JP4495890B2 - 光走査の走査補正方法および走査結像光学系および光走査装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光走査の走査補正方法および走査結像光学系および光走査装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光走査を利用した画像形成は、デジタル複写装置や光プリンタ、光製版装置、光プロッタ等の種々の画像形成装置において実施されている。このような画像形成装置において従来一貫して画質の向上が追及されてきた。画質の向上には、光走査を行うために光源と被走査面との間に配備される走査光学系の性能向上が不可欠である。
【0003】
走査光学系の性能を向上させる方法として、走査光学系の種々のパラメータを最適化し、必要とされる光学特性を良好に設定することが考えられる。上記必要とされる光学特性には、主・副走査方向の像面湾曲、波面収差、リニアリティ、走査線の曲がり等があるが、書込み密度の高密度化に伴ないこれら光学特性に要求される性能も高くなり、これらの全てを高性能に補正しながら、さらに加工し易さ、低コストに作製できる光学素子形状等を実現することは容易でない。
【0004】
走査光学系の像面湾曲が十分に補正されない場合には、光スポットのスポット径が像高と共に変動してしまう。このようなスポット径変動は、高密度の画像形成に対する大きな妨げとなる。また、波面収差の補正が十分でないと、被走査面上に形成される光スポットの品質が劣化し、高密度の画像を形成した場合に画像品質を劣化させる原因になる。
【0005】
リニアリティは、等角速度的に偏向される偏向光束の形成する光スポットの、被走査面上における移動速度の等速化の目安であり、リニアリティが良好に補正されていないと、形成される画像に「主走査方向の歪み」が生じてしまう。
【0006】
像面湾曲や波面収差の補正とリニアリティの補正の両立は難しく、一方を良好に補正すると他方の補正が不充分になるという所謂「トレードオフ」の関係にある。従来は、光学特性間でトレードオフを調整しながら、あるバランスに落ち着かせている。
【0007】
リニアリティは電気的な補正が可能であり、リニアリティの電気的な補正を前提とすると、走査光学系に「ある程度のリニアリティを残存させ」、その分だけ、リニアリティとトレードオフの関係にある像面湾曲等の光学特性を良好に補正することが可能になる。
【0008】
リニアリテイを電気的に補正する方法として、画素クロックの時間幅を制御することが意図されている。実際、残存しているリニアリティに応じ、画素クロックの時間幅を「画素ごとに調整」することにより、残存リニアリティの影響を略完全に除去することができる。
【0009】
この方法では、残存するリニアリティに応じて「有効走査領域内の全画素に対して画素クロックの時間幅を設定」するので、画素ごとの時間幅を記憶させるメモリの容量が大きくなり、大容量のメモリを必要とし、光走査装置ひいては画像形成装置のコストアップを招来し易い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上述した事情に鑑み、大容量のメモリを用いること無く、リニアリティを電気的に良好に補正することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の光走査の補正方法は「光源側からの光束を光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向光束を、リニアリティの残存する走査結像光学系により被走査面に向って集束させ、被走査面上に光スポットを形成し、被走査面を光走査する光走査装置において、走査結像光学系に残存するリニアリティに起因する光走査の不均一を近似的に補正する方法」であって、以下の如き特徴を有する(請求項1)。
【0012】
即ち、有効走査領域を残存リニアリティに従って複数のブロックに分割し、各ブロック内における残存リニアリテイの変化量が所望の大きさ以下となるようにする。リニアリティは理想的に補正されたときには、光スポットの各像高において「0」となり、リニアリティの値が大きいほど光走査の等速性は悪い。有限の値のリニアリティが「残存リニアリティの値」である。
【0013】
1ドットに対応する画素クロックの時間幅を、基準時間幅:Tに対してT/N(Nは、2以上の所定の自然数)を単位として、基準時間幅:Tと異なる時間幅を持ち、1画素単位で変更可能な補正用画素クロックを生成可能とする。
【0014】
画素クロックは、被走査面上に1ドットを書込むための時間を与えるクロックであり、基準時間幅:Tは、リニアリティが理想的に補正されている状態において、1ドットを書込むための時間である。「補正用画素クロック」は上記基準時間:Tと異なる時間幅を持つ画素クロックであり、従って、補正用画素クロックにより書込まれた1ドットの主走査方向のドット幅は、基準時間幅:Tを持つ画素クロックにより書込まれた1ドットのドット幅と異なることになる。
【0015】
補正用画素クロックの時間幅:tは、Nを2以上の自然数としてT/Nを単位として基準時間幅:Tと異なる。例えば、t=T(1−1/N)である。
【0016】
上記の如く有効走査領域を分割した各ブロックごとに「補正用画素クロックの数とその発生の規則」を定め、各ブロックに対し、上記規則に従い、画素クロックの時間幅を変更することにより、各ブロックでのリニアリティが各ブロックにおいて、所望の所定量より小さくなるように補正する。上記「規則」には、「補正用画素クロックの数を0とし、補正用画素クロックを発生させない」場合が含まれる。あるブロックにおける規則がこのようなものである場合には、このブロックでは、当初からリニアリティが所望の所定値以下に補正された状態にあり、したがって、このブロックでは補正不用なのである。
【0017】
上記走査補正方法では「有効走査領域を分割した各ブロックごとに補正用画素クロックの数とその発生の規則を定め、各ブロックに対し、上記規則に従い、画素クロックの時間幅を変更する」ので、メモリに記憶させるのは「ブロックごとの補正用画素クロックの数とその発生の規則」のみであり、「残存しているリニアリティに応じ、画素クロックの時間幅を画素ごとに調整する」場合に比して、容量の小さいメモリの使用が可能であり、大容量のメモリの使用に伴なうコストアップを有効に回避できる。
【0018】
上記請求項1記載の光走査の走査補正方法において、各ブロックにおける「基準時間幅:Tと異なる時間幅を持つ補正用画素クロック」の種類を1種類とすることができる(請求項2)。
【0019】
また、上記請求項1または2記載の光走査の走査補正方法において、2以上の自然数であるNの値は、種々の値を採用することが可能であるが、後述の実施の形態におけるように、Nを8とすることができる(請求項3)。なお、Nの上限は、50程度で十分である。
【0020】
上記請求項1または2または3記載の光走査の走査補正方法は「有効走査領域の複数ブロックへの分割」を、「残存リニアリティを略等差とする」ように行い、残存リニアリティの変化幅が同じとなるブロックに対して同一の発生の規則での補正を行うことを共通の特徴とする。残存リニアリティが略等差であるとは、分割されたブロックの何れにおいても、残存リニアリティの変化幅(絶対値)が略等しいことを意味する。
【0021】
このように、残存リニアリティが略等差であるようにブロック分けすると、残存リニアリティの変化幅が同じとなるブロックに対して同一規則での補正が可能となり、制御のアルゴリズムが簡単化され、補正の実施が容易になる。また、一般にリニアリティは像高:0の両側に略対称に残存することが多く、このような場合には前記「同一の規則」の数を半減させることができる。
【0022】
なお、リニアリティは一般的に「画角に対し高い次数で変化」するので、画角が大きくなる「有効走査領域の周辺」ほど残存リニアリティの変化が大きくなり易い。このような場合「有効走査領域の周辺ほどブロックへの分割を密にする分割方法」は合理的であり上記請求項1記載の分割方法もこのようになっている。
【0023】
この発明の走査結像光学系は、上記請求項1または2または3記載の走査補正方法を実施する光走査装置において用いられ「光偏向器により等角速度的に偏向される偏向光束を、被走査面に向って集束させ、被走査面上に光スポットを形成するもの」であり、以下の如き特徴を有する(請求項4)。
【0024】
有効走査領域におけるリニアリティの最大残存量:Lm(%)が、条件:
(1) 0.5<|Lm|<10
を満足するようにリニアリティを残存されている。
【0025】
条件(1)において、リニアリティの最大残存量:Lmが下限値の0.5よりも小さい場合は「リニアリティが良好に補正された状態」であり、敢えて電気的な補正を行う利益に乏しく、リニアリティをこの程度にまで補正した場合、像面湾曲や波面収差の補正の自由度も制限され、リニアリティの残存と引き換えに、これら像面湾曲や波面収差を良好に補正するという効果を十分に生かせない。
【0026】
また、Lmが上限値の10を越えた場合、主走査方向のドット径の「像高によるばらつき」が大きくなり望ましくない。即ち、この発明の補正方法では、ドットの1つ1つにつき画素クロックの時間幅を調整するわけではなく、ブロック内におけるドットには「基準時間幅を持ったものと、補正用画素クロックの時間幅を持ったものとが混在」する。
【0027】
残存リニアリテイが10%より大きいところでは、基準時間幅で書込まれたドットと、補正用画素クロックで書き込まれたドットとで、これを書込む画素クロックの時間差が大きくなり主走査方向のドット径のばらつきが目立ち易くなる。
【0028】
上記請求項4記載の走査結像光学系において、残存させたリニアリティ:Lの、走査像高比:P(任意の像高をH、有効走査領域最周辺の像高をHexとするとき、H/Hexで定義される)による微分値は、条件:
(2) |d(L)/dP|≦50
を満足することが好ましい(請求項5)。
【0029】
リニアリティの残存量が同程度でも、残存リニアリティが「単調に変化する低次関数の形状」の場合と、残存リニアリティが「像高軸と何度か交差するような高次関数の形状」の場合とを、この発明の補正方法において同列に扱うことは必ずしも適当でなく、像高比に対する「残存リニアリティの変化の割合」が、上記条件(2)の範囲内に抑えられていることが望ましい。
【0030】
前記条件(1)に加えて条件(2)を満足すると、初期のリニアリティが、光学系の部品精度や温度変動などにより変動しても、ブロック毎の分割精度や時間幅を補正用画素クロックに変更するときの精度が被る影響を小さくできる。
【0031】
請求項4または5記載の走査結像光学系において、残存リニアリティの絶対値が「像高:0から周辺部へ向って単調に増加する」ようにできる(請求項6)。
【0032】
上記請求項4または5記載の走査結像光学系において、最周辺像高の残存リニアリティ:Le(%)が、条件:
(3) |Lm/Le|>1(4) |Le|≦5
を満足するようにできる(請求項7)。このようにすると、残存リニアリティ:Lの絶対値:|L|は、最周辺像高と像高:0との間で最大値をとり、「最周辺像高の残存リニアリティ」の絶対値は上記最大値よりも小さい。
【0033】
走査結像光学系の特性として、主走査方向のスポット径の深度余裕(スポット径変化の許容範囲)は一般に、像高の増大と共に減少していく。これは、偏向光束が、副走査方向では像高が変わっても像面に垂直に交わるが、主走査方向では周辺像高ほど被走査面の法線に対する傾きが大きくなることに起因する。
【0034】
リニアリティは歪曲収差の表示形式を変更したものであるから、上記「法線に対する傾き」は、周辺像高領域での残存リニアリティが大きいほど大きくなり、このため、リニアリティを周辺像高領域で大きく残存させた場合、主走査方向のスポット径(ビームウエスト径)は、像高の増大に伴ない増大し、深度余裕も小さくなる。
【0035】
残存リニアリティが条件(3)、(4)を満足するようにすると、残存リニアリティが中心像高から周辺像高へ向って単調に増加あるいは減少することがなく、周辺像高での残存量も制限されるから、周辺像高で上記「法線に対する傾き」も大きくならず、主走査方向のスポット径の過大な増大が抑えられ、周辺像高で減少しがちな深度を十分に引き出すことができ、バランスのとれた高い性能を実現できる。
【0036】
上記請求項4または5または6または7記載の走査結像光学系は、結像ミラー系として構成することもできるし、結像ミラーと結像レンズとの合成形として構成することもできるが、レンズ系として構成することもできる。そして、走査結像光学系をレンズ系として構成する場合「光偏向器による偏向の起点に関してコンセントリックな面の数:Nc、反コンセントリックな面の数:Naが、条件:Nc≧Naを満足する」ようにすることができる(請求項8)。
【0037】
ここに「光偏向器による偏向の起点に関してコンセントリックな面」は、主走査方向に関して、曲率中心が上記偏向の起点側にある面を言う。従って、上記コンセントリックな面は「主走査方向に関して偏向の起点側に凹」となる面であり、逆に、主走査方向に関して偏向の起点側に凸となる面が「反コンセントリックな面」である。
【0038】
走査結像光学系をレンズ系として構成する場合、周辺像高ほど正で大きくなり易いリニアリティを補正する方法の1つとして、光偏向器に凸面をむけた比較的パワーの小さいメニスカスレンズ(両面とも反コンセントリック面である)を用い、屈折作用を利用して、偏向光束を、周辺像高ほど中心側にシフトさせる方法がある。
しかし、レンズ設計や収差論でよく知られたように、光偏向器に対し反コンセトリックな2つの面は、大きな収差を逆符号でうち消しており、高性能化や公差の拡大に対し大きな制約となる。また、反コンセントリックな面を偏向の起点側に持つレンズはレンズ径が大きくなり易く、走査結像光学系のコンパクト化の困難性を招来しやすい。
【0039】
レンズ系として構成される走査結像光学系にリニアリティの残存を許容することにより、請求項8記載の発明のように、反コンセントリックな面に対するコンセントリックな面の多用が可能になる。反コンセントリックな面では、像高の増大に伴ない偏向光束の入射角が大きくなって該レンズ面での反射率も増大し、シェーディングの劣化の原因となるが、請求項9記載の走査結像光学系のように、コンセントリックな面の数を反コンセントリックな面の数に等しいか多い構成とすることにより、シェーディングの悪化を有効に軽減することができる。
【0040】
上記請求項8記載の走査結像光学系は、これを、少なくとも2枚の正レンズで構成し、最も光偏向器側に配置された正レンズの主走査方向のパワー:P1、最も被走査面側に配置された正レンズの主走査方向のパワー:P2が、条件:
(6) P1/P2>1.0
を満足し、かつ、最も被走査面側に配置された正レンズが、少なくとも被走査面側のレンズ形状が偏向の起点に関してコンセントリックな形状のメニスカスレンズであるようにすることができる(請求項9)。
【0041】
走査結像光学系を少なくとも2枚の正レンズで構成することは、走査結像光学系に必要な正のパワーを各レンズで分担できるので、各レンズの曲率を過大にせずにすみ、レンズ設計が容易である。条件(6)を満足することにより、2枚のレンズをコンパクトに保ち、低コストでの製造可能と高性能を両立できる。
【0042】
即ち、パワー:P1が大きいことは、画角の大きい偏向光束を光軸側に曲げる屈折力が大きいことを意味し、この結果として、被走査面側の正レンズの「主走査方向のレンズ径」を小さくすることが可能となる。そして被走査面側のレンズの、主走査方向の正のパワー:P2を小さく押さえることにより、該レンズの曲率が小さくなるので、レンズのコバ厚の確保も容易となり、このレンズを樹脂成形で形成する場合、成形段階での変形が生じ難くなり、製造が容易となる。
【0043】
上記請求項7記載の走査結像光学系はまた「残存リニアリティ:Lの絶対値:|L|が、像高:0から周辺に向って単調に増加し、最大値をとったのち、最周辺部近傍へ向って単調に減少する」ようにすることができる(請求項10)。
【0044】
上記請求項7または10記載の走査結像光学系を構成するレンズの少なくとも1枚を「主走査方向のパワーが中心から周辺に向って徐々に小さくなり、最小値をとった後、周辺付近に向って徐々に大きくなるパワー分布を有する」ようにでき(請求項11)、上記請求項7または10または11記載の走査結像光学系を構成するレンズの少なくとも1面を「主走査方向の面の収束作用が、中心から周辺にむかって徐々に小さくなり、最小値をとった後、周辺付近に向って徐々に大きくなるような曲率分布を有する」ようにできる(請求項12)。
【0045】
このようにすると、スポット径の「ばらつき」が大きくなりがちな周辺像高での性能を高め、有効走査領域全域での良好な性能を実現できる。
【0046】
上記請求項4〜12の任意の1に記載の走査結像光学系は、これを「2以上のレンズによるレンズ系として構成し、これらレンズの少なくとも1面を、主走査方向で高次の非円弧形状を有する形状とし、この非円弧形状の面を持つレンズの少なくとも1枚を、熱可塑性光学材料を用いた射出法、熱硬化性光学材料を用いた充填法、または予め近似的な形状に加工されたガラス面に光学樹脂材料を被覆するハイブリッド法で作製する」ことができる(請求項13)。上記非円弧形状の採用により、像面湾曲や波面収差の良好な補正が容易に実現できる。
【0047】
回転放物面や回転双曲面等、2次の回転非球面は機械的な研磨法や切削法で作成可能であるが、高次の非球面を持つレンズを量産するには型による成形法が有効である。使用する材料により成型法は異なるが、熱可塑性光学材料を用いた場合は射出法、熱硬化性光学材料を用いた場合は充填法、光学ガラスのように軟化点の高い材料では予め近似的な形状に加工されたガラス面に光学樹脂材料を被覆する成形法で製造することで、走査結像光学系を低コストで大量に生産できる。
【0048】
この発明の光走査装置は「光源側からの光束を光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向光束を、リニアリティの残存する走査結像光学系により被走査面に向って集束させ、被走査面上に光スポットを形成し、被走査面を光走査する光走査装置」であって、補正用画素クロック生成手段と、画素クロック発生手段とを有する。
【0049】
「補正用画素クロック生成手段」は、1ドットに対応する画素クロックの基準時間幅:Tに対してT/N(Nは、2以上の所定の自然数)を単位として、所望単位の時間幅を持った補正用画素クロックを生成する手段である。
【0050】
「画素クロック発生手段」は、予め設定された規則に従い、有効走査領域にわたって基準時間幅:Tの画素クロックと補正用画素クロックとを発生させる手段である。そして、この光走査装置は、前記請求項1〜3の任意の1に記載の走査補正方法を実施する。
【0051】
請求項14記載の光走査装置は、偏向光束を被走査面に向って集束させる走査結像光学系として、請求項4〜13の任意の1に記載のものを用いることができ(請求項15)、その場合、光源側からの光束を光偏向器の偏向反射面位置近傍に、主走査方向に長い線像として結像させる線像結像光学系を用い、走査結像光学系を、光偏向器の偏向反射面位置と被走査面とを副走査方向において幾何光学的に略共役な関係とするアナモルフィックな光学系とすることができる(請求項16)。このようにすることで、所謂「面倒れ」を補正することができる。
【0052】
請求項17記載の画像形成装置は「感光媒体を光走査して画像形成を行う画像形成装置」であって、感光媒体の光走査に請求項14または15または16記載の光走査装置を用いることを特徴とする。
【0053】
「感光媒体」としては公知の種々のものを用いることができる。例えば、熱により発色する発色性印画紙を感光媒体とし、これを光走査し、光スポットによる「熱エネルギ」で発色させて画像形成を行うことができる。
【0054】
感光媒体によっては、光走査により感光媒体に潜像を形成し、この潜像を可視化することにより画像形成を行うようにすることができる(請求項18)。この場合、例えば、感光媒体として銀塩フィルムを用いることができる。銀塩フィルムに光走査により形成された潜像は「通常の銀塩写真のプロセス」に従い、現像・定着を行って可視化できる。このような画像形成装置は、光製版装置や光描画装置として実施することができる。
【0055】
感光媒体には「光導電性の感光体」を用いることもできる。この場合、潜像は静電潜像として形成され、トナー画像として可視化される。トナー画像は、シート状記録媒体に最終的に担持させることができる(請求項19)。
【0056】
光導電性の感光体として周知の酸化亜鉛感光紙を用いると、酸化亜鉛感光紙上に形成されたトナー画像をそのまま、酸化亜鉛感光紙をシート状記録媒体として定着することができる。
【0057】
繰り返し使用可能な光導電性の感光体を用いる場合は、感光体上に形成されたトナー画像を、転写紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート)等のシート状記録媒体に、直接もしくは中間転写ベルト等の中間転写媒体を介して転写し、定着することにより所望の画像を得ることができる。
【0058】
このような画像形成装置は、デジタル複写機や光プリンタ、光プロッタ、ファクシミリ装置等として実施できる。
【0059】
請求項20記載の画像形成装置は「感光媒体としての光導電性の感光体と、この感光体を均一帯電させる帯電手段と、均一帯電された感光体に光走査を行って静電潜像を形成する光走査装置と、形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、トナー画像をシート状記録媒体に転写する転写手段とを有する画像形成ユニットを複数ユニット、共通のシート状記録媒体の搬送路に沿って配列し、各画像形成ユニットにより形成されるトナー画像を、共通のシート状記録媒体上で重ね合せて合成的に画像を得る画像形成装置」であって、各画像形成ユニットごとに、光走査装置として請求項14または15または16記載のものを用い、各画像形成ユニットごとに個別的に光走査を補正することを特徴とする所謂「タンデム式」のものである。
【0060】
この請求項20記載の画像形成装置において「各画像形成ユニットごとに、現像装置に用いるトナーの色を異ならせ」ることができ(請求項21)、このようにすることにより、2色画像や2色以上の多色画像、さらにはフルカラー画像の形成が可能である。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を説明する。
図1は、光走査装置の実施の1形態を示している。
光源10から射出された発散性の光束は、カップリングレンズ系20によりカップリングされて所望の光束形態(平行光束あるいは弱い発散性もしくは弱い集束性の光束)となる。この実施の形態においては、平行光束となる。
【0062】
カップリングレンズ20から射出した平行光束はアパーチュアAPによりビーム整形され、線像結像光学系であるシリンドリカルレンズ系30により、光偏向器(回転多面鏡)40の偏向反射面:41の近傍で「主走査方向に長い線像」に結像される。そして光偏向器:40により等角速度的に偏向され、走査結像光学系を構成するレンズ系50の作用により被走査面60に向かって集光し、被走査面60上に光スポットを形成し、被走査面60を光走査する。
【0063】
被走査面60は、実体的には光導電性感光体等の感光媒体の感光面である。
レンズ系50は2枚のレンズ51、52により構成され、レンズ51、52は何れも正レンズである。また、図1における符号Mは「装置のレイアウトを描きやすくするために加えた仮想的な反射鏡」を示す。
【0064】
図2は光走査装置の実施の別形態を示している。繁雑を避けるため、混同の虞が無いと思われるものについては、図1におけると同一の符号を用いた。
光源10から射出された発散性の光束は、カップリングレンズ系20によりカップリングされて平行光束となり、アパーチュアAPによりビーム整形され、シリンドリカルレンズ系30により光偏向器40の偏向反射面:41の近傍で「主走査方向に長い線像」に結像される。
【0065】
そして光偏向器:40により等角速度的に偏向され、走査結像光学系を構成するレンズ系50Aの作用により被走査面60に向かって集光し、被走査面60上に光スポットを形成し、被走査面60を光走査する。レンズ系50Aは、2枚の正レンズ51A、52Aにより構成されている。反射鏡Mは図1におけると同じく、装置のレイアウトを描きやすくするために仮想的に加えられている。
【0066】
以下、図1、図2の光走査装置に関する具体的なデータを挙げるが、各実施例において、光源10から光偏向器40までの構成は同一である。即ち、図1、図2に示す構成において、光源10の基準波長は408nm、光源10側から偏向反射面41に入射する光束の主光線と、被走査面60に直交するように偏向される偏向光束の主光線の成す角(光偏向器40への入射角)は60度である。
【0067】
光偏向器40である回転多面鏡は、偏向反射面数:5で内接円半径は18mm、光偏向器40による偏向角(画角)は±30度であり、回転軸AXの位置と偏向反射面41による偏向の起点(偏向光束が被走査面に直交する方向へ偏向されるときの主光線の反射位置)とは、上記被走査面に直交する方向へ16.6mm、主走査方向(図1の上下方向)に7.25mm離れている。また、有効走査領域は、A列3番対応で±150mmである。
【0068】
なお、以下に挙げる各実施例において具体的には記載しないが、走査結像光学系をなすレンズ系50、50Aにおける各レンズの、副走査方向の形状は最適化され、レンズ系50、50Aとも、光偏向器による偏向の起点と被走査面位置を、副走査方向に関して幾何光学的に略共役な関係とするように設計されている。
【0069】
【実施例】
実施例1
実施例1の走査結像光学系を構成するレンズ系50は「周辺像高に向かって残存リニアリティが単調に増加する」ように設計され、その主走査方向の像面湾曲は、図3(A)に示すように、PV値(ピーク・トゥ・バレー値):0.081mmで、有効走査領域全域に渡って良好に補正されている。
【0070】
レンズ51、52の両面とも「主走査方向に非円弧形状」である。この比円弧形状を、光軸方向の座標:X、主走査方向の座標:Y、近軸曲率半径:R、円錐定数:K、高次の係数:M4,M6,M8,…を用いて、
X=Y2/[R+R・√{1−(1+K)Y2/R2}+M4Y4+M6Y6+M8Y8+M10Y10+M12Y12+・・
と表し、R、K、M4,M6,M8,…を与えて形状を特定する。
【0071】
偏向反射面の偏向の起点から第1面までの間隔:66.5mm
第1面(レンズ51の入射側面)
R −575.2
K −86.5
M4 7.91E−08
M6 −2.45E−13
M8 −5.57E−16
M10 −5.57E−20
M12 6.50E−24
第2面(レンズ51の射出側面)
R −109.43
K −0.87
M4 7.05E−08
M6 4.48E−12
M8 −4.18E−16
M10 −5.39E−21
M12 −9.16E−24
レンズ51の中心肉厚:27.7mm
レンズ51、52の間隔:48.0mmである。
【0072】
第3面(レンズ52の入射側面)
R 4100.0
K 0.0
M4 4.62E−09
M6 −1.12E−12
M8 1.86E−17
M10 6.69E−26
M12 2.63E−29
M14 1.32E−33
M16 6.28E−38
第4面(レンズ52の射出側面)
R −2150.0
K 0.0
M4 −5.01E−08
M6 2.21E−12
M8 −9.68E−17
M10 3.64E−21
M12 −8.80E−26
M14 8.44E−31
M16 −1.97E−35
レンズの中心肉厚:8.5mm
第4面から被走査面(像面)までの距離:179.5mmである。
【0073】
光偏向器40におけるサグの影響を軽減させるため、レンズ51,52ともY方向に、0.168mmだけ平行移動偏心して配置されている。なお、上記表記において、例えば「E−31」は「10−31」を意味し、この値が直前の数値にかかる。以下においても同様である。
【0074】
材料はレンズ51、52ともポリオレフィン系の樹脂で、d線に対する屈折率:Nd=1.53046、アッベ数:νd=55.8、408nmの波長の光に対する屈折率:N408=1.54598である。
【0075】
図4に、レンズ50におけるリニアリティ(上図)と走査像高比:Pに対する微分値(下図)を示す。微分値は「リニアリティ図上部に示した6次の多項式」でリニアリティを近似して演算した。なお、光走査の走査密度は1200dpiである。上記多項式において、「y」は残存リニアリティ、「x」は前述の定義による走査像高比である。
【0076】
図5は、像高、走査像高比、残存リニアリティ:L、微分値:|d(L)/dP|の関係を示す一覧である。リニアリティ:Lが像高:0から周辺像高に向かって単調に増加していく形状であるが、微分値は±5以内で小さい。
図5に示すように、残存リニアリティは、最周辺像高:±150mmで最大で+1.974%、微分値:|d(L)/dP|の最大値は、像高:+150mmにおける4.268である。
【0077】
リニアリティを電気的に補正するため、有効走査領域:±150mmを、残存リニアリティに従って複数のブロックに分割するが、ここでは、各ブロック内におけるリニアリティの変化が「0.1%の等差」となるように分割する。
【0078】
このような分割を像高:0から両側周辺部へ向かって行なっていくと、像高:0の片側に20ブロックずつ、全部で40ブロックが得られる。このように得られた40のブロックの各々において、残存リニアリティの変化量は0.1%である。上記40個のブロックの一部分を抜き出すと次のようになる。
【0079】
【0080】
例えば、像高:+146.35〜+141.20(mm)のブロックと、像高:−141.20〜−146.35(mm)のブロックは、同じレベルのリニアリティ:1.9%〜1.8%を有しており、両方のブロックに対して「同じ規則による補正」が可能である。
【0081】
この補正を、像高:+146.35〜+141.20(mm)のブロックについて行なう場合の1例を説明する。このブロックでは、残存リニアリティは1.8〜1.9%の範囲で変化しているので、このブロック全体のリニアリティを、平均値:1.85%を補正値として補正する場合を考える。
【0082】
像高:+146.35〜141.20mmのブロックの走査幅は5.15mmであるが、残存リニアリティにより理想の走査幅が延びてこの幅になったものであり、理想の走査幅において243ドット分に相当する。このブロックに243ドットを書き込むと、243個のドットは隙間無く連続して直線をなすが、全てのドットを基準時間幅:Tの画素クロックで書き込んだ場合、正の残存リニアリティの影響により、理想的なドットの243個で書き込まれた直線の長さよりも長くなってしまう。
【0083】
そこで、243個のドットのうちに「補正用画素クロックにより書き込むドット(以下「補正用ドット」という)」を混ぜ、実際に書きこまれる243ドット分の直線の長さを、理想のドット243個で書き込まれた直線の長さに近づける。ここでは、補正用画素クロックとして「N=8とし、基準時間幅:TよりもT/8だけ短い、7T/8の時間幅を持った補正用画素クロック」を用いて補正する場合を説明する。
【0084】
問題としているブロックにおける残存リニアリティは平均として1.85%であり、これを補正値とするから、このブロックに書き込みを行うとき、基準時間幅:Tを持つ画素クロックで書きこまれるドット数をm、時間幅:7T/8の補正用画素クロックで書きこまれるドット数をnとする。即ち、m+n=243である。
【0085】
基準時間幅:Tの画素クロックで243ドットを書き込んだときの直線の長さは、1ドットの大きさをdとして243d(=(m+n)d)である。一方、基準時間幅:Tでm個のドットを書き込み、7T/8の時間幅の補正用画素クロックでn個の補正用ドットを書き込んだ時の直線の長さは、md+nd(7/8)となる(書きこまれるドットの主走査方向の大きさ:dは、画素クロックの時間幅に比例する)。
【0086】
そして、上記(m+n)dは、md+nd(7/8)よりも1.85%だけ大きいから、
(m+n)d=1.0185{md+nd(7/8)}、即ち、
(m+n)=1.0185{m+n(7/8)}
であり、これをm+n=243と連立させて、nについて解くとn≒35(従って、m=208)となるので、243個の画素信号を出力するとき、そのうち208個を基準信号幅:Tの画素クロックとし、35個を時間幅:7T/8の補正用画素クロックとすることにより、問題としているブロックにおいて、+1.85%の残存リニアリティがもたらす等速性の「ずれ」を補正でき、高画質の画像を書き込むことができる。
【0087】
上に説明した例では、補正用クロックとして、時間幅が7T/8のものを用いたが、これに限らず、他の時間幅、例えば6T/8や、5T/8、4T/8等の補正用クロックを用いることもできる。しかし、基準時間幅:Tと補正用画素クロックの時間幅との差が大きいと、基準時間幅の画素クロックで書き込まれたドットの大きさと、補正用画素クロックで書き込まれた補正用ドットの大きさとが大きく異なることになり、場合によっては、書き込まれた画像に目視でわかるような違和感が生じる虞もあるので、補正用画素クロックの時間幅は、基準時間幅になるべく近いものを用いるのが好ましい。
【0088】
また上の例では、補正用画素クロックとして、時間幅が7T/8のものを1種類のみ用いたが、その他に、例えば6T/8の時間幅を持つ補正用画素クロックを加えて2種類の補正用画素クロックを用いたり、さらには3種類の補正用画素クロックを用いて補正を行なうこともできる。このようにすると、補正の自由度が広がり、種々の条件設定が可能となるが、上記のように1種類の補正用画素クロックを用いる場合は補正のアルゴリズムが簡単になる利点がある。
【0089】
さて、説明中の例において、243個の画素信号を出力するとき、そのうちの208個を基準信号幅:Tの画素クロックで書込み、35個を時間幅:7T/8の補正用画素クロックで書込むのであるが、このとき、補正用画素クロックで書き込まれる35個の補正用ドットと残りの208個のドット(基準時間幅:Tの画素クロックで書き込まれる)とをどのように配分するかの問題があり、この配分を定めたものが「補正用画素クロックの発生の規則」である。
【0090】
この規則を定めるのに「特別の条件」はなく、具体的には「得られる画像において、補正の痕跡が成るべく目立たないようにする規則」を設定すれば良い。例えば、説明中の例の場合、問題のブロックにおいて、残存リニアリティは実質的に直線的に変化しているので、35個の補正用ドットを208個のドット中に一様に分散させることが考えられる。
【0091】
一般的な場合を説明すると、問題のブロックを書き込む243個のドットを、書き込みの順にパラメータ:Iを用いて、I=1,2,3,・・・,243とし、I=N1、N2、N3・・・,NJ,・・N35のときに補正用画素クロックを発生させるものとする。このときの「規則」をフロー図として図7に示す。
【0092】
このフロー図のように、画素信号を1つ進める(I=I+1)ごとに、そのドットが「基準時間幅の画素クロックで書き込まれるか、補正用画素クロックで書き込まれるか」を選択する。
【0093】
図1に戻ると、クロック生成回路70では「時間幅:T/8である高周波の基本クロック」を生成する。生成された基本クロックは分周回路80により分周される。このとき、分周率を8とすると8T/8、即ち「基準時間幅:Tの画素クロック」が得られ、分周率を7とすると、7T/8の時間幅を持った補正用画素クロックを得ることができる。
【0094】
このようにして得られる画素クロックあるいは補正用画素クロックは、レーザ書込回路90に入力され、レーザ書込回路90に入力される画像信号を1ドットずつ書き込むためのクロックとなり、クロックの長さに応じて書込まれるドットの主走査方向の大きさが異なる。
【0095】
制御回路95には、図7のフロー図に即して説明した制御手順(上記補正の「規則」)が記憶されており、書き込むべきドットが補正用ドットであるときには分周率を7として補正用画素クロックを発生させ、他の場合には分周率を8として基準時間幅:Tの画素クロックを発生させる。各ブロックに対してこのような補正を行って、走査領域全域に対し電気的なリニアリティ補正が行なわれる。
【0096】
即ち、クロック発生回路70と分周回路80とは「補正用画素クロック生成手段」を構成し、クロック発生回路70と分周回路80と制御回路95とは「画素クロック発生手段」を構成する。
【0097】
図6に、実施例1における、補正前のリニアリティ(上図)と、補正後のリニアリティ(下図)を示す。この図から明らかなように、各ブロックで上述の如き補正を行った結果、有効走査領域の全域にわたり、リニアリティを±0.05%以下とすることができている。
【0098】
実施例2
実施例2の走査結像光学系を構成するレンズ系50Aは「残存リニアリティが中間像高で極大値を取った後、最周辺に向かって減少してゆく」ように設計され、主走査方向の像面湾曲は、図3(b)に示すように、PV値:0.099mmで、有効走査領域全域に渡って良好に補正されている。残存リニアリティ:Lの走査像高比:Pに対する偏分値は実施例1より大きいものの所定値(≦50)に収まっており、周辺像高を重視した設定になっている。
【0099】
偏向反射点から第1面までの間隔:65.1mm
第1面(レンズ51Aの入射側面)
R −870.3
K 0.0
M4 −1.69E−10
M6 −6.58E−12
M8 −8.14E−16
M10 −5.03E−20
M12 8.58E−24
第2面(レンズ51Aの射出面)
R −124.47
K −2.70
M4 −1.91E−07
M6 2.07E−12
M8 −6.95E−16
M10 −1.01E−19
M12 −1.65E−23
レンズの中心厚:29.8mm
レンズ51A、52Aの間隔:54.2mmである。
【0100】
第3面(レンズ52Aの入射側面)
R −2100.0
K 0.0
M4 7.80E−09
M6 5.74E−13
M8 −5.64E−18
M10 −2.21E−21
M12 6.33E−26
M14 −6.66E−30
M16 −1.43E−34
第4面(レンズ52Aの射出側面)
R −430.0
K −32.8
M4 1.32E−10
M6 4.39E−13
M8 −2.49E−17
M10 −3.56E−22
M12 −4.16E−26
M14 −6.25E−30
M16 −2.42E−35
レンズの中心厚:11.mm
第4面から被走査面(=像面)までの距離:170.mm
レンズ51A、52Aとも、前記サグの影響の軽減のため、Y方向に0.337mm平行移動偏心して配置されている。
【0101】
材料は2枚のレンズ51A、52Aともにポリオレフィン系の樹脂であり、前記屈折率、アッベ数は、Nd=1.53046、νd=55.8、N408=1.54598である。
【0102】
図8に、リニアリティ(上図)と走査像高比:Pに対する微分値(下図)を示す。図9に、像高、走査像高比、残存リニアリティ:L、および微分値:|d(L)/dP|の関係を一覧にして示す。残存リニアリティは、中間像高で最大で+1.809%、周辺に向かって徐々に減少し像高+150mmで−0.336%になる。光走査の走査密度は1200dpiである。
【0103】
実施例1と同様に、残存リニアリティが等差:0.1%になるようにブロック分けすると、残存リニアリティが像高:0に対して略対称であるところから、像高:0の片側に23ブロック、全体で46ブロックができる。一部を示すと次のようになる。
【0104】
例えば、像高が+149.75〜+148.70のブロックと、−148.71〜−149.76のブロックとは、残存リニアリティ−:−0.3〜−0.2%であるので、その中間値:−0.25%を補正値として補正する場合を説明する。残存リニアリティが負であることは光走査の速度が遅すぎることを意味する。
【0105】
実施例1の場合の説明と関連させれば、上記ブロックに基準時間幅:Tをもった画素クロックで直線を書き込んだ場合、理想的な場合に比して書込まれた直線の長さは短くなる。従って、この場合には、混在させる補正用ドットの補正用画素クロックは基準時間幅:Tよりも長くする必要がある。
【0106】
そこで、補正用画素クロックの時間幅として「9T/8」を用いる場合を考えて見る。問題とするブロックは50画素(50ドット)分に対応するので、実施例1の場合と同様に、50ドットのうち、基準時間幅:Tを持つ画素クロックで書きこまれるドット数をm、時間幅:9T/8の補正用画素クロックで書きこまれるドット数をnとすると、m+n=50である。
【0107】
基準時間幅:Tの画素クロックで50ドットを書き込んだときの直線の長さは、1ドットの大きさをdとして50d(=(m+n)d)、基準時間幅:Tでm個のドットを書き込み、9T/8の時間幅の補正用画素クロックでn個の補正用ドットを書き込んだ時の直線の長さは、md+nd(9/8)。そして、上記(m+n)dは、md+nd(9/8)よりも0.25%だけ小さいから、
(m+n)d=99.75{md+nd(9/8)}、即ち、
(m+n)=99.75{m+n(9/8)}
であり、これをm+n=50と連立させて、nについて解くとn≒1(従って、m=49)となるので、50個の画素信号を出力するとき、そのうち49個を基準信号幅:Tの画素クロックとし、1個を時間幅:9T/8の補正用画素クロックとすることにより、問題としているブロックにおいて、―0.25%の残存リニアリティがもたらす等速性の「ずれ」を補正でき、高画質の画像を書き込むことができる。
【0108】
他のブロックでも同様の補正を行うことにより、有効走査領域全域のリニアリティを良好に補正できる。補正制御の実際は、実施例1の場合と同様、クロック発生回路70と分周回路80とで構成される「補正用画素クロック生成手段」、クロック発生回路70と分周回路80と制御回路95とで構成される「画素クロック発生手段」を用い、実施例1の場合と同様に行う。
【0109】
残存リニアリティの形状が高次補正の形状であるため、微分値±20以内と比較的大きいが所定値(≦50)以内である。周辺像高のスポット径の変動が有効に抑制される。
【0110】
図10に、実施例2の補正前のリニアリティ(上図)と、補正後のリニアリティ(下図)を示す。この図から明らかなように、各ブロックで上述の如き補正を行った結果、有効走査領域の全域にわたりリニアリティを±0.05%以下とすることができている。
【0111】
実施例2におけるレンズ52Aの、主走査方向におけるレンズ高さ(光軸からのY方向の距離)に対するパワーの変化を図11に示す。パワーは、レンズ中心から±80mmにかけて減少し、最小値をとった後、周辺に向かって増加する。
【0112】
同じく、レンズ53の射出側面の、レンズ高さに対する主走査方向の曲率の変化を図12に示す。この面の主走査方向の曲率は、レンズ中心から±80mmにかけて増加し、最大値をとった後、周辺に向かって減少していく。この面は射出側面であるので、曲率の増加は「収束作用の減少」を意味する。
【0113】
以上、実施例1、2では略20組程度の「補正の規則」を記憶させることにより、リニアリティの0.05%オーダーの補正が可能であることを示した。実用上十分な精度であり、必要なメモリーも大幅に低減できる。
【0114】
若干補足すると、上に説明した実施例においては、基本クロックとして、基準時間幅:Tの1/8周期のものを用い、この基本クロックを分周率:8で分周して画素クロックを生成したが、T/16の時間幅の高周波の基本クロックを生成し、分周率:16で分周して画素クロックとし、T/16を単位として基準時間幅と時間幅の異なる補正用画素クロックを発生させることができることは言うまでもなく、このような補正用画素クロックの使用により、より高精度なリニアリティ補正を行うことができる。
【0115】
また、上には所謂シングルビーム方式の場合を説明したが、この発明は勿論、マルチビーム方式の光走査装置に適用できる。
なお、この発明の補正方法では、高周波クロックによる等速性の補正を行うため、光偏向器の所定の偏向角に対して最大像高(走査範囲)に過不足が発生しうるが、画素クロックを定める基準時間幅:Tを調整することにより、上記過不足を補正することができる。
【0116】
上に実施の形態および実施例を説明した光走査装置は、光源10側からの光束を光偏向器40により等角速度的に偏向させ、偏向光束を、リニアリティの残存する走査結像光学系50、50Aにより被走査面60に向って集束させ、被走査面上に光スポットを形成し、被走査面を光走査する光走査装置であり、走査結像光学系50、50Aに残存するリニアリティに起因する光走査の不均一を近似的に補正する方法であって、有効走査領域を残存リニアリティに従って複数のブロックに分割し、各ブロック内における残存リニアリテイの変化量が所望の大きさ以下となるようにするとともに、1ドットに対応する画素クロックの時間幅を、基準時間幅:Tに対してT/N(上記実施例においてN=8)を単位として、基準時間幅:Tと異なる時間幅を持ち、1画素単位で変更可能な補正用画素クロックを生成可能とし、補正用画素クロックの数とその発生の規則を各ブロックごとに定め、各ブロックに対し、上記規則に従い、画素クロックの時間幅を変更することにより、各ブロックでのリニアリティが各ブロックにおいて、所望の所定量(±0.05%)より小さくなるように補正することを特徴とする走査補正方法を実施している(請求項1)。
【0117】
また、実施例1、2で実施されている補正方法において、各ブロックにおける基準時間幅:Tと異なる時間幅を持つ補正用画素クロックの種類が1種類以下であり(請求項2)、2以上の自然数であるNの値が8である(請求項3)。そして、有効走査領域の複数ブロックへの分割を、残存リニアリティを略等差(0、1%)とするように行っている(請求項1)。
【0118】
また、実施例1、2における走査結像光学系であるレンズ系50、50Aは、有効走査領域におけるリニアリティの最大残存量:Lm(%)が、条件:
(1) 0.5<|Lm|<10
を満足するようにリニアリティを残存させたものであり(請求項4)、残存させたリニアリティ:Lの、走査像高比:Pによる微分値が、条件:
(2) |d(L)/dP|≦50
を満足する(請求項5)。
【0119】
実施例1のレンズ系50は、残存リニアリティ:Lの絶対値:|L|が像高:0から周辺部へ向って単調に増加するものであり(請求項6)、実施例2のレンズ系50Aは、最周辺像高の残存リニアリティ:Le(%)が、条件:
(3) |Lm/Le|>1(4) |Le|≦5
を満足する(請求項7)。
【0120】
実施例1、2のレンズ系50、50Aは共に、光偏向器40による偏向の起点に関してコンセントリックな面の数:Nc、反コンセントリックな面の数:Naが、条件:
Nc≧Na
を満足する(請求項8)。
【0121】
実施例2のレンズ系50Aは2枚の正レンズから構成され、最も光偏向器側に配置された正レンズの主走査方向のパワー:P1、最も被走査面側に配置された正レンズ(51、51A)の主走査方向のパワー:P2が、条件:
(6) P1/P2>1.0
を満足し、最も被走査面側に配置された正レンズ52Aが、少なくとも被走査面側のレンズ形状が偏向の起点に関してコンセントリックな形状のメニスカスレンズである(請求項9)。
【0122】
実施例2のレンズ系50Aはまた、残存リニアリティの絶対値が像高:0から周辺に向って単調に増加し、最大値をとったのち、最周辺部近傍へ向って単調に減少するもの(請求項10)であり、レンズの少なくとも1枚(レンズ52A)は、主走査方向のパワーが中心から周辺に向って徐々に小さくなり、最小値をとった後、周辺付近に向って徐々に大きくなるパワー分布を有する(請求項11)とともに、レンズ52Aの少なくとも1面(射出側面)は、主走査方向の面の収束作用が、中心から周辺にむかって徐々に小さくなり、最小値をとった後、周辺付近に向って徐々に大きくなるような曲率分布を有する(請求項12)。
【0123】
実施例1、2のレンズ系50、50Aの各レンズは、少なくとも1面が、主走査方向で高次の非円弧形状を有するとともに、樹脂製であり、例えば射出法で形成することができる(請求項13)。
【0124】
また、上に実施の形態,実施例を説明した光走査装置は、光源10側からの光束を光偏向器40により等角速度的に偏向させ、偏向光束を、リニアリティの残存する走査結像光学系50、50Aにより被走査面60に向って集束させ、被走査面上に光スポットを形成し、被走査面を光走査する光走査装置において、1ドットに対応する画素クロックの基準時間幅:Tに対してT/N(Nは、2以上の所定の自然数)を単位として、所望単位の時間幅を持った補正用画素クロックを生成する補正用画素クロック生成手段70、80と、予め設定された規則に従い、有効走査領域にわたって基準時間幅:Tの画素クロックと補正用画素クロックとを発生させる画素クロック発生手段70、80、95とを有し、請求項1記載の走査補正方法を実施するものであり(請求項14)、偏向光束を被走査面に向って集束させる走査結像光学系として、請求項8記載のものを用いており(請求項15)、光源10側からの光束を光偏向器40の偏向反射面位置近傍に、主走査方向に長い線像として結像させる線像結像光学系30を有し、走査結像光学系50、50Aが、光偏向器の偏向反射面位置と被走査面とを副走査方向において、幾何光学的に略共役な関係とするアナモルフィックな光学系である(請求項16)。
【0125】
図13には、画像形成装置の実施の1形態を示す。この画像形成装置は「レーザプリンタ」である。
【0126】
「レーザプリンタ」は、感光媒体110として「円筒状に形成された光導電性の感光体」を有している。感光媒体110の周囲には、帯電手段111(コロナチャージャを例示したが、勿論、接触式の帯電ローラを用いても良い)、現像装置113、転写手段114(コロナ放電を利用する方式のものを示したが、接触式の転写ローラでも良い)、クリーニング装置115が配備されている。
【0127】
また、レーザ光束LBによる光走査装置112が設けられ、帯電ローラ111と現像装置113との間で「光書込による露光」を行うようになっている。
図13において、符号116は定着装置、符号Sは「シート状記録媒体」としての転写紙を示している。
【0128】
画像形成を行うときは、光導電性の感光体である感光媒体110が時計回りに等速回転され、その表面が帯電手段111により均一帯電され、光走査装置112のレーザ光束LBの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であって画像部が露光されている。
【0129】
この静電潜像は現像装置113により反転現像され、感光媒体110上にトナー画像が形成される。転写紙Sは、感光媒体110上のトナー画像が転写位置へ移動するのにタイミングを合せて転写部へ送りこまれ、転写部においてトナー画像と重ね合せられ、転写手段114の作用によりトナー画像を静電転写される。
【0130】
トナー画像を転写された転写紙Sは定着装置116へ送られ、定着装置116においてトナー画像を定着されて外部へ排出される。トナー画像が転写された後の感光媒体110の表面は、クリーニング装置115によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等を除去される。なお、転写紙に代えて前述のOHPシートを用いることもでき、トナー画像の転写は、中間転写ベルト等の「中間転写媒体」を介して行うようにすることもできる。
【0131】
光走査装置112として、上に説明した実施例1、2の走査結像光学系をもつ図1あるいは図2の光走査装置を用いる(請求項17)ことにより、良好な画像形成を実行することができる。上記画像形成装置では、感光媒体110の光走査により、感光媒体に潜像が形成され、この潜像が可視化され(請求項18)、感光媒体110が光導電性の感光体で、潜像が静電潜像として形成され、トナー画像として可視化され、トナー画像がシート状記録媒体Sに最終的に担持される(請求項19)。
【0132】
図14は、請求項21、22記載の画像形成装置の実施の1形態を示す。
図14において、符号200M、200Y、200C、200Bで示す装置部分は同一構造であり、この装置部分の構造は、図13の画像形成装置の構成から転写手段114と定着装置116を除いた構成となっている。
【0133】
符号205で示すベルトは無端ベルトで、矢印方向へ回転することによりシート状記録媒体Sを図の右方から左方へ向けて搬送する機能を持ち、ベルト205と装置部分200M、200Y、200C、200Bとが対向する部分が「シート状記録媒体Sの搬送路」を構成する。
【0134】
ベルト205を介して、転写手段201、202、203、204が、それぞれ装置部分200M、200Y、200C、200Bに対向している。各転写手段とこれに対向する装置部分とは、同一構造の「画像形成ユニット」を構成している。なお、符号206は定着装置を示す。
【0135】
各画像ユニットでの画像形成は、図13の画像形成装置と同様に行われる。即ち、光導電性の感光体が均一に帯電され、光走査により潜像形成され、反転現像で現像されてトナー画像として可視化される。トナー画像は、ベルト205により搬送路を搬送されるシート状記録媒体に転写手段により転写される。
【0136】
装置部分200M、200Y、200C、200Bでは、現像装置において用いられるトナーの色が異なり、装置部分200Mではマゼンタ、装置部分200Yではイエロー、装置部分200Cではシアン、装置部分200Bでは黒色のトナーがそれぞれ用いられる。
【0137】
各装置部分で得られたトナー画像はシート状記録媒体Sに順次転写され、互いに重なり合ってカラー画像を構成する.このカラー画像が定着装置206でシート状記録媒体S上に定着される。
【0138】
4ユニットある各画像形成装置において、光走査装置としては、上に説明した実施の形態の如きものが用いられるが、残存リニアリティに起因する光走査の不均一の補正は、各画像形成ユニットで個別的に行われる。このようにして、各画像形成ユニットにおけるリニアリティを良好に補正することにより、各色トナー画像を重ね合せた場合に「リニアリティ補正の不揃い」により発生する「色ずれ」等の問題を有効に解消して、良好なカラー画像を得ることができる。
【0139】
即ち、図14の画像形成装置は、感光媒体としての光導電性の感光体と、この感光体を均一帯電させる帯電手段と、均一帯電された感光体に光走査を行って静電潜像を形成する光走査装置と、形成された静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、トナー画像をシート状記録媒体に転写する転写手段とを有する画像形成ユニットを複数ユニット(4ユニット)、共通のシート状記録媒体Sの搬送路に沿って配列し、各画像形成ユニットにより形成されるトナー画像を、共通のシート状記録媒体S上で重ね合せて合成的に画像を得る画像形成装置であって、各画像形成ユニットごとに、光走査装置として請求項14または15または16記載のものを用い、各画像形成ユニットごとに個別的に光走査を補正するタンデム式の画像形成装置(請求項20)であり、各画像形成ユニットごとに、現像装置に用いるトナーの色を異ならせたもの(請求項21)である。
【0140】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、光走査の新規な走査補正方法および新規な走査結像光学系、新規な光走査装置、画像形成装置を実現できる。
【0141】
この発明の走査補正方法は、残留リニアリティのある走査結像光学系を用いつつも、リニアリティを電気的に有効に補正することにより良好な光走査を可能とすることができるが、電気的なリニアリティ補正に大容量のメモリを必要としないので、安価に実施することができる。
【0142】
この発明の走査結像光学系はリニアリティの残存を許容されるので、リニアリティ補正とトレードオフの関係にある他の光学性能である像面湾曲や波面収差の補正を極めて良好に実現することが可能である。
【0143】
この発明の光走査装置は、この発明の走査結像光学系を用い、この発明の走査補正方法を実行することにより、リニアリテイを電気的に補正して良好な光走査を行うことができ、しかも安価に実現できる。従って、このような光走査装置を用いる画像形成装置は、安価に実現でき良好な画像形成を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】光走査装置の実施の別形態を説明するための図である。
【図3】実施例1、2に関する主走査方向の像面湾曲を示す図である。
【図4】実施例1の残存リニアリティを説明するための図である。
【図5】実施例1の残存リニアリテイの各像高における値等を記した一覧である。
【図6】実施例1における残存リニアリティと補正後のリニアリティを示す図である。
【図7】リニアリテイの電気的な補正の手順を示すフロー図である。
【図8】実施例2の残存リニアリティを説明するための図である。
【図9】実施例2の残存リニアリテイの各像高における値等を記した一覧である。
【図10】実施例2における残存リニアリティと補正後のリニアリティを示す図である。
【図11】実施例2におけるレンズ52Aの主走査方向のパワーの変化を示す図である。
【図12】実施例2におけるレンズ52Aの射出側面の主走査方向の曲率の変化を示す図である。
【図13】画像形成装置の実施の1形態を示す図である。
【図14】画像形成装置の実施の他の形態を示す図である。
【符号の説明】
10 光源
20 カップリングレンズ系
30 シリンドリカルレンズ系
40 光偏向器
41 偏向反射面
50 走査結像光学系を構成するレンズ系
60 被走査面
Claims (21)
- 光源側からの光束を光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向光束を、リニアリティの残存する走査結像光学系により被走査面に向って集束させ、上記被走査面上に光スポットを形成し、上記被走査面を光走査する光走査装置において、走査結像光学系に残存するリニアリティに起因する光走査の不均一を近似的に補正する方法であって、
有効走査領域を、残存リニアリティに従って複数のブロックに分割して、各ブロック内における残存リニアリテイの変化量が所望の大きさ以下となるように、且つ、上記残存リニアリティが略等差となるようにし、1ドットに対応する画素クロックの時間幅を、基準時間幅:Tに対してT/N(Nは、2以上の所定の自然数)を単位として、基準時間幅:Tと異なる時間幅を持ち、1画素単位で変更可能な補正用画素クロックを生成可能とし、
上記補正用画素クロックの数とその発生の規則を定め、各ブロックに対し、上記規則に従い、画素クロックの時間幅を変更することにより、各ブロックでのリニアリティが各ブロックにおいて、所望の所定量より小さくなるように補正し、
上記残存リニアリティの変化幅が同じとなるブロックに対しては上記発生の規則を同一とすることを特徴とする、光走査の走査補正方法。 - 請求項1記載の光走査の走査補正方法において、
各ブロックにおける、基準時間幅:Tと異なる時間幅を持つ補正用画素クロックの種類が1種類であることを特徴とする光走査の走査補正方法。 - 請求項1または2記載の光走査の走査補正方法において、
2以上の自然数であるNの値が8であることを特徴とする光走査の走査補正方法。 - 請求項1または2または3記載の走査補正方法を実施する光走査装置において用いられる走査結像光学系であって、
有効走査領域におけるリニアリティの最大残存量:Lm(%)が、条件:
(1) 0.5<|Lm|<10
を満足するようにリニアリティを残存させたことを特徴とする走査結像光学系。 - 請求項4記載の走査結像光学系において、
残存させたリニアリティ:Lの、走査像高比:Pによる微分値が、条件:
(2) |d(L)/dP|≦50
を満足することを特徴とする走査結像光学系。 - 請求項5記載の走査結像光学系において、
残存リニアリティ:Lの絶対値:|L|が、像高:0から周辺部へ向って単調に増加することを特徴とする走査結像光学系。 - 請求項4または5記載の走査結像光学系において、
最周辺像高の残存リニアリティ:Le(%)が、条件:
(3) |Lm/Le|>1
(4) |Le|≦5
を満足することを特徴とする走査結像光学系。 - 請求項4または5または6または7記載の走査結像光学系において、
走査結像光学系がレンズ系であり、光偏向器による偏向の起点に関してコンセントリックな面の数:Nc、反コンセントリックな面の数:Naが、条件:
Nc≧Na
を満足することを特徴とする走査結像光学系。 - 請求項8記載の走査結像光学系において、
走査結像光学系が少なくとも2枚の正レンズから構成され、最も光偏向器側に配置された正レンズの主走査方向のパワー:P1、最も被走査面側に配置された正レンズの主走査方向のパワー:P2が、条件:
(6) P1/P2>1.0
を満足し、かつ、最も被走査面側に配置された正レンズが、少なくとも被走査面側のレンズ形状が偏向の起点に関してコンセントリックな形状のメニスカスレンズであることを特徴とする走査結像レンズ。 - 請求項7記載の走査結像光学系において、
残存リニアリティ:Lの絶対値:|L|が、像高:0から周辺に向って単調に増加し、最大値をとったのち、最周辺部近傍へ向って単調に減少することを特徴とする走査結像光学系。 - 請求項7または10記載の走査結像光学系において、走査結像光学系を構成するレンズの少なくとも1枚は、主走査方向のパワーが中心から周辺に向って徐々に小さくなり、最小値をとった後、周辺付近に向って徐々に大きくなるパワー分布を有することを特徴とする走査結像光学系。
- 請求項7または10または11記載の走査結像光学系において、
走査結像光学系を構成するレンズの少なくとも1面は、主走査方向の面の収束作用が、中心から周辺にむかって徐々に小さくなり、最小値をとった後、周辺付近に向って徐々に大きくなるような曲率分布を有することを特徴とする走査結像光学系。 - 請求項4〜12の任意の1に記載の走査結像光学系において、
走査結像光学系が2以上のレンズによるレンズ系として構成され、これらレンズの少なくとも1面が、主走査方向で高次の非円弧形状を有するとともに、該非円弧形状の面を持つレンズの少なくとも1枚は、熱可塑性光学材料を用いた射出法、熱硬化性光学材料を用いた充填法、または予め近似的な形状に加工されたガラス面に光学樹脂材料を被覆するハイブリッド法で作製されることを特徴とする走査結像光学系。 - 光源側からの光束を光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向光束を、リニアリティの残存する走査結像光学系により被走査面に向って集束させ、上記被走査面上に光スポットを形成し、上記被走査面を光走査する光走査装置において、
1ドットに対応する画素クロックの基準時間幅:Tに対してT/N(Nは、2以上の所定の自然数)を単位として、所望単位の時間幅を持った補正用画素クロックを生成する補正用画素クロック生成手段と、
予め設定された規則に従い、有効走査領域にわたって上記基準時間幅:Tの画素クロックと上記補正用画素クロックとを発生させる画素クロック発生手段とを有し、請求項1〜3の任意の1に記載の走査補正方法を実施することを特徴とする光走査装置。 - 請求項14記載の光走査装置において、
偏向光束を被走査面に向って集束させる走査結像光学系として、請求項4〜13の任意の1に記載のものを用いることを特徴とする光走査装置。 - 請求項15記載の光走査装置において、
光源側からの光束を光偏向器の偏向反射面位置近傍に、主走査方向に長い線像として結像させる線像結像光学系を有し、走査結像光学系が、光偏向器の偏向反射面位置と被走査面とを副走査方向において、幾何光学的に略共役な関係とするアナモルフィックな光学系であることを特徴とする光走査装置。 - 感光媒体を光走査して画像形成を行う画像形成装置において、
感光媒体の光走査に、請求項14または15または16記載の光走査装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項17記載の画像形成装置において、
感光媒体の光走査により上記感光媒体に潜像が形成され、この潜像が可視化されることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項18記載の画像形成装置において、
感光媒体が光導電性の感光体で、潜像が静電潜像として形成され、トナー画像として可視化され、上記トナー画像がシート状記録媒体に最終的に担持されることを特徴とする画像形成装置。 - 感光媒体としての光導電性の感光体と、この感光体を均一帯電させる帯電手段と、均一帯電された上記感光体に光走査を行って静電潜像を形成する光走査装置と、形成された上記静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置と、上記トナー画像をシート状記録媒体に転写する転写手段とを有する画像形成ユニットを複数ユニット、共通のシート状記録媒体の搬送路に沿って配列し、各画像形成ユニットにより形成されるトナー画像を、上記共通のシート状記録媒体上で重ね合せて合成的に画像を得る画像形成装置であって、
各画像形成ユニットごとに、光走査装置として、請求項14または15または16記載のものを用い、各画像形成ユニットごとに個別的に光走査を補正することを特徴とするタンデム式の画像形成装置。 - 請求項20記載の画像形成装置において、
各画像形成ユニットごとに、現像装置に用いるトナーの色を異ならせたことを特徴とする画像形成装置。
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