JP5601746B2 - 同一の試料を用いた二段階核酸検査方法 - Google Patents

同一の試料を用いた二段階核酸検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料核酸中に目的の配列が含まれているかどうかを検査する方法に関する。生物が持つDNAの塩基配列は、個体、種、生息地等ごとに異なるので、本発明の検査方法を利用することにより、生物の個体、種、生息地等を判別することができる。また、最近、食品に添付表示しているシールの偽装や遺伝子組換え体の食品への混入などが問題になっているが、本発明の検査方法は、これらの偽装や混入の判定にも利用できる。
一般的にマグロは、太平洋産クロマグロ、大西洋産クロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロおよびビンナガマグロなどに分類することができる。従来、DNAによるマグロの魚種判別には、Polymerase chain reaction-restriction fragment length polymorphism (PCR−RFLP(例えば、非特許文献1参照。))と言われる手法が用いられている(例えば、非特許文献2参照)。この手法は、被検DNAをPCR法(例えば、非特許文献3参照。)により増幅した後、種や系統や個体に特異的な塩基配列の部位でDNAを切断して判別する方法で、増幅するDNAの領域とDNAを切断する制限酵素の種類、および被DNAを切断して生じたDNAフラグメントの数および各DNAフラグメントの長さで種や系統や個体を判別している。たとえば、太平洋産クロマグロでは、ミトコンドリアDNAのATCO領域を選択し、これを被検DNAとしてPCR増幅後に制限酵素AluIで切断すると、5つのDNAフラグメントに切断され、各々のDNAフラグメントの長さは、432塩基長、295塩基長、81塩基長、66塩基長、41塩基長となり、制限酵素MseIで切断すると、8つのDNAフラグメントに切断され、各々のDNAフラグメントの長さは、255塩基長、254塩基長、194塩基長、115塩基長、41塩基長、32塩基長、15塩基長、9塩基長となり、制限酵素Tsp509Iで切断すると、6つのDNAフラグメントに切断され、各々のDNAフラグメントの長さは、417塩基長、217塩基長、186塩基長、72塩基長、15塩基長、8塩基長となる(例えば、非特許文献2参照)。
また、遺伝子組換え体の判別検査にも、上記と同様の手法も用いられている。
G R Deng、"A sensitive non-radioactive PCR-RFLP analysis for detecting point mutations at 12th codon of oncogene c-Ha-ras in DNAs of gastric cancer." Nucleic Acids Res. 1988 July 11; 16(13): 6231. 独立行政法人農林水産消費技術センター・独立行政法人水産総合研究センター "技術情報 マグロ属魚類の魚種判別マニュアル" Mullis K 他5名、 Specific enzymatic amplification of DNA in vitro: The polymerase chain reaction. Cold Spring Harb Symp Quant Biol. 1986; 51 Pt 1:263-73.
上述したPCR−RFLPの手法は、制限酵素で切断したDNAフラグメントの数と各DNAフラグメントの長さの違いで、判別する方法である。具体的には、切断した全てのDNAフラグメントを電気泳動で分離し、分離した各々のDNAフラグメントはバンドとして現れてくる。このとき、分離して現れてきたバンドの本数がDNAフラグメントの数で、電気泳動で泳動した距離がDNAフラグメントの長さとなる。電気泳動はDNAフラグメント長の短いものは速く泳動し、長いものは遅く泳動する作用を利用した分離方法で、泳動した距離で、長さも求めることができる。
しかし、切断してできたDNAフラグメントで、類似した長さのDNAフラグメントが複数あったとき、電気泳動で十分分離できないこととなり、2つのDNAフラグメントが存在しても1個のバンドに見えてしまう(例えば、前出の非特許文献2に掲載されているゲル電気泳動の蛍光染色画像では、255塩基長と254塩基長の2種類のDNAフラグメントは、3%(w/v)のアガロースゲルを用いて4cm程度の距離を電気泳動しても、一つの太いバンドとしてしか検出できていない。)このため、類似した長さのDNAフラグメントが生成するような条件でPCR−RFLPを行うと、DNAフラグメントの数の判定を誤る危険性がある。このように、PCR−RFLPの手法は信頼性が高くないため、重要な検査には向いていないという問題がある。
さらに、このように類似した長さのDNAフラグメントが分離できない現象は、PCR−RFLPばかりでなく、電気泳動を用いる検査手法に共通の問題である。したがって、電気泳動を用いてDNAフラグメントの数を求める定性PCR法などの検査手法(たとえば、特開2003-009866号公報 SINE法による動物種判別方法、組換えDNA技術応用食品の検査方法について(平成13年3月27日付け食発第110号)(別添)組換えDNA技術応用食品の検査方法)この文献は、厚生労働省のホームページよりダウンロード可能である。<http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/kensa/050517a.html>、参照)は、PCR−RFLPに限らず信頼性が高くないため、重要な検査には向いていないという問題がある。
一方、最も信頼性の高い検査手法は、DNAの塩基配列を読み取って検査する方法である(例えば、Sambrook J & Russell DW Chapter12 DNA sequencing. Molecular Cloning : A laboratory manual. 3rd Ed. 2001; pp12.1-12.120.参照。)。しかしこの方法は、コストが高価であり、特殊設備や熟練技術者を有する専門機関でしかできないなど、通常の頻回の検査に用いるには適さない検査方法であるという問題がある。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みなされたものであり、DNAを用いて、従来よりも効率の良い検査方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、試料核酸中に目的の配列が含まれているかどうかを検査する際に、簡易な検査と精密な検査の二段階に分けて検査することにより、低コストで信頼性の高い検査を実施できることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(12)を提供するものである。
(1)試料核酸中に目的の配列が含まれているかどうかを検査する方法であって、最初に試料核酸に対し簡易な検査を行い、目的の配列が含まれていると判定された場合若しくは含まれていないと判定された場合に、同一試料核酸に対し精密な検査を行うことを特徴とする核酸の検査方法。
(2)試料核酸中に目的の配列が規定量以上含まれているかどうかを検査する方法であって、最初に試料核酸に対し簡易な定量的検査を行い、目的の配列が規定量以上含まれていると判定された場合に、同一試料核酸に対し精密な検査を行うことを特徴とする核酸の検査方法。
(3)精密な検査が、試料核酸の塩基配列を読み取る検査であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の核酸の検査方法。
(4)簡易な検査によって目的の配列が含まれていると判定された核酸若しくは含まれていないと判定された核酸、又は簡易な検査によって目的の配列が規定量以上含まれていると判定された核酸を回収し、その核酸に対して精密な検査を行うことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の核酸の検査方法。
(5)試料核酸に予めタグを付けておき、簡易な検査の終了後に、タグを利用して試料核酸を回収することを特徴とする(4)に記載の核酸の検査方法。
(6)簡易な検査の終了後、試料核酸とその他の物質との物理化学的な相違を利用する方法を用いて試料核酸を回収することを特徴とする(4)に記載の核酸の検査方法。
(7)簡易な検査が、試料核酸を破損させない検査であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の核酸の検査方法。
(8)簡易な検査が、試料核酸の塩基配列を読み取れる状態で保持できる検査であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の核酸の検査方法。
(9)試料核酸を二分し、一方を簡易な検査の試料核酸とし、他方を精密な検査の試料核酸とすることを特徴とする(1)又は(2)に記載の核酸の検査方法。
(10)目的の配列が、生物種に特異的に存在する配列であることを特徴とする(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の核酸の検査方法。
(11)目的の配列が、遺伝子組み換え体に特異的に存在する配列であることを特徴とする(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の核酸の検査方法。
(12)複数種類の目的配列を1回の簡易な検査で同時に検査できることを特徴とする(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の核酸の検査方法。
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
上記(1)または(2)の方法のように、通常は、特殊設備や熟練技術者が不要で安価で短時間に検査結果が得られるような第1ステージの簡易検査をおこない、問題が発生したときに第2ステージの精密検査をおこなうという二段階での検査手法を実施することにより、効率よく信頼性の高い検査を行うことができる。
また、上記(3)の方法のように、第2ステージの精密検査として核酸の塩基配列を読み取る方法を採用する方式によれば、この方法は最も信頼度の高い核酸の一次構造の解析検査方法であるため、第1ステージの簡易検査にどのような方法を用いても、最終的に高い信頼性の検査を確保することができる。
また、上記(4)の方法のように、簡易検査で使用した試料核酸を回収、再使用して精密な検査を行う方法によれば、検査過程における対象の取り違えなどのミスを減らして、より信頼性の高い検査手段を提供することができる。さらに、再使用により、検査に用いる核酸の量も減らすことができる。
また、上記(5)の方法のように、試料核酸に予め付けたタグを利用して、簡易な検査の終了後に試料核酸を回収する方式によれば、タグの付いていない混在物から効率よく試料核酸を回収することができる。
また、上記(6)の方法のように、試料核酸とその他の物質との物理化学的な相違を利用して簡易な検査の終了後に試料核酸を回収する方式によれば、予め試料核酸にタグを付ける必要なしに試料核酸を回収することができる。
また、上記(7)の方法のように、試料核酸を破損させずに回収できるような簡易検査方法を採用する方式によれば、第1ステージの簡易検査に使用した試料核酸を第2ステージの精密検査に再度使用することができるため、検査過程における対象の取り違えなどのミスを減らして、より信頼性の高い検査手段を提供することができる。さらに、再使用により、検査に用いる核酸の量も減らすことができる。
また、上記(8)の方法のように、核酸の塩基配列を読み取れるような簡易検査方法を採用する方式によれば、第1ステージの簡易検査に使用した試料核酸を第2ステージの核酸の塩基配列を読み取る精密検査に再度使用することができるため、最終的に高い信頼性の検査を確保できると同時に、検査過程における対象の取り違えなどのミスを減らして、より信頼性の高い検査手段を提供することができ、また、再使用により、検査に用いる核酸の量も減らすことができる。
また、上記(9)の方法のように、予め試料核酸を簡易検査用と精密検査用とに分割して保持し、それぞれの検査ごとに用いる検査方法によれば、第1ステージの簡易検査が試料核酸を破損させるような場合にも、第2ステージ用の試料核酸を確保しておくことができる。さらに、分割した各核酸試料を同一のデバイス上に保持しておけば、対象の取り違えなどのミスを減らすこともできる。
また、上記(12)の方法のように、複数種類の目的配列を1回の簡易な検査で同時に検査できる方法によれば、一回で複数の目的配列の検査を行うことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一の検査方法は、試料核酸中に目的の配列が含まれているかどうかを検査する方法であって、最初に試料核酸に対し簡易な検査を行い、目的の配列が含まれていると判定された場合若しくは含まれていないと判定された場合に、同一試料核酸に対し精密な検査を行うことを特徴とするものである。本発明の第二の検査方法は、試料核酸中に目的の配列が規定量以上含まれているかどうかを検査する方法であって、最初に試料核酸に対し簡易な定量的検査を行い、目的の配列が規定量以上含まれていると判定された場合に、同一試料核酸に対し精密な検査を行うことを特徴とするとするものである。このように検査を二段階に分け、問題があるときだけ精密な検査を行うようにすれば、最適なコストで信頼性の高い検査を提供することができる。この手法は、問題が発生する件数の少ない状況に適した検査方法である。
検査の対象とする配列は特に限定されないが、本発明の検査方法は、主に生物の種等の判別や遺伝子組換え体の判定などに利用されるので、生物の種、生息地、個体に特異的に存在する配列や遺伝子組換え体に特異的に存在する配列などを検査の対象とすることができる。このような特異的な配列に関する情報は広く知られている。例えば、マグロの種、生息地に特異的な配列の情報は、前述した非特許文献3(この文献は、独立行政法人農林水産消費技術センターのホームページよりダウンロード可能である。<URL:http://www.cfqlcs.go.jp/technical_information/hinpyou/pdf/maguro_manual.pdf>)に記載されている。また、タラバガニとアブラガニの種特異的な配列の情報は、宇山博人、池田実、谷口順彦、“mtDNAのPCR−RFLPによるタラバガニとアブラガニの判別”、水産育種 2005;34:111.に記載されており、アイナメ科魚類の種特異的な配列の情報は、柳本卓、濱津友紀、 “日本産アイナメ科魚類7種のmtDNAのPCR−RFLP分析による種判別”、日本水産学会誌 2003;69(5):726、に記載されている。また、タイの魚種に特異的な配列の情報は、“技術情報 マダイ、チダイ及びキダイの魚種判別マニュアル”(この文献は、独立行政法人農林水産消費技術センターのホームページよりダウンロード可能である。<URL: http://www.cfqlcs.go.jp/technical_information/hinpyou/pdf/madai_manual.pdf>)に記載されており、スズキ及びナイルバーチの魚種に特異的な配列の情報は、“スズキ、タイリクスズキおよびナイルパーチの魚種判別マニュアル”(この文献は、独立行政法人農林水産消費技術センターのホームページよりダウンロード可能である。<URL: http://www.cfqlcs.go.jp/technical_information/hinpyou/pdf/suzuki_manual.pdf>)に記載されている。また、日本産サバ属の種特異的な配列の情報は、特開2002-345498号公報 日本産サバ属の種判別方法.に記載されている。さらに、遺伝子組換え体に特異的な配列の情報については、カルタヘナ法に基づく第1種および第2種使用規程の承認を受けた遺伝子組換え体について、LMO関連情報“カルタヘナ法に基づき承認された遺伝子組み換え生物検索システム”(この文献は、バイオセーフティクリアリングハウス(J−BCH)のホームページよりダウンロード可能である。<URL:https://ch.biodic.go.jp/bch/OpenSearch.do>)を参照することにより、入手することができる。
これら以外の特異的な配列の情報も、当業者であれば容易に入手することが可能である。なお、検査対象とする配列にはDNAの配列のほか、RNAの配列も含まれる。
簡易な検査の方法は特に限定されないが、簡易な検査によって目的の配列が含まれていると判定された核酸若しくは含まれていないと判定された核酸を回収して、精密な検査の対象とするような場合には、試料核酸を破損させない方法とすることが望ましい。試料核酸を二分し、一方を簡易な検査の試料核酸とし、他方を精密な検査の試料核酸とするような場合には、試料核酸を破損させる方法、試料核酸を破損させない方法のいずれであってもよい。試料核酸を破損させる方法の具体例としては、RFLP法、PCR−RFLP法、AFLP法、サザンブロッティング法、Chemical Cleavage of Mismatch(CCM)法、ヌクレアーゼを利用する方法などを例示できるが、これらに限定されるわけではない。また、試料核酸を破損させない方法の具体例としては、溶液中でのハイブリダイゼーションを利用する方法、リアルタイムPCR法、プライマー伸長法、シークエンス法、増幅断片多型法(Random amplified polymorphic DNA法)、Taqmanアッセイ、Invaderアッセイなどを例示できるが、これらに限定されるわけではない。
核酸の回収方法は特に限定されないが、試料核酸に予めタグを付けておき、簡易な検査の終了後に、そのタグを利用して試料核酸を回収する方法が好ましい。また、簡易な検査の終了後、試料核酸とその他の物質との物理化学的な相違を利用して、試料核酸を回収してもよい。ここで物理化学的な相違を利用した回収方法としては、カラムの利用、電気泳動、有機溶媒による抽出などを例示できる。
また、マイクロフルイディクス技術などを用いて第1ステージの簡易な検査のデバイスをマイクロチップ化することにより、小型機器による自動検査が可能となり、さらに簡易な検査の終了後、回収する試料核酸をマイクロチップ内に封入したままで、マイクロチップごと保存したり第2ステージの精密な検査の場へと容易に安全に伝達したりすることが可能となる。精密な検査にあたっては、このマイクロチップから試料核酸を回収し、これを用いて検査を行うことができる。
精密な検査の方法も特に限定されないが、試料核酸の塩基配列を読み取る検査方法が好ましい。
以下、本発明の検査方法の好ましい態様を図を用いて説明する。
図1は、本発明の検査方法において、簡易な検査として試料核酸を破損させない手法を採用し、簡易な検査に用いた試料DNAを回収する場合の流れを説明したものである。まず、検査対象となる生物(S101)から試料核酸を含むDNAを抽出し(S102)、これを用いて第1ステージの簡易検査を行う(S103)。続いて簡易検査の結果を判断し(S104)、問題がなければ、その結果を持って結論とし、検査を終了する(S105)。簡易検査の結果に問題がある場合には、第1ステージの簡易検査で問題があると判定された試料核酸を回収し精製して(S106)、これを用いて第2ステージの精密検査を行い(S107)、結果を判断して終了する(S108)。
図2は、本発明の検査方法において、簡易な検査として試料核酸を破損させてしまう手法を採用した場合の流れを説明したものである。まず、検査対象となる生物(S201)から試料DNAを含むDNAを抽出する(S202)。次に、予め試料DNAを同一デバイス上に分割して保存し(S203)、分割した試料DNAの一部分を用いて第1ステージの簡易検査を行う(S204)。続いて簡易検査の結果を判断し(S205)、問題がなければ、その結果を持って結論とし、検査を終了する(S206)。簡易検査の結果に問題があると判断された場合には、分割保存されていた第2ステージ用の試料DNAを用いて(S207)第2ステージの精密検査を行い(S208)、結果を判断して終了する(S209)。
以上のことから、本発明を実施するための好ましい形態によれば、専門的な機器や技術者を必要とせず簡易に安価に行える第1ステージの簡易検査を行い、その結果に問題があれば、同じ試料DNAを再使用して、信頼性の高い第2ステージの精密検査を行うという二段階検査が可能となるため、これまでよりもはるかに信頼性の高い検査を提供することができる。なお、本発明では、第2ステージの精密検査として、現在最も信頼性の高いDNAの塩基配列を読み取る方法を採用する。このことにより、第1ステージの簡易検査で問題があっても、最終的には最も信頼性の高い検査結果を提供することができる。
次に、試料DNAを破損させることなく行える方法を用いて第1ステージの簡易検査を行い、そこから回収した試料DNAを用いて第2ステージの精密検査を行う方法を実施するための最良の形態について説明する。
図3は、検査対象生物の試料DNAを準備する流れを説明したものであり、図4は、第1ステージの検査Aに用いた試料DNAを回収し再使用して第2ステージの検査Bを行う場合の、検査手法の流れを説明したものである。まず、図3(a)に例示したような様々な被検査生物群1から、既知の手法(例えば、Sambrook J & Russell DW Chapter6 Preparation and analysis of eukaryotic genomic DNA. Molecular Cloning : A laboratory manual. 3rd Ed. 2001; pp6.1-6.64、及びSambrook J & Russell DW Chapter7 Extraction, purification, and analysis of mRNA from eukaryotic cells. Molecular Cloning : A laboratory manual. 3rd Ed. 2001; pp7.1-7.94.を参照)によって(b)のような被検査生物の核酸2を抽出する。被検査生物は、この図に示す以外のものであっても構わない。これを必要に応じて部分的に増幅および/あるいは逆転写し、(c)のように必要量の試料DNA3を得る。この試料DNA3が、図4(a)に示すように、目的塩基配列部分4を含んでいるかどうかを同定するのが本発明の検査方法の目的である。図4では、試料DNAを破損させない第1ステージの簡易検査Aの例として、DNAハイブリダイゼーション、第2ステージの精密検査BとしてDNA塩基配列の読み取りによって、両ステージで同じ試料DNA3を用いてそれぞれの検査を行う場合の流れを説明している。ハイブリダイゼーションは試料DNAを破損させず、DNAの塩基配列の解析よりも反応系がはるかに単純であり、コストも安価であるため、検査後に試料DNAを回収するような簡易検査に適した検査方法である。
まず、図4の(b)に示すように、検査に先立って、試料DNA3の末端に磁気ビーズ5を結合させてビーズ結合した試料DNA6を作製し、この構造を持つ分子群であるビーズ結合した試料DNA群7を用いて、二段階の検査を行う。この操作により、第1ステージの検査A終了後、この分子群のみを磁石の引力により夾雑物中から精製して回収し、第2ステージの検査Bに用いることができる。
ビーズ結合した試料DNA群7を作製後、まず第1ステージの簡易検査であるDNAハイブリダイゼーションを行う。このためには、(c)に示すように、目的塩基配列部分4に相補的な塩基配列を有するプローブDNA9の末端に蛍光色素8を結合した蛍光標識プローブ10を作製し、それらの分子群である蛍光標識プローブ群11の溶液とビーズ結合した試料DNA群7の溶液とを同一の反応漕に入れ混和する。この際、蛍光標識プローブ群11の分子数は、ビーズ結合した試料DNA群7の分子数よりも過剰量とする。これを反応漕ごと加熱後徐冷し適温で保持することにより、(d)に示すように、反応液中でビーズ結合した試料DNA6中の目的塩基配列部分4と蛍光標識プローブ10とをハイブリダイゼーションさせ、二重鎖形成13を行わせることができる。この二重鎖形成13により、蛍光色素8を、間接的に目的塩基配列部分4に結合させることができ、それらの蛍光色素が発する蛍光を検出すれば、反応液中に目的塩基配列部分4が存在することを検出できる。
しかし、この反応液中には、蛍光標識プローブ群11の方がビーズ結合した試料DNA群7よりも過剰量存在するため、目的塩基配列部分4と二重鎖形成13を行えない余剰の未反応の蛍光標識プローブ群12が残存しており、これらも蛍光を発する。このため、これらの未反応の蛍光標識プローブ群12を除去し、二重鎖形成を行った蛍光標識プローブ10による蛍光だけを検出することで、正確な検査を行えるようにする必要がある。このために、本発明では、磁気ピペット14を用いて反応液中の磁気ビーズを磁力により引き付け固定する。これにより、(e)に示すように、ビーズ結合した試料DNA6およびこの内部に存在する目的塩基配列部分4と二重鎖を形成している蛍光標識プローブ10のみを、磁気ピペットで回収することができるため、反応液中に含まれる未反応の蛍光標識プローブ群12を反応漕に残して、必要な分子だけを回収することができる。この後、(f)に示すように、回収したビーズ結合した試料DNA6およびこれと二重鎖形成した蛍光標識プローブ10を、新たな溶液中に懸濁する。この溶液の蛍光を検出することにより、試料DNA3中に目的塩基配列部分4が存在することを検出することができる。この検査結果に問題があれば、試料DNAを回収して第2ステージの検査Bを行う。
この段階で、第1ステージの簡易検査A終了後の溶液中には、ビーズ結合した試料DNA6およびこの内部に存在する目的塩基配列部分4と二重鎖を形成している蛍光標識プローブ10が存在している。このうち第2ステージの精密検査Bに必要なのは、ビーズ結合した試料DNA6のみであり、蛍光標識プローブ10は第2ステージの精密検査Bを阻害する夾雑物となるため、第2ステージの精密検査Bに先立って、ビーズ結合した試料DNA6のみを精製して回収する必要がある。このため本発明では、第1ステージの検査A終了後、(g)に示すように、反応漕ごと溶液を加熱して二重鎖を形成している水素結合を熱変性によって解離させた後、(h)に示すように、磁気ピペット14を用いて反応液中のビーズ結合した試料DNA6のみを回収することにより、反応液中に含まれる解離した蛍光標識プローブ10を反応漕に残して、必要な分子だけを回収することができる。
この後、(i)に示すように、ビーズ結合した試料DNAを塩基配列読み取りのための溶液に懸濁し、これを再度用いて、既知の方法(例えば、前述したSambrook Jらの文献参照)により、第2ステージの精密検査BであるDNA塩基配列の読み取りを行い、試料DNA3中の目的塩基配列部分4の塩基配列15が存在することを検出する(j)。
以上のことから、本実施の形態によれば、第1ステージの検査Aを簡易かつ安価に行い、結果に問題があれば、第1ステージAに用いた試料DNAを回収し再使用して、信頼性の高い第2ステージの精密検査Bを行うことができる。
次に、第1ステージの簡易検査Aで試料DNAを破損させるような手法を用いる場合に、試料DNAを予め同一のデバイス上に第1ステージA用と第2ステージB用とに取り分けて保存し、各検査ごとに取り分けられた試料DNAを用いて精密検査を行うための、好ましい形態について説明する。図5は、第1ステージの簡易検査AとしてDNAの切断を含むPCR−RFLP法を用いる場合の、分割保存した試料DNAを用いた二段階検査の流れを説明したものである。
まず、試料DNAを再使用する前述の場合と同様に、検査対象生物の試料DNAを準備する流れを説明した図3にしたがって、必要量の試料DNA3を得る。これを検査の出発材料とする(図5(a))。これを(b)で示すように、第1ステージの簡易検査A用と第2ステージの精密検査B用とに分割し、それぞれの部分を、(c)のように、同一デバイス上の異なる場所(A)および(B)に保存する。これらのうちから第1ステージの簡易検査A用に(A)に取り分けた試料DNA3に制限酵素を加えて切断を行う。この結果、試料DNA3は、(d)に示すように、切断された長いDNAフラグメント16、切断された中程度の長さのDNAフラグメント17、および、切断された短いDNAフラグメント18に切り分けられる。次に、(e)に示すように、これらのDNAフラグメントを含む溶液を電気泳動ゲル19にアプライした後、電気泳動装置20を用いて電気泳動を行い、ゲル上で3種類のDNAフラグメントを分離する。核酸を染色できる色素でゲルを染色し、予想通りの電気泳動パターンが得られれば、試料DNA3中に目的塩基配列部分4が存在すると判断する。この検査結果に問題があれば、以下のように、第2ステージの検査Bを行う。
第1ステージのPCR−RFLP検査に用いた試料DNA3は、検査に際して、切断された長いDNAフラグメント16、切断された中程度の長さのDNAフラグメント17、および、切断された短いDNAフラグメント18に切り分けられたため、これらを回収しても、第2ステージの精密検査であるDNAの塩基配列を読み取ることができない。そこで、(c)で(B)に分割保存しておいた第2ステージの精密検査B用の試料DNAを用いて(f)、既知の方法(例えば、前述したSambrook Jらの文献参照)により、第2ステージの精密検査BであるDNA塩基配列の読み取りを行い、試料DNA3中の目的塩基配列部分4の塩基配列15が存在することを検出する(g)。
以上のことから、本実施の形態によれば、第1ステージの検査Aを簡易かつ安価に行い、結果に問題があれば、予め同一デバイス上に分割保存した試料DNAを使用して、信頼性の高い第2ステージの精密検査Bを行うことができる。
なお、試料DNAを回収し再使用する場合においても、また、分割保存し検査ごとに使用する場合においても、第1ステージの簡易検査は、本実施の形態で説明したものに限定されるわけではない。この他、1種類または複数種類の特定のDNAの塩基配列を同定できる手法であれば、いかなるものも採用することができる。
また、図6に、上記のような二段階の検査に含まれる簡易の検査をマイクロフルイディクスの技術を用いて行う際のデバイスを例示した。平板に、図のようにDNA抽出部21、検出部22、およびDNA保存部23を彫り込み、それらの間を細い溝を掘り込んで連結してある。このデバイスにやはり平板の蓋24を被せ、蓋24にはDNA抽出部の上部に試料挿入用の穴25を開けてある。簡易の検査を行う際には、試料挿入用の穴25から試料、例えばマグロの切り身の一部を入れる。入れられた試料からDNA抽出部21でDNAを抽出し、これを細い溝を通して検出部22へと移動させ、ここで簡易の検査による検出を行う。第2ステージの精密検査のために分割保存が必要な場合には、抽出したDNAの一部を、検出部22へ送ると同時に、別の細い溝を通してDNA保存部23へも移動させ、そこに保存する。簡易の検査を行った結果、精密検査が必要な場合には、このデバイスごと精密検査を行う場所へ試料を送ることができる。このデバイスごとの試料を受け取って精密検査を行う際には、図7に示すように、デバイスの蓋24を開け、DNA保存部23および/または検出部22に保持してあるDNAを回収して、精密検査に用いる。このようなデバイスを利用することにより、試料の取り違いやDNAの紛失、夾雑物の混入などを防ぎ、微量で簡便な簡易な検査と信頼度の高い精密検査を行うことができる。
また、本発明は上述の実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他の種々の構成を採り得ることはもちろんである。
次に、本発明にかかる第一の実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
図8に示す目的塩基配列i27が試料DNAの塩基配列26の中に存在するかどうかを、本発明の検査方法で調べた。第1ステージの簡易検査であるDNAハイブリダイゼーション法には、図8に示すように、検査対象のDNAの塩基配列i27に完全に相補的なプローブ塩基配列28を持つプローブDNAを蛍光色素Cy5で標識した蛍光標識プローブを用いた。また、第2ステージの精密検査であるDNA塩基配列の読み取りには、やはり図8に示すように、試料DNAの塩基配列26の一部分に完全に相補的なシークエンスプライマーの塩基配列29を持つシークエンスプライマーを、それぞれ用いた。
図4の流れに従い、まず、試料DNAの塩基配列26を持ち5’末端をビオチン修飾したDNA200pmolと、ストレプトアビジンで被覆した磁気ビーズ(Bio-Adembeads Streptavidin,品番0312、Ademtech)100μgとを、50μlのTE緩衝液(10mM Tris-HCl, 1mM EDTA, pH 8.0)に加えて攪拌した後、室温で30分間放置して、DNAの5’末端と磁気ビーズを結合させた。磁気マイクロピペットPickPen(BIO-NOBILE)により溶液中の磁気ビーズを引き付けて回収し、別のチューブに入れたTE緩衝液50μl中に磁気ビーズを遊離させ攪拌して、磁気ビーズおよびこれに結合したDNAの洗浄を行った。この洗浄を3回繰り返して未反応のDNAを除いた後、別のチューブに入れた50μlのTE緩衝液に懸濁して、ビーズ結合したDNAの懸濁液を作製した(図4(b))。
次に、プローブ塩基配列28を持ち5’末端を蛍光色素Cy5で標識したプローブDNAの100pmolの水溶液2μlを、ビーズ結合したDNAの懸濁液50μlに加えた(図4(c))。この混合液を、94℃で30秒間、ついで55℃で5分間保持して、ハイブリダイゼーションを行った(図4(d))。
ハイブリダイゼーション反応後、室温で、PickPenにより溶液中の磁気ビーズを引き付けて回収し(e)、別のチューブに入れたTE緩衝液50μl中に磁気ビーズを遊離させ攪拌して、ビーズ結合したDNAとこれにハイブリダイズしたプローブの洗浄を行った。この洗浄を3回繰り返して未反応のDNAを除いた後、別のチューブに入れた50μlのTE緩衝液に懸濁した(図4(f))。この懸濁液の蛍光を、FLA5000フルオロ・イメージアナライザー(冨士写真フィルム)で、励起波長635nm、R665フィルター使用の条件で検出した。この結果を、第1ステージの簡易検査であるハイブリダイゼーションの蛍光検出による結果とした。図9で示すように、この懸濁液の蛍光強度は、ビーズ結合した試料DNA6のみの懸濁液の蛍光強度よりも明らかに強かった。また、この懸濁液の蛍光強度は、試料DNAに相補的な塩基配列を持たないがプローブDNAと同じ長さの陰性対照プローブ塩基配列30を持ち、5’末端をCy5で標識した陰性対照プローブを用いて同様のハイブリダイゼーションを行った場合の蛍光強度よりも、明らかに強かった。この結果、プローブ塩基配列28を持つプローブDNA9を用いたハイブリダイゼーション反応により、試料DNAの塩基配列26中に検査対象の塩基配列i27が含まれていることを検出できることが示された。
次に、懸濁液を94℃で2分加熱した後5分間氷冷して2本鎖を解離させた(図4(g))。その後、PickPenにより溶液中の磁気ビーズを引き付けて回収し、別のチューブに入れた蒸留水50μl中に磁気ビーズを遊離させ攪拌して、ビーズ結合した試料DNA6の洗浄を行った。この洗浄を3回繰り返して解離したプローブDNAを除いた。
回収したビーズ結合した試料DNA6とシークエンスプライマーの塩基配列29をもつシークエンスプライマー、およびABI社製のBigDye Terminator v1.1 Cycle sequencing Kitを用いて、キットの説明に従ってシークエンシング反応を行い、ABI PRISMR 310 Genetic Analyzerを用いて、試料DNA6のシークエンシングを行った。
この結果、図10のように、得られた塩基配列の一部分に目的塩基配列i27が検出され、簡易検査に用いた試料DNA3を回収して精密検査に用いる手法により、目的塩基配列を検出できることが示された。
以上のことから、本実施例によれば、特異的なDNA塩基配列の検出を行うため、ハイブリダイゼーション法による簡易検査を行った後、検査に使用した試料DNAを回収し、これを用いて、精密検査としてDNA塩基配列の読み取りを行って、簡便で信頼度の高い検査を行うことができる。
次に、本発明にかかる第二の実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
図11に示す目的塩基配列ii31が試料DNAの塩基配列26の中に存在する相対量を定量的に検出できるかどうかを、本発明の検査方法で調べた。第1ステージの簡易検査としてリアルタイムPCR法を、第二ステージの簡易検査としてはDNA塩基配列の読み取りを、それぞれ用いた。リアルタイムPCR法は、前述のように試料DNAを破損させない検査法であるが、使用する試料DNAが極端に少量で行える検査法のため、ここでは検査後に試料DNAを回収せず、予め試料DNAを二分してその片方を第一ステージのリアルタイムPCRに用い、もう片方を第二ステージの塩基配列の読み取りに用いた。
リアルタイムPCRには、図11に示すように、検査対象のDNAの塩基配列ii31の5’末端に完全に相同な塩基配列32を持つRTプライマー〔1〕、および、検査対象のDNAの塩基配列ii31の3’末端に完全に相補的な塩基配列33を持つRTプライマー〔2〕のペアを用いた。また、第2ステージの精密検査であるDNA塩基配列の読み取りには、やはり図11に示すように、試料DNAの塩基配列26の3´末端に完全に相補的でRTプライマー〔2〕の塩基配列33より5塩基短いシークエンスプライマーの塩基配列29を持つシークエンスプライマーを、それぞれ用いた。
まず、図5に従って、試料DNAの塩基配列26を持ち5’末端をビオチン修飾したDNAの濃度100μMの溶液を二つに分け(図5(b))、各々を8連のPCR用チューブ(Optical Tubes (8 Tubes/Strip)、品番4316567、ABI)の別々のチューブ(A)および(B)に分注し、フタ(ABI PRISM OpticalCap, 8 caps/strips(Flat)、品番4323032、ABI)で密封し保存した(図5(c))。
このうちチューブ(A)から2μlずつ3度取り分け、それぞれを蒸留水で希釈して、2pM、20fMおよび0.2fMの溶液を作成した。これら各々の溶液各2μl (各々4afmol、40zmol、400ymolの試料DNAを含む)に、それぞれ10xEX Taq 緩衝液(Takara EX Taq添付品、品番RR001A、タカラバイオ)5μl、2.5mM dNTP mix(Takara EX Taq添付品、品番RR001A、タカラバイオ) 4μl、各々10μMのRTプライマー〔1〕およびRTプライマー〔2〕各1μl(各10pmol)、Taqポリメラーゼ(Takara ExTaq、品番RR001A、タカラバイオ)1.25unit、およびSYBR Green I(品番F0512、タカラバイオ)3,500倍希釈液 5 μlを混合し、それぞれ50μlの水溶液とした。これらを、各々96穴のマイクロタイタープレート(Micro Amp Optical 96-well Reaction Plate、品番N801-0560、ABI)に入れ、キャップ(ABI PRISM OpticalCap, 8 caps/strips(Flat)、品番4323032、ABI)で密封した。この検体を、ABI PRISM 7000 Sequence Detection System(ABI)を用いて、95℃で2分間保持した後、95℃15秒間保持と60℃1分間保持の2ステップを40回繰り返してPCR反応を行い、その間、SYBR Green Iの蛍光強度を測定することにより、DNAの増幅をモニターした。測定結果をグラフに作成したところ、図12に示すように、試料DNAの濃度が高いほどPCR産物の量は少ないサイクル数で増加し始め、少ないサイクル数でプラトーに達した。試料DNAと相補性のないRTプライマーを用いた陰性対照の実験では、PCR産物の有意な増幅は認められないことから、RTプライマー〔1〕および〔2〕を用いた増幅が、特異的なものであることを確認できた。なお、反応終了後、95℃15秒間ついで60℃1分間保持し、その後20分間かけて95℃まで温度を上昇させ、融解曲線分析を行った。この結果、図13に示した相対蛍光値の負の一次微分曲線から、増幅されたDNAはどれも同じTm値を持つ1種類の配列であることが示せた。試料DNAと相補性のないRTプライマーを用いた陰性対照の実験では、融解曲線は温度依存性のない基底レベルの直線となり、PCR産物は認められないため、ここでもRTプライマー〔1〕および〔2〕を用いた増幅が特異的なものであることを確認できた。さらに、図12をもとにして作成した検量線は、図14に示すように、試料DNA量の対数値とCt値とが直線関係となった。したがって、試料中に目的塩基配列ii26が含まれ手いることを確認し、さらにその量を、リアルタイムPCRの手法を用いて、定量的に検査できることが示された。なお、リアルタイムPCRの手法を用いると、定量的な検査と同様に定性的な検査も行えることは当然である。
次に、上記のように前もってチューブ(B)に分注しておいた試料DNAの塩基配列26を持つ試料DNA2pmol、シークエンスプライマーの塩基配列29をもつシークエンスプライマー、およびABI社製のBigDye Terminator v1.1 Cycle sequencing Kit(品番4337449、ABI)を用いて、キットの説明に従ってシークエンシング反応を行い、ABI PRISMR 310 Genetic Analyzerを用いて、試料DNAのシークエンシングを行った。
この結果、図15のように、得られた塩基配列の一部分に目的塩基配列i31に完全に相補的な塩基配列34が検出でき、目的塩基配列を検出できることが示せた。
目的塩基配列が複数種類ある場合には、一つの反応漕内で同時に複数種類の目的塩基配列に対してリアルタイムPCR反応を行い、DNAの増幅が検出されるか否かを判定することにより、目的塩基配列の有無を判定する。目的塩基配列のいずれかの増幅が検出された場合には、第2ステージの精密検査を行い、存在する目的塩基配列の種類を同定する。この場合、簡易検査では、目的塩基配列の有無のみを検出するため、複数種類のリアルタイムPCR反応を行う際に用いる蛍光色素は、1種類でも複数種類でも構わない。
二段階DNA検査手法のうち、第1ステージの簡易検査に試料DNAを破損させない手法を用いた場合の流れを説明したものである。 二段階DNA検査手法のうち、第1ステージの簡易検査に試料DNAを破損させる手法を用いた場合の流れを説明したものである。 検査対象生物の試料DNAを準備する流れを示した図である。 第1ステージの簡易検査に使用した試料DNAを回収して第2ステージの精密検査を行う二段階検査の流れを示した図である。 検査前に同一デバイス上に分割保存した試料DNAの一部ずつを用いて、第1ステージの簡易検査および第2ステージの精密検査を行う、二段階検査の流れを示した図である。 マイクロフルイディクスを用いた検査デバイスを示した図である。 図6の検査デバイスの蓋を開けた状態を示した図である。 実施例1の検査に用いた各DNAの塩基配列と相補性を示した図である。 実施例1の第1ステージの簡易検査の結果を示した図である。 実施例1の第2ステージの精密検査の結果を示した図である。 実施例2の検査に用いた各DNAの塩基配列と相補性を示した図である。 実施例2の第1ステージの簡易検査の結果の増殖曲線を示した図である。 実施例2の第1ステージの簡易検査でDNAの増幅が成功したことを示す図である。 実施例2の第1ステージの簡易検査の結果から描いた検量線の図である。 実施例2の第2ステージの精密検査の結果を示した図である。
符号の説明
1・・・被検査生物群、2・・・被検査生物の核酸、3・・・試料DNA、4・・・目的塩基配列部分、5・・・磁気ビーズ、6・・・ビーズ結合した試料DNA、7・・・ビーズ結合した試料DNA群、8・・・蛍光色素、9・・・プローブDNA、10・・・蛍光標識プローブ、11・・・蛍光標識プローブ群、12・・・未反応の蛍光標識プローブ群、13・・・二重鎖形成、14・・磁気ピペット、15・・・DNA塩基配列、16・・・切断された長いDNAフラグメント、17・・・切断された中程度の長さのDNAフラグメント、18・・・切断された短いDNAフラグメント、19・・・電気泳動ゲル、20・・・電気泳動装置、21・・・DNA抽出部、22・・・検出部、23・・・DNA保存部、24・・・蓋、25・・・試料挿入用の穴、26・・・試料DNAの塩基配列、27・・・目的塩基配列i、28・・・プローブ塩基配列、29・・・シークエンスプライマーの塩基配列、30・・・陰性対照プローブ塩基配列、31・・・目的塩基配列ii、32・・・RTプライマー〔1〕の塩基配列、33・・・RTプライマー〔2〕の塩基配列、34・・・目的塩基配列iiの相補鎖の塩基配列

Claims (4)

  1. 試料核酸中に目的の配列が含まれているかどうかを検査する方法であって、最初に試料核酸に対しマイクロチップ化したデバイス上で簡易な検査を行い、目的の配列が含まれていると判定された場合若しくは含まれていないと判定された場合に、同一試料核酸に対し精密な検査を行う核酸の検査方法であって、試料核酸を二分し、一方を簡易な検査の試料核酸とし、他方を精密な検査の試料核酸とし、それらを前記同一デバイス上に保持しておくことを特徴とし、簡易な検査がDNAハイブリダイゼーション、PCR−RFLP法、又はリアルタイムPCR法による検査であり、精密な検査がDNA塩基配列の読み取りによる検査である核酸の検査方法。
  2. 目的の配列が、生物種に特異的に存在する配列であることを特徴とする請求項1に記載の核酸の検査方法。
  3. 目的の配列が、遺伝子組み換え体に特異的に存在する配列であることを特徴とする請求項1に記載の核酸の検査方法。
  4. 複数種類の目的配列を1回の簡易な検査で同時に検査できることを特徴とする請求項1に記載の核酸の検査方法。
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