JP4500894B2 - 空間光通信装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、アフォーカル光学系である望遠鏡の像側に光ビームスプリッタを構成するコア装置を配置し、出光装置、受光装置、捕捉装置を配置し、それらが光学装置として一体に保持された構成を有し、自由空間で光伝送を行う光伝送装置が記載されている。さらに、別の光学系との連結を行うための光学式ビーコンを取り付け可能であることが開示されている。
また特許文献2には、通信用の波長0.8μm以上の赤外光と光軸合わせのための可視光とを、光ファイバカプラ、または光ファイバスイッチによって1つの光ファイバに導き、共通のレンズから出射するようにした空間伝送光通信装置が記載されている。
特許文献1に記載の技術では、コア装置により通信光、追尾光を分離することにより、通信動作と追尾動作を同時に行うことができるが、ビーコン光(追尾光)用の光源が必要であり、部品点数が多いものとなる。
また、特許文献2に記載の技術では、通信用の光源と、光軸合わせのための光源とを、光ファイバカプラまたは光ファイバスイッチによって1つの光ファイバに導くので、組立精度が緩く、装置のレイアウト自由度が大きくなっているものの、このような構成では、通信用、追尾用にそれぞれ専用の光源を備えるので、やはり部品点数が増大するという問題がある。
このような構成により、送受光光学系で受光された受光光のうち追尾光が、方向ずれ検出手段に導かれて方向ずれ情報を検出し、追尾光の方向に追尾手段を作動させて追尾を行う。一方、送受光光学系で受光された受光光のうち、通信光は、通信光検出部で受光されるか、またはファイバアンプに導かれてポンプ光源による励起光により増幅されてから、通信光検出部で受光される。また、通信用光源から供給された通信光は、送受光光学系に導かれるか、またはファイバアンプに導かれてポンプ光源による励起光により増幅されてから、送受光光学系を通して装置外部に送光される。
そして、ポンプ光源の光は追尾光として、送受光光学系を通して装置外部に送光される。このため、ポンプ光源と追尾用光源とが兼用され、それぞれ独立の光源を有する場合に比べて部品点数を低減することが可能となる。
なお、追尾手段には、ジンバルステージなどにより送受光光学系および方向ずれ検出手段の全体を移動させて方向合わせを行うものや、ガルバノミラーなどにより送受光光学系内の光軸を変更することにより方向合わせを行うものが採用できる。
この場合、ファイバアンプから、ファイバアンプに導かれる受光光としての通信光の光伝送路またはファイバアンプから出射される送光光としての通信光の光伝送路を介して、追尾光が前記送受光光学系に導かれるから、光伝送路を有効利用して追尾光の伝送が行われる。
この場合、追尾台上に設けられた追尾ユニットと通信ユニットとが光ファイバを介して接続されることにより、通信ユニットの配置の自由度が大きくなり、装置の構成および組立調整が容易となる。また、通信ユニットの内部を光ファイバで接続可能な汎用的な光回路部品、光回路素子を用いて構成することにより、より組立が容易な構成とすることができる。
この場合、第1の光路分岐手段により、追尾光が、ファイバアンプを通る通信光の光伝送路を通して出射されてから、通信光と別の光伝送路に分岐されるから、追尾光と通信光とが分離された光伝送路を形成することができる。そのため、分離された光伝送路上の光回路分品、光回路素子として、追尾光または通信光の波長や偏波方向にのみに対応するものを用いることができるので、それらの部品を簡素化することができる。
第1の光路分岐手段として、例えば波長分離型カプラなどを採用することができる。
この場合、第2の光路分岐手段により、受光される通信光と通信用光源から出射される通信光とが分岐されるから、それぞれが分離された光伝送路を形成することができる。そのため、分離された光伝送路上の光回路分品、光回路素子として、それぞれの通信光の波長や偏波方向にのみに対応するものを用いることができるので、それらの部品を簡素化することができる。
第2の光路分岐手段として、光の伝送方向により光路を分岐するサーキュレータなどを採用することができる。
この場合、第1の光路分岐手段によりそれぞれ分離された追尾光と通信光とを、光路合成手段によりそれぞれ共通の光伝送路に導くことができるので、通信ユニットと追尾ユニットとを接続する光ファイバを1本化することができる。
この場合、光アンテナ部で受光された通信光が、通信ユニットと追尾ユニットとの間を接続する光ファイバに対して結合効率最大となるように追尾台が追尾移動されるから、光量が安定した通信光が光ファイバを介して通信ユニットに送られ、通信光検出部に伝送される。そのため、通信光検出部で通信光を安定して受光することができる。
この場合、通信ユニットを追尾台の可動部と別体とするので、追尾台の可動部の慣性負荷を低減することができる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る空間光通信装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る空間光通信装置の概略構成について説明するための構成ブロック図である。
例えば、次の条件式(1)、(2)のような範囲とすることが好ましい。
0.01μm<|λT1−λT2|<1.2μm ・・・(1)
0.01μm<|λR1−λR2|<1.2μm ・・・(2)
このように、通信光T1、R1の波長を異なるものとすることにより、光学系内で戻り光、漏れ光などのノイズを分離しやすいという利点がある。その際、波長差を比較的小さく抑えると、反射率、透過率がほとんど変らないので、光学系内の光学素子、光回路素子などを共通使用したり、それらのコーティングを簡素にしたりすることができて好都合である。例えば、次の条件式の範囲とすることが好ましい。
0nm<|λT1−λR1|<50nm ・・・(3)
ここで、上限値は、同一のコーティングでも、反射率、透過率がほとんど変らないようにするために設けられている。
なお、必要に応じて追尾光T2、R2の間で波長を変えてもよい。その場合、波長差を次の条件式の範囲とすれば、通信光の場合と同様の作用効果を備えるので好都合である。
0nm<|λT2−λR2|<50nm ・・・(4)
通信光を比較的長波長としているのは、大気のゆらぎに強く通信ノイズを低減できるためである。追尾光の波長を比較的短波長としているのは、波長感度が良好な、位置検知センサなどの受光素子が入手しやすく比較的安価な装置を構成できるためである。
光アンテナ部1は、通信の相手側から略同軸かつ略平行光束として送光された通信光R1、追尾光R2を、そのビーム径を制限して入射させる開口1a、ビームエキスパンダ10(送受光光学系)、光分岐手段11、位置検出器12(位置検出センサ)、およびコネクタ51からなる。
位置検出器12は、ビーム受光位置の基準位置からのずれが検出できれば、どのようなセンサを用いてもよい。本実施形態では2次元CCDを採用しているが、位置検出器(PSD)、4分割PDなどを用いてもよい。
なお、より短い光路長で必要な位置検出範囲に対応するために、光分岐手段11と位置検出器12の間に、例えば集光レンズなどの適宜の光学系を設けてもよい。
光分岐手段11と位置検出器12とは方向ずれ検出手段を構成している。
コネクタ51から出射された通信光T1、追尾光T2は、結合レンズ13により略平行光束とされ、ビームエキスパンダ10の光軸に沿う方向に進み、光分岐手段11に入射するようになっている。
追尾台4には、例えば、ジンバルステージや、2軸の回転ステージを組み合わせた移動機構などを採用することができる。
その概略構成は、送信光入力部53(通信用光源)、受信光出力部54(通信光検知部)、EDFA28、33(ファイバアンプ)、サーキュレータ30(第2の光路分岐手段)、およびコネクタ52からなる。
ポンプLD33bは、EDFA33a内を伝送される通信光T1を増幅するために、通信光T1の波長に応じて決まる所定波長の励起光(ポンプ光)を注入するためのポンプ光源である。例えば、本実施形態のように、λT1=1550nmの場合には、ポンプ光の波長は、λ2=980nmが好適である。
EDFA33の出力側は、波長λ2の光に対して偏波方向を保存する光ファイバ56を介してサーキュレータ30のポートp1に接続されている。そして、EDFA33は、ポンプLD33bのポンプ光のうち通信光T1と同方向に進む光の一部が光ファイバ56側に漏れるように構成されている。この漏れ光が追尾光T2として、伝送されていく。したがって、ポンプLD33bはポンプ光源と追尾用光源とを兼ねている。
ポンプLD33bの漏れ光の割合は、ポンプ光、追尾光、それぞれに必要な光強度に応じて適宜設定する。
EDFA28は、通信光R1を増幅するためのファイバアンプで、EDFA33とは異なり、ポンプ光を外部に漏らさない構成とされている。それ以外は、EDFA33と同様の構成を有し、EDFA33a、ポンプLD33bに対応して、EDFA28a、ポンプLD28b(ポンプ光源)を備えている。ポンプLD28bの波長は、ポンプLD33bと同様に通信光R1の波長に応じて設定する。
ポートp2とコネクタ52とは、波長λ2の光に対して偏波方向を保存する光ファイバ35で接続されている。
このため、ポンプLD33bから出射され、光ファイバ56、サーキュレータ30、光ファイバ35を伝送される波長λ2の追尾光T2は、偏波方向を保存して伝送され、コネクタ52と通して偏波保存光ファイバ50に接続されるようになっている。それぞれは、コネクタ51での追尾光T2の偏波方向がコネクタ51で図1の紙面平行方向となるように配置されている。
そのため、個々の部品の質量や大きさが制約されないので、有線光通信に汎用的に用いられる光回路部品を有効利用して構成することができる。また、各部品間の位置合わせなどが容易になるという利点がある。
図1に示すように、送信光入力部53から出射された波長λT1の通信光T1は、光ファイバ55を伝送されて、EDFA33に送られる。EDFA33では、ポンプLD33bからEDFA33aに伝送されるポンプ光の作用により、EDFA33a内を進む通信光T1が誘導放出を起こして増幅される。
EDFA33は、数10dB程度のゲインが得られるので、例えば送信光入力部53に伝送される前の伝送路で光強度が減衰していても、光信号のまま増幅することができる。
そして、コネクタ51から光アンテナ部1内に出射され、結合レンズ13により略平行光束とされて、ビームエキスパンダ10の光軸に沿う方向に進んで、光分岐手段11を透過する。そして、ビームエキスパンダ10により、所定の角倍率で拡径され、開口1aから出射される。
通信の相手側から送光される波長λR1の通信光R1と波長λ2の通信光R1とは、開口1aによりビーム径を規制された同軸の略平行光束としてビームエキスパンダ10に入射する。そしてビームエキスパンダ10により所定の角倍率で縮径され、光分岐手段11に入射する。
光分岐手段11は、波長λ2の紙面垂直方向の偏波成分を略すべて反射するから、追尾光R2のうちの紙面垂直方向の偏波成分が略すべて反射され、位置検出器12で受光される。
位置検出器12は、受光された追尾光R2のビーム中心位置を検出し、光アンテナ部1の光軸からの位置ずれ量を追尾台4に出力する。そして追尾台4の移動制御部(不図示)により、光アンテナ部1の光軸方向が追尾光R2の光軸と一致するように回動移動量が算出され、追尾台4の回動移動が行われる。
そして、光ファイバ36を伝送され、バンドパスフィルタ44により略波長λR1の光のみがEDFA28に入射する。
EDFA28は、数10dB程度のゲインが得られるので、例えば地上での長距離間の通信を行い、大気のゆらぎ、大気の吸収、ビーム広がりなどの影響により、通信光R1の光強度がきわめて微弱となる場合でも、光強度を容易に増幅することができる。
このようにして増幅された通信光R1が、受信光出力部54に結合され、外部の光ファイバに向けて伝送される。外部の光ファイバ内では、光ファイバに接続した適宜の受信部(不図示)に伝送され、情報信号が取り出される。
ファイバアンプを用いることで、光電変換をする前に増幅できるので、光ファイバ光学系で構成される送受信モジュール3を簡素化できるという利点がある。
その際、通信用光源、通信光検出部を含む送受信モジュール3を追尾台4の可動部と別体に設け、光アンテナ部1と送受信モジュール3との間を偏波保存光ファイバ50で接続するようにしたので、追尾台4の可動部を軽量化、小型化することができる。そのため、追尾台4の可動部の慣性が低減され、高速の追尾動作を行うことが可能となり、移動体間通信に好適な空間光通信装置とすることができるものである。
また、通信光T1を光増幅するEDFA33を設け、ポンプLD33bのポンプ光の一部をEDFA33から取り出して追尾光T2とするので、ポンプ光源と追尾用光源とを兼ねることができ、送受信モジュール3を簡素化、低コスト化することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る空間光通信装置について説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る空間光通信装置の概略構成について説明するための構成ブロック図である。
送受信モジュール67は、送受信モジュール3の受信光出力部54、サーキュレータ30、送信光入力部53に代えて、信号受光部29(通信光検出部)、サーキュレータ26(第2の光路分岐手段)、LD27(通信用光源)、を備え、波長分離型カプラ41、41を追加したものである。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
光検出器は、通信光R1の波長に応じて適宜のものを採用できるが、例えば、波長が1550nmの場合、その波長帯での感度が良好で、高速応答性に優れるInGaAsフォトディテクタなどを採用することができる。
そして、光ファイバ37を介してEDFA28の出力側と接続されている。光ファイバ37には、信号受光部29で略波長λR1の光のみが受光されるようにバンドパスフィルタ44が配置されている。
サーキュレータ26は、サーキュレータ30とは異なり、大きな波長差を有する波長λ2の光を伝送せず、きわめて近接した波長帯の通信光R1、通信光T1のみを進行方向によって分岐するものである。そのため、簡素かつ安価に構成できる1波長対応のサーキュレータを用いることができる。
したがって、送受信モジュール67では、第1の実施形態と比較して、部品点数は増えるものの、全体として低コスト化を図ることができる。
また、他方の波長分離型カプラ41(光路合成手段)は、出力ポートP1がサーキュレータ26のポートp2に接続され、入力ポートP2がコネクタ52に接続されている。
そして、それぞれの波長分離型カプラ41の出力ポートP3同士が接続されている。
また、EDFA33から出射される通信光T1は、一方の波長分離型カプラ41の入力ポートP2から出力ポートP1を通して、サーキュレータ26のポートp1に伝送され、ポートp2を通して、他方の波長分離型カプラ41の出力ポートP1に伝送され、入力ポートP2に伝送されるようになっている。
追尾光R2については、第1の実施形態と同様な光路を進むので説明を省略する。
そのため、第1の実施形態と比べて、部品点数は増えるものの、第1、第2の光路分岐手段をより簡素な汎用的な部品で構成することができるから、より安価な装置とすることができるという利点がある。
また、他方の波長分離型カプラ41は、一方の波長分離型カプラ41により分岐された光路を進む通信光T1と追尾光T2とを1つの光路、入力ポートP2に導く光路合成手段となっている。そのため、通信光T1と追尾光T2とが1本の偏波保存光ファイバ50を伝送されて光アンテナ部1に出射されるので、通信ユニットと追尾ユニットとを接続する光ファイバの本数を1本で済ますことができるという利点がある。
次に、本発明の第3の実施形態に係る空間光通信装置について説明する。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る空間光通信装置の概略構成について説明するための構成ブロック図である。
送受信モジュール68は、第2の実施形態の送受信モジュール67において、信号受光部29とLD27を交換し、それに伴って、サーキュレータ26のポートp1とポートp3との接続を入れ替え、EDFA28、バンドパスフィルタ44を削除したものである。
以下、第1、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
追尾光R2については、第1の実施形態と同様な光路を進むので説明を省略する。
次に、本発明の第4の実施形態に係る空間光通信装置について説明する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る空間光通信装置の概略構成について説明するための構成ブロック図である。
光アンテナ部70は、第1の実施形態の光アンテナ部1に、偏光ダイクロイックビームスプリッタ14(第2の光路分岐手段)、結合レンズ24、コリメートレンズ32、LD27を付け加えて構成される。
送受信モジュール69は、第3の実施形態の送受信モジュール68から、LD27、サーキュレータ26を削除し、VOA58、偏波コントローラ59を付け加えたものである。
以下、第1、第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
そして、ビームエキスパンダ10の光軸方向から偏光ダイクロイックビームスプリッタ14に入射する光の反射方向に、結合レンズ24が配置され、その結像位置にコネクタ51が配置されている。
また、LD27は、図4の紙面平行方向を偏波方向とするその放射光をコリメートレンズ32により略平行光束として、ビームエキスパンダ10の光軸に沿う方向から偏光ダイクロイックビームスプリッタ14に入射できるように配置されている。
コネクタ51には、波長λ1、λ2の光をそれぞれの偏波方向を保存して伝送する偏波保存光ファイバ60(光ファイバ)が接続されている。
偏波保存光ファイバ60は、受信モジュール69とコネクタ52を介して接続されており、受信モジュール69から偏波保存光ファイバ60を通して伝送される波長λ1およびλ2の光が、コネクタ51において図4の紙面平行方向に偏波方向を揃えて出射されるように配置されている。
VOA58は、出力ポートP3を伝送される追尾光T2の光強度を制御するための可変減衰機である。
偏波コントローラ59は、同じく追尾光T2の偏波方向が、図4の紙面平行方向に揃うように制御するためのものである。これにより、光分岐手段11での透過損失を低減することができる。
そして、コネクタ51から偏波方向が保存された状態で出射され、結合レンズ24により略平行光束とされる。そして偏光ダイクロイックビームスプリッタ14に入射し、光分岐面で略すべて反射され、ビームエキスパンダ10の光軸に沿って進み、光分岐手段11を略すべて透過し、ビームエキスパンダ10に入射され、所定の角倍率で拡径されて、開口1aから出射される。
そして、コネクタ52から、他方の波長分離型カプラ41の入力ポートP2、出力ポートP1、一方の波長分離型カプラ41の出力ポートP1、入力ポートP1をこの順に伝送され、EDFA33に入射される。
そして、ポンプLD33bのポンプ光の誘導放出により光増幅される。増幅された通信光R1は、光ファイバ38を通して信号受光部29で受光され、光検出器で光電変換されて、信号解析手段により、適宜情報信号を取り出す処理が行われる。
追尾光R2については、第1の実施形態と同様な光路を進むので説明を省略する。
そのような構成の一例について、ビームエキスパンダ10として、偏心反射光学系を用いた場合で簡単に説明する。なお、便宜上、第1の実施形態に適用した場合について説明するが、追尾光の波長や偏波状態などの条件に応じて適宜必要な修正を加えた上で、他の実施形態に適用することはきわめて容易である。
図5は、本発明の第1〜第4の実施形態の変形例の構成について説明するための光軸を含む断面における光路図である。
反射ミラー10A、10B、10Cは、例えば、それぞれ正、負、正のパワーを有する反射面が入力光の光軸に対して偏心または傾いて配置され、ジグザグ状に折り畳まれた光路を形成するものである。中間像10aは、例えば、反射ミラー10Bと反射ミラー10Cとの中間に形成され、反射ミラー10Bと中間像10aと光路中に光分岐手段11Aが配置される。
反射ミラー10A、10B、10Cの光学作用面の面形状は、偏心収差の補正に好適な回転非対称面などを含む自由曲面から構成される。
光分岐手段11Bは、ガルバノミラー15とコネクタ51との間の光路中に配置され、波長λR2の紙面垂直方向の偏波成分をすべて反射する光分岐面を備え、その反射光を、高精度な位置検出に適する4分割PDなどからなる位置検出器12Bに導くものである。
レンズ16は、光分岐手段11Bで反射された光が、位置検出器12B上で適宜の光束径、移動量となるように集光するために必要に応じて設けられる光学素子である。
ここで、図示を省略したが、光分岐手段11Bとコネクタ51との間には、第1の実施形態と同様に、結合レンズ13が配置されている。また、他の実施形態から変形する場合には、必要に応じて適宜の光学系が配置される。例えば、第4の実施形態から変形する場合には、偏光ダイクロイックビームスプリッタ14、結合レンズ24などが配置される。
通信の相手側から送光される波長λ1の通信光R1と波長λ2の追尾光R2とは、開口1aによりビーム径を規制された同軸の略平行光束としてビームエキスパンダ10に入射する。そして反射ミラー10A、10Bにより集光される。
光分岐手段11Aに入射した光は、光分岐手段11Aの光分岐面の作用により、追尾光R2のうち、紙面垂直方向の偏波成分の30%が反射されて、位置検出器12Aで受光される。
位置検出器12Aは、受光された追尾光R2のビーム中心位置を検出し、光アンテナ部1の光軸からの位置ずれ量を追尾台4に出力する。そして追尾台4の移動制御部(不図示)により、光アンテナ部1の光軸方向が追尾光R2の光軸と一致するように回動移動量が算出され、追尾台4の回動移動が行われる(粗追尾動作)。
なお、このような精追尾機構を備えることで、まず精追尾により追尾を行い、ずれ量がある一定量を超えたとき追尾台4の移動制御部とガルバノミラー15の回転制御部が連係して粗追尾をするようにすれば、入射方向ずれや、変動などが生じても、略リアルタイムに解消することができる。そのため、通信光R1のコネクタ51への入射位置が安定し、通信光R1の入射位置ずれによる受光量の変動が防止される。
本変形例では、通信光R1が常に光ファイバのNAの範囲に入射するように精追尾を行い、コネクタ51の受光面を偏波保存光ファイバ50の端面自体としている。それにより、簡素な構成となり、コネクタ51での光量損失や光学的ノイズの発生も抑制できるという利点がある。
また、粗追尾機構のみであっても、通信光R1が光ファイバのNAの範囲に入射できるように追尾が行われるならば、上記の第1〜4の実施形態においても同様に、コネクタ51の受光面を偏波保存光ファイバ50、60の端面自体で構成することが好ましい。
そして、送信光入力部53、受信光出力部54を採用する場合、おおもとの光源、光検出器は、それらに直接的に接続された有線通信網上、または、そのような有線通信網により中継された他の有線通信網上に設けられた構成とすることができる。
3、67、68 送受信モジュール(通信ユニット)
4 追尾台
10 ビームエキスパンダ(送受光光学系)
11、11A、11B 光分岐手段(方向ずれ検出手段)
12、12A、12B 位置検出器(方向ずれ検出手段)
13、24 結合レンズ
14 偏光ダイクロイックビームスプリッタ(第2の光路分岐手段)
15 ガルバノミラー(光偏向手段)
26、30 サーキュレータ(第2の光路分岐手段)
28、33 EDFA(ファイバアンプ)
33b ポンプLD(追尾用光源)
27 LD(通信用光源)
29 信号受光部(通信光検出部)
41 波長分離型カプラ(第1の光路分岐手段)
50、60 偏波保存光ファイバ(光ファイバ)
53 送信光入力部(通信用光源)
54 受信光出力部(通信光検出部)
100、101、102、103 空間光通信装置
Claims (8)
- 空間を介して相手側を追尾しつつ双方向に光通信を行うための空間光通信装置であって、
情報信号により変調された通信光を供給する通信用光源と、
相手側からの追尾を可能とする追尾光を供給する追尾用光源と、
前記通信光および前記追尾光からなる送光光と装置外部からの受光光とを送受光する送受光光学系と、
前記受光光のうち相手側の追尾に用いる追尾光を分岐して該追尾光の方向ずれ情報を検出する方向ずれ検出手段と、
前記送受光光学系で受光された通信光の部分を受光する通信光検出部と、
前記方向ずれ検出手段の検出出力に応じて追尾を行う追尾手段と、
前記送受光される通信光の少なくともいずれかを増幅するためのポンプ光源を有するファイバアンプとを備え、
前記ポンプ光源が前記追尾用光源を兼ねることを特徴とする空間光通信装置。 - 前記ポンプ光源による励起光の一部を、前記ファイバアンプから、前記少なくともいずれかの通信光の光伝送路を介して前記送受光光学系に導くことにより、追尾光として送光することを特徴とする請求項1に記載の空間光通信装置。
- 前記追尾手段は、前記送受光光学系と前記方向ずれ検出手段とからなる光アンテナ部を追尾移動可能に支持する追尾台で構成され、
前記光アンテナ部を含み前記追尾台上に設けられた追尾ユニットと、前記ファイバアンプを含む通信ユニットとが、光ファイバを介して接続されたことを特徴とする請求項1または2に記載の空間光通信装置。 - 前記通信ユニットが、
前記ファイバアンプから出射される追尾光と、前記ファイバアンプで増幅された通信光または増幅される通信光との光伝送路を分岐する第1の光路分岐手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の空間光通信装置。 - 前記通信ユニットが、
前記通信光検出部と前記通信用光源とを含み、
前記通信光検出部で受光される通信光と、前記通信用光源から出射される通信光との光伝送路を分岐する第2の光路分岐手段を備えることを特徴とする請求項3また4に記載の空間光通信装置。 - 前記通信ユニットが、
前記第1の光路分岐手段により光伝送路を分岐された追尾光および通信光を共通の光伝送路に導く光路合成手段を備えることを特徴とする請求項4〜5のいずれかに記載の空間光通信装置。 - 前記方向ずれ検出手段の検出出力に応じて、前記光アンテナ部で受光された通信光の前記光ファイバに対する結合効率が最大となるように前記追尾台を移動させることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の空間光通信装置。
- 前記通信ユニットが、前記追尾台の可動部と別体に設けられたことを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の空間光通信装置。
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