JP4499383B2 - 水溶性プロドラッグ - Google Patents

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本発明はパクリタキセルおよびその誘導体の水溶性プロドラッグおよびそれらの抗腫瘍剤としての使用に関する。
パクリタキセル(タキソール)は、太平洋イチイ(Taxus brevifolia)の樹皮から抽出される化合物であり、優れた抗腫瘍活性を有する。本化合物は、卵巣癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌等に対する有効な治療薬として知られている(非特許文献1および2)。現在、パクリタキセルは、西洋イチイ(Taxus baccata)の針葉または小枝から抽出される10−デアセチルバッカチンを原料とする半合成により工業的に製造されている。
パクリタキセルは、他の抗腫瘍剤とはまったく異なる方法で癌細胞を攻撃することが知られている。パクリタキセルは細胞骨格を構成する微小管に結合し、微小管タンパク質の重合を促進することにより、微小管の安定化と過剰形成をもたらす。その結果、微小管の脱重合が起こりにくくなり細胞分裂が阻害される。癌細胞は正常な細胞よりも頻繁に細胞分裂をくり返すので、パクリタキセルは癌細胞を優先的に攻撃する。
一般に、パクリタキセルは点滴静注により投与されるが、水に極めて溶けにくいため(水に対する溶解度:およそ0.00025mg/mL)、投与時に、ポリオキシエチレンヒマシ油(例えばクレモホールEL(登録商標))および無水エタノールなどの添加物と混合する必要がある。ポリオキシエチレンヒマシ油は、患者において重篤な過敏症を引き起こすことがあり、患者にその過敏症の既往歴があると使用することができない。
これらの問題を解決するために様々な試みがなされてきた。例えば、パクリタキセルの水溶性プロドラッグ、パクリタキセルの水溶性類縁体、経口投与で活性なパクリタキセル類縁体などが報告されている(非特許文献3〜8)。これらのパクリタキセルの水溶化のアプローチは、C−2'やC−7位での親水性および/または荷電性修飾基の結合が主であった。
現在、パクリタキセルの水溶性プロドラッグやパクリタキセルの水溶性類縁体のいくつかについて臨床試験が行われているが、臨床で実際に用いられているものはない。また、このようなプロドラッグや類縁体に導入された修飾基が、生体内での反応によって望ましくない作用をもたらすこともあり得る。これらの要因は、水溶性プロドラッグの開発に新しいアプローチが必要であることを示唆している。
本発明者は、以前、O−N分子内アシル転位反応を利用した、HIVプロテアーゼ阻害剤の新しいクラスの水溶性プロドラッグを記載した(非特許文献9)。例えば、アロフェニルノルスタチン[Apns:(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸(次式中、P1部分)]部分を含むHIVプロテアーゼ阻害剤の場合、Apns部分の2−ヒドロキシ基でO−アシル化されたプロドラッグは、生理的条件下で、次式に示すようなO−N分子内アシル転位反応により親薬物のHIVプロテアーゼ阻害剤に変換される。
Figure 0004499383
Mekhail, T. M.; Markman, M. Paclitaxel in cancer therapy, Expert Opin. Pharmacother. 2002, 3, 755-766。 Ferlini, C.; Ojima, L; Distefano, M.; Gallo, D.; Riva, A.; Morazzoni, P.; Bornbardelli, E.; Mancuso, S.; Scambia, G. Second generation taxanes: from the natural framework to the challenge of drug resistance. Cure. Med. Chem. Anti-Cancer Agents 2003, 3, 133-138。 Vyas, D. M.; Wong, H.; Crosswell, A. R.; Casazza, A. M.; Knipe, J. O.; Mamber, S. W.; Doyle, T. W. Synthesis and antitumor evaluation of water soluble taxol phosphates. Bioorg. Med. Chem. Lett. 1993, 3, 1357-1360。 Singer, J. W.; Baker B.; De Vries P.; Kumar A.; Shaffer S.; Vawter E.; Bolton M.; Garzone P. Poly-(L)-glutamic acid-paclitaxel (CT-2103) [XYOTAX], a biodegradable polymeric drug conjugate: characterization, preclinical pharmacology, and preliminary clinical data. Adv. Exp. Med. Biol. 2003, 519, 81-99。 Meerum Terwogt, J. M.; ten Bokkel Huinink, W. W.; Schellens, J. H. M.; Schot, M.; Mandjes, I. A. M.; Zurlo, M. G.; Rocchetti, M.; Rosing, H.; Koopman, F. J.; Beijnen, J. H. Phase I clinical and pharmocokinetic study of PNU166945, a novel water soluble polymer-conjugated prodrug of paclitaxel. Anti-Cancer Drugs 2001, 12, 315-323。 Sparreboom, A.; Wolff, A. C.; Verweij, J.; Zabelina, Y.; van Zomeren, D. M.; McIntire, G. L.; Swindell, C. S.; Donehower, R. C.; Baker, S. D. Disposition of Docosahexaenoic Acid-Paclitaxel, a Novel Taxane, in Blood: In Vitro and Clinical Pharmacokinetic Studies. Clin. Cancer Res. 2003, 9, 151-159。 Wrasidlo, W.; Niethammer, A.; Deger, S.; Sehouli, J.; Kulozik, A.; Geilen, W.; Henze, G.; Gaedicke, G.; Lode, H. N. Pilot study of hydrolytically activated paclitaxel prodrug therapy in patients with progressive malignancies. Curr. Therapeutic Res. 2002, 63, 247-262。 Uoto, K.; Takenoshita, H.; Yoshino, T.; Hirota, Y.; Ando, S.; Mitsui, I.; Terasawa, H.; Soga, T. Synthesis and evaluation of water soluble non-prodrug analogs of docetaxel bearing sec-aminoethyl group at the C-10 position. Chem. Pharm. Bull. 1998, 46, 770-776。 Kiso, Y. New water-soluble prodrugs of HIV protease inhibitors based on O-N intramolecular acyl migration. Bioorg. Med. Chem. 2002, 10, 4155-4167。
本発明は、生体内において薬物化合物が変換される際に、生体に望ましくない作用をもたらし得る修飾基の遊離を伴わない、パクリタキセルおよびその誘導体の水溶性プロドラッグおよびその製薬上許容しうる塩を提供する。本発明はさらに、抗腫瘍剤としての、パクリタキセルおよびその誘導体の水溶性プロドラッグおよびその製薬上許容しうる塩の使用を提供する。
本発明者は、中性から弱塩基性のpH範囲で、式(I)の化合物が、次式に示すようなO−N分子内アシル転位反応により、抗腫瘍活性を示すパクリタキセル誘導体に変換されることを見出した。
Figure 0004499383
(R1〜R6の定義は以下参照)。
式(I)の化合物は水溶性である。したがって、式(I)の化合物は水溶液剤として容易に投与することができ、投与された式(I)の化合物は、生体内で上記のアシル転位反応により対応するパクリタキセル誘導体に変換される。
即ち、
本発明は、
(1)式(I):
Figure 0004499383
[式中、
1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアラルキルオキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリールであり;
2は、置換されていてもよいアリールであり;
3は、置換されていてもよいアルキルであり;
4は、水素、置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいカルバモイルであり;
5は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、水素、置換されていてもよいアルキルカルボニルである]
で示される化合物または製薬上許容し得るその塩;
(2) R1が置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいアルコキシであり、R2が置換されていてもよいアリールであり、R3が置換されていてもよい低級アルキルであり、R4が水素または置換されていてもよいアルキルカルボニルであり、R5が置換されていてもよいアリールであり、そしてR6が水素である、上記(1)の化合物または製薬上許容し得るその塩;
(3) R1が低級アルキル、アリールまたは低級アルコキシであり、R2がアリールであり、R3が低級アルキルであり、R4が水素またはアルキルカルボニルであり、R5がアリールであり、そしてR6が水素である、上記(2)の化合物または製薬上許容し得るその塩;
(4) R1がフェニルであり、R2がフェニルであり、R3がメチルであり、R4がアセチルであり、R5がフェニルであり、そしてR6が水素である、上記(3)の化合物または製薬上許容し得るその塩;
(5) R1がt−ブチルオキシであり、R2がフェニルであり、R3がメチルであり、R4が水素であり、R5がフェニルであり、そしてR6が水素である、上記(3)の化合物または製薬上許容し得るその塩;
(6) R1がイソプロピルであり、R2がフェニルであり、R3がメチルであり、R4がアセチルであり、R5がフェニルであり、そしてR6が水素である、上記(3)の化合物または製薬上許容し得るその塩;
(7) 生体内で次式:
Figure 0004499383
[式中、
1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアラルキルオキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリールであり;
2は、置換されていてもよいアリールであり;
3は、置換されていてもよいアルキルであり;
4は、水素、置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいカルバモイルであり;
5は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、水素、置換されていてもよいアルキルカルボニルである]
で示される化合物に変換される、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の化合物または製薬上許容し得るその塩;
(8) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の化合物または製薬上許容し得る塩を含有する医薬組成物;
(9) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容し得る塩の水溶液剤である医薬組成物;
(10) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の化合物の製薬上許容し得る塩が酸付加塩である、上記(9)の医薬組成物;
(11) 注射剤または輸液である、上記(9)または(10)の医薬組成物。
(12) 腫瘍を処置するための上記(8)〜(11)の医薬組成物;
(13) 上記式(I)で示される化合物の製造方法であって、式(VIII):
Figure 0004499383
[式中、R2、R3、R4およびR5は前記と同意義であり、R7は保護基である]
で示される化合物を式
Figure 0004499383
[式中、R1は前記と同意義である]
で示される化合物と反応させて、式(IX):
Figure 0004499383
[式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR7は前記と同意義である]
で示される化合物を得、これを脱保護する工程を含む、製造方法
を提供する。
本発明によれば、治療上有効な量のパクリタキセルまたはその誘導体を、重篤な副作用を引き起こすことなく患者に適用できる。
本発明において「アルキル」とは、C1〜C20の直鎖状、分枝状または環状のアルキルを意味し、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、tert−ぺンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。置換基としては、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていることがあるアミノ(ここで置換基は低級アルキル等)、低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキル低級アルコキシ、低級アルコキシ低級アルキルなどが挙げられる。
本発明において「低級アルキル」とは、炭素原子1〜6個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、ネオヘキシル、i−ヘキシル、s−ヘキシル、およびt−ヘキシル等が挙げられる。
本発明における「アリール」としては、フェニル、ナフチル又は多環芳香族炭化水素基等が挙げられる。また、アリールは以下の置換基で置換されていてもよい。
置換基としては、アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル又はtert−ペンチル)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、スルホニル、アミノ、低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ又はジエチルアミノ)、スルフォ、アジド、低級アルケニル等が挙げられる。置換基は、すべての可能な位置で1個又は1個以上置換されていてよい。アリールとしては、具体的には、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、4−ペンチルフェニル、4−カルボキシフェニル、4−アセチルフェニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、4−ニトロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル又は4−ヨードフェニル等が挙げられる。
「アルコキシ」としては、C1〜C6の直鎖状又は分枝状のアルコキシを意味し、具体的にはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、i−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、s−ペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、ネオヘキシルオキシ、i−ヘキシルオキシ、s−ヘキシルオキシ、tert−ヘキシルオキシ等が挙げられ、C1〜C3アルコキシが好ましい。置換基としては、前記「アルキル」の置換基として例示した基が挙げられる。
「アルキルチオ」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、i−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ等が挙げられる。置換基としては、前記「アルキル」の置換基として例示した基が挙げられる。
「アラルキルオキシ」における「アラルキル」とは、前記「アルキル」に前記「アリ−ル」が置換したものを意味し、これらは置換可能な全ての位置で結合しうる。例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル(例えば、3−フェニルプロピル)、ナフチルメチル(例えば、1−ナフチルメチル)等が挙げられる。また、「アラルキルオキシ」は上記「アリール」と同様の置換基により置換可能な位置で置換されていてもよい。
単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「アルケニル」なる用語は、指定した数の範囲の炭素原子数および1個もしくは2個以上の二重結合を有する、直鎖または分枝鎖の1価の炭化水素基を意味する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、クロトニル、イソペンテニル、種々のブテニル異性体等が挙げられる。置換基としては、前記「アルキル」の置換基として例示した基が挙げられる。
「ヘテロアリール」とは、好ましくは酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される同一または異なるヘテロ原子を1〜4個含有する5〜6員環を意味し、例えば1から4個の窒素原子を含有する5−または6−員環、1または2個の窒素原子および1個の酸素原子もしくは硫黄原子を含有する5−または6−員環、1個の酸素原子もしくは硫黄原子を含有する5−員環が例示される。具体的には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−チエニル、3−チエニル、2−フリル、3−フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、2−チアゾリル、3−イソチアゾリル、2−オキサゾリル、3−イソオキサゾリルなどである。置換基としては、ハロゲン、置換されていてもよいアミノ(ここに置換基は低級アルキル等)、低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキル低級アルコキシ、低級アルコキシ低級アルキルなどが挙げられる。
「アルキルカルボニル」としては、例えばメチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、s−ブチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニルが挙げられる。置換基としては、前記「アルキル」の置換基として例示した基が挙げられる。特にハロゲン、アルコキシ、カルボキシ、アミノが好ましい。
「アルキルオキシカルボニル」としては、メトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等が挙げられる。置換基としては、前記「アルキル」の置換基として例示した基が挙げられる。特にハロゲンが好ましい。
置換されてもよい「カルバモイル」の置換基としては、前記「アルキル」の置換基として例示した基が挙げられる。特にアルキルが好ましい。
本発明における「保護基」としては、アミノ基およびヒドロキシ基の保護基として使用されるものであれば、いかなる保護基も使用することができる。例えば、t−ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル等の保護基や、ウレタン型アミノ保護基等が使用できる。ウレタン型アミノ保護基としては、一般にアミノ基の保護基として用いられる、式−COOR(ここで、Rは前記置換されていてもよいアルキル、前記置換されていてもよいアリール等である)で示される基が挙げられる。例えば、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル等が挙げられる。本発明のウレタン型アミノ保護基はまた、ヒドロキシ基を同時に保護することができる。
特に好ましい実施形態では、本発明の化合物は、次式(Ia):
Figure 0004499383
で示される化合物である。この化合物は水溶性であり、生体内での上記O−N分子内アシル転位反応によって次式:
Figure 0004499383
で示されるパクリタキセルに変換される。即ち、式(Ia)の化合物は、パクリタキセルの水溶性プロドラッグである。
別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、次式(Ib):
Figure 0004499383
で示される化合物である。この化合物も水溶性であり、生体内での上記O−N分子内アシル転位反応によって、次式:
Figure 0004499383
で示されるドセタキセルに変換される。即ち、式(Ib)の化合物は、ドセタキセルの水溶性プロドラッグである。
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、次式(Ic):
Figure 0004499383
で示される化合物である。この化合物もまた水溶性であり、生体内での上記O−N分子内アシル転位反応によって、次式:
Figure 0004499383
で示されるカナデンソールに変換される。即ち、式(Ic)の化合物は、カナデンソールの水溶性プロドラッグである。
本発明化合物の合成
本発明の式(I)で示される化合物は、以下に示す反応によって合成される。
Figure 0004499383
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は前記と同意義であり、保護基は上記R7と同意義である]
工程a:
式(III)の化合物のアミノ基を適当な保護基で保護した後、カルボン酸の水酸基部分をアルキル化して式(IV)の化合物を得る。保護基としては、上記R7について例示したものと同様の保護基が挙げられる。例えば、導入する保護基がトリクロロエチルカルボニルの場合、式(III)の化合物をスクシンイミジル−2,2,2−トリクロロエチルカーボネートと反応させる。アルキル化は塩化チオニル等の存在下でメタノール等のアルコールと反応させることにより行うことができる。
工程b:
式(IV)の化合物を、PPTS(ピリジニウムp−トルエンスルホナート)等の触媒の存在下で、4−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタールと反応させ、式(V)の化合物を得る。PPTSに代えてPTS(p−トルエンスルホナート)も使用することができる。
工程c:
式(V)の化合物を加水分解して式(VI)の化合物を得る。加水分解はKOH、NaOH等のアルカリ水溶液中、室温で行う。
工程d:
式(VI)の化合物を、7位に保護基を有するバッカチンIIIとDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)の存在下でカップリングさせ、式(VII)の化合物を得る。バッカチンIIIの保護基は、上記工程aで用いた式(III)の保護基と同様である。この反応では、バッカチンIIIのC2'位でのエピマー化が起こることなく、式(VII)の化合物がほぼ化学量論的な量で得られる。
工程e:
式(VII)の化合物のオキサゾリジン環を、パラトルエンスルホン酸を用いて開環させ、式(VIII)の化合物を得る。
工程f:
式(VIII)の化合物の2'−ヒドロキシル基を、EDC・HCl(1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドとDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で、次式
Figure 0004499383
[式中、R1は前記と同意義である]
で示される化合物と反応させて、式(IX)の化合物を得る。
工程g:
式(IX)の化合物を酢酸亜鉛等を用いて脱保護し、式(I)の化合物を得る。
得られた式(I)の化合物は、所望により、さらにHPLCカラムを用いたイオン交換クロマトグラフィー等により精製してもよい。製薬上許容し得る酸で溶出することにより、対応する式(I)の化合物の塩が形成する。
本発明において、「製薬上許容される塩」としては、製薬上許容される酸付加塩が好ましい。「製薬上許容される酸付加塩」とは、本発明化合物を適当な有機または無機酸と反応させて得られる付加塩である。例えば、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸、またはギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、乳酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの有機酸と形成する酸付加塩が挙げられる。
本発明の式(I)の化合物は、中性〜塩基性のpH範囲でO−N分子内アシル転位反応が起きるため、患者に投与するまでの間、酸性条件下、好ましくはpH2〜5の範囲、に保つ必要がある。例えば、上記の適当な酸との酸付加塩の固体として保存するか、または酸性の注射用水、輸液、緩衝液等、例えばクエン酸-生理食塩水、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等に溶解して水溶液として保存することができるが、適切なpH範囲を維持することができる形態であれば、特に制限されない。
本発明の医薬組成物は、剤形に応じて常法により製造することができる。本発明の化合物を含有する組成物を投与する場合の投与形態は、注射剤(静脈注射、筋肉注射、点滴、皮下注射用アンプル剤、バイアル剤、液剤、懸濁剤など)、外用剤、局所投与剤(点耳剤、点鼻剤、点眼剤、軟膏剤、乳剤、スプレー剤、坐剤など)の非経口投与が想定される。本発明の医薬組成物は、投与形態に応じて適切な賦形剤、助剤、安定剤、浸潤剤、乳化剤、その他の添加剤などを含有してもよい。それらは製剤学的、薬理学的に利用可能で、本発明の化合物にに対して影響を与えない物質であることが必要である。例えば、溶剤(アルコール、緩衝剤、オレイン酸メチル、水など)、緩衝剤、分散剤、溶解補助剤、安定化剤(p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸など)、吸収促進剤(グリセリンのモノまたはジオクタン酸エステル)、抗酸化剤、芳香剤、鎮痛剤、懸濁剤、副作用抑制剤、作用増強物質(吸収排泄調節剤、酵素分解防止剤など)などが含有され得る。
特に注射剤を製造する場合には、例えば以下の方法で製造すればよい。製造において使用する用具および材料等は、非滅菌物の形態、耐熱性、耐圧性等を考慮して、常法(例えば高圧蒸気滅菌、乾熱滅菌、γ線滅菌等)により予め滅菌しておく。有効成分および必要であればその他添加剤を秤量し、溶解用容器に入れ、適当量の溶媒(例えば注射用水)を加えて撹拌しながら溶解する。溶液の濃度は、溶媒の種類および有効成分の溶媒に対する溶解度および再溶解時の濃度を考慮して決定すればよい。こうして得られた溶液を常法により、無菌濾過する。必要に応じて無菌濾過の前に分解物、汚染物質等の除去を目的とした粗濾過を行ってもよい。無菌濾過液を適宜バイアル等に分注して目的とする注射剤が得られる。
本発明の化合物の投与量は患者の年齢、疾患の種類および状態、使用する化合物の種類などによって異なる。一般的に、例えば1回10mg〜1g程度の量を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間投与を中断する。あるいは、1回投与量を3分割し、週1回投与してもよい。
一般的方法:
反応試薬および溶媒は、和光純薬工業株式会社(大阪市)、ナカライテスク株式会社(京都市)、およびAldrich Chemical社 (Milwaukee, WI)から入手したものを精製することなく使用した。カラムクロマトグラフィーは、Merck 107734シリカゲル60 (70- 230メッシュ)を用いて行った。TLCは、Merck シリカゲル 60F254をプレコートしたプレートを用いて行った。融点は、柳本マイクロ融点測定装置を較正することなく用いて測定した。分析用HPLCは、C18逆相カラム(4.6×150 mm; YMCパックODS AM302)を用い、二成分溶媒系を用いて行った(0.1%TFA水溶液中のCH3CNの直線勾配、流速0.9 mL/分、230 nmで検出)。調製用HPLCは、C18逆相カラム(20×250 mm; YMC パック ODS SH343-5)を用い、二成分溶媒系を用いて行った(12 mM HCl水溶液または0.1% TFA水溶液中のCH3CNの直線勾配、流速5.0 mL/分、230 nmで検出)。キラルHPLCは、Chiralcel OD正相カラム(10×250 mm; ダイセル化学工業株式会社)を用い、ヘキサン: EtOH (9:1)の溶液を用いて行った(流速2.2 mL/分、230 nmで検出)。HPLCに用いた溶媒はHPLCグレードのものを使用した。その他の試薬はすべて分析用グレードまたはそれ以上のものを使用した。1H NMRスペクトルは、TMS(25℃)を内部標準として、400 MHz Varian UNITY INOVA 400NB分光計を用いて得た。FAB-MSは、JMA-DA7000データシステムを取りつけたJEOL JMS-SX102A分光計を用いて行った。ESI-MASSは、Finnigan SSQ-7000分光計を用いて行った。
[実施例1]化合物(Ia)(パクリタキセルの水溶性プロドラッグ)の製造
上記式(Ia)で示される化合物を例に、本発明化合物の製造を詳細に説明する。本化合物の合成は以下の反応式にしたがって行った。
Figure 0004499383
(2R,3S)-N−Troc-3-フェニルイソセリンメチルエステル(化合物4)
(2R,3S)-3-フェニルイソセリン塩酸塩(化合物3)(440 mg, 2.02 mmol)を1 N NaOH (4.05 mL, 4.05 mmol)に溶解した後、この溶液に 1 N NaHCO3 (4.05 mL, 4.05 mmol)およびジオキサン (6 mL)中のスクシンイミジル2,2,2-トリクロロエチルカーボネート (589 mg, 2.03 mmol) の溶液を加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を留去した後、残留したアルカリ性溶液を1 N HClで pH2に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を0.25 N HCl で4回洗浄した。有機溶液をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。得られた 油状物を無水メタノール (10 mL)に溶解し、SOCl2 (0.21 mL, 2.83 mmol) をアルゴン雰囲気下で0℃にて滴加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した後、飽和NaHCO3でクエンチし、減圧下で留去した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製し、化合物4を得た(726 mg, 1.96 mmol, 97%)。
1NMR (CDCl3, 400 MHz,):δ=7.41-7.29 (m, 5 H, CH), 5.86 (d, 3J(H,H) = 9.2 Hz, 1 H, NH), 5.29 (dd, 3J(H,H) = 9.4, 1.8 Hz, 1 H, CH), 4.74, 4.69 (2d, 2J(H,H) = 11.9 Hz, 2 H, CH2), 4.53 (dd, 3J(H,H) = 3.8, 2.0 Hz, 1 H, CH), 3.85(s, 3 H, CH3), 3.15 (s, 1 H, OH); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz):δ = 172.9 154.0, 128.6, 127.9, 126.6, 95.4, 74.5, 73.2, 56.7, 53.1.
(2R,4S,5R)-5-メトキシカルボニル-2-(4-メトキシフェニル)-4-フェニル-3-Troc-1,3-オキサゾリジン(化合物5)
無水トルエン(60 mL)中の化合物4 (1.27 g, 3.43 mmol)およびp-トルエンスルホン酸ピリジニウム (PPTS) (9 mg, 0.034 mmol)の溶液に、4-メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール (1.1 mL, 4.12 mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた後、速やかにトルエンの蒸留を行った。0.5時間の共沸蒸留の間に約25mLの溶媒を留去し、反応混合物を室温に冷ました後、飽和NaHCO3でクエンチし、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を飽和NaHCO3、水およびブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。得られた油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン=1:4)により精製して油状の化合物5(1.54 g, 3.15 mmol, 92%)を得た。[α]D 26=+61.2 (c=0.012、メタノール中)、1NMR (CDCl3、400 MHz):δ=7.41-7.32 (m, 7 H, CH), 6.91 (d, 3J(H,H) = 8.2 Hz, 2 H, CH), 6.48 (s, 1 H, CH), 5.57 (bs, 1 H, CH), 4.62 (d, 3J(H,H) = 4.0 Hz, 1 H, CH), 5.40-4.60 (br, 2 H, CH2), 3.81 (s, 3 H, CH3), 3.59 (s, 3 H, CH3)。13C NMR (CDCl3, 100 MHz):δ= 169.5, 160.1, 150.2br, 139.5br, 138.7br, 128.5br, 128.4, 128.7, 128.2, 128.1, 126.2, 113.5, 94.5, 92.1br, 91.5br, 83.1br, 82.3br, 74.3, 62.9br, 55.0, 52.2. HRMS (FAB+):C21H21Cl3NO6の計算値[M++H]:488.0434,実測値:488.0434。分析(C21H20Cl3NO6) C, H, N。純度は98% より高かった(230 nm でのHPLC解析)。構造をさらにC-H cosy および noesy 解析により確認した。
(2R,4S,5R)-5-カルボキシ-2-(4-メトキシフェニル)-4-フェニル-3-Troc-1,3-オキサゾリジン (化合物6)
メタノール(15 mL)中の化合物5 (444 mg, 0.91 mmol)の攪拌溶液に、水 (5 mL)中のKOH (56 mg, 1.00 mmol)の溶液を室温でゆっくりと加えた。反応混合物を0.5時間攪拌した後、メタノールを減圧下で留去した。残留した混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで洗浄し、1N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。この有機相をMgSO4で乾燥し、減圧下で留去した。得られた油状物6 (425 mg, 0.90 mmol, 99%)を真空乾燥して、それ以上精製することなく次の工程に使用した。
1NMR(CD3OD, 400 MHz):δ=7.45-7.29 (m, 7 H, CH), 6.93-6.90 (m, 2 H, CH), 6.46 (s, 1 H, CH), 5.47 (d, 3J(H,H) = 4.8 Hz, 1 H, CH), 4.59 (d, 3J(H,H) = 4.8 Hz, 1 H, CH), 4.53, 4.44 (2d, 2J(H,H) = 12.3 Hz, 2 H, CH2), 3.80 (s, 3 H, CH3). 13C NMR (CD3OD, 100 MHz):δ = 172.3, 161.8, 151.9, 141.6br, 131.7br, 130.9br, 130.0, 129.9, 129.2, 127.7, 114.6, 96.0, 93.6br, 84.7br, 75.6, 64.9br, 55.8.
7-Troc-バッカチンIIIと化合物6のエステル(化合物7)
無水トルエン (20 mL)およびCH2Cl2 (10 mL)の混合物中の化合物6(243 mg, 0.51 mmol)、7-Troc-バッカチンIII (130 mg, 0.171 mmol)およびDMAP (6.3 mg, 0.05 mmol)をアルゴン雰囲気下、室温で15分間攪拌した後、DCCを加え、反応混合物を3時間攪拌した。ジシクロヘキシル尿素を濾過により除去した後、反応混合物を酢酸エチルでで希釈し、飽和NH4Clおよび飽和NaHCO3で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)により精製して油状の固形物(化合物7)を得た(204 mg, 0.167 mmol, 98%)。
[α]D 26=-43.3 (c=0.021 CHCl3),1NMR (CDCl3, 400 MHz):δ=8.01 (d, 3J(H,H)=7.1 Hz, 2H, CH), 7.63 (t, 3J(H,H)=7.4 Hz, 1H, CH), 7.48 (t, 3J(H,H)=7.8 Hz, 2H, CH), 7.51-7.43 (m, 7H, CH), 6.93 (d, 3J(H,H)=8.4 Hz, 2H, CH), 6.50 (s, 1H, CH), 6.25 (s, 1H, CH), 6.11(bt, 3J(H,H)=8.6 Hz, 1H, CH), 5.62 (d, 3J(H,H)=7.1 Hz, 1H, CH), 5.56 (bs, 1H, CH), 5.51 (dd, 3J(H,H)=10.8, 7.0 Hz, 1H, CH), 5.01, 4.63 (2d, 2J(H,H)=12.1 Hz, 2H, CH2), 4.88 (bd, 3J(H,H)=8.1 Hz, 1H, CH), 4.63 (d, 3J(H,H)=5.1 Hz, 1H, CH), 4.55-4.35 (br, 2H, CH2), 4.25, 4.09 (2d, 2J(H,H)=8.6 Hz, 2H, CH2), 3.84(d, 3J(H,H)=7.0 Hz, 1H, CH), 3.82 (s, 3H, CH3), 2.61-2.53 (m, 1H, CH2), 2.24-2.07 (m, 2H, CH2), 2.16 (s, 3H, CH3), 2.03-1.96 (m, 1H, CH2), 1.87 (s, 3H, CH3), 1.77 (s, 3H, CH3), 1.59 (s, 3H, CH3), 1.21 (s, 3H, CH3), 1.13 (s, 3H, CH3).13C NMR (CDCl3, 100 MHz):δ=201.3, 169.7, 169.0, 168.9, 166.7, 160.6, 153.0, 150.2, 140.9, 133.8, 132.5, 129.9, 129.1, 128.9, 128.6, 128.6, 128.5, 126.6, 114.1, 94.4, 92.8, 83.6, 80.3, 78.8, 77.2, 77.1, 76.2, 76.0, 75.0, 74.6, 74.3, 71.7, 63.5, 55.8, 55.2, 46.7, 43.0, 35.5, 33.0, 26.2, 21.4, 21.1, 20.7, 13.7, 10.6. HRMS (FAB+):C54H55Cl6NO18 の計算値[M++H]:1216.1629, 実測値:1216.1621。分析(C54H55Cl6NO182H2O) C,H, N。純度は98%よりも高かった(230 nmでのHPLC解析). 構造は、さらにC-H cosy NMR解析により確認した。
3'-N−デベンゾイル-3'-N−Troc-7-Troc-パクリタキセル(化合物8)
メタノール(10 mL)中の化合物7(200 mg, 0.164 mmol)の攪拌溶液に、メタノール(5 mL)中のp-トルエンスルホン酸 (34 mg, 0.18 mmol)を加えた。室温で24時間攪拌した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3およびブラインで3回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン=1:2) により精製して化合物8(170 mg, 0.154 mmol, 94%)を得た。
[α]D 26=-47.8 (c=0.011、CHCl3中),m.p.=150-152℃、1NMR (CDCl3, 400 MHz):δ=8.09 (d, 3J(H,H)=7.5 Hz, 2H, CH), 7.62 (t, 3J(H,H)=7.4 Hz, 1H, CH), 7.49 (t, 3J(H,H)=7.8 Hz, 2H, CH), 7.41-7.32 (m, 5H, CH), 6.34 (s, 1H, CH), 6.22(t, 3J(H,H)=8.8 Hz, 1H, CH), 6.15 (d, 3J(H,H)=9.5 Hz, 1H, NH), 5.66 (d, 3J(H,H)=6.9 Hz, 1H, CH), 5.53 (dd, 3J(H,H)=10.6, 7.3 Hz, 1H, CH), 5.36 (dd, 3J(H,H)=9.5, 2.0 Hz, 1H, CH), 5.02, 4.65 (2d, 2J(H,H)=12.0 Hz, 2H, CH2), 4.94 (d, 3J(H,H)=8.2 Hz, 1H, CH), 4.70 (d, 3J(H,H)=2.0 Hz, 1H, CH), 4.66, 4.62 (2d, 2J(H,H)=12.1 Hz, 2H, CH2), 4.30, 4.17 (2d, 2J(H,H)=8.6 Hz, 2H, CH2), 3.93 (d, 3J(H,H)=6.8 Hz, 1H, CH), 3.68 (s, 1H, OH), 2.64-2.56 (m, 1H, CH2), 2.37 (s, 3H, CH3), 2.33-2.20 (m, 2H, CH2), 2.17 (s, 3H, CH3), 2.07-2.00 (m, 1H, CH2), 1.90 (s, 3H, CH3), 1.82 (s, 3H, CH3), 1.22 (s, 3H, CH3), 1.16 (s, 3H, CH3)。13C NMR (CDCl3, 100 MHz):δ=201.3, 172.0, 170.4, 169.1, 166.8, 154.2, 153.1, 140.5, 137.6, 133.8, 133.0, 130.1, 128.9, 128.7, 128.3, 126.7, 95.2, 94.4, 83.6, 80.8, 78.6, 77.2, 76.4, 76.3, 75.2, 74.5, 74.2, 73.3, 72.0, 56.7, 56.0, 46.9, 43.1, 35.3, 33.1, 26.5, 22.5, 20.9, 20.7, 14.6, 10.7. HRMS (FAB+): C46H50Cl6NO17 の計算値[M++H]:1098.1210, 実測値:1098.1210. CHN。分析値(C46H49Cl6NO171.5H2O) C,H, N。純度は99%よりも高かった(230 nmでのHPLC解析)。
2'-O−ベンゾイル-3'-N−デベンゾイル-3'-N−Troc-7-Troc-パクリタキセル(化合物9)
乾燥CH2Cl2 (2 mL)中の化合物8 (89 mg, 0.081 mmol), 安息香酸 (11.8 mg, 0.097 mmol), DMAP (3.0 mg, 0.024 mmol)およびEDC・HCl (18.6 mg, 0.097 mmol)をアルゴン雰囲気下で室温にて4時間攪拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、順次、10% クエン酸で3回、水および飽和NaHCO3で2回洗浄した。有機層を MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン=1:2)により精製して白色の固体(化合物9)(90 mg, 0.075 mmol, 92%)を得た。
[α]D 26=-42.4 (c=0.015、CHCl3中), m.p.=156-158℃、1NMR (CDCl3, 400 MHz):δ=8.08 (d, 3J(H,H)=7.3 Hz, 2H, CH), 8.00 (d, 3J(H,H)=7.5 Hz, 2H, CH), 7.65-7.60 (m, 2H, CH), 7.53-7.31 (m, 9H, CH), 6.36 (s, 1H, CH), 6.23(t, 3J(H,H)=8.8 Hz, 1H, CH), 5.99 (d, 3J(H,H)=9.1 Hz, 1H, NH), 5.67 (d, 3J(H,H)=7.0 Hz, 1H, CH), 5.61-5.57 (m, 3H, CH), 5.04, 4.65 (2d, 2J(H,H)=12.0 Hz, 2H, CH2), 4.96 (d, 3J(H,H)=8.1 Hz, 1H, CH), 4.69, 4.65 (2d, 2J(H,H)=12.2 Hz, 2H, CH2), 4.31, 4.16 (2d, 2J(H,H)=8.4 Hz, 2H, CH2), 3.96 (d, 3J(H,H)=7.0 Hz, 1H, CH), 2.66-2.58 (m, 1H, CH2), 2.40 (s, 3H, CH3), 2.27-2.21 (m, 1H, CH2), 2.15 (s, 3H, CH3), 2.07-2.01 (m, 2H, CH2), 2.01 (s, 3H, CH3), 1.82 (s, 3H, CH3), 1.22 (s, 3H, CH3), 1.15 (s, 3H, CH3)。13C NMR (CDCl3, 100 MHz):δ=201.5, 169.7, 169.0, 167.8, 166.9, 154.4, 154.2, 153.1, 141.4, 136.2, 133.9, 133.8, 132.4, 130.1, 129.9, 129.1, 129.0, 128.8, 128.7, 128.6, 128.3, 126.5, 95.1, 94.5, 83.8, 80.7, 79.0, 77.2, 76.3, 76.2, 75.2, 74.7, 74.6, 74.5, 71.8, 55.9, 55.4, 46.8, 43.2, 35.1, 33.1, 26.4, 22.5, 21.4, 20.7, 14.5, 10.8. HRMS (FAB+): C53H53Cl6NO18の計算値 [M+]:1201.1394, 実測値:1201.1394。分析(C53H53Cl6NO180.5H2O) C,H, N。純度は、99%よりも高かった(230 nmでのHPLC解析)。
2'-O−ベンゾイル-3'-N−デベンゾイル-パクリタキセル塩酸塩(化合物Ia・HCl)
メタノール:酢酸(0.75 mL:0.75 mL)の混合物中の化合物9 (37 mg, 0.0307 mmol)の溶液に亜鉛末 (40 mg, 0.614 mmol)を加え、反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物を調製用HPLCに直接アプライし、流速5mL/分で40分間かけて、40%-80% CH3CN(12mMのHCl水溶液中)の直線勾配により溶出し、目的の画分を集め、凍結乾燥し、白色の粉末(化合物Ia)(21 mg, 0.0236 mmol, 77%)を塩酸塩として得た。
[α]D 26=-36.5 (c=0.008、メタノール中), m.p.=145-148℃、1NMR (CD3OD, 400 MHz):δ=8.26 (d, 3J(H,H)=7.3 Hz, 2H, CH), 8.07 (d, 3J(H,H)=7.3 Hz, 2H, CH), 7.76-7.72 (m, 2H, CH), 7.65-7.56 (m, 8 H), 7.39-7.36 (m, 1H, CH), 6.40 (s, 1H, CH), 5.96(t, 3J(H,H)=8.6 Hz, 1H, CH), 5.62 (d, 3J(H,H)=9.0 Hz, 1H, CH), 5.60 (d, 3J(H,H)=7.3 Hz, 1H, CH), 5.01 (d, 3J(H,H)=8.8 Hz, 1H, CH), 4.97 (d, 3J(H,H)=10.3 Hz, 1H, CH), 4.30 (dd, 3J(H,H)=6.6, 11.0 Hz, 1H, CH), 4.17, 4.14 (2d, 2J(H,H)=8.5 Hz, 2H, CH2), 3.74 (d, 3J(H,H)=7.1 Hz, 1H, CH), 2.49-2.41 (m, 1H, CH2), 2.31 (s, 3H, CH3), 2.14 (s, 3H, CH3), 1.95-1.89 (m, 1H, CH2), 1.87 (d, 4J(H,H)=0.9 Hz, 3H, CH3), 1.82-1.75 (m, 1H, CH2), 1.62 (s, 3H, CH3), 1.51-1.45 (m, 1H, CH2), 1.12 (s, 3H, CH3), 1.10 (s, 3H, CH3)。化合物IaはCD3OD中では不安定なため、13C NMRを測定することができなかった。HRMS (FAB+): C47H51NO14の計算値[M++H]:854.3388, 実測値:854.3394。分析(C47H52ClNO145H2O) C,H, N。純度は99%よりも高かった(230 nmでのHPLC解析)。
[実施例2]化合物(Ib)(ドセタキセルの水溶性プロドラッグ)の製造
上記式(Ib)で示される化合物も、実施例1と同様に製造することができる。
[実施例3]化合物(Ic)(カナデンソールの水溶性プロドラッグ)の製造
上記式(Ic)で示される化合物は、実施例1の化合物9を得る工程において、安息香酸に代えてイソ酪酸を用いること以外は、実施例1と同様に製造した。

m .p.=156-160℃, 1H NMR (CD3OD, 400 MHz): δ= 8.08-8.06 (m, 2H), 7.76-7.71 (m, 1H), 7.66-7.50 (m, 6H). 7,38-7.34 (m, 1H), 6.41 (s, 1H), 5.93 (t. J=8.0 Hz, 1H), 5.59 (d, J= 7.3 Hz, 1H), 5.33 (d, J=9.0 Hz, 1H), 4,97 (dd, J=9.6, 1.9 Hz, 1H), 4.82 (d, J= 9.0 Hz, 1H), 4.31 (dd, J = 6.5, 11.0 Hz, 1H), 4.17, 4.14 (2d, J = 8.2 Hz, 2H), 3,72 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 2.84 (septet, J=7.0 Hz, 1H), 2.48-2.41 (m, 1H), 2.27 (s. 3H), 2.16 (s, 3H), 1.92-1.85 (m, 1H), 1.85 (d, J =1.3 Hz, 3H), 1.81-1.74 (m, 1H), 1.62 (s, 3H), 1.46-1.40 (m. 1H), 1.28 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.25 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.10 (s, 3H). HRMS (FAB+): C44H54NO14の計算値 [M++H]: 820.3544, 実測値:820.3542。純度は98%よりも高かった(230 nmでのHPLC解析)。
[試験例1]本発明化合物の水溶性
本発明化合物の水溶性を以下のとおり試験した。
方法:
試験化合物を蒸留水中に飽和させ、激しく振った。この飽和溶液を25℃で15分間超音波処理し、遠心ろ過機(0.45 nm フィルターユニット、Ultrafree(登録商標)-MC、Millipore社) に通した。ろ液をHPLCを用いて分析した。
結果:
上記実施例で得られた式(Ia)の化合物(塩酸塩)の溶解度は0.45±0.04mg/mLであった。この溶解度は、親薬物(パクリタキセル)の溶解度(0.00025±0.00004mg/mL)の1800倍に相当する。
[試験例2]本発明化合物の変換プロファイル
各種pHで、本発明化合物におけるO−N分子内転位反応の挙動を調べた。
方法:
緩衝化生理食塩水( pH7.4PBS、 pH4.9PBS、 pH2.0グリシン−HCl緩衝化生理食塩水)990μLに、DMSO9.5μLおよび試験化合物の溶液(DMSO中10mM)0.5μLを加え、混合物をウォーターバス中37℃にてインキュベーションした。所定の時間インキュベーションした後、メタノール1mLを加え、生成したパクリタキセルを完全に溶解した。試料1mLを逆相HPLCにより直接分析した。HPLCはC18 (4.6×150 mm; YMC Pack ODS AM302)逆相カラムを用い、二成分溶媒系を用いて行った(CH3CN(0.1% TFA水溶液中)の直線勾配(40-100%, 30分)、流速0.9 mL/分, UV 230 nmで検出)。
結果:
上記実施例で得られた化合物(Ia)の変換プロファイルを図1に示す。pH7.4では、化合物(Ia)は完全にパクリタキセルに変換された。化合物の半量が変換されるまでの時間(t1/2)は15.1±1.3分であり、化合物を生体内に投与して全身へ分散させるのに適していることが分かった。一方、 pH4.9では、化合物(Ia)の変換はゆっくりと進み(t1/2=252.2±37.7分)、 pH2.0では、化合物(Ia)は6時間のインキュベーション後もパクリタキセルにほとんど変換されなかった。これらの結果は、本発明化合物の親薬物への変換が明らかなpH依存的挙動を示し、酸性条件下よりも生理的条件下( pH7.4)で変換がより速く進むことを示している。さらに、本発明化合物は、 pH2.0で安定であることが分かった。また、化合物(Ia)の塩酸塩は4℃で1ヶ月間は安定であり、化合物の分解もパクリタキセルへの変換も認められなかった。したがって、本発明化合物の塩酸塩は、固体での保存に適した形態であると考えられる。さらに、0.035%クエン酸生理食塩水( pH4.0)中での化合物(Ia)の転位は非常にゆっくりであった(室温での3時間のインキュベーション後のパクリタキセルへの変換率:3%未満)。したがって、本発明化合物を注射剤として投与する場合、このような緩衝液中での投与が適していると考えられる。
[試験例3]エステラーゼ存在下での本発明化合物の安定性
方法:
酵素として、安定性試験において血漿エステラーゼと高い相関性を示すことが知られているブタ肝臓エステラーゼ(PLE;カルボン酸エステル加水分解酵素;EC 3. 1. 1. 1;E-2884(Sigma Chemical Co. (St Louis, MO)より入手))を用いた。酵素は3.2 M (NH4)2SO4 溶液(pH 8.0)中の懸濁液として用いた。この懸濁液0.27μL(酵素40U/mLを含む)をPBS (pH 7.4)989.7μLで希釈し、この酵素溶液中で試験化合物の安定性を上記試験例2と同様に試験した。
結果:
化合物(Ia)は、エステラーゼ存在下および非存在下で同じt1/2値を示し、パクリタキセルへの変換プロファイルに対する影響は認められなかった(データ示さず)。さらに、エステラーゼによる化合物(Ia)の分解産物も認められなかった(データ示さず)。したがって、本発明化合物は、血漿エステラーゼによる分解に対して極めて安定であることが示された。
各種pHにおける、本発明化合物の親薬物への変換プロファイルを示す。本発明化合物として式(Ia)で示される化合物を用い、パクリタキセルへの変換をモニターした。

Claims (11)

  1. 式(I):
    Figure 0004499383
    [式中、
    1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアラルキルオキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリールであり;
    2は、置換されていてもよいアリールであり;
    3は、置換されていてもよいアルキルであり;
    4は、水素、置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいカルバモイルであり;
    5は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールであり;
    6は、水素、置換されていてもよいアルキルカルボニルであり、
    ここで、該アルキル、該アルコキシ、該アルキルチオ、該アルケニル、該アルキルカルボニル、該アルケニルカルボニル、該アルキルオキシカルボニルおよび該カルバモイルの置換基は、それぞれ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルで置換されていることがあるアミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキル低級アルコキシおよび低級アルコキシ低級アルキルからなる群から選択され
    該アリールおよび該アラルキルオキシの置換基は、それぞれ、アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、スルホニル、アミノ、低級アルキルアミノ、スルフォ、アジドおよび低級アルケニルからなる群から選択され
    該ヘテロアリールの置換基は、ハロゲン、低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキル低級アルコキシおよび低級アルコキシ低級アルキルからなる群から選択される
    で示される化合物または製薬上許容し得るその塩
    を含有する医薬組成物。
  2. 式中、R1が前記置換されていてもよいアルキル、前記置換されていてもよいアリールまたは前記置換されていてもよいアルコキシであり、R2が前記置換されていてもよいアリールであり、R3が前記置換されていてもよい低級アルキルであり、R4が水素または前記置換されていてもよいアルキルカルボニルであり、R5が前記置換されていてもよいアリールであり、そしてR6が水素である、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 式中、R1が低級アルキル、アリールまたは低級アルコキシであり、R2がアリールであり、R3が低級アルキルであり、R4が水素またはアルキルカルボニルであり、R5がアリールであり、そしてR6が水素である、請求項2記載の医薬組成物。
  4. 式中、R1がフェニルであり、R2がフェニルであり、R3がメチルであり、R4がアセチルであり、R5がフェニルであり、そしてR6が水素である、請求項3記載の医薬組成物。
  5. 式中、R1がt−ブチルオキシであり、R2がフェニルであり、R3がメチルであり、R4が水素であり、R5がフェニルであり、そしてR6が水素である、請求項3記載の医薬組成物。
  6. 式中、R1がイソプロピルであり、R2がフェニルであり、R3がメチルであり、R4がアセチルであり、R5がフェニルであり、そしてR6が水素である、請求項3記載の医薬組成物。
  7. 水溶液剤である請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
  8. 酸付加塩の水溶液剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 注射剤または輸液である、請求項7または8記載の医薬組成物。
  10. 腫瘍を処置するための請求項1〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
  11. 式(I):
    Figure 0004499383
    [式中、
    1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアラルキルオキシ、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいヘテロアリールであり;
    2は、置換されていてもよいアリールであり;
    3は、置換されていてもよいアルキルであり;
    4は、水素、置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいカルバモイルであり;
    5は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールであり;
    6は、水素、置換されていてもよいアルキルカルボニルであり、
    ここで、該アルキル、該アルコキシ、該アルキルチオ、該アルケニル、該アルキルカルボニル、該アルケニルカルボニル、該アルキルオキシカルボニルおよび該カルバモイルの置換基は、それぞれ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルで置換されていることがあるアミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキル低級アルコキシおよび低級アルコキシ低級アルキルからなる群から選択され
    該アリールおよび該アラルキルオキシの置換基は、それぞれ、アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、スルホニル、アミノ、低級アルキルアミノ、スルフォ、アジドおよび低級アルケニルからなる群から選択され
    該ヘテロアリールの置換基は、ハロゲン、低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキル低級アルコキシおよび低級アルコキシ低級アルキルからなる群から選択される
    で示される化合物の製造方法であって、式(VIII):
    Figure 0004499383
    [式中、R2、R3、R4およびR5は前記と同意義であり、R7はウレタン型アミノ保護基である]
    で示される化合物を式
    Figure 0004499383
    [式中、R1は前記と同意義である]
    で示される化合物と反応させて、式(IX):
    Figure 0004499383
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR7は前記と同意義である]
    で示される化合物を得、これを脱保護する工程を含む、製造方法。
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