JP4497501B2 - 二酸化塩素を利用した消毒・消臭方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
この発明は、二酸化塩素を利用した消毒・消臭方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、二酸化塩素を利用して消毒を行うことは公知である。ミスト状の二酸化塩素は、毒性があり肺に障害を生じさせるおそれがあるため、通常は二酸化塩素を水に溶解し液状にして塗布する方法が採用されている。一定の広さの空間や大きなサイズの物品を消毒する場合、通常消毒剤を液状にして塗布する方法は作業性が著しく悪くなると共に塗布ムラによる未消毒部分の発生を避けることが出来ないため、通常は消毒剤をミスト状にして噴霧し、空間全域に拡散、充満させて空間を仕切る壁面或は空間内の空気を消毒し、或は物品の表面にミストを均一に付着させて消毒する方法が好ましい。このため、マットレス、布団、衣類、ベッド等の大きなサイズの物品や室内の壁・空気を消毒する場合、通常アルコールをミスト状にして散布する方法が用いられており、二酸化塩素は用いられていない。しかしながら、アルコールは空気中に所定の濃度で存在すると、爆発の危険があるため取り扱いが面倒であり、必ずしも好適な消毒方法とは言えなかった。二酸化塩素はアルコールのような爆発の危険性はないが、前記したようにミスト状の二酸化塩素は毒性があり吸引した場合、肺に障害を生じさせるおそれがあるため、二酸化塩素をミスト状にして噴霧する方法は実際上採用されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、爆発の危険性がない二酸化塩素を人体に障害を生じさせることなく、ミスト状にして噴霧し、空間内に収納されたサイズの大なる物品の消毒を行い得るようにすることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、密閉した空間内に被消毒物体を装入し、二酸化塩素の水溶液をミスト状にして前記空間内に噴霧した後、更に水をミスト状にして噴霧し、空間内に浮遊している二酸化塩素をミスト状の水に溶解させ、二酸化塩素が溶解したミスト状の水を被消毒物体に付着させ、被消毒物体の内部に二酸化塩素を浸透させることにより、被消毒物体の消毒及び消臭を行うようにしたことを特徴とする。
【0005】
被消毒物体がマットレス、布団、衣類、ベッドのいずれかであることを特徴とする。
【0006】
二酸化塩素による消毒・消臭後、空間内に加熱空気を送給して被消毒物体の乾燥を行うようにしたことを特徴とする。
【0007】
空間内の空気から浮遊するミスト状の二酸化塩素をフィルターで濾別しつつ排気するようにしたことを特徴とする。
【0008】
扉で密閉可能な被消毒物体を装入するための所望の空間を有する装置本体と、該装置本体の一側を隔壁で区画した機械室と、該機械室内に配置された薬液タンク、薬液ポンプ、水道管、エアーコンプレッサと、装置本体内上部に配置された噴霧ノズルを含み、薬液タンクとエアーコンプレッサを噴霧ノズルに管で接続し、水道管とエアーコンプレッサを噴霧ノズルに管で接続し、薬液タンクには二酸化塩素の水溶液が収容され、二酸化塩素の水溶液をミスト状に噴霧した後、更に水をミスト状に噴霧し、空間内に浮遊している二酸化塩素をミスト状の水に溶解させ、二酸化塩素が溶解したミスト状の水を被消毒物体に付着させ、被消毒物体の内部に二酸化塩素を浸透させることにより、被消毒物体の消毒及び消臭を行うようにしたことを特徴とする。
【0009】
機械室内にガスバーナーで加熱空気を生成し得る燃焼室と、該燃焼室で生成された加熱空気を空間内に送給し得るダクトと送給ファンとを配置し、二酸化塩素による消毒・消臭後、空間内に加熱空気を送給して被消毒物体の乾燥を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
装置本体の上部に、空間内の空気を排出し得る排気ファンを配置し、該排気ファンに浮遊するミスト状の二酸化塩素を濾別し得るフィルターを取り付けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。この発明は、マットレス、布団、衣類、ベッド等の比較的大きなサイズの被消毒物体を消毒、消臭することが可能であり、被消毒物体を区画され密閉可能な空間に収納し、該空間内に二酸化塩素の水溶液を加圧した空気によりミスト状にして噴霧し、空間内に充満させて収納された被消毒物体の表面に付着させ、或は内部に浸透させて消毒を行う。一定時間経過後、空間内に水をミスト状に噴霧して空間に残存、浮遊している二酸化塩素をミスト状の水に溶解させ、二酸化塩素が溶解したミスト状の水を被消毒物体に付着させ、被消毒物体の内部に二酸化塩素をより良く浸透させて消毒及び消臭を図るようにしたことを特徴とする。空間内空気の排出口にはフィルターを設置して、空間内に浮遊しているミスト状の二酸化塩素を濾別し、大気中にミスト状の二酸化塩素が排出されるのを防止する。その後、空間内に温風を送風し被消毒物体を乾燥して取り出す。
【0012】
二酸化塩素(ClO2)は、強力な酸化力により活性が大であるが、純水中に50〜150g/l混入することにより安定化させることが出来る。安定化二酸化塩素は、5〜15%の有効二酸化塩素が含まれ、濃度3500〜150000ppmの水溶液であり、極めて安全性が高く実用濃度ではほとんど毒性を有しておらず、ダイオキシンの発生もない。又、繊維素を侵すおそれは全くなく、強い殺菌力を有しており、大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌等の水中原菌に対して非常に効果がある。400ppmでpH3.5の安定化二酸化塩素を1分間曝すことにより、大部分の有害細菌は死滅することが確認されている。空間内に噴霧されるミスト状二酸化塩素の空間内濃度は、好ましくは350ppm〜450ppmであり、最も好ましくは400ppmである。又、噴霧時間は、濃度により異なるが、1分〜2分、好ましくは約1分30秒である。
【0013】
【実施例】
以下に図面を参照しつつこの発明の好ましい実施例を詳細に説明する。図において(1)は、装置本体であり、所要の寸法を有する方形箱形状に形成され、正面開口を密閉し得る扉(2)が開閉自在に設けられる。装置本体(1)の一側は、隔壁(3)で機械室(4)と区画される。機械室(4)内には、下部に薬液タンク(5)、薬液ポンプ(6)、エアーコンプレッサ(7)が配設される。薬液タンク(5)内には所定濃度で二酸化塩素を含む水溶液である安定化二酸化塩素が収容されており、薬液ポンプ(6)を介して薬液管(8)で本体内上部に設置された噴霧ノズル(10)に接続されている。又、エアーコンプレッサ(7)もエアー管(9)により噴霧ノズル(10)に接続され、送給された薬液は加圧空気により噴霧ノズルからミスト状に噴霧される。噴霧ノズル(10)には、別途に水道管が接続され、加圧空気によって空間内に水をミスト状にして噴霧可能である。
【0014】
(11)は機械室(4)内上部に設けられた燃焼室であり、内部にガスバーナーが配設され、機械室の前面から空気を取り込んで加熱し、ダクト(12)(13)を介して装置本体(1)内の下部に吸気ファン(14)により送給される。機械室(4)の上部には排気ファン(15)が配設され、装置本体(1)内の空気を排気口(16)から排気することが出来る。吸気ファン(14)及び排気ファン(15)には、図6に示すようにピストン(17)(18)で駆動されるシャッター(19)(20)が取り付けられ、吸気或は排気を適宜遮断することが可能である。更に、排気ファン(15)には排気中に残存しているミスト状の二酸化塩素を濾別することの出来るフィルターが取り付けられており、ミスト状に浮遊する二酸化塩素が大気中の放出されるのを防止している。(21)は、複数のマットレスを装架して装置本体(1)内に装入可能な台車である。
【0015】
例えば、マットレスの消毒を行う場合、台車(21)にマットレスを装架して台車と共に装置本体(1)内に装入し、扉(2)を閉鎖して空間を密閉する。薬液ポンプ(6)及びエアーコンプレッサ(7)を駆動して安定化二酸化塩素と加圧空気を噴霧ノズル(10)に送給し、ミスト状にして空間内に噴霧する。薬液の噴霧後、薬液ポンプ(6)を停止し、水を送給しミスト状にして空間内に噴霧する。一定時間例えば5分間経過後、排気ファン(15)を作動して空間内の排気を行う。排気後、ガスバーナーを点火して加熱空気を吸気ファン(14)で空間内に送給し、マットレスの乾燥を行う。例えば、マットレスの消毒を行う場合、台車(21)にマットレスを装架して台車と共に装置本体(1)内に装入し、扉(2)を閉鎖して空間を密閉する。薬液ポンプ(6)及びエアーコンプレッサ(7)を駆動して安定化二酸化塩素と加圧空気を噴霧ノズル(10)に送給し、ミスト状にして空間内に噴霧する。薬液の噴霧後、薬液ポンプ(6)を停止し、水を送給しミスト状にして空間内に噴霧する。一定時間例えば5分間経過後、排気ファン(15)を作動して空間内の排気を行う。排気後、ガスバーナーを点火して加熱空気を吸気ファン(14)で空間内に送給し、マットレスの乾燥を行う。
【0016】
薬液の噴霧によりマットレスの消毒並びに消臭が達成され、更に水を噴霧することにより、マットレスの内部への薬液の浸透を図り、より充分な消毒と消臭を行うことができる。
【0017】
空間内は、扉(2)で密閉した後水溶液とした安定化二酸化塩素を噴霧し、噴霧後水を空間内に噴霧して浮遊する二酸化塩素を水に溶かして除去するようにし、更にフィルターによって排気からミスト状の二酸化塩素を除去するようにしてあるので、ミスト状の二酸化塩素が大気中に浮遊して人体に悪影響を及ぼすようなおそれがなくなる。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、安定化二酸化塩素をミスト状にして噴霧して消毒、消臭を簡単に行うことができ、人体に悪影響を与える危険性もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる装置の透視斜視図
【図2】機械室の一部を透視して示す正面図
【図3】同側面図
【図4】機械室の他の一部を透視して示す正面図
【図5】同側面図
【図6】ファンのシャッター機構を示す斜視図
【符号の説明】
(1)装置本体
(2)扉
(3)隔壁
(4)機械室
(5)薬液タンク
(6)薬液ポンプ
(7)エアーコンプレッサ
(8)薬液管
(9)エアー管
(10)噴霧ノズル
(11)燃焼室
(12)ダクト
(13)ダクト
(14)吸気ファン
(15)排気ファン
(16)排気口
(17)ピストン
(18)ピストン
(19)シャッター
(20)シャッター
(21)台車
Claims (7)
- 密閉した空間内に被消毒物体を装入し、二酸化塩素の水溶液をミスト状にして前記空間内に噴霧した後、更に水をミスト状にして噴霧し、空間内に浮遊している二酸化塩素をミスト状の水に溶解させ、二酸化塩素が溶解したミスト状の水を被消毒物体に付着させ、被消毒物体の内部に二酸化塩素を浸透させることにより、被消毒物体の消毒及び消臭を行うようにしたことを特徴とする二酸化塩素を利用した消毒・消臭方法。
- 被消毒物体がマットレス、布団、衣類、ベッドのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の二酸化塩素を利用した消毒・消臭方法。
- 二酸化塩素による消毒・消臭後、空間内に加熱空気を送給して被消毒物体の乾燥を行うようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の消毒・消臭方法。
- 空間内の空気から浮遊するミスト状の二酸化塩素をフィルターで濾別しつつ排気するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の消毒・消臭方法。
- 扉で密閉可能な被消毒物体を装入するための所望の空間を有する装置本体と、該装置本体の一側を隔壁で区画した機械室と、該機械室内に配置された薬液タンク、薬液ポンプ、水道管、エアーコンプレッサと、装置本体内上部に配置された噴霧ノズルを含み、薬液タンクとエアーコンプレッサを噴霧ノズルに管で接続し、水道管とエアーコンプレッサを噴霧ノズルに管で接続し、薬液タンクには二酸化塩素の水溶液が収容され、二酸化塩素の水溶液をミスト状に噴霧した後、更に水をミスト状に噴霧し、空間内に浮遊している二酸化塩素をミスト状の水に溶解させ、二酸化塩素が溶解したミスト状の水を被消毒物体に付着させ、被消毒物体の内部に二酸化塩素を浸透させることにより、被消毒物体の消毒及び消臭を行うようにしたことを特徴とする二酸化塩素を利用した消毒・消臭装置。
- 機械室内にガスバーナーで加熱空気を生成し得る燃焼室と、該燃焼室で生成された加熱空気を空間内に送給し得るダクトと送給ファンとを配置し、二酸化塩素による消毒・消臭後、空間内に加熱空気を送給して被消毒物体の乾燥を行うようにしたことを特徴とする請求項5記載の消毒・消臭装置。
- 装置本体の上部に、空間内の空気を排出し得る排気ファンを配置し、該排気ファンに浮遊するミスト状の二酸化塩素を濾別し得るフィルターを取り付けたことを特徴とする請求項5又は6記載の消毒・消臭装置。
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