JP4501222B2 - インクジェットプリンタ及びそのヘッドカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクの液滴を吐出して文字や画像等を記録するインクジェットプリンタに関し、特にほぼ印画用紙幅を有するラインヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、プリントヘッドに並んで設けた微細なインク吐出部からインク液滴を吐出して記録媒体である例えば用紙に着弾させ、ドットでなる文字や画像等を記録する方式のプリンタであり、記録速度が高速で、記録コストが安価であり、カラー化が容易であると共に、騒音が少なく、比較的容易に小型化されるという特徴があり、近年特に市場規模が成長している。
【0003】
このインクジェット方式のプリンタは、簡便さや汎用性からオフィス環境や一般家庭で使用されることが多い。このため、使用されるインク量が少ないことから、一般的にはプリンタ内に設置されたインクタンク内にインクが保持されている。
このインクタンクとインク吐出部であるインクジェット吐出ヘッドは、フレキシブルチューブ等で連結されている場合もあるが、多くの場合、一体的に構成されている。
また、インクタンクとヘッドが一体的な構造であるものには、インク吐出ができない場合即ちインク量が不足した場合のインク補充方法として、インクタンクとヘッドが分離可能に構成されていて、インク量が少なくなったインクタンクのみをインクが充填されたインクタンクと交換するタイプや、インクタンクとヘッドが一体のカートリッジとして構成されていて、インク量が不足してインクの吐出ができなくなった場合、インク補充のためにカートリッジ全体を交換するタイプのものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した一体型のヘッドカートリッジを使用する場合、特にフルカラー印刷を行なうためのカラープリンタにおいては、例えばイエロー,マゼンタ,シアンの三色、そして最近ではブラックを加えた四色構成のヘッドカートリッジを備えるように構成されている。つまり、この場合、通常、色毎にヘッドカートリッジを複数個用意するようにされている。
このため、プリンタの小型化の要請に伴って、プリンタ本体内でのヘッドカートリッジの収容スペースが問題になってきている。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、プリンタ内のスペースを有効利用できるようにして、プリンタの小型化を容易にするようにした、インクジェットプリンタ及びそのヘッドカートリッジを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明に係るインクジェットプリンタのヘッドカートリッジは、複数個のノズルがグループ化されて1つにまとめられたヘッドチップと一体化して連結された該ヘッドチップから吐出されるインクを収容した複数の袋が、それぞれ内側に配設されたインクタンクと、上記インクタンクと一体に構成され、上記ヘッドチップが表面に配設されたヘッドフレームとを備え、上記ヘッドチップは、上記インクタンクの長手方向に垂直な給紙方向の一端側に、該長手方向に沿って所定の間隔を有して複数個形成されるとともに、該給紙方向の他端側に、該長手方向に沿って所定の間隔を有して複数個形成され、該一端側に形成されたヘッドチップと該他端側に形成されたヘッドチップとが、千鳥状に配置され、上記インクタンクは、上記給紙方向に隣り合うように一端側と他端側とに形成された2つのヘッドチップのそれぞれに対応する空間が連通するように内壁によって仕切られて構成された区画が、該インクタンクの長手方向に複数個設けられるとともに、該インクタンクの長手方向の両端のうちの一方において給紙方向の一端側に、第1のスペースが設けられ、該第1のスペースと反対側の他方側において給紙方向の他端側に、第2のスペースが設けられ、上記区画には、上記給紙方向に隣り合うように一端側と他端側とに形成された2つのヘッドチップによって共用されるとともに該区画の内部形状に対応するように形成された上記袋が収納され、上記第1のスペース及び/又は上記第2のスペース内には、当該ヘッドカートリッジのインク吐出特性補正回路を組み込んだ回路基板が収容され、該回路基板は、上記ヘッドチップと電気配線により電気的に接続されている。
【0007】
本発明によれば、インク保持容器の収容空間のずれにより長手方向の両端に形成されるスペースが、例えば中継基板等の部品ための収容スペースとして有効利用されるので、プリンタ本体内に収容されるべき中継基板等の部品がヘッドカートリッジ内に収容されることによって、プリンタ本体内がより小さいスペースで済むことになり、プリンタ全体が小型に構成されることになる。
【0009】
本発明によれば、複数個のヘッドチップを長手方向に並べることによって、容易に且つ低コストでラインプリンタを構成することができる。
【0011】
本発明によれば、各ヘッドカートリッジ固有の吐出特性が、このスペース内に収容された回路基板に構成されたインク吐出特性補正回路によって、補正されることにより、当該ヘッドカートリッジ内にてインク吐出特性が補正されることになる。従って、出荷時に、当該ヘッドカートリッジのスペース内に収容された回路基板にて前以てインク吐出特性の補正を行なっておくことにより、使用開始の際にインク吐出特性の補正を行なう必要がないので、ユーザによるヘッドカートリッジの交換が容易に行われることになる。
【0012】
また、本発明に係るインクジェットプリンタは、インクの液滴を吐出して、記録媒体に記録するためのラインヘッドを備え、上記ラインヘッドのヘッドカートリッジは、複数個のノズルがグループ化されて1つにまとめられたヘッドチップと一体化して連結された該ヘッドチップから吐出されるインクを収容した複数の袋が、それぞれ内側に配設されたインクタンクと、上記インクタンクと一体に構成され、上記ヘッドチップが表面に配設されたヘッドフレームとを備え、上記ヘッドチップは、上記インクタンクの長手方向に垂直な給紙方向の一端側に、該長手方向に沿って所定の間隔を有して複数個形成されるとともに、該給紙方向の他端側に、該長手方向に沿って所定の間隔を有して複数個形成され、該一端側に形成されたヘッドチップと該他端側に形成されたヘッドチップとが、千鳥状に配置され、上記インクタンクは、上記給紙方向に隣り合うように一端側と他端側とに形成された2つのヘッドチップのそれぞれに対応する空間が連通するように内壁によって仕切られて構成された区画が、該インクタンクの長手方向に複数個設けられるとともに、該インクタンクの長手方向の両端のうちの一方において給紙方向の一端側に、第1のスペースが設けられ、該第1のスペースと反対側の他方側において給紙方向の他端側に、第2のスペースが設けられ、上記区画には、上記給紙方向に隣り合うように一端側と他端側とに形成された2つのヘッドチップによって共用されるとともに該区画の内部形状に対応するように形成された上記袋が収納され、上記第1のスペース及び/又は上記第2のスペース内には、当該ヘッドカートリッジのインク吐出特性補正回路を組み込んだ回路基板が収容され、該回路基板は、上記ヘッドチップと電気配線により電気的に接続されている。
【0014】
本発明によれば、互いに給紙方向に並んで隣接するヘッドのスペースが、互いに対向することにより、協働して一つの大きなスペースを形成することになるので、より大きな部品等を収容することができ、より一層プリンタの小型化が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0016】
(プリンタ全体構成)
図1は、本発明のインクジェットプリンタの実施形態の全体構成を示す一部断面斜視図、図2は、その断面側面図である。
このインクジェットプリンタ100は、インクの液滴を吐出する駆動素子として図示しない発熱素子を有し、用紙Pの略幅寸法の記録範囲を有し、インクの液滴の数でドットの径の変調を行うPNM(Pulse Number Modulation)方式の変調機能を有するラインヘッド120を備えている。
【0017】
インクジェットプリンタ100は、筐体110内に、ラインヘッド120、紙送り部130、給紙部140、ペーパトレイ150、電気回路部160等が配設された構成となっている。
筐体110は、直方体状に形成されており、一端側面には用紙Pの排紙口111が設けられ、他端側面にはペーパトレイ150のトレイ出入口112が設けられている。ラインヘッド120は、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色分、合計4個のヘッドカートリッジを備えており、図示しないノズルが下方を向くようにして排紙口111側の端部上方に配設されている。
【0018】
紙送り部130は、紙送りガイド131、紙送りローラ132、133、紙送りモータ134、プーリ135、136、ベルト137、138を備えており、排紙口111側の端部下方に配設されている。紙送りガイド131は、平板状に形成されており、ラインヘッド120の下方に所定の間隔をあけて配設されている。各紙送りローラ132、133は、互いに接触した一対のローラでなり、紙送りガイド131の両側、即ちトレイ出入口112側と排紙口111側に配設されている。紙送りモータ134は、紙送りガイド131の下方に配設されており、プーリ135,136とベルト137,138を介して各紙送りローラ132、133に連結されている。
【0019】
給紙部140は、給紙ローラ141、給紙モータ142、ギヤ143を備えており、紙送り部130に対しトレイ出入口112側に配設されている。給紙ローラ141は、略半円筒形状に形成されており、トレイ出入口112側の紙送りローラ132に近接して配設されている。給紙モータ142は、給紙ローラ141の上方に配設されており、ギヤ143を介して給紙ローラ141に連結されている。
【0020】
ペーパトレイ150は、例えばA4サイズの用紙Pを複数枚重ねて収納可能な箱状に形成され、底面の一端部には、ばね151で係止された紙支え152が設けられており、給紙部140の下方からトレイ出入口112にかけて配設されている。電気回路部160は、各部の駆動を制御する部位であり、ペーパトレイ150の上方に配設されている。
【0021】
このような構成において、その動作例を説明する。
使用者は、インクジェットプリンタ100の電源を入れた後、ペーパトレイ150をトレイ出入口112から引き出し、ペーパトレイ150内に所定枚数の用紙Pを収納して押し入れる。すると、ばね151の作用により紙支え152が用紙Pの一端部を持ち上げ、給紙ローラ141に押し付ける。そして、給紙モータ142の駆動により給紙ローラ141が回転し、1枚の用紙Pをペーパトレイ150から紙送りローラ132へ送り出す。
【0022】
続いて、紙送りモータ134の駆動により各紙送りローラ132、133が回転し、紙送りローラ132が送り出されてきた用紙Pを紙送りガイド131へ送り出す。すると、ラインヘッド120が所定のタイミングで動作して、ノズルからインクの液滴を吐出して用紙P上に着弾させ、ドットでなる文字や画像等を記録する。そして、紙送りローラ133が送り出されてきた用紙Pを排紙口111から排紙する。以上の動作を記録が完了するまで繰り返す。
【0023】
図3乃至図6は、図1のインクジェットプリンタ100におけるラインヘッド120の一色に関するヘッドカートリッジの具体的構成を示している。
ラインヘッド120のヘッド部120aは、一体型のヘッドカートリッジとして構成されていて、図3に示すように、長い直方体でなる筐体120bと、この筐体120bの一側開口に装着されたヘッドフレーム121を含んでいる。
ヘッドフレーム121は後述するインクタンク122と一体に構成されていると共に、その表面には、スリット状のインク供給孔123(図5参照)が形成されており、各インク供給孔123の両側に、図4に示すように、それぞれ長手方向に沿って、長手方向に直角な方向に互いに交互にずれて(以下、千鳥状という)ヘッドチップ124が接着されている。
【0024】
図4は、ヘッドカートリッジ120aの筐体120bの一部を破して示した斜視図であり、ひとつのヘッドチップ124は、長手方向に並んだ複数のノズルがグループ化されてひとつにまとめられて、図4に示す細長い直方体状となっている。
これらのヘッドチップ124は、Si基盤から構成されており、図4に示すように、チップ上にヒータ124a,ヒータ駆動のスイッチング回路及びロジック回路(図示せず)、そして接続端子124bを備えている。
ヒータ124aは、ヘッドチップ124上の片側に配設されており、図5に示すように、インクタンク122からのインクがインク供給孔123を介してヘッドチップ端部から供給され、ヘッドチップ124内の流路124cを通ってノズルに供給されるようになっている。
ヘッドチップ124は、図4に示すように、ヘッドフレーム121の内側で、長手方向沿って複数個並んでいて、途中でこのヘッドチップ毎に交互に長手方向に対して垂直な方向に、端部にオーバーラップ124dをもってずれて配設されることで、図示のような千鳥状に配置されている。
【0025】
ここで、ヘッドフレーム121は、例えば樹脂により成形されており、その表面に、上記ヘッドチップ124を覆うように、ノズルプレート125を備えている。
このノズルプレート125は、例えばニッケル,ステンレス鋼等から構成されており、ヘッドチップ124の流路124cにそれぞれ整合するノズル125a(図3及び図5参照)を備えている。
【0026】
さらに、ヘッドチップ124の接続端子124bは、フレキシブルプリント基板から成る電気配線126により、ヘッドフレーム121及びインクタンク122の側面を引き回され、インクタンク122の一方の側面に設けられた接続端子126aに接続されると共に、インクタンク122の他方の端部付近に配設された中継基板127に接続されている。
【0027】
ここで、インクタンク122の両端には、それぞれ千鳥状の区画122bのずれによるスペース122eが形成されており、上記中継基板127は、これらのスペース122eの一方内に収容されている。
尚、中継基板127は、例えばヘッドカートリッジ120aのインク吐出特性を補正するための補正回路等を構成しているが、これに限らず、例えば使用履歴等を記録した回路を構成していてもよく、あるいは他の任意の回路を構成していてもよい。 これにより、電気配線126を介して上記ヒータ122aに駆動電圧が印加されると、ヒータ表面に気泡が発生することにより、インク供給孔123から流路124cを介して対応するノズル125aにてインクが吐出されると共に、上記中継基板127によってインク吐出特性が補正されるようになっている。
【0028】
ここで、上記各インク供給孔123は、それぞれ各ヘッドチップ124に対応して、ヘッドフレーム121の表面の中心に沿って細長く形成されている。
各インクタンク122は、ヘッドチップ124毎に内壁122aによって区画122bとして仕切られており、各区画122bは、それぞれフィルタ128を介して、対応するヘッドチップ124のインク供給孔123に連結されている。
ここで、フィルタ128は、インクタンク122からのゴミやインク成分の凝集物等がノズル125a側に混入することを防止するようになっている。
【0029】
各区画122bにおいて、インクタンク122は、それぞれ区画122bを形成する外壁及び内壁122aから成る外筐と、その内側に配設された袋122cと、によって二重構造になっている。
この袋122cは、例えばアルミニウムとポリオレフィンのラミネート構造の可撓性シートから構成されている。
【0030】
さらに、この袋122cと外筐と袋122cとの間には、図5に示すように、バネ部材129が配設されている。このバネ部材129は、例えばステンレス鋼から構成されていて、袋122cを外側に拡げるように作用する。これにより、インクタンク122の各区画122b内の袋122cには、それぞれバネ部材129によって負圧が作用する。
【0031】
ここで、バネ部材129による袋122cの負圧は、ヘッドカートリッジ120aの姿勢あるいは外部からの加速度によるノズル125aのインク圧力変動によってもノズル125aからのインク漏れが発生しないように、あらゆるヘッド姿勢でノズル125aのインク圧の絶対値がノズル125aの毛細管力より小さくなるように、また印画時にはインク圧がこの負圧及びノズル125aの毛細管力より小さくなるように、選定されている。
【0032】
このようにして、図6に示すように、各色毎に、ヘッドカートリッジ120aは、ヘッドフレーム121に対して千鳥状にヘッドチップ124,インク供給孔123,フィルタ126,インクタンク122の区画122bが配設されることにより、ヘッドカートリッジとして、構成されている。
【0033】
本実施形態によるインクジェットプリンタ100は、以上のように構成されており、印画を行なう場合には、以下のように動作する。
先ず、インクジェットプリンタ100の不使用時には、ラインヘッド120の各色のヘッドカートリッジ120aにおけるインクタンク122の各袋122cには、それぞれバネ部材129によって負圧が作用するので、袋122c内に収納されたインクは、ラインヘッド120のヘッド姿勢が変化したとしても、姿勢変化によるノズル125aの圧力差によってインク供給孔123からノズル125aを介して外部に漏れるようなことがなく、またバネ部材129による負圧がノズル125aの毛細管力による圧力より小さく選定されていることにより、ノズル125aからインクが内側に引き込まれるようなことはない。
【0034】
この状態から、印画が開始されると、電気配線126を介してヘッドチップ124のヒータ124aに駆動電圧が印加される。これにより、ヒータ124a表面に気泡が発生することにより、流路124cからインク供給孔123そしてノズル125aを介してインクが吐出され、インクジェットプリンタ100の印画動作が行なわれる。
【0035】
このような構成のインクジェットプリンタ100によれば、各ヘッドチップ124に連結された個々のインクタンクとして作用する袋122cに関して、それぞれバネ部材129によって負圧が加えられているので、プリンタ100そしてラインヘッド120の姿勢が変化して、ヘッドカートリッジ120aの長手方向が上下方向になったとしても、例えば実際の一つのインクタンクとして作用する各区画122bの袋122cに連結された各ヘッドチップ124の長手方向両端に対応するノズル125aの高低差は小さいので、各ヘッドチップ124の長手方向両端に対応するノズル125aに生ずる圧力差も小さい。
【0036】
また、プリンタ100またはラインヘッド120あるいはヘッドカートリッジに対して、外部から例えば衝撃等の加速度が加えられた場合に、一つのヘッドチップ124に対応する各ノズル125aのインクの圧力の動的変化が小さい。従って、このような高低差や加速度による圧力変動があったとしても、上述したバネ部材129による袋122c内の負圧によって、これらの圧力変動に抗して、ノズル125aからのインク漏れが抑制される。
【0037】
さらに、ヘッドカートリッジ即ちヘッドカートリッジ120aのインクタンク122の両端に、千鳥状に配設された区画122bのずれにより形成されたスペース122eを利用して、中継基板127が収容されているので、このような中継基板127をインクジェットプリンタ100の筐体110内に配設しなくてもよい。従って、インクジェットプリンタ100全体が小型に構成されることになる。
【0038】
図7は、本発明によるインクジェットプリンタのラインヘッドの第二の実施形態を示している。
図7において、ヘッドカートリッジ120bは、そのヘッドフレーム121及びインクタンク122のみが示されている。
ヘッドカートリッジ120bは、各区画122bの間に中空部122dが設けられると共に、これらの中空部122d、そして両端の区画122bのずれによるスペース122eがそれぞれインク供給孔123を挟んで反対側に隣接する区画122bと一体に構成されている点でのみ異なる構成になっており、その他の構成は、図3及び図4に示したヘッドカートリッジ120aとほぼ同様であるから、同じ構成部品には同じ符号を付すことにより、その説明は省略する。
そして、両端の区画122bにおいては、袋122cが、区画122bの内部形状に対応して形成されると共に、スペース122eに対応する領域に、漏れたインクを吸収するための吸収体(図示せず)が収容される。
【0039】
このような構成のヘッドカートリッジ120bによれば、図1乃至図6に示したインクジェットプリンタ100のヘッドカートリッジ120aと同様に作用すると共に、各区画122b内の袋122cが、図3乃至図6に示した実施形態と比較して、より小型に構成され得、さらにスペース122eが有効に利用される。
【0040】
図8は、本発明によるインクジェットプリンタのラインヘッドの第三の実施形態を示している。
図8において、ヘッドカートリッジ120cは、図7の場合と同様に、そのヘッドフレーム121及びインクタンク122のみが示されている。
ヘッドカートリッジ120cは、インク供給孔123を挟んで反対側にずれて隣接する各対の区画122bが連通して区画122fとして構成されていると共に、袋122cが、これらの連通した区画122fの内部形状に対応して形成されており、その他の構成は、図3及び図4に示したヘッドカートリッジ120aとほぼ同様であるから、同じ構成部品には同じ符号を付すことにより、その説明は省略する。
【0041】
このような構成のヘッドカートリッジ120cによれば、図1乃至図6に示したインクジェットプリンタ100のヘッドカートリッジ120aと同様に作用すると共に、各区画122f内の袋122cが、それぞれ二つのヘッドチップ124に対して設けられていることにより、袋122cの数が半減することにより、各袋122c内のインク消費量の管理が容易になり、さらに、インクタンク122の両端の区画122fのずれによるスペース122eに中継基板127が収容されることにより、スペース122eが有効利用される。
【0042】
図9は、本発明によるインクジェットプリンタのラインヘッドの第四の実施形態を示している。
図9において、四色分、合計4個のヘッドカートリッジ120dが、そのヘッドフレーム121及びインクタンク122の外形のみがインクジェットプリンタ100の装填部材122fに装填された状態で示されている。
各ヘッドカートリッジであるヘッドカートリッジ120dは、給紙方向、図9(A)にて長手方向と直角の方向に関して、互いに隣接するヘッドカートリッジ120dとの間で、各インクタンク122に形成された区画122bのずれによるスペース122eが、互いに対向するように、長手方向に関して対称的に構成されており、その他の構成は、図3及び図4に示したヘッドカートリッジ120aとほぼ同様であるから、同じ構成部品には同じ符号を付すことにより、その説明は省略する。
【0043】
このような構成のヘッドカートリッジ120dによれば、図1乃至図6に示したインクジェットプリンタ100のヘッドカートリッジ120aと同様に作用すると共に、四色分のヘッドカートリッジ120aがインクジェットプリンタ100の筐体110内の装填部材122fにそれぞれ装填された状態にて、各ヘッドカートリッジ120aのスペース122eが、図9(A)に示すように、互いに対向することによって、ほぼ二倍の大きなスペースを形成することになる。
尚、この場合、各ヘッドカートリッジ120aは、装填部材122f内の位置決め部材122gに対して、ヘッド押さえバネ122hにより押圧されることによって、装填部材122f内に固定保持されるようになっている。
従って、各インクタンク122の両端の区画122fのずれによるスペース122eが、中継基板127だけでなく、インクジェットプリンタ100の筐体110内に収容されているこれより大きな任意の部品を収容することができることになり、インクジェットプリンタ100がより一層小型に構成されることになる。
【0044】
上述した実施形態においては、ヘッドフレーム121及びインクタンク122のスペース122eには、中継基板127が収容されているが、これに限らず、例えば例えば使用履歴等を記録した回路を構成する回路基板が収容されてもよく、あるいはインクジェットプリンタ100の筐体110内に収容される他の部品等がこのスペース122e内に収容されるようにしてもよいことは明らかである。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、各インク保持容器のずれにより長手方向の両端に形成されるスペースが、例えば中継基板等の部品のための収容スペースとして有効利用されるので、プリンタ本体内に収容されるべき中継基板等の部品がヘッドカートリッジ内に収容されることによって、プリンタ本体内がより小さいスペースで済むことになり、プリンタ全体が小型に構成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるヘッドカートリッジの一実施形態を備えたインクジェットプリンタの全体構成を示す一部断面斜視図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタの断面側面図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタにおけるヘッドカートリッジを上方から見た斜視図である。
【図4】図3のヘッドカートリッジの内部構造を示す一部破断斜視図である。
【図5】図3のヘッドカートリッジの断面図である。
【図6】図3のヘッドカートリッジの一部破断拡大斜視図である。
【図7】本発明によるヘッドカートリッジの第二の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図8】本発明によるヘッドカートリッジの第三の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図9】本発明によるヘッドカートリッジの第四の実施形態をプリンタの装填部材に装填した状態を示す(A)平面図及び(B)A−A線断面図である。
【符号の説明】
100・・・インクジェットプリンタ、110・・・・・・筐体、111・・・排紙口、112・・・トレイ出入口、120・・・ラインヘッド、120a,120b,120c・・・ヘッドカートリッジ、121・・・ヘッドフレーム、122・・・インクタンク、122b・・・区画、122c・・・袋、122e・・・スペース、122f・・・装填部材、123・・・インク供給孔、124・・・ヘッドチップ、125・・・ノズルプレート、125a・・・ノズル、126・・・電気配線、127・・・中継基板、128・・・フィルタ、129・・・バネ部材、130・・・紙送り部、131・・・紙送りガイド、132、133・・・紙送りローラ、134・・・紙送りモータ、135、136・・・プーリ、137、138・・・ベルト、140・・・給紙部、141・・・給紙ローラ、142・・・給紙モータ、143・・・ギヤ、150・・・ペーパトレイ、151・・・ばね、152・・・紙支え、160・・・電気回路部
Claims (3)
- 複数個のノズルがグループ化されて1つにまとめられたヘッドチップと一体化して連結された該ヘッドチップから吐出されるインクを収容した複数の袋が、それぞれ内側に配設されたインクタンクと、
上記インクタンクと一体に構成され、上記ヘッドチップが表面に配設されたヘッドフレームとを備え、
上記ヘッドチップは、上記インクタンクの長手方向に垂直な給紙方向の一端側に、該長手方向に沿って所定の間隔を有して複数個形成されるとともに、該給紙方向の他端側に、該長手方向に沿って所定の間隔を有して複数個形成され、該一端側に形成されたヘッドチップと該他端側に形成されたヘッドチップとが、千鳥状に配置され、
上記インクタンクは、上記給紙方向に隣り合うように一端側と他端側とに形成された2つのヘッドチップのそれぞれに対応する空間が連通するように内壁によって仕切られて構成された区画が、該インクタンクの長手方向に複数個設けられるとともに、該インクタンクの長手方向の両端のうちの一方において給紙方向の一端側に、第1のスペースが設けられ、該第1のスペースと反対側の他方側において給紙方向の他端側に、第2のスペースが設けられ、
上記区画には、上記給紙方向に隣り合うように一端側と他端側とに形成された2つのヘッドチップによって共用されるとともに該区画の内部形状に対応するように形成された上記袋が収納され、
上記第1のスペース及び/又は上記第2のスペース内には、当該ヘッドカートリッジのインク吐出特性補正回路を組み込んだ回路基板が収容され、該回路基板は、上記ヘッドチップと電気配線により電気的に接続されているインクジェットプリンタのヘッドカートリッジ。 - インクの液滴を吐出して、記録媒体に記録するためのラインヘッドを備え、
上記ラインヘッドのヘッドカートリッジは、
複数個のノズルがグループ化されて1つにまとめられたヘッドチップと一体化して連結された該ヘッドチップから吐出されるインクを収容した複数の袋が、それぞれ内側に配設されたインクタンクと、
上記インクタンクと一体に構成され、上記ヘッドチップが表面に配設されたヘッドフレームとを備え、
上記ヘッドチップは、上記インクタンクの長手方向に垂直な給紙方向の一端側に、該長手方向に沿って所定の間隔を有して複数個形成されるとともに、該給紙方向の他端側に、該長手方向に沿って所定の間隔を有して複数個形成され、該一端側に形成されたヘッドチップと該他端側に形成されたヘッドチップとが、千鳥状に配置され、
上記インクタンクは、上記給紙方向に隣り合うように一端側と他端側とに形成された2つのヘッドチップのそれぞれに対応する空間が連通するように内壁によって仕切られて構成された区画が、該インクタンクの長手方向に複数個設けられるとともに、該インクタンクの長手方向の両端のうちの一方において給紙方向の一端側に、第1のスペースが設けられ、該第1のスペースと反対側の他方側において給紙方向の他端側に、第2のスペースが設けられ、
上記区画には、上記給紙方向に隣り合うように一端側と他端側とに形成された2つのヘッドチップによって共用されるとともに該区画の内部形状に対応するように形成された上記袋が収納され、
上記第1のスペース及び/又は上記第2のスペース内には、当該ヘッドカートリッジのインク吐出特性補正回路を組み込んだ回路基板が収容され、該回路基板は、上記ヘッドチップと電気配線により電気的に接続されているインクジェットプリンタ。 - 上記ラインヘッドは、色毎のインクに対応して複数のヘッドカートリッジを備えており、各色毎のヘッドカートリッジのうち、互いに給紙方向に並んで隣接するヘッドカートリッジに関して、隣接するヘッドカートリッジのうちの一方のヘッドカートリッジの第1のスペースと他方のヘッドカートリッジの第2のスペースとが、互いに対向するように、構成されている請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
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