JP4501370B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、立体的な画像を表示する表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、立体的な画像を表示する液晶表示装置には、液晶表示パネルに右眼用画像と左眼用画像とを高速で交互に表示させ、残像現象により立体的な画像を表示するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された方法は、液晶の視野角に対する透過光強度の特性が駆動電圧により変化することに基づいており、右眼用画像を表示するとき、液晶表示パネルの基準として定める点(基準点)からの法線に対する右眼の位置からの角度で最もコントラストが高くなるような駆動電圧を液晶表示パネルに印加し、左眼用画像を表示するとき、左眼の位置からの角度で最もコントラストが高くなるような駆動電圧を液晶表示パネルに印加している。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−127462号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の液晶表示装置では、液晶の視野角に対する透過光強度の特性が駆動電圧により変化することに基づくものであるため、右眼用画像を表示するとき、この右眼用画像が左眼で見えにくくなるだけで全く見えないわけではなく、また、左眼用画像を表示するときも、この左眼用画像が右眼で見えにくくなるだけで全く見えないわけではなく、したがって表示品位が低下してしまうという問題があった。。また、この方法では、視線と画像との位置関係により定まる視野角が所定の位置関係にある点、すなわち基準点、およびその近傍での表示画像のみを立体的に見ることができるものであるが、視野角は、画面の表示位置毎にそれぞれ異なるものであるため、良好な立体表示を視認するには表示位置に対応して首の水平方向への移動も含めて観察を行なわなければならず、非常に疲れるという問題もあった。
【0005】
そこで、この発明は、立体的な画像の表示品位を向上することができる表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、前方表示画像を表示する第1の表示パネルと、前記第1の表示パネルの後方に配置され後方表示画像を表示する第2の表示パネルと、前記第1の表示パネルの前方に配置され導光板と該導光板の一端面に配置された光源とを含み前記第1の表示パネルに光を照射する第1の光源パネルと、前記第2の表示パネルの後方に配置され第2の導光板と該第2の導光板の一端面に配置された第2の光源とを含み前記第2の表示パネルに光を照射する第2の光源パネルと、前記第2の光源パネルの後方に配置された反射層と、前記第1乃至第2の表示パネルを駆動して前記第1の表示パネルへの前記前方表示画像の表示と前記第2の表示パネルへの前記後方表示画像の表示とを交互に行う表示駆動手段と、前記第1の表示パネルの前記前方表示画像の表示および前記第2の表示パネルの前記後方表示画像の表示に応じて前記光源パネルを点灯する光源制御手段とを具備し、前記表示駆動手段および前記光源制御手段により、前記第1の表示パネルで前記前方表示画像を表示中に前記第1の光源パネルを点灯させ、前記第2の表示パネルで前記後方表示画像を表示中に前記第2の光源パネルを点灯させるとともに、前記前方表示画像および前記後方表示画像に輝度差を付与して立体画像を視認可能となしたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記反射層は凹面鏡であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記導光板は光を出射する出射面と反対側の面に前記第1乃至第2の光源から出射された光を前記出射面側に向けて屈折する光路変更光学面を有することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記表示パネルはフィールドシーケンシャル方式で駆動されることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記表示パネルはホモジニアス配向された液晶表示パネルであることを特徴とするものである。
そして、この発明によれば、交互に得られる前方表示光と後方表示光とで、残像現象により、立体的な画像を表示することができる。この場合、前方表示光での表示のとき、後方表示光は全く生じておらず、また、後方表示光での表示のときも、前方表示光は全く生じておらず、したがって表示品位を向上することができる。また、観察する際に、基準点となるようなものはなく、したがって首を水平方向に移動させる必要はなく、疲れにくいようにすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態としての液晶表示装置の要部の平面図を示す。この液晶表示装置では、水平面に対して垂直に配置された液晶表示パネル1の後側に第1の導光板2が配置され、液晶表示パネル1の前側に第2の導光板3が配置され、第1の導光板2の後側に反射板4が配置されている。
【0008】
第1、第2の導光板2、3は、透明な樹脂によって方形板状に形成され、その各右端面は平面からなる入射面11、12とされている。各入射面11、12のほぼ全体と対向する位置にはそれぞれ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光ダイオードを内蔵する発光ダイオードアレイ等からなる第1、第2の光源13、14が配置されている。
【0009】
第1の導光板2の前面(液晶表示パネル1と対向する面)は平面からなる出射面15とされ、後面は光路変更光学面16とされている。第2の導光板3の後面(液晶表示パネル1と対向する側の面)は平面からなる出射面17とされ、前面は光路変更光学面18とされている。光路変更光学面16、18の詳細については後で説明する。なお、図1において、後述する駆動により液晶表示パネル1に表示された画像は、第2の導光板3の前方(図1における下側)より観察者によって観察されるものである。
【0010】
次に、図2は液晶表示パネル1の一部の拡大横断平面図を示す。この液晶表示パネル1は、アクティブマトリックス型であり、ガラス基板等からなるアクティブ基板21および対向基板22を備えている。この場合、アクティブ基板21は後側に配置され、対向基板22は前側に配置されているが、この配置は逆であってもよい。
【0011】
アクティブ基板21の内面(対向基板22と対向する側の面)には、行方向および列方向にマトリックス状に配列された複数の画素電極23と、各画素電極23にそれぞれ接続された複数の薄膜トランジスタ24と、各行の薄膜トランジスタ24にそれぞれゲート信号を供給する複数のゲート線(図示せず)と、各列の薄膜トランジスタ24にそれぞれデータ信号を供給する複数のデータ線(図示せず)と、これらを覆う配向膜25とが設けられている。
【0012】
対向基板22の内面(アクティブ基板21と対向する側の面)には、アクティブ基板21のすべての画素電極23と対向するように配置されたべた状の対向電極26と、対向電極26を覆う配向膜27とが設けられている。この場合、両配向膜25、27は、互いにほぼ平行で且つ互いに逆方向に配向処理されている。
【0013】
そして、アクティブ基板21と対向基板22とはシール材(図示せず)を介して互いに貼り合わされている。シール材の内側における両基板21、22の配向膜25、27間には液晶28が封入されている。この場合、液晶28は、正の誘電異方性を有するネマティック液晶であり、その液晶分子28aが配向膜25、27面に対して予め定められたプレチルト角に傾いた状態で、配向膜25、27の配向処理方向に沿ってホモジニアス配向されている。
【0014】
アクティブ基板21の外面には偏光板29が貼り付けられている。対向基板22の外面には位相差板30が貼り付けられ、その外面には偏光板31が貼り付けられている。この場合、偏光板29、31は、その透過軸が液晶分子28aのホモジニアス配向方向(配向膜25、27の配向処理方向)に対してほぼ45°の方向に合わされているとともに、それぞれの透過軸が互いにほぼ直交するように配置されている。位相差板30は、表示のコントラストを高くするとともに視野角を広くするためのものであり、その遅相軸が液晶分子28aのホモジニアス配向方向とほぼ直交するように配置されている。
【0015】
次に、図3は第1の導光板2の一部の拡大平面図を示す。第1の導光板2の光路変更光学面16は、図1に示す入射面11と平行で一定のピッチで形成された断面三角形状の突起の入射面11側(図3で右側)の傾斜面からなる、出射面15に対する傾斜角度θ1が高い高角度傾斜面16aと、その反対側の傾斜面からなる、出射面15に対する傾斜角度θ2が低い低角度傾斜面16bとを備えている。
【0016】
次に、図4は第2の導光板3の一部の拡大平面図を示す。第2の導光板3の光路変更光学面18は、図1に示す入射面12と平行で一定のピッチで形成された断面三角形状の突起の入射面12側(図4で右側)の傾斜面からなる、出射面17に対する傾斜角度θ1が高い高角度傾斜面18aと、その反対側の傾斜面からなる、出射面17に対する傾斜角度θ2が低い低角度傾斜面18bとを備えている。
【0017】
ここで、一例として、第1、第2の導光板2、3の光路変更光学面16、18の高角度傾斜面16a、18aの出射面15、17に対する傾斜角度θ1は、50〜70°となっている。第1、第2の導光板2、3の光路変更光学面16、18の低角度傾斜面16b、18bの出射面15、17に対する傾斜角度θ2は、1〜5°となっている。
【0018】
次に、第1、第2の導光板2の動作について説明する。この場合、第1、第2の導光板2は液晶表示パネル1の前後両側に面対称に配置されているため、前後の動作が逆であるだけである。そこで、代表として、第1の導光板2の動作について説明し、第2の導光板2の動作については、図4に図3と同様の矢印および符号を記して、その説明を省略する。
【0019】
さて、図1に示す第1の光源13が点灯すると、第1の光源13から出た光が第1の導光板2の入射面11に入射される。この入射光は、代表として、図3において矢印A、Bで示すように、第1の導光板2内を進行する。このうちの矢印Aで示す光は、第1の導光板2内をその光路変更光学面16が存する側に向かって進行し、光路変更光学面16のいずれかの高角度傾斜面16aで反射され、その光路を出射面15に対してほぼ垂直な方向に変更される。
【0020】
矢印Bで示す光は、第1の導光板2内をその出射面15が存する側に向かって進行し、出射面15と空気との界面で全反射された後、光路変更光学面16のいずれかの高角度傾斜面16aで反射され、その光路を出射面15に対してほぼ垂直な方向に変更にされる。
【0021】
このように、矢印A、Bで示す光は、光路変更光学面16のいずれかの高角度傾斜面16aで反射され、その光路を出射面15に対してほぼ垂直な方向に変更される。そして、これらの光は、第1の導光板2の出射面15から該出射面15に対してほぼ垂直な方向に出射される。
【0022】
次に、上記構成の液晶表示装置の立体的画像表示の概略について説明する。まず、液晶表示パネル1の前面からなる前方表示用仮想スクリーンに前方表示用画像データに応じた前方表示用画像を表示し、次いで、反射板4の前面(反射面)からなる後方表示用仮想スクリーンに後方表示用画像データに応じた後方表示用画像を表示する。そして、前方表示用画像と後方表示用画像とで、残像現象により、立体的な画像が表示される。
【0023】
この場合の立体的表示原理について説明すると、奥行方向に離間して並べられた2つの同一の画像は、観察者からは奥行の異なる2つの画像としては見えず、融合して1つの画像に見える。また、2つの同一の画像の輝度の比を変えると、融合した1つの画像の見える奥行位置が変化する。すなわち、融合した1つの画像の見える奥行位置は、個人差により多少異なるが、例えば、図5に示すように、液晶表示パネル1の前面からなる前方表示用仮想スクリーン(図5で前面)と反射板4の前面からなる後方表示用仮想スクリーン(図5で後面)との間において、前方表示用画像の輝度が後方表示用画像の輝度よりも高いと、前方寄りとなり、その逆だと、後方寄りとなる。この場合、知覚される奥行は前面と後面の輝度比にほぼ比例する。なお、後方表示用仮想スクリーンに背景を表示し、前方表示用仮想スクリーンに人物を表示すると、飛び出す画面が得られる。
【0024】
次に、上記構成の液晶表示装置の立体的画像表示について詳細に説明する。図1に図示される通り、液晶表示パネル1は表示駆動部101により表示駆動され、第1の光源13および第2の光源14は、光源駆動部102により点灯制御される。表示駆動部101は、前方表示用画像データおよび後方表示用画像データを交互に切り換えて出力するマルチプレクサ103から供給される画像データに対応した画像を液晶表示パネル1にて表示する。表示制御部104は、表示駆動部101と光源駆動部102を制御して、液晶表示パネル1において表示される前方表示用画像表示と後方表示用画像表示の切り換えのタイミングに合わせて、第1の光源13と第2の光源14の点灯を切り換える。
【0025】
この液晶表示装置は、後述する如く、フィールドシーケンシャル方式により駆動されるものであり、まず、表示駆動部101に前方表示用画像データが供給され液晶表示パネル1に前方表示用画像が表示される。この時、光源駆動部102に駆動されて第1の光源13が点灯し、この第1の光源13の点灯によって、例えば、図3において矢印A、Bで示すように、第1の導光板2の出射面15から光が該出射面15に対してほぼ垂直な方向つまり前方に出射される。この出射光は液晶表示パネル1および第2の導光板3を透過し、そのとき液晶表示パネル1に表示されている前方表示用画像に対応する前方表示画像が表示される。この表示された前方表示画像は、液晶表示パネル1の前面(第2の導光板3との境界面付近)を前方表示用仮想スクリーン面として表示されたものとして観察者に観察される。
【0026】
この場合、第2の導光板3を透過してその光路変更光学面18から出射される光の大部分は低角度傾斜面18aを透過するため、その屈折が小さく、また、光路変更光学面18から出射される光は幅を持った配光であるため、液晶表示パネル1の正面方向からの観察に大きな影響を与えることはない。
【0027】
次に、表示駆動部101に後方表示用画像データが供給され液晶表示パネル1に後方表示用画像が表示される。この時、光源駆動部102に駆動されて第2の光源14が点灯し、この第2の光源14の点灯によって、例えば、図4において矢印A、Bで示すように、第2の導光板3の出射面17から光が該出射面17に対してほぼ垂直な方向つまり後方に出射される。この出射光は、液晶表示パネル1および第1の導光板2を透過し、反射板4で反射される。この反射光は第1の導光板2、液晶表示パネル1および第2の導光板3透過し、そのとき液晶表示パネル1に表示されている後方表示用画像に対応する後方表示画像が表示される。この表示された後方表示画像は、反射板4の反射面を後方表示用仮想スクリーン面として表示されたものとして観察者に観察される。
【0028】
この場合も、第1の導光板2を透過してその光路変更光学面16から出射される光の大部分は低角度傾斜面16aを透過するため、その屈折が小さく、また、光路変更光学面16から出射される光は幅を持った配光であるため、液晶表示パネル1の正面方向からの観察に大きな影響を与えることはない。
【0029】
以上のように、第1の光源13が点灯すると、液晶表示パネル1の前面を前方表示用仮想スクリーン面とする前方表示画像として観察者に観察され、第2の光源14が点灯すると、反射板4の反射面を後方表示用仮想スクリーン面とする後方表示画像として観察者に観察される。そして、第1の光源13と第2の光源14とが高速で交互に点滅すると、残像現象により、観察者には、立体的な画像が観察される。
【0030】
この場合、第1の光源13の点灯により、液晶表示パネル1の前面に前方表示画像を表示させ、次いで、第2の光源14の点灯により、反射板4の反射面に後方表示画像を表示させているので、前方表示画像を観察するとき、後方表示画像は全く表示されておらず、後方表示画像を観察するときも、前方表示画像は全く表示されておらず、したがって表示品位を向上することができる。また、観察する際に、基準点となるようなものはなく、したがって首を水平方向に移動させる必要はなく、疲れにくいようにすることができる。
【0031】
ところで、ホモジニアス配向型の液晶表示装置では、応答速度が極端に遅いため、第1の光源13と第2の光源14とを高速で交互に点滅させると、すなわち、高デューティで駆動すると、フレーム周波数が低くなり、画像のちらつきが生じ、また、動画の表示が困難となる。すなわち、液晶28の透過率を制御して階調表示を行なう場合、高い書込み電圧を印加したときの応答時間が短く、したがって応答速度は速いが、書込み電圧を低電圧域内で変化させたときの応答時間が極端に長く、したがって応答速度が極端に遅い。
【0032】
これは、液晶分子28aに、配向膜25、27と液晶分子28aの相互力(ホモジニアス配向しようとする力)と、電界により立上り配向しようとする力との相反する方向の力が働くためであり、高い電圧を印加したときは、液晶分子28aが配向膜25、27面に対して大きい角度で傾いているため、前記相互力が電界により立上り配向させる力に比べて相対的に弱くなり、液晶分子28aが印加電圧に応じて動きやすくなるため、応答速度は速いが、印加電圧を低電圧域内で変化させたときは、液晶分子28aが配向膜25、27の膜面とほぼ平行に配向しているため、前記相互力が電界により立上り配向させる力に比べて相対的に強くなるため、応答速度が遅くなる。
【0033】
そして、アクティブマトリックス型の液晶表示装置では、液晶表示パネル1の各行の画素を順次選択し、各行の画素の選択期間ごとに、その行の電極23、26間に書込みデータに応じた書込み電圧を印加することにより、駆動されているが、このような駆動方法では、各行の画素の選択期間を、各階調間の応答時間のうちの最も長い応答時間以上に設定しなければならないため、高デューティで駆動することができない。
【0034】
そこで、この実施形態では、ホモジニアス配向型でアクティブマトリックス型の液晶表示装置において、まず、電極23、26間に、液晶分子28aを配向膜25、27面に対してほぼ垂直に立上り配向させるリセット電圧を印加し、次いで、電極23、26間に書込みデータに応じた書込み電圧を印加することにより、高速度で応答させ、高デューティで駆動することができるようにしている。
【0035】
すなわち、この実施形態の駆動方法では、電極23、26間に書込み電圧を印加する前に、電極23、26間にリセット電圧を印加することにより、前に印加された書込み電圧に応じた配向状態にある液晶分子28aを配向膜25、27面に対してほぼ垂直に立上り配向させて前の書込み状態をリセットし、次いで、電極23、26間に書込みデータに応じた書込み電圧を印加することにより、液晶分子28aを、配向膜25、27面に対してほぼ垂直に立上り配向したリセット状態から今回の書込み電圧に応じた配向状態に挙動させるようにしたものである。
【0036】
このようにすると、液晶分子28aが主に、配向膜25、27面に対して大きい角度で配向された状態から、配向膜25、27との相互力が弱い範囲で挙動するため、書込み電圧を低電圧域内で変化させるときの応答速度を十分に速くすることができる。
【0037】
また、この駆動方法では、電極23、26間にリセット電圧を印加した後に、電極23、26間に書込みデータに応じた書込み電圧を印加するものであるが、リセット電圧は、液晶分子28aを、配向膜25、27面に対してほぼ垂直に立上り配向させる高い電圧であり、応答速度は非常に速いため、リセット電圧の印加時間は極めて短くてよい。
【0038】
次に、上記駆動方法の具体例について説明する。図6はフィールドシーケンシャル駆動方式の一例の液晶表示パネルの第1行および最終行の画素の電極間印加電圧および光源駆動信号の波形図を示す。この場合、第1、第2の光源13、14は、赤、緑、青の3色の光を順次出射する構造となっている。
【0039】
図6に示すように、1フレーム中の赤、緑、青の各色の画像を順次表示するための第1、第2、第3の各フィールドの初期をそれぞれ液晶表示パネル1の各行の画素の書込み状態を一括してリセットするためのリセット期間とし、各フィールドのリセット期間の後に、液晶表示パネル1の各行の画素に赤、緑、青のうちの1つの色に対応する書込みデータを順次書き込むための書込み期間を確保するとともに、各フィールドの終期に、第1、第2の光源13、14から書込みデータに対応する色の光を出射させる光源点灯期間を確保している。
【0040】
この場合、第1の光源13から赤、緑、青の3色の光が順次出射され、次いで、第2の光源14から赤、緑、青の3色の光が順次出射され、これが繰り返される。また、第1、第2の光源13、14は、書込み期間の最後に選択された最終行の画素の液晶分子28aが電極23、26間に印加された書込み電圧に応じて配向するまでの時間が経過した後に点灯し、次のフィールドのリセット期間の直前に消灯する。
【0041】
そして、赤、緑、青の各色の画像を順次表示するための第1、第2、第3の各フィールドごとに、まず、液晶表示パネル1の全ての行の画素の電極23、26間にリセット電圧を印加し、全ての行の画素の前の書込み状態を一括してリセットする。次に、書込み期間に、各行の画素の電極23、26間に順次赤、緑、青のうちの1つの色の書込みデータに応じた書込み電圧を印加し、各行の画素への書込みを行なう。
【0042】
次に、第1の光源13から書込みデータに対応する色の光が出射されると、液晶表示パネル1の前面から各フィールドごとに赤、緑、青の単色画像光が出射され、これらの単色画像光が合成されたフルカラー画像光が、液晶表示パネル1の前面からなる前方表示用仮想スクリーンに表示されたものとして観察者に観察される。次に、第2の光源14から書込みデータに対応する色の光が出射されると、液晶表示パネル1の前面から各フィールドごとに赤、緑、青の単色画像光が出射され、これらの単色画像光が合成されたフルカラー画像光が、反射板4の前面からなる後方表示用仮想スクリーンに表示されたものとして観察者に観察される。そして、残像現象により、観察者には、立体的な画像が観察される。
【0043】
ここで、一例として、ゲート線の本数を240本とし、各列のゲート線にそれぞれ供給するゲート信号の印加時間を6μsecとすると、書込み期間は1.44msecとなる。リセット期間を0.3msecとし、光源点灯期間を1msec弱とすると、1フィールドの期間は約2.74msecとなり、高デューティで駆動することができる。
【0044】
ところで、リセット電圧は、書込みデータに応じた書込み電圧のうちの最も高い書込み電圧(複数の階調の書込み電圧のうちの最も高い書込み電圧)と同じ値の電圧が好ましい。このようにすると、リセット電圧を、新たにリセット電圧発生手段を設けることなく、既存の書込み電圧発生手段を利用して得ることができる。
【0045】
なお、液晶表示パネル1として、例えば、対向基板22の内面にカラーフィルタが設けられたものを用いる場合には、第1、第2の光源13、14として白色光を出射するものを用いる。そして、1フレームの終期に第1の光源13を点滅させ、次のフレームの終期に第2の光源14を点滅させると、立体的なフルカラー画像を表示することができる。
【0046】
(第2実施形態)
図7はこの発明の第2実施形態としての液晶表示装置の要部の平面図を示す。この液晶表示装置では、水平面に対して垂直に配置された第1の液晶表示パネル41の後側に第1の導光板42が配置され、第1の導光板42の後側に第2の液晶表示パネル43が配置され、第2の液晶表示パネル43の後側に第2の導光板44が配置されている。
【0047】
第1、第2の導光板42、44の各右端面からなる各入射面45、46のほぼ全体と対向する位置にはそれぞれ第1、第2の光源47、48が配置されている。第1の導光板42の前面(第1の液晶表示パネル41と対向する面)は出射面49とされ、後面は光路変更光学面50とされている。第2の導光板44の前面(第2の液晶表示パネル43と対向する側の面)は出射面51とされ、後面は光路変更光学面52とされている。
【0048】
次に、この液晶表示装置の立体的画像表示について説明する。まず、第1の光源47が点灯すると、第1の導光板42の出射面49から光が前方に出射される。この出射光は第1の液晶表示パネル41を透過し、そのとき第1の液晶表示パネル41に表示されている前方表示用画像に対応する前方表示画像が表示される。この表示された前方表示画像は、第1の液晶表示パネル41の前面を前方表示用仮想スクリーン面として表示されたものとして観察者に観察される。
【0049】
この後、第1の液晶表示パネル1に表示されている前方表示用画像および第1の光源47がオフし、次に、第2の光源48が点灯すると、第2の導光板44の出射面51から光が前方に出射される。この出射光は、第2の液晶表示パネル43、第1の導光板42および第1の液晶表示パネル41を透過し、そのとき第2の液晶表示パネル43に表示されている後方表示用画像に対応する後方表示画像が表示される。この表示された後方表示画像は、第2の液晶表示パネル43の前面を後方表示用仮想スクリーン面として表示されたものとして観察者に観察される。
【0050】
このように、第1の光源47が点灯すると、第1の液晶表示パネル41の前面を前方表示用仮想スクリーン面として表示された前方表示画像が観察者に観察され、第2の光源48が点灯すると、第2の液晶表示パネル43の前面を後方表示用仮想スクリーン面として表示された後方表示画像が観察者に観察される。そして、第1の光源47と第2の光源48とが高速で交互に点滅すると、残像現象により、観察者には、立体的な画像が観察される。
【0051】
(第3実施形態)
図8はこの発明の第3実施形態としての液晶表示装置の要部の平面図を示す。この液晶表示装置において、図7に示す場合と異なる点は、第1の導光板42および第1の光源47を省略し、第2の液晶表示パネル43の後側にのみ導光板44および光源48を配置した点である。
【0052】
次に、この液晶表示装置の立体的画像表示について説明する。この場合、光源48は、第1の点滅と第2の点滅とを高速で交互に繰り返す。そして、第1の点滅期間において光源48が点灯すると、導光板44の出射面51から光が前方に出射される。この出射光は第2の液晶表示パネル43および第1の液晶表示パネル41を透過し、そのとき第1の液晶表示パネル41に表示された前方表示用画像に対応する前方表示画像が表示される。この表示された前方表示画像は、第1の液晶表示パネル1の前面を前方表示用仮想スクリーン面として表示されたものとして観察者に観察される。
【0053】
一方、第2の点滅期間において光源48が点灯すると、導光板44の出射面51から光が前方に出射される。この出射光は、第2の液晶表示パネル43および第1の液晶表示パネル41を透過し、そのとき第2の液晶表示パネル43に表示された後方表示用画像に対応する後方表示画像が表示される。この表示された後方表示画像は、第2の液晶表示パネル43の前面を後方表示用仮想スクリーン面として表示されたものとして観察者に観察される。
【0054】
このように、第1の点滅期間において光源48が点灯すると、第1の液晶表示パネル41の前面を前方表示用仮想スクリーン面として表示された前方表示画像が観察者に観察され、第2の点滅期間において光源48が点灯すると、第2の液晶表示パネル43の前面を後方表示用仮想スクリーン面として表示された後方表示画像が観察者に観察される。そして、光源48が第1の点滅と第2の点滅とを高速で交互に繰り返すと、残像現象により、観察者には、立体的な画像が観察される。
【0055】
(第4実施形態)
図9はこの発明の第4実施形態としての液晶表示装置の要部の平面図を示す。この液晶表示装置では、水平面に対して垂直に配置された液晶表示パネル61の後側に導光板62が配置され、導光板2の後側に反射板63が配置されている。導光板62の右端面からなる入射面64のほぼ全体と対向する位置には光源65が配置されている。導光板2の前面(液晶表示パネル1と対向する面)は出射面66とされ、後面は光路変更光学面67とされている。
【0056】
次に、図10は液晶表示パネル61の一部の拡大横断平面図を示す。この液晶表示パネル61は、単純マトリックス型であり、ガラス基板等からなる後側基板71および前側基板72を備えている。後側基板71の内面(前側基板72と対向する側の面)の各所定の箇所には、ITO等の透明導電材料からなる複数の後側電極73が図10において左右方向に延びて設けられている。後側電極73の表面の各所定の箇所には赤、緑、青のカラーフィルタ要素74R、74G、74Bが設けられている。後側電極73およびカラーフィルタ要素74R、74G、74Bを含む後側基板71の内面には配向膜75が設けられている。
【0057】
前側基板72の内面(後側基板71と対向する側の面)の各所定の箇所には、ITO等の透明導電材料からなる複数ずつの第1、第2の前側電極76a、76bが図10において紙面垂直方向に延びて且つ交互に設けられている。この場合、第1、第2の前側電極76a、76bは各カラーフィルタ要素74R、74G、74Bに対応して配置されている。また、第2の前側電極76bと前側基板72との間には、Al等の高反射性金属からなる反射層77が設けられている。第1、第2の前側電極76a、76bを含む前側基板72の内面には配向膜78が設けられている。
【0058】
この場合、第1の前側電極76aにより透過電極が構成され、第2の前側電極76bと反射層77とにより反射電極が構成されているが、第1の前側電極76aをITO等の透明導電材料によって形成し、第2の前側電極76bをAl等の高反射性金属によって形成し、反射層77を省略するようにしてもよい。
【0059】
そして、後側基板71と前側基板72とはシール材(図示せず)を介して互いに貼り合わされている。シール材の内側における両基板71、72の配向膜75、78間には液晶79が封入されている。後側基板71の外面には偏光板80が貼り付けられている。前側基板72の外面には位相差板81が貼り付けられ、その外面には偏光板82が貼り付けられている。
【0060】
次に、この液晶表示装置の立体的画像表示について説明する。この場合、光源65は、第1の点滅と第2の点滅とを高速で交互に繰り返す。そして、第1の点滅期間において光源65が点灯すると、導光板62の出射面66から光が前方に出射される。この出射光の一部は液晶表示パネル61の後側電極73および第1の前側電極76aを透過し、そのときの液晶表示パネル61の後側電極73と第1の前側電極76aとの間に印加された電圧つまり前方表示用画像データに対応して駆動された液晶79を透過し、前方表示画像が表示される。この表示された前方表示画像は、液晶表示パネル61の前面を前方表示用仮想スクリーン面として表示されたものとして観察者に観察される。
【0061】
この場合、導光板62の出射面66から出射された出射光の残りの一部は、液晶表示パネル61の後側電極73および第2の前側電極76bを透過して反射層77で反射される。そこで、後側電極73と第2の前側電極76bとの間の液晶79を非透過状態としておくと、上記出射光の残りの一部はここで吸収されるため、前方表示光の観察にほとんど影響を与えることはない。
【0062】
一方、第2の点滅期間において光源65が点灯すると、導光板62の出射面66から光が前方に出射される。この出射光の一部は、直接、液晶表示パネル61の後側電極73および第1の前側電極76aを透過する。そこで、この場合には、後側電極73と第1の前側電極76aとの間の液晶79を透過状態としておくと、後述する後方表示光の観察にほとんど影響を与えることはない。
【0063】
そして、導光板62の出射面66から出射された出射光の残りの一部は、液晶表示パネル61の後側電極73および第2の前側電極76bを透過し、反射層77で反射される。この反射光は、液晶表示パネル61の第2の前側電極76bおよび後側電極73を透過し、さらに、導光板62を透過し、反射板63で反射される。この反射光は液晶表示パネル61の後側電極73および第1の前側電極76aを透過し、液晶表示パネル61の前方に出射される。
【0064】
この出射光は、そのとき液晶表示パネル61の後側電極73と第2の前側電極76bとの間に印加された電圧つまり後方表示用画像データに対応して駆動された液晶79を透過し、後方表示画像が表示される。この表示された後方表示画像は、反射板63の反射面を後方表示用仮想スクリーン面として表示されたものとして観察者に観察される。
【0065】
このように、第1の点滅期間において光源65が点灯すると、液晶表示パネル61の前面を前方表示用仮想スクリーン面として表示された前方表示画像が観察者に観察され、第2の点滅期間において光源65が点灯すると、反射板63の反射面を後方表示用仮想スクリーン面として表示された後方表示画像が観察者に観察される。そして、光源65が第1の点滅と第2の点滅とを高速で交互に繰り返すと、残像現象により、観察者には、立体的な画像が観察される。
【0066】
(その他の実施形態)
なお、例えば、図7において、図1に示すように第2の導光板44の後方に反射板4を配置し、第1の導光板42と第1の光源47とを第1の表示パネル41の前方に配置する等、上記実施形態を適宜組み合わせることも可能である。また、図1および図9にそれぞれ示す場合において、反射板4、63として凹面鏡を用いるようにしてもよい。このようにした場合には、凹面鏡の凹面からなる後方表示用仮想スクリーンに背景を表示し、液晶表示パネル1、61の前面からなる前方表示用仮想スクリーンに人物を表示すると、背景が若干の視差を伴うため、前後で分離の良い飛び出す画面が得られる。また、上記各実施形態において、導光板と光源とからなる光源装置は、例えば、透明な有機EL(エレクトロルミネッセンス)等からなる、平面型の光源パネルを用いるようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、交互に得られる前方表示光と後方表示光とで、残像現象により、立体的な画像を表示しているので、前方表示光での表示のとき、後方表示光は全く生じておらず、また、後方表示光での表示のときも、前方表示光は全く生じておらず、したがって表示品位を向上することができる。また、観察する際に、基準点となるようなものはなく、したがって首を水平方向に移動させる必要はなく、疲れにくいようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態としての液晶表示装置の要部の平面図。
【図2】図1に示す液晶表示パネルの一部の拡大横断平面図。
【図3】図1に示す第1の導光板の一部の拡大平面図。
【図4】図1に示す第2の導光板の一部の拡大平面図。
【図5】立体的表示において知覚される奥行を説明するために示す図。
【図6】フィールドシーケンシャル駆動方式の一例の液晶表示パネルの第1行および最終行の画素の電極間印加電圧および光源駆動信号の波形図。
【図7】この発明の第2実施形態としての液晶表示装置の要部の平面図。
【図8】この発明の第3実施形態としての液晶表示装置の要部の平面図。
【図9】この発明の第4実施形態としての液晶表示装置の要部の平面図。
【図10】図9に示す液晶表示パネルの一部の拡大横断平面図。
【符号の説明】
1 液晶表示パネル
2 第1の導光板
3 第2の導光板
4 反射板
13 第1の光源
14 第2の光源
Claims (5)
- 前方表示画像を表示する第1の表示パネルと、前記第1の表示パネルの後方に配置され後方表示画像を表示する第2の表示パネルと、前記第1の表示パネルの前方に配置され導光板と該導光板の一端面に配置された光源とを含み前記第1の表示パネルに光を照射する第1の光源パネルと、前記第2の表示パネルの後方に配置され第2の導光板と該第2の導光板の一端面に配置された第2の光源とを含み前記第2の表示パネルに光を照射する第2の光源パネルと、前記第2の光源パネルの後方に配置された反射層と、前記第1乃至第2の表示パネルを駆動して前記第1の表示パネルへの前記前方表示画像の表示と前記第2の表示パネルへの前記後方表示画像の表示とを交互に行う表示駆動手段と、前記第1の表示パネルの前記前方表示画像の表示および前記第2の表示パネルの前記後方表示画像の表示に応じて前記光源パネルを点灯する光源制御手段とを具備し、前記表示駆動手段および前記光源制御手段により、前記第1の表示パネルで前記前方表示画像を表示中に前記第1の光源パネルを点灯させ、前記第2の表示パネルで前記後方表示画像を表示中に前記第2の光源パネルを点灯させるとともに、前記前方表示画像および前記後方表示画像に輝度差を付与して立体画像を視認可能となしたことを特徴とする表示装置。
- 請求項1に記載の発明において、前記反射層は凹面鏡であることを特徴とする表示装置。
- 請求項1または2に記載の発明において、前記導光板は光を出射する出射面と反対側の面に前記第1乃至第2の光源から出射された光を前記出射面側に向けて屈折する光路変更光学面を有することを特徴とする表示装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記表示パネルはフィールドシーケンシャル方式で駆動されることを特徴とする表示装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記表示パネルはホモジニアス配向された液晶表示パネルであることを特徴とする表示装置。
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