JP4501166B2 - 排ガス浄化システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化システムに係り、更に詳細には、内燃機関や燃焼器等から排出される排ガスを浄化するシステムであって、特に酸素を過剰に含むリーンバーン排ガス中の窒素酸化物を高効率で浄化するシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車エンジン排気ガスのように酸化成分と還元成分がほぼ等しく含まれる排気ガスを浄化するための触媒としては、三元触媒が広く用いられている。この三元触媒は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びロジウム(Rh)等の貴金属成分並びにセリア(Ce)成分をはじめとする各種成分を担持した活性アルミナを主成分とする触媒であり、排気ガス中の有害成分である炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を高効率で浄化することができる。
【0003】
一方、近年は、燃費向上及び二酸化炭素排出量の削減の観点から、理論空燃比より高い空燃比でも運転するリーンバーンエンジンが普及してきている。このリーンバーンエンジンの排気ガス(以下、「リーンバーン排ガス」という)は、理論空燃比近傍で運転する従来のエンジンの排気ガス(以下、「ストイキ排ガス」という)に比較して、酸素含有率が高く、上記三元触媒ではNOxの浄化が不十分となる。かかる状況から、リーンバーン排ガス中のNOxを高効率で浄化できる新触媒が望まれており、各種のNOx還元触媒の開発が試みられている。
【0004】
このような要望に応じて、各種の金属成分をY型、L型、モルデナイト、MFIゼオライト等のゼオライトに担持したゼオライト系触媒が提案されており、このゼオライト系触媒は、リーンバーン排ガス中において、HCの共存下でNOxを比較的効率良く浄化できる能力を有していることが知られている。
また、担持する金属成分としては、銅(Cu)、コバルト(Co)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)等の遷移金属成分が有効であり、貴金属成分では白金も有効であることが認められているが、中でも銅を担持したCu−ゼオライト系触媒は、高流速ガス条件下でも比較的優れたNOx浄化能を示し、自動車のような小型移動発生源や定置型の自家発電用エンジン等の排気ガス浄化への適用に期待が掛けられている。
【0005】
しかし、上記金属成分を担持したゼオライト系触媒には、次の問題点があるため、リーン条件で運転される自動車排気ガス浄化用触媒としては実用化に至っていない。
まず、NOxを比較的効率良く浄化できる温度範囲が狭く、特に150〜300℃の比較的低い温度領域では、十分なNOx浄化能力が得られない。また、排気ガス中に炭化水素が比較的少ない場合、特にHC/NOx比が5〜6以下となる条件では、NOx浄化能力が急激に低下する。更には、水蒸気を含む600℃以上の高温条件下(水熱条件下)では、極めて劣化が大きいという根本的な問題点がある。
【0006】
これに対し、上述のような低温領域でのNOx浄化能力の向上については、例えば、Cu−ゼオライト系触媒層の下層に貴金属触媒層を設け、この貴金属触媒層での反応熱を利用することによって、上層のCu−ゼオライト系触媒をより低温から作動させることが既に提案されている(特開平1−127044号公報及び特開平5−68888号公報)。しかし、この場合は、下層の貴金属触媒層における酸化反応熱のために劣化が大きくなったり、更には、貴金属触媒層の強い酸化活性のためにHC類が優先的に酸化消費されてしまうので、NOx還元浄化率の低下を招くことが懸念される。
なお、この影響は、Cu−ゼオライト系触媒層と貴金属成分を共存させる場合(特開平1−31074号公報、特開平5−168939号公報)には特に大きくなることが予想される。
【0007】
また、Pt系触媒を用いれば、200〜250℃の比較的低温域でもNOxを転化できるが、N2への転化のみではなく、N2Oへも転化するため、N2Oの生成も無視できず、周囲環境への悪影響から、そのままでは使用できない状況にある。
このように、Cu−ゼオライト系触媒、Pt系触媒のいずれの触媒でも、低HC/NOx比の排ガス条件では、NOx浄化能が不十分となっていた。
【0008】
また、Cu−ゼオライト系触媒、Pt系触媒以外の触媒系として、リン酸塩を用いた触媒も提案されている。
例えば、リン酸コバルトとリン酸ガリウムがNOx還元活性を示すことが知られている(第80回触媒討論会、大分大工、木村秀治他)が、これは空間速度(SV)が小さく、排ガスの処理量が極めて少ない条件下でのNOx還元活性であり、実際のエンジン排ガスへ適用できるか否かは不明である。
また、特定のリン酸塩に貴金属成分を担持することにより、浄化性能が改善できることも知られている(木村、西口、石原、滝田、平成9年度触媒研究発表会講演予稿集3A01)。
しかし、水が共存したり、酸素濃度が高い場合には活性が低く、この手法でも実エンジン排ガスで十分な性能が得られるか否かは不明である。
【0009】
また、特開平6−55075号公報には、リン酸塩を担体として、白金、パラジウム、ロジウム及び金等の活性金属を担持した触媒が記載されているが、該提案では、ディーゼルへの適用の記載があるものの、具体的なデータを記載すべき実施例には、ストイキ排ガスでの性能が示されているに過ぎず、酸素濃度の高いリーン排ガスでの性能は全く不明である。
【0010】
特開平4−83516号公報には、前段にシリカ、チタニア、ゼオライト及びアルミナから成る群より選ばれた少なくとも1種の無機酸化物をHC改質材として配置させ、後段に銅(Cu)、コバルト(Co)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)及びパラジウム(Pd)から成る群より選ばれた少なくとも1種のNOx還元触媒を含むリーンNOx還元触媒を配置することが提案されている。本提案は前段触媒によりHC成分を改質させ、後段触媒がNOx還元に利用しやすい形態のHCを供給するという提案であるが、例えば150〜300℃程度の低排気温度条件で必ずしも前段HC改質材が働くかは疑問であり、その場合には白金、パラジウムのような比較的低温域でNOx還元活性を発揮する触媒には効果が期待できず、かつ、該温度域では、銅、コバルト、ニッケルのような比較的高温域で働くNOx還元触媒では還元能が作用しないことが懸念される。
【0011】
また、特開平6−146869号公報には、HC吸着作用とNOx還元作用とをあわせ持つ触媒が提案されているが、本提案では、排ガス上流側にNOx還元触媒を、下流側にHCを吸着して除去する吸着剤を備える構成である。本提案では、上流側にHC吸着剤を、下流側にNOx還元触媒を配置するとNOx還元触媒が活性温度域にある場合にHCが吸着され、NOx還元触媒にHCが供給されなくなるとして、上記構成を提案している。
即ち、HC吸着効果を生かすには、HCの放出、供給のタイミングが重要であり、単純に組み合わせるだけでは逆効果となる場合もある。上記特開平4−83516号公報の場合も、前段HC改質材がチタニア、シリカ及びアルミナといった比較的HC吸着能が低い材料の場合には、このようなHC吸着作用による逆効果は考慮する必要はないと思われるが、ゼオライトはHC吸着能が高いため、後段触媒のNOx還元能を阻害する可能性がある。
【0012】
特開平10−57763号公報には、HC吸着層の上に触媒担持層を形成して、触媒担持層の触媒作用を促進させることが提案されている。本提案は、低HC/NO比排ガスに対する1つの改善策だが、リーンNOx還元触媒の低排温対策にはならない。
【0013】
特開平5−321655号公報には、特定のHC及びCOのライトオフ特性を有するCu−結晶性シリケートと3元触媒を組み合わせた排気浄化方法が提案されている。本提案ではHCのライトオフ性能が重要な因子とされているものの、HC吸着放出効果には言及されておらず、実施例として排気中にHCを添加する例が述べられていることから、本触媒による低HC/NOx比対応は難しいことが懸念される。
【0014】
特開平7−19031号公報には、前段にHC吸着材(ゼオライト)、後段にNOx還元触媒(Cu−ゼオライト系)を配置する排気ガス浄化装置が提案されている。本提案では、さらにHCを排気中に供給できるようになっているが、結局HC/NOx比の改善によるNOx還元触媒の性能向上を狙いとしている。しかし、本法では、低排温時のNOx浄化に対しては有効とは言えない。
【0015】
特開平7−124479号公報及び特開平7−144134号公報には、リンと銅の化合物をゼオライトに担持して、耐久性能の高いNOx還元触媒を得ることが記載されているが、低温且つHC/NOx比の低い実エンジン排ガス条件でのNOx転化率は必ずしも高いとは言い難く、よりいっそうの改善が必要である。
【0016】
上述の如く、Cu−ゼオライト系触媒、Pt系触媒、その他いずれの触媒でも、低HC/NOx比の排ガス条件では、NOx浄化能が不十分となる。
そこで、還元剤となるHC類、アルコール類等を触媒層の入口に2次的に供給する浄化方法も提案されている。
この場合、還元剤のタンクを車載する方法、あるいは燃料を還元剤に直接利用する方法等が提案されているが、前者の場合にはタンク搭載場所の確保や重量増という問題があり、後者の場合にはエンジンの燃費が犠牲になるという問題が生ずる。
【0017】
更に、特許掲載第2600492号公報には、リーンバーン排ガス中の窒素酸化物を高効率で浄化するための浄化装置として、流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときにNOxを吸収し、流入する排気ガスの酸素濃度を低下させるとNOxを放出する、NOx吸収剤を使った装置が記載されている。
しかしながら、この装置では、吸収したNOxを放出し、還元浄化するために、エンジンを理論空燃比又はリッチで運転したり、炭化水素を還元剤として排気通路に供給することが必要であり、上記同様、エンジンの燃費が犠牲になったり、還元剤を貯えるタンク搭載場所の確保や重量の増加から、結局、エンジンの燃費が犠牲になるという問題が生ずる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のCu−ゼオライト系触媒、Pt系触媒その他いずれの触媒においても、低HC/NOx比の排ガス条件では、NOx浄化能が不十分となるという課題があった。
一方、従来の排ガス浄化用触媒装置では、低排ガス温度及び低HC/NOx比条件のリーンバーン排ガスにおいてNOxの還元浄化が進み難く、また、NOx還元浄化率を高めるために、還元剤を供給したり、エンジンを理論空燃比又はリッチ条件で運転する必要があり、この結果、燃費悪化が避けられないという課題があった。
【0019】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特に、低排ガス温度及び低HC/NOx比条件に係るリーンバーン排ガスに対して優れた浄化性能を有し、NOx還元浄化効率を大幅に向上させた排ガス浄化システムを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、リーンバーン排ガスの浄化につき、NO2の生成とその触媒表面への吸着及び還元ガス成分(HC及び/又はCO)の濃度変動が重要な要因となることを知見し、このNO2の生成温度域に着目して触媒機能を調整することなどにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
即ち、本発明の排ガス浄化システムは、酸素過剰排ガスの通路に設置され、次式(1)
2NO+O2→2NO2…(1)
で表される反応が進行する温度域(NO2生成温度域)にある300℃未満の特定温度T℃未満でHCを吸着し、T℃以上の高温域でHCを放出するHC吸着放出材と、
上記NO2生成温度域でNOxを吸着し、該特定温度T℃及びこれより高温域でNOx還元能を有するNOx吸着還元材とを備え、
上記HC吸着放出材が、リン酸塩と、NOx還元成分とを含み、
上記HC吸着放出材が、上記リン酸塩を含む層に上記NOx還元成分を含む層を積層して成る多層構造を採り、
上記酸素過剰排ガス通路の上流側に上記HC吸着放出材を配置し、その下流側に上記NOx吸着還元材を配置して成り、
上記NO2生成温度域において、上記HC吸着放出材のHC吸放出機能により、上記NOx吸着還元材の入口における炭化水素類の濃度を変動させることを特徴とする。
【0023】
更に、本発明の排ガス浄化システムの他の好適形態は、上記HC吸着放出材が、MFIゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト及びβゼオライトから成る群より選ばれた少なくとも1種のゼオライトを含有し、上記NOx吸着還元材が、白金及び/又はロジウムのNOx還元成分を含有することを特徴とする。
【0025】
更にまた、本発明の排ガス浄化システムの他の好適形態は、上記NOx吸着還元材が、カリウム、ナトリウム、セシウム、リチウム、バリウム、カルシウム、ランタン、イットリウム及びセリウムから成る群より選ばれた少なくとも1種のNOx吸着成分を含有することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排ガス浄化システムについて詳細に説明する。
上述の如く、本発明の排ガス浄化システムは、酸素過剰排ガスの通路に設置されたHC吸着放出材と、NOx還元吸着材とを備える。
【0027】
ここで、酸素過剰排ガスは、文字通り酸素が過剰に含まれている排ガスを意味し、HC、CO及びNOx等を含み空燃比A/Fが理論空燃比14.7より大きい排ガスが該当するが、本発明では、特にA/F=18以上で、ガス温度が100〜450℃程度の低排気温度を含むリーンバーン排ガスを浄化することが可能である。
【0028】
また、本発明の排ガス浄化システムにおいては、リーンバーン排ガスを一時的とは言え意図的に理論空燃比又はリッチに雰囲気調整したり、炭化水素を還元剤として該リーンバーン排ガスに付加することは不要であり、この点において、上記特許掲載2600492号公報に記載の装置とは構成が全く異なる。
換言すれば、本発明の排ガス浄化システムは、具体的には、A/Fが常時18以上のリーン域にある排ガスを有効に浄化し得るシステムであり、かかる浄化のために、強制的なストイキ〜リッチへの雰囲気制御や還元剤の添加を必要とせず、利便性に優れ、且つ低コスト化及び省スペース化を図れるシステムである。但し、自動車排ガスに適用した場合、急加速運転時などに排ガスがストイキ〜リッチになることも考えられ、このような排ガスにも本発明のシステムを適用でき、浄化できるのは勿論であるが、本発明はかかる運転等を必須条件としないのは言うまでもない。
【0029】
また、上記HC吸着放出材は、次式▲1▼
2NO+O2→2NO2…▲1▼
で表される反応が進行するNO2生成温度域にある特定温度T℃未満でHCを吸着し、これより高温域でHCを放出する機能を果たす。
一方、NOx吸着還元材は、上記特定温度T℃未満でNOxを吸着し、これより高温域でNOxを還元する機能を果たすが、かかるNOx還元能は、NO2生成温度域に依存するものではなく、NO2生成温度域内やそれ未満の温度域でも保持される。
【0030】
なお、上述のNO2生成温度域は、350℃未満の温度域であるが、特定温度T℃は300℃以下となるようにHC吸着材を選定することが好ましく、排ガス中のHC種に応じて適宜選定、調製される。
【0031】
また、上記HC吸着放出材及びNOx吸着還元材の排ガス通路の設置は、特に限定されるものではないが、HC吸着放出材及びNOx吸着還元材を、後述する一体構造型の担体、例えばハニカム状モノリス型担体にコートし、HC吸着放出材を排ガスの上流側、NOx吸着還元材をその下流側に配置し、両者を排気ガスの流れに直列に配置して行うことが好ましい。
なお、かかるHC吸着放出材及びNOx吸着還元材の個数は、特に限定されるものではなく、各1個以上の合計2個(1対)以上とすればよく、HC吸着放出材1個に対しNOx吸着還元材2個としてもよく、更には、2対以上としてもよい。
【0032】
上述のように、本発明の排ガス浄化システムの好適形態は、排ガス通路の上流側に、流入するリーンバーン排ガスが300℃未満の温度域でHCを吸着し、300℃以上の温度域でHCを放出するHC吸着放出材を設置し、排ガス通路内の下流側に、流入するリーンバーン排ガスが300℃未満の温度域でNOxを吸着し、300℃以上の温度域でNOxを還元浄化するNOx吸着還元材を設置して成る。
【0033】
かかる構成において、流入する排ガスが300℃未満である温度域では、HC吸着材によるHC吸着除去効果により、下流側へのHC流入量が減少する。そして、このようなHCの少ない条件下では、下流に設けたNOx吸着還元材のNOx吸着効果が大幅に強化され、低排気温度のエンジン運転条件時に排出されるNOxを極めて高い効率で除去できる。
次いで、排ガスが300℃以上の温度域になると、上流側のHC吸着放出材から脱離したHCが、下流のNOx吸着還元材に流入して濃縮され、吸着されたNOxに接触してNOxを還元浄化するが、この際、NOx吸着還元材の表面において高いHC/NOx比が確保されるため、効率の良いNOx還元浄化率を実現できるのである。
更には、この高い還元浄化率には、触媒表面上に吸着されたNOxの反応性が高くなっていることも起因していると思われる。
【0034】
なお、本発明の排ガス浄化システムでは、300℃未満の比較的低温域の条件下では、専らNOx吸着によって排ガスを浄化するため、Pt系触媒を用いた場合であっても、地球温暖化ガスの1つであるN2Oの生成を抑えることができる。
【0035】
次に、上述したHC吸着放出材及びNOx吸着還元材の材質等について説明する。
まず、HC吸着放出材としては、MFIゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト又はβゼオライト及びこれらの任意の混合物を含む材料を用いることができ、これらがHCを高い効率で吸着する機能を果たす。
【0036】
また、かかるHC吸着放出材には、銅(Cu)、コバルト(Co)、銀(Ag)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)又はロジウム(Rh)及びこれらの任意の混合物を添加することができ、これらのNOx還元成分を添加することにより、HC吸着放出材にNOx還元浄化能をも付加し、排ガスの浄化効率をより一層高めることができる。
【0037】
更に、HC吸着放出材には、リン酸塩を添加することが可能であり、これにより、HC放出能の強化及びNOx還元浄化の促進を可能にする。
かかるリン酸塩としては、銅(Cu)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)又はニッケル(Ni)及びこれらの任意の組合せに係る元素のリン酸塩を例示できる。
なお、上記リン酸塩は、吸着したHC、特にカーボン数の多い重質HCに対しては部分酸化反応、又は酸化的脱水素反応のような改質反応を起こし、これらをNOx還元反応に対して利用し易いHC種に変換する機能をも果たすものと考えられる。
【0038】
また、上述したCu及びCo等のNOx還元成分やリン酸塩は、比表面積が60m2/g以上の耐火性無機担体に担持して用いることが好ましく、これにより、各成分の分散性を向上できるので、各成分の機能をいっそう有効に発揮させることが可能になる。
かかる耐火性無機担体としては、アルミナ、シリカ、ゼオライト、マグネシア、チタニア又はジルコニア及びこれらの任意の混合物に係る無機酸化物を挙げることができるが、2元化した無機酸化物として、シリカ−アルミナ、アルミナ−ジルコニア又はアルミナ−マグネシアを用いるのも効果的である。
なお、上記NOx還元成分用の無機酸化物としては、ゼオライトが特に有効であり、特に好ましいゼオライト種としては、MFIゼオライト又はモルデナイトが挙げられる。
【0039】
上述したHC吸着放出材の好適形態としては、上記リン酸塩を担持した耐火性無機酸化物層を形成し、この上に、上記NOx還元成分を担持した耐火性無機酸化物層を積層した構成を挙げることができ、かかる構成を採用することにより、各成分の機能を効果的に働かせることができる。
即ち、リン酸塩を含有する下層に吸着されたHCは、改質されながら下層を脱離し、上層を通過する際にNOxを還元浄化するのである。
層の構成を逆にし、リン酸塩の層を上層に設けると、改質されたHCが、上記NOx還元成分を担持した耐火性無機酸化物層を通過せずに、そのまま気相に流出するため、NOx還元に利用される確率が向上せず、HC改質の効果が得られなくなる。
【0040】
一方、上記NOx吸着還元材は、白金(Pt)及び/又はロジウム(Rh)を含有し、これらがNOx還元浄化を担う。
また、NOx吸着還元材には、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、セシウム(Cs)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ランタン(La)、イットリウム(Y)又はセリウム(Ce)及びこれらの任意の混合物に係るNOx吸着成分を添加することができ、これにより、NOxの吸着効率を高めることができる。
なお、これらNOx還元成分やNOx吸着成分は、上述のHC吸着放出材の場合と同様に、上記耐火性無機担体、即ち所定の無機酸化物に担持することができ、各成分の機能を向上することができるが、詳細な説明は省略する。
【0041】
本発明の排ガス浄化システムにおける触媒システムの好適形態及び構成は、排ガス上流側にHC吸着放出材を、下流側にNOx吸着還元材を配置するものであり、見掛け上は、従来例(例えば、特開平4−83516号公報、特開平6−146869号公報及び特開平7−19031号公報等)と類似している。
しかしながら、HC吸着放出機能によるHC(還元剤)濃度の変動とNOx吸着機能とを組み合わせて、NOx還元反応を促進させるという発想、特に、触媒表面上にNOxを吸着させておき、そこにHCを接触させることによりA/Fが18以上の酸素過剰条件下でもNOx還元反応が大幅に促進されるという現象は、従来知られていなかったものであり、この現象を利用したのが本発明の特徴である。
即ち、触媒としては、排ガス下流側のNOx還元触媒にNOx吸着能を付与したことが特徴の1つでもある。
【0042】
本発明の浄化システムにおいては、以上に説明したHC吸着放出材及びNOx還元材は、一体構造型の担体にコートして使用することが好ましい。
かかる一体構造型担体としては、通常、ハニカム状の担体が広く用いられており、上述した各種成分はこのハニカム担体に被覆して用いることが好ましく、このような被覆使用により、異なる機能を有する各種成分層を簡易に多層化することが可能となる。
【0043】
上記ハニカム担体としては、一般にコージェライト質のものが広く用いられているが、これに限定されるものではなく、金属材料から成るハニカム担体も有効である。
なお、触媒の形状、即ちHC吸着放出材及びNOx吸着還元材の形状をハニカム状とすることにより、触媒と排ガスとの接触面積が大きくなり、圧力損失も抑えられるため、振動があり、且つ限られた空間内で多量の排ガスを処理することが要求される自動車用触媒として用いる場合に有利となる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
(1)上流側(前段)HC吸着放出触媒の製造
リン酸銅を含むアンモニア塩基性水溶液を調製し、比表面積が約280m2/gのベーマイトアルミナを添加して良く撹拌した後、120℃で24時間以上乾燥した。次いで、500℃で2時間焼成してリン酸銅を担持したアルミナ粉を得た。
【0046】
このリン酸銅/アルミナ粉末をシリカ/アルミナ比が約100のH型MFIゼオライトの粉末と1:1で混合し、更にアルミナゾル及び水とを混合し、磁性ボールミルポットに入れてから、約30分間混合・粉砕してスラリーを得た。この際、アルミナゾルの添加量は、Al2O3としてリン酸銅/アルミナ粉末とH型MFIゼオライトの粉末の混合粉に対して10wt%とした。
このスラリーを、1平方インチ断面当たり約600個の流路を持つコージェライト質ハニカム担体0.8L上にコーティングし、次いで、150℃で熱風乾燥し、500℃で1時間焼成して該混合粉末のコート量が約120g/Lのハニカム触媒体1Aを得た。
【0047】
濃度0.2Mの硝酸銅水溶液にアンモニア水を添加し、溶液のpHを9.5とした。この溶液の中に、SiO2/Al2O3比が約45のNH4型MFIゼオライトの粉末を添加して良く撹拌し、次いで、濾過することにより固液を分離した。上記の撹拌・濾過操作を3回繰り返すことにより、Cuをイオン交換担持したMFIゼオライトの触媒ケーキを得た。
このケーキを、乾燥器を用いて120℃で24時間以上乾燥し、次いで、電気で大気雰囲気下600℃で4時間焼成することにより、Cuが3.6wt%担持されたCu−MFIゼオライト触媒粉を得た。
【0048】
このCu−MFIゼオライト触媒粉をアルミナゾル及び水とを混合し、磁性ボールミルポットに入れ、約20分間混合・粉砕してスラリーを得た。この際、アルミナゾルの添加量は、Al2O3としてCu−MFIゼオライト触媒粉末の混合粉に対して10w%とした。
このスラリーを上記ハニカム触媒体1Aにコーティングし、次いで、150℃で熱風乾燥し、500℃で1時間焼成して該Cu−MFIゼオライト触媒粉末のコート量が約100g/Lのハニカム触媒体(1−1)を得た。
【0049】
(2)下流側(後段)NOx吸着還元触媒の製造
ランタンとアルミニウムがモル比で3:97となるように硝酸ランタンと比表面積が約280m2/gのベーマイトアルミナを用意した。該硝酸ランタンを溶解した水溶液に該ベーマイトアルミナを添加して良く撹拌した後、120℃で24時間以上乾燥した。次いで、500℃で4時間焼成してランタンを担持したアルミナ粉(La/Al2O3)を得た。
更に、このLa/Al2O3粉をPt濃度が約4wt%のジニトロジアンミンPt水溶液に添加して良く撹拌した後、120℃で24時間以上乾燥し、650℃で4時間焼成して、Ptが2wt%担持されたPt−La/Al2O3粉を得た。
【0050】
次に、このPt−La/Al2O3粉を硝酸酸性アルミナゾル及び水と混合し、磁性ボールミルポットで30分間粉砕してスラリーとした。この際、硝酸酸性アルミナゾルの添加量はPt−La/Al2O3粉に対して、2wt%とした。このスラリーを約400個の流路を持つコージェライト質ハニカム担体1.2L上にコーティングし、次いで、150℃で熱風乾燥し、500℃で1時間焼成して該混合粉末のコート量が約160g/Lのハニカム触媒体(1−2)を得た。
【0051】
(3)排ガス浄化装置の製造
触媒コンバーターに、上記ハニカム触媒体(1−1)とハニカム触媒体(1−2)を直列に組み込み、触媒容量2.0Lの排ガス浄化装置1を得た。
【0052】
(実施例2)
(1)上流側(前段)HC吸着放出触媒の製造
実施例1のリン酸銅をリン酸亜鉛に代え、SiO2/Al2O3モル比が約100のH型MFIゼオライトをSiO2/Al2O3モル比が約40のH型モルデナイトとY型ゼオライトの2:1(重量比)混合粉に代え、更に、硝酸銅水溶液を同濃度の硝酸銀と硝酸コバルトの混合水溶液に代えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、ハニカム触媒体(2−1)を得た。
なお、得られたAg−Co−MFIゼオライトにおいて、Ag及びCoの担持量はそれぞれ3.2wt%、0.3wt%であった。
【0053】
(2)下流側(後段)NOx吸着還元触媒の製造
実施例1のランタンをカルシウム:ナトリウム:セリウム=0.5:2:1のモル比の混合物に代え、ベーマイトアルミナを比表面積が約90m2/gのチタニア−シリカ混合物に代えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返しハニカム触媒体(2−2)を得た。
【0054】
(3)排ガス浄化装置の製造
触媒コンバーターに、上記ハニカム触媒体(2−1)とハニカム触媒体(2−2)を直列に組み込み、触媒容量2.0Lの排ガス浄化装置2を得た。
【0055】
(実施例3)
(1)上流側(前段)HC吸着放出触媒の製造
実施例1のリン酸銅を、リン酸ニッケル、リン酸錫、リン酸モリブデンの4:1:1(重量比)混合物に代え、SiO2/Al2O3モル比が約100のH型MFIゼオライト粉をSiO2/Al2O3モル比が約150のH型βゼオライト粉に代え、更に、硝酸銅水溶液を同濃度の硝酸コバルト、硝酸インジウム及び硝酸イリジウムの混合水溶液に代えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、ハニカム触媒体(3−1)を得た。
尚、得られたCo−In−Ir−MFIゼオライトにおいて、Co、In及びIrの担持量はそれぞれ2.0wt%、0.5wt%、0.8wt%であった。
【0056】
(2)下流側(後段)NOx吸着還元触媒の製造
実施例1のランタンをカリウム:バリウム:ランタン=0.1:0.2:3のモル比の混合物に代え、ベーマイトアルミナを比表面積が約240m2/gのアルミナ−ジルコニア−マグネシア(Al:Zr:Mg=95:3:2モル比)混合物に代えた以下は、実施例1と同様の操作を繰り返し、ハニカム触媒体(3−2)を得た。
【0057】
(3)排ガス浄化装置の製造
触媒コンバーターに、上記ハニカム触媒体(3−1)とハニカム触媒体(3−2)を直列に組み込み、触媒容量2.0Lの排ガス浄化装置3を得た。
【0058】
(実施例4)
(1)上流側(前段)HC吸着放出触媒の製造
実施例1のリン酸銅を、リン酸タングステン、リン酸マンガン、リン酸コバルトの3:1:1(重量比)混合物に代え、硝酸銅水溶液を同濃度の硝酸イリジウム、硝酸ロジウムの混合水溶液に代えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、ハニカム触媒体(4−1)を得た。
尚、得られたIr−Rh−MFIゼオライトにおいて、Ir及びRhの担持量はそれぞれ0.5wt%、0.8wt%であった。
【0059】
(2)下流側(後段)NOx吸着還元触媒の製造
実施例1のランタンをセシウム:リチウム:ランタン=0.1:0.1:3のモル比の混合物に代え、ベーマイトアルミナを比表面積が約270m2/gのアルミナ−ジルコニア(Al:Zr=97:3モル比)混合物に代えた以下は、実施例1と同様の操作を繰り返し、ハニカム触媒体(4−2)を得た。
【0060】
(3)排ガス浄化装置の製造
触媒コンバーターに、上記ハニカム触媒体(4−1)とハニカム触媒体(4−2)を直列に組み込み、触媒容量2.0Lの排ガス浄化装置4を得た。
【0061】
(参考例1)
(1)上流側(前段)HC吸着放出触媒の製造
シリカ/アルミナ比が約80のH型MFIゼオライトの粉末及びシリカ/アルミナ比が約50のH型βゼオライト粉末の3:5重量比混合粉末をアルミナゾル及び水とを混合し、磁性ボールミルポットに入れてから、約60分間混合・粉砕してスラリーを得た。アルミナゾルの添加量は、Al2O3としてH型MFIゼオライトの粉末の混合粉に対して10wt%とした。
このスラリーを、1平方インチ断面当たり約600個の流路を持つコージェライト質ハニカム担体0.8L上にコーティングし、次いで、150℃で熱風乾燥し、500℃で1時間焼成して該混合粉末のコート量が約180g/Lのハニカム触媒体(5−1)を得た。
【0062】
(2)下流側(後段)NOx吸着還元触媒の製造
実施例1と同様の操作を繰り返し、容量1.2Lのハニカム触媒体(5−2)を得た。
【0063】
(3)排ガス浄化装置の製造
触媒コンバーターに、上記ハニカム触媒体(5−1)とハニカム触媒体(5−2)を直列に組み込み、触媒容量2.0Lの排ガス浄化装置5を得た。
【0064】
(比較例1)
実施例1のハニカム触媒体(1−1)の製造に当たり、ハニカム容量を2.0Lとして触媒体を得た。触媒コンバーターに、該ハニカム触媒体のみを組み込み、比較例1の排ガス浄化装置Ref.1を得た。
【0065】
(比較例2)
実施例1のハニカム触媒体(1−2)の製造に当たり、ハニカム容量を2.0Lとして触媒体を得た。触媒コンバーターに、該ハニカム触媒体のみを組み込み、比較例2の排ガス浄化装置Ref.2を得た。
【0066】
(比較例3)
実施例1の、前段触媒と後段触媒の配置を反対にした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、比較例3の排ガス浄化装置Ref.3を得た。
【0067】
[触媒性能試験例]
4気筒2.5L直噴型ディーゼルエンジンを備えたエンジンダイナモ装置を用いて、上述のようにして得られた各種排ガス浄化装置の排ガス浄化性能を評価した。
【0068】
排ガス浄化装置における触媒入り口温度は、エンジンの負荷を変えることにより制御できるようになっている。排ガス浄化装置性能評価では、触媒入り口温度を150℃で5分間保持した後、約3分間で450℃に昇温し、450℃で5分間保持した。この間の排ガス浄化装置の入り口及び出口のNOx濃度をディーゼル排ガス用NOxモニターで測定し、昇温過程でのNOxの転化率を算出した。
【0069】
上記排ガス浄化装置の性能評価中の排ガス中の平均HC/NOx比は、150℃で約4、昇温過程では約1.2であった。排ガスの触媒への流入量(空間速度)は約35000h−1とした。同時にN2Oモニターを用いてN2O生成量も測定した。
なお、実施例及び比較例の各排ガス浄化装置は、NOx浄化性能を評価する前に、予め該2.5L直噴型ディーゼルエンジンの排ガス中で600℃×100hrの前処理を行った。
実施例及び比較例の浄化装置によるNOx浄化性能を表1に示し、各触媒装置における触媒の構成も併記した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1より、本発明の範囲に属する実施例1〜4の浄化装置では、極めて高い効率でNOxを浄化していることが分かる。
また、Pt系触媒を用いた場合の難点とされてきたN2O生成量は極めて少なく、地球温暖化防止にも効果的であることが分かる。
【0072】
なお、図1に、参考例1に係るHC吸着触媒のHC吸着−脱離の温度特性及びNOx吸着還元触媒のNOx吸着−脱離の温度特性を示す。
同図に示したように、HC吸着については、250℃までは比較的高いHC吸着除去率を示し、300℃を超えるとHCを脱離し、更に高温で燃焼を起こして再びHC浄化率が高まることが分かる。
一方、NOxの脱離については、300℃以上から徐々に脱離が開始され、400℃付近で脱離量が最大となる。
従って、このようなHC吸着−脱離特性とNOx吸着−脱離特性及びNOx還元特性を組み合わせた浄化システムでは、HCの脱離がNOxの脱離よりも低い温度域で起こり、高い浄化率を実現している。
【0073】
以上、本発明を好適実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の開示の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、実施例において、HC吸着触媒とNOx吸着還元触媒は、各種成分をそれぞれ別個のハニカム状担体にコートすることにより作製したが、各種成分を1個のハニカム状担体にコートし、その際、当該ハニカム担体の上流側部分にHC吸着触媒成分をコートし、残りの下流側にNOx吸着還元触媒成分をコートすることにより、1個のハニカム状担体にHC吸着放出触媒とNOx吸着還元触媒を形成することも可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、NO2の生成温度域に着目して触媒機能を調整することなどとしたため、特に、低排ガス温度及び低HC/NOx比条件に係るリーンバーン排ガスに対して優れた浄化性能を有し、NOx還元浄化効率を大幅に向上させた排ガス浄化システムを提供することができる。
即ち、本発明によれば、150℃程度の低温を含む低排気温度及び低HC/NOx比条件の排ガスの浄化が、高効率で浄化可能となるため、地球温暖化を含めて環境汚染が少ない、経済性(燃費)に優れた自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】HC吸着放出触媒のHC吸着−脱離の温度特性及びNOx吸着還元触媒のNOx吸着−脱離の温度特性を示すグラフである。
Claims (10)
- 酸素過剰排ガスの通路に設置され、次式(1)
2NO+O2→2NO2…(1)
で表される反応が進行する温度域(NO2生成温度域)にある300℃未満の特定温度T℃未満でHCを吸着し、T℃以上の高温域でHCを放出するHC吸着放出材と、
上記NO2生成温度域でNOxを吸着し、該特定温度T℃及びこれより高温域でNOx還元能を有するNOx吸着還元材とを備え、
上記HC吸着放出材が、リン酸塩と、NOx還元成分とを含み、
上記HC吸着放出材が、上記リン酸塩を含む層に上記NOx還元成分を含む層を積層して成る多層構造を採り、
上記酸素過剰排ガス通路の上流側に上記HC吸着放出材を配置し、その下流側に上記NOx吸着還元材を配置して成り、
上記NO2生成温度域において、上記HC吸着放出材のHC吸放出機能により、上記NOx吸着還元材の入口における炭化水素類の濃度を変動させることを特徴とする排ガス浄化システム。 - 上記HC吸着放出材が、MFIゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト及びβゼオライトから成る群より選ばれた少なくとも1種のゼオライトを含有することを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化システム。
- 上記HC吸着放出材に、銅、コバルト、銀、インジウム、イリジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種のNOx還元成分を添加して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化システム。
- 上記リン酸塩が、銅、銀、マグネシウム、亜鉛、錫、モリブデン、タングステン、マンガン、コバルト及びニッケルから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素のリン酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化システム。
- 上記NOx還元成分及び/又はリン酸塩は、比表面積が60m2/g以上の耐火性無機担体に担持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の排ガス浄化システム。
- 上記耐火性無機担体が、アルミナ、シリカ、ゼオライト、マグネシア、チタニア及びジルコニアから成る群より選ばれた少なくとも1種の無機酸化物であることを特徴とする請求項5に記載の排ガス浄化システム。
- 上記NOx吸着還元材が、白金及び/又はロジウムのNOx還元成分を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の排ガス浄化システム。
- 上記NOx吸着還元材が、カリウム、ナトリウム、セシウム、リチウム、バリウム、カルシウム、ランタン、イットリウム及びセリウムから成る群より選ばれた少なくとも1種のNOx吸着成分を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の排ガス浄化システム。
- 上記NOx還元成分及び/又はNOx吸着成分は、比表面積が60m2/g以上の耐火性無機担体に担持されていることを特徴とする請求項8に記載の排ガス浄化システム。
- 上記耐火性無機担体が、アルミナ、シリカ、ゼオライト、マグネシア、チタニア及びジルコニアから成る群より選ばれた少なくとも1種の無機酸化物であることを特徴とする請求項9に記載の排ガス浄化システム。
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