(実施例1)
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1〜図7は、本発明の一実施形態に係わる情報処理装置であるホストコンピュータと印刷装置であるプリンタを含んで構成される画像処理システムにおける、印刷処理およびそれに伴う地紋画像の基本的な描画データの生成に関する構成を説明する図である。
なお、本実施形態においては、複写時に、複写物において顕在化する部分を潜像部または前景部と称する。また、複写時に、複写物において消失または潜像部に比較して薄くなる部分を背景部と称している。そして、潜像部には「COPY」や「VOID」などのテキスト情報を入力している。しかしながら本発明における地紋画像はこれに限られるものではなく、複写物において、テキスト情報は周囲の画像に対して白抜き文字のように表現される(顕在化する)形態であってもよい。この場合、潜像部と背景部の上述したドットの集中と分散の関係は白抜きでないものと逆の関係となることはもちろんである。本発明は、地紋画像の種類や生成処理、色、形状、サイズなどによって規定されるものではない。
印刷システムの構成
図1は、本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。なお、本発明の機能が実行されるのであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、LAN,WAN等のネットワークを介して接続がなされ処理が行われるシステムであっても本発明を適用できる。
同図において、ホストコンピュータ3000は、ROM3のプログラム用ROMあるいは外部メモリ11に記憶された文書処理プログラム等に基づいて、図8以降で後述される本発明の各実施形態に係わる処理を含む、図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等が混在した文書処理およびそれに基づく印刷処理の実行を制御するCPU1を備えている。このCPU1がシステムバス4に接続される各デバイスの制御を総括する。また、ROM3のプログラム用ROMあるいは外部メモリ11は、CPU1の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)等を記憶している。ROM3のフォント用ROMあるいは外部メモリ11は、上記文書処理の際に使用するフォントデータ等を記憶している。ROM3のデータ用ROMあるいは外部メモリ11は上記文書処理等を行う際に使用する各種データを記憶している。RAM2は、CPU1の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
キーボードコントローラ(KBC)5は、キーボード9や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ(CRTC)6は、地紋画像の表示を含む、CRTディスプレイ(CRT)10による表示を制御する。7はディスクコントローラ(DKC)を示し、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、プリンタ制御コマンド生成プログラム(以下プリンタドライバ)等を記憶するハードディスク(HD)、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等の外部メモリ11とのアクセスを制御する。プリンタコントローラ(PRTC)8は、双方向性インタフェイス(インタフェイス)21を介してプリンタ1500に接続されて、プリンタ1500との通信制御処理を実行する。
なお、CPU1は、例えばRAM2上に設定された表示情報RAMへのアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行する。そして、CRT10上でのWYSIWYGを可能としている。また、CPU1は、CRT10上の不図示のマウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて登録された種々のウィンドウを開き、種々のデータ処理を実行する。ユーザは印刷を実行する際、印刷の設定に関するウィンドウを開き、プリンタの設定や、印刷モードの選択を含むプリンタドライバに対する印刷処理方法の設定を行うことができる。
プリンタ1500は、プリンタ1500に設けられたCPU12によって制御される。プリンタCPU12は、ROM13のプログラム用ROMに記憶された制御プログラム等あるいは外部メモリ14に記憶された制御プログラム等に基づいて、システムバス15に接続される印刷部(プリンタエンジン)17に印刷出力情報としての画像信号を出力する。また、このROM13のプログラムROMは、CPU12の制御プログラム等を記憶する。ROM13のフォント用ROMは上記印刷出力情報を生成する際に使用するフォントデータ等が記憶されている。また、ROM13のデータ用ROMは、ハードディスク等の外部メモリ14がないプリンタの場合には、ホストコンピュータ上で利用される情報等が記憶されている。
CPU12は入力部18を介してホストコンピュータとの通信処理が可能となっており、プリンタ内の情報等をホストコンピュータ3000に通知できる。RAM19は、CPU12の主メモリや、ワークエリア等として機能するRAMで、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。なお、RAM19は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、NVRAM等に用いられる。前述したハードディスク(HD)、ICカード等の外部メモリ14は、メモリコントローラ(MC)20によりアクセスを制御される。外部メモリ14は、オプションとして接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ等を記憶する。また、1501は前述した操作パネルで操作のためのスイッチおよびLED表示器等が配されている。
また、前述した外部メモリ14は1個に限らず、複数個備えられ、内蔵フォントに加えてオプションカード、言語系の異なるプリンタ制御言語を解釈するプログラムを格納した外部メモリを複数接続できるように構成されていてもよい。更に、図示しないNVRAMを有し、操作パネル1501からのプリンタモード設定情報を記憶するようにしてもよい。
印刷部17は本実施形態では電子写真方式のエンジンを備えている。従って、画像の印刷およびそれに伴う地紋画像はそれらの印刷データに従って形成されるトナーのドットによって印刷が行われる。なお、本発明の適用上、印刷の方式はこのような電子写真方式に限られないことはもちろんであり、例えば、インクジェット方式など、ドットを形成して印刷を行ういずれの方式の印刷装置にも本発明を適用することができる。
図2は、図1に示したホストコンピュータ3000における印刷処理のための一構成を示す図である。アプリケーション201、グラフィックエンジン202、プリンタドライバ203、およびシステムスプーラ204は、外部メモリ11に保存されたファイルとして存在し、実行される場合にOSやそのモジュールを利用するモジュールによってRAM2にロードされ実行されるプログラムモジュールである。また、アプリケーション201およびプリンタドライバ203は、外部メモリ11のFDや不図示のCD−ROM、あるいは不図示のネットワークを経由して外部メモリ11のHDに追加することが可能となっている。外部メモリ11に保存されているアプリケーション201はRAM2にロードされて実行される。このアプリケーション201からプリンタ1500に対して印刷を行う際には、同様にRAM2にロードされ実行可能となっているグラフィックエンジン202を利用して出力(描画)を行う。
グラフィックエンジン202は、プリンタなどの印刷装置ごとに用意されたプリンタドライバ203を同様に外部メモリ11からRAM2にロードし、アプリケーション201の出力をプリンタドライバ203に設定する。そして、アプリケーション201から受け取るGDI(Graphic Device Interface)関数からDDI(Device Driver Interface)関数に変換して、プリンタドライバ203へDDI関数を出力する。
プリンタドライバ203は、グラフィックエンジン202から受け取ったDDI関数に基づいて、プリンタが認識可能な制御コマンド、例えばPDL(Page Description Language)に変換する。変換されたプリンタ制御コマンドは、OSによってRAM2にロードされたシステムスプーラ204を経てインタフェイス21経由でプリンタ1500へ印刷データとして出力される仕組みとなっている。
図2に示した印刷システムの場合は、プリンタドライバ203内に地紋処理部205を有する。プリンタドライバ203は、地紋画像の印刷に関し、その地紋処理部205を実行することにより、後述の地紋画像のコマンド生成などの処理を行う。
印刷関連のソフトウエアモジュール
図3は、コンピュータ3000における印刷処理のための構成の他の例に係わり、図2に示した構成を拡張した構成を示すブロック図である。この構成は、グラフィックエンジン202からプリンタドライバ203へ印刷命令を送る際に、一旦中間コードからなるスプールファイル303を生成する構成をとる。図2の構成では、アプリケーション201が印刷処理から開放されるのはプリンタドライバ203がグラフィックエンジン202からのすべての印刷命令をプリンタの制御コマンドへ変換し終った時点である。これに対して、図3の構成では、スプーラ302がすべての印刷命令を中間コードデータに変換し、スプールファイル303に出力した時点である。通常、後者の方が短時間で済む。また、図3で示す構成においては、スプールファイル303の内容に対して加工することができる。これによりアプリケーションからの印刷データに対して、拡大縮小や、複数ページを1ページに縮小して印刷する等、アプリケーションの持たない機能を実現することができる。これらの目的のために、図2の構成に対し、図3に示す様に中間コードデータでスプールするよう、システムの拡張がなされている。なお、印刷データの加工を行うためには、通常プリンタドライバ203が提供するウィンドウから設定を行い、プリンタドライバ203がその設定内容をRAM2上あるいは外部メモリ11上に保管する。
以下、図3に示す構成の詳細を説明する。同図に示す通り、この拡張された処理方式では、グラフィックエンジン202からの印刷命令であるDDI関数をディスパッチャ301が受け取る。ディスパッチャ301がグラフィックエンジン202から受け取った印刷命令(DDI関数)が、アプリケーション201からグラフィックエンジン202へ発行された印刷命令(GDI関数)に基づくものである場合には、ディスパッチャ301は外部メモリ11に格納されているスプーラ302をRAM2にロードし、プリンタドライバ203ではなくスプーラ302へ印刷命令(DDI関数)を送付する。
スプーラ302は受け取った印刷命令を解析し、ページ単位に中間コードに変換してスプールファイル303に出力する。このページ単位に格納されている中間コードのスプールファイルをページ描画ファイル(PDF:Page Description File)と呼ぶ。また、スプーラ302は、プリンタドライバ203に対して設定されている印刷データに関する加工設定(Nup、両面、ステープル、カラー/モノクロ指定等)をプリンタドライバ203から取得してジョブ単位のファイルとしてスプールファイル303に保存する。このジョブ単位に格納されている設定ファイルをジョブ設定ファイル(簡略してSDF:Spool Description Fileと呼ぶこともある)と呼ぶ。なお、スプールファイル303は外部メモリ11上にファイルとして生成するが、RAM2上に生成されても構わない。更にスプーラ302は、外部メモリ11に格納されているスプールファイルマネージャ304をRAM2にロードし、スプールファイルマネージャ304に対してスプールファイル303の生成状況を通知する。その後、スプールファイルマネージャ304は、スプールファイル303に保存された印刷データに関する加工設定の内容に従って印刷を行えるか判断する。
スプールファイルマネージャ304がグラフィックエンジン202を利用して印刷を行えると判断した際には、外部メモリ11に格納されているデスプーラ305をRAM2にロードし、デスプーラ305に対して、スプールファイル303に記述された中間コードのページ描画ファイルの印刷処理を行うように指示する。
デスプーラ305はスプールファイル303に含まれる中間コードのページ描画ファイルをスプールファイル303に含まれる加工設定情報を含むジョブ設定ファイルに従って加工し、GDI関数を再生成し、もう一度グラフィックエンジン202経由でGDI関数を出力する。その際、地紋画像の印刷に関する描画については、地紋処理部205をロードし、描画処理を行う。この形態の印刷システムでは、地紋処理部205はデスプーラ305やスプールファイルマネージャ304等とともに地紋画像の印刷に関し、後述の地紋画像のコマンド生成などの処理を行う。
なお、地紋画像処理部205は、プリンタドライバ203のビルドインモジュールであってもよいし、個別のインストレーションによって追加されるライブラリモジュールの形式であっても構わない。
ディスパッチャ301がグラフィックエンジン202から受け取った印刷命令(DDI関数)がデスプーラ305からグラフィックエンジン202へ発行された印刷命令(GDI関数)に基づいたものである場合には、ディスパッチャ301はスプーラ302ではなく、プリンタドライバ203に印刷命令を送る。プリンタドライバ203はグラフィックエンジン202から取得したDDI関数に基づいてページ記述言語等からなるプリンタ制御コマンドを生成し、システムスプーラ204経由でプリンタ1500に出力する。
さらに、図3に示すように、上述した拡張システムに加えて、プレビューア306、設定変更エディタ307を配し、地紋画像のプレビューを含むプレビュー、印刷設定変更、複数ジョブの結合を可能にした例を示している。
このようにプリンタドライバのプロパティで設定されている内容は設定ファイルとしてOSが提供する構造体(Windows(登録商標)OSでは、DEVMODEと呼ばれる)に格納される。その構造体には、例えばスプールファイル303に含まれる加工設定中にスプールファイルマネージャ304にストアを行うかどうかの設定が含まれており、スプールファイルマネージャ304がプリンタドライバを介して加工設定を読み込み、ストア指定がなされていた場合、前述したようにスプールファイル303にページ描画ファイルとジョブ設定ファイルとが生成・格納され、スプールファイルマネージャのウィンドウ画面がポップアップされ、スプールファイル303にスプールされたジョブがリスト表示される。
スプールファイルマネージャのウィンドウ画面上で、ある単体ジョブもしくは結合ジョブのプレビュー指定がされた場合、外部メモリ11に格納されているプレビューア306をRAM2にロードし、プレビューア306に対して、スプールファイル303に記述された中間コードのジョブのプレビュー処理を行うように指示する。
地紋画像印刷処理の説明
図4および図5は、地紋画像印刷に関する設定をおこなうユーザインターフェースの一例を示す図である。
図4及び図5は図2のようにプリンタドライバ203内または図3のようにプリンタドライバ203とは独立したモジュールとして配された地紋処理部205におけるユーザインターフェースの初期画面の一例である。この例では、ダイアログ内のプロパティシート2101において地紋プリントに関する設定が行えるようになっている。
2102は、印刷ジョブに対して地紋プリント(地紋画像を含む印刷、以下、同じ)を行うかどうかを指定するチェックボックスである。2103は、地紋プリントの複数の設定情報を1つの識別子(スタイル)で指定可能にするためのスタイル情報を示す。プリンタドライバ203は複数のスタイルを選択可能となっており、各スタイルがレジストリに登録される。また、ボタン2104を押下することにより、図5に示すスタイル編集用ダイアログ2201が表示される。
2106は、地紋画像の潜像および背景の濃度調整を行うための「キャリブレーション」処理にかかるボタンであり、このボタンを押下することにより、図10に示すダイアログが表示される。
図5は、地紋プリントの個々の詳細設定を編集するためのダイアログの一例を示す図である。
同図において、2201は地紋情報編集用ダイアログ全体を示し、同領域に後述する個々の地紋情報によって生成される地紋画像の結果がプレビューのため表示される。2202は図4の2103で選択可能なスタイルの一覧を表示する領域を示し、ボタン2203および2204を用いてスタイルの新規追加、削除が可能となる。2205は、現在指定されているスタイル名称が表示される領域を示す。
2206は、地紋プリントに用いる描画オブジェクトの種類を選択するラジオボタンであり、「文字列」を選択するとテキストオブジェクトが使用され、「イメージ」を選択するとBMPなどに代表されるイメージデータが使用される。図5では、「文字列」が選択されているので、ダイアログ2201には符号2207から2209などで示されるテキストオブジェクトに関する設定情報が表示され、編集可能となる。一方、領域2206において「イメージ」が選択されている場合、情報2207から2209は表示されず、その代わりに不図示のファイル選択ダイアログを表示するためのボタン2216が表示される。
2207は地紋画像として使用する文字列を表示、編集するための領域を示す。2208は文字列のフォント情報を表示、編集するための領域を示す。本実施形態では、フォント名称のみの選択画面としているが、書体のファミリー情報(ボールド、イタリックなど)や、飾り文字情報などが選択可能に拡張してもよい。2209は地紋画像に使用する文字列のフォントサイズを表示、設定する領域である。本実施形態では「大」「中」「小」の3段階で指定可能な形式を想定しているが、ポイント数の直接入力など、一般的に用いられるフォントサイズ指定方法を採用してもよい。2210は地紋画像と原稿データの印刷順序を設定するためのラジオボタンであり、「透かし印刷」が指定された場合は地紋画像を描画後、原稿データを描画する。一方、「重ね印刷」が指定された場合は原稿データを描画後、地紋画像を描画する。2211は、文字列の配置角度を指定するラジオボタンを示す。本実施形態では、「右上がり」「右下がり」「横」の3通りの選択を可能としているが、角度を任意に指定可能な数値入力領域や、直感的に指定可能なスライダーバーなどを配し、角度指定方法を拡張してもよい。2212は、地紋画像に用いる色を表示、指定するための領域を示す。
2213は、前景パターン、背景パターンの入れ替えを行うためのチェックボックスを示す。チェックボックスがチェックされていない場合は、複写時に前景パターンが浮かび上がり、一方、チェックされていない場合は複写時に背景パターンが浮かび上がるよう印刷が行われる。2214は、原稿に埋め込んだ地紋画像を認識させづらくさせるためのカモフラージュ画像を指定するための領域を示し、予め設定された複数の模様から選択可能である。また、カモフラージュ画像を使用しないという選択肢も提供されている。
地紋画像の印刷データ生成処理
図6及び図7は、地紋プリントにおける地紋画像の印刷データ生成処理の流れを示すフローチャートである。上述したように、地紋画像の印刷では、印刷順序として透かし印刷と重ね印刷の2通りが存在するため、印刷データ生成処理もこの順序の違いに応じて一部異なっている。しかし本発明ではこれらの印刷順序は特に関係しないため、透かし印刷の場合についてのみ説明を行う。
では、「透かし印刷」、すなわち、先に地紋画像の印刷データを生成するケースについて、図6のフローチャートを用いて説明する。上述したように、「透かし印刷」はプリンタのビットマップメモリにおいて、地紋画像データの上に原稿データをラスタライズする処理である。そのため、印刷データの生成順序としては、原稿データに対応する印刷データ生成より先に地紋画像の印刷データを生成することになる。
ステップ1901では、図5で設定された条件に従って地紋処理部205が地紋画像の生成を行う。その詳細な処理については図7にて後述する。その後、原稿データの印刷データ生成処理を行う。ステップ1902では、ページカウンタを初期化する。ステップ1903では、ページカウンタが、予め設定されている1物理ページあたりの論理ページ数になったかどうかを判定する。ここでカウントした値が論理ページ数と等しくなったら本処理を終了し、等しくなければステップ1904へすすむ。ステップ1904では、カウンタを1増加させる。ステップ1905では、1ページあたりの論理ページ数およびカウンタ値をもとに、これから印刷データ生成処理をする論理ページに対する有効印字領域を計算する。ステップ1906では、物理ページに関する情報から、カウンタをインデックスとして現在の論理ページ番号を読み取り、該当論理ページを有効印字領域内に収まるように縮小する。ただし、Nページ印刷が指定されていない場合にはもちろん縮小の必要はない。
図7は本発明の一実施形態に係る、図6に示したステップ1901の地紋画像生成処理の詳細を示すフローチャートである。以下、図7を参照して、地紋画像生成処理を説明する。
初めに、ステップS2701で地紋画像生成処理が開始される。具体的には、地紋処理部205に地紋画像生成指示と上述した地紋プリント設定情報が入力される。次に、ステップS2702で、地紋処理部205は背景閾値パターン、前景閾値パターン、基礎画像、カモフラージュ画像、を読み込む。なお、基礎画像とは、地紋画像を生成するための基礎となるイメージデータである。
さらに、ステップS2703で、地紋処理部205は地紋画像を生成する際の初期画素を決定する。例えば、A4用紙の印字可能領域全体に対して左上から右下までラスター走査順に画像処理を行い地紋画像を生成する場合、印字可能領域の左上を初期位置とする。この場合、印字可能領域と地紋画像領域とが等しくなる。
次にS2704では、地紋処理部205は、背景閾値パターン、前景閾値パターン、基礎画像、カモフラージュ画像を、地紋画像領域の左上からタイル上に配置する処理を以下の式(1)に基づく計算によって実行する。この計算によって、当該画素位置に印刷時のドットに対応する画素値を書き込むか否かを判定する。このとき画素値は入力された色情報に対応する。なお、ここで、背景閾値パターンおよび前景閾値パターンは、ドットの書き込み/非書き込みに対応する「1」と「0」からなる画像データであり、これらの画像は前景(潜像)画像及び背景画像を作成するのに適したそれぞれのディザマトリクスによって2値化されたデータである。
nWriteDotOn=nCamouflage×
(nSmallDotOn׬nHiddenMark+nLargeDotOn×nHiddenMark) 式(1)
式の構成要素を以下に示す。
nComouflage:カモフラージュ画像において、対象画素がカモフラージュ模様を構成する画素であれば0、そうでなければ1。
nSmallDotOn:背景閾値パターンの画素値が黒であれば1、白であれば0(色はこれに限定されない)
nLargeDotOn:前景閾値パターンの画素値が黒であれば1、白であれば0(色はこれに限定されない)
nHiddenMark:基礎画像において、対象画素が潜像画像を構成する画素であれば1、背景画像を構成する画素であれば0。
¬nHiddenMark:nHiddenMarkの否定。前景部で0、背景部で1となる。
なお、各処理対象画素で式(1)の全ての要素を用いて計算する必要は無い。不必要な計算を省くことで処理の高速化を図ることができる。
例えば、nHiddenMark=1ならば¬nHiddenMark=0、nHiddenMark=0ならば¬nHiddenmark=1となる。従って、nHiddenMark=1ならば以下の式(2)の値をnLargeDotOnの値とし、nHiddenMark=0ならば、式(2)の値をnSmallDotOnの値とするとよい。
また、nCamouflageの値は式(1)に示したように、全体にかかる積算であるので、nCamouflage=0であれば、nWriteDotOn=0となる。従って、nCamouflage=0の場合は以下の式(2)の計算を省略できる。
(nSmallDotOn׬nHiddenMark+nLargeDotOn×nHiddenMark) 式(2)
また、生成される地紋画像では、背景閾値パターン、前景閾値パターン、基礎画像、カモフラージュ画像の縦横の長さの最小公倍数の大きさの画像が繰り返しの最小単位となる為、地紋処理部205では繰り返しの最小単位である地紋画像の一部分のみを生成し、その地紋画像の一部分を地紋画像領域の大きさにタイル状に繰り返し並べると地紋画像生成にかかる処理時間を短縮できる。
次に、ステップS2705では、ステップS2704の計算結果(nWriteDotOnの値)をCPU1が判定する。即ち、nWriteDotOn=1ならばステップS2706に進み、nWriteDotOn=0ならばステップS2707に進む。
ステップS2706では、印刷時のドットに対応する画素値を書き込む処理を行う。ここで、画素値は、地紋画像の色によって変える事ができる。その他、プリンタのトナーあるいはインクの色に合わせて設定することにより、カラーの地紋画像を作成することもできる。また、トナーやインクを複数色組み合わせた二次色を利用することもできる。
ステップS2707では、処理対象領域の全画素が処理されたか否かを判定する。処理対象領域の全画素が処理されていない場合はステップS2708に進み、未処理の画素を選択し、再びステップS2704〜S2706の処理を実行する。
なお、地紋画像データと原稿画像データをビットマップイメージとして合成する処理は、プリンタ1500において行われることになる。プリンタにおける合成処理において、重ね印刷設定がされている場合は、まず、原稿画像データをビットマップメモリ上にラスタライズし、続いて地紋画像データを原稿画像データに対して上書きするようにラスタライズすることになる。このとき、単純に地紋画像データを上書きしてしまうと、原稿画像が見えなくなってしまう。そこで、重ね印刷設定がされている場合は、AND/ORといった論理描画を利用することで、地紋画像で原稿画像を完全に上書きしてしまうことを避ける。例えば、原稿画像データを展開して得られたビットマップイメージのピクセルが白に相当する値である場合、そのピクセルに対応する地紋画像データは当該ピクセル位置に相当するビットマップメモリ上に上書きし、白以外の値を有するピクセルについては、地紋画像データを上書きしない、といった処理を行う。
濃度補正操作
以上説明したシステムに基づいた、地紋画像印刷における潜像部(以下、単に前景ともいう)および背景部(以下、単に背景ともいう)の濃度補正に関する本発明の実施形態を以下に説明する。
図8(a)および(b)は、前景と背景の濃度補正操作の概要を説明する図である。図8(a)は、本発明の一実施形態にかかる濃度探索5100の方法を説明する図である。 同図において、濃度探索の対象となる濃度領域5110は、前景濃度5111と背景濃度5112の2軸を持ち、その領域における位置はこれらの濃度値によって表される。ここで、前景濃度5111と背景濃度5112を個別に設定できるようにしておき、印刷された地紋画像における前景と背景の濃度がほぼ等しくなるように前景/背景の濃度を探索してもよい。しかし、前述したように、前景濃度5111と背景濃度5112がリニアな関係で変化しない場合、双方を制御しながら探索をおこなうのは難しい作業となる。
そこで、本実施形態では、まず、探索(s1)5101によって、前景濃度5111を比較的低い濃度5120に固定する。地紋画像は、これとともに印刷される文書などの画像の内容をつぶさない(換言すれば、地紋画像と印刷データの画像とが重なっても、印刷データの画像を識別可能とする)程度の濃度が望まれるため、一般には、低濃度領域に前景濃度5111を固定するものである。この場合、前景は集中した大きな塊のドットで形成されて比較的濃度が安定して再現されるため、基準として固定しても補正操作が不安定となることはない。
次に、潜像部の濃度5120と一致する背景部の濃度を探索していくことになる。最初に、探索(s2)5102によって、探索幅の中心値を設定する。すなわち、先ず、背景部の濃度の最小から最大までの間の範囲を所定数のブロック5121に分ける。そして、それぞれのブロック5121を表現するため、基準値5122を代表値とする。探索(s2)5102では、この基準値5122を探索幅の中心として設定する。すなわち、この設定によって探索するブロックが選択される。
さらに、探索(s3)5103によって、基準値を0として相対値5124を変化させて探索する。この相対値5124の変動範囲5123は、本実施形態ではブロック幅の±1/2となる。
そして、探索(s4)5104によって、前景濃度と背景濃度とがほぼ一致する点を探索する。このとき、背景濃度5112=基準値5122+相対値5124で表される。
なお、本実施形態の説明では、「前景濃度と背景濃度が等しい(一致する)」もしくは「前景濃度と背景濃度がほぼ等しい(ほぼ一致する)」とは、いずれも印刷された地紋画像において最も前景(潜像)を認識しにくい、前景と背景の濃度関係を意味している。従って、ユーザの設定において最も潜像を認識しにくいときの前景と背景の濃度にある程度差がある場合が含まれることもあり、この場合も、「前景濃度と背景濃度が一致する」等の表現を用いる。また、「濃度」は、濃度調整において設定される濃度データないし濃度情報と、印刷結果において認識される濃度のいずれかの意味で用いられる。
また、上記の説明では、説明を簡略化するため、ブロック5121は隣接ブロックと重なりを持たないものとして説明したが、ブロック5121は隣接ブロックと重なりを持ってもよい。後述する具体的な操作例はブロックを重複させたものである。
図8(b)は、濃度調整の程度に応じた、上記濃度補正操作におけるいくつかの探索の省略と、この省略の範囲に応じたユーザによる濃度補正操作の運用レベルを説明する図である。
図8(b)に示すように、本実施形態の濃度補正操作では、初期値5180が用意される。そして、この初期値5180には、潜像部濃度、ブロック幅、基準値および相対値が設定されている。これにより、以下に示すように、濃度変化の程度に応じて図8(a)で説明した探索s1、s2に関する操作をユーザは省略することができる。
通常運用時5171は、地紋画像の濃度変化がブロック幅以内に収まり、濃度調整量が比較的小さくて済む場合であり、このときは、「/1/.相対値の選択」のみで運用・設定することができる。すなわち、通常運用時5171は、探索s3および探索s4のみを実施すればよい。
変動幅拡大時5172は、濃度変化がブロック幅を超え、調整量がそれだけ多くなる場合であり、このときは、「/2/.基準値の変更」もあわせて実施する。すなわち、変動幅拡大時5172は、上記通常時の探索に加えて、探索s2も実施する。
最後に、フルコントロール時5173は、上記の背景の濃度調整に加え、前景の濃度調整を行う場合であり、このときは、「/3/.潜像部の濃度調整」もおこなう。すなわち、フルコントロール5173時は探索s1も実施する。
以上説明した濃度調整の程度に応じた運用レベルは、換言すれば、調整量が小さい操作から大きい操作に順次移りながら、前景と背景の濃度が等しくなる点を探索して行くことである。このような段階的に調整の範囲を変えて探索をおこなうことによって、確実に前景と背景が等しくなる点を探すことができ、地紋画像の濃度補正操作が容易になる。詳細には、「相対値の選択」は、調整量が1つのブロック内のものであり、これに対し、「基準値の変更」は、ブロックを超えた調整となる。この意味で、「基準値の変更」は「相対値の選択」より調整量が大きいといえる。
さらに、「潜像部の濃度調整」は、潜像濃度を直接変更するものであり、いわば2次元的な調整である。本明細書では、この2次元的な調整は上記2つの1次元的な調整より調整量が大きいと定義する。このように、本発明を適用した形態は、調整量の大きさが異なる複数の調整を含むものであれば、いずれの形態をも含むものである。そのような形態には、例えば、上記の調整において潜像(前景)と背景との関係が逆の形態、すなわち、潜像濃度について、基準値およびそれに応じた相対値を設ける形態、また、分割されるブロックの数が異なったりブロックの大きさが相互に異なったりする形態や、上記3つの調整のうち2つを組み合わせたものなどが含まれる。
また、上記の運用レベルは、濃度調整において生じ得る調整量の頻度、または濃度調整を行うユーザの熟練度に対応したものといえる。すなわち、通常時5171の相対値を変動させる操作は、最も頻繁に生じ得る比較的小さな濃度変化に対応したものであり、また、ユーザは探索s3、s4のみの簡易な操作で調整することができるものである。また、フルコントロール時5173は、潜像部の濃度を変化させて調整を行うものであり、熟練度の高いユーザは、最初からこの運用レベルで濃度調整を行うことも可能となる。
図9は、上記で説明した3つの運用レベル対応した具体的な濃度調整操作のための構成を示す図である。
同図に示すように、「/1/.相対値の選択」5210は、操作部5211における操作とその操作に伴って出力される相対値選択用のサンプルプリント5215を組み合わせて実施する。このサンプルプリント5215には、相対値変動(−Xから+Xまで)毎に値とその濃度での小サイズの地紋画像をサムネイルとして印刷する。相対値の選択5210は、背景濃度と比べて最も潜像を認識できない地紋、つまり前景濃度と背景濃度がほぼ等しい(ほぼ一致する)地紋サムネイル画像をユーザが識別して選択し、選択した地紋サムネイル画像に記載されている値を操作部5211の相対値選択のドロップダウンリストから選択することによって行う。
「/2/.基準値の選択」5220は、操作部5221における操作とこれに伴って出力される基準値選択用のサンプルプリント5225を組み合わせて実施する。基準値サンプルプリント5225には、基準値毎にその基準値濃度での地紋サムネイル画像が各基準値とともに印刷されている。基準値の選択5220は、最も濃度差が少ない地紋サムネイル画像に対応した基準値を操作部5221において入力することによって行う。
「/3/.潜像部の濃度調整」5230は、操作部5231における操作によって実施する。ここでの潜像部の濃度調整が、上記の各サンプルプリント5215、5225に反映されることはもちろんである。
以上の構成において、通常時は相対値の選択5210のみを実施する。また、例えば、印刷装置の出力濃度の変動幅が大きい場合は、相対値の選択5210に加えて基準値の選択5220を実施する。さらに、前景/背景部の濃度調整を積極的に行なう場合は、相対値の選択5210、基準値の選択5220、および潜像部の濃度調整5230の全てを実施する。
なお、上記の実施形態では、3つの運用レベルにあわせた操作部等の構成について説明したが、例えば、操作部の一部のコントロールスタイル変更や、操作部5211、5221、5231をダイアログではなく1シートに配置した形態など、操作部の形態にかかわらず本発明の範疇に入るものであることは以上の説明からも明らかである。
図10〜図14は、濃度補正操作にかかるインターフェースである操作部の具体的な構成とサンプルプリントを説明する図である。なお、以下では、背景濃度が0−64の範囲、ブロック幅15、基準値が4単位でそれぞれ変化し、基準値4、相対値0を初期値として設定した場合を例として説明する。
図10は、[キャリブレーション]のダイアログを示す図である。このダイアログは、図4にて前述したボタン2106を押下することによって表示される。
このダイアログでは、相対値の選択5210を実施することができる。すなわち、先ず、[濃度調整サンプルプリント]を実行(押下)する。これにより、濃度調整の対象である印刷装置から図11に示す濃度調整サンプルプリントが印刷される。このサンプルプリント上には−7から+7までの相対値v毎にその値が記載されるとともに、その相対値に対応した濃度による地紋サムネイル画像が印刷されている。つまり、潜像部の濃度を一定とし、背景部の濃度を段階的に変更した地紋サムネイル画像が印刷される。
なお、このサンプルプリントの地紋サムネイル画像は図5の設定画面で設定された情報を反映させた地紋画像を背景部の濃度を段階的に変化させて印刷するものである。そのため、背景模様やフォント、文字列の角度などを反映させたサムネイル画像とする。このように構成することで、ユーザは濃度の調整時に実際に自分が出力しようとしている所望の地紋画像を目視確認することが可能となる。
また、図10に示したインターフェースにて選択されている相対値のサムネイル画像をサンプルプリント上でも判別可能なように、当該サムネイル画像を枠で囲んだりするなど、ユーザに通知可能な処理を行うと好適である。
そして、ユーザは、このサンプルにおいて、背景濃度に比して最も潜像が認識しにくいサムネイル画像に記載の相対値vを図10の[相対値]ドロップダウンで選択し、設定する。なお、本実施形態の例では、上記のサンプルプリントおよびそれに記載される相対値の値は、その印刷の際に設定されている相対値(上記の場合は、初期値の0)を中心に、その±7段階の相対値としてあるが、この±の方向それぞれについて何段階とするかは特に本発明を制限するものではない。
また、ダイアログにおいて、[基準値]と背景部の[濃度]は、設定値としてではなくスタティックテキストで表示されている。特に、[濃度]の値そのものが設定項目でないことにより、本来変化する値である濃度の値そのものをユーザが記憶しないよう考慮されている。これにより、ユーザが、記憶した濃度値そのものを基準として濃度調整を行い、そのときには既に変化している地紋画像の濃度になかなかたどり着かないような問題を回避できる。なお、ダイアログにおいて、[色]リストボックスは、キャリブレーションの対象色を設定するためのものである。モノクロ印刷機の場合は黒を表示し、その他の色が選択できないようにグレイアウトしておいてもよい。
図10に示した[キャリブレーション]ダイアログにおいて、[基準値を変更する]チェックボックスをONにすると(チェックすると)、[設定...]ボタンが有効になる。そして、この[設定...]ボタンを押すと、図12に示す[基準値の設定]ダイアログが表示される。
この[基準値の設定]ダイアログでは、基準値の設定を行うことができる。すなわち、先ず、[基準値サンプルプリント]を実行(押下)すると、図13に示す基準値サンプルプリントが印刷される。このサンプルプリント上には、0から64まで4ステップの基準値毎に、その値が記載されるとともに、その基準値の濃度による地紋サムネイル画像が印刷されている。そして、ユーザは、このサンプルにおいて、前景と背景との濃度差が最も少ない地紋サムネイル画像を判別し、その地紋サムネイル画像に記載の基準値を、[基準値]において選択し設定する。
このサンプルプリントの地紋サムネイル画像は、潜像部の濃度を一定とし、背景部の濃度を4ステップ単位で変更した画像が印刷される。このサンプルプリントでは、基準値を設定するものであり、基準値の設定後、改めて相対値の設定サンプルプリントを出力する運用となる。つまり、基準値の設定サンプルプリントは、潜像濃度と背景濃度の大まかな関係を見極めるためであるので、潜像画像を矩形とし、その潜像部を取り囲むように濃度の異なる背景画像を出力するようにする。このようにすることで、ユーザは潜像濃度に最も近い背景濃度(基準値)を選択することができる。よって、基準値を設定するためのサムネイル画像には、図5の設定画面で設定された情報は色以外は反映させない。
なお、図10に示したインターフェースにて選択されている基準値のサムネイル画像にはサンプルプリント上でも判別可能なように、当該サムネイル画像を枠で囲んだりするなど、ユーザに通知可能な処理を行うと好適である。
また、図10で説明した[キャリブレーション]ダイアログにおいて、[潜像部の濃度調整を行う]チェックボックスをONにすると、[調整]ボタンが有効になる。そして、この[調整]ボタンを押すと、図14に示す[潜像部の濃度調整]ダイアログが表示される。
図14に示すように、[潜像部の濃度調整]ダイアログでは、スライダを操作して潜像部の濃度を0−36の範囲で設定することができる。
図15は、通常時の濃度補正操作におけるユーザの操作およびそれに応じた本実施形態のコンピュータによる処理の手順を示すフローチャートである。
同図において、ステップ6001で、ユーザが図4に示したダイアログの[キャリブレーション]をクリックすると、ステップ6002で、これを検出し、図10に示した[キャリブレーション]ダイアログを表示する。
次に、ステップ6013で、ユーザがこのダイアログで[濃度調整サンプルプリント]をクリックすると、ステップ6014で、このクリックを検出し、キャリブレーションの対象である印刷装置で濃度調整サンプルプリントを印刷する。ステップ6015では、ユーザは濃度調整サンプルプリントの結果から潜像が最も認識しがたい地紋サムネイル画像を判別して選択し、その数値(相対値v)を読む。そして、ステップ6016で、ユーザは、サンプルプリントにおいて適切な相対値vを選べたときはステップ6017に進み、一方、適切な地紋サムネイル画像を選択できないときは、基準値を変更すべく、図16にて後述されるステップ200へ進む。
ステップ6017で、ユーザは、選択した数値vを図10の[相対値]ドロップダウンの中から選択し設定する。この際、本実施形態のコンピュータはこの入力に応じて、入力された相対値を取得し、地紋画像印刷における濃度情報として保持する。
次に、ステップ6018で、ユーザは、図10に示した[OK]ボタンをクリックし、これに応じてコンピュータは、[キャリブレーション]ダイアログをクローズする。
図16は、変動幅拡大時の操作および処理を含む濃度補正操作におけるユーザの操作、およびそれに応じた本実施形態のコンピュータによる処理の手順を示すフローチャートである。
図15にて上述した”相対値の選択”操作のステップ6016で、潜像が最も認識しがたい地紋サムネイル画像に対応する数値(相対値v)を選べないのは、濃度の変動幅が大きく、設定すべき数値が相対値の範囲内に存在しないことを意味する。そこでステップ200へ進み、”基準値の変更”にかかる操作に入る。
この操作では、先ず、ステップ6121で、ユーザは、図10の[キャリブレーション]ダイアログの[基準値を変更する]チェックボックスをチェックし、次いで、[設定]をクリックする。これに応じて、コンピュータは、ステップ6122で、図12に示す[基準値の設定]ダイアログを表示する。
次のステップ6123では、このダイアログにおいてユーザが[基準値サンプルプリント]をクリックする。するとステップ6124で、コンピュータは、印刷装置に対して基準値サンプルプリントの印刷を指示する。そして、ステップ6125で、ユーザは、基準値サンプルプリントの結果から潜像が最も見えにくい地紋サムネイル画像を判別して選択し、その数値(基準値s)を読む。次いで、ステップ6127では、ユーザは、その数値を[基準値]として設定する。この際、本実施形態のコンピュータはこの入力に応じて、入力された基準値を取得する。そして、ステップ6128で、ユーザは[OK]ボタンをクリックし、コンピュータはこれに応じて、[基準値の設定]ダイアログをクローズする。これに伴い、処理は、ステップ100へ戻り、新たな基準値の下で、上記と同様にして”相対値の選択”にかかる操作およびそれに応じた処理を行う。
図17は、フルコントロール時の操作および処理を含む濃度補正操作におけるユーザの操作、およびそれに応じた本実施形態のコンピュータによる処理の手順を示すフローチャートである。
図15および図16の説明では省略したが、ステップ6210で、本実施形態のコンピュータは、図10に示す”潜像部の濃度調整”を行うべくチェックがされたことを検出すると、ステップ300へ進む。
この処理では、先ず、ステップ6231で、ユーザは、[潜像部の濃度調整を行う]チェックボックスをチェックするとともに、[調整]をクリックする。これに応じ、ステップ6232で、コンピュータは、図14に示した[潜像部の濃度調整]ダイアログを表示する。これに対し、ステップ6237で、ユーザが濃度を設定する操作を行う。この際、コンピュータはこの入力に応じて、入力された潜像部の濃度を取得する。
次に、ステップ6238で、ユーザは[OK]をクリックし、コンピュータはこれに応じて[潜像部の濃度調整]ダイアログをクローズする。そして、処理は、ステップ100へ戻るが、必要に応じて”基準値の変更”、”相対値の選択”を行う。
なお、上述の実施形態では、基本的に潜像部分と背景部部分の見た目の濃度を等しくすること、すなわち、地紋画像において潜像が最も認識できない、潜像部と背景部の濃度関係とすることを目的とする濃度調整について説明した。しかし、本発明にかかる濃度調整は、潜像部分と背景部の濃度が等しくない一定の関係を調整する構成一般にも適用できることは、以上の説明からも明らかである。例えば、地紋画像の用途などに依っては、故意に潜像部の濃度だけを若干増したり背景部の濃度を0に設定したりして、潜像が目立つような地紋画像の印刷を行うこともできる。これらの濃度調整を、例えば、図5にて説明した地紋スタイル設定の[白抜き]などの設定と併せて用いることにより、複写すると消える潜像の文字列の印刷など多様な地紋画像を作成することもできる。
(他の実施例)
なお、本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。特に、複写機やプリンタにおいて地紋画像を生成する場合には、地紋画像の設定処理、キャリブレーション処理、印刷出力処理を全て複写機内部の画像処理部で実行させることができる。このとき、複写機やプリンタはホン発明における画像処理装置として機能する。
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
更に、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。