JP4505614B2 - 酸化チタンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化チタン、光触媒体および光触媒体コーティング剤ならびに酸化チタンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、可視光線の照射に対して活性を示す酸化チタン光触媒の開発が活発に行われ、各種の報告がなされている(特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第01/10552号パンフレット
【特許文献2】
特開2001−72419号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの公報に記載の光触媒体は、可視光線の照射に対し触媒作用を示すものであり、有害成分の分解除去などへの応用が検討されている。そこで、光触媒体の応用範囲を広げるためには、使用される雰囲気(例えば、湿度、温度、分解対象物の種類・初期濃度)に影響されることなく可視光線の照射に対して十分な触媒活性を示す光触媒体が要望されていた。
【0005】
本発明は、このような光触媒体の触媒成分として有用な酸化チタンを提供することを目的とする。また、この酸化チタンを用いる光触媒体およびコーティング剤を提供することを目的とする。さらには、この酸化チタンの簡易な製造方法を提供することをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、酸化チタンの触媒性能の向上について検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、水酸化チタンを、フッ素および窒素の存在下で、焼成することを特徴とする酸化チタンの製造方法を提供するものである。
【0008】
また本発明は、フッ素の量が、水酸化チタンのチタンに対し0.5原子%以上である酸化チタンの製造方法を提供するものである。
【0009】
さらに本発明は、窒素の量が、水酸化チタンのチタンに対し0.5原子%以上である酸化チタンの製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の酸化チタンは、その主成分がTiO2なる組成式で表され、TiO2含有量が通常50重量%以上のものであって、チタンと酸素以外にフッ素を含有するものである。フッ素の量は、通常、酸化チタンのチタンに対し0.5原子%以上である。酸化チタンはフッ素の量が多いほど、その触媒活性が高くなるので好ましく、例えば酸化チタンのチタンに対し1.5原子%以上であるものが好ましい。一方、フッ素の量があまり多くなると、溶媒への分散性が低下することがあるので、酸化チタンのチタンに対し20原子%以下、さらには10原子%以下であることが好ましい。酸化チタン中のフッ素の量はX線光電子分光法(以下、XPSという。)により求めることができる。
【0011】
また本発明の酸化チタンは窒素を含有するものであり、窒素の量が酸化チタンのチタンを基準に通常0.5原子%以上、好ましくは1.5原子%以上であり、また20原子%以下、好ましくは10原子%以下である。酸化チタン中の窒素の量についてもXPSにより求めることができる。
【0012】
本発明の酸化チタンは、フッ素および窒素を含有することに加え、XPSによりチタンの電子状態を10回分析して1回目と2回目の積算スペクトルS1および7回目と8回目の積算スペクトルS2を求め、積算スペクトルS1の結合エネルギー458〜460eVにあるピークの半価幅をHW1とし、積算スペクトルS2の結合エネルギー458〜460eVにあるピークの半価幅をHW2としたとき、式(I)
W=HW2/HW1 (I)
により算出される指数Wが0.97以下のものである。指数Xが0.97を超える酸化チタンでは、フッ素および窒素を含むものであっても、可視光線の照射に対し十分な触媒活性を示さない。フッ素および窒素を含有し、特定の指数Wをもつ酸化チタンが、何故、可視光線の照射に対し高い触媒活性を示すか、その機構は必ずしも明らかではないが、チタンの結合エネルギー458〜460eVにあるピークはチタンと酸素の結合を示し、またこのときの酸素の存在状態は酸化チタン骨格内のもの、または水酸基であると考えられることから、フッ素および窒素を含有し、かつX線照射により酸素の存在状態が経時的に変化するといった特性が光触媒活性に影響しているものと推察される。なお、ピークの半価幅は、XPS測定装置により得られるスペクトルのピークのうち、結合エネルギーが458〜460eVにあるものをデータ処理することにより求めることができる。
【0013】
酸化チタン中のフッ素含有量および窒素含有量ならびに指数WをXPSにより求める方法について以下に詳細に説明する。
【0014】
最初に、XPS測定装置の測定セルに試料(酸化チタン)を入れ、X線源:MgKα 8kV 30mA ナロースキャン、pass E=10eV、step E=0.04eV、真空度:5×10-6Pa、温度:室温、Ti2pピーク位置:C1s=284.6eVにより補正あり、試料のセルへの保持:カーボンテープ使用の条件で、チタンの電子状態を1回あたり60秒で2回分析(1回目、2回目)、酸素の電子状態を1回あたり56秒で2回分析、炭素の電子状態を1回あたり80秒で2回分析、チタンの電子状態を1回あたり60秒で2回分析(3回目、4回目)、酸素の電子状態を1回あたり56秒で2回分析、炭素の電子状態を1回あたり80秒で2回分析、チタンの電子状態を1回あたり60秒で2回分析(5回目、6回目)、酸素の電子状態を1回あたり56秒で2回分析、炭素の電子状態を1回あたり80秒で2回分析、チタンの電子状態を1回あたり60秒で2回分析(7回目、8回目)、酸素の電子状態を1回あたり56秒で2回分析、炭素の電子状態を1回あたり80秒で2回分析を順に行い、次いでチタンの電子状態を1回あたり60秒で2回分析(9回目、10回目)、窒素の電子状態を1回あたり28秒で30回分析、フッ素の電子状態を1回あたり23秒で30回分析を順に行って、XPSスペクトルを得る。ここまでの一連の分析は、分析時および分析と分析との間、酸化チタンを大気中に暴露させることなく行い、開始から終了迄の時間が60分以内となるように行う。上で得られるスペクトルのデータは、通常、XPS測定装置付属の記憶装置に蓄積される。
【0015】
つぎに、蓄積されたスペクトルのデータのうち、チタンの1回目と2回目のデータおよび7回目と8回目のデータは、それぞれ、積算され表示装置に転送されて積算スペクトルS1、積算スペクトルS2として表示される。これらの積算スペクトルS1、積算スペクトルS2にあるピークのうち結合エネルギー458〜460eVのものが選択される。選択されるピークについて、XPS測定装置付属のデータ処理用ソフトウェアによりデータ処理が行われ、自動的に、結合エネルギー458〜460eVにあるピークの半価幅HW1、HW2が求められる。
【0016】
積算スペクトルに見られるピークにうち、結合エネルギー458eV〜460eVの間にあるものについて、その半価幅を求める手順を、後述する実施例1で得られた酸化チタンを例に示す。チタンの電子状態についての1回目のスペクトルと2回目のスペクトルを積算した積算スペクトルS1に見られるピークにうち、結合エネルギー458eV〜460eVの間にあるピーク〔図1参照〕について、ピークの下端に接するベースラインを引き〔図2参照〕、ピークの頂点から下方にベースラインに届くまで線Aを引き〔図3参照〕、線Aの中間点を通りかつベースラインに平行な線Bを引き、この線Bとスペクトルが接する点C、C’を求め〔図4参照〕、点Cの結合エネルギーE1Cと点C’の結合エネルギーE1C'を求め、ピークの半価幅HW1(=E1C−E1C')を算出する〔図5参照〕。同様に、チタンの電子状態についての7回目のスペクトルと8回目のスペクトルを積算した積算スペクトルS2からピークの半価幅HW2を算出する。
【0017】
酸化チタン中のフッ素の量は、XPSスペクトルのフッ素のピーク面積から算出される原子数Fnと、同じくXPSスペクトルのチタンのピーク面積から算出される原子数Tnとの比で表される。詳細には、フッ素についての30回の積算スペクトルを平滑化処理した後〔図6参照〕、680〜688eVの間にあるピークの下端に接するベースラインを引き〔図7参照〕、積算スペクトルとベースラインに囲まれた面積f1を区分求積法(ステップ幅:例えば0.04eV)〔図8参照〕により求める。ここで、680〜688eVの間にあるピークを選ぶのは、この間にフッ素F1sの電子準位のピークがあるためである。上記ピーク面積f1と、フッ素に対する光電離断面積f2、平均自由工程f3、装置関数f4とから、フッ素の原子数Fnは、式(II)
n=f1/(f×f×f) (II)
となる。一方、チタンについての9回目と10回目の積算スペクトルを平滑化処理した後、455〜468eVの間にあるピークについて、ピーク面積t1を求める。ここで、455〜468eVの間にあるピークを選ぶのは、この間にチタンTi2p(Ti2p3/2とTi2p1/2を含む)の電子準位のピークがあるためである。上記ピーク面積t1と、チタンに対する光電離断面積t2、平均自由工程t3、装置関数t4とから、チタンの原子数Tnは、式(III)
n=t1/(t2×t3×t4) (III)
となる。これらF、Tから原子数比(Fn/Tn)が求められる。
【0018】
酸化チタン中の窒素の量についても、フッ素と同様に、窒素についての30回の積算スペクトルを平滑化処理した後、396〜404eVの間にあるピークについて、ピーク面積n1を求める。ここで、396〜404eVの間にあるピークを選ぶのは、この間に窒素N1sの電子準位のピークがあるためである。上記ピーク面積n1と、窒素に対する光電離断面積n2、平均自由工程n3、装置関数n4とから、窒素の原子数Nnは、式(IV)
n=n1/(n×n×n) (IV)
となる。これらNn、Tnから原子数比(Nn/Tn)が求められる。
【0019】
本発明の酸化チタンは、吸光スペクトルを測定したときの、波長220nm〜800nmでのスペクトルの吸光度の積分値をPとし、波長400nm〜800nmでのスペクトルの吸光度の積分値をQとしたとき、式(V)
R=Q/P (V)
で示される指数Rが通常0.1以上のものである。吸光度の積算値とは、縦軸に吸光度、横軸に波長をとった吸光スペクトルにおいて、指定された波長の範囲内で横軸と吸光スペクトルとで囲まれた領域の面積を意味する。
【0020】
本発明の酸化チタンは、結晶構造がアナターゼ型であるものが好ましい。この酸化チタンは、粒子、繊維、薄片のような形状をもつことができ、これらの中から、使用環境、条件に応じて選択すればよい。酸化チタンは、酸化チタン以外の無機化合物を混合したものであってもよいし、または混合した後、熱処理など施して酸化チタン以外の無機化合物と複合化したものであってもよい。酸化チタン以外の無機化合物としては、例えば、酸化ニオブ〔Nb25〕、酸化鉄〔Fe34、Fe23〕、酸化亜鉛〔ZnO〕、酸化タングステン〔WO3〕、マグネシア〔MgO〕などが挙げられる。
【0021】
フッ素および窒素を含有し、指数Wが特定値となる本発明の酸化チタンは、例えば、水酸化チタンをフッ素および窒素の存在下で焼成する方法などにより得られる。
【0022】
焼成に供する水酸化チタンは、例えば、水酸化チタン(II)〔Ti(OH)2〕、水酸化チタン(III)〔Ti(OH)3〕、水酸化チタン(IV)〔Ti(OH)4〕、オキシ水酸化チタン〔TiO(OH)2〕、α−チタン酸〔H4TiO4〕、β−チタン酸〔H2TiO3〕などである。また水酸化チタンは結晶質のものの他、非晶質のものであってもよい。水酸化チタンは、市販のものが使用できるが、例えば、オキシ硫酸チタン水溶液とアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのようなアルカリとを反応させる方法で調製したものであってもよい。
【0023】
焼成は、フッ素および窒素の存在下で行えばよく、例えば、フッ化水素、フッ化チタンのようなフッ素含有化合物と、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、尿素、塩基性硫酸チタニウムアンモニウム〔(NH4)2SO4・TiOSO4〕のような窒素含有化合物との混合物の存在下で行う方法などが挙げられる。フッ素含有化合物の存在量は、原料である水酸化チタンのチタンに対し、フッ素換算で通常0.5原子%以上、好ましくは1.5原子%以上であり、また20原子%以下、好ましくは10原子%以下となる量であればよい。また窒素含有化合物の存在量は、水酸化チタンのチタンに対し、窒素換算で通常0.5原子%以上、好ましくは1.5原子%以上であり、また20原子%以下、好ましくは10原子%以下となる量であればよい。また焼成は、フッ化アンモニウムのようなフッ素と窒素を両方含有する化合物の存在下で行ってもよい。このときの化合物の量は、水酸化チタンに対し、化合物をフッ素換算したときのフッ素と化合物を窒素換算したときの窒素との合計量が通常0.01mol%以上、好ましくは0.1mol%以上となり、また通常10mol%以下となる量である。
【0024】
焼成は、具体的には、焼成前の水酸化チタンに、常温で固体のフッ素含有化合物(フッ化チタンなど)および常温で固体の窒素含有化合物(硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、尿素、塩基性硫酸チタニウムアンモニウムなど)を添加し、得られる混合物を加熱する方法、または焼成前の水酸化チタンに、常温で固体のフッ素含有化合物および常温で液体の窒素含有化合物(アンモニア水など)を添加し、得られる混合物を加熱する方法、焼成前の水酸化チタンに液体のフッ素含有化合物(フッ化水素水など)および固体の窒素含有化合物を添加し、得られる混合物を加熱する方法、または焼成前の水酸化チタンにフッ素と窒素を両方含有する化合物(フッ化アンモニウム)を添加し、得られる混合物を焼成する方法などで行うことができる。
【0025】
焼成のときの温度は、水酸化チタンを酸化チタンに変えることができる温度であればよく、通常300℃以上、好ましくは320℃以上である。一方、焼成温度はあまり高くなると、得られる酸化チタンの触媒活性が低下するので600℃以下、さらには500℃以下、とりわけ450℃以下が好ましい。焼成の雰囲気は、通常、酸素〔O2〕、アルゴン、二酸化炭素または窒素〔N2〕などであるが空気であってもよい。
【0026】
本発明の光触媒体は、触媒成分として、上の酸化チタンを含む。この光触媒体は、酸化チタンだけからなるもの、または結合剤、成形助剤、吸着剤、帯電防止剤のような添加剤を含むものいずれのものであってもよい。結合剤としては、例えば、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニール−酢酸ビニル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、有機ポリシロキサンのような有機物、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化チタン、オキシ水酸化チタン、非晶質酸化チタン、水酸化ジルコニウム、オキシ水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、水酸化ハフニウム、オキシ水酸化ハフニウム、酸化ハフニウムのような無機物などが挙げられる。成形助剤としては、例えば、セルロース誘導体(エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなど)、アミン化セルロース誘導体のような有機物、スメクタイト族層状鉱物(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、スインホルダイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ボルコンスコアイトなど)、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維のような無機物が挙げられる。吸着剤としては、例えば、ゼオライト、モレキュラーシーブ、活性炭などが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレートなどが挙げられる。また本発明の光触媒体は、酸化チタン以外の光触媒、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化錫(SnO2)を含むものであってもよく、さらには、紫外線の照射に対し触媒活性を示す他の酸化チタン光触媒を含むものであってもよい。ここまでに述べた本発明の光触媒体は、蛍光灯、白熱灯、発光ダイオード、ナトリウムランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプのような光源により光が照射されると触媒活性を示し、有機化合物、例えばアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドを分解することができるものである。
【0027】
本発明の光触媒体コーティング剤は、上の酸化チタンと溶媒を含む。このときの溶媒は、例えば、水、塩酸、アルコール類、ケトン類などである。この光触媒体コーティング剤は、上で示した添加剤、すなわち結合剤、成形助剤、吸着剤、帯電防止剤などを含むものであってもよいし、硝酸、塩酸、燐酸のような無機酸、またはカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、クエン酸など)、アミノ酸(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジンなど)のような有機酸を含むものであってもよい。この光触媒体コーティング剤を使用することにより、窓ガラス、鏡、壁、ブラインド、タイルなどの表面に可視光線の照射に対して触媒作用を示す膜を容易に形成することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、酸化チタンの物性測定は以下の方法で行った。
【0029】
フッ素含有量(原子%)、窒素含有量(原子%)、指数W:
X線光電子分光測定装置(商品名“XPS-7000"、理学電機製)を使用し、上述の条件で測定してXPSスペクトルを得、このスペクトルから上で示した手順に従って、フッ素含有量、窒素含有量、指数Wを求めた。この装置は、図9に示すように、データ処理用コンピュータ1と、それに接続された外部記憶装置2、表示装置3および印字装置4と、コンピュータ1に接続された制御用コンピュータ5とから構成されている。測定では、制御用コンピュータ5により、そこに接続された真空排気系6、試料搬送系7、試料処理系8、X線源9、電子分光系10および検出器11が逐次制御されて、検出器11からスペクトルのデータが得られ、そのデータは制御用コンピュータ5を経由してデータ処理用コンピュータ1に送信されて蓄積される。またデータは、必要に応じて外部記憶装置2にも蓄積される。データ処理用コンピュータ1により、蓄積されたスペクトルのデータは処理され、試料のチタン、フッ素および窒素のピーク面積ならびに半価幅が算出される。チタン、フッ素、窒素それぞれについて、得られるピーク面積と下表1に示す光電離断面積、平均自由工程および装置関数とから、式(II)、(III)、(IV)により原子数(相対値)を求める。また、得られた半価幅から、式(I)により指数Wを求める。
【0030】
【表1】
Figure 0004505614
【0031】
結晶構造:
X線回折装置(商品名“RAD-IIA”、理学電機工業)を使用し、X線管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:35mA、発散スリット:1度、散乱スリット:1度、受光スリット:0.30mm、サンプリング幅:0.020度、走査速度:2.00度/分、測定積算回数:1回の条件で測定した。
【0032】
吸光度の積算値:
横1cm、縦1cm、高さ4.5cmの石英製セルの1つに、試料(酸化チタン)を入れ、同型石英セルの他の1つに水を入れ、積分球を備えた紫外可視分光光度計(商品名“UV-2500PC”、島津製作所製)を用いて、後者のセルを参照セルとし、硫酸バリウムを標準白板として、酸化チタンの吸光スペクトルを測定した。このスペクトルから、波長220nm〜800nmでのスペクトルの吸光度を積算して積分値Pを求め、波長400nm〜800nmでのスペクトルの吸光度を積算して積分値Qを求めた。
【0033】
実施例1
水酸化チタン(主成分:β−チタン酸、キシダ化学製)20gに0.15重量%弗化アンモニウム水溶液50gを添加し、乾燥して混合物を得た。電気炉(商品名“電気マッフル炉KM−1302P”、アドバンテック東洋製)に、得られた混合物3.13gを入れ、空気中で室温から350℃まで105分間で昇温し、そのまま1時間保持して焼成した後、徐冷して酸化チタン2.87gを得た。得られた酸化チタンは粒子状であり、結晶構造がアナターゼ型であった。この酸化チタンのフッ素含有量、窒素含有量を表2に示す。また、酸化チタンの積算スペクトルS1、S2のピーク位置および半価幅ならびに指数Wを表2にあわせて示す。
【0034】
【表2】
Figure 0004505614
【0035】
つぎに、この酸化チタンの吸光スペクトルの積分値P、積分値Q、指数Rを表3に示す。
【0036】
【表3】
Figure 0004505614
【0037】
〔酸化チタンの活性評価〕
直径8cm、高さ10cm、容量約0.5Lの密閉式ガラス製反応容器内に、直径5cmのガラス製シャーレを設置し、そのシャーレ上に、上で得られた酸化チタン0.3gを置いた。反応容器内を酸素と窒素との体積比が1:4である混合ガスで満たし、アセトアルデヒド13.4μmolを封入し、反応容器の外から可視光線を酸化チタンに照射して、アセトアルデヒドの分解試験を行った。可視光線の照射には、500Wキセノンランプ(商品名“ランプUXL-500SX”、ウシオ電機製)を取り付けた光源装置(商品名“オプティカルモジュレックスSX-UI500XQ”、ウシオ電機製)に、波長約430nm以下の紫外線をカットするフィルター(商品名“Y-45”、旭テクノガラス製)と波長約830nm以上の赤外線をカットするフィルター(商品名“スーパーコールドフィルター”、ウシオ電機製)とを装着したものを光源として用いた。アセトアルデヒドの分解により発生する二酸化炭素の濃度を光音響マルチガスモニタ(1312型、INNOVA製)で経時的に測定し、濃度変化より二酸化炭素の生成速度を算出した。この例における二酸化炭素の生成速度は酸化チタン1gあたり1.99μmol/hであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の酸化チタンは、可視光線の照射に対し十分な触媒活性を示すものである。この酸化チタンを含む本発明の光触媒体は、使用される雰囲気(湿度、温度、分解対象物の種類・初期濃度など)に影響されることなく可視光線が照射されると十分な触媒活性を示す。同様に、この酸化チタンを含む本発明の光触媒体コーティング剤は、十分な触媒活性を示す膜を形成することができる。さらに、本発明の酸化チタンの製造方法によれば、上の酸化チタンが容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた酸化チタンのXPSスペクトル(450〜470eV)
【図2】 半価幅の求め方の説明図−ベースラインの線引き−
【図3】 半価幅の求め方の説明図−線Aの線引き−
【図4】 半価幅の求め方の説明図−線Bの線引き−
【図5】 半価幅の求め方の説明図−半価幅の決定−
【図6】 実施例1で得られた酸化チタンのXPSスペクトル(675〜690eV)
【図7】 ピーク面積の求め方の説明図−ベースラインの線引き−
【図8】 ピーク面積の求め方の説明図−ピーク面積の区分−
【図9】 XPS測定装置の構成図
【符号の説明】
1 データ処理用コンピュータ
2 外部記憶装置
3 表示装置

Claims (3)

  1. 水酸化チタンを、フッ素および窒素の存在下で、焼成することを特徴とする酸化チタンの製造方法。
  2. フッ素の量が、水酸化チタンのチタンに対し0.5原子%以上である請求項1に記載の酸化チタンの製造方法。
  3. 窒素の量が、水酸化チタンのチタンに対し0.5原子%以上である請求項1または2に記載の酸化チタンの製造方法。
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