以下、本発明の実施の形態に係るマッサージ装置について、椅子型マッサージ装置を例にとり、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る椅子型マッサージ装置の全体の構成を示す斜視図である。図1に示す如く、マッサージ装置1は、椅子型をなしており、座部2,背凭れ部3,フットレスト4,及びアームレスト(肘掛け部)5から主として構成されている。座部2は、その下部両側に夫々脚部2a(図1では左側の脚部2aのみを示す)を有する基台(図示せず)の上部に、上面が座面として用いられるように略平坦に形成されたクッション部2cが配されて構成されている。クッション部2cは、ウレタンフォーム,スポンジ,又は発泡スチロール製の内装材(図示せず)が前記基台の上面に載置されており、更にこれをポリエステル製の起毛トリコット,合成皮革,又は天然皮革等からなる外装材(カバー)にて覆って構成されている。
座部2の上部前側には、被施療者の足首及び脹脛をマッサージするためのフットレスト4の上端部が枢着されている。これにより、フットレスト4は、その上端部を中心にして前後に揺動可能とされている。なお、本実施の形態の説明で用いる方向の概念は、文中に特に説明を付している場合を除き、マッサージ装置1の座部2に着座した被施療者から見たときの方向の概念と一致するものとする。
フットレスト4は、座部2の前端から図1中においては下方へ延びた平面状の下腿支持面4aの両側から側壁4b,4cが前方へ突出しており、また下腿支持面4aの下端、即ち座部2から最も離隔した端部から前方へ足底支持壁4dが突出した構成となっている(なお、この説明では、前後に揺動可能なフットレスト4が、図1に示すように後方に位置する状態について記載している)。
側壁4b,4cの内部には空気袋47(図3)が設けられており、これらの空気袋47が座部2又は背凭れ部3に内蔵されたポンプ及びバルブ等からなる給排気装置46にエアホース48(図3)によって接続されていて、該給排気装置46からの給排気によって膨張又は収縮するように構成されている。これにより、被施療者が着座したときに、該空気袋47が膨張及び収縮を繰り返すことによって、被施療者の下腿の外側部分並びに足の側部及び上部に対して押圧刺激を与えるようになっている。
また、下腿支持面4aは、被施療者が椅子型マッサージ装置1に着座したときに、被施療者の下腿に当接してこれを支持するようになっている。かかる下腿支持面4aの複数箇所にも空気袋47(図3)が設けられており、これらも給排気装置46にエアホース48を介して接続されている。そして、これらの空気袋47が膨張及び収縮を繰り返すことによって、被施療者の脹脛及びアキレス腱の周辺に対して押圧刺激を与えるようになっている。
更に、足底支持壁4dは、被施療者がマッサージ装置1に着座したときに、被施療者の足底に当接してこれを支持するようになっている。かかる足底支持壁4dの内部にはバイブレータ及び空気袋47(図3)が設けられており、該空気袋47は前記給排気装置46にエアホース48を介して接続されている。また、該バイブレータは、例えばDCモータの出力軸に偏心質量が取り付けられた如き構成のものであり、駆動されることによって微振動を発生することができる。そして、これらの空気袋47が膨張及び収縮を繰り返すことによって、被施療者の足底に対して押圧刺激を与えることができ、また前記バイブレータが動作することによって、被施療者の足底に振動刺激を与えることができるようになっている。
また、複数の空気袋47が、座部2の座面奥側にも配されている。これらの空気袋47もまた、エアホース48を介して給排気装置46に接続されており、該給排気装置46からの給排気によって膨張又は収縮するように構成されている。また、座部2の座面中央の奥側には、前述したものと同様の構成のバイブレータ(図示せず)が設けられている。このような構成により、被施療者が座部2に着座した状態で空気袋47の膨張・収縮を繰り返すことで、被施療者の臀部に押圧刺激を与えることができ、同状態でバイブレータを駆動することで、被施療者の肛門部に振動刺激を与えることができる。
更に座部2の後部には、背凭れ部3が設けられている。背凭れ部3は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人がマッサージ装置1の座部2に着座した際に、この成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、前面視略長方形をなしている。背凭れ部3の下端部は、座部2の後部に横方向の枢軸(図示せず)によって枢支されており、この枢軸を中心に背凭れ部3が回動することにより、前後にリクライニングが可能とされている。また背凭れ部3の両側部には、座部2の基台に固定支持されたアームレスト5が夫々設けられている。このアームレスト5は、背凭れ部3の両側部から前方へ延びていて、マッサージ装置1が内蔵する制御部40(図3)に接続された後述する操作装置7が右側のアームレスト5上に取り付けられている。また、マッサージ装置1には、前記操作装置7とは別個にして、前記制御部40と接続されたコントローラ8が備えられている。
背凭れ部3の内部には、図2の分解斜視図に示す如きマッサージ機構6が設けられている。このマッサージ機構6は被施療者の身体に機械的刺激を与える4つのローラ状の施療子10を有している。また、この施療子10を変位駆動するDCサーボモータであるモータ11,12が設けられている。
施療子10は、前方へ開くV字状を成して左右に配された2つのアーム13の先端それぞれに取り付けられている。夫々のアーム13は、途中で屈曲して略V字状をなす2つのコンロッド14の夫々の上端部にて、所定の範囲内で回転可能なように夫々取り付けられている。各コンロッド14の屈曲部には嵌合孔15が設けられており、この嵌合孔15には、軸芯を左右方向に向けて配された回転軸16の両端に設けられた傾斜部17が遊嵌されている。この傾斜部17は、回転軸16に対して所定角度傾斜した状態で設けられたものである。
回転軸16の中間部分には、ヘリカルギヤ18aが同軸的に設けられており、このヘリカルギヤ18aがウォーム18bと噛合している。このように、ヘリカルギヤ18aとウォーム18bとでウォームギヤ機構18が構成されている。また、ウォーム18bの上端部には、プーリ19aが同軸的に設けられており、ベルト19bによってこのプーリ19aとモータ11の出力軸に設けられたプーリ19cとが連結されている。
従って、モータ11の回転運動はベルト19bを介してウォーム18bへ伝達され、ウォーム18bの回転によって回転軸16が回転する。そして、回転軸16の回転に伴い、傾斜部17が円錐形の軌跡を描くように変位し、これによってコンロッド14が規則的に動作して、左右の施療子10が近接・離反するように左右及び上下方向へ略楕円軌道に沿って移動可能になっている。このような移動動作が、施療子10の揉み動作となる。この施療子10の揉み動作には、左右の施療子10が近接するときに前方(被施療者側)へ移動し、左右の施療子10が離反するときに後方へ移動する動作も含まれる。このように、揉み動作では、施療子10が3次元的に移動することとなる。
また、図2に示すように、コンロッド14の下部には下方へ開いた嵌合穴20が設けられており、この嵌合穴20には、連結部材21の上部に設けられた突出部22が挿入されている。左右の連結部材21の夫々には、互いに対向する側部に孔23が設けられている。また、左右の連結部材21の間には、左右方向に沿って回転軸24が配置され、この回転軸24の両端部に設けられた偏心部25が、連結部21の側部に設けられた上記孔23に遊嵌している。また、回転軸24の中間部分にはプーリ26aが同軸的に設けられており、ベルト26bによってこのプーリ26aとモータ12の出力軸に設けられたプーリ26cとが連結されている。
従って、モータ12の回転運動はベルト26bを介して回転軸24に伝達され、回転軸24の両端の偏心部25の公転によって連結部材21が略上下に移動する。この結果、コンロッド14が嵌合孔15を中心にして往復回動し、施療子10が円弧を描くように略上下に往復移動する。モータ12を一定速度で回転させたときには、一定の周期で施療子10が往復移動することとなり、こが施療子10のたたき動作となる。また、モータ12をその回転速度を変化させながら回転させたときには、変則的な周期で施療子10が往復移動することとなり、これが施療子10の指圧動作となる。
このように、モータ11の駆動によって施療子10の揉み動作が行われ、モータ12の駆動によって施療子10のたたき動作及び指圧動作が行われ、モータ11,12を同時に駆動することにより、揉み動作及びたたき動作、または揉み動作及び指圧動作が合成されて行われることとなる。もちろん、各動作を独立に行うことも可能である。
このようなマッサージ機構6は、図1に示すように昇降台28に取り付けられており、この昇降台28の両側端にはローラ28aが設けられている。該ローラ28aは、ガイドレール29に転動することが可能であるように支持されている。また昇降台28には図示しないナットが設けられており、このナットに前記ガイドレール29と平行に設けられたねじ棒30が螺合せしめられている。該ねじ棒30はその上下端が枢支されており、またその下端が背凭れ部3の下部に設けられたモータ27の出力軸に連結されている。
従って、該モータ27の駆動によってねじ棒30が回転したときには、ローラ28aがガイドレール29に係合していることによって、前記ナットを有する昇降台28がねじ棒30と一体的に回転することが規制され、前記ナットと前記ねじ棒30とが相対的に回転して、昇降台28及びマッサージ機構6が昇降することとなる。このような構成により、被施療者が背凭れ部3に上半身を凭れかけた状態でマッサージ機構6を昇降させることで、被施療者の背中を上下に施療子10が転動するローリング動作を行うことができる。
図3は、マッサージ装置1の構成を示すブロック図である。マッサージ装置1の背凭れ部3(図1)の下部には、制御部40が内蔵されている。この制御部40は、図3に示すように、CPU41、ROM42、110M43、入出力インタフェース44から主として構成されている。また、入出力インタフェース44には、制御部40の外部に設けられた操作装置7が接続されている。
CPU41は、ROM42に記憶されているプログラム及び/又は110M43にロードされたプログラムを実行することが可能である。ROM42は、マスクROMU、PROM、EPROM、EEPROM等から構成されており、CPU41にて実行されるプログラム及びこれに用いるデータ等が記憶されている。CPU41は、ROM42に記憶されているプログラムを実行することにより、マッサージ装置1に後述するような動作を行わせることができる。また、110M43は、S110M又はD110M等により構成されている。110M43は、ROM42に記憶されているプログラムを実行するときに、CPU41の作業領域として利用される。
入出力インタフェース44は、例えばUSB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、D/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等により構成されている。上述したようにこの入出力インタフェース44には操作装置7及びコントローラ8が接続されており、この操作装置7及びコントローラ8からの信号を受信することができる。
また、入出力インタフェース44には、給排気装置46を駆動するための駆動回路45が接続されている。給排気装置46は、電磁弁等の切換バルブ及びエアポンプ等から構成されており、フットレスト4及び座部2などの各所に設けられた複数の空気袋47との間でエアホース48を介して接続され、この空気袋45に対して各々独立的に給排気を行う。
また、入出力インタフェース44には、モータ11,12,27を夫々駆動するための駆動回路50〜52が接続されている。これらの駆動回路50〜52は、図示しない電源に接続されており、入出力インタフェース44から出力された回転指示信号に応じた電力をモータ11,12,27に夫々供給するようになっている。更に具体的に説明すると、操作装置7又はコントローラ8から受信した信号に基づき、CPU41がモータ11,12,27の回転方向及び回転速度を決定し、決定した回転方向及び回転速度に応じた回転指示信号を入出力インタフェース44に発生させる。駆動回路50〜52は、夫々パルス発生器を備えており、該パルス発生器が、入出力インタフェース44から与えられた回転指示信号に応じたパルス幅の電圧(パルス信号)を夫々発生し、該電圧が夫々モータ11,12,27の端子間に印加される。このようなPWM制御により、モータ11,12,27に電力が供給され、モータ11,12,27が所要の回転方向、回転速度により駆動される。
なお、本実施の形態においては、モータ11,12,27はDCサーボモータとしているが、ACサーボモータであってもよい。また、このような駆動対象のモータの種類の変更に応じて駆動回路50〜52の構成も変更されることは言うまでもない。
入出力インタフェース44には、更にエンコーダ53及び磁気センサ54が接続されている。エンコーダ53は、モータ27の回転に応じてパルス信号を発生するようになっている。CPU41がこのパルス信号のパルス数を計数することにより、マッサージ機構6の上下方向の位置を検出することができる。また、磁気センサ54は、回転軸16の軸長方向の所定箇所において、円周方向の複数位置に配置された磁石(図示せず)と対向するように、回転軸16の近傍に配置されており、周囲の磁気の強さに応じた出力電圧を発生するようになっている。回転軸16が回転した場合には、磁気センサ54の近傍を磁石が順次通過するので、CPU41が磁気センサ54からの出力電圧のピークを係数することにより、回転軸16の回転角度、即ち、施療子10の位置を検出することができる。
次に、マッサージ装置1に設けられた操作装置7について説明する。図1に示すように、マッサージ装置1が有するアームレスト5は、座部2の両側に設けられたアームレスト基部5bと、このアームレスト基部5bの上部に覆い被せられた上部カバー5aとを備えている。そして、操作装置7は、右側のアームレスト5の上部カバー5aの上に取り付けられている。
図4は、図1に示す操作装置7を拡大して示す斜視図である。図4に示すように、操作装置7は、平面視で略矩形を成す台座60と、該台座60上にジョイント機構61(図5)を介して立設されたジョイスティック62と、該ジョイスティック62の上部を囲むように設けられた握り部63と、前記ジョイスティック62及び握り部63を覆うカバー64とから主として構成されている。台座60の上部には、前記ジョイント機構61と共に前記台座60の上面のほぼ全てを覆う台座カバー65が設けられている。台座60及び台座カバー65は、その四隅が、取付ネジ66によりアームレスト5の上部カバー5aを貫通してその下のアームレスト基部5b(図1)に螺着されることにより、上部カバー5aの上部に固定されている。
図5はジョイント機構61の構成を示す斜視図であり、台座60から台座カバー65を取り除いたときの様子を示している。図5に示すように、ジョイント機構61はジョイスティック62の下部に設けられ、該ジョイスティック62の前後方向に沿った傾倒動作に規制を与える前後動作規制ユニット70と、左右方向に沿った傾倒動作に規制を与える左右動作規制ユニット80とを備えている。
前後動作規制ユニット70は、所定間隔を隔てて左右に立設された支持部材71L,71R、及び、該支持部材71L,71Rの間に設けられてこれらに軸支される枠体72を備えている。該枠体72は、平面視で略矩形環状を成し、その左右の側部から外方(左右)へ突設された図示しない軸部が、前記支持部材71L,71Rにより軸支されている。従って、枠体72は、支持部材71L,71Rに対し、左右方向に沿った軸芯(二点鎖線で示す)70aの回りに回動自在になっている。
また、枠体72の上記図示しない軸部は前記支持部材71L,71Rの外方(左右)へそれぞれ突出し、ここに平歯車状のギヤ72aが同軸的に設けられている。支持部材71L,71Rの外側面には、枠体72の回動速度を緩和(規制)するロータリーダンパ73(図5では右側のロータリーダンパ73のみ図示)が取り付けられており、上記ギヤ72aは、該ロータリーダンパ73が有するギヤ73aと噛合している。
更に、枠体72の左右の側部のそれぞれの上面からは、コイル状の前後戻しバネ70sの一端部を支持するバネ支持部74L,74Rが立設され、このバネ支持部74L,74Rの前方には、台座60上に固定されて前記前後戻しバネ70sの他端部を支持するもう一つのバネ支持部75L,75Rがそれぞれ立設されている。そして、前後に配置された前記バネ支持部74L,75Lの上端部の間、及びバネ支持部74R,75Rの上端部の間に、前後戻しバネ70sがそれぞれ架け渡されている。この前後戻しバネ70sは、バネ支持部74L,74Rとバネ支持部75L,75Rとを近接する方向に付勢しており、被施療者がジョイスティック62を操作しない状態では、枠体72は図5に示すように水平姿勢を維持する。
また、枠体72の前部と後部との間には、ジョイスティック62の下端部に接続されてこれを支持する下部支持部材77が架け渡されている。該下部支持部材77は、上方へ凸状に湾曲してその上部にジョイスティック62の下端部が接続され、該ジョイスティック62を直立状態に支持している。また、下部支持部材77の前後からは図示しない軸部が外方(前後)へ突設されており、この軸部が枠体72にて軸支されている。従って、ジョイスティック62は、枠体72に対し、前後方向に沿った軸芯(二点鎖線で示す)80aの回りに回動自在になっている。
このような前後動作規制ユニット70によれば、ジョイスティック62は、前後方向及び左右方向に傾倒動作させることが可能である。即ち、ジョイスティック62を前後方向に傾倒動作させた場合には、軸芯70aを中心として前後に揺動可能であり、左右方向に傾倒動作させた場合には、軸芯80aを中心として左右に揺動可能である。また、前後方向に傾倒させる場合には、左右のロータリーダンパ73が発揮する回動抵抗が加えられるため、適度な重みを有する操作感が得られる。更に、前後方向へ傾倒させた状態でジョイスティック62を操作する手を離すと、前後戻しバネ70sの作用により直立姿勢に復帰するようになっており、その際、ロータリーダンパ73の作用により緩やかな動きによって復帰するようになっている。
左右動作規制ユニット80は、前記枠体72を挟み所定間隔を隔てて前後に立設された支持部材81F,81B、及び、該支持部材81F,81Bに軸支される門型揺動部材82を備えている。該門型揺動部材82は、前記枠体72及び下部支持部材77を前後に跨いで設けられ、その上部には、ジョイスティック62が挿通される貫通穴83が前後方向に延設されている。門型揺動部材82の前部及び後部には外方(前後)へ向けて図示しない軸部が突設され、これが支持部材81F,81Bによって軸支されている。従って、門型揺動部材82は、前後方向に沿った軸芯80aの回りに揺動自在になっている。
また、門型揺動部材82の上記軸部は、前記支持部材81F,81Bの外方(前後)へ突出し、ここには平歯車状のギヤ82a(図5では後側のギヤ82aのみ図示)が同軸的に設けられている。支持部材81F,81Bの外側面には、門型揺動部材82の揺動速度を緩和(規制)するロータリーダンパ84(図5では後側のロータリーダンパ84のみ図示)が取り付けられており、上記ギヤ82aは、該ロータリーダンパ84が有するギヤ84aと噛合している。
更に、門型揺動部材81の前部及び後部には、コイル状の左右戻しバネ80sの一端部を支持するバネ支持部85F,85Bがそれぞれ突設され、このバネ支持部85F,85Bの側方には、台座60上に固定されて前記左右戻しバネ80sの他端部を支持するもう一つのバネ支持部86F,86Bがそれぞれ立設されている。そして、左右に配置されたバネ支持部85F,86Bの上端部の間、及びバネ支持部85B,86Bの上端部の間に、左右戻しバネ80sがそれぞれ架け渡されている。この左右戻しバネ80sは、バネ支持部85F,86Fとバネ支持部85B,86Bとを近接する方向に付勢しており、被施療者がジョイスティック62を操作しない状態では、門型揺動部材82は図5に示すように直立姿勢を維持する。
このような左右動作規制ユニット80によれば、ジョイスティック62は、前後方向及び左右方向に傾倒動作させることが可能である。即ち、前後方向へ傾倒動作させる場合には、門型揺動部材82が有する貫通穴83の範囲内で、軸芯70aを中心として前後に揺動可能であり、左右方向へ傾倒させる場合には、軸芯80aを中心として左右に揺動可能である。また、左右方向に傾倒させる場合には、前後のロータリーダンパ84が発揮する回動抵抗が加えられるため、適度な重みを有する操作感が得られる。更に、左右方向へ傾倒させた状態でジョイスティック62を操作する手を離すと、左右戻しバネ80sの作用により直立姿勢に復帰するようになっており、その際、ロータリーダンパ84の作用により緩やかな動きによって復帰するようになっている。
操作装置7は、上述したような構成の前後動作規制ユニット70及び左右動作規制ユニット80から成るジョイント機構61を備えるため、あらゆる方向へ傾倒させることが可能である(図4)。また、後述するように、操作装置7にはセンサが設けられ、傾倒角度及び傾倒方向を検出して制御部40(図3)へ出力する。従って、操作装置7を操作して前後方向へ傾倒させることにより、その操作量に応じてマッサージ機構6が有する施療子10の前後方向の位置決めをすることができる。また、操作装置7を操作して左右方向へ傾倒させることにより、その操作量に応じて左右の施療子10,10の間隔(揉み幅)を変更することができるようになっている。
図6は、ジョイスティック62の上部に設けられた握り部63の概略構成を示す正面図である。この握り部63は、後述するように、施療子10(図2)に揉み動作をさせるための操作部を成す。なお、握り部63を覆うカバー64は、図示を省略している。図4及び図6に示すように、握り部63は、略チャネル状を成す左把持部材90及び右把持部材91を備え、この左把持部材90及び右把持部材91は互いの開口を対向させて間にジョイスティック62を挟んで設けられている。
左把持部材90及び右把持部材91の内側壁には、歯列が左右方向に沿って並ぶようにして、且つ、互いの歯列を対向させて、ラック90a,91aが設けられている(図6)。また、このラック90a,91aは、その間に、ジョイスティック62の上部側面に設けられた速度緩和部たるロータリーダンパ92を挟み、該ロータリーダンパ92が有するギヤ92aと噛合している。従って、左把持部材90と右把持部材91とを近接又は離反させると、ラック90a,91aは、ロータリーダンパ92のギヤ92aを回転させつつ、左右方向に沿って近接又は離反する。なお、図6では、左把持部材90と右把持部材91とを近接させる場合について矢印を付している。
また、左把持部材90及び右把持部材91の内側面において、互いに対応する上下の位置に、左右方向に延びる支持棒90b,91bが突設されており、この支持棒90b,91bに挿通支持されてスプリング93が設けられている。このスプリング93は、左把持部材90及び右把持部材91を、延長方向(左右方向)に付勢している。
従って、被施療者が握り部63を手で握り、左把持部材90及び右把持部材91を近接する方向へ操作した場合、スプリング93及びロータリーダンパ92の作用により、適度な重みを有する操作感が得られる。一方、被施療者が握り部63を握る手を緩めた場合、スプリング93により左把持部材90及び右把持部材91は離反方向へ付勢され、ロータリーダンパ92の作用により低速で離反方向へ移動する。
図7は、操作装置7の構成を示すブロック図である。図7に示すように、操作装置7は、その握り部63に対応して1つのスライドボリューム101を備えている(図6も参照)。このスライドボリューム101は握り部63の握り操作量を検出するものであり、図6に示すように、握り部63の下方にてジョイスティック62により固定支持された支持板94上に、スライダー101aが左右へスライド可能なようにして配置固定され、図示しない信号線を介して制御部40と接続されている。スライダー101aは、右把持部材91に固定されており、右把持部材91と共に左右へ移動可能になっている。
従って、スライドボリューム101は、握り部63が握られると、スライダー101aの所定の基準位置からの移動量(操作量)を検出し、制御部40へ出力する。これにより、制御部40は、被施療者による握り部63の握り操作量に関する信号を取得し、この信号に基づいてモータ11,12を駆動する駆動回路50〜52へ回転指示信号を出力し、施療子10に揉み動作等のマッサージ動作を行わせる。
なお、握り部63の握り操作量を検出するセンサとしては、上述したスライドボリューム101の他、例えば、回転角度及び回転方向を検出可能なポテンショメータを用いてもよい。この場合、該ポテンショメータは、左把持部材90と右把持部材91とが近接又は離反したときにこれと共に回転するロータリーダンパ92のギヤ92a(図6)と一体回転するよう設ければよく、所定の基準位置からの回転角度及び回転方向を検出して制御部40へ出力するようにすればよい。
操作装置7は、ジョイント機構61に対して1つの傾倒センサ102を備えている(図6参照)。図6に示すように、この傾倒センサ102は台座60上に固定されており、図示しない可変抵抗とあらゆる方向に傾倒可能なスティック102aとを備えている。該スティック102aは、ジョイスティック62の下部に下方から接続されており、該ジョイスティック62と共に傾倒動作する。傾倒センサ102は図示しない信号線を介して制御部40と接続されており、スティック102aのあらゆる方向への傾倒角度(直立状態を基準としたときの角度)に関する信号を制御部40へ出力する。
従って、被施療者がジョイスティック62を傾倒操作した場合、このジョイスティック62の操作量、即ち、これに接続されて連動するスティック102aの傾倒角度及び傾倒方向に関する信号が、傾倒センサ102から制御部40へ送信される。制御部40は、受信した信号に基づいてモータ11,12,27を駆動する駆動回路50〜52へ回転指示信号を出力し、施療子10の前後位置又は左右間隔を調整する。なお、このような傾倒センサ102の例としては、ホシデン株式会社製の製品CFS8171等を用いることができる。
なお、上記傾倒センサ102に換えて、2つのポテンショメータを用いてジョイスティック62の傾倒角度及び傾倒方向を検出し、制御部40へ検出信号を送信するようにしてもよい。この場合には、各ポテンショメータをジョイスティック62の前後又は左右への傾倒と共に回転するロータリーダンパ73,84の夫々のギヤ73a,84a(図5参照)と一体回転するように設ければよい。更に、上記傾倒センサ102及びポテンショメータに換えて、光学式センサを用いてジョイスティック62の傾倒角度及び傾倒方向を検出する構成とすることも可能である。
また、図7に示すように操作装置7は、プッシュ式の記憶ボタン104、停止ボタン105、再生ボタン106を備えている(図4も参照)。これらのボタンは、被施療者による操作装置7の操作をマッサージ装置1が記憶し、記憶した情報に基づいて過去のマッサージ動作を再現するためのものである。より具体的に説明すると、被施療者が操作装置7を操作する際に記憶ボタン104を押すと、該記憶ボタン104から信号が制御部40へ出力される。この信号を受信した制御部40は、その後の操作装置7の被施療者による操作量、即ち、スライドボリューム101及び傾倒センサ102により検出される操作量に関する信号を、停止ボタン105の押圧により発生した信号を受信するまで110M43(図3)に記憶する。
被施療者が再生ボタン106を押すと、110M43に記憶された操作装置7の操作量に関する情報がCPU41に読み込まれる。CPU41は、読み込んだ情報に基づいてモータ11,12,27の回転方向及び回転速度を決定し、決定した回転方向及び回転速度に応じた回転指示信号を入出力インタフェース44に発生させる。駆動回路50〜52は、入出力インタフェース44から与えられた回転指示信号に基づいてモータ11,12,27を駆動させる。その結果、記憶ボタン104を押した後、停止ボタン105を押すまでの間に行われたマッサージ動作と同様の動作を再現することができる。
更に、操作装置7は、被施療者が直接に操作可能なスライドボリューム107,108を備えている(図4も参照)。このうちスライドボリューム107は、マッサージ機構6によるたたき動作の速度を調節するためのものであり、スライドボリューム108は、マッサージ機構6による揉み動作の速度を調節するためのものである。このスライドボリューム107,108は、直線的に移動操作可能なスライダー107a,108aを有し、該スライダー107a,108aの位置に応じた信号を制御部40へ出力する。
制御部40は、スライドボリューム107から受信した信号に基づき、スライダー107aの操作量に比例した回転数となるようモータ12を駆動し、これにより施療子10はたたき動作を行う。また、制御部40は、スライドボリューム108から受信した信号に基づき、スライダー108aの操作量に比例した回転数となるようモータ11を駆動し、これにより施療子10は揉み動作を行う。上述したように記憶ボタン104及び停止ボタン105を押して制御部40が操作装置7の操作量を記憶し、再生ボタン106押すことにより過去のマッサージ動作を再現する場合、記憶・再生する情報に、上記スライドボリューム107,108の操作量を含めることも可能である。
なお、本実施の形態では、記憶ボタン104を押した場合に、操作装置7に設けられたスライドボリューム101及び傾倒センサ102の出力を制御部40が記憶する構成について説明したが、記憶ボタン104を押した場合に、エンコーダ53及び磁気センサ54が検出した信号を記憶してもよい。また、駆動回路50〜52へ回転指示信号を出力させるべくCPU41から入出力インタフェース44へ出力した信号を記憶するようにしてもよい。結局、記憶ボタン104を押した後、停止ボタン105が押されるまでのマッサージ機構6の動作を再現できるのであれば、如何なる情報を記憶するようにしてもよい。
次に、操作装置7の操作による本実施の形態に係るマッサージ装置1の動作、特に施療子10の揉み動作について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、上述したように、操作装置7の操作により、マッサージ装置1は揉み動作、たたき動作等を行うことができるが、その他、施療子10の前後位置調整、及び揉み幅調整等を行うこともできる。このような前後位置調整、揉み幅調整等のため、操作装置7には図示しないスイッチが別途設けられている。
更に、マッサージ装置1においては、例えば、背凭れ部3のリクライニング位置調整、各所に設けられた空気袋の膨張・収縮動作等が可能であるが、これらはコントローラ8(図1)を用いて行う。該コントローラ8を操作することによって実現される上述したようなマッサージ装置1の動作及びコントローラ8の構成は公知のものであるため、ここでの説明は省略する。
図8に示すように、マッサージ装置1の本体電源が投入されると(S1)、直後に制御部40が起動(S2)し、操作装置7が基本姿勢であることを確認する(S3)。ここで、操作装置7の基本姿勢とは、ジョイスティック62が直立状態にあり、且つ、握り部63の左把持部材90及び右把持部材91が最離反位置にあること、即ち、被施療者が操作装置7を何ら操作していない状態での姿勢をいう。この基本姿勢の確認は、操作装置7に備えられたスライドボリューム101及び傾倒センサ102の夫々が所定の基準位置を検出することにより行われる。
ステップS3で操作装置7の基本姿勢を確認すると、制御部40は、操作装置7の操作に基づくマッサージ機構6の制御モードを、後述するモードAとし(S4)、被施療者による握り部63の操作(S5)に応じて揉み動作を実行する(S6)。その後、制御部40は、握り部63の操作量と所定の閾値とを比較し(S7)、操作量がこの閾値未満である間は(S7:NO)モードAに基づくマッサージ機構6の制御を継続する。ここで、上記閾値とは、制御部40がマッサージ機構6を制御する際の制御モードが、後述するモードAからモードBへ切り換わるときの閾値をいう。
本実施の形態に係るモードAとは、所定の軌道R1に沿って施療子10を移動させる制御モードをいう。以下、図9を用いてモードAに基づくマッサージ機構6の動作について説明する。図9(a)は、モードAに係る施療子10の移動態様(軌道R1)を示す模式図であり、左右の施療子10,10が最も離反した初期位置P0(Y0,Z0)を原点として近接する方向にY軸、前方へZ軸をそれぞれ設けてある。
図9(a)に示すように、モードAに係る軌道R1とは、左右で対を成す施療子10,10が最も離反する初期位置P0から相互に近接しつつ前方へ向かい、最も近接する近接位置P1(Y1,Z1)まで移動するときの略円弧状の軌道をいう。そして、モードAに基づく制御のもとで左右の施療子10,10は、軌道R1に沿って相互に近接又は離反するように移動される。制御部40が、スライドボリューム101からの信号に基づき、モータ11を駆動する駆動回路50へ適切な回転指示信号を発することにより、このモードAは実現される。
このモードAでの握り部63の操作と揉み動作との関係を、図9(b)〜(d)を用いて更に説明する。図9(b)は、握り部63の操作量(X)の時系的変化を示すグラフ、図9(c)は、施療子10の左右位置(Y)の時系的変化を示すグラフ、図9(d)は、施療子10の前後位置(Z)の時系的変化を示すグラフである。なお、図9(b)において握り部63の操作量を表す縦軸Xは、左把持部材90と右把持部材91とが互いに最も離反した初期位置P0にあるときを原点とし、両者が近接するに従って操作量が増加するものとして表している。また、図9(c)に示すグラフの縦軸Yと、図9(d)に示すグラフの縦軸Zとは、図9(a)に示したY軸、Z軸とそれぞれ同じ設定で設けている。
時刻t=0にて、左右の施療子10は、初期位置P0にある(図9(a))。握り部63の操作量Xの増加に伴い(図9(b))、制御部40は、操作量Xに比例する回転角度だけ一方向へモータ11を回転させるべく、駆動回路50へ回転指示信号を出力する。その結果、施療子10は、握り部63の操作量Xに比例する距離だけ互いに近接方向(Y軸正方向)へ移動し、且つ、円弧状の軌道R1を描くように前方(Z軸正方向)へ移動する(図9(a),(c),(d)の往路110参照)。
握り部63の操作量Xが、所定の閾値X2を超えない値X1(X1<X2:時刻t1)で増加から減少に転じると、制御部40は、操作量Xに比例する回転角度だけ、時刻t1以前とは逆の他方向へモータ11を回転させるべく、駆動回路50へ回転指示信号を出力する。その結果、施療子10は近接位置P1より手前の位置PA(YA,ZA)(ここでYA,ZAは、Y0<YA<Y1,Z0<ZA<Z1)で折り返し、時刻t1までとは反対向きに、軌道R1に沿って互いに離反する方向へ移動して初期位置P0へ戻る(図9(a),(c),(d)の復路111参照)。即ち、握り部63の操作量Xが、0の状態から所定の閾値X2までの範囲で増減する場合、施療子10は、軌道R1に沿って近接位置P1より手前で折り返し、操作量Xに応じた距離の往復動作をする。
なお、握り部63の操作量Xが、閾値X2のごく近傍であるとき、操作量Xの変化量が微少であれば施療子10が位置変化しないようにしてもよい。即ち、握り部63の操作に関し、操作量X2のごく近傍に、いわゆる遊びを設けてもよい。
ステップS6でのモードAに基づく揉み動作の実行中、制御部40は、握り部63の操作量Xと所定の閾値X2との大小を比較し(S7)、操作量Xが閾値X2に等しくなったと判断した場合(S7:YES)、制御部40は、操作装置7の操作に基づくマッサージ機構6の制御モードをモードBとし(S8)、被施療者による握り部63の操作(S9)に応じて揉み動作を実行する(S10)。
ここで、本実施の形態に係るモードBとは、操作量Xが閾値X2と等しくなったとき以降、施療子10を、モードAに係る軌道R1とは異なる軌道R2に沿って移動させる制御モードをいう。以下、図10を用いてモードBに基づくマッサージ機構6の動作について説明する。図10(a)は、モードBに係る施療子10の移動態様(軌道R2)を示す模式図であり、図9(a)と同様にY軸及びZ軸を設けてある。
図10(a)に示すように、モードBに係る軌道R2とは、左右で対を成す施療子10,10が、近接位置P1(Y1,Z1)から後方(Z軸負方向)へ向かいつつ左右の外方(Y軸負方向)へ向かい、Z軸の原点を超えて更に後方へ向かって後方位置P2(Y2,Z2)(ここでY2,Z2は、Y0<Y2<Y1,Z2<0)に至り、更にその後、Y軸負方向へ向かいつつZ軸方向の向きを転じて前方(Z軸正方向)へ向かい、最終的に初期位置P0へ到達する移動軌跡をいう。制御部40がスライドボリューム101からの信号に基づき、モータ11を駆動する駆動回路50へ適切な回転指示信号を発することにより、このモードBは実現される。
このモードBでの握り部63の操作と揉み動作との関係を、図10(b)〜(d)を用いて更に説明する。図10(b)は、握り部63の操作量(X)の時系的変化を示すグラフ、図10(c)は、施療子10の左右位置(Y)の時系的変化を示すグラフ、図10(d)は、施療子10の前後位置(Z)の時系的変化を示すグラフである。なお、図10(b)〜(d)に示す縦軸X,Y,Zは、上述した図9(b)〜(d)に示す縦軸X,Y,Zと同じ設定で設けてある。
時刻t=0にて、左右の施療子10は初期位置P0にある(図9(b))。握り部63の操作量Xの増加に伴い(図10(b))、制御部40は、モードAに基づいて施療子10の動作制御を行い、操作量Xに比例する回転角度だけ一方向へモータ11を回転させるべく、駆動回路50へ回転指示信号を出力する。従って、施療子10は、握り部63の操作量Xに応じて円弧状の往路110に沿って近接位置P1へ向かって移動する。
制御部40が、時刻t2に握り部63の操作量Xが所定の閾値X2に等しいと判断した場合(図8のステップ7)、制御部40の制御モードはモードAからモードBに移行し(図8のS8)、このモードB基づいて施療子10の動作制御を行う。即ち、モードBへの移行後、握り部63の操作量Xが閾値X2で増加から減少に転ずると(時刻t2)、モータ11の回転方向を逆転することなく、時刻t2以前と同じ方向へ操作量Xに比例する回転角度だけ回転させるべく、駆動回路50へ回転指示信号を出力する。その結果、施療子10は、近接位置P1からは、モードAでの軌道R1の復路111とは異なる軌道R2に沿った復路112で途中時刻t3に後方位置P2を経由し、互いに離反する方向へ移動して初期位置P0へ向かう(図10(a),(c),(d))。
このようなステップ10でのモードBに基づく揉み動作の実行後、制御部40は、操作装置7が基本姿勢に戻ったか否かを判別する(S11)。そして基本姿勢に戻っていない場合(S11:NO)は、ステップS8からのモードBに基づくマッサージ動作を継続し、基本姿勢に戻ったと判別した場合には(S11:YES)、ステップ4に戻ってモードAに基づくマッサージ動作を実行する。
以上に説明したように、本実施の形態に係るマッサージ装置1では、操作装置7の握り部63の操作量が、所定の閾値X2を超えるか否かにより、異なるモードA,Bに基づいて施療子10を異なる軌道R1,R2に沿って動作させることが可能である。即ち、握り部63の操作量が閾値X2以下で増減する場合、施療子10は、この操作量に応じて軌道R1上を往復動作する。一方、握り部63の操作量が一旦閾値X2より大きくなると、その後に操作装置7が再び基本姿勢となるまでの間は、施療子10は近接位置P1から軌道R2に沿って移動することとなる。
ところで、モードA,Bに基づいて施療子10が動作する軌道は、図9,10に示したものに限られない。以下、本実施の形態に係るマッサージ装置1において施療子10が動作し得る他の軌道について図11〜図13を用いて説明する。
図11(a)は、図9(a)に示したのと同一であって初期位置P0から近接位置P1へ至る軌道R1を示している。図11に示す例では、制御モードが移行する握り部63の操作量の閾値は、施療子10が近接位置P1にあるときの操作量に設定されており、握り部63の操作量がこの閾値未満ではモードA11、閾値以上ではモードB11になる。従って、図11(a)に示すように、モードA11において施療子10は、初期位置P0と近接位置P1との間を軌道R1に沿って往復動する(往路110及び復路111参照)。
図11(b)は、上記モードA11から移行するモードB11において施療子10が移動する軌道の一例を示した模式的図面である。この例では、軌道R1に沿って初期位置P0から近接位置P1へ向かい(往路110参照)、握り部63の操作量が閾値に等しくなって施療子10が近接位置P1に達するとモードB11に移行する。ここで握り部63の操作量が増加から減少に転ずると、施療子10は、モードA11での復路111とは異なる復路112に沿って移動し、近接位置P1から初期位置P0へ戻る。この復路112では、モードA11に係る復路111に沿って近接位置P1から初期位置P0へ施療子10を移動させつつ、モータ12を一定速度で回転駆動させることにより、モードA11に係る復路111に沿った施療子10の動作に、たたき動作を重畳させてある。
図11(c)は、モードA11から移行するモードB11において施療子10が移動する軌道の他の例を示した模式的図面である。この例では、軌道R1に沿って初期位置P0から近接位置P1へ向かい(往路110参照)、握り部63の操作量が閾値に等しくなって施療子10が近接位置P1に達するとモードB11に移行する。ここで握り部63の操作量が増加から減少に転ずると、施療子10は、モードA11での復路111とは異なる復路112に沿って移動し、近接位置P1から初期位置P0へ戻る。この復路112では、図10(a)に示したのと同じ軌道R2に沿って近接位置P1から初期位置P0へ施療子10を移動させつつ、モータ12を一定速度で回転駆動させることにより、軌道R2に沿った施療子10の動作に、たたき動作を重畳させてある。
図12(a)は、図11(a)に示した閾値未満の施療子10の動作に、前後方向のたたき動作を重畳させたときの施療子10の移動軌跡(往路110,復路111)を示している。図12に示す例においても、制御モードが移行する閾値は、施療子10が近接位置P1にあるときの操作量に設定されており、握り部63の操作量がこの閾値未満ではモードA12、閾値以上ではモードB12になる。そして、図12(a)に示すように、モードA12において施療子10は、初期位置P0と近接位置P1との間を、軌道R1に沿って往復動すると同時に、前後方向のたたき動作を行う。
図12(b)は、上記モードA12から移行するモードB12において施療子10が移動する軌道の一例を示した模式的図面である。この例では、モータ12を回転駆動させて前後方向のたたき動作を行いつつ軌道R1に沿って初期位置P0から近接位置P1へ向かい(往路110参照)、握り部63の操作量が閾値に等しくなって施療子10が近接位置P1に達するとモードB12に移行する。ここで握り部63の操作量が増加から減少に転ずると、施療子10は、モードA12に係る復路111とは異なる復路112に沿って移動し、近接位置P1から初期位置P0へ戻る。この復路112では、モータ12が停止され、施療子10は軌道R1に沿って近接位置P1から初期位置P0へ移動する。
図12(c)は、モードA12から移行するモードB12において施療子10が移動する軌道の他の例を示した模式的図面である。この例では、モータ12を回転駆動させて前後方向のたたき動作を行いつつ軌道R1に沿って初期位置P0から近接位置P1へ向かい(往路110参照)、握り部63の操作量が閾値に等しくなって施療子10が近接位置P1に達するとモードB12に移行する。ここで握り部63の操作量が増加から減少に転ずると、施療子10は、モードA12に係る復路111とは異なる復路112に沿って移動し、近接位置P1から初期位置P0へ戻る。この復路112では、モータ12を回転駆動させてまま、図10(a)に示したのと同じ軌道R2に沿って近接位置P1から初期位置P0へ施療子10を移動させ、軌道R2に沿った施療子10の動作に、たたき動作を重畳させてある。
図13は、図9を用いて説明した操作量X2より小さい操作量X3を閾値とする場合の施療子10の移動軌跡(往路110,復路111,112)を示している。この場合、施療子10が軌道R1上の初期位置P0と近接位置P1との間の位置P3あるときに操作量は閾値X3に等しくなり、操作量がこの閾値X3未満でモードA13、閾値X3以上ではモードB13になる。そして、図13(a)に示すように、モードA13においては、施療子10は初期位置P0と位置P3との間を軌道R1に沿って往復動する(往路110及び復路111参照)。
図13(b)は、上記モードA13から移行するモードB13において施療子10が移動する軌道の一例を示した模式的図面である。この例では、軌道R1に沿って初期位置P0から位置P3へ向かい(往路110参照)、握り部63の操作量が閾値X3に等しくなるとモードB13に移行し、モードA13に係る復路111とは異なる復路112に沿って移動する。この復路112に沿って移動する施療子10は、位置P3を通過した後も近接位置P1に達するまでは軌道R1に沿って移動し、近接位置P1に達した後は、図10(a)に示したのと同じ軌道R2に沿って近接位置P1から初期位置P0へ移動する。
図13(c)は、モードA13から移行するモードB13において施療子10が移動する軌道の他の例を示した模式的図面である。この例では、軌道R1に沿って初期位置P0から位置P3へ向かい(往路110参照)、握り部63の操作量が閾値X3に等しくなるとモードB13に移行し、モードA13に係る復路111とは異なる復路112に沿って移動する。この復路112に沿って移動する施療子10は、位置P3を通過した後、モータ12の回転駆動によって前後方向のたたき動作が重畳された状態で、初期位置P1に達するまで軌道R1に沿って移動する。そして、近接位置P1に達した後は、同様にたたき動作が重畳された状態で、軌道R1に沿って逆向きに初期位置P0まで移動する。
図13(d)は、モードA13から移行するモードB13において施療子10が移動する軌道の更に他の例を示した模式的図面である。この例では、軌道R1に沿って初期位置P0から位置P3へ向かい(往路110参照)、握り部63の操作量が閾値X3に等しくなるとモードB13に移行し、モードA13に係る復路111とは異なる復路112に沿って移動する。この復路112に沿って移動する施療子10は、位置P3を通過した後、モータ12の回転駆動によって前後方向のたたき動作が重畳された状態で、初期位置P1に達するまで軌道R1に沿って移動する。そして、近接位置P1に達した後は、同様にたたき動作が重畳された状態で、図10(a)に示したのと同じ軌道R2に沿って近接位置P1から初期位置P0へ移動する。
上述の図11〜図13で説明したモードA11〜A13に係るは、図8に示すフローチャートのステップ4にて実行し、これから移行するモードB11〜B13に係る動作は、ステップ8にて実行すればよい。また、軌道R1,R2に沿った施療子10の移動動作にたたき動作を重畳させる他、この施療子10の移動動作に、モータ12を変則的に回転させて実現する指圧動作を重畳させてもよい。即ち、図11〜図13において、たたき動作を重畳させた施療子10の動作において、たたき動作に換えて指圧動作を重畳させてもよい。
ところで、操作装置7の構成は上述したものに限られず、他の構成による操作装置を本発明に係るマッサージ装置に適用することも可能である。
図14は、他の操作装置120の構成を示す断面図である。この操作装置120は、マッサージ装置1のアームレスト基部5b(図1)から延びる支柱121と、該支柱121の上部に固定された握り部122とを備えている。支柱121は適度に変形が可能なように構成されており、被施療者は、握り部122を握ったまま背凭れ部3をリクライニングできるようになっている。この握り部122は、紡錘形状であって中空を成し、ゴム等の弾性体で構成されており、人手で握った場合には径方向に容易に変形可能な程度の弾性を有している。
握り部122の内部空間には、圧縮空気等の流動体123が封入されており、この流動体123の圧力を検出するための圧力センサ124が内蔵されている。圧力センサ124の検出信号は、支柱121内に通された信号線125を伝ってマッサージ装置1の制御部40(図3)に入力されるようになっている。なお、このような操作装置120の構成については、本願出願人による特開2003−180776号公報(図1,図2)にて詳細が開示されているため、ここでの更なる詳説は省略する。
上述した操作装置120を用いる場合、被施療者が握り部122を握ると、その握力に応じて内部の流動体123が加圧され、該流動体123の圧力を検出した圧力センサ124から制御部40へ信号が出力される。制御部40は、入力された圧力に応じた信号に基づき、マッサージ機構6を制御する。即ち、モードAの制御モードの下、流動体123に加わる圧力の大きさに応じて施療子10を動作させ(図8:S1〜S6)、予め設定された圧力に関する閾値と検出した圧力とを比較し(図8:S7)、前記閾値を超えた場合にはモードBの制御モードの下、施療子10の動作を制御する(図8:S8〜S11)。このようにして、操作装置120を用いる場合も、図8に一例を示したフローチャートに従い、マッサージ機構6の動作を制御することができる。
上記操作装置120は、流動体123の圧力に基づいてマッサージ機構6を制御するため、高い精度での施療子10の動作制御が可能であり、また、被施療者による操作が、実際の揉み動作を行う人手の感覚に近いものとなり、操作感に優れる。更に、操作装置120はマッサージ装置1において固定的に設けられておらず、支柱121の可動範囲内での自由な位置で握り部122を握ることができるため、背凭れ部3のリクライニング位置にかかわらず被施療者は操作装置120を操作することができるという利点がある。
上述した操作装置7,120の他にも、例えば特開2002−45408号公報の第7図に示されるような操作具を用いてもよく、更に、光学式のトラックボール、スライドボリューム、ペンタブレット、音声などを利用し、図8に一例を示す動作処理を実現することも可能である。結局、操作装置としては、外部からの連続的な入力を受け付けて、その入力量に応じた信号を出力可能なものであれば本願発明に係るマッサージ装置1に適用することができる。
また、上述した実施の形態では、背凭れ部3内の施療子10による揉み動作に注目し、操作量に応じて異なる移動軌跡に沿って施療子10を動作させる場合について説明したが、本願発明に係るマッサージ装置は他にも適用可能である。例えば、操作装置7の操作量が所定の閾値を超える前と超えた後とで、フットレスト4(図1)の各所に設けられた空気袋47(図3)への給排気によるマッサージ動作を異ならしめるよう、該空気袋47へ給排気を行わせる駆動回路45を制御してもよい。