JP4497846B2 - ヒトアデノウイルスの検出法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒトアデノウイルスの検出法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒトアデノウイルスは、眼感染症や呼吸器感染症など多彩な感染症を引き起こすヒトに対して重要な病原ウイルスである。ヒトアデノウイルスは生化学的特徴や造腫瘍性などの指標により、現在A〜Fの6種類の亜群、さらに51種類の血清型に分類されており、それぞれ多彩な感染像を示す。その中でもB亜群の3型、7型及び11型、C亜群の1型、2型及び6型、D亜群の8型、19型及び37型ならびにE亜群の4型は、ヒトの目に感染し、結膜炎、角膜炎等を発症させ、しばしば院内感染を引き起こす。
【0003】
ヒトアデノウイルス感染症の診断は、病巣からのウイルスの分離同定、ヒトアデノウイルス抗原検出、電子顕微鏡による形態学的検査、および、中和抗体価測定や補体結合抗体価測定などの血清学的検査で行なわれている。このうち、血清学的検査は、ヒトアデノウイルスに対する抗体を検出する間接的方法であり、分離同定、形態学的検査および抗原検出は、ヒトアデノウイルス自体を検出する直接的方法である。確実な診断手段である分離同定法では、判定までの期間が約1ヶ月と長く、また検出感度が低く、検出感度を上げようとすると培養に相当の時間が必要となり培養操作が煩雑になる。また、血清型の鑑別は、中和抗血清を用いた分離ウイルスの中和試験で行なわれているが、非特異的選択による交差反応によって、鑑別が困難になる場合がある等の問題点を有している。
【0004】
ヒトアデノウイルス遺伝子を直接検出する方法として高感度かつ特異的にDNAを増幅するPCR法を用いたヘキソン(hexon)領域の検出、E1B領域の検出(非特許文献1)等の報告がある。しかしながら、これらの方法では、ヒトアデノウイルス遺伝子の検出、あるいは、特定の亜群血清型(特にF亜群−下痢症疾患の原因ウイルス)のみの鑑別は可能であるが、確実な亜群、血清型鑑別は困難である。
【0005】
その後、PCR法とサザンハイブリダイゼーションを用いた、確実で迅速かつ簡便なヒトアデノウイルスの検出及び血清型の鑑別方法が開発されている(特許文献1)。本法は、増幅領域が長く微量のウイルスを検出するにはネステッドPCRを必要とし、測定に要する時間や、ウイルス量の測定の正確性に改良の余地がある。
【0006】
【非特許文献1】
J. Med. Virol., 37, 149-157 (1992)
【特許文献1】
特開平7-327700
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ヒトアデノウイルスの迅速かつ安価な検出法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、1〜51型の血清型のヒトアデノウイルス標準株を用い、ヘキソン領域の一部の塩基配列を解析した。この結果、アデノウイルスのヘキソンをコードする遺伝子領域に、51種の血清型間で塩基配列が保存されている領域が存在すること、及び、この領域のうちの特定の領域に基づいて設定されたプライマー対を用いることでリアルタイムPCRによりヒトアデノウイルスの高感度かつ特異的な検出、特には定量的な検出が可能になるという知見を得、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、DNA二本鎖に特異的に結合しかつ結合することにより蛍光強度が増大する蛍光色素を含むPCR反応液を用いて、検体から抽出したDNAを鋳型としてPCRを行い、PCR反応液中の二本鎖DNAに結合することにより増大した蛍光を測定し、測定された蛍光強度に基づいて検体中のアデノウイルスの量を算出することを含むヒトアデノウイルスの検出方法であって、PCRに用いられるプライマー対が、ヒトアデノウイルスゲノムの、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号498〜517に相当する塩基配列と、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号1029〜1051に相当する塩基配列とに基づいて設定されることを特徴とする前記検出方法(第1の本発明検出法)を提供する。
【0010】
また、本発明は、DNA二本鎖に特異的に結合しかつ結合することにより蛍光強度が増大する蛍光色素を含むPCR反応液を用いて、検体から抽出したDNAを鋳型としてPCRを行い、PCRにより得られた増幅産物の融解曲線解析を行い、融解曲線解析の結果に基づいて検体中のアデノウイルスの有無を判定することを含むヒトアデノウイルスの検出方法であって、PCRに用いられるプライマー対が、ヒトアデノウイルスゲノムの、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号498〜517に相当する塩基配列と、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号1029〜1051に相当する塩基配列とに基づいて設定されることを特徴とする前記検出方法(第2の本発明検出法)を提供する。
【0011】
第1及び第2の本発明検出方法においては、プライマー対が、配列番号2または3に示す塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示す塩基配列を有するプライマーからなるものであることが好ましい。
【0012】
なお、配列番号1に示す塩基配列は、12型のヒトアデノウイルスのゲノムの塩基配列(GenBank accession No. NC_001460)の塩基番号19001〜21000である。当業者であれば、ヒトアデノウイルスの他の型のゲノムについても、型間、株間等に存在し得る塩基配列の相違を考慮して、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号により特定された領域に相当する領域を容易に特定・認識することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
第1及び第2の本発明検出方法は、検体から抽出したDNAを鋳型とし、アデノウイルス遺伝子のヘキソン領域の特定の領域に基づいて設定されたプライマー対を用いて、二本鎖に特異的に結合しかつ結合することにより蛍光強度が増大する蛍光色素を含む反応液を用いるPCRを行うことを特徴とする。
【0014】
検体は、アデノウイルスの一種以上を含むか又は含む可能性があるものであれば特に限定されないが、例としては、結膜拭い液や点眼薬等を挙げることができる。これらの試料から、DNAの抽出のための公知の方法によりDNAを得ることができる。
【0015】
二本鎖に特異的に結合しかつ結合することにより蛍光強度が増大する蛍光色素(例えば、SYBR Green I(Molecular Probe社)、PicoGreen(Molecular Probe社)等)を含む反応液を用いるPCRは、リアルタイムPCRとして知られている。
【0016】
リアルタイムPCRでは、PCR反応液中の増幅産物を蛍光強度の測定により測定できるため、PCR反応液から増幅産物を分離することなしに増幅産物の定量が行えるため、PCR反応のサイクル毎に定量が可能である。すなわち、リアルタイムな定量が可能である。
【0017】
リアルタイムPCRによる定量の例としては、二本鎖に特異的に結合しかつ結合することにより蛍光強度が増大する蛍光色素を反応液に存在させてPCRを行い、PCRの反応サイクル毎に反応液の蛍光を測定することにより増幅産物の量を定量するものがあげられる。このようなリアルタイムPCRを行うための試薬キットは、市販品としても入手可能であり、LightCycler-FastStart DNAマスターSYBR Green I(Roche Diagnostics社)などが知られている。
【0018】
LightCycler-FastStart DNAマスターSYBR Green Iを用いた場合を例として説明すると以下の通りである。PCR増幅による二本鎖の副溝(minor groove)に、反応液中のSYBR Green Iが結合して蛍光を発生する。PCRによりDNAが増幅されると、増幅されたDNAにSYBR Green Iが結合し、蛍光強度が増大する。サイクル毎の蛍光強度を測定することによって増幅産物の定量が可能となる。また、増幅されたDNAを含む反応液の温度を変化させた際の蛍光強度を測定することによって融解曲線解析が可能になる。
【0019】
本発明検出法において使用されるプライマー対は、ヒトアデノウイルスゲノムの、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号498〜517に相当する塩基配列(第1の特定領域)と、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号1029〜1051に相当する塩基配列(第2の特定領域)とに基づいて設定される。PCRに用いるプライマーの設定は、型間、株間等に存在し得る塩基配列の相違を考慮して、共通配列を有するように行なうことが好ましい。また、設定されるプライマーの長さは、目的の増幅産物が増幅されるかぎり、対応する特定領域の長さと一致しなくてもよい。すなわち、各特定領域の長さよりも短くてもよく、通常には、第1の特定領域内で18塩基以上、第2の特定領域内で18塩基以上であればよい。また、各特定領域外の配列に対応する部分も含んでいてもよく、この部分の長さは、通常には、プライマーにおける各特定領域内の部分の長さの20%以下である。各特定領域外の配列は、上流プライマーの場合には特定領域の5’側に、下流プライマーの場合には特定領域領域3’側(下流プライマー自体の配列に関しては5’側になる)に存在するものであることが好ましい。
【0020】
プライマー対の例としては、配列番号2の塩基配列を有するプライマーと配列番号4の塩基配列を有するプライマーの対、及び、配列番号3の塩基配列を有するプライマーと配列番号4の塩基配列を有するプライマーの対があげられる。これらのプライマーは図1に示すように1〜51血清型の塩基配列の共通配列を考慮して設定されたものである。
【0021】
第1の本発明検出法は、特定のプライマー対を用いる他は、通常のリアルタイムPCRによる定量法と同様でよい。例えば市販の試薬キットを用いる場合には試薬キットに添付の説明書に従って行うことができる。また、第2の本発明検出法は、特定のプライマー対を用いる他は、通常のリアルタイムPCRによる増幅産物について行われる融解曲線解析と同様でよい。例えば市販の試薬キットを用いる場合には試薬キットに添付の説明書に従って行うことができる。従って、リアルタイムPCRや融解曲線解析の具体的条件は当業者であれば適宜選択できる。
【0022】
本発明検出法においては、リアルタイムPCRによる定量と融解曲線解析とを組み合わせて検出を行うことが好ましい。これにより、検出の感度と特異性が向上する。
【0023】
上記プライマー対で増幅されるフラグメントには、分子系統解析により型鑑別を行うことが可能な塩基配列が含まれている。従って、リアルタイムPCRの増幅産物を単離し、塩基配列を決定すれば、塩基配列に基づいて系統解析による型鑑別が可能である。
【0024】
分子系統解析は、公知の分子系統解析法によって行うことができる。このような方法としては、Higgins法、ならびに、2−パラメーター法を用いたUPGMA法及び近隣結合法などが挙げられ、また、これらの方法により分子系統解析を行うためのソフトウェアが市販されている(DNASIS(日立ソフトウェアエンジニアリング)、SINCA(富士通)など)。
【0025】
血清型は、分子系統解析においてそれぞれの種の標準株と一定値以上のホモロジーを示す、又は、一定値以上の確率で他の血清型のクラスターと区別されるか否かによって決定できる。一定値とは、分子系統解析により得られた系統樹において各血清型に属する株がそれぞれ単一のクラスターを形成するような値であればよい。
【0026】
より具体的には、シンプルホモロジー(DNASIS)で(シーケンス中の一致した塩基数)/(シーケンス長)×100の計算式より算出したホモロジーで80%以上、又は、ブーツストラップ法で他のクラスターから区別される確率が70%以上という値があげられる。
【0027】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、下記実施例は本発明について具体的な認識を得る一助としてのみ挙げたものであり、これによって本発明の範囲が何ら限定されるものではない。
【0028】
【実施例1】
1.材料
国立感染症研究所及びATCCより購入したヒトアデノウイルスの51血清型の標準株のウイルス培養液を用いた。また、臨床検体として、ヒトアデノウイルスPCR検査を行った眼の結膜拭い液のうち、ヒトアデノウイルスが検出された13件及びヒトアデノウイルスが検出されなかった13件の計26件、ならびに、感染源になったと考えられる、使用後の点眼薬26件を用いた。
【0029】
2.ウイルスDNAの抽出
スマイテストEX-R&D(ゲノムサイエンス研究所)を用いて、ウイルス培養液10μlまたは臨床検体の100μlからDNAを抽出し、乾固後のDNAに10μlの滅菌蒸留水を加え溶解したものをサンプルDNA溶液とした。
【0030】
3.プライマーの設定
標準株のウイルス培養液から抽出したサンプルDNA溶液を用いて、特開平7-327700に記載された方法によりヘキソン遺伝子の一部を増幅し、増幅産物の塩基配列を決定した。決定された塩基配列を用いて、ヒトアデノウイルスの1〜51血清型間で保存されている領域を検索した。その結果、配列番号1の塩基番号498〜517、塩基番号906〜925、塩基番号960〜979、塩基番号1029〜1051、及び、塩基番号1434〜1453等の領域に型間で保存されている領域が見出された。これらの領域に基づいて作成されたプライマー対を用いて検出感度及びその後の型鑑別を検討した結果、このうちの特定の領域の組み合わせに基づいて設定したプライマー対を用いると、感度が上がり、非特異的反応が低下することが判明した。この知見に基づき、ヘキソン遺伝子の一部の554bp(配列番号1の塩基番号498〜1051)を増幅するため、上流プライマーに、AdnU-S' 5'-TTCCCCATGGCNCACAACAC-3'(配列番号1の塩基番号498〜517に相当(配列番号2))またはAdnU-S'-2 5'-TTCCCCATGGCNCACAAYAC-3'(配列番号1の塩基番号498〜517に相当(配列番号3))を、下流プライマーに、AdnU-A2 5'-TGCCKRCTCATRGGCTGRAAGTT-3'(配列番号1の塩基番号1029〜1051に相当(配列番号4))を設定した。なお、配列番号2及び3におけるNはA、T、GまたはCである。これらの塩基配列は、図1に示すように、アデノウイルス1〜51型のゲノムにおける相当する部分の配列に基づいて設定されたものである。図1中、AdVはアデノウイルスの略号であり、略号に付記された数字は血清型を示す。また、nt番号は、GenBank accession No. NC_001460における塩基番号である。
【0031】
4.リアルタイムPCRによる測定
反応試薬は、LightCycler-FastStart DNAマスターSYBR Green I(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を使用した。試薬調製は、キット添付説明書に従って行った。LightCycler-FastStart酵素へ、LightCycler-FastStart反応液SYBR Green Iの60μlを加え、これをLightCycler-FastStart DNAマスターSYBR Green I(マスターミックス)として使用した。反応は専用の反応容器のLightCyclerCapillariesを用い、これにマスターミックス2μlと10μMの上流プライマー(AdnU-S'またはAdnU-S'2)及び下流プライマー(AdnU-A2)をそれぞれ1.5μlずつ(最終濃度0.5μM)、25 mM MgCl2を2.4μl(最終濃度4 mM)、滅菌蒸留水7.6μlを加え、総容量15μlに調整し、スタンダードプラスミドDNA、またはサンプルDNA溶液5μlを添加して20μlの容量で反応を行った。反応条件は、95℃,10分の加熱後、95℃,10秒で変性、70℃,10秒でアニーリング及び72℃,25秒で伸長の条件で45サイクルであった。反応終了後、増幅産物の融解曲線(melting curve)を得るために65℃から1秒間に0.2℃ずつ98℃まで温度を上昇させた。
【0032】
標準株は、51血清型の全てで、LightCyclerのSYBR-GreenによるリアルタイムPCRによる増幅産物にヒトアデノウイルスに特異的な融解曲線が認められ、検出可能であった。この融解曲線のピークの温度は、二本鎖DNAの50%が一本鎖DNAになる温度、すなわち融解温度(Tm値)であり、増幅産物のGC含量によりTm値が決まる。このTm値を測定することにより、目的産物の増幅を確認することができ、増幅産物の同一性を確認することや、特異産物と非特異産物を区別することが可能である。8型のアデノウイルスについてTm値を確認した例を図2に示す。
【0033】
臨床検体では、アデノウイルスPCR検査で結膜拭い液からヒトアデノウイルスが検出された13件の全ての検体でヒトアデノウイルスに特異的な融解曲線が認められ、これらは検出可能であった。また、ヒトアデノウイルスが検出されなかった13件は全て融解曲線が認められなかった。点眼薬では、26件のうち22件からヒトアデノウイルスに特異的な融解曲線が認められ、アデノウイルスが検出可能であった。
【0034】
本実施例において、ヒトアデノウイルス増幅領域断片をプラスミドに組み込んだDNAの希釈系列での定量では、相関係数が0.98〜1.00となり、PCRのサイクル数とDNAの増幅に伴うSYBR Green Iの蛍光強度とからヒトアデノウイルスの定量が可能であった。また、このときの検出範囲は、108〜101コピー/キャピラリーであった。検量線を図3に示す。
【0035】
臨床検体では、結膜拭い液、点眼薬ともに、ヒトアデノウイルスに特異的な融解曲線が認められた検体には増幅曲線が見られ、定量が可能であった。ヒトアデノウイルスに特異的な融解曲線が認められなかった検体はいずれも増幅曲線はみられず、非特異反応もなかった。
【0036】
5.系統解析
上記4で行ったリアルタイムPCRによる増幅産物の塩基配列を、ダイレクトシーケンス法にて決定した。上流プライマー(AdnU-S')から400bpの領域(配列番号1の塩基番号498〜897)を用いて、データベースを作成した。この標準株データベースに、分離株の塩基配列を加え、系統樹を作成した。系統樹は、2-パラメーター法を用いたUPGMA法およびN-J法(SINCA、富士通)にて作成し、ブートストラップを1000回行い統計的評価を行った。
【0037】
標準株51株の塩基配列について系統解析を行った結果、ブートストラップ値90〜100%の確率で、A〜F群の亜群ごとに群別された。各群のホモロジーは、A群80.8〜88.3%、B群84.5〜100%、C群88.0〜99.0%、D群93.3〜99.8%、F群89.3%であった。
【0038】
従って、リアルタイムPCRの増幅産物を単離し、塩基配列を決定すれば、塩基配列に基づいて系統解析による型鑑別が可能である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、ヒトアデノウイルスを高感度、特異的かつ迅速に検出できる。本発明の方法によれば、院内感染や家族内感染が問題となる、眼感染症を引き起こすAdV-4、AdV-8、AdV-19a、AdV-37、及び、重篤な肺炎を引き起こすAdV-7を含むヒトアデノウイルスを高感度かつ迅速に検出できる。本発明の方法は、感染者のみならず感染源の早期検出が可能でかつ定量ができ、早期診断と感染防止に有用である。
【0040】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 アデノウイルスゲノムのプライマー設定領域の配列を示す。AdVはアデノウイルスの略号であり、略号に付記された数字は血清型を示す。また、nt番号は、GenBank accession No. NC_001460における塩基番号である。
【図2】 アデノウイルス8型のTm値の確認の例を示す。
【図3】 アデノウイルスDNAの定量の検量線を示す。
Claims (5)
- DNA二本鎖に特異的に結合しかつ結合することにより蛍光強度が増大する蛍光色素を含むPCR反応液を用いて、検体から抽出したDNAを鋳型としてPCRを行い、PCR反応液中の二本鎖DNAに結合することにより増大した蛍光を測定し、測定された蛍光強度に基づいて検体中のアデノウイルスの量を算出することを含むヒトアデノウイルスの検出方法であって、PCRに用いられるプライマー対が、配列番号2もしくは3に示す塩基配列もしくはその塩基配列の18塩基以上の長さの部分塩基配列からなるか、または、当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列、および、配列番号1に示す塩基配列において当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列に連続する、当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列の20%以下の長さの塩基配列からなるプライマーと、配列番号4に示す塩基配列もしくはその塩基配列の18塩基以上の長さの部分塩基配列からなるか、または、当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列、および、配列番号1に示す塩基配列に相補的な配列において当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列に連続する、当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列の20%以下の長さの塩基配列とからなるプライマーからなることを特徴とする前記検出方法。
- プライマー対が、配列番号2または3に示す塩基配列からなるプライマーと配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなる請求項1記載の検出方法。
- DNA二本鎖に特異的に結合しかつ結合することにより蛍光強度が増大する蛍光色素を含むPCR反応液を用いて、検体から抽出したDNAを鋳型としてPCRを行い、PCRにより得られた増幅産物の融解曲線解析を行い、融解曲線解析の結果に基づいて検体中のアデノウイルスの有無を判定することを含むヒトアデノウイルスの検出方法であって、PCRに用いられるプライマー対が、配列番号2もしくは3に示す塩基配列もしくはその塩基配列の18塩基以上の長さの部分塩基配列からなるか、または、当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列、および、配列番号1に示す塩基配列において当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列に連続する、当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列の20%以下の長さの塩基配列からなるプライマーと、配列番号4に示す塩基配列もしくはその塩基配列の18塩基以上の長さの部分塩基配列からなるか、または、当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列、および、配列番号1に示す塩基配列に相補的な配列において当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列に連続する、当該塩基配列もしくは当該部分塩基配列の20%以下の長さの塩基配列からなるプライマーからなることを特徴とする前記検出方法。
- プライマー対が、配列番号2または3に示す塩基配列からなるプライマーと配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなる請求項3記載の検出方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出方法により増幅されたPCR産物の塩基配列を決定し、決定された塩基配列に基づいて系統解析を行い、アデノウイルスの血清型鑑別を行うことを含む、アデノウイルスの血清型鑑別法。
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