判定し、条件が成立していない場合には、何らの処理をも実行することなく、その後の処理を一旦終了する。これに対し、全回転再変動処理を実行する条件が成立している場合には、全図柄列14〜16の図柄17A〜17Lを、図柄17A〜17Lが揃った状態で再変動させる。そして、上述した各種の再変動を行った後、制御装置24はその後の処理を一旦終了する。
【0103】
上記のような再変動処理を行った後、制御装置24は、次に、ステップS140において、図柄17A〜17Lの組合せが大当たりの組合せであるか否かを判定する。なお、この際には、停止図柄の差替えが正しく行われたか否かの確認も行われる。そして、この判定条件が満たされていない場合には、「特別電動役物制御ルーチン」を終了する。また、図柄17A〜17Lの組合せが大当たりの組合せである場合(実際に再変動が行われた場合も、この場合に該当する)には、ステップS150において、ラウンドカウンタCRを「0」にクリヤする。なお、このとき、制御装置24によって大当たり報知表示がなされる。
【0104】
次に、制御装置24は、ステップS160(図11参照)において、入賞カウンタCEを「0」にクリヤするとともに、入賞判定フラグFEを「0」に設定する。また、続くステップS170においては、ラウンドカウンタCRを「1」ずつインクリメントする。
【0105】
さらに、ステップS180において、制御装置24は、大入賞口用ソレノイド12を励磁させる。すると、シャッタ11が倒れて略水平状態となり、大入賞口4が開放される。この開放により、遊技球5のVゾーン8及び入賞通路9への入賞が可能となる。
【0106】
次に、ステップS190において、制御装置24は、入賞カウンタCEの値が予め定められた所定値CEmaxよりも小さいか否かを判定する。そして、この判定条件が満たされている場合には、ステップS200において、大入賞口4の閉鎖予定時期がまだか否かを判定する。大入賞口4の閉鎖予定時期がまだの場合には、処理をステップS190へ戻す。その結果、大入賞口4の開放開始後に所定値CEmax個以上の遊技球5が入賞するか、閉鎖予定時期が到来するかしない限りは、大入賞口4が開放され続ける。これに対し、ステップS190又はステップS200のいずれか一方が満たされていないと、ステップS210において、制御装置24は、大入賞口用ソレノイド12を消磁する。すると、シャッタ11が起こされて略垂直状態となり、大入賞口4が閉鎖される。
【0107】
続いて、ステップS220において、制御装置24は、ラウンドカウンタCRの値が予め定められた所定値CRmaxよりも小さいか否かを判定する。そして、ラウンドカウンタCRの値が所定値CRmaxよりも小さい場合には、続くステップS230において入賞判定フラグFEが「1」であるか否かを判定する。入賞判定フラグFEが「1」の場合には、処理をステップS160へと戻す。従って、一旦大当たり遊技状態が発生すると、遊技球5がVゾーン8に入賞することによる継続条件が、所定値CRmax回数満たされるまでは、大入賞口4が開閉のサイクルを繰り返す。例えば所定値CEmaxが「10」に設定され、大入賞口4の開放時間が「約29.5秒」に設定され、所定値CRmaxが「16」に設定されている場合には、大入賞口4の開放後、(1)遊技球5が大入賞口4へ10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、のいずれか一方の条件が満たされた時点で大入賞口4が閉鎖される。この大入賞口4の開閉のサイクルが遊技球5のVゾーン8への入賞を条件に最大で16回繰り返されることとなる。そして、ステップS220又はステップS230の判定条件のいずれか一方が満たされていない場合には、「特別電動役物制御ルーチン」を一旦終了する。
【0108】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、フィッシングリーチにおいて、次の図柄17A〜17Lが移動表示されるに際し、複数の分断片P1〜P7に分断表示されるよう構成した。このため、遊技者は、図柄17A〜17Lが分断表示されることに驚きを覚える。また、中央の分断片P4がまず先に上動し、次いでそれに隣接する分断片P3,P5、さらに遅れてその両側の分断片P2,P6、その後、両端の分断片P1,P7の順に、時差をもって(分断片P1〜P7同士が相対的にずれて)上動する。このため、遊技者は、かかる動きにもさらに驚きを覚える。特に、本実施の形態では、上記相対的なずれによって、図柄17A〜17Lが全体として変形しているかのような印象を抱きうる。そのため、さらに面白味が増すこととなり、結果として、興趣の飛躍的な向上を図ることができる。
【0109】
さらに、本実施の形態では、釣り針HEから上方への引張応力が付与されることに基づき、図柄17A〜17Lが変形しているような印象を遊技者は抱きうる。そのため、上述した変形に何ら違和感が生じることがなく、面白味に一層の厚みが増すこととなる。特に、本実施の形態では前記応力の作用する部位に近いほど分断片P1〜P7が先に移動しうるようにした。従って、上記変形に説得性が付与され、演出に際してのリアリティが一層増す。
【0110】
また、本実施の形態では、先に相対移動表示された中央の分断片P4が所定位置に到達した段階で、当該分断片P4の移動が停止させられ、それに追従するように他の分断片P1〜P3,P5〜P7の移動表示制御が行われることとした。このため、このような分断片の追従により、結果として図柄17A〜17Lが元の形状に復帰したかの如く、そして、結果として次の図柄17A〜17Lが上方へ移動したかの如く視認されることとなる。また、上記一連の動きを繰り返すことで、図柄17A〜17Lの切換が違和感なく行われることとなる。
【0111】
さらに、本実施の形態では、ボートBE、猫キャラクタCC、釣り竿SE、釣り糸IE、釣り針HEといった移動契機手段の存在が、上述した移動表示の契機となり、移動表示に際しての不自然さが生じにくいものとなる。そのため、演出に一種のストーリ性が付与され、さらに面白味が増す。
【0112】
併せて、本実施の形態では、フィッシングリーチに際し、まず左・中・右の各図柄列14〜16の図柄17A〜17Lを一旦上方へ移動させることにより、中図柄列15の表示領域を拡張するようにした。このため、上述した移動表示が行いやすくなり、上記作用効果がより確実に奏されることとなる。
【0113】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0114】
(a)上記実施の形態では、部分的な応力が付与される箇所を1カ所としたが、複数箇所に部分的な応力が付与されるような構成としてもよい。
【0115】
(b)上記実施の形態では、中央の分断片P4に引張応力が付与される構成としたが、引張応力に代えて、又は、引張応力に加えて、押圧力が加えられるかのような表示を行うこととしてもよい。
【0116】
(c)上記実施の形態では、情報に引っ張り上げられる応力に合わせて、分断片P1〜P7が上方へまっすぐ移動表示されるようにしたが、斜めに移動するかのような表示を行うこととしてもよい。また、移動方向を適宜変更させることとしてもよい。このような表示制御を絡めることで、例えば魚があたかも逃げ回るかのような演出をも行うことができる。
【0117】
(d)上記実施の形態では特に言及しなかったが、途中で、釣り糸IEが切れたり、猫キャラクタCCが釣り竿SEを持ち上げる動作を断念すること等により、分断片P1〜P7の移動を途中で停止させる(その後、元の状態に戻す)ような演出を行うこととしてもよい。すなわち、応力の付与の停止に伴い、全ての分断片の移動の完了が停止されるようにしてもよい。
【0118】
(e)上記実施の形態では、7個の分断片P1〜P7により図柄17A〜17Lを構成することとしたが、6個以下であっても、8個以上であっても差し支えない。但し、表示の都合上3個以上20個以下であることが望ましく、3個以上15個以下であることがより望ましく、5個以上10個以下であることがさらに望ましい。
【0119】
(f)上記実施の形態において、所定条件成立時に、猫キャラクタCC等の表示態様を変更させることで、大当たり状態発生の期待度が変更させられることとしてもよい点には言及したが、これ以外にも分断片の数や、分断片の分断のされ方等に基づき大当たり状態発生の期待度が変更させられることとしてもよい(例えば分断片の数が10個の場合には大当たり確率100%、分断片の数が5個の場合には大当たり確率50%とする等)。また、図柄17A〜17L(分断片)の表示態様をそのときどきによって可変とすることとしてもよい。さらに、図柄17A〜17L(分断片)の表示態様によって、大当たり状態発生の期待度が変更させられることとしてもよい(例えば1つの分断片の色が他の色と異なるような場合には、全ての分断片の色が同じ場合に比べて大当たり確率が高められる等)。
【0120】
(g)上記実施の形態では特に言及しなかったが、分断片の移動の前後で環境(例えば背景)が異なるような表示制御を行うこととしてもよい。例えば、表示部13aの背景を海中と海面と大気とに分けて表示するとともに、移動完了後は全ての分断片が大気中に位置するような構成としてもよい。上記のような構成とすることにより、演出に一層の厚みが増す。
【0121】
(h)また、上記実施の形態では特に言及しなかったが、分断片の移動に際して音声による演出(例えば水のはねる「バシャッ」という音等を分断片の上動に合わせて発する等)をも併せて行うこととしてもよい。かかる構成とすることにより、さらに一層リアリティが増す。
【0122】
(i)結果として大当たり状態が発生しなかった場合に、それを報知する演出を行うこととしてもよい(例えばボードBEが海中に沈む等の演出表示を行う等)。
【0123】
(j)フィッシングリーチに際して、中図柄列15の図柄17A〜17Lを注視させるべく、当該中図柄列15の図柄17A〜17Lを拡大表示することとしてもよい。また、左右図柄列14,16の図柄17A〜17Lを縮小表示することとしてもよい。
【0124】
(k)上記実施の形態では、図柄17A〜17Lを、魚等の絵と、「1」〜「12」の数字との組合せによって構成することとしたが、遊技者に認識されるものであればいかなる識別情報であってもよい。例えば、数字のみからなる図柄や、絵や記号のみからなる図柄であってもよい。
【0125】
(l)上記実施の形態では、確変モードの概念として、(1)7セグ表示部53に「7」が表示される確率を通常時に比べて高め、作動口3の羽根6を開放させる機会を増やすこと、(2)7セグ表示部53における数字の変動時間を短くすること、(3)羽根6の開放時間を長くすること(及び/又は入賞個数を多くすること)、(4)特別図柄表示装置13の表示部13aの図柄17A〜17Lの変動時間を短くすること、(5)大当たり期待値が通常モードに比べて高くなることのうち、(5)のみ、すなわち、大当たり確率が単に高められることのみが実行されることとした。
【0126】
これに対し、(5)を含む(1)〜(4)のうちの少なくとも1つを満たすことを、確変モードとしてとらえてもよい。すなわち、(1)〜(4)の任意の組合せ(例えば(1)と(2)、(1)と(3)、(1)と(4)、(2)と(3)、(2)と(4)、(3)と(4)、(1)と(2)と(3)、(1)と(2)と(4)、(1)と(3)と(4)、(2)と(3)と(4)、(1)と(2)と(3)と(4))と(5)を組み合わせたものを確変モードとしてとらえてもよい。
【0127】
(m)また、確変モードとして、次回の大当たり時まで継続されるもの以外にも、次々回の大当たり時まで継続されるものや、所定回数の図柄17A〜17Lの変動停止が行われるまで継続されるもの等を採用することもできる。
【0128】
(n)さらに、確変モードに加えて、或いは代えて、時間短縮モード(上記(b)の(1)〜(4)の任意の組み合わせからなるモード)を採りうる遊技機にも適用可能である。例えば、偶数図柄で大当たりになると通常モードが付与され、奇数図柄で大当たりになると時間短縮モードが付与されるようなパチンコ機にも適用することができる。また、確変モード等の遊技モードの設定のないタイプのパチンコ機にも適用可能である。
【0129】
(o)全回転再変動表示を省略することとしてもよい。
【0130】
(p)表示装置13としては、上述した液晶ディスプレイ以外にも、CRT、ドットマトリックス、LED、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示菅等を用いてもよい。
【0131】
(q)乱数に関するカウンタ(内部乱数カウンタCI、外れリーチ乱数カウンタCO、大当たり図柄乱数カウンタCB、左・中・右の各図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDR及びリーチ種別決定カウンタCV)を適宜変更してもよい。例えば、1つの乱数カウンタを用い、その値に基づき大当たり状態、外れリーチ状態等を決定してもよい。
【0132】
(r)上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等にも具体化できる。例えば、大当たり図柄が表示された後に所定の領域に遊技球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン等の各種遊技機として実施することも可能である。なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作等することで図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に確定図柄を表示する図柄表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間が経過することにより図柄変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となる。
【0133】
(s)分断片の表示態様や、移動契機手段の表示態様に応じて、次回の遊技モードの切換に際しての示唆を行いうるようにしてもよい。例えば、表示される分断片が多い場合や、ボートBEに特別な着色が施されているような場合には、確変モードを付与しうる図柄で大当たり状態が発生する確率が高められるような構成になっていてもよい。
【0134】
(t)上記実施の形態では分断片P1〜P7の表示比率をほぼ均等にしたが、例えば端部ほど細かく分断表示されるように構成する等、各分断片の分断比率を部位に応じて相異させることとしてもよい。
【0135】
(u)上記実施の形態における変形表示は、未だ変動中の図柄列の図柄のみならず、全ての図柄列の図柄が停止表示されている場合以外の場合にも行いうる。例えば左右図柄列14,16の図柄が確定的に表示されており、中図柄列15においてのみ図柄が変動表示されている場合において、当該中図柄列15の図柄を変形させてもよいし、他の図柄列14,16の図柄に関して移動変形表示を行うこととしてもよい。
【0136】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、パチンコ機等の遊技機において、興趣の飛躍的な向上を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】(a),(b),(b)ともに表示部の表示状態の例を示す模式図であって、(a)は変動時の表示態様を、(b)は大当たり時の表示態様を、(c)はリーチ状態時の表示態様を示す図である。
【図3】表示部に表示されうる図柄の種類を説明する図である。
【図4】図柄乱数バッファの概念を説明する図表である。
【図5】図柄乱数エリアの概念を説明する図表である。
【図6】停止図柄エリアの概念を説明する図表である。
【図7】乱数カウンタの概念を説明する図表である。
【図8】制御装置により実行される「乱数振分けルーチン」を示すフローチャートである。
【図9】「格納処理ルーチン」を示すフローチャートである。
【図10】「特別電動役物制御ルーチン」の一部を示すフローチャートである。
【図11】「特別電動役物制御ルーチン」の一部であって、図10の続きを示すフローチャートである。
【図12】「変動開始処理ルーチン」を示すフローチャートである。
【図13】「リーチ動作処理ルーチン」を示すフローチャートである。
【図14】「フィッシングリーチ動作処理ルーチン」を示すフローチャートである。
【図15】(a)〜(c)ともにフィッシングリーチ動作処理ルーチンにおける表示部の一例を示す模式図である。
【図16】(a),(b)ともにフィッシングリーチ動作処理ルーチンにおける表示部の一例を示す模式図である。
【図17】(a),(b)ともにフィッシングリーチ動作処理ルーチンにおける表示部の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1…パチンコ機、2…遊技盤、3…作動口、4…大入賞口、5…遊技球、13…表示装置、13a…表示部、14…左図柄列、15…中図柄列、16…右図柄列、17A〜17L…図柄、24…制御装置。
Claims (4)
- 遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出する遊技状況検出手段と、
複数の図柄を変動表示しうる可変表示装置と、
前記遊技状況検出手段による検出結果に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるか否かの抽選を行うとともに、前記可変表示装置の表示部にて、絵図柄及び数字図柄の組み合わせからなる複数の図柄の変動表示を開始させ、所定時間後に停止表示させ、
前記抽選の結果が当たりである場合には、前記表示部において図柄を特定の停止態様で停止表示させて、前記特別遊技状態を発生させる手段を備えた遊技機であって、
前記図柄の変動表示中の少なくとも一時期において、
前記図柄を3つ以上の分断片の集合によって構成するとともに、
前記図柄の移動の契機となるキャラクタを表示し、
前記分断片のうち少なくとも1の分断片に対し、前記キャラクタが所定の応力を付与する表示を行う手段と、
前記キャラクタによる応力付与表示に基づいて、前記図柄を所定の表示領域からそれとは異なる表示領域へ移動表示するとともに、当該移動表示に際しては、前記分断片のうち前記応力付与表示の行われた少なくとも1の分断片が優先的に所定の表示領域からそれとは異なる表示領域へ移動するよう表示することで前記図柄を一時的に変形表示し、他の分断片は前記移動に追従して時差をもって所定の表示領域からそれとは異なる表示領域へ移動するよう表示する手段と、
前記移動が終了した後、前記分断片を一体化するとともに分断表示を解消して表示する手段と
を具備することを特徴とする遊技機。 - 前記N個(Nは5個以上10個以下)の各分断片は、前記図柄が、互いに平行な複数本の直線で分断されることで構成され、前記移動表示に際して、前記各分断片は、前記直線に沿って互いに平行に移動表示されることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
- 前記キャラクタが前記所定の応力の付与を停止する表示を行う手段と、
前記応力の付与停止表示に伴い、前記図柄の移動が中断又は中止する手段とを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。 - 前記移動中の図柄のうち前記応力付与表示の行われた分断片に近い分断片ほど優先的に移動しうるようにしたことをする特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
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