JP4498004B2 - 水晶振動子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水晶発振器やジャイロセンサ等に利用され、発信周波数のばらつきが少ない水晶振動子を製造するための製造方法に関する。
水晶発振器やジャイロセンサに利用される水晶振動子は、水晶基板から所望の形状の水晶片を切り出す工程、水晶片を発振させるための電極を形成する工程、及び電極が形成された水晶片を容器に実装する工程等によって製造される。水晶振動子の発振周波数は水晶片の外形形状に大きく依存するため、水晶基板から水晶片を切り出す工程は、水晶振動子の性能を決定する重要な工程である。
従来、水晶基板から水晶片を切り出す工程には、切削加工法又はエッチング法が用いられてきた。特に、水晶基板を化学的に溶解させて加工するエッチング法は、微細で高精度な加工が可能であることから、小型の水晶振動子を製造する場合に用いられることが多い。
従来の、エッチング法による水晶片の加工方法の一例(例えば、特許文献1、特許文献2参照)を図6に示す。最初に、図6(a)に示すように、水晶基板10の両面に遮光性を有するマスク層21及び22をそれぞれ成膜し、マスク層21の上には感光性材料であるレジスト層31を形成し、マスク層22の上には感光性材料であるレジスト層32を形成する。
次に、図6(b)に示すように、水晶基板10に平行に、露光マスク11及び12を配置して両方向から露光を行い、レジスト層31及び32の所定部分のみを感光させる。
次に、専用の現像液を用いてレジスト層31及び32を現像し、図6(c)に示すようなパターン化されたレジスト層33及び34を形成する。さらに、レジスト層33及び34をマスクとして利用し、エッチング液によって、マスク層21及び22でレジスト層33及び34が形成されていない部分を除去する。それによって、図6(d)に示すように、パターン化されたマスク層23及び24を形成する。
次に、図6(e)に示すように、レジスト層33とマスク層23、及びレジスト層34とマスク層24を、それぞれマスクとして利用しながら、水晶基板10をエッチングし、水晶片15を切り出す。最後に、図6(f)に示すように、レジスト層33及び34、マスク層23及び24を除去して、水晶片15を得る。
従来の、エッチング法による水晶片の加工方法の他の例(例えば、特許文献3参照)を図7に示す。最初に、図7(a)に示すように、水晶基板10の両面に透明膜41及び42をそれぞれ成膜し、透明膜41の上には感光性材料であるレジスト層31を形成し、透明膜42の上には感光性材料であるレジスト層32を形成する。
次に、図7(b)に示すように、水晶基板10に平行に、露光マスク13を配置して一方向から露光を行い、レジスト層31及び32の所定部分のみを感光させる。
次に、専用の現像液を用いてレジスト層31及び32を現像し、図7(c)に示すようなパターン化されたレジスト層33及び34を形成する。さらに、レジスト層33及び34をマスクとして利用し、エッチング液によって、透明膜41及び42でレジスト層33及び34が形成されていない部分を除去する。それによって、図7(d)に示すように、パターン化された透明膜43及び44を形成する。
次に、図7(e)に示すように、レジスト層33と透明膜43、及びレジスト層34と透明膜44を、それぞれマスクとして利用しながら、水晶基板10をエッチングし、水晶片16を切り出す。最後に、図7(f)に示すように、レジスト層33及び34、透明膜43及び44を除去して、水晶片16を得る。
特開昭56−106412(第4頁、図1) 特開平11−199400(第1頁、図6) 特開平10−270967(第1頁、図3)
図6に示す従来のエッチング法による水晶片の加工方法においては、水晶片15の形状を(図中において)上下対象にするためには、図6(b)の工程において、露光マスク11及び12の描画パターンの位置合わせを正確に行う必要があった。そこで、水晶基板10の(図中)の上側の面と下側の面とを同時に観察できる光学系を設置し、10〜100倍程度のスコープを用いて、露光マスク11及び12の位置合わせを行っていた。
一般に、露光マスク11及び12の配置を正確に観察するためには、低倍率(10倍程度)より高倍率(100倍程度)のスコープを用いた方が良い。しかしながら、高倍率のスコープを用いると、水晶基板10を挟んで両側に配置される露光マスク11及び12の両方に同時にピントを合わせることが難しい。したがって、従来ではどんなに正確に露光マスク11及び12の位置合わせを行おうとしても、必ず数μm程度のズレ(s)が発生する。
図6(b)におけるズレ(s)は、最終的には、図6(f)に示すように、いびつな断面形状を有する水晶片15を形成させてしまう。このようないびつな断面形状を有する水晶片15は、設計通りに振動せず、その結果、水晶片15を用いた水晶振動子は、設計通りの発振周波数及び精度を有することができない。
また、図6(b)におけるズレ(s)は、常に一定量だけ発生するわけではなく、少なくとも数μmのばらつきをもって発生する。したがって、加工される水晶片15の形状も一定ではなく、数μmの範囲でばらつく。水晶振動子の発振周波数は、水晶片の外形形状に依存するため、ばらついて加工された水晶片15を利用して製造された水晶振動子の発振周波数もばらついてしまう。したがって、個体間の発振周波数がばらつき、製品の信頼性が得られなくなってしまう。
図7に示す従来のエッチング法による水晶片の加工方法においては、2つの露光マスクの位置合わせを行う必要はない。しかしながら、水晶基板10の透過率が100%(93〜95%)ではないことから、一方向からの露光による光は、水晶基板10を通過する際に減衰及び拡散してしまい、レジスト31を照射する光量が低下する。したがって、図7(c)の工程で除去されるレジスト31の部分が小さくなり、パターン33の幅がパターン34の幅よりr(1〜2μm)だけ広くなってしまう。
図7(c)における差rは、最終的には、図7(f)に示すように、いびつな断面形状を有する水晶片16を形成させてしまう。このようないびつな断面形状を有する水晶片16は、設計通りに振動せず、その結果、水晶片16を用いた水晶振動子は、設計通りの発振周波数及び精度を有することができない。
また、図7(c)における差rは、常に一定量だけ発生するわけではなく、ばらつきをもって発生する。したがって、加工される水晶片16の形状も一定ではなく、所定の範囲でばらつく。水晶振動子の発振周波数は、水晶片の外形形状に依存するため、ばらついて加工された水晶片16を利用して製造された水晶振動子の発振周波数もばらついてしまう。したがって、個体間の発振周波数がばらつき、製品の信頼性が得られなくなってしまう。
本発明の目的は、上記不具合を解決することが可能な水晶振動子の製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明の目的は、設計通りの発振周波数を有し、個体間の発振周波数のばらつきが少なく、信頼性の高い水晶振動子を得ることが可能な水晶振動子の製造方法を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明の目的は、対象な断面形状を有する水晶片を容易に製造することが可能な水晶振動子の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る水晶振動子の製造方法は、水晶基板の一方の面上に第1レジスト層を形成し、第1露光量により第1レジスト層を露光してパターン化された第1マスク層を形成し、水晶基板の他方の面上に第2レジスト層を形成し、第1マスク層を利用して第2露光量により水晶基板を介して第2レジスト層を露光してパターン化された第2マスク層を形成し、パターン化された第1マスク層及びパターン化された第2マスク層を利用し、水晶基板をエッチングして水晶片を形成する、工程を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法においては、第1露光量及び第2露光量は、パターン化された第1マスク層のパターン及びパターン化された第2マスク層のパターンが、ほぼ同じ形状となるように選択されることが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法においては、第1マスク層は、水晶基板をエッチングするためのエッチング液に対する耐食性を有することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法においては、パターン化された第2マスク層を形成する工程は、第2レジスト層の露光により感光された部分を除去することによって、パターン化された第2マスク層を形成する工程を含むことが好ましく、第2レジスト層は、水晶基板をエッチングするためのエッチング液に対する耐食性を有し、且つ露光により感光した部分が溶解除去される感光性材料であることが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法においては、第2レジスト層と水晶基板との間に水晶基板をエッチングするためのエッチング液に対する耐食性を有し且つ透明性を有する透明性マスク層を形成する工程をさらに有することが好ましく、パターン化された第2マスク層を形成する工程は、第2レジスト層の露光により感光した部分を除去することによってパターン化された第2レジスト層を形成し、パターン化された第2レジスト層をマスクとして利用して透明性マスク層をパターン化してパターン化された第2マスク層を形成する工程を含むことが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法においては、パターン化された第2マスク層を形成する工程は、第2レジスト層の露光により感光した部分以外を除去することによってパターン化された第2レジスト層を形成し、パターン化された第2レジスト層の上から第2マスク層を形成し、パターン化された第2レジスト層を除去することによってパターン化された第2マスク層を形成する、工程を含むことが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法においては、第2レジスト層と水晶基板との間に薄膜マスク層を形成する工程をさらに有することが好ましく、さらに、パターン化された第2マスク層を形成する工程は、第2レジスト層の露光された部分を除去することによって、パターン化された第2レジスト層を形成し、パターン化された第2レジスト層をマスクとして利用して薄膜マスク層をパターン化してパターン化された第2マスク層を形成する工程を含むことが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法においては、薄膜マスク層は、Au膜及びCr膜から構成される積層膜であり、0.4%〜1.7%の透過率を有し、Au膜は0.06〜0.10μmの膜厚を有し、Cr膜は0.01〜0.05μmの膜厚を有することが好ましい。
さらに、本発明に係る水晶振動子の製造方法においては、水晶片に電極を取り付け、電極が取り付けられた水晶片を容器に実装する工程をさらに有することが好ましい。
本発明に係わる水晶振動子の製造方法では、水晶基板の一方の面上に形成されたパターン化されたマスク層が、水晶基板の他方の面上に形成されるレジスト層のための露光マスクの役目を果たしている。したがって、複数の露光マスクの位置合わせを行う必要がなく、ミクロン以下の精度で水晶基板の両面に形成されるマスク層の位置合わせを行うことが可能となった。また、露光マスクの位置合わせ作業が不要となったことで、工程が簡略化され、作業効率が上がり、生産性を向上させることができた。
また、本発明に係わる水晶振動子の製造方法では、水晶基板の一方の面上に形成されたパターン化されたマスク層を形成するための第1露光量と、水晶基板の他方の面上に形成されたパターン化されたマスク層を形成するための第2露光量とを個別に制御している。したがって、水晶基板の両面に形成されるマスクのパターンをほぼ同じ形状とすることができた。
さらに、本発明に係わる水晶振動子の製造方法では、水晶片の外形寸法を、設計値と比較して1μm以下の誤差で形成することができた。また、その断面形状も、いびつな形状とはならなかった。
さらに、本発明に係わる水晶振動子の製造方法では、水晶片を用いた水晶振動子の発振周波数を、設計値と比較して数十Hz以下の誤差まで抑えることができ、精度と信頼性の高い水晶振動子を製造することが可能となった。
以下図面を参照しながら、本発明に係る水晶振動子の製造方法について説明する。
図1及び図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係わる水晶振動子の製造方法について説明する。
図1(a)に示すように、200μmの膜厚を有する水晶基板100の一方の面の全面にマスク層200をスパッタリング法又は蒸着法によって成膜する。マスク層200は、上層がAu層、下層(水晶基板100側)がCr層から構成される積層膜(Au/Cr膜)である。Au層は0.15μm、Cr層は0.05μmの膜厚を有している。マスク層200の上全面に、レジスト層300を形成する。レジスト層300は、クラリアント社製ポジ型レジスト(商品名:AZ−P1350)をスピンコート法(2000rpm、30秒)により約1μmの厚みで塗布し、その後空気循環式オーブンでプリベーク(露光前熱硬化処理)(90℃、20分間)して形成した。
次に、図1(b)に示すように、水晶基板100に平行にマスク1000を配置して、第1露光を行い、レジスト層300の所定部分のみを感光させる。第1露光の露光量は、50mJ/cm2とした。
次に、レジスト層300を現像し、図1(c)に示すようなパターン化されたレジスト層310を形成する。現像液は、AZ−P1350の専用現像液を使用した。レジスト層300は、ポジ型レジストを利用しているため、光に感光した部分が除去される。
次に、パターン化されたレジスト層310をマスクとして利用して、マスク層200のエッチングを行い、図1(d)に示すようなパターン化されたマスク層210を形成する。ここで、Au膜に対しては王水で、Cr膜に対しては硝酸系エッチング液で、エッチングを行った。
次に、図1(e)に示すようにレジスト310を除去する。ここでは、AZ−P1350の専用剥離液によってレジスト310を除去した。
次に、図2(f)に示すように、水晶基板100のマスク層210が形成されていない他方の面上に、レジスト層400を形成する。レジスト層400は、クラリアント社製ポジ型レジスト(商品名:AZ−P1350)をスピンコート法により約1μmの厚みで塗布し、その後空気循環式オーブンでプリベーク(90℃、20分間)して形成した。
次に、図2(g)に示すように、水晶基板100のマスク層210が形成されている側から水晶基板100を介して第2露光を行い、レジスト層400の所定の部分を感光させた。マスク層210が形成されている部分では、マスク層210で遮光されてレジスト層400に光が届かないが、水晶基板100が露出している部分では、レジスト層400まで光が届く。このようにして、マスク層210のパターンに応じて、レジスト層400を感光させることができる。第2露光の露光量は、60mJ/cm2とした。
その後、図2(h)に示すように、レジスト層400を現像して部分的に除去することによって、パターン化されたレジスト層410を形成する。前述したように、レジスト層400は、ポジ型レジストを利用しているため、光に感光した部分が除去される。したって、マスク層210と同様にパターン化されたレジスト層410が形成される。なお、レジスト層400の現像には、AZ−P1350の専用現像液を用いた。
その後、図2(i)に示すように、それぞれパターン化されたマスク層210及びレジスト層410をマスクとして利用して、水晶基板100をエッチングし、水晶片150を切出した。エッチングは、水晶基板100を50%フッ酸水溶液からなる50℃のエッチング液に3時間浸漬させることにより行った。この工程において、Au/Cr膜からなるマスク層210及びポジ型レジストAZ−P1350からなるレジスト層410も、エッチング液に冒されることはなかった。
通常、水晶のエッチングは、エッチング方向によってエッチング速度が異なる。この現象を、一般に、異方性エッチングと称する。このため、図2(i)に示すように、エッチングされる水晶片の一方の側面に傾斜状の形状が必ず形成される。但し、この傾斜状の形状は、水晶の結晶構造によって定まるものであるので、安定して一定量だけ形成される。したがって、このエッチング工程によって、水晶片150の外形形状がばらつくことはない。
最後に、図2(j)に示すように、マスク層210及びマスク層410を除去して、水晶片150が完成する。本工程では、Au/Cr膜からなるマスク層210は王水及び硝酸系エッチング液によって溶解除去し、AZ−P1350からなるレジスト層410はアセトンによって溶解除去した。
その後、水晶片を発振させるための電極を形成する工程、電極が形成された水晶片をプラスチック容器中等に実装する実装工程を経て、水晶振動子が完成する。電極形成工程及び実装工程は、公知の様々な方法を採用することができる。
なお、図2(g)に示す工程が、本実施形態に係わる製造方法における最も特徴的な工程である。即ち、水晶基板100上に形成されたパターン化されたマスク層210が、水晶基板100の他方の面のための露光マスクの役目を果たしている。その結果、複数の露光マスクの位置合わせを行う必要がない。
また、本実施形態では、マスク層210を形成するための第1露光と、レジスト層310を形成するための第2露光を個別の条件で行うことにより、マスク層210のパターンとレジスト層410のパターンを同一形状にするように制御している。図2(g)においてレジスト層400を感光する場合(第2露光)には、光は水晶基板100の透過率に従って減衰及び拡散する。したがって、図1(b)においてレジスト層300を感光する場合(第1露光)の露光量と図2(g)においてレジスト層400を感光する場合(第2露光)の露光量とを同一とすると、図2(h)において形成されるレジスト層410のパターンの形状が、マスク層210のパターンの形状より広くなってしまう。これは、レジスト層400がポジ型のレジストであり、光の感光した部分が図2(h)の工程で除去されるからである。そこで、本実施形態における製造方法では、図2(g)に示す第2露光において、第1露光より露光量を増加させるようにして、レジスト層410のパターンの形状と、マスク層210のパターンの形状が同一になるように制御している。これによって、最終的に製造される水晶片160の断面形状を設計通りに形成することが可能となる。なお、本実施形態のおける第1及び第2露光における露光量の値は、一例であって、当業者であれば、水晶基板100の厚さ、透過率等に応じた最適な値を選択することができる。
これに対して、図7に示す従来例では、水晶基板10の両側のパターンを1回の露光によって同時に形成するので、水晶基板10自体による露光量の減少によって、前述したように、露光側の面と逆側の面に形成されるパターンの大きさに差が生じてしまう。
本実施形態における水晶振動子の製造方法による水晶片の外形寸法は、設計値と比較して1μm以下の誤差で形成することができた、また、その断面形状も、いびつな形状とはならなかった。さらに、図1及び図2に記載される方法に従って加工された水晶片を用いた水晶振動子の発振周波数は、設計値と比較して数十Hz以下の誤差まで抑えることができた。これは、従来の水晶振動子の発振周波数が、設計値と比較して200Hz程度ばらついていたことと比べて、著しい差異である。
また、図1及び図2に記載される方法では、水晶基板100の片面上に形成されたパターン化されたマスク層210が、他方の面のための露光マスクの役目をしている。したがって、露光マスクの位置合わせ作業を行う必要がなく、工程を簡略化することができる。また、露光マスクの位置合わせ誤差によって、いびつな形状を有する水晶片が製造されることを防止できる。
このように、本発明によれば、高精度と信頼性の高い水晶振動子を製造することが可能となった。
次に、図3を用いて、本発明の第2の実施形態に係わる水晶振動子の製造方法について説明する。本実施形態では、透明性マスク層を利用して水晶片を加工する。
まず、図3(a)に示すように、水晶基板100の一方の面に必要とするパターン化されたマスク層210を形成する。マスク層210は、Au層とCr層の積層膜(Au/Cr膜)であって、上層のAu膜が0.1μm、下層のCr層が0.05μmの膜厚を有する。上記以外のマスク層210の形成方法は、第1露光(図1(b)参照)の露光量を含めて、図1(a)〜(e)に示す方法と同様であるので、詳細は省略する。
さらに、水晶基板100のマスク層210が形成されていない他方の面には、その全面に透明性マスク層500を成膜し、その上にレジスト層600を形成する。本実施形態における透明性マスク層500は、スパッタリング法によって、0.1μmの厚みに成膜された酸化アルミ膜である。なお、透明性マスク層500としては、透明性を有し且つ水晶基板のエッチング工程に用いられるエッチング液に対して耐食性を有していれば、他の材料を選択することもできる。また、本実施形態におけるレジスト層600は、東京応化社製ポジ型レジスト(商品名:OFPR800)をスピンコート法(2000rpm、30秒)により約1μmの厚みで塗布し、その後空気循環式オーブンでプリベーク(90℃、20分間)して形成した。
次に、図3(b)に示すように、水晶基板100のマスク層210が形成されている側から第2露光を行い、水晶基板100及び透明性マスク層500を介してレジスト層600の所定の部分を感光させた。マスク層210が形成されている部分では、マスク層210で遮光されてレジスト層600に光が届かないが、水晶基板100が露出している部分では、レジスト層600まで光が届く。このようにして、マスク層210のパターンに応じて、レジスト層600を感光させることができる。第2露光の露光量は、65mJ/cm2とした。
その後、レジスト層600を現像により部分的に除去することによって、パターン化されたレジスト層610を形成する。前述したように、レジスト層600は、ポジ型レジストを利用しているため、光に感光した部分が除去される。したって、マスク層210と同様にパターン化されたレジスト層610が形成される。なお、レジスト層600の現像には、OFPR800の専用現像液を用いた。次に、レジスト層610をマスクとして利用して、透明性マスク層500のエッチングを行い、図3(c)に示すように、パターン化された透明性マスク層510を形成した。透明性マスク層500のエッチングには、燐酸水溶液を用いた。
その後、図3(d)に示すように、レジスト層610を除去した。レジスト層610の除去には、OFPR800の専用剥離液を用いた。なお、図3(d)に示す工程を行わずに、後述する図3(e)に示す工程を行っても良い。
その後、図3(e)に示すように、それぞれパターン化されたマスク層210及び透明性マスク層510をマスクとして利用して、水晶基板100をエッチングし、水晶片160を切出した。エッチングは、水晶基板100を50%フッ酸水溶液からなる70℃のエッチング液に2時間浸漬させることにより行った。この工程において、Au/Cr膜からなるマスク層210及び酸化アルミ膜からなる透明性マスク層510も、エッチング液に冒されることはなかった。
通常、水晶のエッチングは、エッチング方向によってエッチング速度が異なる。この現象を、一般に、異方性エッチングと称する。このため、図3(e)に示すように、エッチングされる水晶片の一方の側面に傾斜状の形状が必ず形成される。但し、この傾斜状の形状は、水晶の結晶構造によって定まるものであるので、安定して一定量だけ形成される。したがって、このエッチング工程によって、水晶片160の外形形状がばらつくことはない。
最後に、図3(f)に示すように、マスク層210及び透明性マスク層510レジスを除去して、水晶片160が完成する。本工程では、Au/Cr膜からなるマスク層210は王水及び硝酸系エッチング液によって溶解除去し、酸化アルミ膜からなる透明性マスク層は燐酸水溶液によって溶解除去した。
その後、水晶片を発振させるための電極を形成する工程、電極が形成された水晶片をプラスチック容器中等に実装する実装工程を経て、水晶振動子が完成する。電極形成工程及び実装工程は、公知の様々な方法を採用することができる。
なお、図3(b)に示す工程が、本実施形態に係わる製造方法における最も特徴的な工程である。即ち、水晶基板100上に形成されたパターン化されたマスク層210が、水晶基板100の他方の面のための露光マスクの役目を果たしている。その結果、複数の露光マスクの位置合わせを行う必要がない。
また、本実施形態では、マスク層210を形成するための第1露光と、透明性マスク層510を形成するためのレジスト層610を形成するための第2露光を個別の条件で行うことにより、マスク層210のパターンと透明性マスク層510のパターンを同一形状にするように制御している。図3(b)においてレジスト層600を感光する場合(第2露光)には、光は水晶基板100及び透明性マスク層500の透過率に従って減衰及び拡散する。したがって、図1(b)においてレジスト層300を感光する場合(第1露光)の露光量と図3(b)においてレジスト層600を感光する場合(第2露光)の露光量とを同一とすると、図3(c)において形成されるレジスト層610のパターンの形状が、マスク層210のパターンの形状より広くなってしまう。これは、レジスト層600がポジ型のレジストであり、光の感光した部分が図3(c)の工程で除去されるからである。そこで、本実施形態における製造方法では、図3(b)に示す第2露光において、第1露光より露光量を増加させるようにして、透明性マスク層510のパターンの形状と、マスク層210のパターンの形状が同一になるように制御している。これによって、最終的に製造される水晶片160の断面形状を設計通りに形成することが可能となる。なお、本実施形態のおける第1及び第2露光における露光量の値は、一例であって、当業者であれば、水晶基板100及び透明性マスク層500の厚さ、透過率等に応じた最適な値を選択することができる。
本実施形態に従って加工された水晶片の外形寸法は、設計値と比較して1μm以下の誤差で形成することができた、また、その断面形状も、いびつな形状とはならなかった。さらに、本実施形態に従って加工された水晶片を用いた水晶振動子の発振周波数は、設計値と比較して数十Hz以下の誤差まで抑えることができた。これは、従来の水晶振動子の発振周波数が、設計値と比較して200Hz程度ばらついていたことと比べて、著しい差異である。
また、本実施形態では、水晶基板100の片面上に形成されたパターン化されたマスク層210が、他方の面のための露光マスクの役目をしている。したがって、露光マスクの位置合わせ作業を行う必要がなく、工程を簡略化することができる。また、露光マスクの位置合わせ誤差によって、いびつな形状を有する水晶片が製造されることを防止できる。
さらに、本実施形態では、透明性マスク層を用いたので、第1の実施形態に比べて、より高温で活性化したエッチング液を利用することができ、水晶基板のエッチング工程の処理時間を短縮することができた。
このように、本発明によれば、高精度と信頼性の高い水晶振動子を製造することが可能となった。
次に、図4を用いて、本発明の第3の実施形態に係わる水晶振動子の製造方法について説明する。本実施形態では、リフトオフ法を利用して水晶片を加工する。
まず、図4(a)に示すように、水晶基板100の一方の面に必要とするパターン化されたマスク層210を形成する。マスク層210は、Au層とCr層の積層膜(Au/Cr膜)であって、上層のAu膜が0.1μm、下層のCr層が0.05μmの膜厚を有する。上記以外のマスク層210の形成方法は、第1露光(図1(b)参照)の露光量を含めて、図1(a)〜(e)に示す方法と同様であるので、詳細は省略する。
さらに、水晶基板100のマスク層210が形成されていない他方の面には、その全面にレジスト層700を形成する。本実施形態におけるレジスト層700は、JSR社製ネガ型レジスト(商品名:THB−130N)をスピンコート法(2000rpm、30秒)により約10μmの厚みで塗布し、その後ホットプレート上でプリベーク(90℃、5分間)して形成した。
次に、図4(b)に示すように、水晶基板100のマスク層210が形成されている側から第2露光を行い、レジスト層700の所定の部分を感光させた。マスク層210が形成されている部分では、マスク層210で遮光されてレジスト層700に光が届かないが、水晶基板100が露出している部分では、レジスト層700まで光が届く。このようにして、マスク層210のパターンに応じて、レジスト層700を感光させることができる。第2露光の露光量は、250mJ/cm2とした。
その後、図4(c)に示すように、レジスト層700を現像により部分的に除去することによって、パターン化されたレジスト層710を形成する。前述したように、レジスト層700は、ネガ型レジストを利用しているため、光に感光した部分が不溶化し、光に感光した部分以外が除去される。したって、水晶基板100を挟んで、マスク層210が形成されていない部分に、パターン化されたレジスト層710が形成される。なお、レジスト層700の現像には、THB−130Nの専用現像液を用いた。
次に、図4(d)に示すように、水晶基板100のレジスト層710が形成されている面上に、スパッタリング法によってマスク層800を成膜する。マスク層800は、マスク層200と同様に、上層がAu層、下層(水晶基板100側)がCr層から構成される積層膜(Au/Cr膜)である。Au層は0.08μm、Cr層は0.03μmの膜厚を有している。
その後、図4(e)に示すように、マスク層800の下に配置されているレジスト層710を溶解除去することによって、レジスト層710の上のマスク層800を部分的に除去する。このようなパターン化法をリフトオフ法と呼ぶ。この結果、水晶基板100を挟んで、マスク層210が形成されている部分に、パターン化されたマスク層810が形成される。本実施形態では、THB−130N専用の剥離液によって、レジスト層710を除去し、リフトオフを行った。
その後、図4(f)に示すように、それぞれパターン化されたマスク層210及びマスク層810をマスクとして利用して、水晶基板100をエッチングし、水晶片170を切出した。エッチングは、水晶基板100を50%フッ酸水溶液からなる70℃のエッチング液に2時間浸漬させることにより行った。この工程において、Au/Cr膜からなるマスク層210及び810は、エッチング液に冒されることはなかった。
通常、水晶のエッチングは、エッチング方向によってエッチング速度が異なる。この現象を、一般に、異方性エッチングと称する。このため、図4(f)に示すように、エッチングされる水晶片の一方の側面に傾斜状の形状が必ず形成される。但し、この傾斜状の形状は、水晶の結晶構造によって定まるものであるので、安定して一定量だけ形成される。したがって、このエッチング工程によって、水晶片170の外形形状がばらつくことはない。
最後に、図4(g)に示すように、マスク層210及び810レジスを除去して、水晶片170が完成する。本工程では、マスク層210及び810がAu/Cr膜で形成されているので、両面同時に王水及び硝酸系エッチング液によって溶解除去した。
その後、水晶片を発振させるための電極を形成する工程、電極が形成された水晶片をプラスチック容器中等に実装する実装工程を経て、水晶振動子が完成する。電極形成工程及び実装工程は、公知の様々な方法を採用することができる。
なお、図4(b)に示す工程が、本実施形態に係わる製造方法における最も特徴的な工程である。即ち、水晶基板100上に形成されたパターン化されたマスク層210が、水晶基板100の他方の面のための露光マスクの役目を果たしている。その結果、複数の露光マスクの位置合わせを行う必要がない。
また、本実施形態では、マスク層210を形成するための第1露光と、マスク層810を形成するためのレジスト層710を形成するための第2露光を個別の条件で行うことにより、マスク層210のパターンとマスク層810のパターンを同一形状に形成するように制御している。図4(b)においてレジスト層700を感光する場合(第2露光)には、光は水晶基板100の透過率に従って減衰及び拡散する。したがって、図1(b)においてレジスト層300を感光する場合(第1露光)の露光量と図4(b)においてレジスト層700を感光する場合(第2露光)の露光量とを同一とすると、図4(c)において形成されるレジスト層710のパターンの形状が、それぞれ所定の間隔をもって形成されるマスク層210のそれぞれの間隔より狭くなってしまう。これは、レジスト層700がネガ型のレジストであり、光の感光した部分以外の部分が図4(c)の工程で除去されるからである。そこで、本実施形態における製造方法では、図4(b)に示す第2露光において、第1露光より露光量を増加させるようにして、マスク層810のパターンの形状と、マスク層210のパターンの形状が同一になるように制御している。これによって、最終的に製造される水晶片170の断面形状を設計通りに形成することが可能となる。なお、本実施形態のおける第1及び第2露光における露光量の値は、一例であって、当業者であれば、水晶基板100の厚さ、透過率等に応じた最適な値を選択することができる。
本実施形態に従って加工された水晶片の外形寸法は、設計値と比較して1μm以下の誤差で形成することができた、また、その断面形状も、いびつな形状とはならなかった。さらに、本実施形態に従って加工された水晶片を用いた水晶振動子の発振周波数は、設計値と比較して数十Hz以下の誤差まで抑えることができた。これは、従来の水晶振動子の発振周波数が、設計値と比較して200Hz程度ばらついていたことと比べて、著しい差異である。
また、本実施形態では、水晶基板100の片面上に形成されたパターン化されたマスク層210が、他方の面のための露光マスクの役目をしている。したがって、露光マスクの位置合わせ作業を行う必要がなく、工程を簡略化することができる。また、露光マスクの位置合わせ誤差によって、いびつな形状を有する水晶片が製造されることを防止できる。
さらに、本実施形態では、リフトオフ法を用いて、水晶基板100の両面に同じ材質のマスク層210及び810を形成したので、第1の実施形態に比べて、より高温で活性化したエッチング液を利用することができ、水晶基板のエッチング工程の処理時間を短縮することができた。
このように、本発明によれば、高精度と信頼性の高い水晶振動子を製造することが可能となった。
次に、図5を用いて、本発明の第4の実施形態に係わる水晶振動子の製造方法について説明する。
まず、図5(a)に示すように、水晶基板100の一方の面に必要とするパターン化されたマスク層210を形成する。マスク層210は、Au層とCr層の積層膜(Au/Cr膜)であって、上層のAu膜が0.1μm、下層のCr層が0.05μmの膜厚を有する。上記以外のマスク層210の形成方法は、第1露光(図1(b)参照)の露光量を含めて、図1(a)〜(e)に示す方法と同様であるので、詳細は省略する。
さらに、水晶基板100のマスク層210が形成されていない他方の面には、その全面に、スパッタリング法又は蒸着法によって薄膜マスク層900を成膜する。薄膜マスク層900は、マスク層200と同様に、上層がAu層、下層(水晶基板100側)がCr層から構成される積層膜(Au/Cr膜)である。Au層は0.07μm、Cr層は0.03μmの膜厚を有している。また、薄膜マスク層900の上面に、レジスト層420を形成する。レジスト層420は、クラリアント社製ポジ型レジスト(商品名:AZ−P1350)をスピンコート法(6000rpm、30秒)により0.4μmの厚みで塗布し、その後空気循環式オーブンでプリベーク(90℃、20分間)して形成した。
次に、図5(b)に示すように、水晶基板100のマスク層210が形成されている側から第2露光を行い、水晶基板100及び薄膜マスク層900を介してレジスト層420の所定の部分を感光させた。Au/Cr膜は通常不透明であるが、薄膜マスク層900は非常に薄いため、多少の光を透過させることができる。それに対してマスク層210は十分な厚さがあるため、光をほぼ完全に遮断することができる。したがって、マスク層210が形成されている部分では、マスク層210で遮光されてレジスト層420に光が届かないが、水晶基板100が露出している部分では、レジスト層420まで光が届く。このようにして、マスク層210のパターンに応じて、レジスト層420を感光させることができる。第2露光の露光量は、800mJ/cm2とした。
その後、図5(c)に示すように、レジスト層420を現像により部分的に除去することによって、パターン化されたレジスト層430を形成する。前述したように、レジスト層420は、ポジ型レジストを利用しているため、光に感光した部分が除去される。したって、水晶基板100を挟んで、マスク層210が形成されていない部分に、パターン化されたレジスト層430が形成される。なお、レジスト層420の現像には、AZ−P1350の専用現像液を用いた。
次に、図5(d)に示すように、レジスト層430をマスクとして利用して、薄膜マスク層900のエッチングを行い、パターン化された薄膜マスク層910を形成した。薄膜マスク層910のエッチングには、Au膜に対しては王水を、Cr膜に対しては硝酸系のエッチング液を用いた。
次に、図5(e)に示すように、レジスト層430を溶解除去した。溶解除去は、AZ−P1350の専用剥離液を用いた。
その後、図5(f)に示すように、それぞれパターン化されたマスク層210及び薄膜マスク層910をマスクとして利用して、水晶基板100をエッチングし、水晶片180を切り出した。エッチングは、水晶基板100を50%フッ酸水溶液からなる70℃のエッチング液に2時間浸漬させることにより行った。この工程において、Au/Cr膜からなるマスク層210及び830は、エッチング液に冒されることはなかった。
通常、水晶のエッチングは、エッチング方向によってエッチング速度が異なる。この現象を、一般に、異方性エッチングと称する。このため、図5(f)に示すように、エッチングされる水晶の一方の側面に傾斜状の形状が必ず形成される。但し、この傾斜状の形状は、水晶片の結晶構造によって定まるものであるので、安定して一定量だけ形成される。したがって、このエッチング工程によって、水晶片180の外形形状がばらつくことはない。
最後に、図5(g)に示すように、マスク層210及び910を除去して、水晶片180が完成する。本工程では、マスク層210及び910が共にAu/Cr膜で形成されているので、両面同時に王水及び硝酸系エッチング液によって溶解除去した。
その後、水晶片を発振させるための電極を形成する工程、電極が形成された水晶片をプラスチック容器中等に実装する実装工程を経て、水晶振動子が完成する。電極形成工程及び実装工程は、公知の様々な方法を採用することができる。
なお、図5(b)に示す工程が、本実施形態に係わる製造方法における最も特徴的な工程である。即ち、水晶基板100上に形成されたパターン化されたマスク層210が、水晶基板100の他方の面のための露光マスクの役目を果たしている。その結果、複数の露光マスクの位置合わせを行う必要がない。
また、本実施形態では、マスク層210を形成するための第1露光と、薄膜マスク層910を形成するためのレジスト層430を形成するための第2露光を個別の条件で行うことにより、マスク層210のパターンと薄膜マスク層910のパターンとを同一形状に形成するように制御している。図5(b)においてレジスト層420を感光する場合(第2露光)には、光は水晶基板100及び薄膜マスク層900の透過率に従って減衰及び拡散する。したがって、図1(b)においてレジスト層300を感光する場合(第1露光)の露光量と図5(b)においてレジスト層420を感光する場合(第2露光)の露光量とを同一とすると、図5(c)において形成されるレジスト層430のパターンの形状が、マスク層210のパターンの形状より広くなってしまう。これは、レジスト層420がポジ型のレジストであり、光の感光した部分が図5(c)の工程で除去されるからである。そこで、本実施形態における製造方法では、図5(b)に示す第2露光において、第1露光より露光量を増加させるようにして、薄膜マスク層910のパターンの形状と、マスク層210のパターンの形状が同一になるように制御している。これによって、最終的に製造される水晶片180の断面形状を設計通りに形成することが可能となる。なお、本実施形態のおける第1及び第2露光における露光量の値は、一例であって、当業者であれば、水晶基板100及び薄膜マスク層900の厚さ、透過率等に応じた最適な値を選択することができる。
本実施形態では、薄膜マスク層900として、Au膜が0.07μm及びCr膜が0.03μmのAu/Cr膜を用いた。しかしながら、レジスト層420がパターンニング可能なくらいの透過率を有していて、エッチング工程時の耐食性が良好であれば、他のAu/Cr膜を用いることができる。そこで、露光波長(λ=405nm)に対して、Au膜厚とCr膜厚を変化させて、実際に水晶片の加工を行い、以下の表に示すような評価結果を得た。
Figure 0004498004
表1において、評価「5」は良好な水晶片が製造可能であることを表し、評価「4」は水晶基板のエッチング工程(図5(f)参照)において、エッチングの時間及び温度等の条件を適正化すれば良好な水晶片が製造可能であることを表し、評価「3」は露光量を非常に強くすれば水晶片が製造可能であるが不良品が発生する可能性があることを示し、評価「2」は水晶基板のエッチング時にエッチング液によって膜が冒されて良好な水晶片が製造できないことを示し、評価「1」は薄膜マスク層910のパターンニングができず良好な水晶片が製造できないことを示している。評価「3」以上であれば、実際に利用可能な範囲であると考えられる。
したがって、Au膜が0.06〜0.1μmの範囲内である場合、Cr膜が0.01〜0.04μmの範囲内である場合に、Au/Cr膜を本実施形態の薄膜マスク層900として用いることが可能である。また、Au/Cr膜の透過率は、0.4〜1.7%の範囲である場合に本実施形態の薄膜マスク層900として用いることが可能である。
本実施形態に従って加工された水晶片の外形寸法は、設計値と比較して1μm以下の誤差で形成することができた、また、その断面形状も、いびつな形状とはならなかった。さらに、本実施形態に従って加工された水晶片を用いた水晶振動子の発振周波数は、設計値と比較して数十Hz以下の誤差まで抑えることができた。これは、従来の水晶振動子の発振周波数が、設計値と比較して200Hz程度ばらついていたことと比べて、著しい差異である。
また、本実施形態では、水晶基板100の片面上に形成されたパターン化されたマスク層210が、他方の面のための露光マスクの役目をしている。したがって、露光マスクの位置合わせ作業を行う必要がなく、工程を簡略化することができる。また、露光マスクの位置合わせ誤差によって、いびつな形状を有する水晶片が製造さされることを防止できる。
さらに、本実施形態では、薄膜マスク層900を用いて、水晶基板100の両面に同じ材質のマスク層210及び910を形成したので、第1の実施形態に比べて、より高温で活性化したエッチング液を利用することができ、水晶基板のエッチング工程の処理時間を短縮することができた。
このように、本発明によれば、高精度と信頼性の高い水晶振動子を製造することが可能となった。
(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態に係る水晶振動子の製造方法を説明するための図である。 (f)〜(j)は、本発明の第1の実施形態に係る水晶振動子の製造方法を説明するための図である。 (a)〜(f)は、本発明の第2の実施形態に係る水晶振動子の製造方法を説明するための図である。 (a)〜(g)は、本発明の第3の実施形態に係る水晶振動子の製造方法を説明するための図である。 (a)〜(g)は、本発明の第4の実施形態に係る水晶振動子の製造方法を説明するための図である。 (a)〜(f)は、従来の水晶振動子の製造方法の一例を説明するための図である。 (a)〜(f)は、従来の水晶振動子の製造方法の他の例を説明するための図である。
符号の説明
100…水晶基板
150、160、170,180…水晶片
200、210…マスク層
300、310…レジスト層
400、410、420、430…マスク層
500、510…透明性マスク層
600、610…レジスト層
700、710…レジスト層
800、810…マスク層
900、910…薄膜マスク層

Claims (14)

  1. 水晶振動子の製造方法において、
    水晶基板の一方の面上に第1レジスト層を形成し、
    第1露光量により前記第1レジスト層を露光して、パターン化された第1マスク層を形成し、
    前記第1マスク層形成後、前記水晶基板の他方の面上に第2レジスト層を形成し、
    前記第1マスク層を利用して、前記第1露光量より大きい第2露光量により前記水晶基板を介して前記第2レジスト層を露光して、パターン化された第2マスク層を形成し、
    前記パターン化された第1マスク層及び前記パターン化された第2マスク層を利用し、前記水晶基板をエッチングして水晶片を切り出す、
    工程を有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
  2. 前記第1露光量及び第2露光量は、前記パターン化された第1マスク層のパターン及び前記パターン化された第2マスク層のパターンが、ほぼ同じ形状となるように選択される、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  3. 前記第1マスク層は、前記水晶基板をエッチングするためのエッチング液に対する耐食性を有する、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  4. 前記パターン化された第2マスク層を形成する工程は、
    前記第2レジスト層の露光により感光された部分を除去することによって、前記パターン化された第2マスク層を形成する工程を含む、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  5. 前記第2レジスト層は、前記水晶基板をエッチングするためのエッチング液に対する耐食性を有し、且つ露光により感光した部分が溶解除去される感光性材料である、請求項4に記載の水晶振動子の製造方法。
  6. 前記第2レジスト層と前記水晶基板との間に、前記水晶基板をエッチングするためのエッチング液に対する耐食性を有し且つ、前記第2レジスト層の露光を前記第1マスク層側から可能とする透明性を有する透明性マスク層を形成する工程をさらに有する、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  7. 前記パターン化された第2マスク層を形成する工程は、
    前記第2レジスト層の露光により感光した部分を除去することによって、パターン化された第2レジスト層を形成し、
    前記パターン化された第2レジスト層をマスクとして利用して、前記透明性マスク層をパターン化して、前記パターン化された第2マスク層を形成する、
    工程を含む、請求項6に記載の水晶振動子の製造方法。
  8. 前記パターン化された第2マスク層を形成する工程は、
    前記第2レジスト層の露光により感光した部分以外を除去することによって、パターン化された第2レジスト層を形成し、
    前記パターン化された第2レジスト層の上から第2マスク層を形成し、
    前記パターン化された第2レジスト層を除去することによって、前記パターン化された第2マスク層を形成する、
    工程を含む、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  9. 前記第2レジスト層と前記水晶基板との間に、前記第2レジスト層より薄い薄膜マスク層を形成する、工程をさらに有する、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  10. 前記パターン化された第2マスク層を形成する工程は、
    前記第2レジスト層の露光された部分を除去することによって、パターン化された第2レジスト層を形成し、
    前記パターン化された第2レジスト層をマスクとして利用して、前記薄膜マスク層をパターン化して、前記パターン化された第2マスク層を形成する、
    工程を含む、請求項9に記載の水晶振動子の製造方法。
  11. 前記薄膜マスク層は、Au膜及びCr膜から構成される積層膜である、請求項10に記載の水晶振動子の製造方法。
  12. 前記Au膜は、0.06〜0.10μmの膜厚を有する、請求項11に記載の水晶振動子の製造方法。
  13. 前記Cr膜は、0.01〜0.04μmの膜厚を有する、請求項11に記載の水晶振動子の製造方法。
  14. 前記水晶片に電極を取り付け、
    前記電極が取り付けられた前記水晶片を容器に実装する、
    工程をさらに有する、請求項1〜13に記載の水晶振動子の製造方法。
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