JP4505604B2 - 多層ヘテロ構造膜およびこれを用いた光学素子ならびにその製造方法 - Google Patents

多層ヘテロ構造膜およびこれを用いた光学素子ならびにその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層ヘテロ構造膜およびこれを用いた光学素子ならびにその製造方法に関し、特に、反射膜、光学フィルタ、光共振器などへの利用に適した多層ヘテロ構造膜を、大面積にわたって形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘電体多層膜に代表される多層ヘテロ構造膜は、異なる材質からなる層を交互に積層した構造を有し、様々な光学特性を呈するため、光学反射膜や光学透過膜として利用されたり、光共振器、EL素子、表示素子、光センサなどの光学素子として利用されたりしている。多層ヘテロ構造膜では、隣接する各層ごとにそれぞれ屈折率が異なるため、隣接層の界面において反射および屈折現象が起こり、多層間を進行する光の挙動に様々なバリエーションが生まれることになる。すなわち、各層を構成する材料の屈折率、各層の厚み、積層された層の総数を変えることにより、バリエーションに富んだ光学特性を有する薄膜を作成することが可能になる。このような性質を利用して、たとえば、特開昭58−208154号公報には、酸化チタン(TiO)と二酸化ケイ素(SiO)とを用いた多層ヘテロ構造膜により反射鏡を形成する方法が開示されている。また、特表平8−503312号公報には、異種高分子材料の多層ヘテロ構造膜によって反射膜を形成する方法が開示されている。
【0003】
このような多層ヘテロ構造膜を製造する方法も、既に種々のものが公知である。一般に基板上に薄膜を形成する方法としては、大別してドライ方式とウエット方式との2種類がある。前者の手法としては、真空蒸着、スパッタリング、分子線ビームエピタキシーなどの方法が代表的な手法として知られている。これらの成膜方法は、膜厚の制御性に優れているが、高温、高真空を必要とするため、大面積にわたった成膜が困難であり、製造コストが高騰するといった問題点がある。これに対して、後者の手法としては、溶液キャスト法、スピンコート法、ラングミュアブロジェット法などが代表的な手法として知られている。これらはいずれも常温、常圧で行うプロセスであるが、溶液キャスト法やスピンコート法は膜厚の制御性に欠けるという問題がある。また、スピンコート法では大面積化も困難である。ラングミュアブロジェット法は、膜厚の制御性には優れているが、扱える物質が限定され、薄膜の強度に欠けるといった別な問題点がある。このように、既存の成膜法にはそれぞれ一長一短があり、膜の用途やコストなどを考慮しながら、適宜、成膜方法を使い分けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、多層ヘテロ構造膜は、バリエーションに富んだ光学特性を有する膜として着目されており、今後も様々な分野への応用が期待されている。しかしながら、これまでに提案されている多層ヘテロ構造膜やその製造方法では、大面積にわたって成膜を行うことが困難であるという問題がある。上述したように、大面積にわたっての成膜を行うには、ウエット方式の成膜方法を採るのが好ましいが、従来構造の多層ヘテロ構造膜の場合、成膜面積を大きくすればするほど、膜が破損しやすくなり、歩留まりが低下せざるを得ない。特に、無機材料を用いて多層ヘテロ構造膜を形成した場合、層全体が剛直で脆くなり、クラックなどの破損が生じやすくなる。これは、大面積の反射鏡などを形成する場合には大きな問題となる。
【0005】
そこで本発明は、大面積にわたる成膜に適した多層ヘテロ構造膜およびこれを用いた光学素子を提供することを目的とし、また、そのような成膜方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、ゾル−ゲル法により形成された第1の層と交互吸着法により形成された第2の層とを交互に積層することにより多層ヘテロ構造膜を構成するようにしたものである。
【0007】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る多層ヘテロ構造膜において、第1の膜を無機材料から構成し、第2の膜を有機材料から構成するようにしたものである。
【0008】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る多層ヘテロ構造膜において、
第1の膜の屈折率をn1、第2の膜の屈折率をn2としたときに、所定の波長λに関して、n1・d1=n2・d2=λ/4となるように、第1の膜の厚みd1と第2の膜の厚みd2とを設定し、第1の膜と第2の膜とを所定の層数だけ重ねることにより、波長λに応じて定まる不透過波長域が形成されるようにしたものである。
【0009】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る多層ヘテロ構造膜において、
特定の層に欠陥を生じさせることにより、不透過波長域の中の一部の波長の光については透過する性質をもたせたるようにしたものである。
【0010】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る多層ヘテロ構造膜において、
特定の層を間引くことにより欠陥を生じさせるようにしたものである。
【0011】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る多層ヘテロ構造膜を用いて、所定の波長域の光を透過する性質をもった光学透過膜として機能する光学素子を構成するようにしたものである。
【0012】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第3の態様に係る多層ヘテロ構造膜を用いて、所定の波長域の光を反射する性質をもった光学反射膜として機能する光学素子を構成するようにしたものである。
【0013】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第4または第5の態様に係る多層ヘテロ構造膜を用いて、不透過波長域中の透過波長の光についての光共振器として機能する光学素子を構成するようにしたものである。
【0014】
(9) 本発明の第9の態様は、ゾル−ゲル法により層形成を行うための第1の系と、交互吸着法により層形成を行うための第2の系とを用意し、同一の基板に対して、これら2つの系による層形成処理を交互に行うことにより、基板上に多層ヘテロ構造膜を形成するようにしたものである。
【0015】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第9の態様に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において、
第1の系から第2の系へと基板を移動させるときに、基板表面に所定の電荷が残った状態で移動させるようにし、この電荷を初期電荷として利用して第2の系における交互吸着法が実行されるようにし、
第2の系から第1の系へと基板を移動させるときに、基板表面に所定の反応基が残った状態で移動させるようにし、この反応基を利用して第1の系におけるゾル−ゲル法が実行されるようにしたものである。
【0016】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第9または第10の態様に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において、
基板表面をゾル−ゲル法による層形成に適した反応基で覆う準備段階を行った後、第1の系による層形成処理を行い、続いて第2の系による層形成処理を行い、以下、2つの系による層形成処理を交互に行うようにしたものである。
【0017】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第9または第10の態様に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において、
基板表面に所定の初期電荷を与える準備段階を行った後、第2の系による層形成処理を行い、続いて第1の系による層形成処理を行い、以下、2つの系による層形成処理を交互に行うようにしたものである。
【0018】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第9〜第12の態様に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において、
第1の系の設備として、ゾル−ゲル法によって形成する層の材料となる金属もしくは金属化合物を含む溶液を収容した第1の水槽と、この金属もしくは金属化合物の溶液についてのリンス浴を行うためのリンス液を収容した第2の水槽と、水を収容した第3の水槽と、基板を乾燥させる乾燥装置と、を用意し、
第1の水槽に基板を入れて金属もしくは金属化合物を基板表面に化学吸着させる第1のステップと、
第1の水槽から引き上げた基板を第2の水槽に入れてリンス浴を行う第2のステップと、
第2の水槽から引き上げた基板を第3の水槽に入れて加水分解を行う第3のステップと、
第3の水槽から引き上げた基板を乾燥装置を用いて乾燥させる第4のステップと、
の4ステップからなる工程を繰り返し実行することにより、ゾル−ゲル法による層形成を行うようにしたものである。
【0019】
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第9〜第13の態様に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において、
第2の系の設備として、正の荷電粒子を含む溶液を収容した第1の水槽と、この第1の水槽内の溶液についてのリンス浴を行うためのリンス液を収容した第2の水槽と、負の荷電粒子を含む溶液を収容した第3の水槽と、この第3の水槽内の溶液についてのリンス浴を行うためのリンス液を収容した第4の水槽と、を用意し、
第1の水槽に基板を入れて基板表面に正の荷電粒子を吸着させる第1のステップと、
第1の水槽から引き上げた基板を第2の水槽に入れてリンス浴を行う第2のステップと、
第2の水槽から引き上げた基板を第3の水槽に入れて基板表面に負の荷電粒子を吸着させる第3のステップと、
第3の水槽から引き上げた基板を第4の水槽に入れてリンス浴を行う第4のステップと、
の4ステップからなる工程を繰り返し実行することにより、交互吸着法による層形成を行うようにしたものである。
【0020】
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第13または第14の態様に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において、
基板とともに水晶振動子を各水槽に同時に出し入れするようにし、基板表面とともにこの水晶振動子の表面にも層形成が行われるようにし、水晶振動子の発振周波数をモニタすることにより、次のステップへ移行するタイミングを決定するようにしたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0022】
§1.本発明に係る多層ヘテロ構造膜の基本構造
図1は、本発明に係る多層ヘテロ構造膜の基本構造を示す側断面図である。この例では、基板10の上面に、7層からなるヘテロ構造膜が形成されている。ここで、奇数番目の層X1,X3,X5,X7はそれぞれ同じ材料からなる層であり、偶数番目の層Y2,Y4,Y6もそれぞれ同じ材料からなる層であるが、奇数番目の層と偶数番目の層とは互いに異なる材料から構成されており、全体として多層ヘテロ構造膜が形成されていることになる。本発明の特徴は、このような多層ヘテロ構造膜の奇数番目の層(または偶数番目の層)をゾル−ゲル法により形成し、偶数番目の層(または奇数番目の層)を交互吸着法により形成する、という点にある。
【0023】
ゾル−ゲル法(sol-gel process )は、溶液から出発して、微粒子を含むゾル(sol )の状態を通り、更に、固定の骨組みの隙間に液体あるいは空気を含むゲル(gel )の状態を経て、ガラスあるいはセラミックスを作る方法の総称であり、液相を経由する新しい成膜法として注目を浴び、1980年代から精力的な研究がなされている。一方、交互吸着法(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly Process)は、1990年代初頭に提案された複合有機膜の成膜法であり、正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電粒子を含む溶液とを用意し、これらの溶液に基板を交互に浸漬させることにより、基板表面に正の荷電粒子に基づく層と負の荷電粒子に基づく層とを交互に形成してゆく方法である。図1に示す例では、偶数番目の層Y2,Y4,Y6が交互吸着法によって形成された交互吸着層となっており、各層のそれぞれがそれ自身で多層構造膜となっている。たとえば、図1に示す第2番目の層Y2は、図2の詳細側断面図に示すような合計12層からなる交互吸着層によって構成されている。ここで奇数番目の層A1〜A11は正の荷電粒子(または負の荷電粒子)を含む溶液に浸漬させたときに形成された層であり、偶数番目の層B2〜B12は負の荷電粒子(または正の荷電粒子)を含む溶液に浸漬させたときに形成された層である。
【0024】
前述したように、多層ヘテロ構造膜を成膜する方法としては、種々の方法が公知である。しかしながら、本発明のように、ゾル−ゲル法により形成された第1の層と、交互吸着法により形成された第2の層とを、交互に積層することにより多層ヘテロ構造膜の成膜を行うと、比較的大面積の膜を低コストで得ることができるメリットが得られる。ゾル−ゲル法も交互吸着法も、いずれも水槽内に基板を浸漬させるウエット法の範疇に属する成膜方法であり、ドライ法で必要とされる真空設備が不要である。したがって、大面積の膜を作成する場合にも、比較的低コストの設備で足りる。また、ゾル−ゲル法は、もともとガラスやセラミックスなどの無機材料膜を成膜するための手法であるのに対し、交互吸着法は、複合有機膜の成膜に適した手法であるため、本発明に係る方法を用いれば、ゾル−ゲル法により形成された無機材料層と、交互吸着法により形成された有機材料層とを、交互に積層してなる多層ヘテロ構造膜を得ることができる。図1に示す例では、奇数番目の層X1,X3,X5,X7が無機材料層となり、偶数番目の層Y2,Y4,Y6が有機材料層となる。このように、無機材料層と有機材料層とを交互に積層した多層ヘテロ構造膜は、次の2つの特徴を有する。
【0025】
第1の特徴は、無機材料層のもつ剛直性や脆弱性を、有機材料層のもつ柔軟性や可撓性によって緩和することができる点である。従来知られている無機材料層のみからなる多層ヘテロ構造膜は、全体的に剛直で脆いため、応力が加わるとクラックなどによる損傷を受けやすいという問題があることは既に述べたとおりである。ところが、無機材料層の層間に有機材料層が存在すると、応力が有機材料層によって吸収され、無機材料層への損傷が起こりにくくなる。このため、かなり大面積の多層ヘテロ構造膜を作成しても、ある程度の歩留まりを確保することができ、実用上、破損しにくい膜を提供することができるようになる。
【0026】
第2の特徴は、光学素子としての利用に適した膜を得ることができる点である。上述したように、有機材料層は無機材料層に比べて、耐応力性に優れており、大面積の膜形成には有利である。しかしながら、有機材料の屈折率は互いに近接しているため、有機材料層のみを組み合わせた場合、光学素子としての特性に優れた多層ヘテロ構造膜を作成することが困難である。多層ヘテロ構造膜のもつ光学特性は、屈折率の異なる材質を互い違いに多数積層し、各層の界面で光の反射や屈折現象を生じさせることにより得られる特性である。したがって、隣接する層の屈折率がなるべく相違していた方が、顕著な光学特性を得る上では都合がよい。一般に無機材料の屈折率nは、n=1.4〜2.5程度まで幅広く分布しており、屈折率の大きく異なる2種材料を選択することは容易であるが、有機材料の屈折率nは、n=1.3〜1.6程度であり、有機材料の中から屈折率の大きく異なる2種材料を選択することは困難である。本発明に係る多層ヘテロ構造膜では、有機材料層と無機材料層とを交互に積層させることができるため、屈折率の大きく異なる2種材料を選択することが容易にでき、光学素子としての特性に優れた多層ヘテロ構造膜を実現することができる。
【0027】
§2.ゾル−ゲル法
ここでは、まず、ゾル−ゲル法(sol-gel process )による一般的な成膜工程を述べながら、その原理を簡単に説明する。ゾル−ゲル法の研究は1970年前後から始まったが、1980年以降、各国で盛んに研究が行われ現在に至っている。その基本原理は、金属の有機または無機化合物を含む溶液を用意し、この化合物の加水分解および重縮合反応を進ませて、ゾル状態からゲル状態までもってゆき、ゲルを乾燥させることにより金属酸化物の固体を得ることにある。具体的には、たとえば、SiO,TiO,ZrO,Al,BaTiO,LiNbO,KTaO,InO−SnO,LiAlO,NaO−B−SiO,SiO−TiOなどの金属酸化物の薄膜をこのゾル−ゲル法によって成膜することができる。
【0028】
図3は、このゾル−ゲル法によって、基板10上に金属化合膜(より具体的には、金属酸化物の膜)の薄膜を形成する一般的な手順を示す工程図である。まず、ステップS0において、成膜対象となる基板10を用意する。この基板10は、ガラス、金属、プラスチックなど、どのような材質のものであってもよいが、表面を所定の反応基(たとえば、ヒドロキシル基(OH))で覆う処理を施しておくようにする。次に、ステップS1の化学吸着の工程を行う。すなわち、ゾル−ゲル法によって形成する層の材料となる金属もしくは金属化合物(一般的には金属酸化物)を含む溶液を収容した水槽110を用意し、この水槽110内に基板10を入れる。これにより、基板10の表面の反応基に、金属もしくは金属化合物が化学吸着することになる。続いてステップS2のリンス浴の工程へと移る。すなわち、水槽110から引き上げた基板をリンス液の入った水槽120に入れ、余分に付着した金属化合物を基板表面から除去するリンス浴を行う。そして、ステップS3の加水分解の工程へと進む。すなわち、水を収容した水槽130を用意し、水槽120から引き上げた基板10を水槽130に入れ、基板表面に付着した金属化合物に対する加水分解を行いゾル状の状態にする。最後に、ステップS4の乾燥工程を行う。すなわち、基板を乾燥させる乾燥装置を用いて、水槽130から引き上げた基板の表面を乾燥させ、ゾル状の金属化合物をゲル状にし、更に固体の金属化合物の状態へもってゆく。
【0029】
こうして、ステップS4の乾燥工程が完了したら、再び、ステップS1の化学吸着の工程を行う。このように、ステップS1〜ステップS4の4ステップからなる工程を繰り返し実行することにより、基板10の表面にゾル−ゲル法による層形成が徐々に行われてゆくことになる。すなわち、図に示す繰り返し工程Xを複数回繰り返して行えば、たとえば、図1に示す第1番目の層X1が得られることになる。なお、ステップS4の乾燥工程では、一般的には加熱が行われることが多いが、この加熱により、交互吸着法による形成膜が損傷を受ける可能性があるので、本実施形態では、加熱を行わずに、常温で窒素ガスN(空気でもよい)を吹き付けることにより乾燥を行っている。このように、本発明を実施する上でのゾル−ゲル法は、必ずしも加熱工程を必要とするものではない。
【0030】
一般的なゾル−ゲル法では、水槽110に収容する溶液として、金属アルコキシド(Metal Alkoxide)の溶液が用いられることが多い。金属アルコキシドは、M(OR)nなる化学式で表される金属化合物であり(Mは任意の金属,Rはアルキル基)、アルコールのヒドロキシル基の水素Hを金属Mで置換した化合物である。たとえば、酸化チタン(TiO)の薄膜を形成するのであれば(MがTiの場合)、チタンブトキシド(Ti(OR):この場合、Rはブチル基になる)などの金属アルコキシドを用いることができる。この場合、水槽110内には、たとえばトルエンやエタノールなどの有機溶媒にチタンブトキシドを分散させた溶液を入れておけばよい。また、ステップS0の基板準備の段階では、基板10の表面を、たとえば、3−メルカトプロピオン酸などで親水処理し、表面がヒドロキシル基(OH)で覆われるような前処理を行っておけばよい。図4(a) は、基板10の表面が、ヒドロキシル基で覆われた状態を示す模式図である。このような基板10を、水槽110内に入れると、基板表面の反応基と溶液中の金属アルコキシドとが反応し、化学吸着が行われることになる。すなわち、上述の具体例の場合、ヒドロキシル基(OH)に溶液中の金属アルコキシドM(OR)nが吸着されることになり、アルコール(ROH)が抜け出すことにより、基板上には、O−M−(OR)という構造が残ることになる。
【0031】
ステップS2のリンス浴に用いるリンス液としては、金属アルコキシドを分散させることができる溶媒を用いればよい。たとえば、上述の具体例の場合、トルエンやエタノールなどの有機溶媒をリンス液として用いることができる。リンス浴を行うことにより、基板上に付着していた金属アルコキシドを洗い流すことができるとともに、基板表面のヒドロキシル基(OH)と金属アルコキシド中のアルキル基(R)との反応により生成されたアルコール(ROH)を流出させることができる。その結果、水槽120によるリンス浴から引き上げた基板表面の状態は、図4(b) の模式図に示すようなものになる(金属Mに結合する「OR」基の数は、必ずしも図示のような2組とは限らない)。続いて、ステップS3の加水分解の工程を経ると、基板上のO−M−(OR)という構造に、HOが加わり、アルキル基Rがアルコール(ROH)として水槽130内に溶け出すので(金属アルコキシドとして、チタンブトキシドを用いた場合、ブタノールが溶け出すことになる)、基板表面の状態は、図4(c) の模式図に示すような状態となる(ここでも、金属Mに結合する「OH」基の数は、必ずしも図示のような2組とは限らない)。このとき、基板表面はゾル状態となっている。そこで、更にステップS4において、乾燥を行うと、基板表面に付着していた水とブタノールが物理的に除去され、ゾル状態からゲル状態を経て、固体の金属化合物が得られることになる。
【0032】
結局、ステップS4の乾燥工程が完了した時点では、基板10は、図4(c) の模式図に示す状態となっている。ここで、基板表面の状態に着目すると、ヒドロキシル基(OH)で覆われた状態となっており、図4(a) に示す状態、別言すれば、ステップS0の準備状態と同等になっている。そこで、この図4(c) に示す状態の基板10を、再び水槽110に入れれば、金属アルコキシドの化学吸着が再び行われることになる。かくして、繰り返し工程Xを何度も行うことにより、基板上には、O−M−O−M−Oという構造が形成されてゆくことになる(図4(b) に示す「OR」基や、図4(c) に示す「OH」基は、常に、基板の最も表面側に現れる反応基として機能することになる)。かくして、チタンブトキシドを金属アルコキシドとして用いた場合、基板10の表面には、酸化チタン(TiOの状態であるか、TiOの状態であるかは、特定することはできないが)からなる層が形成されることになる。
【0033】
§3.交互吸着法
続いて、交互吸着法についての説明を行う。この交互吸着法は、複合有機薄膜を作成するために交互吸着(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly)を利用することに着目した方法であり、1992年にG.デッカーらによって発表された(Decher.G, Hong.J.D. and J.Schmit: Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992))。この方法では、正の荷電粒子を含む溶液(一般的には、正の電解質ポリマー水溶液が用いられることが多いが、これに限定されるわけではない)と、負の荷電粒子を含む溶液(一般的には、負の電解質ポリマー水溶液が用いられることが多いが、これに限定されるわけではない)とを別々の容器に用意し、これらの容器に、初期表面電荷を与えた基板を交互に浸すことにより、基板上に多層構造を有する複合超薄膜(交互吸着膜)を得ることができる。たとえば、ガラス基板の表面を親水処理して表面にOH基を導入して、初期表面電荷として負の電荷を与える。そして、この表面が負に帯電した基板を、正の荷電粒子を含む溶液に浸せば、クーロン力により、少なくとも表面電荷が中和されるまで正の荷電粒子が表面に吸着し、1層の超薄膜が形成される。こうして形成された超薄膜の表面部分は、正に帯電していることになる。そこで、今度はこの基板を負の荷電粒子を含む溶液に浸せば、クーロン力により負の荷電粒子が吸着し、1層の超薄膜が形成されることになる。このようにして、基板を2つの容器に交互に浸すことにより、正の荷電粒子からなる超薄膜層と負の荷電粒子からなる超薄膜層とを交互に成膜することができ、多層構造をもった複合薄膜を形成することができる。このような交互吸着膜の作成方法についての詳細は、たとえば、特許協力条約に基づく国際公開公報第WO00/13806号などに開示されているので、ここでは、その原理だけを簡単に述べる。
【0034】
図5は、一般的な交互吸着膜の製造原理を示す概念図である。図において、第1の槽210には、正の電解質ポリマー(カチオン)の水溶液が入れられており、第2の槽220には、負の電解質ポリマー(アニオン)の水溶液が入れられている。ここで、被成膜材料として、たとえばガラスやシリコンなどの基板10を用意し、その表面を親水処理して表面にOH基を導入して、初期表面電荷として負の電荷を与える。図6(a) は、このようにして、基板10の表面が負に帯電した状態を示す概念図である。続いて、この負に帯電した基板10を第1の槽210内に入れると、基板10の表面に正の電解質ポリマーが接触し、クーロン力により吸着することになる。図6(b) は、正の電解質ポリマーが吸着した状態を示す概念図である。ここで、この基板10を第2の槽220内に入れると、今度は、基板10の表面に負の電解質ポリマーが接触し、クーロン力により吸着することになる。図6(c) は、負の電解質ポリマーが吸着した状態を示す概念図である。このように、基板10を第1の槽210と第2の槽220とに交互に浸漬させてゆけば、基板10の表面には、正の電界質ポリマーからなる層と負の電解質ポリマーからなる層とが交互に成膜されてゆくことになり、最終的に多層構造をもった交互吸着膜が形成される。
【0035】
もっとも、図6に示す概念図は、原理を説明するために単純化したモデルを示すものであり、実際には、図7あるいは図8に示す概念図に近い状態で薄膜形成が行われるものと思われる。図7は、2回目の浸漬処理(第1の槽210から基板10を取り出し、第2の槽220に浸したときの処理)における吸着状態を示す概念図である。基板10の表面には、既に、1回目の浸漬処理によって、正の電解質ポリマーからなる第1層目の薄膜A1が形成されており、この薄膜A1によって作用するクーロン力により、第2の槽220内の負の電解質ポリマーbが表面に吸着することになる。基板10を第2の槽220内に一定時間浸漬させておけば、第2の槽220内の負の電解質ポリマーbが次々と表面に吸着し、第2層目の薄膜B2が形成されることになる。ただし、ある程度の時間が経過して、負の電解質ポリマーbからなる第2層目の薄膜B2が厚くなってくると、もはや薄膜A1によるクーロン力は作用しなくなり、その時点で吸着は飽和点を迎えることになる。
【0036】
なお、この吸着処理に用いる電解質ポリマーの濃度やpH値、吸着時間などの条件によって、ポリマー分子内のセグメント間のクーロン力による反発が大きくなったり小さくなったり変化するため、分子の充填密度は、これらの条件に左右されることになる。したがって、これらの条件の設定次第によって、非常に薄い膜を形成することも、比較的厚い膜を形成することも可能になる。
【0037】
図8は、このような浸漬処理を合計6回行ったときに形成される交互吸着膜の構造を示す概念図である。ここで、奇数番目の層を構成する薄膜A1,A3,A5は、正の電解質ポリマーからなる層であり、偶数番目の層を構成する薄膜B2,B4,B6は、負の電解質ポリマーからなる層である。これら各層の厚みは、浸漬処理の時間によって制御することが可能である。上述したように、ある程度の厚みに達すると、電気的中和によりクーロン力が作用しなくなるため吸着は飽和点を迎えることになるが、この飽和点に至るまでは、浸漬時間が長ければ長いほど膜厚は厚くなる。図2に示すような交互吸着層Y2を得るには、上述のような浸漬処理を合計12回行えばよいことになる。
【0038】
なお、以上は、正負の電解質ポリマーを用いた例であるが、交互吸着膜を形成するには、必ずしも電解質ポリマーを用いる必要はなく、正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電粒子を含む溶液とが用意できればよい。たとえば、荷電粒子を含む溶液として、帯電したミセル溶液を用いることもできる。
【0039】
また、図5では、交互吸着法の原理を説明するため、2つの水槽210,220を用いる例を示したが、実用上は、このような2つの水槽210,220に基板10を交互に浸漬させる処理を行うと、基板を一方の水槽から引き上げて他方の水槽に入れる際に、もとの水槽の液が表面に付着しているため、両水槽の液が次第に混じってきてしまうことになる。そこで、実際には、図9に示すような装置を用意し、リンス浴が行われるようにするのが好ましい。
【0040】
この図9に示す装置では、水槽210には正の荷電粒子を含む溶液が収容され、水槽220には負の荷電粒子を含む溶液が収容されている。交互吸着膜を形成するには、本質的には、基板10を両水槽210,220に交互に入れればよい。ただ、この装置では、両水槽の液の混濁を防ぐために、水槽210に隣接して、3つのリンス浴用の水槽211,212,213が設けられ、水槽220に隣接して、3つのリンス浴用の水槽221,222,223が設けられている。リンス浴用の水槽は、それぞれ1槽ずつでもかまわないが、リンス浴効果を高めるため、ここに示す例では、それぞれ3槽ずつが用意されている。
【0041】
この図9に示す装置を用いて、基板10上に交互吸着膜を形成する工程は次のようになる。まず、基板10に対して表面処理を行い、表面に初期電荷(この例の場合、負の電荷)を与え、図6(a) に示すような状態にする。このような準備段階によって用意された基板10を、まず、水槽210内に入れ、その表面にクーロン力により正の荷電粒子を吸着させ、正の荷電粒子からなる薄膜を形成させる。そして、所望の膜厚が得られたら、続いて、基板10を水槽210から引き上げ、これを水槽211,212,213の順に浸漬させてリンス浴を行う。そして、水槽213のリンス浴が完了したら、基板10を水槽220内に入れ、その表面にクーロン力により負の荷電粒子を吸着させ、負の荷電粒子からなる薄膜を形成させる。そして、所望の膜厚が得られたら、続いて、基板10を水槽220から引き上げ、これを水槽221,222,223の順に浸漬させてリンス浴を行う。そして、水槽223のリンス浴が完了したら、基板10を再び水槽210内へと入れる。このような工程を繰り返し実行することにより、交互吸着法による層形成が行われることになる。たとえば、図9に示す繰り返し工程Yを6回繰り返して行えば、図2に示すような12層からなる交互吸着層Y2(図1の第2番目の層Y2)が得られる。
【0042】
§4.本発明に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法
本発明に係る多層ヘテロ構造膜を製造するには、ゾル−ゲル法により層形成を行うための第1の系と、交互吸着法により層形成を行うための第2の系とを用意し、同一の基板に対して、これら2つの系による層形成処理を交互に行うことにより、基板上に多層ヘテロ構造膜を形成するようにすればよい。具体的には、第1の系としては、§2において説明したように、図3に示すような構成をもった装置を用意しておけばよいし、第2の系としては、§3において説明したように、図9に示すような構成をもった装置を用意しておけばよい。
【0043】
ゾル−ゲル法による層形成と交互吸着法による層形成とは、交互に行われることになるが、最初にどちらの方法による層形成を行うかは任意であり、最後にどちらの方法による層が形成された時点で成膜プロセスを完了するかも任意である。たとえば、図1に示すような構造の多層ヘテロ構造膜を作成するのであれば、ゾル−ゲル法による層形成を最初に行い、第1番目の層X1を形成し、以下、交互吸着法による層形成(Y2,Y4,Y6)とゾル−ゲル法による層形成(X3,X5,X7)とを交互に行ってゆき、最後は、ゾル−ゲル法によって第7番目の層X7を形成した時点で成膜プロセスを完了すればよい。
【0044】
もっとも、ゾル−ゲル法による層形成を先に行う場合には、図3のステップS0に示すように、基板10に対する準備処理が必要になる。したがって、図1に示すような構造の多層ヘテロ構造膜を作成するには、まず、基板表面をゾル−ゲル法による層形成に適した反応基で覆う準備段階を行った後、図3に示す第1の系による層形成処理を行い(繰り返し工程Xを複数回繰り返し実行する)、続いて図9に示す第2の系による層形成処理を行い(繰り返し工程Yを複数回繰り返し実行する)、以下、2つの系による層形成処理を交互に行うようにすればよい。逆に、交互吸着法による層形成を先に行う場合には、まず、基板表面に所定の初期電荷(たとえば、図9に示す系を用いる場合には、負の初期電荷)を与える準備段階を行った後、図9に示す第2の系による層形成処理を行い、続いて第1の系による層形成処理を行い、以下、2つの系による層形成処理を交互に行うようにすればよい。
【0045】
なお、この2つの系による交互層形成処理を行う場合、第1の系から第2の系へと基板を移動させるときには、基板表面に所定の電荷が残った状態で移動させるようにし、この電荷を初期電荷として利用して第2の系における交互吸着法が実行されるようにし、逆に、第2の系から第1の系へと基板を移動させるときには、基板表面に所定の反応基が残った状態で移動させるようにし、この反応基を利用して第1の系におけるゾル−ゲル法が実行されるようにすると、各系による層形成処理を行う際に準備段階の処理が不要になり、スムーズな移行を図ることができる。たとえば、第1の系から第2の系へと基板を移動させるときには、図3に示す第1の系におけるステップS4を完了した状態で、基板を図9に示す第2の系に移動させるようにすれば、基板表面には、図4(c) に示すように、負の電荷(OH基の負電荷)が残った状態となっているので、図9に示す第2の系において、水槽210に浸漬させて正の荷電粒子の吸着が可能になる。また、第2の系から第1の系へと基板を移動させるときには、図9に示す第2の系において、水槽223のリンス浴から引き上げた状態において、所定の反応基(水槽110内の溶液に反応する基)が表面に残った状態となるようにすれば、図3に示す第1の系において、水槽110に浸漬させて化学吸着を行うことが可能になる。
【0046】
たとえば、後述するように、図9の水槽210に、正の電解質ポリマーとして、ポリアリルアミン塩酸塩(poly-allylaminehydrochloride:略称PAH:分子量=55000)を入れ、水槽220に、負の電解質ポリマーとして、ポリアクリル酸(poly-acrylic acid :略称PAA:分子量=90000)を入れた場合、水槽223のリンス浴から引き上げた状態において、基板表面には、COOなる反応基が残った状態になる。この反応基COOは、反応基OHと同様に、金属アルコキシドに対する反応性をもった基であるため、この基板をそのまま図3に示す系へもってゆき、水槽110内に入れて化学吸着を行うことができる。
【0047】
なお、本発明に係る多層ヘテロ構造膜を、後述するような光学素子に利用する場合、各層の厚みを正確に制御する必要がある。前掲の特許協力条約に基づく国際公開公報第WO00/13806号公報には、このような厚み制御を正確に行う手法として、水晶振動子を利用した方法が開示されている。本発明に係る多層ヘテロ構造膜を作成する場合にも、この水晶振動子を利用した厚み制御を行うと、設計どおりの正確な厚みをもった多層ヘテロ構造膜を得ることができるので好ましい。
【0048】
たとえば、図10に示すような円盤状の水晶振動子20を用意し、その上面および下面に、それぞれ金属(たとえば、金、銀など)からなる電極21を形成する。水晶振動子20はそれぞれ固有の発振周波数を有しており、周波数検出部50(具体的には、周波数カウンタを有する電子回路)から上下一対の電極21に対して所定の電気信号を与えることにより、この固有の発振周波数fを検出することができる。そこで、このような水晶振動子20自身を基板10とともに、各水槽(第1の系における水槽110,120,130および第2の系における水槽210,211,212,213,220,221,222,223)に出し入れすれば、基板10の表面に交互吸着膜が形成されるのと全く同様に、水晶振動子20の表面にも交互吸着膜が形成されることになる。こうして、水晶振動子20の表面に薄膜が形成されると、固有の発振周波数fに変化が生じることになる。しかも周波数fと形成された薄膜の膜厚との間には、線形関係が成り立つ。厳密に言えば、水晶振動子20の質量(形成された薄膜を含めた全体の質量)と発振周波数との間に線形関係が成り立つことになるが、水晶振動子20として、直径に対して厚みが十分に小さい円盤状の水晶振動子を用いるようにすれば、上下両面に形成された薄膜の膜厚と、この薄膜を含めた水晶振動子20の全質量との間にはほぼ線形関係が成り立つため、実用上、周波数検出部50が検出した発振周波数fの変化量Δfを、成長した膜厚を示す量として取り扱っても問題は生じない。
【0049】
結局、本発明に係る多層ヘテロ構造膜を製造する際には、基板とともに水晶振動子を各水槽に同時に出し入れするようにし、基板表面とともにこの水晶振動子の表面にも層形成が行われるようにし、水晶振動子の発振周波数をモニタすることにより、次のステップへ移行するタイミングを決定するようにすれば、各層の膜厚が設計どおり正確な多層ヘテロ構造膜を得ることが可能になる。
【0050】
§5.種々の光学素子への応用
一般に、多層ヘテロ構造膜は、一次元フォトニック結晶として、特有の光学的特性を有するため、種々の光学素子(ここでは、反射膜や透過膜なども含めた広い概念で光学素子と呼ぶことにする)への応用が可能になる。ここでは、本発明に係る多層ヘテロ構造膜の光学素子への利用例をいくつか挙げておく。
【0051】
たとえば、図11の側断面図に示すような構造の多層ヘテロ構造膜を作成し、これを何らかの光学素子として利用することを考えてみよう。ここに示す例は、合計13層からなる多層ヘテロ構造膜の例であり、一次元フォトニック結晶としての性質を備えている。ここで、奇数番目の層X1〜X13はゾル−ゲル法によって形成された無機材料からなる膜であり、偶数番目の層Y2〜Y12は交互吸着法によって形成された有機材料からなる膜である。いま、無機材料層の屈折率をnx、厚みをdxとし、有機材料層の屈折率をny(交互吸着法によって作成された層は、実際には、屈折率の異なる2つの材料層が交互に繰り返される構造となっているので、ここでの屈折率nyは、この2つの材料層の屈折率の平均的な値を用いることになる)、厚みをdyとすれば、これらの値から、この多層ヘテロ構造膜の光学的な特性をシミュレーションによって求めることが可能である。たとえば、この多層ヘテロ構造膜の上面に対して所定の入射角をもって入射する波長λの光を考えると、この光の各層の間の界面における挙動(反射および屈折)は、2つの屈折率nx,nyに基づいて定まる。したがって、種々の角度をもって入射した種々の波長の光を想定し、これらの光が多層ヘテロ構造膜内でどのように伝播してゆくかをシミュレーションによって調べれば、この多層ヘテロ構造膜についての光透過スペクトルを得ることができる。
【0052】
一般に、第1の膜と第2の膜とを交互に積層してなる多層ヘテロ構造膜について、第1の膜の屈折率をn1、第2の膜の屈折率をn2としたときに、所定の波長λに関して、n1・d1=n2・d2=λ/4となるように、第1の膜の厚みd1と第2の膜の厚みd2とを設定し、第1の膜と第2の膜とを所定の層数だけ重ねると、波長λに応じて定まる不透過波長域が形成されることが知られている。このような光学特性を利用すれば、本発明に係る多層ヘテロ構造膜を、所定の波長域の光を反射する性質をもった光学反射膜として利用することが可能になる。
【0053】
たとえば、図11に示す例において、ゾル−ゲル法によって形成された奇数番目の層X1〜X13が、酸化チタン(TiO)によって構成されており、交互吸着法によって形成された偶数番目の層Y2〜Y12が、前掲のPAH/PAAの交互吸着膜によって構成されていたとすると、酸化チタン屈折率がnx=2.44、PAH/PAAの交互吸着膜の平均屈折率がny=1.48程度となる。ここで、波長λ=600nm付近の光に対して有効な反射膜を形成するのであれば、上述の式により、nx・dx=ny・dy=λ/4(600nm/4=150nm)となるように、奇数番目の層X1〜X13の厚みdxと偶数番目の層Y2〜Y12の厚みdyとを設定すればよいことになる。したがって、この場合、厚みdx=150nm/2.44=61.5nm、厚みdy=150nm/1.48=101.4nmとなる。そこで、図11に示す多層ヘテロ構造膜を、このような寸法の下に設計したものとして、実際にシミュレーションによりこの多層ヘテロ構造膜の光学特性を求めてみると、図12に示すような光透過スペクトルを得ることができる。
【0054】
この光透過スペクトルは、この多層ヘテロ構造膜の透過率を縦軸にとったものであり、600nm近傍の波長域が不透過波長域となっていることがわかる。すなわち、この多層ヘテロ構造膜は、特定の不透過波長域内の波長をもった光を反射させる光学反射膜として利用することができる。別言すれば、上述のような材料を用いて、上述のような寸法値をもった多層ヘテロ構造膜を作成すれば、図12に示すような光学特性をもった反射膜を得ることができる。既に述べたように、本発明に係る多層ヘテロ構造膜は、剛直な無機材料層X1〜X13の間に、柔軟な有機材料層Y2〜Y12が挟まっているため、多少の撓みにより応力が加わったとしても、クラックなどが発生しにくいという利点を有する。このため、本発明に係る多層ヘテロ構造膜によって構成された光学反射膜は、応力に強いというメリットを有することになる。特に、基板10として、可撓性をもったシート状材料を用いるようにすれば、全体として可撓性をもった大面積の反射シートを実現することが可能になる。
【0055】
また、多層ヘテロ構造膜を構成する多数の層のうちの特定の層に欠陥を生じさせると、当該多層ヘテロ構造膜の光学的特性に顕著な変化が現れることが知られている。たとえば、図11に示すような構造の多層ヘテロ構造膜について、図12に示すような光学特性が得られていた場合に、この図11に示されている層のうちの第7番目の層X7を間引き、図13に示すような構造に変えた場合、図14に示すような光学特性に変化することがシミュレーションにより確認できた。図13に示す構造では、図11に示す構造における第7番目の層X7が間引かれており、その結果、第6番目の層Y6と第8番目の層Y8とが連続した1つの層(ここではY68とよぶ)となっている。別言すれば、本来は、nx・dx=ny・dy=λ/4なる設定で各層の厚みを決定すべきところ、層Y68の厚みは、λ/2となっており、他の層Y2,Y4,Y10,Y12に比べて2倍の厚みをもつ層となっている。その結果が、光学特性に大きな影響を与えており、図14に示す透過スペクトルでは、本来は不透過波長域となるべき600nmの波長位置の透過率が急激に100%近くまで上昇し、この600nmの波長の光については透過する光学特性が現れている。
【0056】
一般に、図12に示すように、ある程度の幅をもった不透過波長域をもったスペクトル特性を呈する多層ヘテロ構造膜において、ある特定の層を間引くなどの方法で欠陥を生じさせると、不透過波長域内の特定の波長の光(図14の例では、600nmの光)だけが急激に透過する性質を帯びることになる。これは、この多層ヘテロ構造膜が、当該透過波長の光についての光共振器として機能することを示している。したがって、この多層ヘテロ構造膜を利用して、たとえば、600nmの光で発振する固体レーザ素子を実現することが可能になる。
【0057】
このように、多層ヘテロ構造膜を構成する各層の屈折率および厚みを任意に設定することにより、種々のスペクトル特性をもった光学素子を実現することができる。もちろん、上述した反射膜だけでなく、ある特定の透過波長域の光だけを透過する性質をもった光学透過膜を作成することもできる。また、赤外線の波長域を反射する性質をもった反射膜を作成することもできるので、保温ポットなどの種々の保温あるいは保冷設備における保温膜/保冷膜として利用することも可能である。更に、太陽電池などへの応用も期待できる。また、酸化チタンは、光触媒効果をもった材料として知られており、紫外線を照射すると、汚れの成分を分解する機能をもっている。したがって、本発明に係る多層ヘテロ構造膜の最表層を酸化チタン層とすれば、汚れに強い光学膜を形成することが可能になる。
【0058】
【実施例】
ここでは、本願発明者が行った具体的な実施例を述べておく。まず、基板10として、ガラス基板を用意し、その表面を、水酸化カリウム(KOH)のエタノール溶液で親水処理することにより、図4(a) に示すように、表面がヒドロキシル基(OH)で覆われた状態にする。続いて、この基板10の表面に、図3に示す第1の系を利用して、酸化チタン層を形成する。このとき、水槽110内には、トルエンとエタノールの1:1溶液を溶媒として用い、チタンブトキシド(Ti(O−nBu):Buはブチル基)を100mMの濃度で溶かした溶液(金属アルコキシド溶液)を用意し、水槽120内には、トルエンとエタノールの1:1溶液からなるリンス液を用意する。そして、まず、ステップS1において、基板10を水槽110内に3分間だけ浸漬させ、化学吸着工程を行う。続いて、この基板10を水槽120へと移して1分間だけリンスを行い、更に、水槽130へと移して1分間だけ加水分解を行う。そして、ステップS4では、窒素ガスを基板10に吹き付ける乾燥工程を、基板表面が十分に乾くまで行う。以上の4工程を1サイクルとして、繰り返し工程Xを何度も繰り返し行いながら、水晶振動子20の発振周波数fをモニタし、厚みdx=61.5nmの酸化チタン膜X1を形成する。このときの基板表面は、ヒドロキシル基(OH)で覆われた状態となっている。
【0059】
次に、この基板10の表面に、図9に示す第2の系を利用して、PAH/PAAの交互吸着膜を形成する。この場合、水槽210には、正の電解質ポリマーとして、ポリアリルアミン塩酸塩(poly-allylaminehydrochloride:略称PAH:分子量=55000)を入れ、水槽220には、負の電解質ポリマーとして、ポリアクリル酸(poly-acrylic acid :略称PAA:分子量=90000)を入れる。いずれも、10−2mol/lの濃度の水溶液を作成して各槽に収容する。また、リンス浴を行うための各水槽には、18MΩ・cm以上の超純水を用意する。水槽210および水槽220からの引き上げのタイミングは、水晶振動子20の発振周波数fの変化量Δfが、所定の基準値fref =250Hzに到達したタイミングとし、水槽211,212,213および水槽221,222,223のリンス浴には、それぞれ2分間,1分間,1分間だけ浸すように制御する。このような工程を1サイクルとして、繰り返し工程Yを何度も繰り返し行いながら、水晶振動子20の発振周波数fをモニタし、厚みdy=101.4nmのPAH/PAA複合有機膜Y2を形成する。このときの基板表面は、COO基で覆われた状態となっている。
【0060】
この基板を再び、図3に示す第1の系に戻し、厚みdx=61.5nmの酸化チタン膜X3を形成した後、図9に示す第2の系に戻し、厚みdy=101.4nmのPAH/PAA複合有機膜Y4を形成する。このようにして、第1の系と第2の系とを交互に利用することにより、最終的に、図11に示すような全13層からなる多層ヘテロ構造膜を作成する。
【0061】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る多層ヘテロ構造膜では、ゾル−ゲル法による成膜と交互吸着法による成膜とを交互に行うようにしたため、大面積にわたる成膜を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る多層ヘテロ構造膜の構造を示す側断面図である。
【図2】図1に示す多層ヘテロ構造膜を構成する交互吸着層Y2の詳細な構造を示す側断面図である。
【図3】本発明に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において利用されるゾル−ゲル法の基本原理を示す工程図である。
【図4】図3に示す各工程において、基板上に形成された膜構造を示す模式図である。
【図5】本発明に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において利用される交互吸着法の基本原理を示す工程図である。
【図6】図5に示す交互吸着法による層形成の原理を示す図である。
【図7】図5に示す交互吸着法によりポリマーが堆積する状態を示す図である。
【図8】図5に示す交互吸着法により形成された層構造を示す図である。
【図9】本発明に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において利用される交互吸着法の実用的な工程を示す図である。
【図10】本発明に係る多層ヘテロ構造膜の製造方法において、膜厚の制御に用いられる水晶振動子を示す図である。
【図11】光学反射膜として機能する多層ヘテロ構造膜の一例を示す側断面図である。
【図12】図11に示す光学反射膜の透過スペクトルを示すグラフである。
【図13】光共振器として機能する多層ヘテロ構造膜の一例を示す側断面図である。
【図14】図13に示す光共振器の透過スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
10…基板
20…水晶振動子
21…金属電極
50…周波数検出部
110…金属もしくは金属化合物を含む溶液を収容した水槽
120…リンス液を収容した水槽
130…加水分解用の水を収容した水槽
210…正の電解質ポリマーの水溶液を収容した水槽
211〜213…リンス液を収容した水槽
220…負の電解質ポリマーの水溶液を収容した水槽
221〜223…リンス液を収容した水槽
A1〜A11…正の電解質ポリマーからなる層
B2〜B12…負の電解質ポリマーからなる層
b…負の電解質ポリマー
X1〜X13…ゾル−ゲル法によって形成された無機材料膜
Y2〜Y12…交互吸着法によって形成されら有機材料膜

Claims (15)

  1. ゾル−ゲル法により形成された第1の層と交互吸着法により形成された第2の層とを交互に積層してなる多層ヘテロ構造膜。
  2. 請求項1に記載の多層ヘテロ構造膜において、第1の膜が無機材料から構成され、第2の膜が有機材料から構成されていることを特徴とする多層ヘテロ構造膜。
  3. 請求項1または2に記載の多層ヘテロ構造膜において、
    第1の膜の屈折率をn1、第2の膜の屈折率をn2としたときに、所定の波長λに関して、n1・d1=n2・d2=λ/4となるように、第1の膜の厚みd1と第2の膜の厚みd2とを設定し、第1の膜と第2の膜とを所定の層数だけ重ねることにより、前記波長λに応じて定まる不透過波長域が形成されるようにしたことを特徴とする多層ヘテロ構造膜。
  4. 請求項3に記載の多層ヘテロ構造膜において、
    特定の層に欠陥を生じさせることにより、不透過波長域の中の一部の波長の光については透過する性質をもたせたことを特徴とする多層ヘテロ構造膜。
  5. 請求項4に記載の多層ヘテロ構造膜において、
    特定の層を間引くことにより欠陥を生じさせたことを特徴とする多層ヘテロ構造膜。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多層ヘテロ構造膜を用いて構成され、所定の波長域の光を透過する性質をもった光学透過膜として機能する光学素子。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の多層ヘテロ構造膜を用いて構成され、所定の波長域の光を反射する性質をもった光学反射膜として機能する光学素子。
  8. 請求項4または5に記載の多層ヘテロ構造膜を用いて構成され、不透過波長域中の透過波長の光についての光共振器として機能する光学素子。
  9. ゾル−ゲル法により層形成を行うための第1の系と、交互吸着法により層形成を行うための第2の系とを用意し、同一の基板に対して、これら2つの系による層形成処理を交互に行うことにより、前記基板上に多層ヘテロ構造膜を形成することを特徴とする多層ヘテロ構造膜の製造方法。
  10. 請求項9に記載の製造方法において、
    第1の系から第2の系へと基板を移動させるときに、基板表面に所定の電荷が残った状態で移動させるようにし、この電荷を初期電荷として利用して第2の系における交互吸着法が実行されるようにし、
    第2の系から第1の系へと基板を移動させるときに、基板表面に所定の反応基が残った状態で移動させるようにし、この反応基を利用して第1の系におけるゾル−ゲル法が実行されるようにしたことを特徴とする多層ヘテロ構造膜の製造方法。
  11. 請求項9または10に記載の製造方法において、
    基板表面をゾル−ゲル法による層形成に適した反応基で覆う準備段階を行った後、第1の系による層形成処理を行い、続いて第2の系による層形成処理を行い、以下、2つの系による層形成処理を交互に行うようにすることを特徴とする多層ヘテロ構造膜の製造方法。
  12. 請求項9または10に記載の製造方法において、
    基板表面に所定の初期電荷を与える準備段階を行った後、第2の系による層形成処理を行い、続いて第1の系による層形成処理を行い、以下、2つの系による層形成処理を交互に行うようにすることを特徴とする多層ヘテロ構造膜の製造方法。
  13. 請求項9〜12のいずれかに記載の製造方法において、
    第1の系の設備として、ゾル−ゲル法によって形成する層の材料となる金属もしくは金属化合物を含む溶液を収容した第1の水槽と、前記金属もしくは金属化合物の溶液についてのリンス浴を行うためのリンス液を収容した第2の水槽と、水を収容した第3の水槽と、基板を乾燥させる乾燥装置と、を用意し、
    前記第1の水槽に基板を入れて前記金属もしくは金属化合物を基板表面に化学吸着させる第1のステップと、
    前記第1の水槽から引き上げた基板を前記第2の水槽に入れてリンス浴を行う第2のステップと、
    前記第2の水槽から引き上げた基板を前記第3の水槽に入れて加水分解を行う第3のステップと、
    前記第3の水槽から引き上げた基板を前記乾燥装置を用いて乾燥させる第4のステップと、
    の4ステップからなる工程を繰り返し実行することにより、ゾル−ゲル法による層形成を行うことを特徴とする多層ヘテロ構造膜の製造方法。
  14. 請求項9〜13のいずれかに記載の製造方法において、
    第2の系の設備として、正の荷電粒子を含む溶液を収容した第1の水槽と、この第1の水槽内の溶液についてのリンス浴を行うためのリンス液を収容した第2の水槽と、負の荷電粒子を含む溶液を収容した第3の水槽と、この第3の水槽内の溶液についてのリンス浴を行うためのリンス液を収容した第4の水槽と、を用意し、
    前記第1の水槽に基板を入れて基板表面に正の荷電粒子を吸着させる第1のステップと、
    前記第1の水槽から引き上げた基板を前記第2の水槽に入れてリンス浴を行う第2のステップと、
    前記第2の水槽から引き上げた基板を前記第3の水槽に入れて基板表面に負の荷電粒子を吸着させる第3のステップと、
    前記第3の水槽から引き上げた基板を前記第4の水槽に入れてリンス浴を行う第4のステップと、
    の4ステップからなる工程を繰り返し実行することにより、交互吸着法による層形成を行うことを特徴とする多層ヘテロ構造膜の製造方法。
  15. 請求項13または14に記載の製造方法において、
    基板とともに水晶振動子を各水槽に同時に出し入れするようにし、基板表面とともに前記水晶振動子の表面にも層形成が行われるようにし、前記水晶振動子の発振周波数をモニタすることにより、次のステップへ移行するタイミングを決定することを特徴とする多層ヘテロ構造膜の製造方法。
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