JP4505542B1 - 鱗翅目昆虫防除器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】飛来した鱗翅目昆虫を捕虫部へ誘導し捕獲する防除器であって、支柱に張り巡らされたネットによって形成される奥壁、高さの異なる左右側壁、天井面からなり、奥壁上辺及び左右側壁上辺に設けられた傾斜に沿って前記天井面が形成され、且つ、床面と前記天井面のとの間に開口部が設けられたテント状の捕捉部と、円筒状のネットによって形成され、その入口部が前記捕捉部の高さの高い方の側壁と接続した誘導路と、袋状ないし箱状の構造を有し、前記誘導路の出口部が接続した捕虫部と、を備え、前記捕捉部における床面から誘導路入口部までの高さが80〜100cmであり、前記捕捉部における開口部の高さが30〜80cmであることを特徴とする鱗翅目昆虫防除器。
【選択図】 図1
Description
一般的な害虫防除手段に農薬の散布による駆除があるが、近年の農薬の安全性に対する懸念の高まりに応じ、農薬等の薬剤を使用しないネット(網)による捕獲に関する技術開発がなされている。
例えば、特許文献1には、筒状の捕獲ネット内へ鱗翅目昆虫を誘導し、捕獲する捕獲器が開示され、非特許文献1には、虫の上方へ上る習性を利用し、捕虫部にハチやハエ等の害虫を誘導する防虫ネットで作られた捕虫器が記載されている。また、このような虫の習性を利用したテント型の昆虫採集方法の原型は、いわゆるマレーズトラップとして古くから知られている。
また、非特許文献1に記載される捕虫器は、ネットに飛来したハチやハエの他、ガガンボ、ハムシ、カなどの害虫を広範囲に効率よく捕虫部へ誘導することができるが、前記害虫とは飛翔特性の異なる鱗翅目に関しては、捕虫前にネットから逃避する個体が非常に多く、十分な防除効果を得ることができなかった。
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、鱗翅目昆虫に対する防除効果に優れた防除器を提供することを目的とする。
すなわち、飛来した鱗翅目昆虫を捕虫部へ誘導し捕獲する防除器であって、支柱に張り巡らされたネットによって形成される奥壁、高さの異なる左右側壁、天井面からなり、奥壁上辺及び左右側壁上辺に設けられた傾斜に沿って前記天井面が形成され、且つ、床面と前記天井面のとの間に開口部が設けられたテント状の捕捉部と、円筒状のネットによって形成され、その入口部が前記捕捉部の高さの高い方の側壁と接続した誘導路と、袋状ないし箱状の構造を有し、前記誘導路の出口部が接続した捕虫部と、を備え、前記捕捉部における床面から誘導路入口部までの高さが80〜100cmであり、前記捕捉部における開口部の高さが30〜80cmであることを特徴とする。
また、前記鱗翅目昆虫防除器において、前記奥壁上辺に設けられた傾斜の傾斜角度が6°以上であることが好適である。
また、前記鱗翅目昆虫防除器において、さらに、前記開口部直上に障壁を備え、該障壁の高さが100〜130cmであることが好適である。
また、前記鱗翅目昆虫防除器において、前記誘導路の出口部の口径が1〜3cmであることが好適である。
さらに、前記害虫防除器において、前記鱗翅目昆虫が、モンシロチョウであることが好適である。
図1に示すように、鱗翅目昆虫防除器10は、捕捉部12、誘導路14、及び捕虫部16からなる。捕捉部12と捕虫部16とは、誘導路14を介して接続されており、これらの内壁は連続している。
捕捉部12は、支柱18a〜dに張り巡らされたネットによって形成されるテント状の構造を有し、奥壁20、左側壁22、右側壁24、天井面26を備える。側壁22及び24の上辺、すなわち天井面26との接辺は、それぞれ奥壁20から前面に向けて低くなるように傾斜が設けられている。また、各側壁と奥壁との接辺を形成する支柱18b及びdの長さには長短差が設けられ、これにより奥壁20の上辺と天井面26の接辺においても前記長短差に応じた傾斜が形成されている。すなわち、図1に示す形態の場合、左側壁22と奥壁20を支持する支柱18dが、右側壁24と奥壁20を支持する支柱18bよりも長くなっており、奥壁20と天井面26の接辺は、左側壁22が高くなるように傾斜している。したがって、図1に示す防除器10の捕捉部12において、奥壁20と左側面22と天井面26との交点Pが最も床面から高い位置となる。
誘導路14の出口部32及び接続する捕虫部16は、入口部30よりも高い位置となるように設置することにより、前述の鱗翅目昆虫の習性を利用して、害虫を自ら捕捉部12より捕虫部16へ向けて移動させることができる。また、誘導路14は、好ましくは円筒状の先細り構造を有しており、捕虫部16へ移動した害虫が再び捕捉部へ戻ることのないように、出口部32の口径は3cm以下に設計されている。
また、図1の捕捉部12において、天井面26の傾斜角度θ1は6°以上とすることが好ましい。傾斜角度θ1が6°以上であると、テント内の鱗翅目昆虫が捕虫部16へ誘導され易く、傾斜角度θ1が6°より小さいと、テント内の昆虫が捕虫部16へ集まり難くなる傾向がある。
なお、誘導路を備えた側壁、すなわち図1における左側壁22の傾斜角度θ2は特に制限されず、θ1の角度など他部位の条件に応じ、一般に15〜70°の範囲で設定することができる。
なお、本発明において、捕捉部12を構成するネットの目合いは、鱗翅目昆虫が通り抜けず、且つ該昆虫が移動する際の足掛かりとなる細かさであれば特に制限されないが、特に目合い6〜16mmのものが好適である。前記目合いが6mmに満たないネットを用いた場合、捕捉部の製造コストがかかり、さらには風で装置が倒れる可能性がある。
図2に示す実施形態において、障壁29は、障壁の高さ分が延長された支柱18a及び18cの間にネットを張った構成として、開口部28の直上に設置することができる。
障壁29は、開口部28の縁部を底辺とした壁状構造を有し、該底辺からの壁高さは100cm以上とする。前記高さに上限はないが、100〜130cm程度あれば、飛翔する鱗翅目昆虫に対する障壁として十分な効果を得ることができる。一方、前記高さが100cmに満たないと、鱗翅目昆虫が障壁を越えてしまうことがある。
特に、出口部32の口径は1〜3cmとすることが好ましく、前記範囲を超えると捕虫部の昆虫が逆流することがある。
図3に示す実施形態において、誘導路14は、例えば、針金等を輪状とした支持体34〜38にネットを巻き、筒状に整形して得られる。ネットの目合いは捕捉部と同様に制限されないが、鱗翅目昆虫の誘導の点で特に目合い6〜12mmのものが好適である。なお、誘導路14の長さは、防除器の大きさや設置条件に応じて適宜決定すればよいが、昆虫の移動距離を考慮すれば、より短い方が捕獲に適すると考えられる。
また、誘導路と捕捉部及び捕虫部との接続は、捕捉部及び捕虫部に誘導路の口径に応じて適当な穴を形成し、誘導路の接続部(入口部ないし出口部)と縫い合わせる等して、各部の内壁が連続的なものとなるよう適宜行うことができる。
図4に示す実施形態において、捕虫部16は、例えば、針金等を輪状とした支持体40及び42にネットを巻き、末端部をひも等で結紮して得られ、該結紮を解くことにより捕虫部内の昆虫を採取することができる。
捕虫部16の大きさは、一度に捕獲する昆虫の量や防除器の設置条件に応じて調整すればよく、図4の実施形態のようにネットを用いて作製するほか、任意の材質の瓶や箱を使用することも可能である。ネットを用いる場合、好適な目合いは6〜12mmである。
また、捕虫部16内には、鱗翅目昆虫の誘引物質(例えば、果物等)、捕獲された鱗翅目を捕食する昆虫等、あるいはアルコールや界面活性剤溶液等の捕獲液などを設置し、捕獲量をより向上させることができる。
捕獲量評価基準
◎:1日当たりのモンシロチョウ捕獲量が20匹以上である。
○:1日当たりのモンシロチョウ捕獲量が10〜19匹である。
△:1日当たりのモンシロチョウ捕獲量が5〜9匹である。
×:1日当たりのモンシロチョウ捕獲量が0〜4匹である。
したがって、本発明において、捕捉部における床面から誘導路入口部までの高さは80〜100cmとすることが好適である。
開口部の高さ(cm) 20 30 50 80 100
捕獲量評価 △ ○ ◎ ○ ×
したがって、本発明において、捕捉部における開口部の高さは30〜80cmとすることが好適である。
傾斜角度θ 1 (°) 3 6 10 15
捕獲量評価 △ ○ ◎ ◎
したがって、本発明において、捕捉部における天井面の傾斜角度は、6°以上とすることが好適である。
誘導路出口部の口径(cm) 1 3 4
捕獲量評価 ◎ ○ △
したがって、本発明においては、誘導路の出口部の口径を1〜3cmとすることが好適である。
なお、いずれの試験例においても、障壁の高さ以外の構成は同一とした。
障壁の高さ(cm) 0 80 100 130
捕獲比率(%) 100 100 300 350
したがって、本発明において、捕捉部に設ける障壁の高さは100〜130cmとすることが好適である。
12 捕捉部
14 誘導路
16 捕虫部
18 支柱
20 奥壁
22 左側壁
24 右側壁
26 天井面
28 開口部
30 入口部
32 出口部
Claims (4)
- 飛来した鱗翅目昆虫を捕虫部へ誘導し捕獲する防除器であって、
支柱に張り巡らされたネットによって形成される奥壁、高さの異なる左右側壁、天井面からなり、奥壁上辺及び左右側壁上辺に設けられた傾斜に沿って前記天井面が形成され、且つ、床面と前記天井面のとの間に開口部が設けられたテント状の捕捉部と、
円筒状のネットによって形成され、その入口部が前記捕捉部の高さの高い方の側壁と接続した誘導路と、
袋状ないし箱状の構造を有し、前記誘導路の出口部が接続した捕虫部と、
前記開口部直上に障壁とを備え、
前記捕捉部における床面から誘導路入口部までの高さが80〜100cmであり、前記捕捉部における開口部の高さが30〜80cmであり、前記障壁の高さが100〜130cmであることを特徴とする鱗翅目昆虫防除器。 - 前記奥壁上辺に設けられた傾斜の傾斜角度が6°以上であることを特徴とする請求項1に記載の鱗翅目昆虫防除器。
- 前記誘導路の出口部の口径が1〜3cmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鱗翅目昆虫防除器。
- 前記鱗翅目昆虫が、モンシロチョウであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鱗翅目昆虫防除器。
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