JP4498455B2 - 表示装置及び光学フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、フラットディスプレイなどの表示装置及び光学フィルタに関する。
フラットディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネルやフィールドエミッションディスプレイパネルなどの薄型平面ディスプレイパネルを備えている。
たとえば、プラズマディスプレイパネルは、一対の前面基板と背面基板が互いに平行に対向するように配置されて、その間の放電空間の周囲が封止された構造になっている。
そして、反射型の交流型プラズマディスプレイパネルは、前面基板の内面に面放電(表示放電)を行う複数の行電極対とこの行電極対を被覆する誘電体層が形成され、背面基板の前面基板に対向する内面側に、行電極対と直交する方向に配列されて行電極対の一方の行電極との間で選択放電を行う列電極とこの列電極を被覆する列電極保護層とが形成されており、この前面基板と背面基板の間に、放電空間を放電セル毎に区画する隔壁が形成されて、各放電セル内に、それぞれ赤、緑、青の三原色に色分けされた蛍光体層が順に並ぶように形成された構成を備えている。
上記のような従来のフラットディスプレイ装置は、そのフラットディスプレイパネルの前方側に配置された前面フィルタ(パネル保護板)が、ガラス基板上に外光反射防止シートやフラットディスプレイパネルから発生する電磁波および赤外線を遮断するフィルムが貼り付けられることによって構成されている。
また、複数のLED素子を備えるLED表示装置において、LED素子の表面に、遮光性のルーバーフィルムを貼着し、厚み方向と交差する方向からの外光がLED素子に照射されてLED素子で反射することを防ぐ技術が知られている。これでは、ルーバーフィルムは、LED素子の表面に貼着材で貼着されている(特許文献1、参照)。
さらに、透明域と暗色域とがシートの面方向に交互に形成して、直進光を透過可能なプラズマディスプレイパネル用樹脂シートが知られている。透明域及び暗色域は、それぞれシート面に対して直交又は傾斜して層状に傾斜されている。プラズマディスプレイパネル用樹脂シートと、バンドパスフィルタ及び電磁波シールド層を積層する技術も知られている(特許文献2、参照)。
またさらに、第1物質層と、該第1物質層より小さい屈折率を持つ第2物質層が2つの平行な平面に挟まれ、第1物質層と第2物質層の界面が凹面および/または凸面形状をなす事によってレンズとして機能する微小単位レンズを面状に配列したマイクロレンズアレイシートにおいて、該微小単位レンズの第1物質層の少なくとも凸部頂部領域をアクリル樹脂などの粘着剤または接着剤層および必要に応じてスペーサーを介して透明基板に装着せしめたマイクロレンズアレイシートおよびそれを用いた液晶ディスプレイも知られている(特許文献3、参照)。
また、従来のガラス基板による保護パネルをフラットディスプレイパネルとは別個に設けずに、プラスチック光学フィルタをフラットディスプレイパネルの画面に一体となるように貼り付けて、部品点数の減少およびフラットディスプレイパネルの支持構造の簡略化と、製品の低廉化を達成している(特許文献4、参照)。
特開2000-29406 特開2004-295045 特開平09-127309 特開2004-206076
一般に室内照明灯などによる外光がフラットディスプレイパネルなどの画像を表示する表示装置の画面で反射し、黒の浮き上がり及びコントラスト悪化の問題をおこす。
上記特許文献開示の先行技術において、コントラスト向上、外光防止などのために、黒色または暗色材料からなる光吸収性又は遮光性の水平ルーバー状構造を有するシート又はフィルムが採用されているが、目視者が画面正面から上へずれた斜め上方から見る、すなわち、目視者の水平視線から伏角をもって見る場合に、画面が見えなくなるなど視野角上の問題がある。
たとえば、黒色水平ルーバー状構造を有するシート付きのディスプレイパネルでは、図14に示すように伏角45度で画面を見た場合に、複数のルーバーの影になり画面の下半分の画像が見えなくなる。仰角をもって当該画面を目視した場合では、その上半分が見えなくなる。
そこで本発明は、室内照明灯などによる外光の反射を防ぐとともに画面上下の視野角を確保できる表示装置を提供することが一例として挙げられる。
本発明による表示装置は画面を備えた表示装置であって、
水平方向に伸長しかつ垂直方向における所定の厚さを有して互いに並置された複数の透光性の半透光層、および前記半透光層間に配置されかつ前記半透光層よりも高い透光性を有しかつ前記半透光層の前記厚さより大なる厚さを有する複数の透光層からなるブラインドシートを含む光学フィルタと、
前記光学フィルタを前記画面に貼着する貼着部材と、からなり、前記画面の中央における前記光学フィルタの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.10以上かつ0.50以下であることを特徴とする。
また、本発明による光学フィルタは、表示装置の表示面の前面に該表示面に平行に配置する光学フィルタであって、
水平方向に伸長しかつ垂直方向における所定の厚さを有して互いに並置された複数の透光性の半透光層、および前記半透光層間に配置されかつ前記半透光層よりも高い透光性を有しかつ前記半透光層の前記厚さより大なる厚さを有する複数の透光層からなるブラインドシートを含み、画面中央法線における透過率に対する画面中央の限界角における透過率の比率が0.10以上かつ0.50以下であることを特徴とする。
本発明の実施形態のフラットディスプレイ装置の構成を示す概略部分側断面図である。 本発明の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートを示す概略部分正面図である。 本発明の他の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートを示す概略部分側断面図である。 本発明の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートの視野角に対する輝度の特性を示すグラフである。 本発明の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートの透過比に対する反射輝度比の特性を示すグラフである。 本発明の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートのシート厚さ(mm)/ショア硬度(°)に対する相対衝撃値の特性を示すグラフである。 本発明の他の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートを示す概略部分拡大側断面図である。 本発明の他の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートを示す概略部分拡大側断面図である。 本発明の他の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートを示す概略部分拡大側断面図である。 本発明の他の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートを示す概略部分拡大側断面図である。 本発明の他の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートを示す概略部分拡大側断面図である。 本発明の他の実施形態のフラットディスプレイ装置のブラインドシートを示す概略部分拡大側断面図である。 本発明のブラインドシートを有するフラットディスプレイ装置に対し伏角45度で画面を見た場合の様子を示す線図である。 従来の黒色水平ルーバー状構造を有するシート付きのディスプレイパネルに対し伏角45度で画面を見た場合の様子を示す線図である。
符号の説明
12 光学フィルタ
13 貼着部材
121 ブラインドシート
122 半透光層
123 透光層
125 電磁波遮断層
126 色素層
発明を実施するための形態
以下に本発明の実施形態の表示装置を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明によるフラットディスプレイ装置の実施形態を示す部分側断面図である。フラットディスプレイ装置は、フラットディスプレイパネル11の平坦な画面上に、光学フィルタ12が透光性の貼着部材13で、貼着されて構成されている。
光学フィルタ12は、ブラインドシート121を含んでいる。ブラインドシート121は、図2の概略的部分正面に示すように、水平方向HDに伸長しかつ垂直方向VDに所定の厚さTを有する複数のスラットである半透光層122、および半透光層122間に配置されかつ半透光層の厚さTより大なる垂直方向の厚さWを有する複数の透光層123からなる。
半透光層122はたとえば紫外線硬化樹脂および光吸収材の混合物からなり、透光層123は透明紫外線硬化樹脂からなる。半透光層122は周期的に等間隔で配置できる。
半透光層122は透光層123の透明紫外線硬化樹脂内に包埋され目視者側VIEWERSIDEで終端するように、すなわち連結部Jを設けて形成できる。これにより、ブラインドシート121の強度は、半透光層122がブラインドシート121を貫通する場合より高めることができる。半透光層122により、一般的な目視者の上方から画面への外光を制限し、この外光制限により不要な外光反射が減ることになる。
光学フィルタ12は、電磁波遮断層125(電磁波シールドメッシュフィルムなど)の上に色素層126が積層され、電磁波遮断層125の下にブラインドシート121がさらに積層された構成になっている。色素層126は、たとえば赤外線吸収層(NIRフィルム)、色調補正層、Neカットフィルム、反射防止層(ARフィルム)などの単層、或いは、これらの積層体で各種光学機能を有するものである。色素層126をブラインドシート121の手前(目視者側)に設けることにより、モアレの強度を緩和可能となる。
半透光層122の水平ストライプの高さ(一方表面からの自由端までの距離)Hおよび透光層123の厚さW(垂直方向)を、水平方向から30度の角度までの視野角に制限するように、形成することで、上方(或いは下方)からの外光制限が可能となる。
上記の実施形態では、ブラインドシート121における半透光層122の垂直方向の断面は目視者へ向かう方向(画面からの法線方向)にテーパを有する二等辺三角形であるが、このテーパすなわち半透光層の厚さがディスプレイパネル画面側PANELSIDEから離れるに従って減少することにより、ディスプレイパネルからの発光を良好に目視者へ供給できる。
また、図3に示すように、ブラインドシート121は、たとえば透明な125μm厚のPETフィルム123a上に半透光層122および透光層123を積層形成して250μm厚以上(画面からの法線方向)の積層体とし、衝撃緩衝機能を高めることができる(PETフィルムが目視者側)。
透光層123の積層体の紫外線硬化樹脂材質のショア硬度を20〜50°に設定することにより、ディスプレイパネルの衝撃緩衝機能を付加可能である。またショア硬度を低くして透光層をやわらかくした場合、シートの平面性や外部からの力によるへこみが問題となる場合がある。そのため透光層123はやわらかいまま、半透光層122を硬くしシート形状を保持する機能を持たせることにより、衝撃緩衝機能を持たせたまま上記問題を解決することができる。よって、透光層と半透光層のショア硬度が透光層≦半透光層の関係となることが好適である。ブラインドシート衝撃緩衝機能については後述する。
発明者は、画面上下の視野角を確保するために、透光層よりも低い透光性を有する半透光層の透過率を上げることを検討した。
半透光層の透過率がゼロすなわち、従来の遮光性水平ルーバー状構造だと、上述のとおり、当該構造なしの場合に比べて画面上下の視野角が減少する。また、遮光性水平ルーバの透過率がゼロでなくても、透過率が低いと輝度低下が生じ、見えにくくなる。そこで、発明者は、画面の限界角という概念をディスプレイパネル設計に導入して、本発明を案出した。
半透光層の透過率を0%としたとき、画面の限界角とは、画面中央法線(0度)上の明視距離の地点から、半透光層の影になり画面が見えなくなる角度をいう。
具体的には、図4に示すように、視野角が0度の透過率Aと視野角が限界角の透過率Bとの比率(B/A、以下、透過比と呼ぶ)にて評価し、好適な透過比を求めた。なお、図4の縦軸では透過率と等価な輝度を測定しそのレベルで記載してある。
透過比が1.0、つまり半透光層の透過率が透光層の透過率と等しくなればブラインドシートの効果はなくなる。ブラインドシートは、その半透光層により外光を制限することにより外光の影響を軽減するのがその役割だからである。
図5に半透光層の透過比(B/A)による外光反射率の変化(反射輝度比)を示す。
図5から明らかなように、透過比が1.0になれば反射輝度比は1.0となりブラインドシートの効果はなくなるが、透過比をゼロにしても反射輝度比はゼロになるわけではない。外光反射はパネルだけではなくフィルタの構成層にもあるからである。
ブラインドシートの効果である外光反射の低減により、明室コントラストを改善することができる。明室コントラストは以下のように定義される。
明室コントラスト=(白輝度+製品反射率×外光)/(黒輝度+製品反射率×外光)
製品反射率は上述の外光反射率に相当する。
明るい部屋では、明室コントラストの分母は(製品反射率×外光)が支配的であり、明室コントラストの分子は白輝度が支配的である。従って、上述の反射輝度比を0.5にすれば明室コントラストは2倍近くになる。よって、上述の透過比をできるだけ小さくする方が明室コントラストは向上する。
一方、透過比を小さくすると、上下視野角(ここでは仰角または伏角)が大きくなると、画面の輝度が低下するという問題がある。
そこで、プラズマディスプレイパネルにブラインドシートを貼り付けて、透過比と視野角を変化させて複数目視者による主観評価を行った。
評価方法は明所(200〜300lux)環境にて画面中央(視野角0度)に対しての任意垂直視野角を30度、45度及び60度と変化させた場合の目視者による画質の相対採点評価を行った。主に輝度変化量に対して評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 0004498455
以上の結果から、半透光層の透過比を評価すると0.10以上かつ0.50以下が好ましいことが知見された。よって、画面の中央における光学フィルタの透過率に対する画面の限界角における透過率の比率が0.10以上かつ0.50以下であることが好ましい。
(1)目視者の座った状態での視聴を考慮した場合、仰角及び伏角は20度以下となる。また、立った状態での視聴を考慮した場合、仰角及び伏角は30度以下となる。そこで、座った状態及び立った状態での視聴を考慮し、仰角及び伏角が30度以下において主観評価が3以上になる条件は透過比0.1以上、主観評価が4以上になる条件は透過比0.12以上となった。
(2)図5において、反射輝度比が0.8以下、すなわち明所コントラストが20%以上改善すると、一般に視聴者に画像が少し鮮明になったという印象を与えることができる。また、反射輝度比が0.5以下、すなわち明所コントラストが2倍以上になると、視聴者に画像が明らかに鮮明になったという印象を与えることができる。
上述の(1)、(2)の結果から、通常の視聴条件すなわち後述のNHK(日本放送協会)が推奨する視聴距離で座った状態または立った状態で視聴した場合におけるブラインドシートの仕様は、以下の(I)〜(IV)の少なくとも1つが好ましいことが分る。
(I)ブラインドシートによる明所コントラストの改善効果が感じられ、かつブラインドシートによる仰角による輝度変化の主観評価が3以上になる条件では、画面の中央におけるブラインドシートの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.10以上かつ0.50以下となる。
(II)ブラインドシートによる明所コントラストの改善効果が明らかに感じられ、かつブラインドシートによる仰角による輝度変化の主観評価が3以上になる条件では、画面の中央におけるブラインドシートの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.10以上かつ0.20以下となる。
(III)ブラインドシートによる明所コントラストの改善効果が感じられ、かつブラインドシートによる仰角による輝度変化の主観評価が4以上になる条件では、画面の中央におけるブラインドシートの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.12以上かつ0.50以下となる。
(IV)ブラインドシートによる明所コントラストの改善効果が明らかに感じられ、かつブラインドシートによる仰角による輝度変化の主観評価が4以上になる条件では、画面の中央におけるブラインドシートの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.12以上かつ0.20以下となる。
なお、画面アスペクト比16:9のパネルに適応する場合、画面の横の長さをW,縦の長さをHとすると、NHK(日本放送協会)が推奨する視聴距離は2.82H〜3.32Hなので、これを明視距離とする。従って、通常はテレビ画面の縦の長さHの約3倍となる。したがって、画面の縦の長さ(高さ)Hの画面の中央に目視者の目の高さを合わせ、当該パネル画面から3Hの視聴距離から見ると、仰角、伏角はともに約10度となる。また、当該パネル画面の上端の高さに視線を合わせると画面の下端に対する伏角は約18度となる。理想的な視聴位置は上記2つの例の範囲と思われ、仰角、伏角は20度以下になる。これは椅子に腰掛けた場合であるが、立ったまま視聴すると、椅子に腰掛けた場合に比べて視線の位置が40〜50cm高くなる。
そこで、当該パネルの画面高さHの上端よりさらに50cm高い位置から画面の下端を見たときの視野角(伏角)は、H=62(50型)となり、視野角は、arctan((50+62)/186)=31と、最悪で考えても31度となる。
次に、発明者は、パネル衝撃緩衝機能の向上のために、ブラインドシートの硬度を検討した。
ブラインドシートを備えた表示装置はルーバーまたはブラインドにより視野角やゴーストの問題があり、その解決手法として、空気層を介さず、表示装置に直接貼る方法が考えられる。
しかしながら、画面に直接貼った場合、外力による表示装置画面の破損という問題が発生する。
そこで発明者は、その課題を、構成を増やさずシンプルな形で解決する低コスト手法を案出した。発明者は、水平に固定した2mm厚ガラス基板下面に加速度センサを固着した上面に0.2mm厚シリコン樹脂膜を配置し、その上に被験フィルタを設置した。フィルタの上に高さ100cmから500g鋼球を落下させ、その時の衝撃値を加速度センサにて測定したときの相対値を測定した。被験フィルタは図1の色素層126と電磁波遮断層125から成るものであり、ブラインドシート121は含まない。
下の表2は厚さ0.2mm厚シリコン樹脂膜のショア硬度を20°〜60°に変化させ、通常のフィルム構成に追加した時の衝撃値の実験値である。空気層を介さず、表示装置に直接貼るフィルタにおいて、シリコン樹脂を入れない従来のフィルタの場合の衝撃値を「1」としたときの相対衝撃値である。
Figure 0004498455
実験より従来のカラーフィルタと比較し、ショア硬度50°の樹脂追加で衝撃値を半分以下となることが確認できる。好ましくは30°以下でより有効な効果を得ることができる。
また、厚さと硬度と衝撃力の関係は、厚さと衝撃力は反比例し、硬度と衝撃力は略比例する。このため、厚さ0.2mmで硬度50°は0.1mmで硬度25°とほぼ同等と考えられる。
このためシリコン樹脂厚さ(mm)/ショア硬度が0.004以上の場合効果がある。好ましくは0.0067以上が良い(200/30=0.0066)。
PDPパネルの軽量化のためにはガラスの厚さを薄くすることが必須である。現在のガラス厚さは2.8mmであるが、厚さ1.8mmで現在のPDPの製造プロセス条件に適合できるガラスが既に開発されている。ただし物理的強度はガラスの厚さの二乗に比例するため、厚さ1.8mmのガラスの強度は厚さ2.8mmのガラスの強度の約0.4倍となる。従って、厚さ1.8mmのガラスを採用し厚さ2.8mmのガラスと同等の強度を得るためには表2の結果の相対衝撃値を0.4以下にする必要がある。
発明者は、上記実験のシリコン樹脂の替わりにブラインドシートが配置される構成を考える。そこでこのブラインドシートに衝撃緩和の役割を果たせるようにする。そのために、ブラインドシートの厚さとショア硬度を検討する。
半透光層(半透明層)はある程度のショア硬度を保持しないと、ブラインドシートとしての機能を保持できなくなる。そこで、半透光層のショア硬度を透光層のショア硬度より高くすることが望ましい。ただし、ブラインドシートの体積全体に占める半透光層の割合は10〜15%なので、衝撃緩和効果は透光層のショア硬度とその厚さに大きく左右される。実効的ショア硬度は半透光層のショア硬度と透光層のショア硬度の重み付平均値となる。以下の記載においてブラインドシートのショア硬度というときは半透光層のショア硬度と透光層のショア硬度の重み付平均値とする。
表2の結果から「シート厚さ(mm)/ショア硬度」と相対衝撃値の関係をまとめると表3のようになる。表3の結果をグラフにしたものが図6である。
この表3から分るように、衝撃緩和層としてのブラインドシートの「シート厚さ(mm)/ショア硬度(°)」と相対衝撃値は反比例に近い関係を有する。そこで、PDPパネルのガラスの厚さを1.8mmにするために相対衝撃値を0.4以下にするためには、ブラインドシートの「シート厚さ(mm)/ショア硬度(°)」は0.004以上が望ましい。さらに将来厚さ1.5mmのガラスを採用するために相対衝撃値を0.29以下にするためには、衝撃緩和層の「シート厚さ(mm)/ショア硬度(°)」の値は0.0067以上が望ましい。衝撃緩和効果の上限は考えにくいが、各衝撃緩和層の「シート厚さ(mm)/ショア硬度(°)」の和が0.04を超える値になると、衝撃により各衝撃緩和層または光学フィルタ全体が変形しやすくなるという問題が生じると予想される。そこで各衝撃緩和層の「シート厚さ(mm)/ショア硬度(°)」の和は0.04以下が望ましい。
Figure 0004498455
以上のことを図1の光学フィルタ12の構成に関して言うと、ブラインドシート121は貼着部材13を介してフラットディスプレイパネル11の表面に貼着され、ブラインドシート121は衝撃緩和層として機能し、衝撃緩和層の(シート厚さ(mm)/ショア硬度(°))は0.004以上0.04未満、より好ましくは0.0067以上0.04未満であることを特徴とする。
ブラインドシートの透明材料としては、シリコン樹脂、アクリル樹脂が一般に使用される。ブラインドシートの透光層のショア硬度は物理的強度を保持するために、20°以上に設定する必要があり、20〜50°が望ましい。物理的強度を保持するため、ブラインドシートの半透光層のショア硬度は透光層より高いことが望ましく、50°以上が好ましい。
他の実施形態では、ブラインドシート121における半透光層122の垂直方向の断面は、目視者へ向かう方向にテーパを有する直角三角形で、図7に示すように、上方からの外光入射からの制限効果は同じとなるように上部を斜面Saとし、ディスプレイパネルからの光を多く透過可能となるように下部を水平面Sbとすることができ、これにより、開口率が先の二等辺三角形の場合と比べて向上し、より明るい場所での高コントラストが可能となる。
さらなる他の実施形態では、ブラインドシート121における半透光層122の垂直方向の断面は目視者へ向かう方向にテーパを有する直角三角形で、図8に示すように、半透光層122の斜面Scに凹部となるように曲率を設けることにより、図9に示すような本来反射分の光(上部を斜面が平坦な場合の外光OLが全反射する角度である臨界角θ)を、図10に示すように吸収することが出来、見た目の臨界角φを変えることが可能となり、反射によりディスプレイパネルに入射する光が減り、より制限効果を上げることが可能となる。よって、水平面に対して半透光層122の斜面Scの凹部の接線がその自由端部から徐々に増大するように、半透光層122の上部凹部を形成することが好ましい。
また、さらなる他の実施形態では、ブラインドシート121における半透光層122の垂直方向の断面は目視者へ向かう方向にテーパを有する二等辺三角形であるが、図11に示すように、半透光層122の上部斜面に段差(Sd、Se)を設けることにより、その水平面Sdで反射した光が垂直壁Seにぶつかり吸収され、前記と同じく見た目の臨界角を変えることが可能となり、より制限効果を上げることが可能となる。さらに、半透光層122の上部斜面に段差(Sd、Se)を水平及び垂直面だけから構成する以外に、図12に示すように、斜面段差縁部か鋭角Ac(又は鈍角)となるように傾斜面(Sd1、Se1)を含む構成或いは粗い面(これらは半透光層122全体でもよい)とすることにより、外光の制限効果をさらに高めることが可能となる。
なお、色素層126の縦横の寸法は、電磁波遮断層125のものよりも一回り小さくなっており、図1に示されるように、電磁波遮断層125の周縁部が、色素層126の外縁部から外側に張り出して、電磁波遮断層125の金属パターン層が露出されることにより、アース接続部を構成するようになっている。ブラインドシート121と電磁波遮断層125縦横の寸法は、ほぼ同じである。
光学フィルタ12は、透光性の貼着部材13によって、ブラインドシート121側を貼着されることにより、フラットディスプレイパネル11上に直貼りされている。
光学フィルタ12をフラットディスプレイパネル11上に貼り合わせる貼着部材13は、透光性のアクリル又はシリコン系の粘着剤もしくは接着剤であり、光学フィルタ12又はフラットディスプレイパネル11の画面を構成する基板(プラズマディスプレイパネルの場合には前面ガラス基板)の一方又は両方のそれぞれの屈折率に対する差が0.2以下の屈折率、たとえば1.4〜1.6の屈折率を備えている。このように、貼着部材13が両方のそれぞれの屈折率に略等しい屈折率を有していれば、界面の反射が防止され、さらにプラズマディスプレイパネルとの距離を最小としかつ一定にできる。よって、歪みの少ない広い視野角の確保が可能となる。
画面に光学フィルタ12が貼着されたフラットディスプレイパネル11はシャーシ(図示せず)に対して保持される。
フラットディスプレイ装置は、光学フィルタ12がフラットディスプレイパネル11の画面に直接貼り付けられているので、フラットディスプレイパネルと光学フィルタ12との間に空気層が形成される場合に発生するフラットディスプレイパネル11からの発光の反射(約8パーセント)が無くなり、輝度の向上および非発光部への反射光の照り返しによるコントラスト(特に明るい場所の)の悪化を防ぐことができる。
ディスプレイパネルにブラインドシートを直接貼ることにより、空気層による反射がなくなり、発光面と半透光層の距離が最小、一定となり、以下のような各種効果を奏する。
たとえば、画面とブラインドシート121の距離があった場合、半透光層は光の反射を発生させるため、画面よりの発光は距離があればより広い範囲で広がり、同じ発光が複数の半透光層で反射しゴーストを発生させる。また、構造体を介してパネルとブラインドシートを固定した場合、画面の上下には、部品の取り付けのばらつきにより上記距離の差が発生する。この差はプラズマディスプレイパネルのような大型画面の場合特に顕著となる。この上下差により、画面内の輝度差、視野角差などを発生させてしまう。しかし実施形態の粘着材により直接固定することにより、上記問題は改善し、画質の向上を行うことが可能となる。
たとえば、フラットディスプレイパネルと光学フィルタ12との間に空気層が形成される場合では、一般に、この空気層に面するフラットディスプレイパネルと光学フィルタ12のそれぞれの界面によって、フラットディスプレイパネルで発生する光のうち約8パーセント強の光が反射されてパネル内に戻るが、この戻り光は、乱反射光であるために、パネルの発光部に隣接する非発光部も照らしゴースト発生の虞がある。しかし、実施形態の直貼りタイプではゴーストの発生を押さえることが可能となる。
特に、プラズマディスプレイパネルにおいては、パネル内に蛍光体層が形成されており、この蛍光体層の反射率が約30パーセント程度であるために、戻り光(フラットディスプレイパネル又は光学フィルタ12の界面からの反射光)が蛍光体層によって反射されることによって、非発光部においても発光が行われているように見えてしまい、発光部の輪郭がぼけてしまうことによって、表示される画像の精鋭感が失われてしまう虞がある。
また、近年、フラットディスプレイパネルにおいては、黒輝度を低減させる試みが成されてきているが、上記のような戻り光の反射による影響によって、この黒輝度の低減効果が減少されてしまう虞がある。特に、ブラインドシート121を設け、外光の反射を抑え黒の浮き上がりを抑えた組み合わせの場合、この戻り光の反射影響はさらに大きくなる。
上記フラットディスプレイ装置は、フラットディスプレイパネル11と光学フィルタ12の界面が、このフラットディスプレイパネル11と光学フィルタ12の屈折率に対する差が0.2以下の屈折率を有する貼着部材13によって貼り合わされていることにより、この界面における反射が抑制されて、画像の精鋭感が失われるのが防止され、さらに、黒輝度の低減化が図られているフラットディスプレイパネルについても、その黒輝度の低減効果が減じられることが防止される。
このような画像の精鋭感の低減防止効果および黒輝度の低減率の減少防止効果は、フラットディスプレイパネル11がプラズマディスプレイパネルである場合には、画像形成のための発光を行う表示放電以外の放電(たとえば、表示に直接関係しないリセット放電やプライミング放電、アドレス放電などの予備放電)による輝度が1cd/m2以下となるように、1回の放電強度を弱めたり放電回数を減少させたりするなどの放電の駆動制御を行うことにより、さらに増大される。
さらに、上記フラットディスプレイ装置は、貼着部材13にアクリル又はシリコン系で、実際に製品に適用したときの粘着力が貼着後24時間後において垂直剥離で3N/inch〜30N/inchである。この結果、補修時にフラットディスプレイパネル11や光学フィルタ12の基材を破損することなく、剥離させることが可能であり、かつ市場環境において剥離することがない。望ましくは、工場での補修時の剥離効率を考慮すると、3N/inch〜13N/inchとなる。なお、垂直剥離の粘着力が例えば3N/inchとは、1inch幅の光学フィルタ12を全面に粘着部材13を介してフラットディスプレイパネル11に貼付し、光学フィルタ12をフラットディスプレイパネル11に対して垂直方向に剥がす際に必要な力が3Nという意味である。
さらに、この光学フィルタ12の厚さ(画面からの法線方向)を、貼着部材13の厚さと加えて、0.5mm以上になるように設定されることによって、外部からの衝撃に対する緩衝性を保持することができるようになるとともに、フラットディスプレイパネルの割れを防止することができるようになる。
さらに、光学フィルタ12が、その電磁波遮断層125およびブラインドシート121がフラットディスプレイパネル11側になるように貼り付けられることによって、熱や光に対して劣化し易い色素を含む色素層126とフラットディスプレイパネル11との間に比較的安定したシールド部材が介在されることになり、これによって、色素層126に対するフラットディスプレイパネル11からの熱および光の影響を緩和することができる。
なお、さらに透過率を低下させるフィルタ部材を電磁波遮断層125とブラインドシート121の目視者側に設けることによって、モアレなどの外観の基準を緩和することができるようになる。また、電磁波遮断層125の黒化むらや電磁波遮蔽層125とブラインドシート121とフラットディスプレイパネル11との間で発生するモアレなどの外観の基準をさらに緩和することができるようになる。
また、光学フィルタ12の電磁波遮断層125が、その上に形成された色素層126やブラインドシート121よりも一回り大きく形成されて、その外周縁部が色素層126やブラインドシート121の外周から張り出されていることにより、この電磁波遮断層125を容易にアース接続することができるようになる。
また、上記フラットディスプレイ装置は、ブラインドシートの透光層のショア硬度が50°以下のものが使用されることにより、外部からの衝撃力を吸収して緩和することができるようになる。
なお、上記の実施形態において、光学フィルタにおける電磁波遮断層と色素層、ブラインドシートの積層順は、図1の例に限らず、たとえば、ブラインドシートおよび電磁波遮断層の順を入れ替え積層された構成であってもよい。
最後に、画面中央法線における透過率に対する画面中央の限界角における透過率の比率が0.12の図1に示すようなブラインドシートを含む光学フィルタを作成し、これをプラズマディスプレイパネルの表示面の前面に粘着部材により粘着し、伏角45度で画面を見た場合に、図13に示すように、複数の半透光層の影の影響が減少し、画面の下半分の画像も見えるような結果が得られた。
なお、上記の実施形態では表示装置の表示面の前面に光学フィルタを貼着部材で貼付した表示装置についてのみ記載しているが、本発明の光学フィルタを表示装置の表示面の前面に表示面からは離隔して配置した場合にも、外光の反射を防ぐとともに画面上下の視野角を確保できる表示装置を提供できる。このような光学フィルタ自体の構成も本発明に含まれる。

Claims (22)

  1. 画面を備えた表示装置であって、
    水平方向に伸長しかつ垂直方向における所定の厚さを有して互いに並置された複数の透光性の半透光層、および前記半透光層間に配置されかつ前記半透光層よりも高い透光性を有しかつ前記半透光層の前記厚さより大なる厚さを有する複数の透光層からなるブラインドシートを含む光学フィルタと、
    前記光学フィルタを前記画面に貼着する貼着部材と、からなり、
    前記画面の中央における前記光学フィルタの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.10以上かつ0.50以下であることを特徴とする表示装置。
  2. 前記画面の中央における前記光学フィルタの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.10以上かつ0.20以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記画面の中央における前記光学フィルタの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.12以上かつ0.50以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  4. 前記画面の中央における前記光学フィルタの透過率に対する前記画面の限界角における透過率の比率が0.12以上かつ0.20以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  5. 前記光学フィルタは、互いに積層された色素層及び電磁波遮断層を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。
  6. 前記貼着部材が、アクリル又はシリコン系の粘着剤もしくは接着剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置。
  7. 前記貼着部材が、前記画面を構成するガラス基板と略等しい屈折率を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。
  8. 前記貼着部材の屈折率が、1.4〜1.6であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表示装置。
  9. 前記貼着部材にて前記光学フィルタを前記画面に貼着したとき、貼着後24時間後において、垂直剥離で3N/inch〜30N/inchの粘着力を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置。
  10. 前記ブラインドシートは、前記色素層よりも前記ブラインドシートが前記画面側になった状態で貼り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
  11. 前記半透光層において前記半透光層の界面に黒色の被膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置。
  12. 前記透光層のショア硬度が20〜60°であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の表示装置。
  13. 前記透光層のショア硬度が前記半透光層のショア硬度以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の表示装置。
  14. 前記半透光層は前記透光層の材料内に包埋され終端するように形成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の表示装置。
  15. 前記半透光層の前記厚さは前記画面から離れるに従って減少することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の表示装置。
  16. 前記半透光層の上部に斜面を下部に水平面を有することを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
  17. 前記半透光層の上部に斜面に凹部となるように曲率を設けた請求項16に記載の表示装置。
  18. 前記半透光層の上部もしくは上下に斜面に段差を設けた請求項15に記載の表示装置。
  19. 前記貼着部材の屈折率と、前記画面の屈折率又は前記光学フィルタの屈折率との差が、0.2以下であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の表示装置。
  20. 前記ブラインドシートは前記貼着部材を介して前記画面に貼着され、前記ブラインドシートは衝撃緩和層として機能し、前記ブラインドシートの(シート厚さ(mm)/ショア硬度(°))は0.004以上0.04未満であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  21. 前記ブラインドシートは前記貼着部材を介して前記画面に貼着され、前記ブラインドシートは衝撃緩和層として機能し、前記ブラインドシートの(シート厚さ(mm)/ショア硬度(°))は0.0067以上0.04未満であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  22. 表示装置の表示面の前面に該表示面に平行に配置する光学フィルタであって、
    水平方向に伸長しかつ垂直方向における所定の厚さを有して互いに並置された複数の透光性の半透光層、および前記半透光層間に配置されかつ前記半透光層よりも高い透光性を有しかつ前記半透光層の前記厚さより大なる厚さを有する複数の透光層からなるブラインドシートを含み、画面中央法線における透過率に対する画面中央の限界角における透過率の比率が0.10以上かつ0.50以下であることを特徴とする光学フィルタ。
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